特許第5926410号(P5926410)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5926410
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】スイッチ装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/62 20060101AFI20160516BHJP
【FI】
   H01H13/62
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2014-559513(P2014-559513)
(86)(22)【出願日】2013年12月11日
(86)【国際出願番号】JP2013083155
(87)【国際公開番号】WO2014119140
(87)【国際公開日】20140807
【審査請求日】2015年7月17日
(31)【優先権主張番号】特願2013-19361(P2013-19361)
(32)【優先日】2013年2月4日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】508296738
【氏名又は名称】富士電機機器制御株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390021186
【氏名又は名称】株式会社秩父富士
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(72)【発明者】
【氏名】下山 栄治郎
(72)【発明者】
【氏名】高野 芳弘
(72)【発明者】
【氏名】町田 謹斎
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−232157(JP,A)
【文献】 特開2009−193812(JP,A)
【文献】 特開2004−220827(JP,A)
【文献】 特開2000−340062(JP,A)
【文献】 特開平1−241723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00−13/76
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押し込み操作する押しボタンを有する操作部と、この操作部の押しボタンの押し込み操作に連動して開閉される開閉接点機構を備えたスイッチ部とを相互に分離可能に結合してなるスイッチ装置において、
前記スイッチ部に、待機位置と使用位置との間で回転し、待機位置で前記開閉接点機構を前記操作部が操作状態のときの開閉状態に駆動し、使用位置で前記開閉接点機構を前記操作部が待機状態のときの開閉状態に駆動する回転駆動板を設け、前記操作部に、この操作部が前記スイッチ部に結合装着されたとき、前記回転駆動板と係合して、この回転駆動板を待機位置から使用位置に回転駆動する係合部を設け、前記操作部を前記スイッチ部に脱着することにより、前記開閉接点機構をそれぞれ定めた開閉状態とすることを特徴とするスイッチ装置。
【請求項2】
前記開閉接点機構が、その開閉接点を、操作部が待機状態のときの開閉状態となる方向に付勢する接点バネを備えることを特徴とする請求項1に記載のスイッチ装置。
【請求項3】
前記回転駆動板は、一端に開閉接点機構を駆動するカム片を備えることを特徴とする請求項1また2に記載のスイッチ装置。
【請求項4】
前記スイッチ部の前記回転駆動板には、前記スイッチ部が前記操作部から離脱したとき、これを使用位置から待機位置に戻す復帰バネを設けることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のスイッチ装置。
【請求項5】
前記操作部と前記回転駆動板を係合する係合部は、操作部または回転駆動板に設けた軸方向に傾斜する係合溝と、この係合溝に嵌合される前記回転駆動板または操作部に設けた係合突起とにより構成することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のスイッチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パネルなどに取り付けて使用する操作部と、この操作部によって開閉接点が開閉操作されるスイッチ部とが分離可能に構成されたスイッチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このように操作部とこの操作部によって操作されるスイッチ部が分離可能に構成されたスイッチ装置としては、従来から、例えば特許文献1に示されるものが知られている。
【0003】
この特許文献1に示された従来のスイッチ装置1を、図12〜14に示す。
【0004】
このスイッチ装置100は、互いに着脱可能に構成された操作部110とスイッチ部120とを備える。操作部110は、外部から加わる押し込み操作力をスイッチ部120へ伝える。スイッチ部120は、操作部110からの操作力を受けてこの操作力に基づいて複数の開閉接点部の開閉を行う。
【0005】
操作部110は操作部本体111と押ボタン113とを備える。押ボタン113は、略円柱であり、押ボタン113の上端面は外部から軸線方向に操作力を受ける。押ボタン113の下端側の側面に円柱形状の突起114が突出して形成されている。また、操作部本体111の側面の下側には、操作部本体111をスイッチ部120に回動して嵌め込むために略逆L字形の2つのガイド溝112が対向して設けられている。
【0006】
操作部110の押ボタン113は、操作部本体111により軸方向に移動可能で、回転方向に回動不能に支持されている。操作部本体111には、図14に示すように、バネ115の付勢力によって操作部本体111の内壁から突出するロックピン116が設けられ、押ボタン113の側面にこれと係合する係止突起117が突設されている。これによって、押ボタン113の上面を中心軸線Xに沿って所定以上の操作力で押し下げ操作すると、係止突起117により本体111のロックピン116がバネ115の付勢力に抗して押し込まれ、係止突起117とロックピン116との係合が外れるため押ボタン113が下方向へ移動する。係止突起117がロックピン116を越えると再び突出し係止突起117と係合して、押ボタン113を点線で示す押し込み位置にロック(係止)する(図14)。
【0007】
スイッチ部120は、スイッチ部本体121の内部空間を水平方向に区切る仕切壁123を備え、その中央部には中心軸線Xに沿って貫通する貫通孔124が設けられている。スイッチ部本体121の内壁の仕切壁123より上側には、操作部110のガイド溝112に係合する2つの係合突起122が一体に成形されている。
【0008】
貫通孔124には、接点軸125が中心軸線Xの方向に移動可能であって中心軸線Xを中心には回動しないように挿通される。接点軸125の上端には上方から押ボタン113の下端部が挿入される筒状の押ボタン受け126が設けられている。押ボタン受け126の周側面には、押ボタン113の突起114と係合するための、図示のような中心軸線Xに対して回動しながら下方へ向かう螺旋形状の切欠きガイド127が設けられている。
【0009】
スイッチ部本体121の仕切壁123の下部空間に開閉接点機構130が収められている。開閉接点機構130は、それぞれ固定接点133を備えた1対の固定接触子片132と、両端に1対の可動接点135を備えた可動橋絡片134とを備える。可動橋絡片134の中央部に接点軸125の先端が結合され、可動橋絡片134と仕切壁123との間の接点軸125には、可動橋絡片134を固定接触子片132から引き離す方向に付勢する接点バネ131が取り付けられている。2つの固定接触子片132から、それぞれ本体121の外側まで外部接続端子片136が引き出される。固定接触子片132の固定接点133と可動橋絡片134の可動接点135とは接離可能に対向して設けられている。
【0010】
ここでは、操作部110は図示しないパネルに取り付けられる。
【0011】
図12に示すように、スイッチ部120が操作部110から分離されている状態においては、接点バネ131によって可動橋絡片134が固定接触子片132から引き離されるので、接点軸125が下方に移動し、可動接点135と固定接点133とが離間された状態(スイッチオフ)になっている。
【0012】
この状態からスイッチ部120を操作部110に結合する場合はまず、操作部110のガイド溝112の入り口にスイッチ部120の係合突起122が挿入され、かつスイッチ部の切欠きガイド127の入り口に突起114が挿入されるように、操作部110にスイッチ部120を下方から嵌め込む。
【0013】
次に、スイッチ部本体121を中心軸線Xを中心にして矢印R(右)方向へ回す。押ボタン113は操作部本体111に対して回動しないように構成されているのでスイッチ部本体121を矢印R方向へ回すと、突起114は螺旋形状の切欠きガイド127内を相対的に動く。これによって突起114は押ボタン受け126を上方へ移動させ、これに伴い可動接点135も上方へ移動するがスイッチ部本体121を回しきると、可動接点135が固定接点133に閉合した状態(スイッチオン)となる(図13(a)参照)。これでスイッチ部120が操作部110に結合固定される。
【0014】
スイッチ部120を操作部110から取り外す場合は、取り付ける場合の逆動作である。すなわち、図13(a)のスイッチ部120が操作部110に取り付けられている状態において、中心軸線Xを中心にしてスイッチ部120を逆の矢印L(左)方向に回すことにより、相互の結合を解き、さらにスイッチ部120を下方へ引くことにより操作部110から取り外すことができる。(図12参照)。この状態では、可動接点135と固定接点133は接点バネ131により引き離す方向へ付勢されて離間し、開(スイッチオフ)状態を保つ。
【0015】
このように構成されたスイッチ装置100は、待機状態では、図13(a)に示すように、常時可動接点135が固定接点133に閉合し、スイッチオン状態を保つ。
【0016】
そして、この状態で操作部110の押ボタン113を押し下げると、これに押ボタン受け126、接点軸125を介してこれと連係された可動橋絡片134が下降するので、可動接点135が固定接点133から離間しスイッチオフ状態となり(図13(b)参照)、これにより、非常スイッチとして利用されている場合には、制御対象に停止指令を与えることができる。このとき、押ボタン113は図14に点線で示す押し込み操作位置で係止突起117がロックピン116を越えた位置でロックピン116により係止されるので、この押し込み操作位置に保持され可動接点135を固定接点133から離間したオフ状態に保持することができる。
【0017】
さらに、操作部110に結合されているスイッチ部120が操作部110から離脱するような事故が生じた場合は、スイッチ部120の可動接点135は復帰バネ131により離間方向に付勢されて、常時閉合されている固定接点133から自動的に離間され、スイッチオフ(操作状態と同じ状態)となる。このため、非常停止用スイッチとして利用した場合には、スイッチ部120が操作部110から離脱するような事故時にはスイッチオフすることにより、制御対象に停止指令が与えられるので制御対象の安全を保つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2004‐103363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
前記の従来のスイッチ装置では、常時、開閉接点の開閉状態が操作状態のときの開閉状態となる方向、すなわち、常閉接点構成の場合は可動接点が固定接点から離間する方向、また、常開接点構成の場合は可動接点が固定接点に閉合する方向に付勢する接点バネにより開閉接点機構の可動接点が付勢されている。
【0020】
このため、待機状態で開閉接点が閉となる常閉(ノーマルクローズ)接点構成を有するスイッチ装置の場合、スイッチ部120に僅かな衝撃力が加わったり、スイッチ部120と操作部110の結合状態が緩んだりすると、接点バネ131により、可動接点135を支持する可動橋絡片134および接点軸125が下方へ押し下げられ、可動接点135が固定接点133から離間し、一時的にスイッチオフとなるような誤動作が発生する問題がある。
【0021】
また、待機状態で開閉接点が開となる常開(ノーマルオープン)接点構成を備えたスイッチ装置の場合は、衝撃力により操作者の意思と関係なく誤って固定接点と可動接点が閉成してスイッチオンとなる誤動作が発生する。
【0022】
この発明は、このような問題点を解消するため、スイッチ装置に外部から衝撃が加わっても開閉接点部が誤って開閉することのない、動作信頼性の高いスイッチ装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記の課題を解決するため、この発明は、押し込み操作する押しボタンを有する操作部と、この操作部の押しボタンの押し込み操作に連動して開閉される開閉接点機構を備えたスイッチ部とを相互に分離可能に結合してなるスイッチ装置において、
前記スイッチ部に、待機位置と使用位置との間で回転し、待機位置で前記開閉接点機構を前記操作部が操作状態のときの開閉状態に駆動し、使用位置で前記開閉接点機構を前記操作部が待機状態のときの開閉状態に駆動する回転駆動板を設け、前記操作部にこの操作部が前記スイッチ部に結合装着されたとき、前記回転駆動板と係合してこの回転駆動板を待機位置から使用位置に回転駆動する係合部を設け、前記操作部を前記スイッチ部に脱着することにより、前記開閉接点機構をそれぞれ定めた開閉状態とすることを特徴とするものである(請求項1)。
【0024】
この発明では、前記開閉接点機構がその開閉接点を、操作部が待機状態のときの開閉状態となる方向に付勢する接点バネを備えるのがよい(請求項2)。
【0025】
前記回転駆動板は、一端に開閉接点機構を駆動するカム片を備えることができる(請求項3)。
【0026】
また、前記スイッチ部の前記回転駆動板には、前記スイッチ部が前記操作部から離脱したとき、これを使用位置から待機位置に戻す復帰バネを設けることもできる(請求項4)。
【0027】
さらに、前記操作部と前記回転駆動板を係合する係合部は、操作部または回転駆動板に設けた軸方向に傾斜する係合溝と、この係合溝に嵌合される前記回転駆動板または操作部に設けた係合突起とにより構成される(請求項5)。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、操作部に対して分離可能に結合されるスイッチ部に、待機位置と使用位置との間で回転し、待機位置で前記開閉接点機構を操作部が操作状態のときの開閉状態に操作し、使用位置で前記開閉接点機構を操作部が待機状態のときの開閉状態に操作する回転駆動板を設け、前記操作部を、前記スイッチ部に結合装着したとき前記回転駆動板と係合して、この回転駆動板を待機位置から使用位置に回転駆動する構成としているので、前記操作部を前記スイッチ部に脱着することにより前記開閉接点機構をそれぞれ定めた開閉状態とすることができるため、万が一にもスイッチ部から操作部が外れるような事故が生じた場合は、開閉接点機構の開閉状態を操作部の操作状態のときの開閉状態とすることができるので、非常用安全スイッチとしての使用に適する。
【0029】
また、開閉接点機構の開閉接点が接点バネにより、常時、操作部が待機状態のときの開閉状態となる方向、すなわち、常閉接点構成の場合は可動接点が固定接点に閉合される方向、そして、常開接点構成の場合は、可動接点が固定接点から離間される方向に付勢されているので、待機状態においてスイッチ装置に衝撃が加わっても可動接点が移動しにくくなるので誤動作が抑制され、スイッチ装置の動作信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】この発明の実施例のスイッチ装置の全体構成を一部切り欠いて示す斜視図である。
図2】この発明の実施例の押ボタン部の構成を示すもので、(a)は、一部切欠いて示す分解斜視図、(b)は組立状態を一部切り欠いて示す斜視図である。
図3】この発明の実施例の操作部本体の構成を一部切り欠いて示す分解斜視図である。
図4】この発明の実施例の操作部の構成を一部切り欠いて示す分解斜視図である。
図5】この発明の実施例の操作部の動作を説明するもので、(a)は、待機位置でのロック状態を示す一部切欠き部を含む斜視図、(b)は、押し込み操作位置でのロック状態を示す一部切欠き部を含む斜視図である。
図6】この発明の実施例のスイッチ装置を分解して示す斜視図である。
図7】この発明の実施例のスイッチ装置のスイッチ部を分解して示す斜視図である。
図8】この発明の実施例のスイッチ装置に使用する回転駆動板を示す正面図である。
図9】この発明の実施例のスイッチ装置の操作部とスイッチ部の結合過程を説明する図である。
図10】この発明の実施例のスイッチ装置の操作部とスイッチ部との結合状態を説明する図であり、(a)は、操作部とスイッチ部が分離された状態を示し、(b)は、操作部とスイッチ部が結合された状態を示す。
図11】この発明の実施例のスイッチ装置の操作状態を示す一部切欠き部を含む斜視図である。
図12】従来のスイッチ装置を示す構成図である。
図13】従来のスイッチ装置の操作状態の説明図である。
図14】従来のスイッチ装置の操作部を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
この発明の実施の形態を、図を参照しながら詳細に説明する。
【実施例】
【0032】
図1図11にこの発明の非常停止用押ボタンスイッチとして使用するスイッチ装置の実施例を示す。
【0033】
図1において、1はスイッチ装置であり、互いに結合、分離が可能に構成された操作部10とスイッチ部20とを備える。
【0034】
操作部10は、外部からの操作力をスイッチ部20へ伝達し、スイッチ部20内の開閉接点機構を開閉操作するものであり、押ボタン12とこれを支持する操作部本体11とから構成されている。
【0035】
押ボタン12は、詳細を図2に示すように、捩りコイルバネで構成された押ボタン復帰バネ14を介して、押棒13と組み合わせられる。
【0036】
これらを組み合わせるときは、まず、復帰バネ14の一端の折り曲げ部14aを、押ボタン12の係合溝12bに挿入し係合する。この押ボタン12に係合されたバネ14内に押棒13の先端部を挿入し、バネ14の他端の折り曲げ部14bを押棒13の固定穴13eに挿入係合する。この状態でさらに、相対的に押ボタン12を右方向に回転して押ボタン12の内側の1対の係合突起12cと、押棒13の先端部の外周の1対のL形係合溝13dとの位置を合わせた上で、押棒13を押ボタン12に内に押し込んで、係合突起12cと係合溝13dとを互いに係合する。これにより、押ボタン12と押棒13とは、図2(b)に示すように、復帰バネ14を介して相対的に所定角度の範囲で回動可能に結合される。
【0037】
このように構成された押ボタン12に操作部本体11を結合して操作部10を構成する。操作部本体11の内部には、詳細を図3に示すように、1対の保持溝17bを備えたロックホルダ17が挿入される。このロックホルダ17の保持溝17b内にはそれぞれロックピン15およびロックバネ16が挿入され、保持される。操作部本体11内に挿入されたロックホルダ17は、係合突起17aが操作部本体11の円筒状の上部胴部11の内壁に設けた係合穴11hに係合するまで押し込んで操作部本体11に固定される。操作部本体11内に固定されたロックホルダ17に保持されたロックピン15はロックバネ16により弾性的に押されて先端が、図4に示すように、ロックホルダ17の内側に突出するようになる。
【0038】
上部から操作部本体11内に押ボタン12と押棒13、復帰バネ14の組体が挿入される。このとき、本体11側のロックバネ16によって内側に押圧されているロックピン15が押棒13の外周の凹凸部が乗り越え、ロック用の第1凹部13aに係止されるように押棒13を押し込むようにする。この後、操作部本体11内に、下方からトリガーバネ18および押体19を挿入し、押体19の係合穴19aを押棒13の下端側の係合突起13fにと係合させて、本体11と押ボタン12とを一体に結合し、操作部10を構成する。
【0039】
操作部本体11と押ボタン12とは互いに軸方向および回転方向に移動可能に結合される。しかし、操作部本体11の上部の内側に角度Cの間隔で2つの回転抑制用突起10jが設けられ、押ボタン12にこれに対応する回転抑制用突起12dがこの2つの突起10jとの間に入り込むことにより、押ボタン12の操作部本体11に対する回転の範囲が角度Cの範囲に制限される。また、操作部本体11内に押棒13が挿入されたとき、この押棒の外周に軸方向に設けられた回転防止用溝13gに、これに対応して操作部本体11の内側に設けられた回転防止用突起11kが係合することにより、押棒13は操作部本体11に対して回転できず、上下(軸)方向にのみ可動となる。
【0040】
なお、押ボタン12の係合突起12cが押棒13のL形係合溝13dと係合することによって、押ボタン12は押棒13に対して回転角度D(図4参照)の範囲で回転可能となっているが、操作部本体11に対して回転可能な角度Cの範囲内においては、押ボタン12が押棒13のL形係合溝13dによって抜け止めされる。
【0041】
このように構成された操作部10においては、押ボタン12の押し込み操作前の待機状態では復帰バネ14が押ボタン12を押上げ、押棒13の中間部の外周に設けられた第1凹部13aにロックピン15を係合させることにより、押棒13をこの位置に係止するので、押ボタン12はこの位置を待機位置として保持される。ロックピン15は、操作部本体11内でロックホルダ17によってロックバネ16を介して半径方向に出没可能に支持されている。
【0042】
ここで、押ボタン12を軸方向に所定以上の力で押し込み操作をすると、押棒13がこの力を受けて、凹部13aの傾斜した上壁がロックピン15をロックバネ16に抗して外周方向に押し込むことにより、凹部13aとロックピン15との係合が外れ、押棒13がロックピン15を越えて押し込まれる。凹部13aを越えたロックピン15はこの凹部13aの上部の第2凹部13bと係合して、押ボタン12、押棒13をこの押し込み操作位置に保持する。
【0043】
押棒13は、この押し込み操作によってトリガーバネ18を介してスイッチ部の可動接触子ホルダ22に連係した押体19を押し下げるように構成されている。この押体19の下端がスイッチ部20の可動接触子ホルダ22の上端にあたって、これを押し下げスイッチ部20の開閉接点機構の開閉を行う(図1参照)。
【0044】
さらに、操作部本体11の鍔部11bの下部の胴部11cの外周には固定用ねじ11dが設けられている。このねじ11dに締付けナット11eをねじ込んで、操作部10を制御盤等のパネルに締付け固定する。操作部本体11の胴部11cの下端側の外周に操作部10とスイッチ部20と連結係合するための軸方向の係合溝11fが設けられている(図6参照)。この係合溝11fは、図9に詳細を示すように、下端から左上方へ上昇傾斜して延びる軸方向の傾斜部11f−1と、この傾斜部11f−1の上端で連通し水平方向に延びる水平部11f−2と、この水平部11f−2の右端で連通し垂直に上方へ僅かに延びる垂直部11f−3とを備える。
【0045】
操作部本体11の下部胴部11cの外周には、その他にスイッチ部20のスイッチ部本体21の円筒部21aの内周に軸方向に延びた係合凸条21bと係合する係合溝11gが設けられている(図6参照)。
【0046】
次に、このような操作部10と分離可能に連結されるスイッチ部20について説明する。
【0047】
スイッチ部20は、図1図6に示すように、矩形箱状のスイッチ部本体21を備える。この本体21は、下端側に固定配置された各1対の出力端子25a、25bにそれぞれ一体的に接続された固定接点25-1a、25-2bを少なくとも1対ずつ備える。ここでは、接点の符号にaの付くものは通常開いている常開(ノーマルオープン)接点、いわゆるa接点を構成する接点であり、そしてbの付くものは通常閉じている常閉(ノーマルクローズ)接点、いわゆるb接点を構成する接点であることを示す。
【0048】
また、本体21内には図6に詳細を示すように、両端に1対の可動接点26-1a、26-2bを備える橋絡片形の可動接触子26a,26bを保持した可動接触子ホルダ22が、接点に付勢力を与える接点バネ27を介して上下動可能に収容される。可動接触子ホルダ22により保持された常開可動接点26-1aおよび常閉可動接点26-2bは、それぞれ常開固定接点25-1aおよび常閉固定接点25-2bと対向配置され、開閉接点機構を構成する。接点バネ27は、ここでは圧縮コイルバネで構成され、可動接触子ホルダ22を上方へ押し上げる方向の付勢力を発生する。これにより、押ボタン12が通常の待機状態(押ボタン12が押し込み操作されない状態)にあるときは、図1に示すように、可動接触子ホルダ22よって保持された常開可動接点26-1aは、固定接点25-1aから離間した状態に、そして常閉可動接点26-2bは、固定接点25-2bに閉合した状態に置かれるようになる。これは、開閉接点機構の操作部の待機状態のときの開閉状態である。
【0049】
また、図6図7に示すように、スイッチ部本体21の上部には、回転駆動部30を結合するために、一部に対向する切欠き部21cを有する円筒部21aが突出形成されている。
【0050】
回転駆動部30は、回転カバー31、回転駆動板32および回転駆動バネ33を備える。スイッチ部本体21の円筒部21aの外周に形成された1対の半円弧状の条溝21dに、ほぼ半円筒状に2分割構成された回転駆動板32の内周側に形成された係合突起32bをそれぞれ嵌入係合することにより、円筒部21aにより回転駆動板32を回転可能に支持する。この回転駆動板32の下端には、円周方向に傾斜したカム面を有するカム片32aが部分的に形成されている。このカム片32aは、下端に図8に示すように、回転駆動板32の上端からの高さがHhと高くなる位置と、Hlと低くなる位置との間をつなぐ傾斜したカム面を有する。そして、このカム片32aは、スイッチ部本体21の上壁の貫通孔21e(図7参照)を通して本体内部へ侵入し、カム面が可動接点26‐1a、26‐2bを保持持する可動接触子ホルダ22の外周側方に突出形成された受圧片22bの上面と接合する(図1図6参照)。
【0051】
スイッチ部本体21の円筒部21aにより支持された回転駆動板32に上部から回転カバー31を被せる。この回転カバー31と回転駆動板32との間に捩りコイルバネで構成した回転駆動バネ33を挿入し、その両端を係合する。このために、回転カバー31には、中央部にスイッチ部本体21の円筒部21aと嵌合する円形の嵌合孔31aが設けられ、その外側に回転駆動板32の上部突起32dと嵌合する嵌合孔31bが設けられている。また、嵌合孔31aの内周の対向する位置に操作部本体11の下部胴部11cに設けた係合溝11fと係合する突起31cが突設されている。
【0052】
回転カバー31を回転駆動板32に被せたとき、スイッチ部本体21の円筒部21aの先端部が回転カバー31の嵌合孔31aに緩く嵌合され、回転カバー31がスイッチ部本体21上に回転可能に支持される。また、このとき回転駆動板32の上部の突起32dが回転カバー31の嵌合孔31bに嵌合され、回転カバー31と回転駆動板32が一体に結合される。このため、回転カバー31と回転駆動板32とは一体的にスイッチ部本体21の円筒部21aによって回転可能に支持される。回転カバー31とスイッチ部本体21の円筒部21aとの間に装着された回転駆動バネ33は、一端を円筒部21aに係止し、他端を回転カバー31に係止することにより回転カバー31および回転駆動板32に軸方向および回転方向の弾性復元力を与える。
【0053】
このように構成された操作部10とスイッチ部20とが互いに分離されているときは、図10(a)に示すように、スイッチ部本体21上の回転駆動部30は、回転駆動バネ33の復元力により矢印Rで示すように右方向に回転され、スイッチ部本体21との整合位置から少しずれた待機位置に置かれる。このため、回転駆動部30内の回転駆動板32も待機位置に置かれ、その下端に突出形成されたカム片32aは、高さがHhとなる高さの高い位置(図7図8参照)で可動接触子ホルダ22の受圧片22bと接合する。これにより、可動接触子ホルダ22が、接点バネ27の付勢力に抗してカム片32aの高さHhに応じて下方へ深く押し込まれるため、a接点構成の開閉接点部では常開可動接点26−1aが常開固定接点25−1aと閉合しスイッチオンの状態となる。そして、b接点構成の開閉接点部では常開可動接点26-2bが常開固定接点25−2bから離間し、スイッチオフの状態となる。このような開閉接点部の開閉状態は、スイッチ部20に操作部10が結合された状態における操作部の待機状態のときの開閉状態と同じである。
【0054】
次に、このように回転駆動部30が待機位置に置かれたスイッチ部20に操作部10を結合して使用状態にするときの手順を、図9を参照して説明する。
【0055】
回転駆動部30が待機位置に置かれたスイッチ部20の円筒部21a内に、上方から操作部10の本体11の下部胴部11cを挿入する。このために、まず、図9(a)に示すように、スイッチ部本体21の円筒部21aの内側まで突出した回転カバー31の突起31cおよび回転駆動板32の第2の突起32cが、操作部本体11の下部胴部11cの外周の係合溝11fに嵌入される。そしてスイッチ部20の本体21の円筒部21aに設けられた凸条21bが操作部本体11の係合溝11gに挿入されるように操作部10とスイッチ部20との位置を合わせる。
【0056】
このように位置を合わせたところで、操作部本体11の下部胴部11cを回転駆動部30が待機位置に置かれたスイッチ部20の円筒部21a内に上方から挿入し、突起31c、32cと係合溝11fとを、そして、係合凸条21bと係合溝11gとを嵌め合わせてそのまま押し込む(図9(b))。操作部10が押し込まれるに従って、係合溝11fに嵌合された回転カバー31の突起31cおよび回転板32の突起32cが係合溝11fの傾斜部11f−1の内壁で押されて矢印Lで示すように左方向へ移動されるので、回転カバー31および回転板32が回転駆動バネ33を捩じりながら左方向に回転する。
【0057】
図9(c)に示すように、回転カバー31の突起31cおよび回転板32の突起32cが係合溝11fの水平部11f−2に達すると、回転カバー31および回転板32の回転により捩じられた回転駆動バネ33の復元力により矢印Rで示すように右方向に回転される。これにより、突起31cおよび32cが係合溝11fの水平部11f−2の右端まで移動する。さらに、回転復帰バネ33の軸方向の復元力により回転カバー31が上方向に駆動されるので、この回転カバー31が上昇し、図9(d)に示すように、この回転カバー31の突起31cだけが係合溝11fの垂直部11f−3内に移動する。これにより、回転カバー31の突起31cが操作部11の係合溝11fの垂直部11f−3に係止されるため、回転駆動部30は操作部本体10の胴部11aに対して回転不能に固定される。
【0058】
このように回転駆動部30に操作部10が最後まで挿入されて、図10(b)に示すように、操作部10がスイッチ部20に結合されると使用可能な状態となる。この状態では、回転駆動部30がスイッチ部20の本体21の使用位置に整合されて固定される。回転駆動部30がこの位置に置かれると、内部の回転板32も回転駆動部30と一緒に矢印Lで示すように左方向に回転している。このため、回転駆動板32とスイッチ部20の可動接触子ホルダ22の受圧片22bとの接合位置がカム片32aの高さがHlの低い位置となり、可動接触子ホルダ22が接点バネ27によってカム片32aの高さHlの位置まで押し上げられる。これにより、可動接触子ホルダ22により保持された常開可動接点26−1aが常開固定接点25−1aから離間され、常閉可動接点26−2bが常閉固定接点25−2bに閉合され、開閉接点部が待機状態のときの開閉状態をとる。
【0059】
スイッチ部20と操作部10とが結合された状態から両者を分離する場合は、図9に示した結合手順の逆の手順で操作すればよい。ただ、図9(d)の状態において、回転カバー31を突起31cが回転駆動板32の突起32cに重なる位置まで押し下げないと、回転カバー31を回転することができないので、この回転カバー31の押し下げ操作を行う必要がある。
【0060】
図1のスイッチ装置1は、このようにスイッチ部20に操作部10を結合して待機状態に置かれたものを示している。この状態では、回転駆動部30の回転駆動板32は、カム片32aの高さがHlの低い位置でスイッチ部20の可動接触子ホルダ22の受圧片22aを押圧するため、可動接触子ホルダ22が押し上げられた待機位置をとる。このため、常開可動接点26−1aは、常開固定接点25−1aから離間し、スイッチオフの状態となり、常閉可動接点26−2bは、常閉固定接点25−2bと閉合し、スイッチオンの状態となっている。
【0061】
ここで、図11に示すように、操作部10の押ボタン12を矢印P方向に押し込み操作すると、押棒13が連動して押し下げられるので、ロックピン15が押ボタン12に結合された押棒13の2つの凹部の間の段部13cを超えて上部の凹部13bと係合して押しボタン12を押し込み操作位置に保持する。押棒13の押下げに連動してトリガーバネ18を介して押体19が押し下げられる。これにより、この押体19に上端が当接したスイッチ部20の可動接触子ホルダ22が接点バネ27の付勢力に抗して押し下げられるので、常開可動接点26−1aが常開固定接点25−1aに閉合し、スイッチオン状態となり、常閉可動接点26−2bが常閉固定接点25−2bから離間し、スイッチオフ状態となる。これが、操作部10の押し込み操作状態のときの開閉接点機構の開閉状態である。
【0062】
このような操作状態のスイッチ装置1を図1に示すような待機状態に復帰させるには、押ボタン12を押ボタン12の表面に表示された矢印の方向に捻回操作してロックピン15によるロック状態を解除することにより行う。
【0063】
このようなロック状態の解除操作を容易に行うために、図5に示すように、操作部10の操作部本体11の内周と、押ボタン12のこれと対向する内壁外周にそれぞれ互いに対向して、円周に沿って右から左側に上昇する傾斜面を有するカム部11mと12eを設けている。
【0064】
押ボタン12を押し込み操作する前の待機状態では、図5(a)に示すように、押ボタン12に結合された押棒13の下方の凹部13aにロックピン15が係合してロック状態が保たれている。このため、押ボタン1は押し上がった位置にあり、操作部本体11のカム部11mと押ボタン12のカム部12eとは離間している。
【0065】
押ボタン12を押し込んだ操作状態では、押棒13の上方の凹部にロックピン15が係合してロック状態が保たれるようになる。このため、押ボタン12が押下がった位置にあり、押ボタン12のカム部12eが操作部本体11のカム部11mに接近し両者の間隔はほとんどなくなる。
【0066】
この状態から、待機状態に復帰するため押ボタン12を右方向へ前記した予め設定された回転角Cの範囲で回転操作すると、押ボタン12のカム部12eのカム面が操作部本体11のカム部11mのカム面に接触してこのカム面に沿って押上げられる。これに伴って押棒13が上昇し、その下方の凹部13aがロックピン15と係合し、元の待機位置に戻る。
【0067】
このようにして、ロックピン15による操作位置でのロック状態が解除されると、接点バネ27およびトリガーバネ18の復元力により可動接触子ホルダ22、押棒13、押ボタン12が押し上げられ、待機状態の位置に復帰し、押ボタン12は捩じり復帰バネ14により元の回転位置に戻され、図1に示す待機状態となる。
【0068】
そして万が一にも、図10(a)に示すように、スイッチ装置1のスイッチ部20が操作部10から外れるような事故が生じた場合は、操作部10と回転駆動部30との結合が外れることにより、回転駆動部30が内部の回転駆動バネ33の復元力により矢印Rで示す右方向に回転され、図10(a)に示す待機位置に戻る。これとともに、回転駆動部30内の回転駆動板32も回転するため、カム片32aの高さがHhとなる高さの高い位置で、カム片32aが可動接触子ホルダ22の受圧片22aを押圧するようになる。これにより、可動接触子ホルダ22が下方へ押下げられるため、常閉可動接点26−2bは常閉固定接点25−2bから離間しスイッチオフ状態となり、常開可動接点26−1aは、常開固定接点25−1aと閉合しスイッチオン状態となり、開閉接点機構は操作部が操作状態のときの開閉状態と同じ状態となる。したがって、非常用安全スイッチとしての使用に適する。
【0069】
この発明のスイッチ装置1は、図1に示すように回転駆動部30が使用位置に置かれ、押ボタン12が待機状態にある状態ではスイッチ部20の開閉接点部の可動接点が接点バネ27によりa接点開閉部は離間する方向に、b接点開閉部は閉合する方向に付勢されているので、この状態でスイッチ装置に衝撃力が加わっても開閉接点機構のa接点開閉部が閉合し、b接点開閉部が離間するような誤動作が生じることがないので動作信頼性を高めることができる。
【符号の説明】
【0070】
1:スイッチ装置。
10:操作部、11:操作部本体、12:押ボタン、13:押棒。
20:スイッチ部、21:スイッチ部本体、22:可動接触子ホルダ、25-1a:常開固定接点、25-2b:常閉固定接点、26-1a:常開可動接点、26-2b:常閉可動接点、27:接点バネ。
30:回転駆動部、31:回転カバー、32:回転駆動板、32a:カム片、33:回転復帰バネ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14