(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5926263
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】医用画像検索のための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20160516BHJP
【FI】
A61B8/12
【請求項の数】24
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2013-528360(P2013-528360)
(86)(22)【出願日】2011年9月9日
(65)【公表番号】特表2013-537067(P2013-537067A)
(43)【公表日】2013年9月30日
(86)【国際出願番号】US2011051118
(87)【国際公開番号】WO2012034098
(87)【国際公開日】20120315
【審査請求日】2014年8月5日
(31)【優先権主張番号】61/381,528
(32)【優先日】2010年9月10日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508286762
【氏名又は名称】アシスト・メディカル・システムズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100165191
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 章
(74)【代理人】
【識別番号】100151459
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 健一
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ エー.ジャメロ,ザ サード
【審査官】
宮川 哲伸
(56)【参考文献】
【文献】
特表2008−531200(JP,A)
【文献】
特開平10−192(JP,A)
【文献】
特表2008−515583(JP,A)
【文献】
特開2006−456(JP,A)
【文献】
特開2008−264563(JP,A)
【文献】
特開2005−160616(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 − 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを生成するように構成されたカテーテルと,
前記カテーテルに接続され,前記データを受信するように構成されたインタフェースモジュールと,
前記インタフェースモジュールに接続され,タッチスクリーンを備えたコンソールであって,
前記データから一連のトモグラフィ画像を生成することであって,前記一連のトモグラフィ画像は、物体の三次元画像を形成するために結合可能であり,前記三次元画像は,前記三次元画像に延在する縦断軸を有し,
前記三次元画像の切断面に沿った三次元画像の縦断画像を表示することであって,前記切断面は,前記縦断軸を含み,
前記縦断軸に沿った点で前記縦断画像に選択マーカを表示し,
前記縦断画像の近傍に,前記縦断軸に垂直な平面で取り出すとともに前記選択マーカの位置に対応する前記縦断軸の上の点で取り出した前記三次元画像の断面を表示し,
水平移動に対応する,前記ディスプレイスクリーン上の接触入力を検出し,
水平接触入力に応答して,検出された水平移動に比例して前記縦断画像に対する前記縦断軸に沿った新しい位置へ,前記選択マーカを移動させ,
前記縦断軸に垂直な平面で取り出すとともに前記選択マーカの新しい位置に対応する前記縦断軸の上の点で取り出した前記三次元画像の第2の断面を表示し,
垂直移動に対応する,前記ディスプレイスクリーン上の接触入力を検出し,
垂直接触入力に応答して,検出された垂直移動に比例して前記切断面の向きを,前記縦断軸の周りで,前記縦断軸に略垂直な方向に向いた垂直移動に応じて回転させ,
回転した断面に沿った前記三次元画像の第2の縦断画像を表示する,ように構成されたコンソールと,
を備える血管内超音波診断システム。
【請求項2】
前記コンソールは,複数のトモグラフィ画像に対応する縦断画像を表示するように更に構成された,請求項1に記載の血管内超音波診断システム。
【請求項3】
前記接触入力を解析し,前記1又は複数のトモグラフィ画像を一方向にだけ,操作するように構成されたヒューリスティック判定エンジンを更に備える請求項1に記載の血管内超音波診断システム。
【請求項4】
前記ヒューリスティック判定エンジンは,
前記接触入力が前記1又は複数のトモグラフィ画像に関する一次元水平パンコマンドに対応することを判定する水平スクリーンスクロールヒューリスティックと,
前記接触入力が前記1又は複数のトモグラフィ画像に関する一次元垂直パンコマンドに対応することを判定する垂直スクリーンスクロールヒューリスティックと,
を更に備える,請求項3に記載の血管内超音波診断システム。
【請求項5】
前記ディスプレイは滅菌カバーを更に備える,請求項1に記載の血管内超音波診断システム。
【請求項6】
前記物体からの接触入力は手による接触入力を含む,請求項1に記載の血管内超音波診断システム。
【請求項7】
前記物体からの接触入力は手袋をした手による接触入力を更に含む,請求項1に記載の血管内超音波診断システム。
【請求項8】
前記物体からの接触入力はスタイラスによる接触入力を更に含む,請求項1に記載の血管内超音波診断システム。
【請求項9】
計算機実行可能命令を有する計算機可読記憶媒体であって,該計算機実行可能命令は計算機上で実行されたとき,該計算機が,
タッチスクリーンを含むディスプレイ上に少なくとも一つの画像を表示し,前記一つの画像は、前記タッチスクリーンを含むディスプレイ上の一連のトモグラフィ画像から生成され,前記トモグラフィ画像は、物体の三次元画像を形成するために結合可能であり,前記三次元画像は,前記三次元画像に延在する縦断軸を有し,前記画像は、前記三次元画像の断面の断面図を表し,前記断面は前記縦断軸を含み,
前記タッチスクリーンを用いて物体を検出し,
少なくとも一つのヒューリスティックを用いて前記タッチスクリーンと連携する前記物体の移動の主方向を判定し,前記少なくとも一つのヒューリスティックは,前記タッチスクリーンと連携する前記物体の移動の主方向を判定する垂直スクリーンスクロールヒューリスティックを備え,
前記少なくとも一つの画像を前記主方向に操作し,前記操作は,前記垂直スクリーンスクロールヒューリスティックに応答して前記縦断軸の周りで前記断面の向きを回転させることを備え,前記垂直スクリーンスクロールヒューリスティックは,前記縦断軸に垂直な方向に向けられる,
ようにする,計算機可読記憶媒体。
【請求項10】
前記少なくとも一つのヒューリスティックは,前記タッチスクリーンと連携する前記物体の移動が,前記少なくとも一つの画像に関する一次元水平パンコマンドに対応することを判定する水平スクリーンスクロールヒューリスティックを含む,請求項9に記載の計算機可読記憶媒体。
【請求項11】
水平移動が判定されると,操作された画像に対応する第2画像を表示する,請求項10に記載の計算機可読記憶媒体。
【請求項12】
前記少なくとも一つのヒューリスティックは,前記タッチスクリーンと連携する前記物体の移動が,前記少なくとも一つの画像に関する一次元垂直パンコマンドに対応することを判定する垂直スクリーンスクロールヒューリスティックを含む,請求項9に記載の計算機可読記憶媒体。
【請求項13】
前記少なくとも一つのヒューリスティックは,前記タッチスクリーンと連携する前記物体の移動が,前記少なくとも一つの画像に関する回転コマンドに対応することを判定する垂直スクリーンスクロールヒューリスティックを含む,請求項9に記載の計算機可読記憶媒体。
【請求項14】
コンソールであって,
1又は複数の画像を表示し,接触入力を受信するタッチスクリーンを備えるディスプレイと,
前記タッチスクリーン上で検出された接触入力を処理するように構成された判定エンジンであって,
予め決定された数の以前の水平移動と特定時間窓内の水平移動の組のうちのいずれか一方に基づいて,検出された水平移動の移動平均を決定し,
予め決定された数の以前の垂直移動と特定時間窓内の垂直移動の組のうちのいずれか一方に基づいて,検出された垂直移動の移動平均を決定し,
どちらの移動平均が大きいかを繰り返し判定し,
前記水平移動の移動平均の方が大きいときは,前記ディスプレイ上に表示された第1画像を変更し,
前記垂直移動の移動平均の方が大きいときは,前記ディスプレイ上に表示された第2画像の縦断方向切断面を回転させる,
ように更に構成された判定エンジンと,
を備えるコンソール。
【請求項15】
前記表示された画像は冠状動脈の画像である,請求項14に記載のコンソール。
【請求項16】
前記表示された画像は人体の解剖学的組織の一部のトモグラフィ画像である,請求項14に記載のコンソール。
【請求項17】
一連の画像を受信するように構成された通信モジュールであって,該一連の画像は接続されたカテーテルから受信される,請求項14に記載のコンソール。
【請求項18】
一連の画像を受信するように構成された通信モジュールであって,該一連の画像は通信で接続されたサーバ計算機から受信される,請求項14に記載のコンソール。
【請求項19】
計算環境における方法であって,
物体の一連のトモグラフィ画像から画像データを提供することであって,前記一連のトモグラフィ画像は、物体の三次元画像を形成するために結合可能であり,前記三次元画像は,前記三次元画像に延在する縦断軸を有するステップと,
タッチスクリーンを備えるディスプレイ上に,前記三次元画像の切断面に沿った三次元画像の縦断画像を表示することであって,前記切断面は,前記縦断軸を含むステップと,
前記縦断軸に沿った点で前記縦断画像に選択マーカを表示するステップと,
前記ディスプレイ上で,前記縦断画像の近傍に,前記縦断軸に垂直な平面で取り出すとともに前記選択マーカの位置に対応する前記縦断軸の上の点で取り出した前記三次元画像の断面を表示するステップと,
水平移動に対応する,前記ディスプレイ上の接触入力を検出するステップと,
前記水平接触入力に応答して,前記検出された水平移動に比例して前記縦断画像に対する新しい位置へ,前記選択マーカを移動させるステップと,
前記縦断軸に垂直な平面で取り出すとともに前記選択マーカの新しい位置に対応する前記縦断軸の上の点で取り出した前記三次元画像の第2の断面を表示するステップと,
垂直移動に対応する,前記ディスプレイ上の接触入力を検出するステップと,
垂直接触入力に応答して,検出された垂直移動に比例して前記切断面の向きを,前記縦断軸の周りで,前記縦断軸に略垂直な方向に向いた垂直移動に応じて回転させるステップと,
前記ディスプレイ上で,回転した断面に沿った前記三次元画像の第2の縦断画像を表示するステップと,
を有する方法。
【請求項20】
前記垂直移動がより顕著か,又は前記水平移動がより顕著かを判定するステップと,
より顕著でない移動を無視するステップと,
を更に有する請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記表示されたトモグラフィ画像に対応する内腔領域を計算するステップを更に有する請求項19に記載の方法。
【請求項22】
各トモグラフィ画像の内腔領域を判定するステップと,
計算された最も低い内腔領域に対応するトモグラフィ画像を表示するステップと,
を更に有する請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記ディスプレイに接続されたカテーテルから,前記一連のトモグラフィ画像を受信するステップを更に有する請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記ディスプレイに接続されたサーバ計算機から,前記一連のトモグラフィ画像を受信するステップを更に有する請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,概略、医用撮像システムと,医用撮像システム内の検索方法と,血管内超音波診断(IVUS)撮像システムとに関する。
【0002】
本発明は,2010年9月10日出願の"Apparatus and Method for Medical Image Searching"と題する米国仮特許出願第61/381,528号の優先権を主張し,その内容をすべてここに参照する。
【背景技術】
【0003】
医用撮像システムにおいては,一般に,一連の画像を取得する医用撮像装置を用いて,生体の内腔組織を可視化することができる。一連の画像は,人体の解剖学的組織の特定領域に関する数千もの画像を含むことがある。臨床診断のためには,少なくとも一つの重要な画像特徴を特定するために,オペレータは一連の画像を検索しなければならない。例えば,インタベンショナル循環器専門医はIVUS撮像システム及びカテーテルを用いて,アテローム性動脈硬化症を発症している冠状動脈のセグメント内の最小内腔部分を探すことができる。
【0004】
IVUSシステムは一般に,冠状動脈のうち少なくとも一つの平面(トモグラフィの)画像を表示する。IVUSシステムはさらに,冠状動脈の縦断画像を表示することができ,縦断画像は,IVUSカテーテルの変換器(transducer)が冠状動脈を通って移動しながら取得した一連のトモグラフィ画像の断面である。画像シーケンスは撮像フレーム速度と,冠状動脈を通るセンサの移動速度とに依存する,数千のトモグラフィ画像を含んでもよい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように,見るべき数千もの潜在的なトモグラフィ画像があるため,オペレータがインタベンショナル循環器科処置を進めるために,より直截的な方法及び迅速な対話を提供できる表示技術の必要性が生じる。さらに,一連の画像の中から少なくとも一つの重要な画像特徴を特定する時間を減少できるような表示技術が望ましい。
【0006】
上述の観点及び本願請求項に付帯する多くの利点は,以降の詳細な説明を,添付の図面と共に参照することによって,より容易に認識,理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施例による医用撮像システム及び方法の種々の態様を実行するのに適した計算環境のブロック図である。
【
図2】本発明の実施例によるIVUSシステム及びカテーテルの上位レベルのブロック図である。
【
図3】本発明の実施例による縦断画像及びトモグラフィ画像を含む,IVUS撮像タッチスクリーンの図である。
【
図4】本発明の実施例による
図3の撮像タッチスクリーンに対するタッチ移動の図である。
【
図5】本発明の実施例による
図3の撮像タッチスクリーンに対する,縦断画像上の水平方向タッチ移動の図である。
【
図6】本発明の実施例による
図3の撮像タッチスクリーンに対する,縦断画像上の垂直方向タッチ移動の図である。
【
図7】本発明の実施例による
図3の撮像タッチスクリーンに対するタッチ移動の処理段階を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以降の説明は,当業者が本発明を成し,使用することができるように呈示される。ここで述べる一般原理は,本願明細書の精神及び範囲を逸脱することなく,上記以外の実施形態及び応用に適用することができる。本発明は,示された実施例に限定されることなく,ここに開示又は示唆される原理及び特徴と調和する最も広範な範囲と一致するものとする。
【0009】
ここで説明する実施例において,血管内超音波診断(IVUS)撮像システム及びカテーテルは,取得した医用画像との迅速なオペレータの対話のための直截的なインタフェースを提供する。IVUS撮像システム及びカテーテルは,例えば冠状動脈のトモグラフィ画像のような,人体の解剖学的組織の特定の重要な領域の一連の画像を取得するために用いられる。IVUS撮像システムは,重要な領域の少なくとも一つのトモグラフィ画像を表示する。IVUS撮像システムは少なくとも一つの縦断画像を生成して表示し,縦断画像は一連のトモグラフィ画像の断面を表す。冠状動脈の例においては,縦断画像は冠状動脈の軸に沿った縦断軸と,冠状動脈の軸に垂直な横断軸とを含む。
【0010】
IVUSシステムは更にタッチスクリーンを含み,システムは一連の画像を検索することを容易にするため,タッチ移動を認識する。縦断画像の縦断方向のタッチ移動は,縦断画像を縦断方向にパンさせることができる。縦断画像の横断方向のタッチ移動は,縦断画像の断面を回転させることができる。IVUSシステムは,縦断画像を種々の方向に優先的にパンさせるための,タッチ移動(ヒューリスティック)処理を更に含む。これらの態様については,先に簡単に説明した各図面に関して,以降より詳細に説明する。
【0011】
図1及び以降の説明は,ここに開示する発明を実現するのに適切な計算環境の簡単で一般的な説明を提供するものである。必要ではないが,医用画像を操作するためのシステム及び方法の態様を,パーソナルコンピュータによって実行されるプログラムモジュールのような,一般的な計算機実行可能命令の形態で記述する。一般にプログラムモジュールは,特定のタスクを実行し,又は特定の抽象データタイプを実現するルーチン,プログラム,コンポーネント,データ構造体,等を含む。このようなプログラムモジュールは,計算機実行可能命令を有する一時的及び/又は非一時的計算機可読媒体に組み込んでもよい。さらに,当業者であれば,本発明を,携帯型装置,セルラ又は携帯電話機,マルチプロセッサシステム,マイクロプロセッサベース若しくはプログラム可能消費者向け電子装置,ネットワークPC,ミニコンピュータ,メインフレームコンピュータ,等を含むほかの計算機システムによって実行できることを理解するであろう。本発明はまた,タスクが通信網を介して接続された遠隔処理装置によって実行される分散計算環境において実行してもよい。分散計算環境においては,プログラムモジュールは局所及び遠隔双方のメモリ記憶装置に配置することができる。
【0012】
図1に関して,ここに開示したシステム及び方法を実現する例示システムは,処理ユニット121と,システムメモリ122と,システムメモリを含む種々のシステム構成要素を処理ユニット121と接続するシステムバス123と,を含む通常のパーソナルコンピュータ120の形態のはん用計算装置を含む。システムバス123は,種々のバスアーキテクチャのいずれかを用いたメモリバス又はメモリコントローラと,ペリフェラルバスと,ローカルバスと,を含むいくつかの種類のバス構造のいずれであってよい。制限ではなく例として,このようなアーキテクチャは,業界標準アーキテクチャ(ISA)バスと,マイクロチャネルアーキテクチャ(MCA)バスと,強化ISA(EISA)バスと,映像電子機器標準協会(VESA)ローカルバスと,Mezzanineバスとしても知られる周辺機器相互接続(PCI)バスと,を含む。
【0013】
システムメモリは,読み出し専用メモリ(ROM)124及びランダムアクセスメモリ(RAM)125を含む。基本入出力システム(BIOS)126は,例えば起動時に,パーソナルコンピュータ120内の要素間で情報を転送することを支援する基本ルーチンを含み,ROM124に記憶される。パーソナルコンピュータ120は,図示していないハードディスクを読み書きするハードディスクドライブ127と,着脱可能磁気ディスク129を読み書きする磁気ディスクドライブ128と,CDROM又はほかの光媒体のような着脱可能光ディスク131を読み書きする光ディスクドライブ130と,を更に含む。ハードディスクドライブ127と,磁気ディスクドライブ128と,光ディスクドライブ130とは,それぞれハードディスクドライブインタフェース132と,磁気ディスクドライブインタフェース133と,光ディスクドライブインタフェース134と,によってシステムバス123に接続される。これらのドライブと,関係する計算機可読媒体とは,パーソナルコンピュータ120の計算機可読命令と,データ構造体と,プログラムモジュールと,ほかのデータとの不揮発記憶を提供する。ここで説明する例示実施例はハードディスクと,着脱可能磁気ディスク129と,着脱可能光ディスク131とを用いるが,当業者であれば,磁気カセットと,フラッシュメモリメードと,デジタルはん用ディスク(DVD)と,Bernoulliカートリッジと,ランダムアクセスメモリ(RAM)と,読み出し専用メモリ(ROM)と,その類似物と,のような,計算機が利用できるデータを記憶できる,ほかの種類の計算機可読媒体も例示動作環境において利用できることを理解するであろう。
【0014】
オペレーティングシステム135と,1又は複数の応用プログラム136と,ほかのプログラムモジュール137と,プログラムデータ138とを含む,いくつかのプログラムモジュールは,ハードディスク,磁気ディスク129,光ディスク131,ROM124又はRAM125に記憶してもよい。利用者は,キーボード140及び指示装置142のような入力装置を介して,パーソナルコンピュータ120にコマンド及び情報を入力することができる。(図示していない)ほかの入力装置は,マイクロホン,ジョイスティック,ゲームパッド,衛星用アンテナ,スキャナ,等を含んでもよい。これらの入力装置は,システムバスに接続されたシリアルポートインタフェース146を介して処理ユニット121に接続されることが多いが,パラレルポート,ゲームポート又ははん用シリアルバス(USB)のようなほかのインタフェースによって接続してもよい。モニタ147又はほかの種類の表示装置は,ビデオアダプタ148のようなインタフェースを介してシステムバス123に接続される。1又は複数のスピーカ157は,オーディオアダプタ156のようなインタフェースを介してシステムバス123に接続される。パーソナルコンピュータは通常,モニタ及びスピーカに加えて,プリンタのようなほかの周辺出力装置(図示せず)を含む。
【0015】
パーソナルコンピュータ120はまた,遠隔計算機149及び160のような1又は複数の遠隔計算機への論理接続を用いて,通信網接続された環境で動作させてもよい。遠隔計算機149又は160はそれぞれ,別のパーソナルコンピュータ,サーバ,ルータ,ネットワークPC,対向装置又はほかの共通ネットワークノードであってよく,通常,パーソナルコンピュータ120に関係して上述した要素(ただし,
図1にはメモリ記憶装置150又は161だけを示す)の多く又はすべてを含む。
図1に示した論理接続は,構内網(LAN)151及び広域網(WAN)152を含む。このような通信網環境は,オフィスと,企業内計算機網と,イントラネットと,インターネットと,における常套手段である。
図1に示すように,遠隔計算機149はLAN151を介してパーソナルコンピュータ120と通信する。遠隔計算機149は,広域網152を介してパーソナルコンピュータ120と通信する。
【0016】
パーソナルコンピュータ120は,LAN通信網環境において用いられたとき,ネットワークインタフェース又はアダプタ153を介して構内網151に接続される。パーソナルコンピュータ120は,WAN通信網環境において用いられたとき,通常,インターネットのような広域網152を介した通信を設定する,モデム154又はほかの手段を含む。モデム154は内蔵でもよいし,外付けでもよいが,システムバス123に接続される。通信網接続された環境においては,パーソナルコンピュータ120に関して示したプログラムモジュール又はその一部を遠隔メモリ記憶装置に記憶してもよい。図示した通信網接続は例示であって,計算機間の通信リンクを設定するほかの手段を用いてもよい。
【0017】
図1に関して説明したような計算環境によって,ここで説明した種々の実施形態を有するIVUSシステムを実現し,使用することができる。
図2は,カテーテル202と,患者インタフェースモジュール204と,コンソール206とを含む,血管内超音波診断カテーテルシステム200の上位レベルブロック図である。患者インタフェースモジュール204はカテーテル202に電気的かつ機械的に結合され,カテーテルは,人体の解剖学的組織の一部についての生データを収集して,生データを患者インタフェースモジュール204に送信することができる。患者インタフェースモジュール204は,着信するデータを接続されたコンソール206へ送信するために処理し,さらに,システムから患者を電気的に絶縁する。患者インタフェースモジュール204については,Mooreによる米国特許出願第12/633,278号により詳細に説明されており,ここに全体を参照する。
【0018】
患者インタフェースモジュール204及びコンソール206は,物理的なアナログ及びデジタルの信号線によって通信接続してもよい。このような物理的接続は,患者インタフェースモジュール204に信号通信及び/又は電力を供給することができる,専用(proprietary)の配線,共通はん用シリアルバス接続,又はほかの適切な接続を含んでもよい。別の実施例においては,患者インタフェースモジュール204は内蔵電池によって電力供給され,構内WiFi通信網のような無線通信プロトコルを介して,コンソール206に通信接続されていてもよい。さらに,コンソール206は,利用及びダウンロードのために記憶された医用画像を有するサーバ計算機149に通信接続されていてもよい。これらの記憶された画像は,人体の解剖学的組織の特定領域に以前にカテーテルを展開したときに取得された画像を表してもよい。
【0019】
コンソール206は,患者インタフェースモジュール204から処理されたデータを受信し,人体の解剖学的組織の走査された領域についても画像を生成することができる。画像は一般に,人体の解剖学的組織の一部の特定位置である1又は複数のトモグラフィ画像を含んでもよい。トモグラフィ画像(横断画像と呼ばれることもある)は,カテーテルの端部の点音源から回転音波信号を放出させ,単一平面内の周囲についてのデータを生成する反射信号を受信することから得られる。カテーテルが前(又は後)に移動すると,別の平面におけるトモグラフィ画像が得られる。複数のトモグラフィ平面画像は,集合として一連のトモグラフィ画像と考えることができる。隣り合わせに(パンケーキのように)積層すると,走査された人体の解剖学的組織の3次元画像を表す縦断画像が現れる。さらに,このような縦断画像は,特定の切断面から見た一連のトモグラフィ画像がディスプレイに表示されるように,切断面軸に沿って「切断」することができる。
【0020】
従来のシステムにおいては,トモグラフィ画像及び縦断画像は一般に非タッチスクリーンに表示される。オペレータは,タッチパッド又はトラックボールのような指示装置を用いて別のトモグラフィ画像を選択するか,又は縦断画像の別の切断面を選択する。オペレータは,トモグラフィ画像及び縦断画像を繰り返し調整することによって,最小内腔領域の一連の画像を検索することができる。例えば,オペレータは指示装置を用いてスクリーン上のコントロールハンドルを選択して別の画像を選択するか,又は縦断画像の断面を変更することができる。しかしながら,画像の表示に非タッチスクリーンを用いると,利用者の対話が制限され,実効的に処置時間が増加する。また,指示装置を用いると,オペレータがスクリーン上のコントロールハンドルと対話できるようになるまで,スクリーン上のコントロールハンドルの上に所定の期間,ディスプレイカーソルを合わせるなど,追加のステップが必要になる。コントロールハンドルを用いる場合,コントロールハンドルが小さく,特定のスクリーン位置だけに配置されているときは,更にオペレータの対話を妨げることになる。コントロールハンドルが活性化されるまで,システムがディスプレイカーソルをコントロールハンドルの正確な近傍に合わせることを必要とするときは,オペレータの対話は更に妨げられる。このように,画像のより良い操作制御が望まれる。
【0021】
したがって,本実施例においては,コンソール206はタッチスクリーン210を含む。このようにして,タッチスクリーン210を用いて,コンソール206を患者インタフェースモジュール204の操作と,カテーテル202の撮像方向を制御するために用いることができる。タッチスクリーン210は,物体がタッチスクリーンに接触するか,近傍にあるとき,例えば,タッチスクリーンと連携(engage)するとき,触覚入力を検出するように構成される。さらに,コンソール206は繰り返しタッチされるため,交換可能な滅菌カバー212をコンソール206全体を囲むように配置してもよい。
【0022】
一つの実施例においては,血管内超音波診断カテーテルシステム200は,ステント留置のような経皮冠状動脈形成術の画像誘導を行うことができる。このように,オペレータが画像を見るときに更に使用が容易になるように,コンソール206は,
図3に示すような画像表示及びオペレータ対話のために構成されたタッチスクリーン210を含む。
【0023】
ここで
図3を参照すると,例としての画像が表示されている,操作中の
図2のコンソール206のタッチスクリーン210が示されている。ここでタッチスクリーン210は,トモグラフィ画像312と,縦断画像314と,これらの画像及び画像分析及び保存(archive)を操作する共通コントロール316と,を表示している。この実施例においては,トモグラフィ画像312は,り(罹)病した冠状動脈の断面図である。本明細書の残りの部分を通じて,このり病した冠状動脈の例を用いて,本願発明の思想を説明するが,当業者であれば,どのような医療行為におけるどのようなトモグラフィ画像も,ここに説明するシステム及び方法と共に用いることができることを理解するであろう。
【0024】
トモグラフィ画像はビュー318の範囲に空間的に限定される。冠状動脈のトモグラフィ画像312は,り病した冠状動脈内のカテーテルの位置を識別するカテーテルマスク320を含んでもよい。トモグラフィ画像312はまた,一般に,冠状動脈内腔322と,内膜プラーク324と,膜状外膜組織を含む周辺組織326と,を含む。トモグラフィ画像312は更に,縦断画像314の軸に沿った断面を示す断面指示子328を含んでもよい。
【0025】
縦断画像314は,一般にカテーテル202によって取得される一連のトモグラフィ画像の断面から構成され,コンソール206上で実行されるプログラムモジュールによって組み立てられる。縦断画像314は,水平方向の縦断軸と,垂直方向の横断軸とを含む。縦断画像314は更に,カテーテルマスク330と,冠状動脈内腔322と,内膜プラーク324と,周辺組織326とを含む。縦断画像314はまた更に,トモグラフィ画像312の縦断断面を示す縦断位置指示子338を含む。
【0026】
一つの実施例による処置においては,オペレータはIVUSカテーテル202を冠状動脈の重要なセグメントから遠位(distal)に置く。冠状動脈の一連のトモグラフィ画像は,IVUSカテーテルの変換器を遠位の位置から近位(proximal)の位置へ縦断方向に移動させながら,種々の縦断位置で取得される。トモグラフィ画像312及び縦断画像314は実時間で表示することができ,一連の画像は数千のトモグラフィ画像を含むことがある。一つの実施例においては,縦断画像はトモグラフィ画像ごとに「1画素幅」の断面を含む。1280画素幅を有するタッチスクリーンに関しては,縦断画像は高々1280のトモグラフィ画像の断面を表示することに限定される。1280を超えるトモグラフィ画像を含む画像シーケンスに関しては,縦断画像314の限定された部分を表示することができる。表示されない縦断画像314の部分は,スクリーン外のバッファに記憶してもよい。一つの実施例によるタッチ移動認識を含むIVUSシステムは,オペレータが,最小内腔領域のような重要な領域の一連の画像を直截的かつ迅速に検索できるようにする。このようなオペレータの動作は,
図4〜6に関して以降で説明する。
【0027】
ここで
図4を参照すると,タッチ移動が示されている。一つの実施例においては,初期位置にある手460が矢印462で示すように,手460が破線で示されている最終位置まで実質的に水平方向右にドラッグされる。このタッチ移動の過程で,手460の指はタッチスクリーン210と接触している。別の実施例においては,手は手袋をしており,手袋の素材だけがタッチスクリーン210と接触する。更に別の実施例においては,オペレータはスタイラス又はペンのような器具を用いて,タッチスクリーン210に移動検出をさせてもよい。
【0028】
図5は,縦断画像314に適用される実質的に水平のタッチ移動を示している。この実施例において,タッチ移動は最小内腔領域574を含む縦断画像の一部で開始される。手460の指は,最小内腔領域574でタッチスクリーン210に触れる。そして手460の指は,タッチスクリーン210を横切って実質的に水平な方向572に移動する。手460の指は,縦断位置指示子338の位置で停止し,タッチスクリーン210から離れる。上記の実質的に水平のタッチ移動は縦断画像314をタッチ移動の方向にパンさせる。
【0029】
1280画素幅を有するタッチスクリーン210を備えた一つの実施例においては,縦断画像314は縦断位置指示子338を中心とする中央のトモグラフィ画像を有する1280枚のトモグラフィ画像の断面を含むように更新される。トモグラフィ画像314は,縦断位置指示子338によって表される縦断位置に対応するように更新される。
【0030】
図6は,縦断画像314に適用される実質的に垂直のタッチ移動を示している。手460の指はタッチスクリーン210に触れ,そしてタッチスクリーンを横切って実質的に垂直方向682に移動する。指は破線で描かれた手460によって示されるように停止し,タッチスクリーンから離れる。上記の実質的に垂直のタッチ移動は縦断画像の断面を回転させる。縦断画像314は更新される。
図3に示される断面指示子328もまた更新される。
【0031】
これらのタッチスクリーン操作及び移動をオペレータが利用できるため,オペレータは医用画像を迅速に操作し,重要な特定の領域を容易に探すことができる。このようにする方法は,以降
図7に関して示され,説明されており,
図2のコンソール206の一部であってもよいヒューリスティックエンジンのようなプログラムモジュールにおける計算環境の方法として実現してもよい。
【0032】
一実施例の態様による縦断画像上のタッチ移動を処理する一組の処理ステップが
図7に示されている。この処理は,ステップ700において検出されたタッチ移動で開始する。1又は複数の水平移動値は方向及び速度を含んでもよく,ステップ702において荷重される。さらに,1又は複数の垂直移動値もまた方向及び速度を含んでもよく,ステップ704において荷重される。一般に,水平移動が検出されたときは,選択マーカは縦断画像の中心軸に沿って移動させてもよく,当該縦断画像を含む一連のトモグラフィ画像の一つに対応してもよい。このように,水平移動は実効的に表示されたトモグラフィ画像を変更させてもよい。同様に,垂直移動が検出されたときは,縦断画像全体(すなわち,各トモグラフィ画像)を,中心軸の周りに回転させてもよい。
【0033】
水平移動値は,縦断画像がタッチ移動によって優先的にパンするように荷重してもよい。荷重した水平移動値の移動平均がステップ706において計算され,この移動平均は水平移動値の最後の10組を用いてもよい。荷重した垂直移動値の移動平均がステップ708において計算され,この移動平均は垂直移動値の最後の10組を用いてもよい。代替実施例においては,加重平均は,適切な数の移動値を含む特定時間窓(例えば,100ms)内のデータ点の組から計算してもよい。荷重され,平均された水平移動値の組は次に,ステップ710において,加重され,平均された垂直移動値の組と比較される。水平移動が垂直移動よりも大きいと考えられるときは,ステップ712においてタッチ移動は水平方向に限定される。垂直移動が水平移動よりも大きいと考えられるときは,ステップ714においてタッチ移動は垂直方向に限定される。そしてタッチ移動はステップ716において処理される。ここで,水平移動は縦断画像のパンを生じさせ,垂直移動は縦断画像の断面の回転を生じさせる。タッチ移動は,反復して処理してもよい。
【0034】
種々の実施例の別の態様においては,IVUS撮像システムを,冠状動脈の一連のトモグラフィ画像を取得するために用いてもよい。タッチスクリーンは一連のトモグラフィ画像のうち少なくとも一つを表示する。タッチスクリーンは更に少なくとも一つの縦断画像を表示し,この縦断画像は一連のトモグラフィ画像の断面を表す。種々の実施例の更なる態様は,少なくとも一つの重要な画像特徴を特定するために一連の画像を検索する方法である。重要な画像特徴は最小内腔領域であってもよい。この画像検索方法は,縦断画像が示されているタッチスクリーンの領域に適用されるタッチ移動を利用してもよい。縦断画像の縦断方向のタッチ移動を処理して,縦断画像をパンさせてもよい。縦断画像の横断方向のタッチ移動を処理して,縦断画像の断面を回転させてもよい。種々の実施例の更に別の態様は,個別のタッチ移動に対して縦断画像のパン又は縦断画像の断面の回転のいずれかを可能にし,同時にパン及び回転をさせない,タッチ移動処理である。タッチ移動処理は,縦断画像のパンを優先する。
【0035】
ここで説明した発明は,種々の変更及び代替構成が可能であるが,一定の実施例を図に示し,詳細に説明した。しかしながら,請求項を開示した特定の形態に限定する意図はなく,逆に,請求項の精神及び範囲内に入るすべての変形,代替構成及び均等物を含むように意図していることを理解されたい。