特許第5926103号(P5926103)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5926103
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】液体金属用電磁ポンプの運転開始方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 35/00 20060101AFI20160516BHJP
   B22D 37/00 20060101ALI20160516BHJP
   H02K 44/06 20060101ALI20160516BHJP
   G21C 15/247 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   B22D35/00 C
   B22D37/00 A
   H02K44/06
   G21C15/247GDF
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-93446(P2012-93446)
(22)【出願日】2012年4月17日
(65)【公開番号】特開2013-220442(P2013-220442A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2015年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183945
【氏名又は名称】助川電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081927
【弁理士】
【氏名又は名称】北條 和由
(72)【発明者】
【氏名】三浦 邦明
(72)【発明者】
【氏名】萩谷 和彦
(72)【発明者】
【氏名】冨田 陸浩
【審査官】 川崎 良平
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−005497(JP,A)
【文献】 特開2009−262212(JP,A)
【文献】 特開2009−000688(JP,A)
【文献】 特開平05−285638(JP,A)
【文献】 特開2009−262220(JP,A)
【文献】 米国特許第04212592(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 35/00,37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体金属を通す筒状のポンプ側ダクト(1)の外周に、同ポンプ側ダクト(1)の中に移動磁界を発生させて同ポンプ側ダクト(1)内の液体金属に推力を与える誘導子(5)を設け、この誘導子(5)を保護ケース(11)で覆い、これら保護ケース(11)、誘導子(5)及びポンプ側ダクト(1)を液体金属(12)の中に浸漬した液体金属用電磁ポンプを運転開始する方法において、誘導子(5)の内側に、ポンプ側ダクト(1)を囲むように巻いたヒータ(9)を設け、液体金属(12)が凝固し、収縮した後、再び加熱して溶解する時にまずこのヒータ(9)に電力を通電し、発熱することで、液体金属(12)の中に浸漬したポンプ側ダクト(1)の内部の凝固金属を最初に溶解することを特徴とする液体金属用電磁ポンプの運転開始方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力利用分野で使用されるナトリウム等の液体金属を搬送するために使用される液体金属用電磁ポンプの運転を開始する方法に関し、特に誘導子を含む電磁ポンプ本体を液体金属に浸漬し、同液体金属を汲み出す方式のいわゆる浸漬型液体金属用電磁ポンプにおいて、誘導子を保護するケースやダクトの熱応力を緩和し、それらの破損を防止することが出来る浸漬型液体金属用電磁ポンプの運転開始方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば原子力利用分野で使用されるナトリウム等を搬送するために、電磁誘導作用により液体金属に推力を与えて搬送する液体金属用電磁ポンプが利用されている。このような液体金属用電磁ポンプは、磁性体製のヨークにコイルを巻いた誘導子により筒状のダクト内部に移動磁界を発生させて液体金属に推力を与え、供給する形式の誘導形電磁ポンプが主流である。
【0003】
このような誘導形電磁ポンプは、例えば特開2006−341281号公報に記載されている。液体金属が流れる管状のダクトの外周に、移動磁界を発生するためのヨークにコイルを巻いた誘導子を配置し、誘導子により発生した磁界の磁路となる磁性体のコアを管状のダクト内部に配置している。コアは耐熱性及び耐蝕性を有する筒状の保護管により覆われている。従って、液体金属の流路は管状のダクトと保護管との間に形成される環状部分となる。これによりこの種の電磁ポンプは環状流路形電磁ポンプと呼ばれている。このうち特に電磁ポンプの誘導子を含む本体を液体金属に浸漬し、同液体金属を汲み出す方式のものは、浸漬型液体金属用電磁ポンプと呼ばれている。
【0004】
図2は、この浸漬型液体金属用電磁ポンプの従来例である。このタイプの液体金属用電磁ポンプ4は誘導子5をステンレス鋼等の耐熱性及び耐蝕性を有する材料からなる保護ケース11の中に収納し、電磁ポンプ4のほぼ全体が液体金属槽10の中の液体金属12に浸漬している。保護ケース11の下端中央に液体金属を導入する孔があり、この部分にポンプ側ダクト1の下端が密に接合し、液体金属入口17が開口している。このポンプ側ダクト1の液体金属入口17からポンプ側ダクト1内に液体金属槽10の中の液体金属12を汲み上げ、これを給湯側ダクト1’を通して目的の位置に供給する。給湯側ダクト1’の外周には保温のためのヒータ9’と保温材18が設けられている。
【0005】
ポンプ側ダクト1の誘導子5を設けた部分の内部には、この誘導子5で発生した磁界を通し、同誘導子5と共に磁路を形成するための磁性体製のコア2が収納されている。このコア2は、ステンレス鋼等の耐熱性及び耐蝕性を有する材料からなる保護管3の中に収納され、保護管3とコア2との間には、マグネシア粉末等の充填材8が充填されている。このコア2を収納した保護管3はその両端に放射状に設けられたスペーサ15、16によりポンプ側ダクト1の中に保持される。
【0006】
このような浸漬型液体金属用電磁ポンプの課題としては、液体金属の凝固・収縮後の再溶解時に液体金属槽10の中の液体金属12が膨張し、浸漬型電磁ポンプが押し上げられ、液体金属槽10や浸漬型電磁ポンプが破損してしまうことである。図2に示すように、液体金属槽10の中の液体金属12が膨張し、その液面が符合eで示すように押し上げられ、二点鎖線で示したような状態となる。
【0007】
例えば、供給する液体金属が液体金属ナトリウムの場合、溶融金属槽10にはオーステナイト系ステンレス鋼が使われ、ナトリウムの融点まで昇温した時にオーステナイト系ステンレス鋼に生じる室温20℃からの熱ひずみεは、ナトリウムの融点が98℃としたとき、次の計算式からε=0.41%となる。
ε=(ρna−ρsus)×ΔT=0.41%
ρna=Naの熱膨張係数=71×10−6 (1/℃)
ρsus=オーステナイト系ステンレス鋼の熱膨張係数=18×10−6 (1/℃)
ΔT=ナトリウムの融点と室温との温度差(℃)
【0008】
一般的な金属の降伏ひずみ(塑性が始まるひずみ)は0.2%であり、単純計算では前記熱ひずみε=0.41%においてオーステナイト系ステンレス鋼は塑性域に入っており、強度上容器の破損が考えられる。例えば、0.2%の熱ひずみに対する応力σを計算してみると、JIS等の圧力容器の構造規格が規定しているオーステナイト系ステンレス鋼(SUS 304TP)の許容応力=129N/mm(40℃)以上になってしまう。
σ=ε×E=386N/mm>許容応力129N/mm
E=ヤング率=1.93×10N/mm (50℃)
【0009】
しかし、熱応力は、ひずみ制御型の応力なので多少許容応力の割増が認められている。熱応力に対する許容応力は、ASMEsectionIIIや発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令501号等より簡単な計算式(ANSIのPower Piping規格)で求められる許容応力Sをも超えてしまう(米国規格は、psi単位系であるがJIS規格値を代入)。
=f×(1.25S+0.25S)=1.0×(1.25×129+0.25×122)=191.75N/mm
=常温時の許容応力=129N/mm(40℃)
=高温時の許容応力=122N/mm(100℃)
f=熱サイクル数で決まる係数=1.0(7000回以下の場合)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009−688号公報
【特許文献2】特開2009−689号公報
【特許文献3】特開2002−34673号公報
【特許文献4】特開平06−328229号公報
【特許文献5】特開平05−42358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明はこのような従来の浸漬型液体金属用電磁ポンプにおける課題に鑑み、液体金属の凝固・収縮後の再溶解時に液体金属槽10の中の液体金属12が膨張することにより、特にポンプ側ダクト1の液体金属入口17と液体金属槽10の底面との間の部分で生じる液体金属の膨張に伴う電磁ポンプに発生する熱応力、熱歪みを緩和し、電磁ポンプの破損を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明では、前記目的を達成するため、誘導子5の内側に、ポンプ側ダクト1を囲むように巻いたマイクロヒータ等のヒータ9を設ける。そして液体金属12が凝固し、収縮した後、再び加熱して溶解する時にまず最初にこのヒータ9に電力を通電し、発熱することで、ポンプ側ダクト1の内部の凝固金属を最初に溶解する。
【0013】
すなわち、本発明による液体金属用電磁ポンプの運転開始方法は、液体金属を通す筒状のポンプ側ダクト1の外周に同ポンプ側ダクト1の中に移動磁界を発生させる誘導子5を設け、この誘導子5を保護ケース11で覆い、これら保護ケース11、誘導子5及びポンプ側ダクト1を液体金属12の中に浸漬する。そして、誘導子5の内側に、ポンプ側ダクト1を囲むように巻いたマイクロヒータ等のヒータ9を設ける。そして液体金属12が凝固し、収縮した後、再び加熱して溶解する時にまずこのヒータ9に電力を通電し、発熱することで、液体金属12の中に浸漬したポンプ側ダクト1の内部の凝固金属を最初に溶解する。
【0014】
アルカリ金属は、柔らかいこともあって完全弾塑性体(応力度−歪み関係において、歪み0.2%以下では弾性体として直線的な変化を示すが、それを越える歪みでは応力度が一定値で歪みだけが大きくなる性質を持つ材料)に近い特性を有する。このため歪み0.2%を越えると自らが変形し、伸びてしまう。従って、図2の様に液体金属槽10の中に液体金属12の熱膨張を吸収する空間、すなわち液面より上に空間があって、且つアルカリ金属の歪み0.2%の時の応力(耐力)に相当する圧力で押しても壊れない液体金属槽10であれば、液体金属12はその膨張時に図2で符合e及び二点鎖線で示すように前記の熱膨張を吸収する空間へ膨らむ。この状態では電磁ポンプ4には過大な熱応力が掛からず、液体金属槽10が壊れることはない。特に、摂氏単位で融点の40%程度の温度以上になるとクリープ特性(荷重が掛かったままでいると伸びだす特性)が働き、少ない圧力(熱歪みが小さく相当圧力が小さい)で伸び出し、常温時よりも小さい圧力で伸び出し、より安全側になる。従って理論上液体金属槽10がアルカリ金属の0.2%歪みの応力(耐力)に相当する圧力に耐えれば、液体金属は液体金属槽10の中でその液面より上に盛り上がるだけで液体金属槽10が壊れることはない。
【0015】
しかしながら、液体金属槽10に電磁ポンプ4を入れた場合、液体金属槽10内の液体金属12の均一な予熱が出来ず、温度むらが生じ易い(温度分布が付きやすい)。このため、液体金属12の凝固・収縮後の再溶解時に液体金属12を吸い上げる部分、すなわちダクト1の液体金属入口17と液体金属槽10の底面との隙間tの部分の凝固金属が最初に溶け出すと、電磁ポンプ4が押し上げられ、電磁ポンプ4やそのコア2の部分に過大な応力が発生し損傷する場合がある。
【0016】
そこで、誘導子5の内側に、液体金属12の中に浸漬されたポンプ側ダクト1を囲むように巻いたマイクロヒータ等のヒータ9を設ける。そして液体金属12が凝固し、収縮した後、再び加熱して溶解する時にまずこのヒータ9に電力を通電し、発熱することで、液体金属12の中に浸漬されたポンプ側ダクト1の内部の凝固金属を最初に溶解させる。これにより液体金属槽10の底面と電磁ポンプ4の下端との間にある液体金属12が溶解し、膨張しても、電磁ポンプ4に加わる膨張力をポンプ側ダクト1の中の溶解した液体金属12を通して上側に逃がすことが出来る。こうすることで電磁ポンプ4を構成する保護ケース11、ポンプ側ダクト1、コア2やその保護管3に生じる熱応力、熱歪みを低減する。
【発明の効果】
【0017】
以上説明した通り、本発明による液体金属用電磁ポンプの運転開始方法では、液体金属12の凝固・収縮後の再溶解時に液体金属12を吸い上げる部分、すなわちポンプ側ダクト1の液体金属入口17と液体金属槽10の底面との間の部分の液体金属12が溶け出しても、液体金属の溶解時の膨張力が予め先行して溶解したポンプ側ダクト1内の液体金属12を通して逃がされ、電磁ポンプ4やそのコア2の部分に過大な応力が発生せず、それが損傷するのを防止する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明による運転開始方法の一実施例に使用する浸漬型の液体金属用電磁ポンプのを示す断面図である。
図2】浸漬型の液体金属用電磁ポンプの従来例を示す断面図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明では、誘導子5の内側に、ポンプ側ダクト1を囲むように巻いたマイクロヒータ等のヒータ9を設け、液体金属12が凝固し、収縮した後、再び加熱して溶解する時にまず最初にこのヒータ9に電力を通電し、発熱することで、ポンプ側ダクト1の内部の凝固金属を最初に溶解させるようにした。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、実施例をあげて詳細に説明する。
【0020】
図1は、本発明による運転開始方法の一実施例に使用する浸漬型の液体金属用誘導電磁ポンプのである。この液体金属用誘導電磁ポンプの構成は基本的に図2により前述した従来の電磁ポンプと同じであり、同じ部分は同じ符号を付してある。
この浸漬型の液体金属用電磁ポンプは、電磁ポンプ4のほぼ全体を液体金属12の中に浸漬して使用する。誘導子5に通電していない運転休止時は、ポンプ側ダクト1の中にある液体金属の液面が液体金属槽10側の液体金属12の液面と同じ高さである。
【0021】
ポンプ側ダクト1は、ステンレス鋼等の耐熱性、耐蝕性のある材料で作られている。このポンプ側ダクト1の周囲には、液体金属槽10の蓋となる部材から吊り下げられた磁性体製のヨーク6にコイル7を巻回した誘導子5が配置されている。この誘導子5と前記ポンプ側ダクト1の外周側は、ステンレス鋼等の耐熱性及び耐蝕性を有する材料からなる保護ケース11の中に収納されている。この保護ケース11の下端中央に孔があり、この孔にポンプ側ダクト1の下端が密に接合されている。ポンプ側ダクト1の下端が液体金属入口17として液体金属槽10の底面に向けて開口している。
【0022】
誘導子5は、ポンプ側ダクト1を囲むように縦に設けられたヨーク6に3相電源と接続できるコイルを縦に配列して巻回したもので、縦型3相リニアモータ構造を有している。従ってコイルは3の倍数だけ巻回されている。この誘導子5の全体が前記保護ケース11により覆われている。
【0023】
さらに、この誘導子5の内側には、ポンプ側ダクト1を囲むように巻いたマイクロヒータ等のヒータ9が設けられている。液体金属12が凝固し、収縮した後、再び加熱して溶解する時にまず最初にこのヒータ9に電力を通電し、発熱することで、ポンプ側ダクト1の内部の凝固金属を最初に溶解する。これにより液体金属槽10の底面と電磁ポンプ4の下端との間にある凝固金属の膨張により電磁ポンプ4に加わる膨張力をポンプ側ダクト1の中の溶解した液体金属12を通して上側に逃がし、電磁ポンプ4を構成する保護ケース11、ポンプ側ダクト1、コア2やその保護管3に生じる熱応力、熱歪みを低減する。
【0024】
この誘導子5の位置に対応して前記ポンプ側ダクト1の中には、磁性体製の円柱体からなるコア2が配置されている。このコア2は、上下両端が閉じられたステンレス鋼等の耐熱性、耐蝕性のある材料からなる円筒形の保護管3の中に収納されており、ポンプ側ダクト1内の液体金属と直接接触しない。この保護管3とコア2との間には、アルミナ、マグネシア等のセラミックからなる繊維状或いは粉末状の充填材8が充填されている。保護管3は、その上下両端に放射状に延びたスペーサ15、16によりポンプ側ダクト1の中に保持され、コア2がポンプ側ダクト1と中心軸が一致するように保持される。
【0025】
ポンプ側ダクト1はその上端側において給湯側ダクト1’と接続されている。この給湯側ダクト1’の周囲にシーズヒータ等からなるヒータ線9’が巻回され、給湯側ダクト1’の内部が液体金属の融点以上の温度に加熱される。このヒータ線9’が巻回された給湯側ダクト1’の周囲が耐熱性と断熱性を有する保温材18で囲まれている。
【0026】
前記保護ケース11の下端面は、その中心部である液体金属入口17からその周辺部に向けて次第に高くなるようなテーパーが形成されている。この保護ケース11の下端面のテーパーは、液体金属12が凝固し、収縮した後、再び加熱して溶解する時に液体金属12が保護ケース11の下端面に沿って滑りやすくするためである。これにより、液体金属槽10の底面と電磁ポンプ4の下端との間にある凝固金属の膨張により電磁ポンプ4に加わる力を保護ケース11の外側に逃がし、電磁ポンプ4を構成する保護ケース11、ポンプ側ダクト1、コア2やその保護管3に生じる熱応力、熱歪みを低減する。このような液体金属12の滑り効果を有効にするために保護ケース11の下端面のテーパー角θは10゜以上とする。
【0027】
アルカリ金属とオーステナイト系ステンレス鋼との熱膨張差で、0.2%の歪みが生じる温度は表1の通りになる。これ以上の温度になると、アルカリ金属は0.2%耐力に相当する内圧で容器を押し広げながら、自ら変形してゆき、さらに浸漬型電磁ポンプを押し上げようとする。従って、この内圧に耐える体金属槽であり、浸漬型電磁ポンプでなければならない。
【0028】
【表1】
【0029】
浸漬型電磁ポンプが液体金属槽10の中に収納されると、その液体金属入口17と液体金属槽10の底面との隙間tがフィン効果で温度が上がらなくなってしまい、常温の部分が生じてしまう。常温のアルカリ金属の0.2%耐力はほぼ2倍になり、更に強度が必要になる。これでは容器の板厚が2倍に厚くなってしまう。更に、浸漬型電磁ポンプを取り付ける上蓋も2倍に厚くするか、ベローズを入れて浸漬型電磁ポンプがアルカリ金属の熱膨張で浮き上がる量を吸収する等のコストの掛かる設計になってしまう。これらを避けるため、隙間tを適切な値にしてやる必要がある。
【0030】
電磁ポンプ4の下端から液体金属槽10の底面までの隙間(距離)tは、液体金属槽10の呼び径DA(A呼称)に対して次の通りとする。
t≦0.0006D+0.6114D−40(mm)
これは液体金属12が凝固し、収縮した後、再び加熱して溶解する時に液体金属槽10の底面と電磁ポンプ4の下端との間にある凝固金属の膨張により電磁ポンプ4を構成する保護ケース11、ポンプ側ダクト1、コア2やその保護管3に生じる熱応力、熱歪みでそれらが破損しない限度として解析により決定された。具体的には、液体金属槽10の呼び径DA(A呼称)に対して前記隙間tを次の表2の値以下とする。
【0031】
【表2】
【0032】
しかし、前記隙間tを小さくすればするほど、電磁ポンプ4で液体金属12を汲み上げるとき、液体金属槽10の底面に沈積している不純物も一緒に汲み上げてしまうことになる。そこで、液体金属槽10の底面に邪魔板13を設け、この邪魔板13の上面と前記電磁ポンプ4の下端との間の隙間tを前述の値以下とする。邪魔板13を支持脚14により液体金属槽10の底面から所要の高さに保持し、この邪魔板13により液体金属槽10の底面を実質上かさ上げしている。この邪魔板13はポンプ側ダクト1から液体金属12をドレンしたときに、ドレンと一緒に排出された不純物が邪魔板13上に停滞しないように中心から周辺に向かって低くなるような笠形のテーパーをつけておく。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明は、例えば原子力利用技術分野、放射線利用技術等で使用されるナトリウム等の導電性液体の搬送手段として利用される導電性液体用誘導電磁ポンプに適用することが出来る。
【符号の説明】
【0034】
1 ポンプ側ダクト
1’ 給湯側ダクト
4 電磁ポンプ
5 誘導子
10 液体金属槽
12 液体金属
17 液体金属入口
図1
図2