特許第5926460号(P5926460)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5926460鏡筒の傾斜制御可能なボイスコイルモータ構造
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5926460
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】鏡筒の傾斜制御可能なボイスコイルモータ構造
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/08 20060101AFI20160516BHJP
   G02B 7/04 20060101ALI20160516BHJP
   G02B 7/02 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   G02B7/08 C
   G02B7/04 E
   G02B7/02 C
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-527771(P2015-527771)
(86)(22)【出願日】2013年8月16日
(65)【公表番号】特表2015-525909(P2015-525909A)
(43)【公表日】2015年9月7日
(86)【国際出願番号】CN2013081595
(87)【国際公開番号】WO2014029296
(87)【国際公開日】20140227
【審査請求日】2015年8月27日
(31)【優先権主張番号】201210296250.5
(32)【優先日】2012年8月20日
(33)【優先権主張国】CN
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】515047138
【氏名又は名称】愛佩儀光電技術(深▲せん▼)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100109449
【弁理士】
【氏名又は名称】毛受 隆典
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】鈔 晨
(72)【発明者】
【氏名】王 彬
【審査官】 辻本 寛司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−069867(JP,A)
【文献】 特開2012−103558(JP,A)
【文献】 特開2011−112709(JP,A)
【文献】 特開2008−139811(JP,A)
【文献】 特開2012−237895(JP,A)
【文献】 特開2012−242801(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/075892(WO,A1)
【文献】 特開2012−002973(JP,A)
【文献】 特開2012−103373(JP,A)
【文献】 特開2012−058762(JP,A)
【文献】 特開2011−118131(JP,A)
【文献】 特開2011−100124(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/08
G02B 7/02
G02B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡筒の傾斜制御可能なボイスコイルモータ構造であって、
前記ボイスコイルモータ構造は、
鏡筒を固定付着する鏡筒ベース
前記鏡筒ベースに巻回する合焦コイルと、
前記鏡筒ベースに巻回し、前記合焦コイルより撮像対象物側に配置された第一偏移コイルと、
前記鏡筒ベースに巻回し、前記合焦コイルより撮像素子側に配置された第二偏移コイルと、を含み、
前記合焦コイルと、前記第一偏移コイルと、前記第二偏移コイルは、前記鏡筒ベースに八角形状に巻回しており、
前記ボイスコイルモータ構造は、さらに、
前記合焦コイル及び前記第一偏移コイルの一辺の外側に配置された第一磁石と、
前記合焦コイル及び前記第一偏移コイルの一辺の外側であって、前記第一磁石と対向する位置に配置された第二磁石と、
前記合焦コイル及び前記第二偏移コイルの一辺の外側に配置された第三磁石と、
前記合焦コイル及び前記第二偏移コイルの一辺の外側であって、前記第三磁石と対向する位置に配置された第四磁石と、を含み、
合焦コイル部分に対応する前記第二磁石の裏側の磁極極性と前記第一磁石の裏側の磁極極性は同様であり、第一偏移コイル部分に対応する前記第二磁石の裏側の磁極極性と前記第一磁石の裏側の磁極極性は反対であり、合焦コイル部分に対応する前記第四磁石の裏側の磁極極性と前記第三磁石の裏側の磁極極性は同様であり、第二偏移コイル部分に対応する前記第四磁石の裏側の磁極極性と前記第三磁石の裏側の磁極極性は反対である、ことを特徴とする鏡筒の傾斜制御可能なボイスコイルモータ構造。
【請求項2】
前記鏡筒ベースの外側には内外の磁場を遮断する金属磁石ヨークが装着され、金属磁石ヨークの内部には磁石が固定装着されている、ことを特徴とする請求項1に記載の鏡筒の傾斜制御可能なボイスコイルモータ構造。
【請求項3】
前記鏡筒ベースの上部には上部弾性部品が固定設置され、鏡筒ベースの底部には底部弾性部品が固定設置され、鏡筒ベースは上部弾性部品と底部弾性部品によって金属磁石ヨーク内に懸垂する、ことを特徴とする請求項に記載の鏡筒の傾斜制御可能なボイスコイルモータ構造。
【請求項4】
前記上部弾性部品の上下両側には絶縁ワッシャーがそれぞれ設けられる、ことを特徴とする請求項に記載の鏡筒の傾斜制御可能なボイスコイルモータ構造。
【請求項5】
前記第二磁石及び/若しくは第四磁石は、平面二端磁極形成方法で1つの磁石の同一側に方向が反対の2つの磁極極性を形成することで形成するか、又は磁極極性方向が反対の二個の磁石を接続させることで形成する、ことを特徴とする請求項に記載の鏡筒の傾斜制御可能なボイスコイルモータ構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鏡筒の傾斜を制御するボイスコイルモータに関し、特に鏡筒の傾斜制御可能なボイスコイルモータ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話製造技術の発展に伴い、特に多機能携帯電話(スマートフォンとも言う)が現れた後、携帯電話の色々な機能が益々増えている。携帯電話の動画撮影機能と写真撮影機能は携帯電話において、なければならない機能になっている。5M、8M、12Mなどの高画素カメラが多機能携帯電話に広く応用されることにより、携帯電話の撮影品質がデジタルカメラの撮影品質に近づいている。しかし、従来技術の高画素携帯カメラは通常、デジタルカメラの一部分の光学部品及び機械部品を含んでいない。このようなハードウェアが欠落することにより、撮影型携帯電話の撮影品質がデジタルカメラの撮影品質を下回るはずである。現在の撮影型携帯電話は通常一個の自動合焦用モータで鏡筒を近い焦点側と遠い焦点側との間で移動させているが、鏡筒に対するこのような制御は、鏡筒がイメージセンサに近づくか或いはイメージセンサから離れるようにする一元の制御(一方向の制御)にしか過ぎない。高級デジタルカメラにおいては、複雑(多方向の制御可能)な機械装置で鏡筒を制御することにより、該鏡筒がイメージセンサに相対して多方向に動くようにする。例えば、鏡筒を平行に移動させることにより光学式手ぶれ補正機能(Optical Image Stabilization、OIS)を実現し、鏡筒を適当に傾斜させることによりティルト・シフト(Tilt-shift)撮影を実現することなどである。
【0003】
撮影機能付き携帯電話の撮影品質をデジタルカメラの撮影品質に更に近づけるため、国際的に有名な合焦モータ製造会社たちはいずれも三軸合焦モータを研究開発し始めた。例えば、TDK、Mistumi、富士康(Foxconn)などの製造会社は、鏡筒の平行移動による光学式手ぶれ補正合焦モータを開発した。しかし、これらのモータは、構造が非常に複雑であり、体積が大きくかつエネルギー消耗が多いという欠点を有しているので、現在多機能携帯電話に広く使われていない。
【0004】
愛佩議光電技術有限公司がそれを解決するため鏡筒の傾斜制御可能な合焦モータを開発したことにより、自動合焦と光学式手ぶれ補正機能を実現し、かつ部品の小型化を実現した。これにより、三軸モータの体積を初めて一軸モータの体積と同様にし、エネルギー消耗も有効に低減し、三軸モータを携帯電話に応用する条件を満たした。愛佩議社のそのモータは、鏡筒の周辺に設けられる複数個(三個又はそれ以上)の駆動装置を利用し、鏡筒をそれぞれ駆動することによって鏡筒が光軸に対して略平行の方向に移動するようにし、かつ各駆動装置の移動量を制御することによって鏡筒の合焦と傾斜角度の制御を実現する。すなわち、鏡筒の傾斜と鏡筒の平行移動を同時に実現することができるので、ジャイロスコープセンサーを共に使用することにより、光学式手ぶれ補正可能な撮影効果を奏することができる。しかし、そのモータも、量産しにくく、モータ駆動回路とマッチングしにくいという欠点を有しているので、多機能携帯電話に広く使用することができない。
【0005】
愛佩議光電技術有限公司は現在合焦モータが通常四個の同様な駆動装置を採用することで鏡筒が移動するように同時駆動し、かついずれの駆動装置も鏡筒の合焦と偏移に影響を与えるので、四個の駆動装置を一緒に使用することにより鏡筒の姿勢を精密に制御する。鏡筒を移動させるとき、モータの合焦位置、X方向の偏移角及びY方向の偏移角のような3つの制御係数に対して複雑な換算をし、かつこれらを四個の駆動装置を駆動するための四個の電流係数に変換しなければ、所定の制御を実現することができない。このため、制御チップに所定の変換計算方法を入力しなければならない。このような合焦モータにおいて、各駆動装置のコイルの抵抗が小さい(<10Ω)ので、駆動回路に適合させることができず、かつ四個の同様な駆動回路を設置することにより、互いに独立する四個の駆動装置を制御する必要がある。各駆動回路はいずれもモータの合焦位置及び偏移角を制御することを負担し、駆動電流は合焦を制御する電流と偏移を制御する電流との合計である。各駆動回路の電流出力可能範囲が限定され、合焦を制御する電流の出力の変化が偏移を制御する電流の出力可能範囲に影響を与えるので、合焦のための移動と偏移のための移動を含むこの二種の移動は互いに牽制されやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来技術の多機能携帯電話用鏡筒駆動モータは、機能が簡単であるか、或いは構造が複雑であるか、或いは量産しにくいという欠点を有している。本発明は、鏡筒の傾斜制御可能な、新しいボイスコイルモータ構造を提供する。これは、光軸に相対して垂直であるとともに互いに平行である複数個のコイルで構成され、かつ一個のコイルで鏡筒をそれぞれ制御することにより、鏡筒をイメージセンサに対して垂直方向に移動させ、鏡筒の合焦を実現する。他のコイルで鏡筒をそれぞれ制御することにより、光軸に垂直でありかつ互いに垂直である2つの回転軸に相対して鏡筒が偏移することを制御することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記技術問題を解決するため下記のような技術事項、すなわち鏡筒の傾斜制御可能なボイスコイルモータ構造を採用する。該ボイスコイルモータ構造は、鏡筒を固定付着する鏡筒ベース、合焦コイル、偏移コイル及び磁石を含み、合焦コイルと偏移コイルはそれぞれ鏡筒ベースの外側に固定装着される。磁石が合焦コイルと偏移コイルの周囲に配置されることにより、合焦コイルと磁石が互いに影響し、かつ合焦コイルが鏡筒ベースを駆動して前後へ移動させることにより、鏡筒の合焦を実現する。かつ偏移コイルと磁石が互いに影響し、偏移コイルが鏡筒ベースを駆動して傾斜移動をさせることにより、鏡筒のティルト・シフトを実現する。
【0008】
本発明が技術問題を解決するため採用する技術事項は下記の事項を更に含む。
【0009】
前記合焦コイルは一個設けられる。偏移コイルは二個設けられ、これらはそれぞれ第一偏移コイルと第二偏移コイルである。二個の偏移コイルはそれぞれ合焦コイルの両側に設けられる。合焦コイルと偏移コイルは互いに平行であり、合焦コイルと偏移コイルはそれぞれ鏡筒ベースの鏡筒の光軸に垂直に設けられる。
【0010】
前記磁石は四個設けられ、第一磁石と第二磁石は一組になっており、第一磁石と第二磁石は対向に設けられ、これらが生成した磁場は主に第一偏移コイルと合焦コイルに影響を与える。第三磁石と第四磁石は一組になっており、第三磁石と第四磁石は対向に設けられ、これらが生成した磁場は主に第二偏移コイルと合焦コイルに影響を与える。
【0011】
合焦コイル部分に対応する前記第二磁石の裏側の磁極極性と第一磁石の裏側の磁極極性は同様であり、第一偏移コイル部分に対応する第二磁石の裏側の磁極極性と第一磁石の裏側の磁極極性は反対である。合焦コイル部分に対応する第四磁石の裏側の磁極極性と第三磁石の裏側の磁極極性は同様であり、第二偏移コイル部分に対応する第四磁石の裏側の磁極極性と第三磁石の裏側の磁極極性は反対である。
【0012】
前記鏡筒ベースの外側には内外の磁場を遮断する金属磁石ヨークが装着され、金属磁石ヨークの内部には磁石が固定装着されている。
【0013】
前記鏡筒ベースの上部には上部弾性部品が固定設置され、鏡筒ベースの底部には底部弾性部品が固定設置され、鏡筒ベースは上部弾性部品と底部弾性部品によって金属磁石ヨーク内に懸垂する。
【0014】
前記上部弾性部品の上下両側には絶縁ワッシャーがそれぞれ設けられる。
【0015】
前記第二磁石及び/若しくは第四磁石は、平面二端磁極形成方法で1つの磁石の同一側に方向が反対の2つの磁極極性を形成することで形成するか、又は磁極極性方向が反対の二個の磁石を接続させることで形成する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果は下記のとおりである。本発明は、光軸に相対して垂直でありかつ互いに平行である三個のコイルで鏡筒を制御する。このモータ構造は、従来の技術と完全に相違しており、かつ鏡筒の合焦と傾斜度の制御を同時に実現することができる。本発明の3つのコイル構造は体積の小型化などの利点を有しており、量産しやすく、コイルの抵抗を容易にモータ駆動回路に適合させることができる。また、現在の多機能携帯電話に広く応用することにより、該多機能携帯電話が中高級デジタルカメラと同様な撮影機能を有するようにすることができる。本発明は、モータの合焦位置、X方向の偏移角及びY方向の偏移角のような3つの制御係数で三個の駆動装置を直接制御することができるので、複雑な変換計算方法を使用する必要がなく、かつ各コイルの抵抗が適当であること(約15Ω)により、駆動電気回路によく適合することができる。本発明は、三個の駆動回路のみを採用することで作動することができるので、回路の構造が簡単である。各駆動回路が異なる3つの移動をそれぞれ制御するので、合焦のための移動及び偏移のための移動は独立な可動範囲を有しかつ互いに牽制するおそれがない。
【0017】
以下、図面及び具体的な実施形態により本発明を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の立体構造を示す図である。
図2】本発明の上部構造を示す図である。
図3図2のA―A断面構造を示す図である。
図4図2のB―B断面構造を示す図である。
図5】本発明の分解構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
下記の実施例は本発明の好適な実施例であり、原理及び基本構造が本発明の実施例と同様であるか或いは類似する実施例などがあっても、本発明に含まれることは勿論である。
【0020】
図1乃至図5を参照すると、本発明の核心部品は、互いに平行でありかつ光軸(光軸は鏡筒中の撮影レンズによって確定される光学路線の中心軸を意味する)の略垂直方向に形成される三個の略矩形のコイルと、コイルの周囲に精密に配置した複数個の磁石組合せとである。本実施例において、三個のコイルが設けられているが、これは本発明の目的を奏することができる最も簡単な構造である。具体的な実施例においては、実際の需要によりコイルの数量を具体的に設けることもできる。本実施例の三個のコイルにおいて、一個は合焦コイル6であり、他の二個は偏移コイルであり、これらはそれぞれ第一偏移コイル5と第二偏移コイル7である。合焦コイル6は中間に設けられ、二個の偏移コイルはそれぞれ両側に設けられる。
【0021】
合焦コイル6の周囲の所定の位置には磁石が設けられている。本実施例においては、四個の磁石が設けられており、これらはそれぞれ第一磁石8、第二磁石9、第三磁石10及び第四磁石11である。合焦コイル6に通電するとき、磁石に対応する合焦コイル6の所定の部分が、光軸に平行でありかつ同じ方向の作用力を獲得することができるので、合焦コイル6が鏡筒を駆動して前後に移動させ、鏡筒の合焦効果を奏することができる。偏移コイルにおいて、対向する2つの箇所にのみ磁石が設けられており、対向する他の2つの箇所には磁石が設けられておらず、かつ磁石が設けられる2つの箇所の磁極極性は反対である。したがって、偏移コイルに通電するとき、二個の磁石に対応するコイルの箇所に反対方向の力が発生するとともに1つのトルクが形成されることにより、鏡筒に傾斜移動が発生し、二個の偏移コイルがそれぞれ鏡筒を制御することにより、鏡筒が2つの垂直方向に傾斜移動する。本実施例において、磁石は四個設けられ、四個の磁石は2組に分けられている。各組の磁石は対向するように設けられる二個の磁石を含み、二組の磁石は垂直に配置されている。対向する第一磁石8と第二磁石9は、一組になっておりかつ上部寄りに位置する。第一磁石8と第二磁石9が生成した磁場は主に第一偏移コイル5と合焦コイル6に影響を与える。対向する第三磁石10と第四磁石11は、一組になっておりかつ下部寄りに位置する。第三磁石10と第四磁石11が生成した磁場は主に、第二偏移コイル7と合焦コイル6に影響を与える。本実施例において、設けられた第一磁石8と第二磁石9の磁極は図4を参照することができる。第一磁石8において、裏側に接近する一端の磁極はN極であり、外側に接近する一端の磁極はS極である。第二磁石9は、平面二端磁極形成方法で1つの磁石の同一側に方向が反対の2つの磁極極性を形成することで形成するか、或いは磁極極性方向が反対の二個の磁石を接続させることで形成することができる。合焦コイル6の部分に対応する第二磁石9の裏側一端の磁極はN極であり、外側の一端の磁極はS極である。第一偏移コイル5の部分に対応する第二磁石9の裏側一端の磁極はS極であり、外側の一端の磁極はN極である。第三磁石10と第四磁石11の磁極の設置は図3を参照することができる。裏側に接近する第三磁石10の一端の磁極はN極であり、外側に接近する一端の磁極はS極である。第四磁石11は、平面二端磁極形成方法で1つの磁石の同一側に方向が反対の2つの磁極極性を形成することで形成するか、或いは磁極極性方向が反対の二個の磁石を接続させることで形成することができる。合焦コイル6の部分に対応する第四磁石11の裏側一端の磁極はN極であり、外側の一端の磁極はS極である。第二偏移コイル7の部分に対応する第四磁石11の裏側一端の磁極はS極であり、外側の一端の磁極はN極である。具体的な実施例において、すべての磁石の磁極はいずれも反対方向に設置するとともにコイルで流れる電流を反対方向にする場合、モータの運行方向が変わらない。
【0022】
上述した核心部品以外にも、本発明は他の外部部品を含む。合焦コイル6と二個の偏移コイルは鏡筒ベース12の外部に固定設置され、合焦コイル6と二個の偏移コイルの形状は鏡筒ベース12の外部形状に合う。すなわち、合焦コイル6と二個の偏移コイルは鏡筒ベース12を包装し、鏡筒(図示せず)は鏡筒ベース12内に固定設置され、鏡筒ベース12は鏡筒を駆動することにより鏡筒と一緒に移動する。鏡筒ベース12の上部には上部弾性部品3が固定設置され、鏡筒ベース12の底部には底部弾性部品13が固定設置される。鏡筒ベース12、合焦コイル6及び二個の偏移コイルは本発明の移動部分を構成し、移動部分は上部弾性部品3と底部弾性部品13によって懸垂する。本実施例において、上部弾性部品3と底部弾性部品13は単層又は多層の片状弾性部品で形成される。各層の弾性部品の弾性係数の比率を制御することにより、偏移する回転軸の位置を精密に制御することができ、かつコイルの電流を制御することにより、鏡筒の合焦を実現するとともに偏移を制御することができる。本実施例において、上部弾性部品3と底部弾性部品13の弾性属性を調節することにより、懸垂システム全体で移動部分が上下方向の合焦移動をすることと、光軸に垂直である2つの垂直方向の傾斜移動をすることを確保する。コイルの外側には第一絶縁ワッシャー2と第二絶縁ワッシャー4が固定設置され、上部弾性部品3は第一絶縁ワッシャー2と第二絶縁ワッシャー4との間に設けられる。本発明の全外側には金属磁石軛1が装着され、該金属磁石軛1は、磁石を用いることで自体をコイルの周辺に固定し、かつ内外の磁場を遮断することにより、これが干渉を受けることを避ける。第一絶縁ワッシャー2と第二絶縁ワッシャー4は、上部弾性部品3と金属磁石軛1及び磁石とを互いに固定することで電気絶縁を実現する。金属磁石軛1の底部には底部カバー14が固定装着され、上部弾性部品3は底部カバー14上に固定装着される。底部カバー14と金属磁石軛1が一体に組立てられることにより収納スペースが形成され、鏡筒ベース12の部品は収納スペース内に取付けられる。
【0023】
本発明を使用するとき、合焦コイル6に通電すると、この周囲の対向する箇所の磁極極性が同様になるので、合焦コイル6が光軸に略沿いかつ方向が同様な作用力を生成することができる。これにより、鏡筒ベース12が前後に移動するように駆動し、鏡筒の合焦を実現することができる。第一偏移コイル5に通電するとき、対応する第一磁石8と第二磁石9の磁極が反対であることにより、反対方向の作用力が発生し、1つのトルクが形成される。これにより、鏡筒ベース12を第一磁石8又は第二磁石9側の方向へ傾斜させることができる。偏移コイル7に通電するとき、対応する第三磁石10と第四磁石11の磁極が反対であることにより、反対方向の作用力が発生し、1つのトルクが形成される。これにより、鏡筒ベース12を第三磁石10又は第四磁石11側の方向へ傾斜させることができる。したがって、三個のコイルの電流を制御することにより、鏡筒の合焦移動と垂直の2つの回転軸に沿う傾斜移動をそれぞれ制御することができる。
【0024】
本発明は、光軸に相対して垂直でありかつ互いに平行である三個のコイルで鏡筒を制御する。このモータ構造は、従来の技術と完全に相違しており、かつ鏡筒の合焦と傾斜度の制御を同時に実現することができる。本発明の3つのコイル構造は体積の小型化などの利点を有しており、量産しやすく、コイルの抵抗を容易にモータ駆動回路に適合させることができる。また、現在の多機能携帯電話に広く応用することにより、該多機能携帯電話が中高級デジタルカメラと同様な撮影機能を有するようにできる。本発明は、モータの合焦位置、X方向の偏移角及びY方向の偏移角のような3つの制御係数で三個の駆動装置を直接制御することができるので、複雑な変換計算方法を使用する必要がなく、かつ各コイルの抵抗が適当であること(約15Ω)により、駆動電気回路によく適合させることができる。本発明は、三個の駆動回路のみを採用することで作動できるので、回路の構造が簡単である。各駆動回路が異なる3つの移動をそれぞれ制御するので、合焦のための移動及び偏移のための移動は独立な可動範囲を有しかつ互いに牽制するおそれがない。
【符号の説明】
【0025】
1 金属磁石軛
2 第一絶縁ワッシャー
3 上部弾性部品
4 第二絶縁ワッシャー
5 第一偏移コイル
6 合焦コイル
7 第二偏移コイル
8 第一磁石
9 第二磁石
10 第三磁石
11 第四磁石
12 鏡筒ベース
13 底部弾性部品
14 底部カバー
図1
図2
図3
図4
図5