(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記従来の配設具23にあっては、配管22に勾配をつける必要があったり、周囲の障害物を避ける必要があったりして、配管22の配設位置を変更しなければならない場合に、その変更位置に応じた支持バンド25を用意して用いる必要があった。
【0005】
この発明は、上記した従来の欠点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、配線・配管材の配設位置を容易に変更することができる、配線・配管材配設具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る配線・配管材配設具は、前記目的を達成するために、次の構成からなる。すなわち、
請求項1に記載の発明に係る配線・配管材配設具は、配線・配管材を配設すべく、建物の壁その他の構造物に取り付けられて前記配線・配管材を保持する、配設具である。この配線・配管材配設具は、囲み部と、その囲み部を前記構造物に固定するための固定手段と、保持体とを、備える。ここで、前記囲み部は、前記保持体を周方向に囲むように形成される。前記保持体は、前記囲み部の内側に配置されて、外面が、前記囲み部の内面、または、その囲み部の内面および前記構造物の表面に当接する。そして、前記囲み部の内側に、前記保持体の内面、または、その保持体の内面に加えて前記囲み部の内面または/および前記構造物の表面によって形成されて、前記配線・配管材が貫通する、貫通部を有する。そこで、前記保持体を前記囲み部の内側に配置し、前記配線・配管材を前記貫通部を貫通するように配置することにより、前記囲み部の内面、または、その囲み部の内面および前記構造物の表面が、前記保持体の外面に当接し、かつ、前記貫通部を形成する内面が、前記配線・配管材の外面に当接して、前記配線・配管材が、前記保持体とともに前記囲み部の内側に保持される。ここにおいて、前記配線・配管材が、前記囲み部の内側において、互いの位置が異なる少なくとも第1位置と第2位置とのいずれかに選択的に配置可能となるよう、前記保持体が、前記囲み部の内側に、少なくとも二つの回動姿勢で配置可能で、かつ、その回動の軸心に対して、前記貫通部の軸心が偏心位置している。
さらに、前記貫通部として、少なくとも二種類の径の配線・配管材に対応して径が異なる少なくとも二つの貫通部が設けられている。
【0007】
この配線・配管材配設具によると、囲み部は、固定手段により構造物に固定される。そして、囲み部の内側に保持体を配置し、配線・配管材を、囲み部の内側に形成される貫通部を貫通するように配置することにより、配線・配管材は、保持体とともに囲み部の内側に保持される。ここで、保持体が、囲み部の内側に、少なくとも二つの回動姿勢で配置可能で、かつ、その回動の軸心に対して、貫通部の軸心が偏心位置することで、配線・配管材は、囲み部の内側で、互いの位置が異なる少なくとも第1位置と第2位置とのいずれかに選択的に配置される。こうして、この配線・配管材配設具によれば、保持体を用いて、配線・配管材を、互いの位置が異なる少なくとも第1位置と第2位置のうちの任意の位置に配置することができる。
さらに、貫通部として、少なくとも二種類の径の配線・配管材に対応して径が異なる少なくとも二つの貫通部が設けられている。このため、保持体を用いて、径の異なる複数の配線・配管材のうちの任意の配線・配管材を保持することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明に係る配線・配管材配設具は、
請求項1に記載の配線・配管材配設具において、前記貫通部として二つの貫通部のうちの一方の貫通部は、その一方の貫通部が、前記保持体の内面および前記囲み部の内面によって形成されるよう、前記保持体は、その外面に開口する、貫通孔としての一方の貫通孔を有して、その一方の貫通孔の周面と、その一方の貫通孔の開口が臨む前記囲み部の内面とで、前記一方の貫通部が形成される。前記二つの貫通部のうちの他方の貫通部は、その他方の貫通部が、前記保持体の内面によって形成されるよう、前記保持体は、その他方の貫通部となる、貫通孔としての他方の貫通孔を有する。そして、前記一方の貫通孔と前記他方の貫通孔とは、互いに連通するようにあけられ、かつ、前記一方の貫通孔が相対的に大径に形成され、前記他方の貫通孔が相対的に小径に形成される。
【0009】
また、請求項3に記載の発明に係る配線・配管材配設具は、請求項2に記載の配線・配管材配設具において、前記二つの貫通部は、それら貫通部のいずれかが選択的に使用される。
【0010】
また、請求項
4に記載の発明に係る配線・配管材配設具は、請求項
1ないし3のいずれか1項に記載の配線・配管材配設具において、前記第1位置は、前記囲み部の内側における、前記固定手段により固定された前記構造物に対して最も近接した位置であり、前記第2位置は、前記囲み部の内側における、前記構造物に対して最も遠い位置である。
【0011】
また、請求項
5に記載の発明に係る配線・配管材配設具は、請求項1ないし
4のいずれか1項に記載の配線・配管材配設具において、前記囲み部と前記保持体とには、その保持体が前記囲み部の内側でその囲み部の周方向に回動するのを規制する、規制手段が設けられている。ここで、規制手段としては、角形状による嵌め合わせであったり、凹部と凸部との係合であったり、摩擦力であったりする。
【0012】
また、請求項
6に記載の発明に係る配線・配管材配設具は、請求項1ないし
5のいずれか1項に記載の配線・配管材配設具において、前記囲み部の内面形状は、前記保持体の外面形状の少なくとも一部分に沿った形状となっている。
【0013】
また、請求項
7に記載の発明に係る配線・配管材配設具は、請求項
6に記載の配線・配管材配設具において、前記保持体は、円盤状に形成されて、前記囲み部の内面は、前記保持体の外面に沿うよう略円形形状に形成されている。
【0014】
また、請求項
8に記載の発明に係る配線・配管材配設具は、請求項
1に記載の配線・配管材配設具において、前記貫通部
のうちのいずれかの貫通部が、前記保持体の内面によって形成されるよう、前記保持体は、
そのいずれかの貫通部となる貫通孔を有する。そして、前記保持体を前記囲み部の内側に配置し、前記配線・配管材を前記
いずれかの貫通部を貫通するように配置した状態で、前記囲み部の内側の内部空間を縮小するように前記囲み部を内方へ向けることで、その囲み部の内面が前記保持体の外面を圧接し、かつ、前記貫通孔の周面が、前記配線・配管材の外面を圧接する。
【0015】
また、請求項
9に記載の発明に係る配線・配管材配設具は、請求項
1に記載の配線・配管材配設具において、前記貫通部
のうちのいずれかの貫通部が、前記保持体の内面および前記囲み部の内面によって形成されるよう、前記保持体は、その外面に開口する貫通孔を有して、その貫通孔の周面と、その貫通孔の開口が臨む前記囲み部の内面とで、前記
いずれかの貫通部が形成される。そして、前記保持体を前記囲み部の内側に配置し、前記配線・配管材を前記
いずれかの貫通部を貫通するように配置した状態で、前記囲み部の内側の内部空間を縮小するように前記囲み部を内方へ向けることで、その囲み部の内面が前記保持体の外面を圧接し、かつ、前記貫通孔の周面および前記囲み部の内面が、前記配線・配管材の外面を圧接する。
また、請求項10に記載の発明に係る配線・配管材配設具は、請求項2または3に記載の配線・配管材配設具において、前記囲み部の内側の内部空間を縮小するように前記囲み部を内方へ向けることで、前記保持体は、前記貫通部が縮小する側へ、変形あるいは変位する。そこで、前記一方の貫通部を貫通する配線・配管材に対しては、前記一方の貫通孔の周面および前記囲み部の内面が、その配線・配管材の外面を圧接し、また、前記他方の貫通部を貫通する配線・配管材に対しては、前記他方の貫通孔の周面が、その配線・配管材の外面を圧接する。
【発明の効果】
【0016】
この発明に係る配線・配管材配設具によれば、保持体を用いて、配線・配管材を、互いの位置が異なる少なくとも第1位置と第2位置のうちの任意の位置に配置することができ、これによって、配線・配管材の配設位置を容易に変更することができる。
さらに、径が異なる少なくとも二つの貫通部が設けられることで、保持体を用いて、径の異なる複数の配線・配管材のうちの任意の配線・配管材を保持することができ、かつ、その配線・配管材を、第1の位置と第2の位置のうちの任意の位置に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】この発明の第一の実施の形態の、保持体を除く配設具(配線・配管材配設具)を示す斜視図である。
【
図2】同じく、配線・配管材を最上端で保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【
図3】同じく、配線・配管材を最下端で保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【
図5】この発明の第二の実施の形態の、配線・配管材を最上端で保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【
図6】同じく、配線・配管材を最下端で保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【
図8】この発明の第三の実施の形態の、保持体を除く配設具(配線・配管材配設具)を示す斜視図である。
【
図10】同じく、大径の配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【
図11】同じく、大径の配線・配管材を最下端で保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【
図12】同じく、大径の配線・配管材を最上端で保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【
図13】同じく、小径の配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【
図14】同じく、小径の配線・配管材を最下端で保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【
図15】同じく、小径の配線・配管材を最上端で保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【
図17】同じく、保持体の他方の貫通孔に補助部材を挿入した状態を示す正面図である。
【
図19】この発明の第三の実施の形態の第1変形例の、配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【
図20】この発明の第三の実施の形態の第2変形例の、配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【
図21】この発明の第三の実施の形態の第3変形例の、配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【
図22】この発明の第三の実施の形態の第4変形例の、配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【
図23】この発明の第三の実施の形態の第5変形例の、配線・配管材を最下端で保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【
図24】同じく、配線・配管材を最上端で保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【
図25】同じく、保持体が一方の回動姿勢にある保持具を示す斜視図である。
【
図26】同じく、保持体がもう一方の回動姿勢にある保持具を示す斜視図である。
【
図29】この発明の他の実施の形態の、配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【
図30】この発明のさらに他の実施の形態の、配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【
図31】この発明のさらに他の実施の形態の、大径の配線・配管材を最下端で保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【
図32】同じく、大径の配線・配管材を最上端で保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【
図33】この発明のさらに他の実施の形態の、配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【
図34】この発明のさらに他の実施の形態の、配線・配管材を保持した、配線・配管材の配設構造を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明に係る配線・配管材配設具を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1〜
図4は、本発明の第一の実施の形態を示す。図中符号1は、建物の壁、床、天井、あるいは壁とか天井に沿って設けられた形鋼その他の構造物を示す。2は、配線・配管材(配線材または配管材)を示す。3は、配設具(配線・配管材配設具)を示し、この配設具3は、配線・配管材2を配設すべく、前記構造物1に取り付けられて前記配線・配管材2を保持するものである。
【0020】
この配設具3は、囲み部6aと、その囲み部6aを前記構造物1に固定するための固定手段4と、保持体7とを、備える。ここで、囲み部6aは、保持体7を周方向に囲むように形成される。保持体7は、囲み部6aの内側に配置されて、外面が、囲み部6aの内面、または、その囲み部6aの内面および前記構造物1の表面(図示実施の形態においては、囲み部6aの内面)に当接する。そして、囲み部6aの内側に、保持体7の内面、または、その保持体7の内面に加えて囲み部6aの内面または/および構造物1の表面(図示実施の形態においては、保持体7の内面、または、保持体7の内面および囲み部6aの内面)によって形成されて、配線・配管材2が貫通する、貫通部6dを有する。そこで、保持体7を囲み部6aの内側に配置し、配線・配管材2を前記貫通部6dを貫通するように配置することにより(図示実施の形態においては、貫通するように配置した状態で、囲み部6aの内側の内部空間6cを縮小するように囲み部6aを内方へ向けることで)、囲み部6aの内面、または、その囲み部6aの内面および構造物1の表面(図示実施の形態においては、囲み部6aの内面)が、保持体7の外面に当接(図示実施の形態においては、外面を圧接)し、かつ、貫通部6dを形成する内面が、配線・配管材2の外面に当接(図示実施の形態においては、外面を圧接)して、配線・配管材2が、保持体7とともに囲み部6aの内側に保持される。
【0021】
ここにおいて、配線・配管材2が、前記囲み部6aの内側において、互いの位置が異なる少なくとも第1位置と第2位置とのいずれかに選択的に配置可能となるよう、保持体7が、囲み部6aの内側に、少なくとも二つの回動姿勢で配置可能で、かつ、その回動の軸心Xに対して、前記貫通部6dの軸心Yが偏心位置している。詳細には、第1位置は、囲み部6aの内側における、前記固定手段4により固定された構造物1に対して最も近接した位置であり、第2位置は、囲み部6aの内側における、前記構造物1に対して最も遠い位置である。図示実施の形態においては、一方の回動姿勢として、保持体7が、後述する貫通孔7aが上側となる向きで配置されたときの、配線・配管材2の位置が、第1位置である(
図2参照)。そして、もう一方の回動姿勢として、保持体7が、後述する貫通孔7aが下側となる向きで配置されたときの、配線・配管材2の位置が、第2位置である(
図3参照)。
【0022】
また、貫通部6dにあっては、その貫通部6dが、保持体7の内面および囲み部6aの内面によって形成されるよう、保持体7は、その外面に開口する貫通孔7aを有して、その貫通孔7aの周面(つまり、保持体7の内面)と、その貫通孔7aの開口7bが臨む囲み部6aの内面とで、前記貫通部6dが形成され、これら貫通孔7aの周面および囲み部6aの内面が、配線・配管材2の外面に当接(図示実施の形態においては、外面を圧接)する。
【0023】
具体的には、配設具3は、保持具5と、保持具5を前記構造物1に取付固定するための固定具401とを、備える。ここで、保持具5は、前記囲み部6aを有する保持具本体6と、前記保持体7とを備える。そして、保持具本体6は、前記囲み部6aの他に、その囲み部6aを固定具401に取り付けるための取着部6bを備えている。そこで、前記固定手段4は、固定具401と取着部6bとからなる。
【0024】
保持具本体6は、例えば鋼板等からなる帯板状の、第1保持材611と第2保持材612とを備える。第1保持材611は、保持体7を一方側から囲む、前記囲み部6aを構成する第1囲み部621と、その第1囲み部621の一方端から延設された繋ぎ部6sと、他方端から延設された、前記取着部6bを構成する第1取着部631とを有する。そして、第2保持材612は、保持体7を他方側から囲む、前記囲み部6aを構成する第2囲み部622と、その第2囲み部622の一方端から延設された繋ぎ部6sと、他方端から延設された、前記取着部6bを構成する第2取着部632とを有する。
【0025】
そこで、保持具本体6における囲み部6aの内面形状は、保持体7の外面形状の少なくとも一部分に沿った形状となっている。詳細には、保持体7は、円盤状に形成されて、囲み部6aの内面は、保持体7の外面に沿うよう略円形形状に形成されている。図示実施の形態においては、囲み部6aは、帯板状であって円形に形成され、第1囲み部621と第2囲み部622とは、その円形の一部となるように弧状に形成される。
【0026】
両繋ぎ部6s、6sは、互いに対向位置して、それら繋ぎ部6s、6sを貫通するボルト6tと、そのボルト6tに螺合するナット6uとで、両保持材611、612は、互いに連結され、また、これらボルト6tとナット6uとの一方を締め込むことで、囲み部6aの内側の内部空間6cを縮小するように囲み部6aを内方へ向けることができる。そして、このように囲み部6aを内方へ向けることで、囲み部6aの内側に配置された保持体7は、貫通部6dが縮小する側へ、変形あるいは変位する。
【0027】
また、第1取着部631と第2取着部632とは、互いに平行位置するように延び、さらに、互いに離れる側に折れ曲がって延びている。そして、その折れ曲がって延びる係合部6v、6vが、固定具401の後述する取付孔4zに挿入されてその取付孔4zの周縁に係合する。これによって、囲み部6aを含めて保持具本体6(つまりは、保持具5)は、固定具401に取り付けられる。詳細には、保持具本体6(つまりは、保持具5)は、固定具401の下方に位置して、その固定具401に、吊り下げられるように取り付けられる。
【0028】
保持体7は、例えば合成樹脂製であって、前述したように円盤状に形成されている。そして、この保持体7に、表裏を貫通するようにして前記貫通孔7aが形成され、この貫通孔7aには、前述した開口7bが設けられる。そして、前記囲み部6aとこの保持体7とには、保持体7が囲み部6aの内側でその囲み部6aの周方向に回動するのを規制する、規制手段が設けられている。図示実施の形態においては、囲み部6aの内面と保持体7の外面とは、円形に形成されていることから、前記規制手段は、囲み部6aと保持体7との間の摩擦力からなる。
【0029】
また、固定具401は、固定具本体4sと、固定ねじ4tとを備える。固定具本体4sは、平行位置する下片4uおよび上片4vと、それら下片4uと上片4vとを一方端で連結する中間片4wとで、略コ字状に形成されている。そして、固定具本体4sには、その下片4u、中間片4w、上片4vに渡るように、その幅の両端部から内側に湾曲するようにしてリブ4xが設けられ、そのリブ4xには、下片4u部分の一部において、ギザギザ状に突出する突起4yが設けられている。ここにおいて、下片4uおよび中間片4wには、取付孔4zがあけられ、下片4uにおける取付孔4zに、前述したように保持具5が取り付けられる。そして、上片4vには、前記固定ねじ4tが螺合するねじ孔4rがあけられている。そこで、下片4uと上片4vとの間に、形鋼等の構造物1が進入するよう固定具401を配置し、固定ねじ4tを締め込むことで、この固定具401は、構造物1に固定され、これによって、配設具3は、構造物1に取り付けられる。
【0030】
ところで、
図2は、配線・配管材2を、最上端で保持した状態(つまり、囲み部6aの内側における、構造物1に対して最も近接した位置に配置した状態)を示し、
図3は、その配線・配管材2を、最下端で保持した状態(つまり、囲み部6aの内側における、構造物1に対して最も遠い位置に配置した状態)を示す。
【0031】
次に、以上の構成からなる配設具3(配線・配管材配設具)の作用効果について説明する。この配設具3によると、囲み部6aは、固定具401を備える固定手段4により構造物1に固定される。そして、囲み部6aの内側に保持体7を配置し、配線・配管材2を、囲み部6aの内側に形成される貫通部6dを貫通するように配置することにより(図示実施の形態においては、貫通するように配置した状態で、囲み部6aの内側の内部空間6cを縮小するように囲み部6aを内方へ向けることで)、配線・配管材2は、保持体7とともに囲み部6aの内側に保持される。ここで、保持体7が、囲み部6aの内側に、少なくとも二つの回動姿勢で配置可能で、かつ、その回動の軸心Xに対して、貫通部6dの軸心Yが偏心位置することで、配線・配管材2は、囲み部6aの内側で、互いの位置が異なる少なくとも第1位置(図示実施の形態においては、構造物1に対して最も近接した位置)と第2位置(図示実施の形態においては、構造物1に対して最も遠い位置)とのいずれかに選択的に配置される。こうして、この配設具3によれば、保持体7を用いて、配線・配管材2を、互いの位置が異なる少なくとも第1位置と第2位置のうちの任意の位置に配置することができ、これによって、配線・配管材2の配設位置を容易に変更することができる。また、こうして、配線・配管材2を、第1位置と第2位置のうちの任意の位置に配置することで、配線・配管材2の位置を調整することができ、これによって、例えば、排水管(配線・配管材2)の排水勾配を確保するとか、配線・配管材2が障害物や段差を乗り越える等、配線・配管材2の位置調整が必要な場合に、容易に対応することができる。
【0032】
図5〜
図7は、本発明の第二の実施の形態を示す。この実施の形態は、第一の実施の形態と比べて、同一径の貫通部6dが、複数設けられるため、保持体7が、囲み部6aの内側で複数の回動姿勢で配置可能となる必要がない点で異なるが、他は、ほぼ同様であり、以下に、同様の部位には、同一の符号を付して、異なる部分を主に説明する。
【0033】
保持具5は、貫通部6dとして、同一径の貫通部が、少なくとも二つ設けられている。すなわち、配線・配管材2が、囲み部6aの内側において、互いの位置が異なる少なくとも第1位置と第2位置とのいずれかに選択的に配置可能となるよう、囲み部6aの内側に、配線・配管材2が貫通する貫通部6dを、少なくとも二箇所に有している。図示実施の形態においては、それぞれの貫通孔7a、7aは、保持体7の外面に開口し、貫通部6dは、貫通孔7aの周面(保持体7の内面)および貫通孔7aの開口7bが臨む囲み部6aの内面によって形成される。ここにおいて、
図5に示すように、上側の貫通孔7a(貫通部6d)が選択されて配線・配管材2が配置されると、配線・配管材2は、囲み部6aの内側における、構造物1に対して最も近接した位置となる第1位置に配置されることとなる。そして、
図6に示すように、下側の貫通孔7a(貫通部6d)が選択されて配線・配管材2が配置されると、配線・配管材2は、囲み部6aの内側における、構造物1に対して最も遠い位置となる第2位置に配置されることとなる。
【0034】
そして、この配設具3においては、囲み部6aの内側に、貫通部6dを、少なくとも二箇所に有することで、配線・配管材2は、囲み部6aの内側で、互いの位置が異なる少なくとも第1位置と第2位置とのいずれかに選択的に配置される。こうして、この配設具3によれば、保持体7を用いて、配線・配管材2を、互いの位置が異なる少なくとも第1位置と第2位置のうちの任意の位置に配置することができ、これによって、配線・配管材2の配設位置を容易に変更することができる。また、こうして、配線・配管材2を、第1位置と第2位置のうちの任意の位置に配置することで、配線・配管材2の位置を調整することができ、これによって、例えば、排水管(配線・配管材2)の排水勾配を確保するとか、配線・配管材2が障害物や段差を乗り越える等、配線・配管材2の位置調整が必要な場合に、容易に対応することができる。
【0035】
図8〜
図18は、本発明の第三の実施の形態を示す。この実施の形態は、第一の実施の形態と比べて、固定手段4を構成する固定具401の構造、並びに保持具本体6における第1および第2保持材611、612の形状が異なり、また、囲み部6a内に、少なくとも二種類の径の配線・配管材2に対応して径が異なる少なくとも二つの貫通部6dが設けられるが、他は、ほぼ同様であり、以下に、同様の部位には、同一の符号を付して、異なる部分を主に説明する。
【0036】
固定具401は、構造物1に接着とかビスとか釘等の固着手段により固定されるベース板4bと、そのベース板4bに起立姿勢で固定されるボルト体4aと、そのボルト体4aに螺合する規制ナット4cおよび押圧ナット4gとを備える。
【0037】
保持具本体6においては、第1保持材611と第2保持材612とは、例えば鋼板等からなり、帯板状に形成されている。第1保持材611は、保持体7を、ボルト体4aの軸方向Pの一方側Q(詳しくは、下方側)から囲む、囲み部6aを構成する第1囲み部621と、その第1囲み部621から(図示実施の形態においては、第1囲み部621の両端から)延設された、取着部6bを構成する第1取着部631とを有し、その第1取着部631には、ボルト体4aが貫通する通孔6eが設けられる。そして、第2保持材612は、保持体7を、ボルト体4aの軸方向Pの他方側R(詳しくは、上方側)から囲む、囲み部6aを構成する第2囲み部622と、その第2囲み部622から(図示実施の形態においては、第2囲み部622の両端から)延設された、取着部6bを構成する第2取着部632とを有し、その第2取着部632には、ボルト体4aが貫通する通孔6eが設けられる。すなわち、図示実施の形態においては、ボルト体4aは、平行位置するように二本立設され、保持具5は、それらボルト体4a、4aに架設される。そして、ボルト体4a、4a間に、第1囲み部621と第2囲み部622とで構成される囲み部6aが位置する。そして、囲み部6aが円形を形成するように、第1囲み部621と第2囲み部622とは、弧状に形成されている。
【0038】
ここにおいて、第1保持材611は、その第1取着部631が、ボルト体4aに螺合する規制ナット4cによって、ボルト体4aの軸方向Pの一方側Qから受け止められる。この規制ナット4cは、第1取着部631を前記一方側Qから受け止める、受け部4dを有する。詳細には、規制ナット4cは、受け部4dから、ボルト体4aに沿って第1保持材611の通孔6eを貫通するように前記一方側Qから他方側Rに延出する延出部4eを有し、その延出部4eの先端部分に、第1取着部631よりも前記他方側Rからこの規制ナット4cを回動操作可能な操作部4fが設けられる。一方、第2保持材612は、その第2取着部632が、ボルト体4aに螺合する押圧ナット4gによって、ボルト体4aの軸方向Pの他方側Rから押圧される。そこで、これらナット4c、4gを同一方向に回動することで、第1および第2取着部631、632は、ボルト体4aの軸方向Pに移動する。また、ナット4c、4gを、両取着部631、632が近づく側に締め込むことで、囲み部6aの内側の内部空間6cを縮小するように囲み部6aを内方へ向けることができ、また、これによって、両取着部631、632(6b)は、ボルト体4aに取着される。そして、囲み部6aを内方へ向けることで、保持体7は、貫通部6dが縮小する側へ、変形あるいは変位する。
【0039】
貫通部6dにあっては、二つの貫通部6d、6dのうちの一方の貫通部601(6d)は、その一方の貫通部601が、保持体7の内面および囲み部6aの内面によって形成されるよう、保持体7は、その外面に開口する、貫通孔7aとしての一方の貫通孔701を有して、その一方の貫通孔701の周面(つまり、保持体7の内面)と、その一方の貫通孔701の開口7bが臨む囲み部6aの内面とで、前記一方の貫通部601が形成され、これら一方の貫通孔701の周面および囲み部6aの内面が、配線・配管材2の外面に当接(図示実施の形態においては、外面を圧接)する。
【0040】
そして、二つの貫通部6d、6dのうちの他方の貫通部602(6d)は、その他方の貫通部602が、保持体7の内面によって形成されるよう、保持体7は、その他方の貫通部602となる、貫通孔7aとしての他方の貫通孔702を有して、その他方の貫通孔702の周面が、配線・配管材2の外面に当接(図示実施の形態においては、外面を圧接)する。
【0041】
詳細には、保持体7は、例えば合成樹脂製であって、円盤状に形成されている。そして、この保持体7に、表裏を貫通するようにして異なる径の貫通孔7a、7a(つまり、一方の貫通孔701と他方の貫通孔702)が形成される。これら一方の貫通孔701と他方の貫通孔702とは、互いに連通するようにあけられており、一方の貫通孔701における、他方の貫通孔702がある側とは反対側に、保持体7の外面に開口する開口7bが設けられている。そして、図示実施の形態においては、一方の貫通孔701が相対的に大径に形成され、他方の貫通孔702が相対的に小径に形成される。また、保持体7には、その外面を形成する部分と貫通孔7aを形成する部分を残して、表裏から窪む肉抜き7cが設けられている。
【0042】
また、この保持体7は、その厚みが、囲み部6aの厚みよりも若干大きく、その厚み方向の両端には、保持体7の外面から起立するようにリブ7dが設けられている。そのため、保持体7は、その全体が、囲み部6a内に収まるのではなく、若干はみ出した部分があり、また、囲み部6aは、そのはみ出したリブ7d、7d間に嵌まるようにして、保持体7の外面を覆う。したがって、前述の、保持体7に関し「囲み部6aの内側に配置され」とは、保持体7の全体が囲み部6a内に収まることを意味するのではなく、その一部がはみ出している場合も含むものである。
【0043】
また、図示実施の形態においては、他方の貫通孔702には、その他方の貫通孔702の径をより小さくするための補助部材8が挿入可能となっている。この補助部材8は、他方の貫通孔702の周面に沿うように弧状に形成されており、この補助部材8を用いることで、より小径の配線・配管材2に対応させることができる。ここで、他方の貫通孔702には、例えば蟻溝からなる溝7eが設けられ、補助部材8には、その溝7eと嵌合する突部8aが設けられ、これによって、補助部材8の先端間の開口8bが、一方の貫通孔701に連通するように位置決めされる。そして、保持体7と補助部材8とには、互いに連通する通孔7f、8cが設けられており、これら通孔7f、8cに、ビス等の固着具(図示せず)が挿入されることで、補助部材8は、保持体7に取付け固定される。
【0044】
ところで、
図11は、配線・配管材2のうちの大径の配線・配管材201を、囲み部6aの内側における、構造物1に対して最も近接した位置となる第1位置に配置し、かつ、保持具5を、ボルト体4aに沿った、構造物1に対して最も近接した位置に配置することで、その大径の配線・配管材201を、構造物1に対して最も近接した位置に配置した状態を示し、
図12は、大径の配線・配管材201を、囲み部6aの内側における、構造物1に対して最も遠い位置となる第2位置に配置し、かつ、保持具5を、ボルト体4aに沿った、構造物1に対して最も遠い位置に配置することで、その大径の配線・配管材201を、構造物1に対して最も遠い位置に配置した状態を示す。そして、
図14は、配線・配管材2のうちの小径の配線・配管材202を、囲み部6aの内側における、構造物1に対して最も近接した位置となる第1位置に配置し、かつ、保持具5を、ボルト体4aに沿った、構造物1に対して最も近接した位置に配置することで、その小径の配線・配管材202を、構造物1に対して最も近接した位置に配置した状態を示し、
図15は、小径の配線・配管材202を、囲み部6aの内側における、構造物1に対して最も遠い位置となる第2位置に配置し、かつ、保持具5を、ボルト体4aに沿った、構造物1に対して最も遠い位置に配置することで、その小径の配線・配管材202を、構造物1に対して最も遠い位置に配置した状態を示す。
【0045】
この配設具3においては、囲み部6aは、取着部6bとともに、ボルト体4aの軸方向P(つまり、構造物1に対して、近接したり遠ざかったりする方向)の所要の位置に配置される。そして、配線・配管材2は、保持体7を用いて、ボルト体4aの軸方向Pに対する位置が異なる少なくとも二箇所(第1位置と第2位置)のうちの任意の位置に配置することができ、こうして、保持体7を用いることで、配線・配管材2の配設位置を容易に変更することができる。しかも、ボルト体4aと保持体7とを用いることで、ボルト体4aの軸方向Pに対して、囲み部6a、つまり保持具5の移動範囲以上に、配線・配管材2の軸心(つまり、貫通部6dの軸心Y)の移動範囲を確保して、配線・配管材2の位置調整の範囲を広くすることができる。また、こうして、ボルト体4aによる位置調整の範囲を越えて、配線・配管材2の位置を調整することができるため、例えば、排水管(配線・配管材2)の排水勾配を確保するとか、配線・配管材2が障害物や段差を乗り越える等、配線・配管材2の位置調整が必要な場合に、広い範囲で、かつ容易に対応することができる。
【0046】
また、図示実施の形態においては、貫通部6dとして、少なくとも二種類の径の配線・配管材2、2(詳しくは、大径の配線・配管材201と小径の配線・配管材202)に対応して径が異なる少なくとも二つの貫通部6d、6d(詳しくは、一方および他方の貫通部601、602)が設けられており、それら貫通部601、602のいずれかが選択的に使用される。こうして、保持体7を用いて、径の異なる複数の配線・配管材201、202のうちの任意の配線・配管材を保持することができる。
【0047】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。例えば、保持体7は、全体が一体に形成されていなくとも、
図19に示すように、例えば二つに分割された、一方および他方の分割体7g、7gからなってもよい。ここで、貫通孔7a(詳しくは、一方の貫通孔701と他方の貫通孔702)は、それら分割体7g、7gの合わせ面に形成される。この例では、貫通部6dが、保持体7の内面によって形成されるよう、保持体7は、貫通部6dとなる貫通孔7aを有することとなる。そして、この貫通孔7a(詳しくは、一方の貫通孔701と他方の貫通孔702)の周面が、配線・配管材2(詳しくは、大径の配線・配管材201と小径の配線・配管材202)の外面に当接(図示実施の形態においては、外面を圧接)する。
【0048】
また、保持具本体6における囲み部6aとか、保持体7は、円形に形成されなくとも、
図20に示すように、六角形(一般には、角形)に形成されてもよい。そして、このような角形状の嵌め合わせが、保持体7が囲み部6aの内側でその囲み部6aの周方向に回動するのを規制する規制手段となる。また、この例では、保持具本体6を構成する第1保持材611と第2保持材612とは、互いが対称に形成されておらず、取着部6b(詳しくは、第1取着部631と第2取着部632)が下方寄り(つまり、構造物1寄り)に形成されている。
【0049】
また、
図21に示すように、第1囲み部621と第2囲み部622とは、中央で内側に折れ曲がって形成され、保持体7が、扁平な六角形状をしていてもよい。
【0050】
また、
図22に示すように、貫通部6dとなる貫通孔7aが、閉じた孔となっていてもよい。したがって、囲み部6aの内側の内部空間6cを縮小するように囲み部6aを内方へ向けても、貫通孔7aの周面が第2の配線・配管材2bの外面を圧接するとは限らず、このように、外面を圧接することなく単に当接するだけの場合には、配線・配管材2は、その延びる方向に移動可能な状態で保持される。
【0051】
また、
図23〜
図28に示すように、例えば第2保持材612は、所謂Uボルトからなってもよい。この例では、第1保持材611は、平板帯状に形成されて、中央側が、配線・配管材2を、ボルト体4aの軸方向Pの一方側Qから囲む、第1囲み部621となり、両端側が、第1取着部631となっている。そして、Uボルトからなる第2保持材612は、両端が、第1保持材611にあけられた孔6fに挿入されて、その先端からナット6gがねじ込まれる。こうして、第1保持材611においては、孔6f、6f間が、囲み部6aを構成する第1囲み部621となり、第2保持材612においては、孔6f、6fに挿入された両端部分を除く部分が、囲み部6aを構成する第2囲み部622となる。そして、第2保持材612にねじ込まれたナット6gを締め込むことで、囲み部6aの内側の内部空間6cを縮小するように囲み部6aを内方へ向けることができる。また、この例においては、取着部6bは、第1取着部631のみからなり、その取着部6bが、規制ナット4cと押圧ナット4gとに挟み込まれるようにして、ボルト体4aに取着される。
【0052】
そして、保持体7は、長方形盤状に形成されて、その長手の一辺に、弧状に窪むようにして、貫通孔7aが形成されている。そして、この貫通孔7aの周面と、貫通孔7aの開口7bが臨む囲み部6aの内面とで、貫通部6dが形成され、ナット6gを締め込むことで、貫通孔7aの周面(保持体7の内面)および囲み部6aの内面が、配線・配管材2の外面を圧接することとなる。また、この例においては、保持体7は、貫通孔7aが形成される辺を除く三辺に、第2保持材612(Uボルト)が嵌まる溝7hが形成されている。すなわち、保持体7は、その厚みが、第2保持材612(Uボルト)の軸径よりも大きく、第2保持材612は、保持体7の溝7hに嵌まるようにして配置される。そのため、保持体7を囲み部6aの内側に配置した際、保持体7は、その全体が、囲み部6a内に収まるのではなく、はみ出した部分がある。
【0053】
ここで、
図23(
図25)および
図24(
図26)は、保持体7の二つの回動姿勢を示しており、
図23(
図25)では、一方の回動姿勢として、保持体7は、貫通孔7aの開口7bが、第1保持材611側を向くようにして、第2保持材612(Uボルト)の曲がり部6hに当接する側に配置され、
図24(
図26)では、もう一方の回動姿勢として、保持体7は、貫通孔7aの開口7bが、第2保持材612(Uボルト)の曲がり部6h側を向くようにして、第1保持材611に当接する側に配置される。そして、
図23は、配線・配管材2を、囲み部6a内における、構造物1に対して最も近接した位置となる第1位置に配置し、かつ、保持具5を、ボルト体4aに沿った、構造物1に対して最も近接した位置に配置することで、その配線・配管材2を、構造物1に対して最も近接した位置に配置した状態を示し、
図24は、配線・配管材2を、囲み部6a内における、構造物1に対して最も遠い位置となる第2位置に配置し、かつ、保持具5を、ボルト体4aに沿った、構造物1に対して最も遠い位置に配置することで、その配線・配管材2を、構造物1に対して最も遠い位置に配置した状態を示す。
【0054】
また、囲み部6aは、保持体7が、径方向において抜け出ることがなければ、その全周を囲むものでなくとも、部分的に囲むもので構わない。前述した
図1〜
図22に示す例においては、本体6を構成する第1保持材611と第2保持材612との間が離れて、囲み部6aが、保持体7を部分的に囲んでいる。また、
図29に示すように、例えば第2保持材612が、第2囲み部622の途中に開口6iを形成するように分割された分割体6j、6jによって構成されることで、囲み部6aが保持体7を部分的に囲んでもよい。また、
図30に示すように、本体6が一部材から構成されて、その囲み部6aが、開口6iを有するように円弧状に形成されることで、囲み部6aが保持体7を部分的に囲んでもよい。そして、これら
図29および
図30に示す例では、保持体7における貫通孔7aの開口7bは、配管材2の外径よりも小さくて幅狭となるよう形成されており、この貫通孔7aの開口7bが、囲み部6bの開口6iと重なって並ぶ場合であっても、配線・配管材2が外に抜け出ることはない。
【0055】
また、ボルト体4a(つまり、配設具3)が固定される構造物1は、例えば、建物の基礎床の他に、壁とか天井等であってもよい。
図31および
図32は、ボルト体4aが、構造物1としての壁(特に、鉛直壁)に固定される例を示しており、この例においては、配線・配管材2(図示実施の形態においては、大径の配線配管材201)が位置する第1位置(
図31参照)と第2位置(
図32参照)とは、壁面に平行となる方向(図示実施の形態においては、上下方向)にずれた位置となっている。そこで、配線・配管材2を、第1位置と第2位置のうちの任意の位置に配置することで、配線・配管材2の位置を調整することができ、これによって、例えば、排水管(配線・配管材2)の排水勾配を確保するとか、配線・配管材2が障害物や段差を乗り越える等、配線・配管材2の位置調整が必要な場合に、容易に対応することができる。
【0056】
また、
図33および
図34に示すように、囲み部6aの内側に配置される保持体7は、外面が、囲み部6aの内面および構造物1の表面に当接するものであってもよい。そして、この例においては、貫通部6d、6dの一方(下側の貫通部6d)は、貫通孔7aの周面(つまり、保持体7の内面)に加えて、構造物1の表面によって形成される。また、図示実施の形態においては、囲み部6aから延設された取着部6bが、固定手段4となって、その取着部6bが、接着とかビスとか釘等の固着手段により、構造物1に固定される。詳細には、
図33に示す例においては、囲み部6aが、U字状に形成されて、その両端から取着部6b、6bが延設される。また、
図34に示す例においては、囲み部6aは、U字の一端側が除去されて、構造物1との間に開口6iを有するように形成される。そして、取着部6bは、この囲み部6aの他端から延設されている。
【0057】
また、貫通部6dは、貫通孔7aの周面(つまり、保持体7の内面)によって形成されたり、貫通孔7aの周面および囲み部6aの内面によって形成されたり、貫通孔7aの周面および構造物1の表面によって形成されたりする以外に、貫通孔7aの周面、囲み部6aの内面および構造物1の表面によって形成されてもよい。
【0058】
また、貫通部6dを形成する内面は、配線・配管材2の径方向の移動を制限するように配線・配管材2の外面に当接していれば、配線・配管材2の軸方向の移動を許容しても構わないが、貫通部6dを形成する内面が配線・配管材2の外面を圧接することで配線・配管材2の軸方向の移動を抑制するのが望ましい。
【0059】
また、前述の規制手段としては、囲み部6aと保持体7との間の摩擦力や、角形状による嵌め合わせによる係合の他に、凹部と凸部との係合等であってもよい。また、この規制手段は、第1取着部631(6b)と第2取着部632(6b)との対向する面のいずれかあるいは両方の面に当接するように、保持体7に凸部を突出形成することで、これら第1取着部631と第2取着部632のいずれかあるいは両方の面と保持体7に突出形成した凸部との係合によるものであってもよい。また、この規制手段のうち、摩擦力を除いた係合手段、すなわち囲み部6aとか取着部6b(つまり、保持具本体6)と保持体7との間の、係合部と被係合部との係合により、保持体7が、囲み部6aの周方向に回動するのが規制されてもよい。
【0060】
また、
図8〜
図18、
図29とか
図31および
図32に示す例においては、保持体7の、囲み部6aからはみ出したリブ7d、7dが、囲み部6aの両側に配置されて、保持体7は、囲み部6aによる圧接の有無に拘らず、その軸方向(つまり、配線・配管材2の軸方向)にずれるのが抑制されるが、他の例においても、同様のリブを設けるのが望ましい。
【0061】
また、保持体7は、囲み部6aの内側に、二つの回動姿勢(つまり、構造物1に対して、配線・配管材2を最も近い位置と遠い位置とに配置するような、回動姿勢)で配置されるが、他に、それら二つの回動姿勢の中間の回動姿勢(つまり、構造物1に対して、配線・配管材2を最も近い位置と遠い位置との中間に配置するような、回動姿勢)で配置されてもよい。もっとも、第二の実施の形態(
図5〜
図7参照)とか
図29とか
図30とか
図33とか
図34に示す例においては、同一径の貫通孔7a(貫通部6d)が設けられているため、保持体7は、一つの回動姿勢で配置されるもので構わない。
【0062】
また、保持体7は、硬質材料で構成してもよいが、発泡ゴム等の軟質材料で構成することで、防振効果を得ることができる。また、保持体7を絶縁材料で構成することで、絶縁効果を得ることができる。さらには、保持体7を、囲み部6aや、配線・配管材2としての排水管等の配管材よりも熱伝導率の低い材料で構成することで、結露の発生を抑制することができる。
【0063】
また、固定具401にボルト体4aを用いた場合には、保持具5は、二本のボルト体4a、4aに架設されるものでなくとも、保持具本体6の一方側にのみ取着部6bを設けたり、保持具本体6の中央に取着部6bを設けるとともに両側に囲み部6aを設けたりすることで、一本のボルト体4aに支持されるようにしてもよい。また、このボルト体4aは、ベース板4bを介して構造物1に固定されなくとも、構造物1に一端が埋設されることで、固定されてもよい。
【0064】
また、囲み部6aは、鋼板等の帯板のみからならなくとも、その帯板の内側に、他部材を有していてもよい。同様にして、保持体7は、その外側とか内側に、他部材を有していてもよい。
【0065】
また、囲み部6a内に、貫通部6d(貫通孔7a)は、一つまたは二つ設けられているが、異なる径あるいは同一径の貫通部6d(貫通孔7a)が三つ以上設けられてもよい。
【0066】
また、以上に示す複数の実施の形態における各構成要素を、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わせてもよいのは勿論である。