特許第5926320号(P5926320)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5926320
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】ベルトコンベヤ装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20160516BHJP
【FI】
   A63F7/02 352H
【請求項の数】11
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2014-110356(P2014-110356)
(22)【出願日】2014年5月28日
(65)【公開番号】特開2015-223347(P2015-223347A)
(43)【公開日】2015年12月14日
【審査請求日】2014年5月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000108247
【氏名又は名称】株式会社ジェッター
(74)【代理人】
【識別番号】100081824
【弁理士】
【氏名又は名称】戸島 省四郎
(72)【発明者】
【氏名】大宅 高敏
【審査官】 藤澤 和浩
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−143951(JP,A)
【文献】 実開平02−139811(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
A63F 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅方向に変形しにくい複数の短ベルトをその前後端同士を重ね合わせてその重なり部分を水平に折れ曲がり可能に連結具で連結し無端コンベヤベルトと、前記無端コンベヤベルトの往路のベルトを受けるベルト受け面の左右を下方に折曲した形状の水平なベルト受け体と、前記ベルト受け体の左右に取り付けられる垂直な側壁体と、前記ベルト受け体の前後端に取り付けられるローラーと、前記の前後端のローラーに前記無端コンベヤベルトを張り渡すためのコンベヤフレームと、前記ローラーを駆動する駆動手段と、前記コンベヤフレームの下方に前記無端コンベヤベルトの復路のベルトを支持する水平部材とベルトの左右を拘束する垂直部材を有する復路ガイド部とから構成され、前記無端コンベヤベルトが前記側壁体に接触して折れ曲がりながら送られてベルト上の物品を曲線状に搬送できるようにした、ベルトコンベヤ装置。
【請求項2】
前記復路ガイド部が、左右の前記側壁体の下部に設けたものである、請求項1記載のベルトコンベヤ装置。
【請求項3】
前記復路ガイド部が、前記ベルト受け体の左右の下部に設けたものである、請求項1記載のベルトコンベヤ装置。
【請求項4】
前記復路ガイド部が、前記ベルト受け体の下方に別体として設けたものである、請求項1記載のベルトコンベヤ装置。
【請求項5】
前記短ベルトは、重ね合わされる前端の中間位置と前記前端の中間位置の左右位置とに開口された3組以上の円穴と、重ね合わされる後端の中間位置に開口された円穴と、重ね合わされる前記の後端の中間位置の左右位置で開口された前後方向に長い長穴とを有し、重ね合わされる前の短ベルトの後端と後の短ベルトの前端の前記中間位置の上下の円穴同士及び前の短ベルトの後端の左右の前記長穴とこれと上下する後の短ベルトの前端の左右の前記円穴の穴同士とを上下の穴を貫通するように前記連結具で連結して水平に折れ曲がり可能とした、請求項1〜4いずれか記載のベルトコンベヤ装置。
【請求項6】
前記短ベルトが、その左右の側辺を内側へやや湾曲するように中間の幅を前後の幅より短くし、且つ前後左右の角部を斜めに又は丸く形成したものである、請求項1〜5いずれか記載のベルトコンベヤ装置。
【請求項7】
前記短ベルトが、帆布を複数枚積層したものである、請求項1〜6いずれか記載のベルトコンベヤ装置。
【請求項8】
前記ベルト受け体が、その左右の折曲部の下端を内側へ折り曲げて補強リブを形成したものである、請求項1〜7いずれか記載のベルトコンベヤ装置。
【請求項9】
前記ベルト受け体が、そのベルト受け面となる上部を肉厚に形成したものである、請求項1〜8いずれか記載のベルトコンベヤ装置。
【請求項10】
前記の左右の側壁体が、その内側面に前記無端コンベヤベルトの往路のベルトの立ち上がりを抑える抑え部を設けたものである、請求項1〜9いずれか記載のベルトコンベヤ装置。
【請求項11】
請求項1〜10いずれか記載のベルトコンベヤ装置が、遊技機及びメダル貸し機が連設された遊技島でメダルを搬送するために用いられるものである、メダル搬送用ベルトコンベヤ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として複数の遊技機とメダル貸し機が連設された遊技島でメダルを搬送するために用いられるベルトコンベヤ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技島においては、遊技機とメダル貸し機にメダルを供給するメダル供給ラインや、遊技機で使用されたメダルを回収するメダル回収ラインにベルトコンベヤ装置が用いられている。メダル供給ラインは、遊技島の一端に設置されたメダル供給回収装置の上部から遊技機とメダル貸し機の上方へ伸びるように設置され、メダル回収ラインは、メダル供給回収装置の下部から遊技機とメダル貸し機の下方へ伸びるように設置されている。
【0003】
ところで、ベルトコンベヤ装置の形状は直線状であるから、遊技島の全体形状が湾曲している場合などでは、複数の短いベルトコンベヤ装置をその前後端同士で乗せ掛けて折れ線状に接続し、各装置間でメダルを乗り移らせながら搬送している(例えば特許文献1参照)。しかし、この方法はベルトコンベヤ装置が多数必要で(例えば20台のスロットル台が設置された遊技島で約10本)故障の発生が多くなり、乗せ掛けた箇所でメダルが詰まりやすくなる問題もあった。
【0004】
また、多数のモジュールを連結したモジュラーベルトを用いることで、メダルを曲線状に連続的に搬送できるようにした技術も提案されている(例えば特許文献2,3参照)。しかし、モジュラーベルトの構造が複雑で高価であり、装置も大型化して設置場所の制約を受けやすいものであった。
【0005】
一方、ベルトコンベヤ装置のコンベヤフレームは、アルミニウム合金等の材料を直線状に押し出し成形した断面箱型の中空構造が一般的である(例えば特許文献3,4参照)。しかし、これらの技術では、曲線状の搬送ラインを実現するために長さの短い直線状のコンベヤフレームを折れ線状に複数連結しており、組み立てに手間を要していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開平7−3694号公報
【特許文献2】特開2005−160539号公報
【特許文献3】特開2006−26109号公報
【特許文献4】特開2013−94372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、複数の遊技機とメダル貸し機が曲線状に連設された遊技島で、メダル供給ラインやメダル回収ラインをそれぞれ1本の装置で構築できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 幅方向に変形しにくい複数の短ベルトをその前後端同士を重ね合わせてその重なり部分を水平に折れ曲がり可能に連結具で連結し無端コンベヤベルトと、前記無端コンベヤベルトの往路のベルトを受けるベルト受け面の左右を下方に折曲した形状の水平なベルト受け体と、前記ベルト受け体の左右に取り付けられる垂直な側壁体と、前記ベルト受け体の前後端に取り付けられるローラーと、前記の前後端のローラーに前記無端コンベヤベルトを張り渡すためのコンベヤフレームと、前記ローラーを駆動する駆動手段と、前記コンベヤフレームの下方に前記無端コンベヤベルトの復路のベルトを支持する水平部材とベルトの左右を拘束する垂直部材を有する復路ガイド部とから構成され、前記無端コンベヤベルトが前記側壁体に接触して折れ曲がりながら送られてベルト上の物品を曲線状に搬送できるようにした、ベルトコンベヤ装置
2) 前記復路ガイド部が、左右の前記側壁体の下部に設けたものである、前記1)記載のベルトコンベヤ装置
3) 前記復路ガイド部が、前記ベルト受け体の左右の下部に設けたものである、前記1)記載のベルトコンベヤ装置
4) 前記復路ガイド部が、前記ベルト受け体の下方に別体として設けたものである、前記1)記載のベルトコンベヤ装置
5) 前記短ベルトは、重ね合わされる前端の中間位置と前記前端の中間位置の左右位置とに開口された3組以上の円穴と、重ね合わされる後端の中間位置に開口された円穴と、重ね合わされる前記の後端の中間位置の左右位置で開口された前後方向に長い長穴とを有し、重ね合わされる前の短ベルトの後端と後の短ベルトの前端の前記中間位置の上下の円穴同士及び前の短ベルトの後端の左右の前記長穴とこれと上下する後の短ベルトの前端の左右の前記円穴の穴同士とを上下の穴を貫通するように前記連結具で連結して水平に折れ曲がり可能とした、前記1)〜4)いずれか記載のベルトコンベヤ装置
6) 前記短ベルトが、その左右の側辺を内側へやや湾曲するように中間の幅を前後の幅より短くし、且つ前後左右の角部を斜めに又は丸く形成したものである、前記1)〜5)いずれか記載のベルトコンベヤ装置
7) 前記短ベルトが、帆布を複数枚積層したものである、前記1)〜6)いずれか記載のベルトコンベヤ装置
8) 前記ベルト受け体が、その左右の折曲部の下端を内側へ折り曲げて補強リブを形成したものである、前記1)〜7)いずれか記載のベルトコンベヤ装置
9) 前記ベルト受け体が、そのベルト受け面となる上部を肉厚に形成したものである、前記1)〜8)いずれか記載のベルトコンベヤ装置
10) 前記の左右の側壁体が、その内側面に前記無端コンベヤベルトの往路のベルトの立ち上がりを抑える抑え部を設けたものである、前記1)〜9)いずれか記載のベルトコンベヤ装置
11) 前記1)〜10)いずれか記載のベルトコンベヤ装置が、遊技機及びメダル貸し機が連設された遊技島でメダルを搬送するために用いられるものである、メダル搬送用ベルトコンベヤ装置
にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明の前記1)記載の構成によれば、無端コンベヤベルトが折れ曲がりながら回動するから、曲線状の遊技島のメダル供給ラインやメダル回収ラインをそれぞれ1本の装置で構築できる。したがって、従来技術の乗せ掛け式と比較して故障の発生率が大幅に減少し、乗せ掛けた箇所で生じていたメダルの詰まりもない。また、乗せ掛け式と比較して装置の高さも低くでき、設置場所の制約が少ない。
【0010】
本発明の前記2)〜4)記載の構成によれば、復路ガイド部によって無端コンベヤベルトの復路のベルトが支えられ、自重で下がることなく回動や折れ曲がりが安定する。
【0011】
本発明の前記5)記載の構成によれば、中間部の連結具が回転軸となり、左右の連結具が長穴内でスライドすることで、前後の短ベルトが柔軟に折れ曲がることができる。しかも、左右の連結具で重なり部の捲れや反りが防止され、搬送中のメダルが上下の短ベルトの間に挟まれることがない。
【0013】
本発明の前記)記載の構成によれば、無端コンベヤベルトはローラーの引っ張りで曲線区間の内周側の側壁体に強く接触するが、短ベルトの左右辺が湾曲状に形成されているから、側壁体に強く接触しにくくなって変形を防止できる。また、短ベルトの前後左右の角部が斜めに又は丸く形成されているから、折れ曲がった無端コンベヤベルトの外周側が側壁体に引っ掛かりにくくなって円滑に回動できる。
【0014】
本発明の前記)記載の構成によれば、無端コンベヤベルトはローラーの引っ張りで曲線区間の内周側の側壁体に強く接触するが、積層された帆布は幅方向に適度な剛性を有するから、側壁体に強く接触しても変形しにくいものとなる。また、安価に製作でき、引っ張り強度も十分に有する。
【0016】
本発明の前記)記載の構成によれば、補強リブによってベルト受け体が必要十分な強度を有するものにできる。
【0017】
本発明の前記)記載の構成によれば、ベルト受け体の曲げ加工時にベルト受け面の上部の隆起が防止されて精度良く曲げ加工できる。
【0018】
本発明の前記10)記載の構成によれば、抑え部で無端コンベヤベルトの往路のベルトの立ち上がりが抑制されて回動が安定する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施例のベルトコンベヤ装置の全体図である。
図2】実施例の短ベルトの平面図である。
図3】実施例の無端コンベヤベルトの連結部分の説明図である。
図4】実施例のベルト受け体と曲げ加工時に用いる中子の断面図である。
図5】実施例のベルト受け体の曲げ加工の説明図である。
図6】実施例のベルトコンベヤ装置の途中部分の断面図である。
図7】実施例のベルトコンベヤ装置のローラー部分の断面図である。
図8】実施例の遊技島の全体図である。
図9】実施例の無端コンベヤベルトの折れ曲がりの説明図である。
図10】実施例の他の例のベルトコンベヤ装置の説明図である。
図11】実施例の他の例の復路ガイド部の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の短ベルトとしては、布、ゴム、軟質のプラスチック、又はこれらを組み合わせたものが使用されるが、幅方向に変形しにくい剛性、十分な引っ張り強度、コストの点から帆布を複数枚積層したものが望ましい。幅方向に変形しにくい剛性とは、無端コンベヤベルトがローラーの引っ張りで曲線区間の内周側の側壁体に強く接触した際、その側辺が容易に変形しない程度をいう。短ベルトの長さとしては、10〜20cmの範囲が実用的であるが、コンベヤフレームの曲率や幅に応じて適宜決定される。寸法が短い場合は、急曲線状に折り曲げやすくなるが、連結箇所が増加してコスト高となる。
【0021】
連結具としては、かしめによって留める金属製のリベットが一般的であるが、脱着可能なプラスチックリベットやネジも使用できる。プラスチックリベットやネジの場合は、無端コンベヤベルトが破損した場合にその破損箇所の短ベルトのみを容易に交換できる。金属製のリベットをかしめる際は、その頭部の張り出し部分と短ベルトの間に薄いスペーサーを挟んだ状態で打ち、その後スペーサーを抜き取ってリベットと短ベルトの間にわずかな隙間を形成する。これによって、リベットによる過度な締め付け力の発生が防止され、無端コンベヤベルトが円滑に折れ曲がることができる。なお、リベットは、平坦な頭部を上側にしてメダルが引っ掛からないようにする。
【0022】
コンベヤフレームとしては、アルミニウム合金、鉄、プラスチック等で製作されるが、成形後に容易に曲げ加工できるアルミニウム合金が望ましい。曲線状に直接押し出し成形しても良いが、直線状の汎用品を成形しておき、これを必要に応じて所定の曲率に曲げ加工することで、様々な形状の遊技島に応じたベルトコンベヤ装置を安価に製作できる。なお、ベルト受け体と側壁体は別々に成形して組み立てるのが一般的であるが、これらが一体化したものを押し出し成形して曲げ加工しても良い。
【0023】
以下、本発明の代表的な実施例を図面に基づいて具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではなく、様々な組み合わせや変形が可能である。
【実施例】
【0024】
図1〜9に本実施例のベルトコンベヤ装置Aを示す。図中、1は無端コンベヤベルト、2はコンベヤフレーム、3はローラー、4はモーター(駆動手段)、5は遊技機、6はメダル貸し機、7はメダル供給ライン、8はメダル回収ライン、9はメダル供給回収装置、Sは遊技島である。
【0025】
無端コンベヤベルト1を構成する短ベルト1aは、長さ175mm、幅62mmの帆布を2枚積層したもので、前後の一方の端部を幅方向へ直線状に形成するとともに他方の端部を外側へ湾曲するように形成し、左右の側辺を内側へやや湾曲するように中間の幅を前後の幅より左右3mmづつ短く形成し、前後左右の角部1bを斜めに形成している。直線状の端部には中間位置及びその左右位置に円穴1cを開口し、湾曲状の端部には中間位置に円穴1cを開口するとともにその左右位置に長さ5mm程の前後方向の長穴1dを開口している(図2参照)。
【0026】
この複数の短ベルト1aの前後端同士を長穴1dが下側となるように重ね合わせ、中間位置の上下の円穴1cに金属製のリベット1eを連通して留め、上側の短ベルト1aの左右の円穴1cと下側の短ベルト1aの左右の長穴1dにリベット1eを連通して留めて連結している(図3参照)。符号1fはワッシャーである。
【0027】
コンベヤフレーム2を構成するベルト受け体2aは、幅65mmのアルミニウム合金製で、ベルト受け面となる上部が肉厚で下側に開口を有した中空の断面コ字状に且つリベット1eの逃げとなる凹部2bが上面に3箇所形成されるように直線状に押し出し成形し、これを半径1500mm程の曲率に曲げ加工している。
【0028】
曲げ加工時は、中空の断面形状を中間部と左右部に3分割した変形可能なプラスチック製の中子2dを用い、これらを開口から中空へ左右部・中間部の順に嵌合する(図4参照)。符号2cは補強リブである。そして、その状態でベルト受け体2aをベンディングローラ2eで曲げ加工し(図5参照)、その後3体の中子2dを中間部・左右部の順に取り外す。これによって、中空部の形状が中子2dで保持されるとともに3箇所の凹部2bで変形が吸収され、しかもベルト受け体2aの上部の肉厚によって、陥没や隆起、シワの発生が防止されて精度良く曲げ加工できる。中子2dは、脱着を容易にするために台形状に形成している。凹部2bの底面と中子2dの間には、凹部2bの変形の逃げとして0.4〜0.5mmの間隔を空ける。
【0029】
コンベヤフレーム2を構成する側壁体2fは、高さ88mmの6ナイロン製で、無端コンベヤベルト1の往路のベルトの立ち上がりを抑える抑え部2gと復路のベルトを保持する復路ガイド部2hが形成されるように直線状に押し出し成形している。抑え部2gは略三角形状に折り曲げられ、復路ガイド部2hは2枚のフィンが水平に突出されて無端コンベヤベルト1を上下で保持できる構造となっている。この側壁体2fの抑え部2gと復路ガイド部2hの間の面を前記ベルト受け体2aの左右の側面にリベットやネジ等(図示は省略)で取り付けている(図6参照)。
【0030】
ローラー3はゴム製で、その周面にリベット1eの逃げとなる凹部3aを3箇所形成している。このローラー3をコンベヤフレーム1の前後に軸受3bで軸支し、駆動側となるローラー3の軸端にスプロケット3cを取り付けている。その駆動側となるローラー3の近傍にはモーター4を取り付け、そのモーター4の出力軸に備えたスプロケット4aと前記スプロケット3cの間に駆動チェーン4bを張り渡している(図7参照)。この前後のローラー3の間に前記無端コンベヤベルト1を張り渡している。
【0031】
図8に複数の遊技機5とメダル貸し機6が湾曲状に連設された遊技島Sを示している(遊技機5とメダル貸し機6は一部を省略)。遊技機5とメダル貸し機6の上方にメダル供給ライン7を設置してメダル取込装置7aと供給路7bで接続し、遊技機5の下方にメダル回収ライン8を設置して回収路8aで接続している。メダル供給回収装置9は、遊技島Sの一端に設置してメダル供給ライン7の始端とメダル回収ライン8の終端を接続し、メダル供給ライン7の終端とメダル回収ライン8の始端を接続路10で接続している。そのメダル供給ライン7とメダル回収ライン8に前記ベルトコンベヤ装置Aを用いている。符号9aはリフターである。
【0032】
メダル供給ライン7とメダル回収ライン8とメダル供給回収装置9を作動させると、メダル供給回収装置9内のメダルmがメダル供給ライン7で送り出されてメダル取込装置7aで取り込まれ、供給路7bを通じて遊技機5とメダル貸し機6に供給される。遊技機5から排出された使用済みのメダルmは、排出路8aを通じてメダル回収ライン8に落下し、メダル供給回収装置9に回収されて循環する。遊技機5とメダル貸し機6に供給されなかった余剰のメダルmは、接続路10を通じてメダル回収ライン8に落下し、メダル供給回収装置9に回収されて循環する。
【0033】
メダル供給ライン7とメダル回収ライン8のベルトコンベヤ装置Aは、図9に示すように、中間部のリベット1eが回転軸となり、左右のリベット1eが長穴1d内でスライドすることで、無端コンベヤベルト1が側壁体2fに接触して折れ曲がりながら回動し、多数のメダルmが曲線状に搬送される。したがって、1つのラインにつきベルトコンベヤ装置Aが1体で済むから、直線状の装置を複数組み合わせていた乗せ掛け式の従来技術と比較して故障の発生率が大幅に減少し、乗せ掛け部分で生じていたメダルmの詰まりもない。
【0034】
無端コンベヤベルト1の連結部は、左右のリベット1eで重なり部の捲れや反りが防止されており、搬送中のメダルmが上下の短ベルト1aの間に挟まれることはない。また、無端コンベヤベルト1がローラー3で反転する際、上側の短ベルト1aの端部はめくれが小さくなっており、メダルmが上下の短ベルト1aの間に挟まれ難い。また、無端コンベヤベルト1はローラー3の引っ張りで直線の内周側の側壁体2fに強く接触しようとするが、短ベルト1aの左右辺が湾曲状に形成されているから、側壁体2fに強く接触しにくくなって変形が防止される。さらに、短ベルト1aは前後左右の角部が斜めに形成されているから、折れ曲がった無端コンベヤベルト1の外周側が側壁体2fに引っ掛かりにくくなって円滑に回動する。
【0035】
図10に示すのは、本実施例の他の例であって、様々な形状のベルトコンベヤ装置Aを示している。図10(a),(b)のベルトコンベヤ装置Aは、コンベヤフレーム2として直線状のものと曲げ加工したものを組み合わせ、全体を略L字状や略U字状に形成している。図10(c)のベルトコンベヤ装置Aは、1本のコンベヤフレーム2を曲げ加工し、全体を略S字状に形成している。その他、波状、円状、楕円状など様々な曲線状に形成できる。その他、符号、構成、作用効果は実施例と同じである。
【0036】
図11に示すのは、本実施例の他の例であって、様々な復路ガイド部2hを備えたコンベヤフレーム2を示している。図11(a)のコンベヤフレーム2は、2枚のフィンが水平に突出された復路ガイド部2hをベルト受け体2aの左右の下部に形成している。図11(b)のコンベヤフレーム2は、ベルト受け体2aの下方に別体の復路ガイド部2hをコンベヤフレーム2とは独立して設けている。いずれのコンベヤフレーム2も、前記実施例と同じように復路ガイド部2hによって無端コンベヤベルト1の復路のベルトを支えることができ、自重で下がることなく回動や折れ曲がりが安定するものとなっている。その他、符号、構成、作用効果は実施例と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の技術は、主として遊技島でメダルを搬送する用途に利用されるが、その他、工場や倉庫等での物品の搬送に広く応用できる。
【符号の説明】
【0038】
1 無端コンベヤベルト
1a 短ベルト
1b 角部
1c 円穴
1d 長穴
1e リベット
1f ワッシャー
2 コンベヤフレーム
2a ベルト受け体
2b 凹部
2c 補強リブ
2d 中子
2e ベンディングローラ
2f 側壁体
2g 抑え部
2h 復路ガイド部
3 ローラー
3a 凹部
3b 軸受
3c スプロケット
4 モーター(駆動手段)
4a スプロケット
4b 駆動チェーン
5 遊技機
6 メダル貸し機
7 メダル供給ライン
7a メダル取込装置
7b 供給路
8 メダル回収ライン
8a 回収路
9 メダル供給回収装置
9a リフター
10 接続路
A ベルトコンベヤ装置
S 遊技島
m メダル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11