特許第5926105号(P5926105)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5926105
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】高さ可変箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/32 20060101AFI20160516BHJP
   B65D 21/08 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   B65D5/32 B
   B65D21/08
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-94513(P2012-94513)
(22)【出願日】2012年4月18日
(65)【公開番号】特開2013-220838(P2013-220838A)
(43)【公開日】2013年10月28日
【審査請求日】2015年1月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二
(74)【代理人】
【識別番号】100130513
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 直也
(74)【代理人】
【識別番号】100117400
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 政徳
(74)【代理人】
【識別番号】100130177
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 弥一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100151024
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 幸嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100161746
【弁理士】
【氏名又は名称】地代 信幸
(74)【代理人】
【識別番号】100166796
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 雅至
(72)【発明者】
【氏名】牧内 隆文
(72)【発明者】
【氏名】西川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】前田 喜久夫
【審査官】 西堀 宏之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05833131(US,A)
【文献】 実開昭54−097337(JP,U)
【文献】 実開昭57−186315(JP,U)
【文献】 特開平03−219240(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/00− 5/76
B65D 21/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースシート(1)とカバーシート(2)とから成り、ベースシート(1)及びカバーシート(2)には、それぞれ底板(11)及び天板(21)の両側の第1罫線(a)から包装する物品の高さに応じた間隔をあけて第2罫線(b)入れられ、第1罫線(a)と第2罫線(b)の間側板(12,22)とされ、第2罫線(b)と端縁の間折込片(13,23)とされ
ベースシート(1)には、第1罫線(a)の位置から第2罫線(b)の位置まで、両側方へ張り出す折曲片(15)が折目線(c)を介して設けられ、カバーシート(2)には、第1罫線(a)の位置から折込片(23)の位置まで、両側方へ張り出す突出片(26)が設けられ、
ベースシート(1)の側板(12)及び折込片(13)が第1罫線(a)及び第2罫線(b)に沿って巻き込むように折り曲げられ、ベースシート(1)とカバーシート(2)とが交差する方向へ向けられて、カバーシート(2)ベースシート(1)に被せられ、カバーシート(2)の側板(22)及び折込片(23)が第1罫線(a)及び第2罫線(b)に沿ってベースシート(1)とは逆方向へ巻き込むように折り曲げられ折曲片(15)が折目線(c)に沿って外側へ折り曲げられて、突出片(26)の内面に沿わされ、カバーシート(2)の折込片(23)底板(11)に貼り付けられた高さ可変箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、様々な高さの物品を、その物品に応じた高さで梱包できる高さ可変箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、インターネットを介し多様な商品を注文して購入することが一般化しており、これにより注文を受けた通信販売業者は、様々な大きさの商品を箱詰めして消費者へ発送することとなる。その際、輸送効率を考慮して、商品の大きさに応じた多種の箱を使用すると、箱の管理や種別ごとの梱包に多大なコストを要する。
【0003】
このような状況への対策として、下記特許文献1においては、側壁を折畳式にして、大きさを段階的に変化させることができるようにした箱が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−7029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたような箱は、無段階に大きさを調整できないため、内部の空隙を可能な限り小さくして、輸送効率を向上させることができない。
【0006】
そこで、この発明は、箱の高さを物品ごとに無段階に変化させて発送用に組み立てられるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような課題を解決するため、この発明に係る箱は、ベースシートとカバーシートとから成り、ベースシート及びカバーシートには、それぞれ底板及び天板の両側の第1罫線から包装する物品の高さに応じた間隔をあけて第2罫線入れられ、第1罫線と第2罫線の間側板とされ、第2罫線と端縁の間折込片とされベースシートには、第1罫線の位置から第2罫線の位置まで、両側方へ張り出す折曲片が折目線を介して設けられ、カバーシートには、第1罫線の位置から折込片の位置まで、両側方へ張り出す突出片が設けられ、ベースシートの側板及び折込片が第1罫線及び第2罫線に沿って巻き込むように折り曲げられ、ベースシートとカバーシートとが交差する方向へ向けられて、カバーシートベースシートに被せられ、カバーシートの側板及び折込片が第1罫線及び第2罫線に沿ってベースシートとは逆方向へ巻き込むように折り曲げられ折曲片が折目線に沿って外側へ折り曲げられて、突出片の内面に沿わされ、カバーシートの折込片底板に貼り付けられたものとしたのである。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る高さ可変箱によると、包装する物品の高さに応じて罫線を入れる位置を調整し、ベースシート及びカバーシートを巻き込むように折り曲げ、高さを無段階に変化させて製箱できる。また、箱の稜部におけるベースシートとカバーシートの隙間が塞がれるので、密閉性が向上する。
【0009】
従って、包装コストを削減できるほか、内部の空隙を可能な限り小さくして、輸送効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】この発明の基本となる参考形態に係る高さ可変箱のブランクを示す図
図2】同上の最も背が低い商品の(a)梱包過程を示す斜視図、(b)梱包状態を示す斜視図
図3】同上の中間の背の高さの商品の(a)梱包過程を示す斜視図、(b)梱包状態を示す斜視図
図4】同上の最も背が高い商品の(a)梱包過程を示す斜視図、(b)梱包状態を示す斜視図
図5】この発明の実施形態に係る高さ可変箱のブランクを示す図
図6】同上の梱包状態を示す斜視図
図7】同上の要部拡大斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
この発明の基本となる参考形態として図1にブランクで示す高さ可変箱は、段ボール製のベースシート1とカバーシート2とから構成される。
【0013】
ベースシート1の幅Wは、物流過程での取扱性を考慮して決定されるものである。ベースシート1の中間部には、両端縁から間隔をあけて2本の第1罫線aが入れられ、その間が底板11とされる。2本の第1罫線aの間隔もまた、物流過程での取扱性を考慮して決定される。段ボールの段目方向は、第1罫線aに交差する方向へ向けられる。
【0014】
カバーシート2にも、両端縁から間隔をあけて2本の第1罫線aが入れられ、その間が天板21とされる。2本の第1罫線aの間隔は、ベースシート1の幅Wよりも、段ボールの厚さを考慮して少し大きく設定される。段ボールの段目方向は、第1罫線aに交差する方向へ向けられる。
【0015】
また、カバーシート2には、天板21の両端部及び一方の端縁近傍に、開封時に切断する切目線で囲まれた貼着部24が設けられ、他方の端縁近傍に、開封用の切目線又はカットテープ等から成る引裂帯25が設けられる。端縁近傍の貼着部24及び引裂帯25は、後述する第2罫線bの位置にかかわらず、第2罫線bより端側に配置される。
【0016】
ベースシート1とカバーシート2とは、扁平なブランク状態で保管され、各種商品の梱包に際し、組立装置に供給される。
【0017】
この組立装置は、商品の高さを測定する機構、その測定値に基いてベースシート1及びカバーシート2に第1罫線aから外側へ間隔をあけて第2罫線bを入れる機構、及びベースシート1とカバーシート2とを第1罫線a及び第2罫線bに沿って折り曲げ、ベースシート1にカバーシート2を被せた状態で貼り合わせる機構を備えている。
【0018】
このような組立装置において、ベースシート1及びカバーシート2に入れる第2罫線bの位置は、梱包する商品の背の高さの範囲に応じて設定される。
【0019】
ベースシート1では、第1罫線aと第2罫線bの間を側板12とし、第2罫線bと端縁の間を折込片13とする。そして、側板12において、最も背の低い商品を梱包する場合の第1罫線aと第2罫線bの間隔を最小高さHminとし、最も背の高い商品を梱包する場合の第1罫線aと第2罫線bの間隔を最大高さHmaxとする。
【0020】
また、カバーシート2では、ベースシート1の側板12の高さよりも、段ボールの厚さを考慮して少し大きくなるように、商品ごとに第2罫線bの位置を設定し、第1罫線aと第2罫線bの間を側板22とし、第2罫線bと端縁の間を折込片23とする。
【0021】
これに伴い、第2罫線bと端縁との間隔である折込片23の幅Aは、ベースシート1の側板12の高さHが最小高さHminとなるとき、最大幅Amaxとなり、側板12が最大高さHmaxとなるとき、最小幅Aminとなる。両側の折込片23の幅Aは、一方が大きく、他方が小さくなることがある。
【0022】
上記のような寸法関係を整理すると、カバーシート2の長さLは、ベースシート1の幅Wに、第1罫線aと第2罫線bの間隔である側板12の高さHの2倍を加算し、これにカバーシート2の両側の折込片23の幅Aの和と材料の紙厚に対応する寸法とを加算した値とする必要がある。
【0023】
また、後述する図2(b)に示すような組立状態において、両側の折込片23の干渉を避けるため、カバーシート2の両側の折込片23の幅Aの和は、ベースシート1の幅W以下となるようにする必要がある。
【0024】
そのほか、組立装置のコンベヤ等の搬送路において、ベースシート1を支持する部分を確保するため、両側の折込片23の対向縁間の間隔Dが組立装置の支持部の幅以上となるようにする必要がある。
【0025】
上記のようなベースシート1とカバーシート2のブランクを組み立てて、図2に示すように、商品として最も背が低いものを梱包する際には、まず、図2(a)に示すように、ベースシート1の底板11に載置した商品Mをフィルム14を巻いて固定する。
【0026】
次いで、側板12及び折込片13を、第1罫線a及び側板12が最小高さHminとなる第2罫線bに沿って上方へ巻き込むように折り曲げ、ベースシート1とカバーシート2とを、交差する方向へ向けて、カバーシート2をベースシート1に被せ、天板21の両端部とベースシート1の折込片13とを、貼着部24において接着剤で貼り合わせる。
【0027】
その後、図2(b)に示すように、カバーシート2の側板22及び折込片23を、第1罫線a及び折込片23が最大幅Amaxとなる第2罫線bに沿って下方へ巻き込むように折り曲げ、カバーシート2の折込片23と底板11とを、貼着部24及び引裂帯25より端縁側において接着剤で貼り合わせる。
【0028】
また、商品として中間の背の高さのものを梱包する際には、上記の場合と同様、まず、図3(a)に示すように、ベースシート1の底板11に載置した商品Mをフィルム14を巻いて固定する。
【0029】
次いで、側板12及び折込片13を、第1罫線a及び側板12が中間高さHmidとなる第2罫線bに沿って上方へ巻き込むように折り曲げ、ベースシート1とカバーシート2とを、交差する方向へ向けて、カバーシート2をベースシート1に被せ、天板21の両端部とベースシート1の折込片13とを、貼着部24において接着剤で貼り合わせる。
【0030】
その後、図3(b)に示すように、カバーシート2の側板22及び折込片23を、第1罫線a及び折込片23が中間幅Amidとなる第2罫線bに沿って下方へ巻き込むように折り曲げ、カバーシート2の折込片23と底板11とを、貼着部24及び引裂帯25より端縁側において接着剤で貼り合わせる。
【0031】
一方、図4に示すように、商品として最も背が高いものを梱包する際には、上記の場合と同様、まず、図4(a)に示すように、ベースシート1の底板11に載置した商品Mをフィルム14を巻いて固定する。
【0032】
次いで、側板12及び折込片13を、第1罫線a及び側板12が最大高さHmaxとなる第2罫線bに沿って上方へ巻き込むように折り曲げ、ベースシート1とカバーシート2とを、交差する方向へ向けて、カバーシート2をベースシート1に被せ、天板21の両端部とベースシート1の折込片13とを、貼着部24において接着剤で貼り合わせる。
【0033】
その後、図4(b)に示すように、カバーシート2の側板22及び折込片23を、第1罫線a及び折込片23が最小幅Aminとなる第2罫線bに沿って下方へ巻き込むように折り曲げ、カバーシート2の折込片23と底板11とを、貼着部24及び引裂帯25より端縁側において接着剤で貼り合わせる。
【0034】
上記のような高さ可変箱によると、商品Mの高さに応じてベースシート1及びカバーシート2に第2罫線bを入れる位置を調整し、ベースシート1及びカバーシート2を巻き込むように折り曲げ、高さを無段階に変化させて製箱できるので、包装コストを削減できるほか、内部の空隙を可能な限り小さくして、輸送効率を向上させることができる。
【0035】
なお、上記実施形態では、天板21の両端部と折込片13とを接着剤で貼り合わせるものについて例示したが、折込片13が十分長い場合には、この貼着を省略しても、天板21の下方から折込片13が抜け出すことがなく、封緘状態を保持することができる。
【0036】
また、ベースシート1及びカバーシート2を予め第1罫線aを入れた状態で組立装置に供給し、組立装置で第2罫線bのみを入れるものについて例示したが、組立装置で第1罫線aと第2罫線bとを入れるようにしてもよい。
【0037】
そのほか、開封手段として、カバーシート2の一方の折込片23に貼着部24を設け、他方の折込片23に引裂帯25を設けたものを例示したが、両方の折込片23に引裂帯25を設けるようにしてもよい。
【0038】
次に、この発明の実施形態図5乃至図7に基づいて説明する。なお、この実施形態の基本構成は、上記参考形態と同様であるので、ここでは、上記参考形態と異なる部分についてのみ説明する。
【0039】
この実施形態では、図5に示すように、ベースシート1に、第1罫線aの位置から側板12の高さHが最大高さHmaxとなる第2罫線bの位置まで、両側方へ張り出す折曲片15がミシン目状に切込が断続する折目線cを介して設けられている。
【0040】
また、カバーシート2に、第1罫線aの位置から折込片23の位置まで、両側方へ張り出す突出片26がミシン目状に切込が断続する弱化線dを介して設けられている。
【0041】
このブランクを組み立てて商品を梱包する際には、図6及び図7に示すように、折曲片15を折目線cに沿って外側へ折り曲げ、突出片26の内面に沿わせる。これにより、箱の稜部におけるベースシート1とカバーシート2の隙間が塞がれ、密閉性が向上する。
【0042】
この梱包状態では、突出片26の基部に弱化線dを入れていることから、段ボールの性質上、突出片26が折曲片15に押されて若干撓み、折曲片15と突出片26とが密着するように馴染み、高い密閉性が得られるほか、手で持ち運ぶ際、突出片26の角部に手が当たっても、柔軟に変形し、痛みを感じることがない。
【符号の説明】
【0043】
1 ベースシート
2 カバーシート
11 底板
12 側板
13 折込片
14 フィルム
15 折曲片
21 天板
22 側板
23 折込片
24 貼着部
25 引裂帯
26 突出片
a 第1罫線
b 第2罫線
c 折目線
d 弱化線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7