【実施例】
【0033】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0034】
図1〜20に示す本実施例の紙幣の搬送保管設備Gは、遊技店の遊技機の島S(島ID=08)の背中合せの左右それぞれに、一定間隔で列設された20台程の貸機K(左右計40台程)を紙幣投入装置とするものである。ダクト1は左右の貸機Kの間を島方向に長く配設されている。同ダクト1はプラスチック製で上下高さの中間にキャリア2の上下高さの約1/3程の巾をもって、ダクト内中央方向に左右対称に張り出したガイド11を設けている。ダクト1とガイド11は一体成型で製作されている。ダクト1の下流側の紙幣保管室Hは島Sの基端側に設け、監視し易いようにしている。
【0035】
図1〜20に示す実施例の紙幣の搬送保管設備の符号について説明する。
Gは本発明の実施例の紙幣の搬送保管設備、Kは本発明の紙幣投入装置である貸機、Hは本発明の紙幣保管室、Cは本発明の紙幣搬送装置、Inは本発明の紙幣挿入装置、CONは本発明の制御部、Mは紙幣、Sは本発明の遊技場の島、Pは本発明の島にある遊技機である。
【0036】
又、図中符号1〜406は上記G〜Pの主たる構成の実施例の部分構成である。
1はダクト、10は同ダクト1の紙幣通路、11はダクトの垂直な側壁の中間部分がダクト内へ張り込んで形成された断面コ字状のガイド、11aは同ガイド11の先端垂直面、11bは同ガイド11の水平面、11cは同ガイド11の開口13と絡がって紙幣を送り込む通路を形成する切欠、12はダクト1の内側面、13はダクト1の紙幣挿入用の開口、131はダクト1の開口13の開口縁外側に設けた紙幣をダクト内へ誘導する変向ガイド、14は紙幣検出センサー、15はキャリア停止紙幣放出部、151はキャリア停止紙幣放出部15側のストッパ、152はキャリア停止紙幣放出部15側の送風機、153はキャリア停止紙幣放出部15側の送風ダクト、154はキャリア停止紙幣放出部15側のキャリア検出センサー、16はダクト1の上流キャリア待機部、161は上流キャリア待機部16側のストッパ、162は上流キャリア待機部16側の送風機、163は上流キャリア待機部16側の送風ダクト、164は上流キャリア待機部16側のキャリア検出センサー、165はダクト1の中間部に設けた補助送風機、180はダクト1内の空気流を始端・終端近くで排出する空気解放弁、19はキャリア2の速度を減速させるブレーキである板バネ、19aは板バネ19を納めるポケット、19bは板バネ19の中央部をダクト内に挿入するためのスリット、2はキャリア、21はキャリア2の上下一対ある羽根(受圧部/紙幣捕捉部)、22は同羽根とは前後逆の側にキャリア2に取付けた紙幣を捕捉する羽根(受圧部)、23はキャリア2のガイド11を嵌挿する開口部、30は貸機Kの紙幣投入口、31は貸機Kのローラ装置、31aは貸機Kのローラ、41は制御部CONで使用したコンピュータのCPU、42は制御部CONで使用したコンピュータのインターフェース、200は実施例2の送風機、201,202は実施例2のダクト、203,204は実施例2のダンパー、400は制御部CONのコンピュータが本実施例の作動の為に行う機器の制御・入力管理・計算・データ及び実行プログラムの記憶・処理手順の決定・処理の実行等のソフト処理部であって、下記401〜405の構成を有する。401は制御部CONの記憶部、402は制御部CONの順番決めソフト、403は制御部CONの送込制御部、404は制御部CONの機器制御部、制御部CONは残留紙幣処理作業プログラムを有するが図示していない。405は制御部CONの紙幣保管枚数カウンター、50は紙幣保管室Hの前に設けた紙幣通路、51は紙幣保管室Hの前に設けた紙幣受入口、52は紙幣保管室Hの前に設けた紙幣保管センサー、60は貸機Kから紙幣挿入装置Inへの紙幣ガイド、61は紙幣挿入装置Inの紙幣受取部、62は紙幣挿入装置Inのローラ駆動部、63は紙幣挿入装置Inの紙幣の受取を確認する受取検出センサーである。
【0037】
ダクト1の終端(島Sの基端位置)に強固で破壊しにくく、遠隔監視された紙幣保管室Hを設けている。ダクト1の最上流の始端付近には上流キャリア待機部16を、又ダクト1の終端付近にはキャリア停止紙幣放出部15を設けている。この上流キャリア待機部16及びキャリア停止紙幣放出部15それぞれに、キャリア検出センサー154,164、
図15に示すストッパ151,161、及び送風機152,162を設けている。これら装置器具の電気信号は制御部CONに入力・出力されて絡がっている。又、上流キャリア待機部16及びキャリア停止紙幣放出部15の手前の紙幣通路位置のダクト1の左右の内側面で左右それぞれに上下2段に中央方向に少し突出するように湾曲した板バネ19を4個配置し、板バネ19の前後端部はダクト1のスリットを貫通してダクト1の外壁面に取付けたポケット19aに収められている。板バネ19の湾曲部が押圧されると偏平状になるように変形し、その前後端部が前後方向に変位できるようにしている。この板バネ19はキャリア2の羽根21,22の先端部と接触して板バネ19の湾曲部分を加圧して変形変位させる。この板バネ19の変形変位の抗力及び接触の動摩擦力がキャリア2のブレーキ力となって、キャリア2の速度を減速させる。この板バネ19とポケット19aが本発明のブレーキとなる。
【0038】
本実施例のキャリア2の形状を
図6〜10に示している。キャリア2の紙幣捕捉部及び兼用の受圧部としてV字状に左右対称的に拡がり且つ上下2段に分れるように設けられた羽根21,22を前後それぞれに有し、しかもこの羽根21,22を弾性変形する羽根としている。羽根21,22の形状は前後で多少形状を異にしている。キャリア2は羽根21,22の上下中間に設けた開口部23にダクト1の内部の中央部に張り出した左右のガイド11を嵌合させている。左右一対のガイド11の巾が狭まった先端垂直面11a間の連続した長い空間が紙幣通路10となっている。
【0039】
本実施例の貸機Kが本発明の紙幣投入装置に相当するものであり、遊技場の島の左右背中合せに左右それぞれに遊技機Pと貸機Kを交互に列設させている。貸機Kには、紙幣投入口30があって、千円札が投入できるようになっている。千円札を投入すると、千円分のプレイ回数が自動的に行えるようにしたり、又はカードに書き込みがなされたりして、あるいは旧型ではコイン・球等が遊技者側に排出されて使用できるようになっている。
【0040】
図12に示すように、この貸機Kには正面に紙幣投入口30があり、この紙幣投入口30で投入された紙幣はローラ装置31で取り込まれ、紙幣を所定の位置で静止させ、紙幣の真偽判別装置(図示せず)で真偽の検査と判定を行った後に、真札であれば紙幣挿入装置Inの紙幣受取部61に紙幣が受取検出センサー63の信号から待機してないことが判断されると、ローラ装置31とローラ駆動装置62を作動させ、貸機Kの紙幣を直ちに紙幣挿入装置Inへ送るようにしている。
【0041】
紙幣挿入装置Inは、紙幣ガイド60で貸機Kの背面から送り出される紙幣をローラ61aで受け入れてローラ駆動装置62を用いた紙幣受取部61で受け入れて、この位置で一時待機して、制御部CONからの送り出し命令を待つ。又、この紙幣受取部61に待機する紙幣があるか否かを検出する受取検出センサー63を設けている。同受取検出センサー63の受取信号は、制御部CONと貸機K側へ出力される。
【0042】
又、
図12から分るように島Sの左右の貸機Kの中間にダクト1を設け、その左右にある貸機Kは互にダクトの長手方向において背面同士の貸機Kが互に対向しないように、貸機K,紙幣挿入装置Inの位置はダクトの長手方向に少しずらして配置されている。
そして、左右にある紙幣挿入装置Inでは紙幣ガイド60から導入された紙幣はローラ61aによって取り込まれて紙幣受取部61で一時待機される。そして、受取検出センサー63から紙幣が待機している信号を制御部CONへ出力する。次に、制御部CONからの送り込み命令でローラ駆動部62は作動して、一時待機した紙幣は送り出され、変向ガイド131,ダクト1の側壁面の縦長の開口13とガイド11の紙幣挿入用切欠11cを介して、紙幣通路10へ送れるようになっている。
そして、左右の紙幣挿入装置Inの位置がダクト方向に離れているので、左右からの紙幣の挿入位置がぶつからないようになって、左右独立して紙幣を挿入できるようにしている。尚、これは左右からの紙幣の挿入時刻をずらすことで、このような左右の位置づらしをしなくすることもできる。
【0043】
キャリア2の羽根21,22の中間に設けた開口部23に上下に高さをもってダクト内部中央に張り出したガイド11を嵌合している。キャリア2の羽根21,22の開口部周縁部はこのガイド11の上下の水平部の水平面11bと接摺し、上下動を少なくしている。しかも、更にキャリア2の左右動に対しては羽根21,22の先端がダクト1の内側面12と接触でき、又羽根21,22の中間部分は左右のガイド11の垂直面11aによって拘束されていることによって、及びキャリア2は弾性変形できることもあってキャリア2は接触があっても柔らかく変形変位して拘束されながら移動できる。よって、キャリア2はダクト1,ガイド11と接触しながら円滑にダクト1に沿って安定して移動できるようになっている。
【0044】
又、キャリア2の羽根21は紙幣通路10の巾より左右にV字状に拡がっているので、紙幣通路10に垂直に置かれた紙幣Mは確実に羽根21によって捕捉される。
【0045】
下流側の送風機152の上下に分れた二つの送風ダクト153のダクト1への送風口(図示せず)は、ダクト1のキャリア停止紙幣放出部15の更に下流位置に設けられている。又、上流側の送風機162の上下に分れた二つの送風ダクト163のダクト1への送風口(図示せず)は、上流キャリア待機部16より更に上流位置に設けられている。しかも、送風口(図示せず)はキャリア2の羽根21,22の上部と下部に向けるように上下に分けて設けられている。これら送風機152,162の起動信号と停止信号とは制御部CONから送られる。送風機の停止信号は、キャリア2がキャリア停止紙幣放出部15のキャリア検出センサー154が検出した時点で発信される。又、キャリア2が上流キャリア待機部16のキャリア検出センサー164が検出した時点で、送風機停止の信号が発信される。
【0046】
実施例の
図17で示す制御部CONはコンピュータを用いて制御している。図中41はCPU、42は外部の種々の電気機器との信号の入出力の為のインターフェース、400はHD又はメモリの中に設置されているソフト処理部、同ソフト処理部400には、401は制御の為のソフト(プログラム)及び各種センサーの出力データ・その他入出力データ・ソフトの定数等を記憶する記憶部、402は紙幣挿入装置Inに待機している紙幣の紙幣通路10への送り込みの順番を決める順番決めソフト、403は同順番決めソフトで決められた待機中の紙幣を紙幣通路10へ送り込むために所要の紙幣受取部61のローラ駆動装置62に作動信号を送る送込制御部、404はその他の電気機器に作動/停止信号を発生させる機器制御部がある。
紙幣保管室Hの50はダクト1の紙幣通路10の延長にある紙幣通路、51は紙幣受入口、52は紙幣保管センサーである。
【0047】
(実施例の動作)
本実施例の動作について説明する。実施例の作動を示すフローチャート図を
図18〜20に示している。
【0048】
(初期設定1)
本実施例を作動させる前に、キャリア2を上流キャリア待機部16へ確実に移動させる。
ステップ1:貸機K及び紙幣挿入装置Inに電源を通電させずに、送風機152,162と制御部CONのみ給電して、作動可能とする。
ステップ2:ダクト内の全ての紙幣検出センサー14が「非検出」状態か確認する。全て「非検出」であればステップ4に行く。さもなければ、ステップ3へ行く。
ステップ3:もし、「検出」状態のものが一つでもあれば残留紙幣を紙幣通路から排出する作業を行う。これは通常起りえない処理である。
ステップ4:残留紙幣がなければ下流側の送風機152を作動させ、キャリア2を上流方向に移動して上流キャリア待機部16へ移動させる。
ステップ5:次に、上流側のキャリア検出センサー164がキャリア2が待機していることを検出すると、その検出信号で送風機152を停止する。
【0049】
(初期設定2)
ステップ6:貸機K及び紙幣挿入装置Inの電源を投入し、全ての紙幣挿入装置Inの紙幣受取部61の紙幣の送り込み順位iを「9999」の初期値を与える。
ステップ7:紙幣受取部61の受取検出センサーが「紙幣受取」状態になっているセンサーがあれば、制御部CONの記憶部401にその紙幣受取部61のID(そのローラ駆動部62のID)と関連付けて、その「受取」状態の入力時刻が記憶される。
尚、貸機Kは投入された紙幣を真偽判定装置で検査判断した後真札であれば、ローラ装置31で紙幣挿入装置Inの紙幣受取部61へ紙幣が少し送り出す。そして、受取検出センサー63が「紙幣待機なし」の信号を出力していれば、直ちに紙幣挿入装置Inのローラ駆動部62を作動して、少し送り出された紙幣を取り込んで、紙幣受取部61に紙幣を一時待機させる。一時待機すると、受取検出センサー63は「紙幣待機」の信号を制御部CONに出力し、記憶部401にその紙幣受取部61・ローラ駆動部62のIDと関連付けして、その受取の時刻を記憶する。
【0050】
ステップ8:次に、受取検出センサー63が「紙幣受取」状態であるものがないか、記憶部401のメモリ検索から判断する。
一つの受取検出センサー63のみが「紙幣受取」状態であれば、その送り込みの順位iとして「i=0」を与える。もし、複数の受取検出センサー63が「紙幣受取」状態にあれば、それらの紙幣受取部61の送り込みの順位iとして1,2,3,4,・・・とシリアルの順位を若い順に付与していく。これは制御部CONの順番決めソフト402が処理していく。その順位iは、そのローラ駆動部62のIDと関連付けて記憶部401に記憶される。
【0051】
ステップ9:紙幣受取部61の順位が全て「9999」か否か判断する。全て「9999」であればステップ7へ戻り、「9999」でないものがあれば次のステップ10へ移る。
ステップ10:その後、送り込みの順位iが9999値より小さく最も若い順位のローラ駆動部62を作動させるように、制御部CONの送込制御部403によってなされる。
ステップ11:ダクト内に紙幣が送り込まれて、紙幣検出センサー14が「紙幣検出」信号を制御部CONに入力させると、上流側の送風機162を作動させ、下流方向に送風し、キャリア2を下流方向に移動させ、途中で検出された紙幣Mをキャリア2のV字状の羽根21で捕捉して移動する。
ステップ12:下流のブレーキの板バネ19で減速された後、ストッパ151によってキャリア2は強制停止させられる。このストッパ151でキャリア2が強制停止されると、キャリア2の羽根21に捕捉されていた紙幣Mはその慣性でストッパ151直前の走行速度で羽根21から離れて、紙幣通路10の延長方向に放出され、紙幣保管室Hの紙幣通路50を経て、その紙幣受入口51から室内に送り込まれる。紙幣保管室H内では紙幣Mは重ねられるように格納される。
又、その紙幣受入口51の付近に設けた紙幣保管センサー52が紙幣Mを検出して、紙幣保管枚数カウンター405の保管枚数jを「j+1」して加算してカウントしていく。
【0052】
ステップ13:キャリア2はストッパ151で強制停止して下流の待機位置にいることをキャリア検出センサー154が感知すると、上流側の送風機162を停止させ、その数秒後制御部CONは下流側の送風機152を作動させ、上流方向に送風し、キャリア2はその送風によって上流方向に移動される。
ステップ14:キャリア2が上流へ移動して、その始端側のストッパ161で強制停止して上流で待機すると、これをキャリア検出センサー164が検出する。これで、下流側の送風機152を停止させる。
ステップ15:ステップ14で上流キャリア待機部16でキャリア2が待機すると、ステップ9へ戻る。
【0053】
本実施例の全動作停止は終了命令を制御部CONに送り込むことで、制御部CONの作動を停止し、又諸装置の電源も停止できるようにする。
【0054】
本実施例によって、貸機Kに投入された紙幣は全て紙幣保管室Hへ搬送されて、厳格に安全に監視できるようになる。
【0055】
又、
図21に示すようにダクト1の始端と終端側に独立駆動の計2台の送風機152,162を設置する代わりに、1台の送風機200による空気流を始端側と終端側へ送る二つの分岐したダクト201,202を設け、同ダクト内に開閉ダンパー203,204を設けて、1台の送風機200による送風をダクトの始端側、終端側いずれの方向にも切換して送風できるようにすることも可能である。この場合、送付機の台数を少なくできる。他は前の実施例と同様な構造・作用効果を有する。