特許第5926099号(P5926099)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5926099
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】配線・配管材保持具
(51)【国際特許分類】
   F16L 3/10 20060101AFI20160516BHJP
【FI】
   F16L3/10 Z
【請求項の数】7
【全頁数】26
(21)【出願番号】特願2012-86838(P2012-86838)
(22)【出願日】2012年4月5日
(65)【公開番号】特開2013-217410(P2013-217410A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2014年12月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000243803
【氏名又は名称】未来工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079968
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 光司
(72)【発明者】
【氏名】高橋 淳二
【審査官】 藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−351303(JP,A)
【文献】 特開2011−241977(JP,A)
【文献】 実開平06−010684(JP,U)
【文献】 特開2013−217411(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 3/08
F16L 3/10
F16B 2/08
F16B 2/12
H02G 2/22
H02G 2/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
取付面に固定されたボルト体に取り付けられて、そのボルト体の軸方向と交差する方向に延びる配線・配管材を保持する、配線・配管材保持具であって、
本体と、使用の有無が選択されて用いられる保持体とを備え、
前記本体は、囲み部と、前記ボルト体の軸方向に前記囲み部と一体となって移動可能であって前記ボルト体の軸方向の所要の位置に取着される取着部とを、備え、
前記囲み部は、前記配線・配管材としての第1の配線・配管材を周方向に囲むように形成され、
前記第1の配線・配管材を前記囲み部の内側を貫通するように配置することより、その囲み部の内面が前記第1の配線・配管材の外面に当接して、その第1の配線・配管材が、前記保持体を使用することなく前記囲み部の内側に保持され、また、
前記保持体は、前記囲み部の内側に配置されて、外面が前記囲み部の内面に当接し、
前記囲み部の内側に、前記保持体の内面、または、前記保持体の内面および前記囲み部の内面によって形成されて、前記第1の配線・配管材よりも小径な前記配線・配管材としての第2の配線・配管材が貫通する、貫通部を有し、
前記保持体を前記囲み部の内側に配置し、前記第2の配線・配管材を前記貫通部を貫通するように配置することにより、前記囲み部の内面が前記保持体の外面に当接し、かつ、前記貫通部を形成する内面が、前記第2の配線・配管材の外面に当接して、前記第2の配線・配管材が、前記保持体とともに前記囲み部の内側に保持され、
前記第2の配線・配管材が、前記ボルト体の軸方向に移動可能であってその軸方向の所要の位置に配置される前記囲み部の内側において、前記軸方向に対する位置が異なる少なくとも二箇所のいずれかに選択的に配置可能となるよう、前記保持体が、前記囲み部の内側に、少なくとも二つの回動姿勢で配置可能で、かつ、その回動の軸心に対して、前記貫通部の軸心が偏心位置していることを特徴とする配線・配管材保持具。
【請求項2】
取付面に固定されたボルト体に取り付けられて、そのボルト体の軸方向と交差する方向に延びる配線・配管材を保持する、配線・配管材保持具であって、
本体と、使用の有無が選択されて用いられる保持体とを備え、
前記本体は、囲み部と、前記ボルト体の軸方向に前記囲み部と一体となって移動可能であって前記ボルト体の軸方向の所要の位置に取着される取着部とを、備え、
前記囲み部は、前記配線・配管材としての第1の配線・配管材を周方向に囲むように形成され、
前記第1の配線・配管材を前記囲み部の内側を貫通するように配置することにより、その囲み部の内面が前記第1の配線・配管材の外面に当接して、その第1の配線・配管材が、前記保持体を使用することなく前記囲み部の内側に保持され、また、
前記保持体は、前記囲み部の内側に配置されて、外面が前記囲み部の内面に当接し、
前記囲み部の内側に、前記保持体の内面、または、前記保持体の内面および前記囲み部の内面によって形成されて、前記第1の配線・配管材よりも小径な前記配線・配管材としての第2の配線・配管材が貫通する、貫通部を有し、
前記保持体を前記囲み部の内側に配置し、前記第2の配線・配管材を前記貫通部を貫通するように配置することにより、前記囲み部の内面が前記保持体の外面に当接し、かつ、前記貫通部を形成する内面が、前記第2の配線・配管材の外面に当接して、前記第2の配線・配管材が、前記保持体とともに前記囲み部の内側に保持され、
前記第2の配線・配管材が、前記ボルト体の軸方向に移動可能であってその軸方向の所要の位置に配置される前記囲み部の内側において、前記軸方向に対する位置が異なる少なくとも二箇所のいずれかに選択的に配置可能となるよう、前記囲み部の内側に、前記貫通部を、前記軸方向に対する位置が異なる少なくとも二箇所に有することを特徴とする配線・配管材保持具。
【請求項3】
取付面に固定されたボルト体に取り付けられて、そのボルト体の軸方向と交差する方向に延びる配線・配管材を保持する、配線・配管材保持具であって、
本体と、保持体とを備え、
前記本体は、囲み部と、前記ボルト体の軸方向に前記囲み部と一体となって移動可能であって前記ボルト体の軸方向の所要の位置に取着される取着部とを、備え、
前記囲み部は、前記保持体を周方向に囲むように形成され、
前記保持体は、前記囲み部の内側に配置されて、外面が前記囲み部の内面に当接し、
前記囲み部の内側に、前記保持体の内面、または、前記保持体の内面および前記囲み部の内面によって形成されて、前記配線・配管材が貫通する、貫通部を有し、
前記保持体を前記囲み部の内側に配置し、前記配線・配管材を前記貫通部を貫通するように配置することにより、前記囲み部の内面が前記保持体の外面に当接し、かつ、前記貫通部を形成する内面が、前記配線・配管材の外面に当接して、前記配線・配管材が、前記保持体とともに前記囲み部の内側に保持され、
前記配線・配管材が、前記ボルト体の軸方向に移動可能であってその軸方向の所要の位置に配置される前記囲み部の内側において、前記軸方向に対する位置が異なる少なくとも二箇所のいずれかに選択的に配置可能となるよう、前記保持体が、前記囲み部の内側に、少なくとも二つの回動姿勢で配置可能で、かつ、その回動の軸心に対して、前記貫通部の軸心が偏心位置しており、また、前記貫通部として、少なくとも二種類の径の配線・配管材に対応して径が異なる少なくとも二つの貫通部が設けられて、それら貫通部のいずれかが選択的に使用可能であることを特徴とする配線・配管材保持具。
【請求項4】
前記保持体の外面は、前記軸方向と前記配線・配管材の延びる方向とに直交する方向に対称に形成されていることを特徴とする、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の配線・配管材保持具。
【請求項5】
前記保持体は、円盤状に形成されていることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の配線・配管材保持具。
【請求項6】
前記貫通部が、前記保持体の内面によって形成されるよう、前記保持体は、前記貫通部となる貫通孔を有し、
前記保持体を前記囲み部の内側に配置し、前記配線・配管材を前記貫通部を貫通するように配置した状態で、前記囲み部の内側の内部空間を縮小するように前記囲み部を内方へ向けることで、その囲み部の内面が前記保持体の外面を圧接し、かつ、前記貫通孔の周面が、前記配線・配管材の外面を圧接することを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の配線・配管材保持具。
【請求項7】
前記貫通部が、前記保持体の内面および前記囲み部の内面によって形成されるよう、前記保持体は、その外面に開口する貫通孔を有して、その貫通孔の周面と、その貫通孔の開口が臨む前記囲み部の内面とで、前記貫通部が形成され、
前記保持体を前記囲み部の内側に配置し、前記配線・配管材を前記貫通部を貫通するように配置した状態で、前記囲み部の内側の内部空間を縮小するように前記囲み部を内方へ向けることで、その囲み部の内面が前記保持体の外面を圧接し、かつ、前記貫通孔の周面および前記囲み部の内面が、前記配線・配管材の外面を圧接することを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の配線・配管材保持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ボルト体に取り付けられて配線・配管材を保持する、配線・配管材保持具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばケーブルとか排水管等の配線・配管材を配設すべく、基礎面に固定されたボルト体に取り付けられて、配線・配管材を保持する保持具があった(例えば、特許文献1参照)。図35に示すように、この保持具23は、基礎面21から起立する二本のボルト体22、22に架設された二つの支持体24、24を備えていた。そこで、ボルト体22に螺合する規制ナット25が、一方の支持体24の基部24aを下から支え、同じく、ボルト体22に螺合する押圧ナット26が他方の支持体24の基部24aを上から押圧することで、配線・配管材27は、両支持体24、24に挟持されて、ボルト体22の軸方向の所要の位置に保持された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−241977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の保持具23にあっては、配線・配管材27の径が異なる場合には、それぞれの径に応じた支持体24を用意しなければならなかった。また、例えば、排水管の排水勾配を取る等、配線・配管材27の高さ調整が必要な場合に、その調整範囲がボルト体22の長さによって制限された。このため、それ以上の高さ調整が必要な場合には、ボルト体22を他のものに変更する必要があり非常に面倒であった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、配線・配管材の複数の異なる径に対応することができ、かつ、位置調整の範囲を広くすることができる、配線・配管材保持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る配線・配管材保持具は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る配線・配管材保持具は、取付面に固定されたボルト体に取り付けられて、そのボルト体の軸方向と交差する方向に延びる配線・配管材を保持する、保持具である。この配線・配管材保持具は、本体と、使用の有無が選択されて用いられる保持体とを備える。ここで、前記本体は、囲み部と、前記ボルト体の軸方向に前記囲み部と一体となって移動可能であって前記ボルト体の軸方向の所要の位置に取着される取着部とを、備える。前記囲み部は、前記配線・配管材としての第1の配線・配管材を周方向に囲むように形成される。そこで、前記第1の配線・配管材を前記囲み部の内側を貫通するように配置することにより、その囲み部の内面が前記第1の配線・配管材の外面に当接して、その第1の配線・配管材が、前記保持体を使用することなく前記囲み部の内側に保持される。また、前記保持体は、前記囲み部の内側に配置されて、外面が前記囲み部の内面に当接する。そして、前記囲み部の内側に、前記保持体の内面、または、前記保持体の内面および前記囲み部の内面によって形成されて、前記第1の配線・配管材よりも小径な前記配線・配管材としての第2の配線・配管材が貫通する、貫通部を有する。そこで、前記保持体を前記囲み部の内側に配置し、前記第2の配線・配管材を前記貫通部を貫通するように配置することにより、前記囲み部の内面が前記保持体の外面に当接し、かつ、前記貫通部を形成する内面が、前記第2の配線・配管材の外面に当接して、前記第2の配線・配管材が、前記保持体とともに前記囲み部の内側に保持される。ここにおいて、前記第2の配線・配管材が、前記ボルト体の軸方向に移動可能であってその軸方向の所要の位置に配置される前記囲み部の内側において、前記軸方向に対する位置が異なる少なくとも二箇所のいずれかに選択的に配置可能となるよう、前記保持体が、前記囲み部の内側に、少なくとも二つの回動姿勢で配置可能で、かつ、その回動の軸心に対して、前記貫通部の軸心が偏心位置している。
【0007】
この配線・配管材保持具によると、囲み部は、取着部とともに、ボルト体の軸方向の所要の位置に配置される。そして、第1の配線・配管材にあっては、その第1の配線・配管材を、囲み部の内側を貫通するように配置することにより、第1の配線・配管材は、保持体を使用することなく囲み部の内側に保持される。一方、第1の配線・配管材よりも小径な第2の配線・配管材にあっては、囲み部の内側に保持体を配置し、第2の配線・配管材を、囲み部の内側に形成される貫通部を貫通するように配置することにより、第2の配線・配管材は、保持体とともに囲み部の内側に保持される。ここで、保持体が、ボルト体の軸方向に移動可能であってその軸方向の所要の位置に配置される囲み部の内側に、少なくとも二つの回動姿勢で配置可能で、かつ、その回動の軸心に対して、貫通部の軸心が偏心位置することで、第2の配線・配管材は、囲み部の内側で、ボルト体の軸方向に対する位置が異なる少なくとも二箇所のいずれかに選択的に配置される。こうして、この配線・配管材保持具によれば、保持体の使用の有無を選択することで、径の異なる第1の配線・配管材と第2の配線・配管材のうちの任意の配線・配管材を保持することができる。そして、第2の配線・配管材においては、ボルト体の軸方向に移動可能であってその軸方向の所要の位置に配置される囲み部の内側で、その第2の配線・配管材を、保持体を用いて、ボルト体の軸方向に対する位置が異なる少なくとも二箇所のうちの任意の位置に配置することができ、これにより、ボルト体の軸方向に対して、囲み部、つまり配線・配管材保持具の移動範囲以上に、第2の配線・配管材の軸心の移動範囲を確保することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る配線・配管材保持具は、取付面に固定されたボルト体に取り付けられて、そのボルト体の軸方向と交差する方向に延びる配線・配管材を保持する、保持具である。この配線・配管材保持具は、本体と、使用の有無が選択されて用いられる保持体とを備える。ここで、前記本体は、囲み部と、前記ボルト体の軸方向に前記囲み部と一体となって移動可能であって前記ボルト体の軸方向の所要の位置に取着される取着部とを、備える。前記囲み部は、前記配線・配管材としての第1の配線・配管材を周方向に囲むように形成される。そこで、前記第1の配線・配管材を前記囲み部の内側を貫通するように配置することにより、その囲み部の内面が前記第1の配線・配管材の外面に当接して、その第1の配線・配管材が、前記保持体を使用することなく前記囲み部の内側に保持される。また、前記保持体は、前記囲み部の内側に配置されて、外面が前記囲み部の内面に当接する。そして、前記囲み部の内側に、前記保持体の内面、または、前記保持体の内面および前記囲み部の内面によって形成されて、前記第1の配線・配管材よりも小径な前記配線・配管材としての第2の配線・配管材が貫通する、貫通部を有する。そこで、前記保持体を前記囲み部の内側に配置し、前記第2の配線・配管材を前記貫通部を貫通するように配置することにより、前記囲み部の内面が前記保持体の外面に当接し、かつ、前記貫通部を形成する内面が、前記第2の配線・配管材の外面に当接して、前記第2の配線・配管材が、前記保持体とともに前記囲み部の内側に保持される。ここにおいて、前記第2の配線・配管材が、前記ボルト体の軸方向に移動可能であってその軸方向の所要の位置に配置される前記囲み部の内側において、前記軸方向に対する位置が異なる少なくとも二箇所のいずれかに選択的に配置可能となるよう、前記囲み部の内側に、前記貫通部を、前記軸方向に対する位置が異なる少なくとも二箇所に有する。
【0009】
この配線・配管材保持具によると、囲み部は、取着部とともに、ボルト体の軸方向の所要の位置に配置される。そして、第1の配線・配管材にあっては、その第1の配線・配管材を、囲み部の内側を貫通するように配置することにより、第1の配線・配管材は、保持体を使用することなく囲み部の内側に保持される。一方、第1の配線・配管材よりも小径な第2の配線・配管材にあっては、囲み部の内側に保持体を配置し、第2の配線・配管材を、囲み部の内側に形成される貫通部を貫通するように配置することにより、第2の配線・配管材は、保持体とともに囲み部の内側に保持される。ここで、ボルト体の軸方向に移動可能であってその軸方向の所要の位置に配置される囲み部の内側に、貫通部を、ボルト体の軸方向に対する位置が異なる少なくとも二箇所に有することで、第2の配線・配管材は、囲み部の内側で、ボルト体の軸方向に対する位置が異なる少なくとも二箇所のいずれかに選択的に配置される。こうして、この配線・配管材保持具によれば、保持体の使用の有無を選択することで、径の異なる第1の配線・配管材と第2の配線・配管材のうちの任意の配線・配管材を保持することができる。そして、第2の配線・配管材においては、ボルト体の軸方向に移動可能であってその軸方向の所要の位置に配置される囲み部の内側で、その第2の配線・配管材を、保持体を用いて、ボルト体の軸方向に対する位置が異なる少なくとも二箇所のうちの任意の位置に配置することができ、これにより、ボルト体の軸方向に対して、囲み部、つまり配線・配管材保持具の移動範囲以上に、第2の配線・配管材の軸心の移動範囲を確保することができる。
【0010】
また、請求項3に記載の発明に係る配線・配管材保持具は、取付面に固定されたボルト体に取り付けられて、そのボルト体の軸方向と交差する方向に延びる配線・配管材を保持する、保持具である。この配線・配管材保持具は、本体と、保持体とを備える。ここで、前記本体は、囲み部と、前記ボルト体の軸方向に前記囲み部と一体となって移動可能であって前記ボルト体の軸方向の所要の位置に取着される取着部とを、備える。前記囲み部は、前記保持体を周方向に囲むように形成される。前記保持体は、前記囲み部の内側に配置されて、外面が前記囲み部の内面に当接する。そして、前記囲み部の内側に、前記保持体の内面、または、前記保持体の内面および前記囲み部の内面によって形成されて、前記配線・配管材が貫通する、貫通部を有する。そこで、前記保持体を前記囲み部の内側に配置し、前記配線・配管材を前記貫通部を貫通するように配置することにより、前記囲み部の内面が前記保持体の外面に当接し、かつ、前記貫通部を形成する内面が、前記配線・配管材の外面に当接して、前記配線・配管材が、前記保持体とともに前記囲み部の内側に保持される。ここにおいて、前記配線・配管材が、前記ボルト体の軸方向に移動可能であってその軸方向の所要の位置に配置される前記囲み部の内側において、前記軸方向に対する位置が異なる少なくとも二箇所のいずれかに選択的に配置可能となるよう、前記保持体が、前記囲み部の内側に、少なくとも二つの回動姿勢で配置可能で、かつ、その回動の軸心に対して、前記貫通部の軸心が偏心位置している。さらに、前記貫通部として、少なくとも二種類の径の配線・配管材に対応して径が異なる少なくとも二つの貫通部が設けられて、それら貫通部のいずれかが選択的に使用可能である。
【0011】
この配線・配管材保持具によると、囲み部は、取着部とともに、ボルト体の軸方向の所要の位置に配置される。そして、配線・配管材にあっては、囲み部の内側に保持体を配置し、配線・配管材を、囲み部の内側に形成される貫通部を貫通するように配置することにより、配線・配管材は、保持体とともに囲み部の内側に保持される。ここで、保持体が、ボルト体の軸方向に移動可能であってその軸方向の所要の位置に配置される囲み部の内側に、少なくとも二つの回動姿勢で配置可能で、かつ、その回動の軸心に対して、貫通部の軸心が偏心位置することで、配線・配管材は、囲み部の内側で、ボルト体の軸方向に対する位置が異なる少なくとも二箇所のいずれかに選択的に配置される。さらに、貫通部として、少なくとも二種類の径の配線・配管材に対応して径が異なる少なくとも二つの貫通部が設けられており、それら貫通部のいずれかが選択的に使用される。こうして、この配線・配管材保持具によれば、保持体を用いて、径の異なる複数の配線・配管材のうちの任意の配線・配管材を保持することができる。そして、ボルト体の軸方向に移動可能であってその軸方向の所要の位置に配置される囲み部の内側で、この配線・配管材を、保持体を用いて、ボルト体の軸方向に対する位置が異なる少なくとも二箇所のうちの任意の位置に配置することができ、これにより、ボルト体の軸方向に対して、囲み部、つまり配線・配管材保持具の移動範囲以上に、配線・配管材の軸心の移動範囲を確保することができる。
【0012】
また、請求項4に記載の発明に係る配線・配管材保持具は、請求項1ないし3のいずれか1項に記載の配線・配管材保持具において、前記保持体の外面は、前記軸方向と前記配線・配管材の延びる方向とに直交する方向に対称に形成される。
【0013】
また、請求項5に記載の発明に係る配線・配管材保持具は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載の配線・配管材保持具において、前記保持体は、円盤状に形成される。
【0014】
また、請求項6に記載の発明に係る配線・配管材保持具は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の配線・配管材保持具において、前記貫通部が、前記保持体の内面によって形成されるよう、前記保持体は、前記貫通部となる貫通孔を有する。そして、前記保持体を前記囲み部の内側に配置し、前記配線・配管材を前記貫通部を貫通するように配置した状態で、前記囲み部の内側の内部空間を縮小するように前記囲み部を内方へ向けることで、その囲み部の内面が前記保持体の外面を圧接し、かつ、前記貫通孔の周面が、前記配線・配管材の外面を圧接する。
【0015】
また、請求項7に記載の発明に係る配線・配管材保持具は、請求項1ないし5のいずれか1項に記載の配線・配管材保持具において、前記貫通部が、前記保持体の内面および前記囲み部の内面によって形成されるよう、前記保持体は、その外面に開口する貫通孔を有して、その貫通孔の周面と、その貫通孔の開口が臨む前記囲み部の内面とで、前記貫通部が形成される。そして、前記保持体を前記囲み部の内側に配置し、前記配線・配管材を前記貫通部を貫通するように配置した状態で、前記囲み部の内側の内部空間を縮小するように前記囲み部を内方へ向けることで、その囲み部の内面が前記保持体の外面を圧接し、かつ、前記貫通孔の周面および前記囲み部の内面が、前記配線・配管材の外面を圧接する。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る配線・配管材保持具によれば、保持体を設けて、配線・配管材の複数の異なる径に対応することができ、かつ、ボルト体の軸方向に対して、配線・配管材保持具の移動範囲以上に、配線・配管材の軸心の移動範囲を確保して、配線・配管材の位置調整の範囲を広くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】この発明の一実施の形態の、保持体を除く保持具(配線・配管材保持具)を用いた、配設具を示す斜視図である。
図2】同じく、保持体を含む保持具を用いた、配設具を示す斜視図である。
図3】同じく、保持体を除く保持具で第1の配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図4】同じく、保持体を含む保持具で、一方の第2の配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図5】同じく、一方の第2の配線・配管材を最下端で保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図6】同じく、一方の第2の配線・配管材を最上端で保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図7】同じく、保持体を含む保持具で、他方の第2の配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図8】同じく、他方の第2の配線・配管材を最下端で保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図9】同じく、他方の第2の配線・配管材を最上端で保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図10】同じく、保持体を示す斜視図である。
図11】同じく、保持体の他方の貫通孔に補助部材を挿入した状態を示す正面図である。
図12】同じく、補助部材を示す斜視図である。
図13】この発明の一実施の形態の第1変形例の、保持体を含む保持具で、第2の配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図14】同じく、保持体を除く保持具で、第1の配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図15】この発明の一実施の形態の第2変形例の、保持体を含む保持具で、第2の配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図16】この発明の他の実施の形態の、保持体を含む保持具で、第2の配線・配管材を最下端で保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図17】同じく、第2の配線・配管材を最上端で保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図18】同じく、保持体を除く保持具で、第1の配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図19】この発明の他の実施の形態の第1変形例の、保持体を含む保持具で、第2の配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図20】この発明の他の実施の形態の第2変形例の、保持体を含む保持具で、第2の配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図21】同じく、保持体を除く保持具で、第1の配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図22】この発明の他の実施の形態の第3変形例の、保持体を含む保持具で、第2の配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図23】この発明の他の実施の形態の第4変形例の、保持体を含む保持具で、第2の配線・配管材を最下端で保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図24】同じく、保持体を含む保持具で、第2の配線・配管材を最上端で保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図25】同じく、保持体を除く保持具で、第1の配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図26】同じく、保持体が一方の回動姿勢にある保持具を示す斜視図である。
図27】同じく、保持体がもう一方の回動姿勢にある保持具を示す斜視図である。
図28】同じく、保持体を示す斜視図である。
図29】同じく、保持体を示す正面図である。
図30】この発明のさらに他の実施の形態の、保持体を含む保持具で、第2の配線・配管材を最下端で保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図31】同じく、保持体を含む保持具で、第2の配線・配管材を最上端で保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図32】同じく、保持体を除く保持具で、第1の配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図33】この発明のさらに他の実施の形態の、保持体を含む保持具で、第2の配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図34】この発明のさらに他の実施の形態の、保持体を含む保持具で、第2の配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
図35】従来の保持具を用いた、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明に係る配線・配管材保持具を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1図12は、本発明の一実施の形態を示す。図中符号1は、例えば、建物の基礎床その他の構造物の取付面を示す。2は、配線・配管材(配線材または配管材)を示す。4aは、前記取付面1に固定されたボルト体を示す。5は、保持具(配線・配管材保持具)を示し、この保持具5は、前記ボルト体4aに取り付けられて、そのボルト体4aの軸方向Pと交差する方向に延びる前記配線・配管材2を保持するものである。
【0020】
ここで、保持具5は、本体6と、使用の有無が選択されて用いられる保持体7とを備える。そして、本体6は、囲み部6aと、ボルト体4aの軸方向Pに囲み部6aと一体となって移動可能であってボルト体4aの軸方向Pの所要の位置に取着される取着部6bとを、備える。
【0021】
前記囲み部6aは、前記配線・配管材2としての第1の配線・配管材2aを周方向に囲むように形成され、また、前記保持体7を周方向に囲むように形成される。そこで、第1の配線・配管材2aを囲み部6aの内側を貫通するように配置することにより(図示実施の形態においては、配置した状態で、囲み部6aの内側の内部空間6cを縮小するように囲み部6aを内方へ向けることで)、その囲み部6aの内面が第1の配線・配管材2aの外面に当接(図示実施の形態においては、外面を圧接)して、その第1の配線・配管材2aが、保持体7を使用することなく囲み部6aの内側に保持される(図3参照)。
【0022】
また、保持体7は、囲み部6aの内側に配置されて、外面が囲み部6aの内面に当接する。そして、囲み部6aの内側に、保持体7の内面、または、保持体7の内面及び囲み部6aの内面によって形成されて、第1の配線・配管材2aよりも小径な前記配線・配管材2としての第2の配線・配管材2bが貫通する、貫通部6dを有する。そこで、保持体7を囲み部6aの内側に配置し、第2の配線・配管材2bを前記貫通部6dを貫通するように配置することにより(図示実施の形態においては、配置した状態で、囲み部6aの内側の内部空間6cを縮小するように囲み部6aを内方へ向けることで)、囲み部6aの内面が保持体7の外面に当接(図示実施の形態においては、外面を圧接)し、かつ、貫通部6dを形成する内面が、第2の配線・配管材2bの外面に当接(図示実施の形態においては、外面を圧接)して、第2の配線・配管材2bが、保持体7とともに囲み部6aの内側に保持される。
【0023】
ここにおいて、第2の配線・配管材2bが、ボルト体4aの軸方向Pに移動可能であってその軸方向Pの所要の位置に配置される前記囲み部6aの内側において、ボルト体4aの軸方向Pに対する位置が異なる少なくとも二箇所のいずれかに選択的に配置可能となるよう、保持体7が、囲み部6aの内側に、少なくとも二つの回動姿勢で配置可能で、かつ、その回動の軸心Xに対して、前記貫通部6dの軸心Yが偏心位置している。そこで、図2図4図5図7図9は、一方の回動姿勢として、保持体7が、後述する一方の貫通孔701が下側となる向きで配置された状態を示し、図6図8は、もう一方の回動姿勢として、保持体7が、後述する一方の貫通孔701が上側となる向きで配置された状態を示す。
【0024】
また、図示実施の形態においては、貫通部6dとして、少なくとも二種類の径の配線・配管材2(詳しくは、第2の配線・配管材2b)に対応して径が異なる少なくとも二つの貫通部6d、6dが設けられて、それら貫通部6d、6dのいずれかが選択的に使用可能となっている。
【0025】
ここで、二つの貫通部6d、6dのうちの一方の貫通部601(6d)にあっては、その一方の貫通部601が、保持体7の内面および囲み部6aの内面によって形成されるよう、保持体7は、その外面に開口する、貫通孔7aとしての一方の貫通孔701を有して、その一方の貫通孔701の周面(つまり、保持体7の内面)と、その一方の貫通孔701の開口7bが臨む囲み部6aの内面とで、前記一方の貫通部601が形成され、これら一方の貫通孔701の周面および囲み部6aの内面が、配線・配管材2(詳しくは、第2の配線・配管材2b)の外面に当接(図示実施の形態においては、外面を圧接)する。
【0026】
そして、二つの貫通部6d、6dのうちの他方の貫通部602にあっては、その他方の貫通部602が、保持体7の内面によって形成されるよう、保持体7は、その他方の貫通部602となる、貫通孔7aとしての他方の貫通孔702を有して、その他方の貫通孔702の周面が、配線・配管材2(詳しくは、第2の配線・配管材2b)の外面に当接(図示実施の形態においては、外面を圧接)する。
【0027】
具体的には、ボルト体4aは、ベース板4bを介して取付面1に固定される。すなわち、ボルト体4aが、ベース板4bに起立姿勢で固定され、そのベース板4bが、取付面1に、接着とかビスとか釘等の固着具により固定される。そこで、これらボルト体4aおよびベース板4bと、保持具5と、後述するナット(規制ナット4cおよび押圧ナット4g)とにより、配設具3(配線・配管材配設具)が構成される。
【0028】
保持具5においては、その本体6は、例えば鋼板等からなる帯板状の、第1保持材611と第2保持材612とを備える。第1保持材611は、第1の配線・配管材2aとか保持体7を、ボルト体4aの軸方向Pの一方側Q(詳しくは、下方側)から囲む、前記囲み部6aを構成する第1囲み部621と、その第1囲み部621から(図示実施の形態においては、第1囲み部621の両端から)延設された、前記取着部6bを構成する第1取着部631とを有し、その第1取着部631には、ボルト体4aが貫通する通孔6eが設けられる。そして、第2保持材612は、第1の配線・配管材2aとか保持体7を、ボルト体4aの軸方向Pの他方側R(詳しくは、上方側)から囲む、前記囲み部6aを構成する第2囲み部622と、その第2囲み部622から(図示実施の形態においては、第2囲み部622の両端から)延設された、前記取着部6bを構成する第2取着部632とを有し、その第2取着部632には、ボルト体4aが貫通する通孔6eが設けられる。すなわち、図示実施の形態においては、ボルト体4aは、平行位置するように二本立設され、保持具5は、それらボルト体4a、4aに架設される。そして、ボルト体4a、4a間に、第1囲み部621と第2囲み部622とで構成される囲み部6aが位置する。そして、囲み部6aが円形を形成するように、第1囲み部621と第2囲み部622とは、弧状に形成されている。
【0029】
ここにおいて、第1保持材611は、その第1取着部631が、ボルト体4aに螺合する規制ナット4cによって、ボルト体4aの軸方向Pの一方側Qから受け止められる。この規制ナット4cは、第1取着部631を前記一方側Qから受け止める、受け部4dを有する。詳細には、規制ナット4cは、受け部4dから、ボルト体4aに沿って第1保持材611の通孔6eを貫通するように前記一方側Qから他方側Rに延出する延出部4eを有し、その延出部4eの先端部分に、第1取着部631よりも前記他方側Rからこの規制ナット4cを回動操作可能な操作部4fが設けられる。一方、第2保持材612は、その第2取着部632が、ボルト体4aに螺合する押圧ナット4gによって、ボルト体4aの軸方向Pの他方側Rから押圧される。そこで、これらナット4c、4gを同一方向に回動することで、第1および第2の取着部631、632は、ボルト体4aの軸方向Pに移動する。また、ナット4c、4gを、両取着部631、632が近づく側に締め込むことで、囲み部6aの内側の内部空間6cを縮小するように囲み部6aを内方へ向けることができ、また、これによって、両取着部631、632(6b)は、ボルト体4aに取着される。そして、保持体7を使用した場合には、囲み部6aを内方へ向けることで、保持体7は、貫通部6d(詳しくは、一方の貫通部601および他方の貫通部602)が縮小する側へ、変形あるいは変位する。
【0030】
保持体7は、例えば合成樹脂製であって、保持体7の外面は、ボルト体4aの軸方向Pと配線・配管材2の延びる方向とに直交する方向に対称(図4図9において、左右方向に対称、つまり左右対称)に形成されている。図示実施の形態においては、保持体7は、円盤状に形成されている。そして、この保持体7に、表裏を貫通するようにして前記貫通孔7a(詳しくは、前記一方の貫通孔701と前記他方の貫通孔702)が形成される。これら一方の貫通孔701と他方の貫通孔702とは、互いに連通するようにあけられており、一方の貫通孔701における、他方の貫通孔702がある側とは反対側に、前記開口7bが設けられている。そして、図示実施の形態においては、一方の貫通孔701が相対的に大径に形成され、他方の貫通孔702が相対的に小径に形成される。また、保持体7には、その外面を形成する部分と貫通孔7aを形成する部分を残して、表裏から窪む肉抜き7cが設けられている。
【0031】
また、この保持体7は、その厚みが、囲み部6aの厚みよりも若干大きく、その厚み方向の両端には、保持体7の外面から起立するようにリブ7dが設けられている。そのため、保持体7は、その全体が、囲み部6a内に収まるのではなく、若干はみ出した部分があり、また、囲み部6aは、そのはみ出したリブ7d、7d間に嵌まるようにして、保持体7の外面を覆う。したがって、前述の「保持体7は、囲み部6aの内側に配置され」とは、保持体7の全体が囲み部6a内に収まることを意味するのではなく、その一部がはみ出している場合も含むものである。
【0032】
また、図示実施の形態においては、他方の貫通孔702には、その他方の貫通孔702の径をより小さくするための補助部材8が挿入可能となっている。この補助部材8は、他方の貫通孔702の周面に沿うように弧状に形成されており、この補助部材8を用いることで、より小径の配線・配管材2(詳しくは、第2の配線・配管材2b)に対応させることができる。ここで、他方の貫通孔702には、例えば蟻溝からなる溝7eが設けられ、補助部材8には、その溝7eと嵌合する突部8aが設けられ、これによって、補助部材8の先端間の開口8bが、一方の貫通孔701に連通するように位置決めされる。そして、保持体7と補助部材8とには、互いに連通する通孔7f、8cが設けられており、これら通孔7f、8cに、ビス等の固着具(図示せず)が挿入されることで、補助部材8は、保持体7に取付け固定される。
【0033】
ところで、図5は、第2の配線・配管材2bのうちの大径の配線・配管材201を、囲み部6aの内側における、取付面1に対して最も近接した位置に配置し、かつ、保持具5を、ボルト体4aに沿った、取付面1に対して最も近接した位置に配置することで、その大径の配線・配管材201を、取付面1に対して最も近接した位置に配置した状態を示し、図6は、大径の配線・配管材201を、囲み部6aの内側における、取付面1に対して最も遠い位置に配置し、かつ、保持具5を、ボルト体4aに沿った、取付面1に対して最も遠い位置に配置することで、その大径の配線・配管材201を、取付面1に対して最も遠い位置に配置した状態を示す。そして、図8は、第2の配線・配管材2bのうちの小径の配線・配管材202を、囲み部6aの内側における、取付面1に対して最も近接した位置に配置し、かつ、保持具5を、ボルト体4aに沿った、取付面1に対して最も近接した位置に配置することで、その小径の配線・配管材202を、取付面1に対して最も近接した位置に配置した状態を示し、図9は、小径の配線・配管材202を、囲み部6aの内側における、取付面1に対して最も遠い位置に配置し、かつ、保持具5を、ボルト体4aに沿った、取付面1に対して最も遠い位置に配置することで、その小径の配線・配管材202を、取付面1に対して最も遠い位置に配置した状態を示す。
【0034】
次に、以上の構成からなる保持具5(配線・配管材保持具)の作用効果について説明する。この保持具5によると、囲み部6aは、取着部6bとともに、ボルト体4aの軸方向Pの所要の位置に配置される。そして、第1の配線・配管材2aにあっては、その第1の配線・配管材2aを、囲み部6aの内側を貫通するように配置することにより(図示実施の形態においては、配置した状態で、囲み部6aの内側の内部空間6cを縮小するように囲み部6aを内方へ向けることで)、第1の配線・配管材2aは、保持体7を使用することなく囲み部6aの内側に保持される。
【0035】
一方、第1の配線・配管材2aよりも小径な第2の配線・配管材2bにあっては、囲み部6aの内側に保持体7を配置し、第2の配線・配管材2bを、囲み部6aの内側に形成される貫通部6d(詳しくは、一方の貫通部601、あるいは他方の貫通部602)を貫通するように配置することにより(図示実施の形態においては、配置した状態で、囲み部6aの内側の内部空間6cを縮小するように囲み部6aを内方へ向けることで)、第2の配線・配管材2bは、保持体7とともに囲み部6aの内側に保持される。ここで、保持体7が、ボルト体4aの軸方向Pに移動可能であってその軸方向Pの所要の位置に配置される囲み部6aの内側に、少なくとも二つの回動姿勢で配置可能で、かつ、その回動の軸心Xに対して、貫通部6dの軸心Yが偏心位置する。これにより、第2の配線・配管材2bは、囲み部6aの内側で、ボルト体4aの軸方向Pに対する位置が異なる少なくとも二箇所のいずれかに選択的に配置される。
【0036】
こうして、この保持具5によれば、保持体7の使用の有無を選択することで、径の異なる第1の配線・配管材2aと第2の配線・配管材2bのうちの任意の配線・配管材を保持することができる。そして、第2の配線・配管材2bにおいては、ボルト体4aの軸方向Pに移動可能であってその軸方向Pの所要の位置に配置される囲み部6aの内側で、その第2の配線・配管材2bを、保持体7を用いて、ボルト体4aの軸方向Pに対する位置が異なる少なくとも二箇所のうちの任意の位置に配置することができ、これにより、ボルト体4aの軸方向Pに対して、囲み部6a、つまり保持具5の移動範囲以上に、第2の配線・配管材2bの軸心(つまり、貫通部6dの軸心Y)の移動範囲を確保することができる。すなわち、保持体7を設けて、配線・配管材2の(詳しくは、第1の配線・配管材2aと第2の配線・配管材2bとの)複数の異なる径に対応することができ、かつ、ボルト体4aの軸方向Pに対して、保持具5の移動範囲以上に、配線・配管材2(詳しくは、第2の配線・配管材2b)の軸心の移動範囲を確保して、配線・配管材2(詳しくは、第2の配線・配管材2b)の位置調整の範囲を広くすることができる。また、こうして、ボルト体4aによる位置調整の範囲を越えて、配線・配管材2bの位置を調整することができるため、例えば、排水管(配線・配管材2b)の排水勾配を確保する等、配線・配管材2bの位置調整が必要な場合に、ボルト体4aの長さが足りない場合であっても、ボルト体4aを長いものと交換することなく、配線・配管材2bの位置調整を行うことができる。
【0037】
また、図示実施の形態においては、貫通部6dとして、少なくとも二種類の径の配線・配管材2、2(詳しくは、第2の配線・配管材2bとしての、大径の配線・配管材201と小径の配線・配管材202)に対応して径が異なる少なくとも二つの貫通部6d、6d(詳しくは、一方および他方の貫通部601、602)が設けられており、それら貫通部601、602のいずれかが選択的に使用される。こうして、保持体7を用いて、径の異なる複数の配線・配管材201(2b)、202(2b)のうちの任意の配線・配管材を保持することができる。そして、ボルト体4aの軸方向Pに移動可能であってその軸方向Pの所要の位置に配置される囲み部6aの内側で、この配線・配管材201、202を、保持体7を用いて、ボルト体4aの軸方向Pに対する位置が異なる少なくとも二箇所のうちの任意の位置に配置することができ、これにより、ボルト体4aの軸方向Pに対して、囲み部6a、つまり保持具5の移動範囲以上に、配線・配管材201、202の軸心(つまり、一方の貫通部601(6d)の軸心Y1(Y)と他方の貫通部602(6d)の軸心Y2(Y))の移動範囲を確保することができる。すなわち、保持体7を設けて、配線・配管材2の(詳しくは、第2の配線・配管材2bの)複数の異なる径に対応することができ、かつ、ボルト体4aの軸方向Pに対して、保持具5の移動範囲以上に、配線・配管材201(2b)、202(2b)の軸心の移動範囲を確保して、配線・配管材201(2b)、202(2b)の位置調整の範囲を広くすることができる。
【0038】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、保持具5の本体6における囲み部6aは、円形に形成されなくとも、図13および図14に示すように、四角形(一般的には角形)を形成するものであってもよい。ここで、図13に示すように、保持体7は、囲み部6aの形状に合わせて四角(一般的には角)形状をしている。そして、一方の貫通孔701(7a)と他方の貫通孔702(7a)とは、連通することなく独立してあけられ、それぞれの貫通孔701、702は、保持体7の外面に開口している。なお、図14は、保持体7を使用することなく、第1の配線・配管材2aを保持した状態を示す。
【0039】
また、図15に示すように、保持体7は、二つに分割された、一方および他方の分割体7g、7gからなってもよい。ここで、貫通孔7a(詳しくは、一方の貫通孔701と他方の貫通孔702)は、それら分割体7g、7gの合わせ面に形成される。この例では、貫通部6dが、保持体7の内面(つまり、貫通孔7a)によって形成され、この貫通孔7aの周面(詳しくは、一方の貫通孔701と他方の貫通孔702)が、第2の配線・配管材2b(詳しくは、大径の配線・配管材201と小径の配線・配管材202)の外面に当接(図示実施の形態においては、外面を圧接)する。
【0040】
また、貫通孔7a(貫通部6d)は、二つ設けられなくとも、図16図29に示すように、一つであってもよい。ここで、図16図18に示す例では、本体6の囲み部6aと保持体7とは、六角形状をし、また、本体6を構成する第1保持材611と第2保持材612とは、互いが対称に形状されている。そして、貫通孔7aは、保持体7の外面に開口し、貫通部6dは、貫通孔7aの周面(保持体7の内面)および囲み部6aの内面によって形成される。ここにおいて、図16および図17は、二つの回動姿勢を示しており、図16では、一方の回動姿勢として、保持体7は、貫通孔7aが下側となる向きで配置され、図17では、もう一方の回動姿勢として、保持体7は、貫通孔7aが上側となる向きで配置される。そして、図16は、第2の配線・配管材2bを、最下端で保持した状態(つまり、取付面1に対して、最も近接した位置に配置した状態)を示し、図17は、第2の配線・配管材2bを、最上端で保持した状態(つまり、取付面1に対して、最も遠い位置に配置した状態)を示す。また、図18は、保持体7を使用することなく、第1の配線・配管材2aを保持した状態を示す。
【0041】
図19に示す例では、本体6の囲み部6aは、六角形状をしているが、本体6を構成する第1保持材611と第2保持材612とは、互いが対称に形成されておらず、取着部6b(詳しくは、第1取着部631と第2取着部632)が下方寄りに形成されている。
【0042】
図20および図21に示す例では、第1囲み部621と第2囲み部622とは、中央で内側に折れ曲がり、保持体7は、扁平な六角形状をしている。ここで、図20は、保持体7を用いて、第2の配線・配管材2bを保持した状態を示し、図21は、保持体7を使用することなく、第1の配線・配管材2aを保持した状態を示す。
【0043】
図22に示す例では、貫通部6dが保持体7の内面によって形成されるよう、保持体7は、貫通部6dとなる貫通孔7aを有している。この例では、貫通孔7aは、閉じた孔となっている。したがって、囲み部6aの内側の内部空間6cを縮小するように囲み部6aを内方へ向けても、貫通孔7aの周面が第2の配線・配管材2bの外面を圧接するとは限らず、このように、外面を圧接することなく単に当接するだけの場合には、第2の配線・配管材2bは、その延びる方向に移動可能な状態で保持される。
【0044】
図23図29に示す例では、第1保持材611は、平板帯状に形成されて、中央側が、配線・配管材2を、ボルト体4aの軸方向Pの一方側Qから囲む、第1囲み部621となり、両端側が、第1取着部631となっている。そして、第2保持材612は、所謂Uボルトからなり、両端が、第1保持材611にあけられた孔6fに挿入されて、その先端からナット6gがねじ込まれる。こうして、第1保持材611においては、孔6f、6f間が、囲み部6aを構成する第1囲み部621となり、第2保持材612においては、孔6f、6fに挿入された両端部分を除く部分が、囲み部6aを構成する第2囲み部622となる。そして、第2保持材612にねじ込まれたナット6gを締め込むことで、囲み部6aの内側の内部空間6cを縮小するように囲み部6aを内方へ向けることができる。また、この例においては、取着部6bは、第1取着部631のみからなり、その取着部6bが、規制ナット4cと押圧ナット4gとに挟み込まれるようにして、ボルト体4aに取着される。
【0045】
そして、保持体7は、長方形盤状に形成されて、その長手の一辺に、弧状に窪むようにして、貫通孔7aが形成されている。そして、この貫通孔7aの周面と、貫通孔7aの開口7bが臨む囲み部6aの内面とで、貫通部6dが形成され、ナット6gを締め込むことで、貫通孔7aの周面(保持体7の内面)および囲み部6aの内面が、第2の配線・配管材2bの外面を圧接することとなる。また、この例においては、保持体7は、貫通孔7aが形成される辺を除く三辺に、第2保持材612(Uボルト)が嵌まる溝7hが形成されている。すなわち、保持体7は、その厚みが、第2保持材612(Uボルト)の軸径よりも大きく、第2保持材612は、保持体7の溝7hに嵌まるようにして配置される。そのため、保持体7を囲み部6aの内側に配置した際、保持体7は、その全体が、囲み部6a内に収まるのではなく、はみ出した部分がある。
【0046】
ここで、図23図26)および図24図27)は、保持体7の二つの回動姿勢を示しており、図23図26)では、一方の回動姿勢として、保持体7は、貫通孔7aの開口7bが、第1保持材611側を向くようにして、第2保持材612(Uボルト)の曲がり部6hに当接する側に配置され、図24図27)では、もう一方の回動姿勢として、保持体7は、貫通孔7aの開口7bが、第2保持材612(Uボルト)の曲がり部6h側を向くようにして、第1保持材611に当接する側に配置される。そして、図23は、第2の配線・配管材2bを、最下端で保持した状態(つまり、取付面1に対して、最も近接した位置に配置した状態)を示し、図24は、第2の配線・配管材2bを、最上端で保持した状態(つまり、取付面1に対して、最も遠い位置に配置した状態)を示す。また、図25は、保持体7を使用することなく、第1の配線・配管材2aを保持した状態を示す。
【0047】
また、保持具5は、貫通孔7a(貫通部6d)として、径が異なる二種類の貫通孔701、702(貫通部601、602)が設けられなくとも、図30図32に示す例のように、同一径の貫通孔7a(貫通部6d)が、少なくとも二つ設けられてもよい。すなわち、第2の配線・配管材2bが、ボルト体4aの軸方向Pに移動可能であってその軸方向Pの所要の位置に配置される囲み部6aの内側において、ボルト体4aの軸方向Pに対する位置が異なる少なくとも二箇所のいずれかに選択的に配置可能となるよう、囲み部6aの内側に、第2の配線・配管材2bが貫通する貫通部6dを、前記軸方向Pに対する位置が異なる二箇所に有してもよい。図示実施の形態においては、それぞれの貫通孔7a、7aは、保持体7の外面に開口し、貫通部6dは、貫通孔7aの周面(保持体7の内面)および貫通孔7aの開口7bが臨む囲み部6aの内面によって形成される。ここにおいて、図30では、下側の貫通孔7a(貫通部6d)が選択されて第2の配線・配管材2bが配置され、図31では、上側の貫通孔7a(貫通部6d)が選択されて第2の配線・配管材2bが配置されている。そして、図30は、第2の配線・配管材2bを、囲み部6a内における、取付面1に対して最も近接した位置に配置し、かつ、保持具5を、ボルト体4aに沿った、取付面1に対して最も近接した位置に配置することで、その第2の配線・配管材2bを、取付面1に対して最も近接した位置に配置した状態を示し、図31は、第2の配線・配管材2bを、囲み部6a内における、取付面1に対して最も遠い位置に配置し、かつ、保持具5を、ボルト体4aに沿った、取付面1に対して最も遠い位置に配置することで、その第2の配線・配管材2bを、取付面1に対して最も遠い位置に配置した状態を示す。また、図32は、保持体7を使用することなく、第1の配線・配管材2aを保持した状態を示す。
【0048】
そして、この保持具5においては、ボルト体4aの軸方向Pに移動可能であってその軸方向Pの所要の位置に配置される囲み部6aの内側に、貫通部6dを、ボルト体4aの軸方向Pに対する位置が異なる少なくとも二箇所に有することで、第2の配線・配管材2bは、囲み部6aの内側で、ボルト体4aの軸方向Pに対する位置が異なる少なくとも二箇所のいずれかに選択的に配置される。
【0049】
そこで、この保持具5によれば、保持体7の使用の有無を選択することで、径の異なる第1の配線・配管材2aと第2の配線・配管材2bのうちの任意の配線・配管材を保持することができる。そして、第2の配線・配管材2bにおいては、ボルト体4aの軸方向Pに移動可能であってその軸方向Pの所要の位置に配置される囲み部6aの内側で、その第2の配線・配管材2bを、保持体7を用いて、ボルト体4aの軸方向Pに対する位置が異なる少なくとも二箇所のうちの任意の位置に配置することができ、これにより、ボルト体4aの軸方向Pに対して、囲み部6a、つまり保持具5の移動範囲以上に、第2の配線・配管材2bの軸心の移動範囲を確保することができる。すなわち、保持体7を設けて、配線・配管材2の(詳しくは、第1の配線・配管材2aと第2の配線・配管材2bとの)複数の異なる径に対応することができ、かつ、ボルト体4aの軸方向Pに対して、保持具5の移動範囲以上に、配線・配管材2(詳しくは、第2の配線・配管材2b)の軸心の移動範囲を確保して、配線・配管材2(詳しくは、第2の配線・配管材2b)の位置調整の範囲を広くすることができる。
【0050】
また、囲み部6aは、保持体7や第1の配線・配管材2aが、径方向において抜け出ることがなければ、それらの全周を囲むものでなくとも、部分的に囲むものであっても構わない。前述した図1図22、および図30図32に示す例においては、本体6を構成する第1保持材611と第2保持材612との間が離れて、囲み部6aが、保持体7や第1の配線・配管材2aを部分的に囲んでいる。また、図33に示すように、例えば第2保持材612が、第2囲み部622の途中に開口6iを形成するように分割された分割体6j、6jによって構成されることで、囲み部6aが保持体7や第1の配線・配管材2aを部分的に囲んでもよい。また、図34に示すように、本体6が一部材から構成されて、その囲み部6aが、開口6iを有するように円弧状に形成されることで、囲み部6aが保持体7や第1の配線・配管材2aを部分的に囲んでもよい。そして、これら図33および図34に示す例では、保持体7における貫通孔7aの開口7bは、第2の配線・配管材2bの外径よりも小さくて幅狭となるよう形成されており、この貫通孔7aの開口7bが、囲み部6bの開口6iと重なって並ぶ場合であっても、第2の配線・配管材2bが外に抜け出ることはない。
【0051】
また、囲み部6aの内面は、第1の配線・配管材2aの径方向の移動を制限するように第1の配線・配管材2aの外面に当接していれば、第1の配線・配管材2aの軸方向の移動を許容しても構わないが、囲み部6aの内面が第1の配線・配管材2aの外面を圧接することで第1の配線・配管材2aの軸方向の移動を抑制するのが望ましい。また、第2の配線・配管材2bにおいても、貫通部6dを形成する内面は、第2の配線・配管材2bの径方向の移動を制限するように第2の配線・配管材2bの外面に当接していれば、第2の配線・配管材2bの軸方向の移動を許容しても構わないが、貫通部6dを形成する内面が第2の配線・配管材2bの外面を圧接することで第2の配線・配管材2bの軸方向の移動を抑制するのが望ましい。
【0052】
また、囲み部6aの内側において、保持体7が、規制手段(囲み部6aと保持体7の間の摩擦力や、角形状による嵌め合わせによる係合や、凹部と凸部との係合等)により、その囲み部6aの周方向に回動するのが規制されてもよい。また、この規制手段は、第1取着部631(6b)と第2取着部632(6b)との対向する面のいずれかあるいは両方の面に当接するように、保持体7に凸部を突出形成することで、これら第1取着部631と第2取着部632のいずれかあるいは両方の面と保持体7に突出形成した凸部との係合によるものであってもよい。また、この規制手段のうち、摩擦力を除いた係合手段、すなわち囲み部6aとか取着部6b(つまり、本体6)と保持体7との間の、係合部と被係合部との係合により、保持体7が、囲み部6aの周方向に回動するのが規制されてもよい。
【0053】
また、図1図12、および図33に示す例においては、保持体7の、囲み部6aからはみ出したリブ7d、7dが、囲み部6aの両側に配置されて、保持体7は、囲み部6aによる圧接の有無に拘らず、その軸方向(つまり、配線・配管材2の軸方向)にずれるのが抑制されるが、他の例においても、同様のリブを設けるのが望ましい。
【0054】
また、保持体7は、囲み部6aの内側に、二つの回動姿勢(つまり、取付面1に対して、第2の配線・配管材2bを最も近い位置と遠い位置とに配置するような、回動姿勢)で配置されるが、他に、それら二つの回動姿勢の中間の回動姿勢(つまり、取付面1に対して、第2の配線・配管材2bを最も近い位置と遠い位置との中間に配置するような、回動姿勢)で配置されてもよい。もっとも、図30図32とか図33とか図34に示す例においては、同一径の貫通孔7a(貫通部6d)が設けられているため、保持体7は、一つの回動姿勢で配置されるもので構わない。
【0055】
また、保持体7は、硬質材料で構成してもよいが、発泡ゴム等の軟質材料で構成することで、防振効果を得ることができる。また、保持体7を絶縁材料で構成することで、絶縁効果を得ることができる。さらには、保持体7を、囲み部6aや、配線・配管材2としての排水管等の配管材よりも熱伝導率の低い材料で構成することで、結露の発生を抑制することができる。
【0056】
また、保持具5は、二本のボルト体4a、4aに架設されるものでなくとも、本体6の一方側にのみ取着部6bを設けたり、本体6の中央に取着部6bを設けるとともに両側に囲み部6aを設けたりすることで、一本のボルト体4aに支持されるようにしてもよい。
【0057】
また、囲み部6a内に、貫通部6d(貫通孔7a)は、一つまたは二つ設けられているが、異なる径あるいは同一径の貫通部6d(貫通孔7a)が三つ以上設けられてもよい。
【0058】
また、保持体7の外面や保持体7全体は、ボルト体4aの軸方向Pと配線・配管材2の延びる方向とに直交する方向に対称(図示実施の形態においては、左右対称)に形成されなくとも、非対称に形成されてもよい。
【0059】
また、囲み部6aは、鋼板等の帯板のみからならなくとも、その帯板の内側に、他部材を有していてもよい。同様にして、保持体7は、その外側とか内側に、他部材を有していてもよい。
【0060】
また、ボルト体4aが固定される取付面1は、基礎床面でなくとも、例えば、壁面とか天井面等であってもよい。また、ボルト体4aは、ベース板4bを介して取付面1に固定されなくとも、取付面1に一端が埋設されることで、固定されてもよい。
【0061】
また、以上に示す複数の実施の形態における各構成要素を、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わせてもよいのは勿論である。
【符号の説明】
【0062】
1 取付面
2 配線・配管材
2a 第1の配線・配管材
2b 第2の配線・配管材
4a ボルト体
5 保持具(配線・配管材保持具)
6 本体
6a 囲み部
6b 取着部
6c 内部空間
6d 貫通部
7 保持体
7a 貫通孔
7b 開口
P 軸方向
X 回動の軸心
Y 貫通部の軸心
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