特許第5926427号(P5926427)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5926427
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】ボトルキャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/36 20060101AFI20160516BHJP
【FI】
   B65D47/36 A
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-147299(P2015-147299)
(22)【出願日】2015年7月27日
【審査請求日】2015年10月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514222709
【氏名又は名称】プラテック有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097043
【弁理士】
【氏名又は名称】浅川 哲
(72)【発明者】
【氏名】天野 明彦
【審査官】 白川 敬寛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−212251(JP,A)
【文献】 特開2005−047599(JP,A)
【文献】 仏国特許出願公開第02500411(FR,A1)
【文献】 特表2003−516277(JP,A)
【文献】 特開2013−056703(JP,A)
【文献】 国際公開第03/097475(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボトルの口を被覆する蓋体と、この蓋体に形成された開口部を閉塞する本体部を有する剥離部材とを備え、
前記蓋体の開口部の周縁と前記蓋体の上面より突出して設けられた前記剥離部材の本体部の外周面の下端とが引き剥がし可能な肉厚を有するつなぎ部によって連結され、
前記つなぎ部は、前記蓋体の上面と前記剥離部材の本体部の外周面との間に断面R形状の斜面を有し、この斜面のRの大きさが前記剥離部材の引き剥がしの始点から引き剥がしの中間点に向かって漸次増加することで前記つなぎ部の肉厚が漸次増加し、この斜面のRの大きさが引き剥がしの中間点から引き剥がしの終点に向かって漸次減少することで前記つなぎ部の肉厚が漸次減少するボトルキャップ。
【請求項2】
前記つなぎ部は、蓋体の開口部の周縁と前記開口部の中心を通る第1中心線との交点に引き剥がしの始点と終点が位置し、前記開口部の中心を通り且つ前記第1中心線と直交する第2中心線との交点に引き剥がしの中間位置が位置する請求項1に記載のボトルキャップ。
【請求項3】
前記剥離部材は、前記蓋体の開口部の周縁とつなぎ部によって連結される本体部と、前記本体部をつなぎ部から引き剥がすための舌片とを備える請求項1に記載のボトルキャップ。
【請求項4】
前記蓋体の上面には開口部の周囲にリブが設けられ、このリブの高さが前記剥離部材が蓋体の開口部の上面から突出する高さと同一かそれ以上である請求項に記載のボトルキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体容器などの口部に装着されるボトルキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、天然水やRO水など飲料水の入った液体容器を設置し、温水や冷水を簡単に取り出すことのできるウォータサーバが知られている。ウォータサーバに設置される液体容器にはウォータサーバの給水軸が挿入される円筒状の口部が設けられ、この口部にボトルキャップが装着されている。ボトルキャップは、液体容器を倉庫や部屋の隅などで横置きに積んで保管する場合や搬送する際、さらにはウォータサーバに液体容器を設置した後などで、液体容器の口部に装着したボトルキャップから液体が漏れ出すのを確実に防ぐ必要がある。
【0003】
従来、この種のボトルキャップとしては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。このボトルキャップは、液体容器の口部の外周面に当接する外側部材と、口部の内周面に当接する内側部材とが別体で形成されており、口部の外周面と内周面を前記外側部材と内側部材とで挟圧して水密性を確保している。また、前記外側部材には液体容器の口部の開口端を塞ぐ蓋部が一体成形されている。この蓋部の中央にはウォータサーバの給水軸が挿通される開口部が設けられ、この開口部を上方より塞ぐようにして剥離部材が設けられている。剥離部材は蓋部に対して剥離容易に本体部と一体成形され、ウォータサーバに液体容器を連結する際に剥離されて、開口部を露出させる。
【0004】
ところで、前記ボトルキャップの開口部はウォータサーバの給水軸が挿通される通路を形成しているので、ウォータサーバに液体容器を連結させるまでの間は開口部周辺を密閉して清潔に保つ必要がある。しかしながら、ボトルキャップは、一般に液体容器内に熱水を注入したあとすぐに装着されるために、ボトルキャップが膨張収縮するなどの影響を受けて、蓋部や剥離部材が外れて開口部が露出してしまうおそれがあった。また、液体容器を搬送する際の衝撃などによっても同様のおそれがあった。一方、剥離部材は、ウォータサーバに液体容器を連結させる際には蓋部から容易に剥離できることが必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2013-56703号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ボトルキャップの膨張収縮や液体容器の運搬時の衝撃などによって、ボトルキャップの開口部を塞ぐ蓋体や剥離部材が簡単に外れないようにして開口部を清潔に保つと共に、ウォータサーバに液体容器を連結させる際には蓋体から剥離部材を容易に剥離できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係るボトルキャップは、ボトルの口を被覆する蓋体と、この蓋体に形成された開口部を閉塞する本体部を有する剥離部材とを備え、前記蓋体の開口部の周縁と前記蓋体の上面より突出して設けられた前記剥離部材の本体部の外周面の下端とが引き剥がし可能な肉厚を有するつなぎ部によって連結され、前記つなぎ部は、前記蓋体の上面と前記剥離部材の本体部の外周面との間に断面R形状の斜面を有し、この斜面のRの大きさが前記剥離部材の引き剥がしの始点から引き剥がしの中間点に向かって漸次増加することで前記つなぎ部の肉厚が漸次増加し、この斜面のRの大きさが引き剥がしの中間点から引き剥がしの終点に向かって漸次減少することで前記つなぎ部の肉厚が漸次減少する
【0010】
また、本発明の一実施形態では、前記剥離部材は、前記蓋体の開口部の周縁とつなぎ部によって連結される本体部と、本体部と一体に形成され、前記本体部をつなぎ部から引き剥がすための舌片とを備えている。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るボトルキャップによれば、蓋体に形成された開口部の周縁と開口部を閉塞する剥離部材とが一体成形された帯状のつなぎ部によって連結され、前記つなぎ部が蓋体から剥離部材を引き剥がし可能な薄肉状に形成され、且つ前記剥離部材の引き剥がしの始点と終点が中間点より薄く形成されているので、ウォータサーバに液体容器を連結させる際には剥離部材のつなぎ部を容易に引き剥がすことができ、引き剥がした後の開口部の周縁には剥離部材のバリなどが残ることもない。また、つなぎ部は引き剥がしの中間点の肉厚が引き剥がしの始点や終点より厚く形成されているので、上からの荷重などに対して十分な強度が保たれている。
【0012】
また、本発明に係るボトルキャップによれば、蓋体に形成された開口部の周縁と剥離部材とを連結するつなぎ部がR形状の断面となっているので、断面形状が小さくても強度を確保することができる一方、断面形状が小さいのでつなぎ部の引き剥がしがスムーズとなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るボトルキャップの斜視図である。
図2】ボトルキャップが装着される容器の口部を示す一部断面図である。
図3】前記ボトルキャップの平面図である。
図4】前記図3のA−A断面図である。
図5】つなぎ部の肉厚が徐々に変化する様子を示す剥離部材の平面図である。
図6】つなぎ部のR形状が徐々に変化する様子を示す図4の要部拡大図である。
図7】つなぎ部の他の一例を示す図6と同様の断面図である。
図8】つなぎ部のその他の例を示す図6と同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下添付図面に基づいて本発明に係るボトルキャップを詳細に説明する。図1乃至図6には本発明の第1実施形態に係るボトルキャップ1が示されている。このボトルキャップ1は、液体容器2の口部3の形状に対応した円筒形状に形成されており、口部3の上端開口3aを塞ぐ蓋体4と、口部3の外周面3bに当接する外側壁部5と、口部3の内周面3cに当接する内側壁部6とが一体に形成されている。また、外側壁部5と内側壁部6との間には液体容器2の口部3の上端部3dに嵌め込まれる凹嵌部7が設けられ、この凹嵌部7を口部3の上端部3dに嵌め込むことで、口部3の外周面3bと内周面3cを前記外側壁部5と内側壁部6とで挟圧して水密性を確保している。
【0015】
また、上記ボトルキャップ1の蓋体4の中央部にはウォータサーバの給水軸(図示せず)が挿入される円形の開口部8が内側筒状部9によって形成されている。前記開口部8の上端は蓋体4と一体成形された剥離部材10によって閉じられ、開口部8内が清潔に保たれている。また、前記内側筒状部9には、液体容器2をウォータサーバに設置するまでの間、開口部8を閉塞するための中栓20が装着される。
【0016】
前記剥離部材10は、蓋体4に形成された開口部8の上端周縁8aに連結される円形の本体部11と、この本体部11の上面に一体成形された略台形形状の舌片12とを有している。舌片12は前記本体部11から蓋体4の一端まで延び、その後端部には蓋体4の一端から外方に僅かに飛び出す凸片13が一体形成されている。前記舌片12及び凸片13は、剥離部材10の本体部11を蓋体4からから引き剥がす際に、引っ張り上げるようにして用いられる。
【0017】
前記剥離部材10の本体部11は、その外周面11aの下端が前記蓋体4の開口部8の上端周縁8aとつなぎ部14によって連結されている。このつなぎ部14は、開口部8の上端周縁8aに沿って帯状に設けられており、この実施形態では図6に示したように、一辺がR形状の斜面14aを有する断面形状が略三角形の帯状体である。つなぎ部14の肉厚は本体部11外周面11aの位置によって異なっており、図5に示したように、本体部11の外周面11aに沿って便宜的に付与した符号P1,P2,P3,P4のうち、引き剥がしの始点P1における肉厚t1が最も薄肉である。そして、肉厚は引き剥がしの始点P1から引き剥がしの中間点P2,P3に向かって漸次増加し、引き剥がしの中間点P2,P3で最も厚い肉厚t2、t3となる。なお、t2とt3は同じ肉厚である。さらに、肉厚は引き剥がしの中間点P2,P3から引き剥がしの終点P4に向かって漸次減少し、引き剥がしの終点P4で最も薄い肉厚t4となる。なお、t4とt1は同じ肉厚である。
【0018】
図6(a)は引き剥がしの始点P1と終点P4におけるつなぎ部14の斜面14aのR形状を示したもので、最も小さいRによって形成されている。図6(a)において点線によって示されたR形状は引き剥がしの始点P1から引き剥がしの中間点P2,P3に向かう途中のR形状を示したものである。図6(b)は引き剥がしの中間点P2,P3おけるつなぎ部14の斜面14aのR形状を示したもので、最も大きいRによって形成されている。
【0019】
前記引き剥がしの始点P1と終点P4は、本体部11の中心O(開口部8の中心に相当する)を通り且つ剥離部材10の引き剥がし方向Nと平行な第1中心線C1と前記本体部11の外周面11a(開口部8の上端周縁8aに相当する)とが交わる2つの交点に位置し、引き剥がしの中間点P2,P3は、前記本体部11の中心Oを通り且つ前記第1中心線C1と直交する第2中心線C2と前記本体部11の外周面11aとが交わる2つの交点に位置している。
【0020】
前記つなぎ部14は、ボトルキャップ1の他の部分と共に射出成形によって一体に形成されるが、R形状の斜面14aの形状は半径Rの大きさが漸次増減する型を用いることで形成することができる。すなわち、引き剥がしの始点P1ではRの値を最も小さくし、そこから中間点P2,P3に向かうにしたがってRの大きさを漸次増加させ、引き剥がしの中間点P2,P3で最大値としたのち、引き剥がしの終点P4に向かってRの大きさを漸次減少させることで、肉厚が漸次増減するつなぎ部14が形成されることになる。
【0021】
このように、前記つなぎ部14の肉厚を引き剥がし方向の始点P1を薄く形成することで、剥離部材10の舌片12を持って引き上げた際に、本体部11を引き剥がしの始点P1から容易に引き剥がすことができると共、引き剥がしの終点P4の肉厚も薄く形成したことで、本体部11を引き剥がした時に蓋体4の開口部8の上端周縁8aにつなぎ部14の一部がバリとして残ることがなく、開口部8の上端周縁8aをきれいな円形にすることができるので、ウォータサーバの給水軸(図示せず)を開口部8に挿入する際にも給水軸が上端周縁8aに引っ掛かってしまうといったことがない。特にこの実施形態では蓋体4に形成された開口部8の上端周縁8aと剥離部材10の本体部11とを連結するつなぎ部14がR形状の断面となっているので、断面形状が小さくても強度を確保することができる一方、断面形状が小さいので剥離部材10の引き剥がし方向Nに舌片12を引き上げた時に、つなぎ部14をスムーズに引き剥がすことができる。
【0022】
一方、前記剥離部材10の引き剥がし方向と直交する左右の引き剥がしの中間点P2,P3では、つなぎ部14の肉厚を厚く形成したことで連結強度を上げているが、これは蓋体4に上から何らかの荷重が掛かった時に剥離部材10が開口部8内に押し込まれるのを防ぐのに有効となる。なお、引き剥がしの中間点P2,P3の肉厚が引き剥がしの始点P1や終点P4より多少厚くても、本体部11を引き剥がす際に支障を来たすことはない。
【0023】
この実施形態では図4及び図6に示されるように、前記本体部11の外周面11aは開口部8を形成する内側筒状部9の内周面9aと同一面上にあり、また、本体部11の下面11bは蓋体4の上面4bと同一面にある。そして、本体部11の外周面11aの下端と蓋体4の開口部8の上端周縁8aとをつなぎ部14で連結しているための、本体部11を蓋体4から剥がし易い一方で、上からの荷重に対しては抵抗する強度を有する。なお、この実施形態では前記剥離部材10の舌片12を取り巻くように、蓋体4の上面4bの外周に内外二重のリブ4c、4dが形成されている。このリブ4c、4dの高さは少なくとも前記剥離部材10の舌片12の上面と同じかそれ以上である。そのため、蓋体4に掛かる上からの荷重に対しては二重のリブ4c、4dが効果的に働いて剥離部材10の押し潰れを防いでいる。
【0024】
前記実施形態におけるつなぎ部14は、斜面14aのR形状を徐々に変化させることで肉厚を変えているが、図7に示したように、本体部11の外周面11aの下端と蓋体4の開口部8の上端周縁8aとの間に四角形の断面形状が漸次増減するようなつなぎ部24を形成することもできる。この場合は、先の実施形態と同様、前記引き剥がしの始点P1から引き剥がしの中間点P2,P3に向かって四角形の断面形状が漸次増加し、引き剥がしの中間点P2,P3から引き剥がしの終点P4に向かって四角形の断面形状が漸次減少する。更に、図8に示したように、本体部11の外周面11aと蓋体4の開口部8の上端周縁8aとの間を断面形状がV字状の溝部35を有するつなぎ部34によって連結することもできる。この場合は、溝部35の深さが引き剥がしの始点P1から引き剥がしの中間点P2,P3に向かって漸次減少し、引き剥がしの中間点P2,P3から引き剥がしの終点P4に向かって漸次増加する。
【0025】
以上、本発明の好ましい実施形態について述べてきたが、本発明はこれら実施形態に限定されず、種々の変形および変更がこれら実施形態になり得るものである。
【符号の説明】
【0026】
1 ボトルキャップ
2 液体容器
3 口部
3a 上端開口
3b 外周面
3c 内周面
3d 上端部
4 蓋体
4b 上面
4c,4d リブ
5 外側壁部
6 内側壁部
7 凹嵌部
8 開口部
8a 上端周縁
9 内側筒状部
9a 内周面
10 剥離部材
11 本体部
11a 外周面
11b 下面
12 舌片
13 凸片
14,24,34 つなぎ部
14a 斜面
20 中栓
35 溝部
C1 第1中心線
C2 第2中心線
O 中心
N 剥離部材の引き剥がし方向
P1 引き剥がしの始点
P2,P3 引き剥がしの中間点
P4 引き剥がしの終点

【要約】
【課題】 ボトルキャップの開口部を清潔に保つと共に、ウォータサーバに液体容器を連結させる際には蓋体から剥離部材を容易に剥離できるようにすることである。
【解決手段】 液体容器の口部を被覆する蓋体と、この蓋体に形成された開口部を閉塞する剥離部材10とを備え、前記開口部の上端周縁と前記剥離部材10とが開口部の上端周縁に帯状に一体形成されたつなぎ部14によって連結され、前記つなぎ部14が蓋体から剥離部材10を引き剥がし可能な薄肉状に形成され、且つ前記剥離部材の引き剥がしの始点P1と終点P4が引き剥がしの中間点P2,P3より薄く形成されている。
【選択図】 図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8