(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記複数の光透過部は、青の色相の映像光を透過させる青色フィルタと、赤の色相の映像光を透過させる赤色フィルタと、緑の色相の映像光を透過させる緑色フィルタと、を含み、
前記第1透過部は、前記青色フィルタであり、
前記第2透過部は、前記赤色フィルタであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のスペーサやセンサの小型化は、画素の細密化に追従しないこともある。画素が、スペーサやセンサといった部材の大きさと比べて、非常に細密化されるならば、スペーサやセンサは、部分的に或いは全体的に画素と干渉することもある。スペーサやセンサといった部材と画素との干渉により、映像を観察する観察者は、映像中に部材の存在を知覚することもある。
【0008】
本発明は、高品位の映像を表示する表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の局面に係る表示装置は、映像を表示するための映像光が出射される第1出射領域を有する複数の第1画素と、前記映像光が出射される第2出射領域を有する複数の第2画素と、を備え、前記第1画素及び前記第2画素それぞれは、互いに異なる色相で前記映像光が出射される複数の光透過部を含み、前記複数の光透過部は、輝度に対して所定の寄与率を有する色相の映像光を出射する第1透過領域と、該第1透過領域よりも高い寄与率の色相の映像光を出射する第2透過領域と、を形成し、前記第1出射領域内の前記第1透過領域と前記第2出射領域内の前記第1透過領域との間の面積差の分だけ、前記第1出射領域は、前記第2出射領域よりも狭いことを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、第1画素の第1出射領域及び第2画素の第2出射領域から映像光が出射され、映像が表示される。第1画素及び第2画素それぞれは、互いに異なる色相で映像光が出射される複数の光透過部を含むので、表示装置は、複数の色相を有する映像を表示することができる。
【0011】
複数の光透過部は、第1透過領域と、第2透過領域と、を形成する。第1出射領域内の第1透過領域と第2出射領域内の第1透過領域との間の面積差の分だけ、第1出射領域は、第2出射領域よりも狭い。第1透過領域から出射される映像光の色相は、第2透過領域から出射される映像光の色相よりも、輝度に対する寄与率が低いので、第1出射領域と第2出射領域との間の面積差は、観察者に知覚されにくい。したがって、表示装置は、高品位の映像を表示することができる。
【0012】
上記構成において、前記第1出射領域内の前記第1透過領域は、前記第2出射領域内の前記第1透過領域より狭く、前記第1出射領域内の前記第2透過領域は、前記第2出射領域内の前記第2透過領域と同等の面積を有してもよい。
【0013】
上記構成によれば、第1出射領域内の第1透過領域は、第2出射領域内の第1透過領域より狭い。第1透過領域から出射される映像光の色相は、第2透過領域から出射される映像光の色相よりも、輝度に対する寄与率が低いので、第1出射領域内の第1透過領域と第2出射領域の第1透過領域との間の面積差は、観察者に知覚されにくい。
【0014】
第1出射領域内の第2透過領域は、第2出射領域内の第2透過領域と同等の面積を有する。第1透過領域から出射される映像光の色相と比べて、輝度に対して高い寄与率を有する色相の映像光は、第1出射領域と第2出射領域との間で同等の面積を有する第2透過領域から出射されるので、表示装置は、高品位の映像を表示することができる。
【0015】
上記構成において、表示装置は、前記映像が表示される表示面を規定する第1基板と、該第1基板に対向する第2基板と、前記第1基板と前記第2基板との間に配置され、前記第1画素に干渉する干渉部材と、を更に備え、前記第1画素は、前記干渉部材と重なり合う重畳領域を有し、前記重畳領域は、前記面積差に相当してもよい。
【0016】
上記構成によれば、映像が表示される表示面を規定する第1基板と第1基板に対向する第2基板との間に配置された干渉部材は、第1画素に干渉する。第1画素は、干渉部材と重なり合う重畳領域を有する。重畳領域は、面積差に相当する。したがって、観察者が、映像中に干渉部材の存在を知覚することはほとんどない。
【0017】
上記構成において、前記干渉部材は、前記第1基板と前記第2基板との間のギャップを維持するためのスペーサであってもよい。
【0018】
上記構成によれば、干渉部材は、第1基板と第2基板との間のギャップを維持するためのスペーサであるので、表示装置は、高品位の映像を長期間に亘って表示することができる。
【0019】
上記構成において、前記干渉部材は、前記表示面上での物体の移動を検出するためのセンサであってもよい。
【0020】
上記構成によれば、干渉部材は、表示面上での物体の移動を検出するためのセンサであるので、表示装置は、タッチパネル装置として利用可能となる。
【0021】
上記構成において、前記第1透過領域は、前記複数の光透過部のうち輝度に対して最も寄与率の低い第1透過部を含んでもよい。
【0022】
上記構成によれば、第1透過領域は、複数の光透過部のうち輝度に対して最も寄与率の低い第1透過部を含むので、第1出射領域と第2出射領域との間の面積差は、観察者に知覚されにくい。したがって、表示装置は、高品位の映像を表示することができる。
【0023】
上記構成において、前記第1透過領域は、前記第1透過部の次に前記寄与率が低い第2透過部を含んでもよい。
【0024】
上記構成によれば、第1透過領域は、第1透過部の次に前記寄与率が低い第2透過部を含むので、第1出射領域と第2出射領域との間の面積差は、観察者に知覚されにくい。したがって、表示装置は、高品位の映像を表示することができる。
【0025】
上記構成において、前記重畳領域は、前記干渉部材及び前記第1透過部が重なり合う第1重畳領域と、前記干渉部材及び前記第2透過部が重なり合う第2重畳領域と、を含み、
前記第1重畳領域は、前記第2重畳領域よりも広くてもよい。
【0026】
上記構成によれば、重畳領域は、干渉部材及び第1透過部が重なり合う第1重畳領域と、干渉部材及び第2透過部が重なり合う第2重畳領域と、を含む。第1重畳領域は、第2重畳領域よりも広いので、第1出射領域と第2出射領域との間の面積差は、観察者に知覚されにくい。したがって、表示装置は、高品位の映像を表示することができる。
【0027】
上記構成において、前記第1透過部は、標準比視感度曲線に応じて定められた第1寄与率を有する第1色相の映像光を出射し、前記第2透過部は、標準比視感度曲線に応じて定められた第2寄与率を有する第2色相の映像光を出射し、前記第1重畳領域と前記第2重畳領域との間の面積比は、前記第1寄与率と前記第2寄与率との比の逆数に基づき定められることが好ましい。
【0028】
上記構成によれば、第1透過部は、標準比視感度曲線に応じて定められた第1寄与率を有する第1色相の映像光を出射する。第2透過部は、標準比視感度曲線に応じて定められた第2寄与率を有する第2色相の映像光を出射する。第1重畳領域と第2重畳領域との間の面積比は、第1寄与率と第2寄与率との比の逆数に基づき定められるので、干渉部材の存在は、観察者に知覚されにくくなる。
【0029】
上記構成において、前記複数の第1画素は、一対の隣接画素を含み、前記一対の隣接画素のうち一方の画素の前記第1透過部は、他方の画素の第2透過部に隣接してもよい。
【0030】
上記構成によれば、一対の隣接画素のうち一方の画素の第1透過部は、他方の画素の第2透過部に隣接するので、干渉部材は、複数の画素に跨って配置されることができる。
【0031】
上記構成において、前記寄与率は、標準比視感度曲線に応じて定められることが好ましい。
【0032】
上記構成によれば、干渉部材の配置は、標準比視感度曲線に応じて定められた寄与率に従って決定されるので、干渉部材の存在は、観察者に知覚されにくくなる。
【0033】
上記構成において、前記複数の光透過部は、青の色相の映像光を透過させる青色フィルタと、赤の色相の映像光を透過させる赤色フィルタと、緑の色相の映像光を透過させる緑色フィルタと、を含み、前記第1透過部は、前記青色フィルタであり、前記第2透過部は、前記赤色フィルタであることが好ましい。
【0034】
上記構成によれば、複数の光透過部は、青の色相の映像光を透過させる青色フィルタと、赤の色相の映像光を透過させる赤色フィルタと、緑の色相の映像光を透過させる緑色フィルタと、を含む。したがって、映像光は、三原色を用いて、作り出される。第1透過部は、青色フィルタであり、第2透過部は、赤色フィルタであるので、干渉部材の存在は、観察者に知覚されにくくなる。
【0035】
上記構成において、前記第1画素及び前記第2画素は、前記表示面に亘ってマトリクス状に配列され、前記第1画素は、前記表示面中において、一定密度で分散されることが好ましい。
【0036】
上記構成によれば、第1画素及び第2画素は、表示面に亘ってマトリクス状に配列される。第1画素は、表示面中において、一定密度で分散されるので、輝度が低い領域の集中が緩和される。
【発明の効果】
【0037】
上述の如く、本発明に係る表示装置は、高品位の映像を表示することができる。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、例示的な表示装置が図面を参照して説明される。尚、以下に説明される実施形態において、同様の構成要素に対して同様の符号が付されている。また、説明の明瞭化のため、必要に応じて、重複する説明は省略される。図面に示される構成、配置或いは形状並びに図面に関連する記載は、単に本実施形態の原理を容易に理解させることを目的とするものであり、本実施形態の原理は、これらに何ら限定されるものではない。
【0040】
<第1実施形態>
(表示装置)
図1は、第1実施形態の表示装置として例示される液晶パネル100の概略的な断面図である。
図1を用いて、液晶パネル100が説明される。
【0041】
液晶パネル100は、映像が表示される表示面を規定する第1基板111と、第1基板111に対向する第2基板112と、を備える。液晶パネル100は、第1基板111と第2基板112との間に形成された液晶層120を更に備える。液晶層120は、第2基板112に隣接する。液晶層120は、液晶層120に印加された電圧に応じて、第2基板112を透過した光の偏光方向を調整する。
【0042】
液晶パネル100は、第1基板111と第2基板112との間に形成されたフィルタ層130を更に備える。フィルタ層130は、第1基板111に隣接する。フィルタ層130は、液晶層120を通過した光を、赤の色相の映像光(以下、「赤色光」と称される)として出射するRフィルタ131Rと、液晶層120を通過した光を、緑の色相の映像光(以下、「緑色光」と称される)として出射するGフィルタ131Gと、液晶層120を通過した光を、青の色相の映像光(以下、「青色光」と称される)として出射するBフィルタ131Bと、を含む。フィルタ層130は、Rフィルタ131R、Gフィルタ131G及びBフィルタ131Bを互いに区画するブラックマトリクス132を更に備える。ブラックマトリクス132は、赤色光、緑色光及び青色光の間の混色を抑制する。本実施形態において、Rフィルタ131R、Gフィルタ131G及びBフィルタ131Bは、互いに異なる色相で映像光を出射する複数の光透過部として例示される。Rフィルタ131Rは、赤色フィルタとして例示される。Gフィルタ131Gは、緑色フィルタとして例示される。Bフィルタ131Bは、青色フィルタとして例示される。
【0043】
以下の説明において、ブラックマトリクス132を用いて区画されたRフィルタ131Rによって規定される領域は、「Rサブ画素」と称される。ブラックマトリクス132を用いて区画されたGフィルタ131Gによって規定される領域は、「Gサブ画素」と称される。ブラックマトリクス132を用いて区画されたBフィルタ131Bによって規定される領域は、「Bサブ画素」と称される。また、Rサブ画素、Gサブ画素及びBサブ画素をそれぞれ1つずつ含む領域は、「画素」と称される。
【0044】
本実施形態において、液晶パネル100の画素は、3つのサブ画素を含む。代替的に、表示装置は、2以下のサブ画素を含んでもよい。或いは、表示装置は、4以上のサブ画素を含んでもよい。
【0045】
液晶パネル100は、第1基板111に隣接するフィルタ層130と第2基板112との間に配置された柱状のスペーサ140を更に備える。スペーサ140は、第1基板111と第2基板112との間に形成された液晶層120の厚さ(以下、「ギャップ」と称される)を維持する。スペーサ140は、既知の液晶パネルに用いられるスペーサ構造を有してもよい。
【0046】
本実施形態において、液晶パネル100の画素は、スペーサ140と比べて、非常に微細に形成される。このため、スペーサ140の一部は、Bサブ画素内に入り込んでいる。
【0047】
図2は、液晶パネル100が組み込まれた液晶ディスプレイ200の概略的な斜視図である。
図2を用いて、液晶ディスプレイ200が説明される。
【0048】
液晶ディスプレイ200は、液晶パネル100に加えて、液晶パネル100を支持する筐体210と、上述のバックライト光源と、を備える。バックライト光源は、筐体210内に収容される。
【0049】
(画素)
図2に示される液晶パネル100上には、点線で描かれた矩形枠MRが示されている。矩形枠MR内の画素が、以下に説明される。尚、矩形枠MR内の画素に関する説明は、他の領域の画素にも同様に適用される。
【0050】
図3は、矩形枠MR内の画素150の概略図である。
図2及び
図3を用いて、画素150が説明される。
【0051】
図3には、9つの画素150が示されている。
図3に示される一点鎖線は、9つの画素150を概念的に区画している。
【0052】
各画素150は、上述の如く、Rフィルタ131Rによって規定されるRサブ画素と、Gフィルタ131Gによって規定されるGサブ画素と、Bフィルタ131Bによって規定されるBサブ画素と、Rサブ画素、Gサブ画素及びBサブ画素間を区画するブラックマトリクス132と、を含む。
【0053】
図3において、スペーサ140は、点線で表されている。スペーサ140は、9つの画素150のうち1つの画素のBフィルタ131Bの領域に干渉している。以下の説明において、スペーサ140と干渉するBフィルタ131Bの領域を特異的に有する画素150は、「第1画素151」と称される。他の8つの画素150は、「第2画素152」と称される。本実施形態において、スペーサ140は、干渉部材として例示される。
【0054】
図2に示される如く、矩形枠MRは、液晶パネル100の表示面(映像が表示される面)のうち一部である。したがって、液晶パネル100は、複数の第1画素151と、複数の第2画素152と、を備える。第1画素151及び第2画素152は、表示面に亘ってマトリクス状に配列される。スペーサ140による干渉領域を含む第1画素151は、液晶パネル100の表示面全体に亘って一定密度で分散される。本実施形態において、スペーサ140は、約9つの画素に対して1つの割合で配置される。したがって、画素それぞれに割り当てられたスペーサを用いて液晶層のギャップを維持する一般的な構造と比べて、本実施形態の液晶パネル100が表示する映像中において、スペーサ140の干渉領域は少なくなる。したがって、映像を観察する観察者は、スペーサ140による輝度低下をほとんど知覚しない。
【0055】
図4Aは、第2画素152の概略図である。
図4Bは、映像を表示するための映像光が出射される第2画素152の出射領域EA2の概略図である。
図3乃至
図4Bを用いて、第2画素152の出射領域EA2が説明される。
【0056】
第2画素152の出射領域EA2は、Rフィルタ131Rによって生成された赤色光が出射されるR出射領域ER2と、Gフィルタ131Gによって生成された緑色光が出射されるG出射領域EG2と、Bフィルタ131Bによって生成された青色光が出射されるB出射領域EB2と、を含む。スペーサ140は、第2画素152のRフィルタ131R、Gフィルタ131G及びBフィルタ131Bの領域に干渉しない。したがって、R出射領域ER2の大きさは、Rフィルタ131Rの面積に略一致する。G出射領域EG2の大きさは、Gフィルタ131Gの面積に略一致する。B出射領域EB2の大きさは、Bフィルタ131Bの面積に略一致する。本実施形態において、出射領域EA2は、第2出射領域として例示される。
【0057】
標準比視感度曲線に基づくならば、青色光は、輝度に対して最も低い寄与率を有する。緑色光は、輝度に対して最も高い寄与率を有する。赤色光は、青色光よりも高い寄与率を有する一方で、緑色光よりも低い寄与率を有する。本実施形態において、青色光が出射されるB出射領域EB2は、第1透過領域として例示される。緑色光が出射されるG出射領域EG2及び/又は赤色光が出射されるR出射領域ER2は、第2透過領域として例示される。
【0058】
図5Aは、第1画素151の概略図である。
図5Bは、映像を表示するための映像光が出射される第1画素151の出射領域EA1の概略図である。
図4A乃至
図5Bを用いて、第1画素151の出射領域EA1が説明される。
【0059】
第1画素151の出射領域EA1は、Rフィルタ131Rによって生成された赤色光が出射されるR出射領域ER1と、Gフィルタ131Gによって生成された緑色光が出射されるG出射領域EG1と、Bフィルタ131Bによって生成された青色光が出射されるB出射領域EB1と、を含む。
図5Aにおいて点線で描かれたスペーサ140は、第1画素151のRフィルタ131R及びGフィルタ131Gには重ならないが、第1画素151のBフィルタ131Bに重なる。
図5Bにおいて、Bフィルタ131Bとスペーサ140とが重なり合う重畳領域OAは、黒色の領域として示されている。本実施形態において、出射領域EA1は、第1出射領域として例示される。
【0060】
重畳領域OA内のスペーサ140は、Bフィルタ131Bへ向かう光を遮断する。この結果、重畳領域OAからは映像光(青色光)は出射されない。したがって、重畳領域OAは、出射領域EA1から除外される。
【0061】
第1画素151のRフィルタ131Rの面積は、第2画素152のRフィルタ131Rの面積に略等しい。第1画素151のGフィルタ131Gの面積は、第2画素152のGフィルタ131Gの面積に略等しい。第1画素151のBフィルタ131Bの面積は、第2画素152のBフィルタ131Bの面積に略等しい。
【0062】
第1画素151のR出射領域ER1の面積は、第2画素152のR出射領域ER2の面積に略等しい。第1画素151のG出射領域EG1の面積は、第2画素152のG出射領域EG2の面積に略等しい。しかしながら、第1画素151のB出射領域EB1の面積は、重畳領域OAの分だけ、第2画素152のB出射領域EB2の面積よりも狭くなっている。即ち、第1画素151の出射領域EA1の面積は、第2画素152の出射領域EA2の面積よりも、重畳領域OAの分だけ狭くなっている。
【0063】
図6Aは、液晶パネル100の画素配列の概略図である。
図6Bは、他の液晶パネル900の画素配列の概略図である。
図6A及び
図6Bを用いて、液晶パネル100,900の間の相違点が説明される。
【0064】
上述の如く、重畳領域OAは、液晶パネル100のBフィルタ131Bに対応して、形成される。一方、液晶パネル900の重畳領域OAは、Rフィルタ131Rに対応して形成されている。
【0065】
図7Aは、液晶パネル100に白色画像を表示させたときに表示面に映し出される映像のシミュレーション結果である。
図7Bは、液晶パネル900に白色画像を表示させたときに表示面に映し出される映像のシミュレーション結果である。
図6A乃至
図7Bを用いて、シミュレーション結果が説明される。
【0066】
上述の如く、重畳領域OAからは映像光が出射されないので、観察者は、重畳領域OAを、他の領域よりも暗いと感じる。
図7A及び
図7Bにおいて、液晶パネル100,900の表示面内において、重畳領域OAは、マトリクス状に整列している。
【0067】
図6Aに関連して説明された如く、液晶パネル100の重畳領域OAは、Bフィルタ131Bに対応して形成される。Bフィルタ131Bから出射される青色光は、標準比視感度曲線に基づくならば、輝度に対して最も低い寄与率を有する。したがって、観察者は、Bフィルタ131Bに対応して形成された重畳領域OAに起因する局所的な映像の暗化をほとんど知覚しない。
【0068】
図6Bに関連して説明された如く、液晶パネル900の重畳領域OAは、輝度に対して比較的高い寄与率を有する赤色光が出射されるRフィルタ131Rに対応して形成される。したがって、観察者は、Rフィルタ131Rに対応して形成された重畳領域OAに起因する局所的な映像の暗化を知覚しやすい。
【0069】
本実施形態において、重畳領域OAは、Bフィルタ131Bに対応して形成される。Bフィルタ131Bに対応して形成された重畳領域OAは、青色光の量を低減させる。青色光の量の低減の結果、液晶パネル100から出射される映像光の色相は、青の色相の補色に相当する黄の色相へシフトする。黄の色相は、高い比視感度を有するので、観察者は、輝度の低下を認識しにくくなる。
【0070】
後述される第2実施形態と異なり、本実施形態において、スペーサ140は、Bフィルタ131Bの領域と干渉し、他のフィルタ領域(Rフィルタ131R及びGフィルタ131G)には干渉しない。したがって、第1画素内のフィルタの配列は、本実施形態の原理を何ら限定するものではない。例えば、第1画素内において、Bフィルタは、RフィルタとGフィルタとの間に配置されてもよい。
【0071】
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態の表示装置として例示される液晶パネル100Aの画素配列の概略図である。第1実施形態と同様の要素に対して、同様の符号が割り当てられている。以下において説明されない要素に対し、第1実施形態に係る説明が好適に援用される。
図8を用いて、液晶パネル100Aの画素が説明される。
【0072】
液晶パネル100Aは、第1実施形態と同様に、Rフィルタ131R、Gフィルタ131G、Bフィルタ131B及びブラックマトリクス132を備える。
図8には、2つの第1画素151Aと、7つの第2画素152が概略的に示されている。2つの第1画素151Aのうち一方は、以下の説明において、「第1隣接画素153」と称され、他方は、「第2隣接画素154」と称される。第1隣接画素153は、第2隣接画素154の左方に隣接する。本実施形態において、第1隣接画素153及び第2隣接画素154は、一対の隣接画素として例示される。
【0073】
第1画素151A内において、Gフィルタ131Gは、Rフィルタ131RとBフィルタ131Bとの間に配置される。Rフィルタ131Rは、Gフィルタ131Gの左方に位置する。また、Bフィルタ131Bは、Gフィルタ131Gの右方に位置する。したがって、第1隣接画素153のBフィルタ131Bは、第2隣接画素154のRフィルタ131Rに隣り合う。
【0074】
液晶パネル100Aは、スペーサ140Aを更に備える。第1実施形態と同様に、スペーサ140Aは、液晶パネル100Aの液晶層のギャップを維持するために用いられる。スペーサ140Aは、第1隣接画素153のBフィルタ131Bの領域と、第2隣接画素154のRフィルタ131Rの領域と、に重なり合う。第1隣接画素153のBフィルタ131Bとスペーサ140Aとが重なり合う領域は、以下の説明において、「第1重畳領域OA1」と称される。第2隣接画素154のRフィルタ131Rとスペーサ140Aとが重なり合う領域は、以下の説明において、「第2重畳領域OA2」と称される。本実施形態において、スペーサ140Aは、干渉部材として例示される。
【0075】
第1実施形態に関連して説明された如く、Bフィルタ131Bから出射される青色光は、輝度に対して最も低い寄与率を有する。以下の説明において、青色光の寄与率は、「第1寄与率」と称される。本実施形態において、第1重畳領域OA1を除いたBフィルタ131Bの領域は、第1透過部として例示される。
【0076】
Rフィルタ131Rから出射される赤色光は、青色光の次に低い寄与率を有する。以下の説明において、赤色光の寄与率は、「第2寄与率」と称される。本実施形態において、第2重畳領域OA2を除いたRフィルタ131Rの領域は、第2透過部として例示される。
【0077】
図8に示される如く、第1重畳領域OA1は、第2重畳領域OA2よりも広い。以下、第1重畳領域OA1と第2重畳領域OA2との間の関係が説明される。
【0078】
以下の説明に用いられる「第1寄与率」及び「第2寄与率」は、標準比視感度曲線(標準比視感度関数)に応じて定められる。本実施形態において、第1寄与率を有する青色光は、第1色相の映像光として例示される。第2寄与率を有する赤色光は、第2色相の映像光として例示される。
【0079】
色域として、NTSC RGBを満足する液晶表示システムであれば、第1寄与率(青色光)と第2寄与率(赤色光)との間で、以下の数式で表される関係が大凡満足されることが知られている。尚、以下の数式において、記号「C1」は、第1寄与率を表す。記号「C2」は、第2寄与率を表す。
【0081】
第1重畳領域OA1と第2重畳領域OA2との間の面積比は、第1寄与率と第2寄与率との比の逆数に基づき定められる。本実施形態において、第1重畳領域OA1と第2重畳領域OA2との間の面積比は、以下の数式を用いて表される。尚、以下の数式において、記号「A1」は、第1重畳領域OA1の面積を表す。記号「A2」は、第2重畳領域OA2の面積を表す。
【0083】
本実施形態において、スペーサ140Aは、輝度に対する寄与率が比較的低い色相の映像光を出射するカラーフィルタ(Bフィルタ131B及びRフィルタ131R)に重なり合うので、観察者は、第1実施形態と同様に、輝度の低下を知覚しにくい。加えて、重畳領域は、複数のサブ画素に分散されるので、例えば、青単色を映像として表示した場合の輝度の低下は、第1実施形態と比べて、より知覚されにくくなる。また、重畳領域の面積比は、寄与率の比の逆数に設定されるので、観察者は、輝度低下を更に知覚しにくくなる。
【0084】
本実施形態において、第1重畳領域OA1及び第2重畳領域OA2は、2つの画素(第1隣接画素153及び第2隣接画素154)を跨いでいる。代替的に、重畳領域は、単一の画素内の2つのフィルタ領域を跨いでもよい。例えば、単一の画素内において、Rフィルタ、Bフィルタ及びGフィルタが順に配列される。スペーサがRフィルタとBフィルタとの間に配置されるならば、単一の画素内において、スペーサは2つのフィルタ領域と干渉する。本実施形態に係る寄与率に基づく重畳領域の配分に関する原理は、単一の画素内において2つのフィルタ領域に干渉するスペーサの配置に対しても好適に適用される。この結果、観察者は、スペーサに起因する輝度低下を知覚しにくくなる。
【0085】
図9は、第2実施形態の表示装置として例示される他の液晶パネル100Bの画素配列の概略図である。上述の液晶パネル100Aと同様の要素に対して、同様の符号が割り当てられている。以下において説明されない要素に対し、液晶パネル100Aに係る説明が好適に援用される。
図9を用いて、液晶パネル100Bの画素が説明される。
【0086】
液晶パネル100Bは、スペーサ140Aに代えて、映像が表示される表示面上での物体(例えば、人の手やタッチペン)の移動や物体からの圧力を検出するセンサ140Bを備える。したがって、液晶パネル100Bは、タッチパネルとして利用可能である。
【0087】
センサ140Bは、上述のスペーサ140Aと同様に、第1重畳領域OA1と第2重畳領域OA2とを形成する。本実施形態において、センサ140Bは、干渉部材として例示される。
【0088】
本実施形態の原理は、干渉部材が複数の画素に跨って配置されることを許容する。したがって、センサ140Bは、広い領域で物体の移動や物体からの圧力を検出することができる。
【0089】
上述の様々な実施形態の原理は、他の表示装置にも適用可能である。例えば、表示装置は、有機EL素子の発光を利用して、映像を表示してもよい。上述の実施形態の原理は、有機EL素子を内封する一対の基板間に配置されたスペーサによる輝度低下を知覚させにくくする。
【0090】
上述の実施形態において、干渉部材として、スペーサやセンサが例示されている。代替的に、画素に干渉する他の部材が干渉部材であってもよい。上述の実施形態の原理は、画素に干渉する様々な部材に起因する輝度の低下を目立たなくさせることができる。