【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の側面によると、この目的は、ガイドチューブと、ガイドチューブに変位可能に挿入されたピストンと、ガイドチューブ内においてピストンを変位させるためにピストンに力を印加するための作動アセンブリと、計測される媒体を収容するためのチャンバとを備えた計測デバイスによって達成され、その計測される媒体は、ピストンの変位に従って吸引可能又は分配可能であり、作動アセンブリは、本発明に従って、ピストンと磁気的に相互作用するように設計される。
【0008】
従って、本発明の重要な側面は、磁気的相互作用を介したピストンの作動である。これは、ガイドチューブ内におけるピストンの変位のための力が磁場に起因する磁力であることを意味している。従って、従来の計測デバイスとは対照的に、ピストンの移動は、隣接する素子とピストンとの間の機械的力の伝達ではなくて、非接触の磁気的相互作用によって行われる。作動アセンブリとピストンとの間の機械的結合の欠如は、作動ギアクリアランス若しくはモータクリアランス又は摩擦に起因して従来の計測デバイスにおいては回避することができない誤差の源を排除する。従って、本発明に係る計測デバイスは、磁場がステップダウンギアによって動かされる磁場発生手段を用いて発生及び変更される場合に、ピストンに対する振動の伝達、クリアランスに関するギアの影響などを大幅に防止することができる。従って、本発明に係る計測デバイスは、非常に高い計測精度で、計測される媒体をくみ上げるか又は放出することを可能にする。
【0009】
更に、磁場を用いたピストンの移動は、高度にダイナミックな計測を可能にする。計測プロセス中に磁場が電気的又は電子的手段によって(例えば、コイルのスイッチ切り替えによって)リセットされると、ピストンの移動は、非常に僅かな遅延でのみ進行できる。
【0010】
原理的には、ピストン自体が磁場を発生させることができ、例えば永久磁石を備え、作動アセンブリの磁気又は磁化可能(特に強磁性)素子と相互作用するようになり、ピストンの変位が、ガイドチューブに対する作動アセンブリの磁気又は磁化可能素子の移動によってもたらされる。しかしながら、媒体を計測するための磁場の駆動に関しては、作動アセンブリが磁場を発生させるための磁場発生手段を備えることが有利であると考えられる。従って、ガイドチューブの外側の磁場を発生及び駆動させるための手段は、磁気的に有効な距離において配置される。
【0011】
磁場発生手段との相互作用に関して、ピストンは少なくとも部分的に磁化可能物質又は永久磁性体で形成されることが好ましい。好ましくは、磁化可能物質は強磁性体であると理解される。しかしながら、この用語は、常磁性体、反磁性体(超伝導体)、フェリ磁性体もカバーし、これらは、ガイドチューブ内の変位に関して重要であるピストンに力を印加するために磁場において十分な磁化可能性を示す。
【0012】
更に好ましい実施形態では、ピストンは、磁化可能液体(好ましくは磁性流体)で形成され得る。この実施形態は、ピストンとガイドチューブとの間の特に低い摩擦力に起因して、特に高度にダイナミックなピストンの移動を可能にする。更に、磁性流体はそれ自体が非常に単純且つ確実にガイドチューブを密封し、計測デバイスの信頼できる動作を単純な手段によって保証できるようになる。磁場内において、磁化可能液体はより高い磁場強度の領域に留まろうとするので、磁化可能液体が、一方ではガイドチューブ内において確実に密封して分布したままとなり、他方では外部磁場に従ってガイドチューブ内において移動可能となる。
【0013】
本発明に係る計測デバイスの磁場発生手段は、磁束がガイドチューブに対して実質的に軸方向にピストンを通る磁場を発生させることが好ましい。このように向けられた磁束によって、磁場とピストンとの間の相互作用が、ピストンの変位方向に向けられて、ピストンに対する力の作用が、ピストンの変位方向において十分に機能できる。究極的には媒体を計測するためのピストンの移動を達成するために、磁場のサイズ、向き又は位置の変更が必要となる。最も単純な場合、これは、磁場をオン又はオフにすることによって達成可能であり、例えば、ピストンが、所定の期間にわたり磁石によって引き寄せられるか反発して、特定の距離で変位する。代替的に又は追加的に、磁場は、磁場発生手段の移動によって、ガイドチューブに対して相対的に動かされ得て、ピストンがこの移動に従うようになる。更なる代替的な又は追加的な可能性として、磁束の方向及び強度の局所的な変更(例えば、個々の磁石/コイルを制御/移動させることによる複数の磁石及び/又はコイルを有する配置)によって、磁場の磁束の方向又は強度が変更可能であり、又は、磁場の“変形”がもたらされ得て、これに従って、ピストンに作用する磁力が変化して、ピストンの変位をもたらす。
【0014】
特に単純な一実施形態では、磁場発生手段は、ガイドチューブを同軸状に取り囲む環状永久磁石を備える。ピストンを動かすため、永久磁石をガイドチューブの軸方向に変位させることができて、特にピストンは、環状永久磁石の中心に留まるようにされる。代わりに、ピストンが反発するように永久磁石を磁化させることもできる。
【0015】
更なる好ましい実施形態は、少なくとも一つのコイルを備えたコイルアセンブリを備えた磁場発生手段を提供し、そのコイルの巻き線がガイドチューブを同軸状に取り囲む。このようなコイルは、そのコイルに与えられる電流強度の制御によって可変磁場を構築することができて、その軸中心方向において調整可能な力でピストンを引く。代替的に又は追加的に、コイルをガイドチューブに対して同軸状に変位されて、ピストンを動かすことができる。
【0016】
フレキシブルで正確な計測用の特定の可能性は、複数のコイルを有するコイルアセンブリを備えた磁場発生手段の実施形態において提供され、それらコイルの巻き線は各々ガイドチューブを同軸状に取り囲み、コイルは互いに軸方向にずらされている。個々のコイルに与えられる電流強度を調整することによって、ガイドチューブ内に広がる磁場を、その全強度及び軸方向磁束分布に関して変更することができて、ピストンをガイドチューブ内の所定の位置に引く。単純な場合、軸方向に間隔を空けて配置された二つのコイルを交互に作動させて、ピストンを二つの位置の間で移動させることができる。
【0017】
本発明の目的のため、複数のコイルを備えたコイルアセンブリは、単巻変圧器(オートトランス)型の構造も含み、その単巻変圧器は、端部コンタクトと中心タップコンタクトとを有する連続的なコイル巻き線を有し、端部コンタクトと中心タップコンタクトとの間の二つのコイル部が独立的に駆動可能である。このようなコイルアセンブリの更なる変形例では、中心タップコンタクトを、端部コンタクト間においてコイル軸に沿って変位させて、二つのコイル部の巻き数の比を変更することができる。
【0018】
磁場を発生させて、その磁場内に本発明に従って計測デバイスのピストンを配置して、磁場の変更又は計測デバイスの他の素子の移動によってガイドチューブ内におけるピストンの所望の変位をもたらすための多数の更なる可能性は、当業者に知られているものである。
【0019】
好ましくは、本発明の計測デバイスは、磁場のサイズ及び/又は位置及び/又は方向を制御するための制御デバイスを更に備え、ガイドチューブ内のピストンの移動及びピストンの位置を駆動し得る。電子制御デバイスは、ピストンの確実且つ高速で精密な移動及び位置決めを可能にして、また、必要であれば、例えば吸引又は分配された媒体の量を検出する位置検出器又ははかりから、ピストンの移動又は位置を示す検出値のフィードバックによるピストンの位置の閉ループ制御を可能にする。
【0020】
本発明の第二の側面によると、本発明の目的は、ガイドチューブと、ガイドチューブに変位可能に挿入されたピストンと、計測される媒体を収容するためのチャンバとを備えた計測デバイスによって達成され、その計測される媒体は、ピストンの変位に従って吸引可能又は分配可能であり、磁化可能液体の潤滑膜が、ピストンとガイドチューブとの間に本発明に従って配置され、その計測デバイスは、潤滑膜に作用する磁場を発生させるための磁場発生手段を備える。従って、本発明の第二の側面の特徴も、磁気的相互作用によって媒体を計測するためのピストンの移動を促進するために、計測デバイスのピストンの領域内において磁化可能物質を使用することである。本発明の第二の側面によると、磁場発生手段の磁場は、磁化可能液体で形成された潤滑膜がピストンとガイドチューブとの間の空間に確実に留まることを保証する。これは、一方では、ピストンの高度にダイナミックで低摩擦の移動を可能にするという利点を有する。他方では、本発明の第二の側面は、計測デバイスの周囲に対するチャンバの密封性の顕著な増大を達成することを可能にする。
【0021】
本発明の計測デバイスは、本発明の第一の側面の特徴と第二の側面の特徴を併せ持つことが特に好ましく、つまり、磁場は、ピストンとガイドチューブとの間の磁化可能液体の安定な潤滑膜を保証するのと同時に、媒体を計測するためにガイドチューブ内においてピストンを移動させる。これは、潤滑膜がピストンの位置に配置されていて磁場内においてピストンと共に移動する場合に、潤滑膜が出て行ってしまうことを特に確実に防止するという利点を有する。
【0022】
潤滑膜の軸方向位置を確実に予め決めることを可能にするため、磁場発生手段は、磁束がピストンの位置においてガイドチューブに対して実質的に軸方向に向けられている磁場を発生させるように設計されることが好ましい。本実施形態も本発明の第一の側面の特徴と組み合わせられると、ピストンの位置を、磁場内において確実に設定することができる。何故ならば、ピストンの変位方向は、ピストンの位置における磁場の方向と実質的に一致するからである。
【0023】
本発明の第三の側面によると、本発明の目的は、計測デバイス(特に本発明の第一及び/又は第二の側面に係る計測デバイス)を用いて媒体を計測するための計測方法によって達成され、その計測デバイスは、ガイドチューブと、ガイドチューブに変位可能に挿入されたピストンと、計測される媒体を収容するためのチャンバとを備え、その計測される媒体は、ピストンの変位に従って吸引又は分配され、本計測方法は、磁場を提供するステップと、ピストンと磁場との磁気的相互作用によってピストンに力を印加するステップとを備える。また、このような計測方法は、実質的に機械的な結合無しでピストンに磁力を印加することによって、高度にダイナミック且つ単純で精密な計測を達成することを可能にし、その磁力は、ピストンと磁場との相互作用に起因するものである。磁場の位置、方向又はサイズを変更することによって、又は磁場を変形することによって、媒体を計測するためのピストンの移動がガイドチューブ内において生じ得る。
【0024】
本計測方法は、本発明の第一及び/又は第二の側面の実施形態に係る計測デバイスを用いて行われることが好ましく、本発明の第一又は第二の側面の個々の実施形態について説明される効果及び利点が得られる。
【0025】
本計測方法が、複数のコイルを有するコイルアセンブリを備えた計測デバイスで実施される場合、そのコイルの巻き線は各々ガイドチューブを同軸状に取り囲み、そのコイルは互いに軸方向にずらされていて、コイルにそれぞれ与えられる電流強度は、吸引又は放出されるドーズ量に従って制御可能であり、電子手段で所望の量の計測される媒体を高速且つ正確にくみ上げるか又は放出することができる。
【0026】
本発明の第四の側面によると、この目的は、ガイドチューブと、ガイドチューブに変位可能に挿入されたピストンと、ガイドチューブ内においてピストンを変位させるためにピストンに力を印加するための作動アセンブリとを備えた計測デバイスによって達成され、その計測されるデバイスは、ピストンの変位に従って吸引可能又は分配可能であり、作動アセンブリは、ピストンと磁気的に相互作用するように設計され、そのピストンは永久磁石を備える。本発明の第四の側面のピストンの永久磁石は、永久的なエネルギーの投入がなくても所定の磁化を保持して、その磁化を用いて、作動アセンブリによるピストンの位置決め又は移動を行うことができる。従って、永久磁石の使用は、計測デバイスを作動させるのに必要なエネルギーの減少を可能にする。
【0027】
第四の側面の計測デバイスのピストンは、少なくとも二つの相互に隣接する永久磁石部を備えることが好ましく、それら永久磁石部の磁化は、ガイドチューブに対して軸方向に延伸し、相互に隣接する永久磁石部の磁化は、互いに逆方向に向けられる。このような配置においては、比較的強力で放射状に延伸する磁場を、磁化の方向が変化する点(つまり、隣接する永久磁石部の接合)において発生させることができ、その磁場は、ピストンの軸方向位置の特に正確な位置決め及び高い空間分解能を可能にする。これは精度を上昇させて、計測デバイスの計測精度の改善へと反映されるが、これは、ピストンの軸方向変位に対する磁場の比較的大きな変化に因るものである。
【0028】
上述の効果は、相互の逆の磁化を有する単に二つの相互に隣接する永久磁石部を提供することで得られるものであるが、第四の側面に係る本発明の好ましい実施形態は、二つよりも多くの永久磁石部をガイドチューブの軸方向に配置することを提供し、隣接する永久磁石部は、相互に逆の磁化を有する。各磁石部は一方の軸方向端におけるN極と、他方の軸方向端におけるS極とを有するものと考えられるので、本発明の第四の側面に係る交互の磁化方向を有する永久磁石部の構造を、相互に隣接する永久磁石部が互いのS極又はN極を向き合わせていると説明することもできる。顕著に放射状に延伸する特に強力な磁場の効果が、隣接する永久磁石部のN極又はS極が合わさる接合領域に常に正確に生じる。
【0029】
第四の側面の本発明の特に単純な実施形態においては、永久磁石で形成される永久磁石部が互いに固定されて、隣接する永久磁石のN極が互いに向き合い且つ互いに隣接するようにされて、又は、隣接する永久磁石のS極が互いに向き合い且つ互いに隣接するようにされる。このようにして構成されるピストンは、複数の既知のシリンダー状永久磁石から極めて簡単に形成可能であり、それらの永久磁石は、交互の向きで、互いに取り付けられて、好ましくは接着剤で互いに結合される。しかしながら、代替的に、本発明の第四の側面に係るピストンは、対応する形状の磁場に晒して強磁性体を磁化することによっても達成可能である。
【0030】
本発明の更なる実施形態では、ピストンが少なくとも一つの密封部材を備え、その密封部材はガイドチューブの内壁と永久磁石部又は永久磁石との間に配置される。このようにして、ピストンの永久磁石自体がガイドチューブの内寸に完全にフィットしなければならないことが必須ではなくなり、確実な密封が永久磁石とガイドチューブとの間に保証されるという利点が得られる。この場合、少なくとも一つの密封部材は、キャップ上の形状となり、永久磁石の軸方向の上端及び/又は軸方向の下端に配置されるか、又は、軸方向の最も上及び/又は軸方向の最も下の永久磁石部の上に配置されるものである。このようにして、キャップ状の密閉部材を、永久磁石体の端部に配置することができて、永久磁石体の端の円周部及び端面を取り囲み、計測される媒体と永久磁石体との間の接触を回避することができる。
【0031】
第四の側面に係る本発明は、本発明の第一から第三の側面の主題とは別個独立に本発明の目的を達成する。しかしながら、好ましくは、第四の側面の計測デバイスの特徴が、第一から第三の側面の一以上の特徴と組み合わせられて、第一から第三の側面に関してそれぞれ上述した利点及び効果が得られる。
【0032】
上述の第一から第四の側面のうち一以上に係る本発明の実施形態によると、作動アセンブリは、磁場を発生させるための磁場発生手段を備え、その磁場発生手段は、少なくとも一つのコイルを有するコイルアセンブリを備え、その少なくとも一つのコイルは、少なくとも一つの巻き線を備え、その少なくとも一つの巻き線は、ガイドチューブの周囲の一部のみを取り囲む。
【0033】
従って、この実施形態では、コイルの少なくとも一つの巻き線は、ガイドチューブを完全に取り囲まず、つまり、ガイドチューブの周りに完全に(360度の円周角で)巻かれておらず、ガイドチューブの円周の一部のみにわたって(360度未満の円周角で)伸びて、ガイドチューブの円周の他の部分には巻き線が存在しない。このようにして、ガイドチューブが、巻き線で覆われた円周部においてもアクセス可能となり、例えば、計測プロセスの目視検査が可能になり、又は、ガイドチューブに対するピストンの位置又は移動を検出するための位置検出素子を配置することができる。巻き線によって覆われていない部分のサイズ及び巻き線のプロファイルに応じて、後述のように、その配置に関する利点、特に、複数の隣接するピペットの配置又は隣接するコイルの配置の密度に関する利点を得ることができる。
【0034】
上述の実施形態と同様の方法には、第一から第四の側面に係る本発明の更に有利な実施形態が伴い、作動アセンブリが、磁場を発生させるための磁場発生手段を備え、その磁場発生手段は少なくとも一つのコイルを有するコイルアセンブリを備え、その少なくとも一つのコイルは少なくとも一つの巻き線を備え、その少なくとも一つの巻き線は、ガイドチューブの長手方向中心軸を含む長手方向中心面の一方の面の上に完全に延伸する。このようにして、コイルが、ガイドチューブの周囲に存在する空間の半分のみを実質的に占有することが保証され得る一方、他の半分は完全にアクセス可能であり、例えば、同様の第二のコイルのため、位置検出素子のため、又は複数のピペットを共に便利に接続するためにアクセス可能となる。
【0035】
特に、コイルアセンブリは、少なくとも一つの第一の巻き線を有する第一のコイルと、少なくとも一つの第二の巻き線を有する第二のコイルを備えるものとされ、少なくとも一つの第一の巻き線は長手方向中心面の一方の面の上に完全に延伸し、少なくとも一つの第二の巻き線は長手方向中心面の他方の面の上に完全に延伸する。ガイドチューブの対向する面に配置されたコイルを用いて、ガイドチューブの内側に特に均一で明確な軸方向磁場を発生させることができ、又は磁場を特に確実に検出することができる。この場合、長手方向中心面の領域内のガイドチューブの円周の一部は、第一のコイルの巻き線によっても第二のコイルの巻き線によっても覆われていないままであり、ガイドチューブにアクセス可能となり、例えば、位置検出素子又は計測プロセスの目視検査のためにアクセス可能となる。
【0036】
上述の後半二つの実施形態の好ましい変形例では、コイルの少なくとも一つの巻き線が、ガイドチューブの外壁に接触しているガイドチューブの二つの相互に平行な接平面の間に完全に延伸するようにされる。この変形例では、特に複数のガイドチューブが互いに接続される場合に、高いパッキング密度を得ることができる。何故ならば、隣接するガイドチューブを互いに比較的短い距離で配置することができるからである。特に、ガイドチューブを完全に取り囲む複数の巻き線は、空間を急激に必要とするようになるものであるが、本発明のこの変形例に係るコイルアセンブリを用いる場合には、隣接するガイドチューブ間の最小の間隔は、コイルの少なくとも一つの巻き線の厚さによって決められるものではない。代わりに、上述の隣接するガイドチューブの接平面が互いに実質的に平行に延伸するように、互いに隣接して配置された本発明のこの変形例に係るガイドチューブの列が互いに接続される。そして、隣接するガイドチューブの外壁が接触するかほとんど接触するように密接して、ガイドチューブが互いに隣接して配置され得る。
【0037】
好ましくは、ガイドチューブの円周の一部のみを取り囲む一つの巻き線部は、特にガイドチューブの円周方向において、ガイドチューブの外壁に沿って延伸する。一つのこのような巻き線部は、ガイドチューブの内側に軸方向に延伸する磁場を発生させることができて、この磁場がピストンと相互作用し得る。
【0038】
更に、少なくとも一つの巻き線の一部は、ガイドチューブの外壁に沿って軸方向に延伸し得る。このような軸方向の巻き線部は、好ましくは、同じ巻き線内における上述の円周方向に延伸する巻き線部に接続されて、軸方向の巻き線部によって発生する磁場が、ピストンとあまり相互作用しないようになり、軸方向の巻き線部が主に、円周方向に延伸する巻き線部に対する電流の供給/放出の機能を果たす。
【0039】
円周方向に延伸する巻き線部と軸方向の巻き線部との特に有利な組み合わせが、上述の本発明の第四の側面と共に得られ、ピストンが、少なくとも一つの永久磁石、特に、交互の磁化方向で相互に隣接する複数の永久磁石部を備える。有利には、軸方向に延伸する巻き線部の軸方向長さは、永久磁石部又は永久磁石の長さに適合し得る。
【0040】
本発明の更なる変形例では、ガイドチューブの円周の一部のみを取り囲む少なくとも一つの巻き線部が、ガイドチューブに向けて延伸し、次に、ガイドチューブに沿って延伸し、次に、ガイドチューブから離れるように延伸する。この変形例では、巻き線の一部は、ピストンの位置において所望の磁場を発生させることに寄与できず、ガイドチューブから距離を置いて、その磁場が、ガイドチューブに沿って延伸する巻き線のアクティブ部分の磁場と干渉しないようにされる。容易に設定可能であり比較的一様な磁場をガイドチューブ内部に構築することができるが、通常のコイルの巻き線の場合と異なり、少なくとも一つの巻き線は、ガイドチューブを完全に取り囲まない。
【0041】
上述のように、位置検出素子は、少なくとも一つの巻き線によって取り囲まれていないガイドチューブの円周の一部に配置され得る。この位置検出素子は、位置検出器の一部であり得て、その位置検出素子を用いてピストンの移動又は位置を示す検出値を検出する。この検出値は、特に本発明の第一の側面に関して説明したピストンの位置の閉ループ制御用に使用可能であり、制御デバイスが、検出値のフィードバックによってピストンの位置を制御する。これは、非常に正確な自動化計測を可能にする。
【0042】
同様に、位置検出素子は、ピストンと磁気的に相互作用するように設計可能であり、つまり、特にピストンが発生させる磁場を検出することによってピストンの位置及び/又は移動を求めることができる。ピストンによって発生する磁場は、ピストンを制御すること(ピストンへの力の伝達)、及び、ピストンの位置/移動を検出することの両方のために同時に使用可能であり、構成を単純化する。
【0043】
以下、添付図面を参照して、好ましい例示的な実施形態に基づいて、本発明について詳述する。