【実施例】
【0043】
以下に実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はそれら実施例によって何ら限定されるものではない。
【0044】
実施例1、2、比較例1及び2においては、ガラス繊維織物に対して樹脂量を比較的多くし、比較例1及び2においては、樹脂として、ジアリルフタレート又は不飽和ポリエステル樹脂のいずれか一方のみを用いた。また、用いたガラス繊維織物を構成するガラス繊維の屈折率は1.56であり、不飽和ポリエステル樹脂の屈折率は1.53であった。
【0045】
実施例3〜6、比較例3及び4においては、ガラス繊維織物に対する樹脂量を一定とし、実施例3〜6においては、硬化性樹脂として、ジアリルフタレートと不飽和ポリエステル樹脂の割合を変化させた。比較例3においては、予め、シランカップリング剤で表面処理しなかったガラス繊維織物を用い、比較例4においては、予め、ガラス繊維織物を分子中にエポキシ基を有するシランカップリング剤にて表面処理したものを用いた。
【0046】
また、以下実施例と比較例において、得られたシ−トの透明性と不燃性と反発圧縮力は以下のようにして評価乃至測定した。
【0047】
(透明性)
得られたシ−トを通して、2m離れた紙上の60ポイントの「新」なる文字が明瞭に識別できたときを「良好」とし、明瞭に識別できないときを「不良」とした。
【0048】
(不燃性)
ISO 5660−1に規定するコーンカロリーメーター法に準拠した発熱試験によって評価した。即ち、輻射電気ヒーターによって試料シートの表面に輻射熱50KW/m
2を照射する発熱性試験において、(1)加熱開始後20分間の総発熱量が8MJ/m
2以下であると共に、(2)加熱開始後20分間、最高発熱速度が10秒以上継続して200KW/m
2を超えず、更に、(3)上記発熱性試験の後も、ガラス繊維織物における経糸間の間隔と緯糸間の間隔がいずれも0.5mm以下であるという条件をすべて満たすときを「合格」とし、上記(1)〜(3)の条件の少なくとも1つを満たさないときを「不合格」とした。尚、不燃性の欄の括弧内の数値は、上記発熱性試験における加熱開始後20分間の総発熱量を示す。
【0049】
(反発圧縮力)
得られたシートを幅25mm、長さ50mmの短冊状に裁断し、これを長手方向に巻いて環状体を作製し、この環状体の周面を水平面に接触させて立てて、周面の最上部を5mm押し下げたときの環状体の反発力を反発圧縮力として測定した。測定には万能引張り試験機(ミネベア(株)製TCM−10KNB)を用いた。
【0050】
(全光線透透過率)
JIS K−7105によった。
【0051】
実施例1
樹脂成分としてのジアリルフタレートプレポリマー粉末(ダイソー(株)製商品名ダイソーダップ、以下、同じ。)80重量部と液状不飽和ポリエステル樹脂(固形分)(ディーエイチ・マテリアル(株)製商品名サンドーマ、以下、同じ。)20重量部に過酸化ベンゾイル(固形分75重量%)3.5重量部、離型剤(中京油脂(株)製リン酸アルキルエステル、セパール325、以下、同じ。)0.5重量部、アセトン65重量部及び酢酸プロピル10重量部を均一に混合して液状樹脂組成物を調製した。
【0052】
予め、第4級アンモニウム塩構造を有するカチオン性シランカップリング剤で表面処理した坪量47g/m
2の平織りのガラス繊維織物に上記液状樹脂組成物を含浸させ、所定の樹脂量となるようにスクイズロールを用いて調整した後、熱風式乾燥機を用いて所定の揮発分を有するように乾燥して、樹脂量360g/m
2(ガラス繊維織物100重量部に対して766重量部)を有するジアリルフタレートプリプレグを得た。
【0053】
このプリプレグをアルミニウム板の間に挟んで積層体とし、更に、この積層体をクッションの間に挟んだ後、一対の熱盤の間で温度130℃、圧力6.0MPa、時間20分の条件で加熱加圧して、本発明による透明不燃性シートを得た。この透明不燃性シートは、透明性「良好」、不燃性「合格」(6.5MJ/m
2)であった。
【0054】
実施例2
ガラス繊維織物として、坪量209g/m
2の平織りのガラス繊維織物を用いて、樹脂量360g/m
2(ガラス繊維織物100重量部に対して172重量部)を有するジアリルフタレートプリプレグを得た以外は、実施例1と同様にして、本発明による透明不燃性シートを得た。この透明不燃性シートは、透明性「合格」、不燃性「合格」(6.3MJ/m
2)であった。
【0055】
比較例1
樹脂成分として液状不飽和ポリエステル樹脂(固形分)100重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、液状樹脂組成物を調製した。
【0056】
実施例1と同じシランカップリング剤で表面処理した坪量47g/m
2の平織りのガラス繊維織物に上記液状樹脂組成物を含浸させ、所定の樹脂量となるようにスクイズロールを用いて調整した後、熱風式乾燥機を用いて所定の揮発分を有するように乾燥して、樹脂量190g/m
2(ガラス繊維織物100重量部に対して400重量部)を有するジアリルフタレートプリプレグを得た。
【0057】
このプリプレグを用いて、実施例1と同様にして、比較例1としての透明不燃性シートを得た。この透明不燃性シートは、透明性「不良」、不燃性「合格」(3.6MJ/m
2)であった。
【0058】
比較例2
樹脂成分としてジアリルフタレートプレポリマー粉末100重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、液状樹脂組成物を調製した。
【0059】
予め、実施例1と同じシランカップリング剤で表面処理した坪量47g/m
2の平織りのガラス繊維織物に上記液状樹脂組成物を含浸させ、所定の樹脂量となるようにスクイズロールを用いて調整した後、熱風式乾燥機を用いて所定の揮発分を有するように乾燥して、樹脂量190g/m
2(ガラス繊維織物100重量部に対して400重量部)を有するジアリルフタレートプリプレグを得た。
【0060】
このプリプレグを用いて、実施例1と同じ条件下に加熱加圧して、比較例2としての透明不燃性シートを得た。この透明不燃性シートは、透明性「良好」、不燃性「合格」(3.7MJ/m
2)であった。但し、この透明不燃性シートは、環状体の反発圧縮力の測定時に割れた。
【0061】
実施例3
予め、実施例1と同じ第4級アンモニウム塩構造を有するカチオン性シランカップリング剤で表面処理した坪量100g/m
2の平織りのガラス繊維織物に実施例1と同じ液状樹脂組成物を含浸させ、所定の樹脂量となるようにスクイズロールを用いて調整した後、熱風式乾燥機を用いて所定の揮発分を有するように乾燥して、ガラス繊維織物100重量部に対して樹脂量110重量部のジアリルフタレートプリプレグを得た。
【0062】
このプリプレグを実施例1と同じ条件下に加熱加圧して、本発明による透明不燃性シートを得た。この透明不燃性シートは、透明性「良好」、反発圧縮力2.5N、全光線透過率92.4%であった。
【0063】
実施例4
予め、アミノ基を有するシランカップリング剤で表面処理した坪量100g/m
2の平織りのガラス繊維織物に実施例1と同じ液状樹脂組成物を含浸させ、所定の樹脂量となるようにスクイズロールを用いて調整した後、熱風式乾燥機を用いて所定の揮発分を有するように乾燥して、ガラス繊維織物100重量部に対して樹脂量110重量部のジアリルフタレートプリプレグを得た。
【0064】
このプリプレグを実施例1と同じ条件下に加熱加圧して、本発明による透明不燃性シートを得た。この透明不燃性シートは、透明性「良好」、反発圧縮力2.3N、全光線透過率91.5%であった。
【0065】
実施例5
樹脂成分として、ジアリルフタレートプレポリマー粉末20重量部と液状不飽和ポリエステル樹脂(固形分)80重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、液状樹脂組成物を調製した。
【0066】
予め、実施例1と同じアミノ基を有するシランカップリング剤で表面処理した坪量100g/m
2の平織りのガラス繊維織物に上記液状樹脂組成物を含浸させ、所定の樹脂量となるようにスクイズロールを用いて調整した後、熱風式乾燥機を用いて所定の揮発分を有するように乾燥して、ガラス繊維織物100重量部に対して樹脂量110重量部のジアリルフタレートプリプレグを得た。
【0067】
このプリプレグを実施例1と同じ条件下に加熱加圧して、本発明による透明不燃性シートを得た。この透明不燃性シートは、透明性「良好」、反発圧縮力0.98N、全光線透過率90.4%であった。
【0068】
実施例6
樹脂成分として、ジアリルフタレートプレポリマー粉末50重量部と液状不飽和ポリエステル樹脂(固形分)50重量部を用いた以外は、実施例1と同様にして、液状樹脂組成物を調製した。
【0069】
予め、実施例1と同じ第4級アンモニウム塩構造を有するカチオン性シランカップリング剤で表面処理した坪量100g/m
2の平織りのガラス繊維織物に上記液状樹脂組成物を含浸させ、所定の樹脂量となるようにスクイズロールを用いて調整した後、熱風式乾燥機を用いて所定の揮発分を有するように乾燥して、ガラス繊維織物100重量部に対して樹脂量110重量部のジアリルフタレートプリプレグを得た。
【0070】
このプリプレグを実施例1と同じ条件下に加熱加圧して、本発明による透明不燃性シートを得た。この透明不燃性シートは、透明性「良好」、反発圧縮力1.5N、全光線透過率91.6%であった。
【0071】
比較例3
予め、シランカップリング剤で表面処理することなく、坪量100g/m
2の平織りのガラス繊維織物に実施例1と同じ液状樹脂組成物を含浸させ、所定の樹脂量となるようにスクイズロールを用いて調整した後、熱風式乾燥機を用いて所定の揮発分を有するように乾燥して、ガラス繊維織物100重量部に対して樹脂量110重量部のジアリルフタレートプリプレグを得た。
【0072】
このプリプレグを実施例1と同じ条件下に加熱加圧して、比較例3としてのシートを得た。このシートは透明性において「不良」であった。
【0073】
比較例4
予め、エポキシ基を有するシランカップリング剤で表面処理した坪量100g/m
2の平織りのガラス繊維織物に実施例1と同じ液状樹脂組成物を含浸させ、所定の樹脂量となるようにスクイズロールを用いて調整した後、熱風式乾燥機を用いて所定の揮発分を有するように乾燥して、ガラス繊維織物100重量部に対して樹脂量110重量部のジアリルフタレートプリプレグを得た。
【0074】
このプリプレグを実施例1と同じ条件下に加熱加圧して、比較例4によるシートを得た。この不燃性シートは透明性において「不良」であった。