(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記接続板は、回路基板間で前記ケーブルを伝送する第1の信号よりも伝送速度が遅い第2の信号が通信可能となるように接続させる配線層を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の通信装置。
前記第2の面と対向する前記第4の面において回路基板間で前記ケーブルを伝送する第1の信号よりも伝送速度が遅い第2の信号が通信可能となるように接続させ、前記第4の空間において引き回される他のケーブルを有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の通信装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明にかかる通信装置の冷却構造は、バックプレーンに冷却風を通す通気口を設けた前後吸排気方式の冷却構造である。まず、通信装置の冷却構造を説明する前に、通信装置内に存在する回路基板について説明する。
【0014】
<複数の回路基板とそれらの接続関係>
図1は、複数の回路基板とそれらの接続関係の一例を示すブロック図である。複数の回路基板100は、複数の基本制御ユニット101と、複数のパケットプロセッシングユニット102と、複数のスイッチファブリックユニット103と、を含む。
【0015】
基本制御ユニット101は、メインCPU(Central Processing Unit)111およびメインメモリ112を搭載する。基本制御ユニット101は、装置管理、経路情報管理、プロトコル処理、およびインターフェース制御を行う。基本制御ユニット101は、複数のパケットプロセッシングユニット102、複数のスイッチファブリックユニット103、および後述する電源ユニットに、上述した制御のための制御信号を入出力する。
【0016】
パケットプロセッシングユニット102は、パケットの解析や転送を行う。パケットプロセッシングユニット102は、転送エンジン121、パケットバッファ122、ヘッダバッファ123、検索エンジン124、経路検索用CAM(Content Address Memory)125、ARP(Address Resolution Protocol)検索用CAM126、フィルタ・QoS(Quality of Service)処理用CAM127、ローカルスイッチ128およびネットワークインターフェース(NIF)ユニット129を搭載する。
【0017】
スイッチファブリックユニット103は、クロスバスイッチ131を搭載する。クロスバスイッチ131は、バックプレーンを介して、パケットプロセッシングユニット102に搭載されているローカルスイッチ128と相互接続される。これにより、クロスバスイッチ131を介して接続されたパケットプロセッシングユニット102間のバックプレーン伝送が行われる。
【0018】
NIFユニット129は、各パケットプロセッシングユニット102に搭載される。NIFユニット129は、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)などのネットワーク網に接続される入出力ポートである。具体的には、NIFユニット129は、回線アダプタ191およびPHY(Physical Layer)チップ192を搭載する。PHYチップ192は、物理接続の確立/維持/解放等の物理層処理を行う。
【0019】
基本制御ユニット101、パケットプロセッシングユニット102、およびスイッチファブリックユニット103は、通常は回路基板として構成され、バックプレーンを介して相互接続される。NIFユニット129はパケットプロセッシングユニット102内の一要素として構成される場合と、回路基板として独立に構成される場合があるが、本例では前者の構成が採用される。また、転送エンジン121、検索エンジン124、ローカルスイッチ128、クロスバスイッチ131等は、必要な機能を集積したLSI(Large Scale Integration)として構成される。
【0020】
次に、通信装置内のパケット処理の流れを簡単に説明する。外部インターフェースからパケットがNIFユニット129に到着すると、パケットは回線アダプタ191、PHYチップ192を介して、転送エンジン121に送られる。転送エンジン121は、パケット内に含まれるデータ情報をパケットバッファ122に、ヘッダ情報をヘッダバッファ123に格納する。例えば、Ethernet(Ethernetは登録商標、以下同じ)パケットのヘッダ部には、同期用プリアンブル、スタートフレーム、受信先及び送信先MAC(Media Access Control)アドレス、データ長等の情報が含まれる。
【0021】
検索エンジン124は、転送エンジン121からヘッダ情報を受け取り、各種テーブルを参照してパケット転送の制御に必要な情報を取得する。検索エンジン124が参照するテーブルとしては、経路テーブル、ARPテーブル、フィルタ・QoSテーブルがあるが、ここでは経路テーブル、フィルタ・QoSテーブルが参照される。経路テーブルは、経路検索処理を行うためのテーブルであり、経路検索用CAM125に格納されている。フィルタ・QoSテーブルは、パケットのフィルタリング条件、廃棄条件、通信装置内の転送処理優先度等の情報であり、フィルタ・QoS処理用CAM127に格納される。これらの検索結果は、転送エンジン121に戻される。
【0022】
転送エンジン121は、検索結果からパケットが転送されるべき入出力ポートを指定し、ローカルスイッチ128、スイッチファブリックユニット103に搭載されているクロスバスイッチ131へと転送する。更に、クロスバスイッチ131は、該当するパケットプロセッシングユニット102へ転送し、ローカルスイッチ128から転送エンジン121に送られる。転送エンジン121は、受信したパケットをパケットバッファ122、ヘッダバッファ123に格納する。検索エンジン124は、転送エンジン121からヘッダ情報を受け取り、ARP検索用CAM126に格納されているARPテーブルからMACアドレスを取得する。
【0023】
ARPテーブルは、Ethernet通信のために用いられるIP(Internet Protocol)アドレスとMACアドレスの対照表であり、MACアドレスで表される装置が接続されるポート番号の情報が格納されている。この検索結果は、転送エンジン121に戻され、特定された入出力ポートを持つNIFユニット129からパケットを外部インターフェースへ送出する。このように、通信装置内では、複数の回路基板100間でデータ伝送が行われる。
【0024】
近年、回路基板100間でのデータ伝送では、バスをシリアル化して高速でデータ伝送するSerDes(Serializer/Deserializer)が用いられる。通信装置内のバックプレーンでは、SerDesを用いて高速なデータ伝送を行うことが多く、伝送線路で生じる高周波損失や符号間干渉により、受信側でデータを正しく受信できなくなるという問題が生じてしまう。この高周波損失や符号間干渉に起因する問題を補償する技術として、等化技術が広く用いられている。等化技術として、以下の2つが挙げられる。
【0025】
・デエンファシス(データ送信側で行う等化技術)
・イコライジング(データ受信側で行う等化技術)
【0026】
デエンファシスは、伝送線路における伝送損失の周波数特性に応じてデータ送信側で出力バッファの出力電圧レベルを強調し、入力バッファが受信する信号振幅を均一にする等化技術である。イコライジングは、伝送線路における伝送損失の周波数特性に応じてデータ受信側で入力バッファの利得特性を特定周波数帯のみ高くし、入力バッファが受信する信号振幅を均一にする等化技術である。通信装置では、装置立ち上げ時にトレーニング処理が行なわれ、出力バッファ内のデエンファシス回路の強調値が最適化され、入力バッファ内の増幅回路の利得特性が特定周波数帯で最適化され、その後に装置運用が開始される。これにより、通信品質が確保される。
【0027】
なお、回路基板100間を相互接続するバックプレーンは、回路基板または電気ケーブルで構成されるのが一般的であるが、高周波損失によって電気伝送の限界が見え始めているため、光ケーブルも採用される。
【0028】
図2は、複数の回路基板100とそれらの接続関係の他の例を示すブロック図である。
図2では、各パケットプロセッシングユニット102において、ローカルスイッチ128に接続される光デバイス120が搭載される。また、各スイッチファブリックユニット103において、クロスバスイッチ131に接続される光デバイス130が搭載される。これにより、パケットプロセッシングユニット102の光デバイス120とスイッチファブリックユニット103の光デバイス130とが接続され、光伝送が可能となる。
【0029】
つぎに、上述した回路基板100を搭載した通信装置の冷却構造について説明する。上述したように、本発明にかかる通信装置の冷却構造は、バックプレーンに冷却風を通す通気口を設けた前後吸排気方式の冷却構造である。なお、以下の実施例では、一例として
図2の回路基板100の接続関係を例に挙げて説明する。
【0030】
<実施例1>
図3は、実施例1にかかる通信装置の分解斜視図であり、
図4は、実施例1にかかる通信装置の正面図および側断面図である。通信装置300は、筐体301と、バックプレーン302と、背面板303と、を有する。また、
図3中、太矢印は冷却風の風向である。筐体301内には、
図1に示した複数の回路基板100が設けられる。複数の回路基板100は、筐体301の前面から水平な状態で挿入される。筐体301内には複数の回路基板100の一例として、上段から1段目に基本制御ユニット101、2段目、3段目、6段目、および7段目にパケットプロセッシングユニット102、4段目および5段目にスイッチファブリックユニット103が挿入される。なお、8段目および9段目(最下段)には、電源ユニット306が挿入される。電源ユニット306も回路基板100の一種である。
【0031】
筐体301の前面には、前面板304が設けられる。前面板304は、筐体301内に冷却風を通すメッシュ状の通気口305を有する。これにより、前面板304から筐体301内に冷却風が吸気される。また、前面板304には、各回路基板100の回線アダプタ191が表出する。これにより、冷却風を通しつつ、外部のインターフェースと回線アダプタ191とが接続可能となる。
【0032】
バックプレーン302は、複数の回路基板100を接続する基板(接続板)である。バックプレーン302の一方の面である前面302aには、複数のコネクタ320が設けられ、各コネクタ320は各回路基板100と接続される。また、バックプレーン302には、複数の通気口321が形成される。バックプレーン302に接続された各回路基板100は、対応する通気口321の一部を塞ぐように配置される。冷却風を通過させるため、各回路基板100は、対応する通気口321のすべては塞がない。
【0033】
これにより、回路基板100を通過する冷却風が通気口321を通過する。また、回路基板100間を電気的または光的に接続するケーブル400は、コネクタ320を介して他方の面である後面302b側に引き回されて接続される。これにより、回路基板100間の信号の伝送及び給電が実行される。なお、これらの回路基板100の搭載数は、本図での搭載数に限らない。
【0034】
また、上述したように、通信装置300の信頼性を高めるため、筐体301には、複数の電源ユニット306が挿入され、通信装置300の冗長化が実現される。複数の電源ユニット306は通信装置300の前面から水平状態に挿入される。通信装置300に供給される電源としては、AC機ではAC100[V]またはAC200[V]が、DC機ではDC48[V]が用いられることが多く、これらが電源ユニット306に印加される。電源ユニット306は、AC/DC変換処理またはDC/DC変換処理によりDC48[V]またはDC12[V]を出力する。
【0035】
電源ユニット306は、コネクタ320の一例である電源ユニットコネクタ322によってバックプレーン302と接続され、バックプレーン302を介して各回路基板100へDC48[V]またはDC12[V]が給電される。なお、電源ユニット306の搭載数は、本図での搭載数に限らない。
【0036】
背面板303には、複数の冷却ファン330が搭載される。冷却ファン330は回路基板の積載方向に沿って設けられる。冷却ファン330により、通信装置300は、通信装置300の前面板304から冷却風を強制的に吸気し、回路基板100、通気口321を通ってきた冷却風を排気させる。冷却ファン330の搭載数は、本図での搭載数に限らない。
【0037】
このように、バックプレーン302は、筐体301の内部の空間を、複数の回路基板100が接続される前面302a側の第1の空間と、ケーブル400が引き回される後面302b側の第2の空間とに分断する。第1の空間と第2の空間は、通気口321により連通される。また、ケーブル400は、第2の空間のうち、後面302bに対し通気口321を冷却風の通気方向に投影した第3の空間を除く第4の空間において引き回される。
【0038】
これにより、筐体301の前面からの冷却風がケーブル400に当たりにくくなるため、冷却風の通過を妨げない。また、冷却風が当たりにくくなるため、ケーブル400の揺れが抑制される。したがって、ケーブル400が電気ケーブルの場合、接触不良や電気抵抗が抑制され、誤動作を抑制することができる。また、ケーブル400が光ケーブルの場合、光軸ずれや接続角度ずれによる損失を低減することができる。
【0039】
図5は、実施例1にかかるバックプレーン302の正面図であり、
図6は、実施例1にかかるバックプレーン302の背面図である。
図6中、太矢印は風向きである。バックプレーン302は、正面となる前面302aにおいて、筐体301に固定するための9か所のネジ穴500、2列18個の通気口321、基本制御ユニット101の制御信号用コネクタ501、パケットプロセッシングユニット102の制御信号用コネクタ502、スイッチファブリックユニット103の制御信号用コネクタ503、電源ユニットコネクタ322、高速信号用コネクタ504を有している。コネクタ320(501〜504)間を結ぶ線は、バックプレーン302に敷設された信号線である。この信号線は、制御信号など比較的低速なデータ伝送を行う信号を伝送する。高速なデータ伝送を行う信号は、背面となる後面302b側に引き回したケーブル400により伝送される。
【0040】
制御信号用コネクタ501〜503と高速信号用コネクタ504とは、前面302aにおいて通気口321を挟んで分離して配置される。具体的には、
図6に示したように、バックプレーン302は、後面302bにおいて、高速信号用直交型コネクタ604を有する。各高速信号用直交型コネクタ604はそれぞれ、真裏にある前面302aの高速信号用コネクタ504と接続される。高速信号用直交型コネクタ604間は、電気的にまたは光的に接続するケーブル400により接続される。
【0041】
ケーブル400は、前面302aからみて、通気口321と重複しないように配置される。すなわち、ケーブル400は、後面302bにおいて、後面302bのうち通気口321を除いた領域からはみ出さないように配置される。これにより、筐体301前面からの冷却風がケーブル400に当たりにくくなるため、冷却風の通過を妨げない。また、冷却風が当たりにくくなるため、ケーブル400の揺れが抑制される。したがって、ケーブル400が電気ケーブルの場合、接触不良や電気抵抗が抑制され、誤動作を抑制することができる。また、ケーブル400が光ケーブルの場合、光軸ずれや接続角度ずれによる損失を低減することができる。
【0042】
また、ケーブル400の揺動抑制手段の一例として、固定部材601が用いられる。固定部材601は、ケーブル400を後面302bに固定する。固定部材601は、複数本のケーブル400を束ねて後面302bに固定してもよい。ケーブル400の揺動抑制手段の他の例として、遮蔽板800を用いてもよい。遮蔽板800は、
図3に示した背面板303の冷却ファン330が搭載される面に設けられる。遮蔽板800は背面板303の板面に直交する。2枚の遮蔽板800は、バックプレーン302に接続されたケーブル400と通気口321との間に設けられ、ケーブル400を冷却風から遮蔽する。なお遮蔽板800と固定部材601は、両方ともに設けてもよく、少なくとも一方設けてもよい。
【0043】
これにより、ケーブル400は冷却風を受けなくなるため、ケーブル400の揺れが抑制される。したがって、ケーブル400が電気ケーブルの場合、接触不良や電気抵抗が抑制され、誤動作を抑制することができる。また、ケーブル400が光ケーブルの場合、光軸ずれや接続角度ずれによる損失を低減することができる。
【0044】
図7は、固定部材601と固定部材601により固定されたケーブル400を示す側面図である。高速信号用直交型コネクタ604間を接続するケーブル400は、その中途部700が後面302b側に曲げられ、固定部材601により固定される。このときのケーブル400の曲げ半径Rは、所定の曲げ半径以上とする。所定の曲げ半径とは、ケーブル400の通信品質が劣化しない曲げ半径の最小値である。具体的には、たとえば、曲げ半径Rは、ケーブル400の外径Dに対して、電気ケーブル400の場合は5倍〜10倍、光ケーブル400の場合は10倍〜20倍が好ましい。したがって、ケーブル400の曲げ半径を緩やかに保つことができ、ケーブル400が損傷や特性の劣化を抑制することができる。これにより、前後吸排気方式の冷却構造を採りながらも、冷却風の影響を受けないケーブル配置を採用することができ、信号の伝送速度の向上を図ることができる。
【0045】
図8は、ケーブル400の揺動抑制手段の他の例を採用した場合の通信装置300の分解斜視図である。
図8では、揺動抑制手段の他の例として、遮蔽板800が採用される。遮蔽板800は、背面板303の冷却ファン330が搭載される面に設けられる。遮蔽板800は背面板303の板面に直交する。2枚の遮蔽板800は、バックプレーン302に接続されたケーブル400と通気口321との間に設けられ、ケーブル400を冷却風から遮蔽する。
【0046】
これにより、ケーブル400は冷却風を受けなくなるため、ケーブル400の揺れが抑制される。したがって、ケーブル400が電気ケーブルの場合、接触不良や電気抵抗が抑制され、誤動作を抑制することができる。また、ケーブル400が光ケーブルの場合、光軸ずれや接続角度ずれによる損失を低減することができる。
【0047】
つぎに、実施例1の変形例1について説明する。変形例1では、実施例1との相違点についてのみ説明し、実施例1との共通点については説明を省略する。実施例1では、制御信号などの低速なデータ伝送を行う信号については、バックプレーン302に敷設された信号線により伝送する例を説明したが、変形例1では、当該信号についても、ケーブルによるデータ伝送を行う。
【0048】
図9は、変形例1にかかる回路基板100間の接続関係を立体的に示した説明図である。
図9では、説明の簡略化のため、パケットプロセッシングユニット102を1枚にして説明する。基本制御ユニット101は2枚搭載される。各基本制御ユニット101は、パケットプロセッシングユニット102およびスイッチファブリックユニット103にケーブル900により接続される。基本制御ユニット101からの制御信号は、比較的低速な信号である場合が多い。パケットプロセッシングユニット102とスイッチファブリックユニット103との間は、通信装置300内で特に高いスループットが要求される部位であり、SerDesを用いてケーブル400により接続される。
【0049】
変形例1にかかるバックプレーン302の正面となる前面302aには、実施例1と異なり、信号線が敷設されていない。そのほかの構成は、
図5と共通である。
【0050】
図10は、変形例1にかかるバックプレーン302の背面図である。
図10において、バックプレーン302の背面となる後面302bには、高速信号用直交型コネクタ604と、制御信号用後面側コネクタ1001〜1003と、が設けられる。高速信号用直交型コネクタ604間は、実施例1と同様、ケーブル400(以下、第1のケーブル400)により接続される。
【0051】
実施例1との相違点は、制御信号用後面側コネクタ1001〜1003が設けられる点である。制御信号用後面側コネクタ1001〜1003間は、比較的低速なデータ伝送を行うケーブル1000(以下、第2のケーブル1000)により接続される。第2のケーブル1000についても、前面302aからみて、通気口321と重複しないように配置される。すなわち、第2のケーブル1000は、後面302bにおいて、後面302bのうち通気口321を除いた領域からはみ出さないように配置される。
【0052】
これにより、筐体301の前面からの冷却風が第2のケーブル1000に当たりにくくなるため、冷却風の通過を妨げない。また、冷却風が当たりにくくなるため、第2のケーブル1000の揺れが抑制される。したがって、第2のケーブル1000が電気ケーブルの場合、接触不良や電気抵抗が抑制され、誤動作を抑制することができる。また、第2のケーブル1000が光ケーブルの場合、光軸ずれや接続角度ずれによる損失を低減することができる。
【0053】
また、第2のケーブル1000の揺動抑制手段の一例として、固定部材1004が用いられる。固定部材1004は、第2のケーブル1000を後面302bに固定する。固定部材1004は、複数本の第2のケーブル1000を束ねて後面302bに固定してもよい。
【0054】
このように、変形例1では、制御信号のデータ伝送を第2のケーブル1000で行う構成とすることにより、バックプレーン302は、配線パターンがなく、かつ、各回路基板100への給電層だけを設けた基板となる。したがって、製造コストを抑制することができ、その分、低廉なバックプレーン302を提供することができる。
【0055】
また、筐体301前面からの冷却風がケーブル400に当たりにくくなるため、冷却風の通過を妨げない。また、冷却風が当たりにくくなるため、ケーブル400の揺れが抑制される。したがって、ケーブル400が電気ケーブルの場合、接触不良や電気抵抗が抑制され、誤動作を抑制することができる。また、ケーブル400が光ケーブルの場合、光軸ずれや接続角度ずれによる損失を低減することができる。
【0056】
つぎに、実施例1の変形例2について説明する。変形例2では、実施例1との相違点についてのみ説明し、実施例1との共通点については説明を省略する。実施例1では、スイッチファブリックユニット103は、バックプレーン302の前面302a側に挿入されたが、変形例2では、バックプレーン302の後面302b側にスイッチファブリックユニット103が設けられる。これにより、筐体301内のスペースを有効利用するとともに、回路基板100が積載される高さが、スイッチファブリックユニット103が抜けた分短くなるため、筐体301の高さを低く抑えることができる。したがって、通信装置300の小型化を実現することができる。
【0057】
図11は、変形例2にかかる通信装置300の分解斜視図である。通信装置300は、筐体301と、バックプレーン302と、背面板303と、を有する。筐体301内には、複数の回路基板100が設けられる。複数の回路基板100は、筐体301の前面から水平な状態で挿入される。筐体301内には一例として、上段から1段目に基本制御ユニット101、2段目〜5段目にパケットプロセッシングユニット102、6段目および7段目(最下段)には、電源ユニット306が挿入される。
【0058】
スイッチファブリックユニット103は、バックプレーン302の後面302b側に挿入される。スイッチファブリックユニット103は、他の回路基板100に対し直角に挿入される。スイッチファブリックユニット103は、通気口321を塞がない位置に挿入される。基本制御ユニット101およびパケットプロセッシングユニット102と、スイッチファブリックユニット103とは、バックプレーン302を挟んでコネクタを介して接続される。
【0059】
図12は、変形例2にかかるバックプレーン302の正面図であり、
図13は、変形例2にかかるバックプレーン302の背面図である。変形例2でのバックプレーン302は、正面となる前面302aにおいて、スイッチファブリックユニット103の制御信号用コネクタ503は、設けない。
【0060】
一方、高速なデータ伝送を行う信号の接続には、高速信号用直交型コネクタ604が用いられる。この場合、回路基板の信号線やケーブルを介さず、バックプレーン302のスルーホール1304を介して前面302a側の回路基板(パケットプロセッシングユニット102)と後面302b側の回路基板(スイッチファブリックユニット103)とが直接接続される。また、スイッチファブリックユニット103は、制御信号用後面側コネクタ1003により、バックプレーン302の後面302b側から接続される。その他の構成は、実施例1の
図5と同様である。
【0061】
このように、変形例2の構造によれば、前後吸排気方式の冷却構造を採りながらも、高速なデータ伝送を行う前面302a側の回路基板101,102,306と後面302b側のスイッチファブリックユニット103とがバックプレーン302のスルーホール1304を介して接続される。したがって、信号の伝送速度の向上を図ることができる。また、実施例1のようにケーブル400が存在しないため、冷却風によりケーブル400が揺動することはない。したがって、接触不良や電気抵抗、光軸ずれや接続角度ずれによる損失が生じることはない。
【0062】
つぎに、実施例1の変形例3について説明する。変形例3では、変形例2との相違点についてのみ説明し、変形例2との共通点については説明を省略する。変形例3は、変形例2に変形例1を適用した構造である。変形例2では、制御信号などの低速なデータ伝送を行う信号については、バックプレーン302に敷設された信号線により伝送する例を説明したが、変形例3では、当該信号についても、第2のケーブル1000によるデータ伝送を行う。
【0063】
図14は、変形例3にかかる回路基板100間の接続関係を立体的に示した説明図である。
図14では、説明の簡略化のため、パケットプロセッシングユニット102を1枚にして説明する。基本制御ユニット101は2枚搭載される。各基本制御ユニット101は、パケットプロセッシングユニット102およびスイッチファブリックユニット103に第2のケーブル1000により接続される。基本制御ユニット101からの制御信号は、比較的低速な信号である場合が多い。パケットプロセッシングユニット102とスイッチファブリックユニット103との間は、通信装置300内で特に高いスループットが要求される部位であり、バックプレーン302のスルーホール1304を介して接続される。
【0064】
変形例2に比べると、パケットプロセッシングユニット102とスイッチファブリックユニット103との距離が近くなるため、変形例2の通信装置300では、第2のケーブル1000のケーブル長を短くすることができる。このように、変形例2と違い、2段分のスイッチファブリックユニット103が筐体301の前面から挿入されていない。これにより、筐体301の高さを低くすることができ、通信装置300の小型化を図ることができる。
【0065】
また、変形例3にかかるバックプレーン302の正面となる前面302aには、変形例2や実施例1と異なり、信号線が敷設されていない。
【0066】
図15は、変形例3にかかるバックプレーン302の背面図である。
図15において、バックプレーン302の背面となる後面302bには、高速信号用直交型コネクタ604と、制御信号用後面側コネクタ1001,1002と、が設けられる。高速信号用直交型コネクタ604間は、変形例2と同様、バックプレーン302のスルーホール1304を介して前面302a側の回路基板と後面302b側の回路基板とが直接接続される。
【0067】
変形例2との相違点は、制御信号用後面側コネクタ1001,1002が設けられる点である。制御信号用後面側コネクタ1001,1002間は、比較的低速なデータ伝送を行うケーブル1000により接続される。当該ケーブル1000は、前面302aからみて、通気口321と重複しないように配置される。すなわち、ケーブル1000は、後面302bにおいて、後面302bのうち通気口321を除いた領域からはみ出さないように配置される。
【0068】
これにより、筐体301の前面からの冷却風がケーブル1000に当たりにくくなるため、冷却風の通過を妨げない。また、冷却風が当たりにくくなるため、ケーブル1000の揺れが抑制される。したがって、ケーブル1000が電気ケーブルの場合、接触不良や電気抵抗が抑制され、誤動作を抑制することができる。また、ケーブル1000が光ケーブルの場合、光軸ずれや接続角度ずれによる損失を低減することができる。
【0069】
また、ケーブル1000の揺動抑制手段の一例として、固定部材1004が用いられる。固定部材1004は、ケーブル1000を後面302bに固定する。固定部材1004は、複数本のケーブル1000を束ねて後面302bに固定してもよい。
【0070】
このように、変形例3では、制御信号のデータ伝送をケーブル1000で行う構成とすることにより、バックプレーン302は、配線パターンがなく、かつ、各回路基板ユニットへの給電層だけを設けた基板となる。したがって、製造コストを抑制することができ、その分、低廉なバックプレーン302を提供することができる。
【0071】
また、変形例2のようにケーブル400が存在しないため、冷却風によりケーブル400が揺動することはない。したがって、接触不良や電気抵抗、光軸ずれや接続角度ずれによる損失が生じることはない。
【0072】
つぎに、実施例1の変形例4について説明する。変形例4では、変形例2との相違点についてのみ説明し、変形例2との共通点については説明を省略する。変形例4は、変形例2の構造において、電源ユニット306の配置を変更した構造である。
【0073】
変形例2では、電源ユニット306は、バックプレーン302の前面302a側に挿入されたが、変形例4では、バックプレーン302の後面302b側にスイッチファブリックユニット103とともに電源ユニット306が設けられる。これにより、筐体301内のスペースを有効利用するとともに、回路基板100が積載される高さが、電源ユニット306が抜けた分短くなるため、筐体301の高さを低く抑えることができる。したがって、通信装置300の小型化を実現することができる。
【0074】
図16は、変形例4にかかる通信装置300の分解斜視図である。通信装置300は、筐体301と、バックプレーン302と、背面板303と、を有する。筐体301内には、複数の回路基板100が設けられる。複数の回路基板100は、筐体301の前面から水平な状態で挿入される。筐体301内には一例として、上段から1段目に基本制御ユニット101、2段目〜5段目(最下段)にパケットプロセッシングユニット102が挿入される。
【0075】
スイッチファブリックユニット103は、
図11と同様の位置に配置される。電源ユニット306は、バックプレーン302の後面302b側に挿入される。電源ユニット306は、前面302a側の他の回路基板100に対し直角に挿入される。電源ユニット306は、通気口321を塞がない位置に挿入される。電源ユニット306は、電源ユニットコネクタ322によって後面302b側からバックプレーン302と接続される。電源ユニット306は、そのほかの構成は上述の実施例と同様である。
【0076】
変形例4にかかるバックプレーン302は、正面となる前面302aにおいて、
図12と異なり、電源ユニットコネクタ322の位置には、高速信号用コネクタ504が配置される。また、
図12と異なり通気口に対して高速信号用コネクタ504が配置される側と反対側に、パケットプロセッシングユニット102の制御信号用コネクタ502が配置される。他の構成は、
図12の構成と共通する。
【0077】
変形例2との相違点は、変形例4では、電源ユニット306がバックプレーン302の後面302b側に配置される。このため、筐体301の高さも短くなり、かつ、電源ユニット306用の通気口321が不要となり、その分、バックプレーン302の高さが短くなった点である。これにより、通信装置300の小型化が実現される。
【0078】
図17は、変形例4にかかるバックプレーン302の背面図である。また、変形例2の
図13との相違点は、変形例4では、
図17において、電源ユニット306がバックプレーン302の後面302b側に配置されるため、電源ユニットコネクタ322がバックプレーン302の後面302bに搭載される点である。これにより、電源ユニット306からバックプレーン302を介して、各回路基板100に給電される。また、電源ユニット306は、バックプレーン302の後面302bにおいて、通気口321とは重ならない左右両端縁に配置される。したがって、電源ユニット306は通気口321を遮蔽しないため、冷却効率の低減を防止することができる。
【0079】
このように、変形例4の構造によれば、前後吸排気方式の冷却構造を採りながらも、高速なデータ伝送を行う前面302a側の回路基板と後面302b側の回路基板とが直接接続される。したがって、信号の伝送速度の向上を図ることができる。また、電源ユニット306をバックプレーン302の後面302b側に配置したため、回路基板が積層される高さを短くすることができ、通信装置300の小型化を実現することができる。
【0080】
つぎに、実施例1の変形例5について説明する。変形例5では、変形例4との相違点についてのみ説明し、変形例4との共通点については説明を省略する。変形例5は、変形例4に変形例1を適用した構造である。変形例4では、制御信号などの低速なデータ伝送を行う信号については、バックプレーン302に敷設された信号線により伝送する例を説明したが、変形例5では、当該信号についても、ケーブルによるデータ伝送を行う。変形例5にかかるバックプレーンの正面となる前面302aは、信号線が敷設されていない。その他は変形例4と同様の構成の前面である。
【0081】
図18は、変形例5にかかるバックプレーン302の背面図である。
図18において、バックプレーン302の背面となる後面302bには、高速信号用直交型コネクタ604と、制御信号用後面側コネクタ1002と、給電用後面側コネクタ1800と、が設けられる。高速信号用直交型コネクタ604間は、変形例4と同様、バックプレーン302のスルーホール1304を介して前面302a側の回路基板100と後面302b側の回路基板100とが直接接続される。
【0082】
変形例4との相違点は、制御信号用後面側コネクタ1002が設けられる点である。制御信号用後面側コネクタ1002間は、比較的低速なデータ伝送を行うケーブル1000により接続される。当該ケーブル1000についても、前面302aからみて、通気口321と重複しないように配置される。すなわち、ケーブル1000は、後面302bにおいて、後面302bのうち通気口321を除いた領域からはみ出さないように配置される。
【0083】
また、変形例4との相違点は、給電用後面側コネクタ1800が設けられる点である。給電用後面側コネクタ1800と、制御信号用後面側コネクタ1001とは、電源制御用のケーブル1801により接続される。当該ケーブル1801についても、前面302aからみて、通気口321と重複しないように配置される。すなわち、ケーブル1801は、後面302bにおいて、後面302bのうち通気口321を除いた領域からはみ出さないように配置される。
【0084】
これにより、筐体301の前面からの冷却風がケーブル1000,1801に当たりにくくなるため、冷却風の通過を妨げない。また、冷却風が当たりにくくなるため、ケーブル1000,1801の揺れが抑制される。したがって、ケーブル1000,1801が電気的に接続するケーブルの場合、接触不良や電気抵抗が抑制され、誤動作を抑制することができる。また、ケーブル1000,1801が光的に接続するケーブルの場合、光軸ずれや接続角度ずれによる損失を低減することができる。
【0085】
また、ケーブル1000,1801の揺動抑制手段の一例として、固定部材1004が用いられる。固定部材1004は、ケーブル1000,1801を後面302bに固定する。固定部材1004は、複数本のケーブル1000,1801を束ねて後面302bに固定してもよい。
【0086】
このように、変形例5では、制御信号のデータ伝送をケーブル1000で行い、電源制御をケーブル1801で行う構成とすることにより、バックプレーン302は、配線パターンがなく、かつ、各回路基板100への給電層だけを設けた基板となる。したがって、製造コストを抑制することができ、その分、低廉なバックプレーン302を提供することができる。
【0087】
以上説明したように、本実施例にかかる通信装置によれば、ケーブルに冷却風が当たって揺れてしまった場合に懸念される、電気ケーブルで接続した場合の接触不良や電気抵抗の増大による誤動作及び光ケーブルで接続した場合の光軸ずれや接続角度ずれによる損失増加の影響を低減することができる。また、ケーブルの損傷や特性劣化を防ぐ緩やかな曲げ半径を保つことができ、信号の伝送速度の向上を図ることができる。
【0088】
また、通信装置において、バックプレーンに敷設された信号線を含む配線層をなくし、各回路基板への給電層だけを設けたバックプレーンとすることにより、バックプレーンの製造コストの低減化を図ることができる。
【0089】
また、上述した実施例では、通信装置300の前面のメッシュ状の通気口305から冷却風を吸気し、バックプレーン302の通気口321を通り、通信装置の後面へ排気される方式を採っているが、冷却ファン330をプッシュ型の冷却ファンとすることにより、通信装置300の後面から吸気し、通信装置300の前面へ排気することとしてもよい。
【0090】
また、上述した実施例では、通信装置300の前面から水平に電源ユニット306を挿入したが、通信装置300の後面から水平に挿入することとしてもよい。また、変形例4および変形例5では、通信装置300の後面から垂直に電源ユニット306を挿入したが、通信装置300の前面から垂直に挿入することとしてもよい。
【0091】
また、上述した通信装置300では、冷却ファン330を搭載した例について説明したが、冷却ファン330は通信装置300に搭載せずに、通信装置300外の背面板303の後方に配置することとしてもよい。これにより、通信装置300の小型化を図ることができる。
【0092】
また、上述した通信装置300は、複数台配列させてもよい。この場合、各通信装置300は、冷却風の通気方向に直交する方向に配列させる。たとえば、通信装置300を上下または左右に配列させる。これにより、どの通信装置300も、他の通信装置300から排気された冷却風を吸気することなく、冷却することができる。
【0093】
また、上述した実施例では、通信装置を前提としているが、サーバのような情報処理装置においても、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適用可能である。
【0094】
以上、本発明を添付の図面を参照して詳細に説明したが、本発明はこのような具体的構成に限定されるものではなく、添付した請求の範囲の趣旨内における様々な変更及び同等の構成を含むものである。