【実施例】
【0078】
細胞系
以下の細胞系は、ヨーロピアンコレクションオブセルカルチャー(ECACC)、ジャーマンコレクションオブマイクロオーガニズムズ(DSMZ)又はアメリカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)から得た:CD38マウスIgGモノクローナル抗体OKT10を産生するハイブリドーマ細胞系(ECACC,#87021903)、ジャーカット細胞(DSMZ,ACC282)、LP−1(DSMZ,ACC41),RPMI8226(ATCC,CCL−155),HEK293(ATCC,CRL−1573),CHOK1(ATCC,CRL−61)及びラジ(Raji)(ATCC,CCL−86)。
細胞及び培養条件
全ての細胞は37℃及び5%CO
2にて湿潤発酵機中で標準化された条件下で培養した。細胞系LP−1,RPMI8226,ジャーカット及びラジは、10%FCS(PANバイオテックGmbH,#P30−3302),50U/mlペニシリン、50μg/mlストレプトマイシン(ギブコ、#15140−122)及び2mMグルタミン(ギブコ、#25030−024)を付加されたRPMI1640(パンバイオテックGmbH,#P04−16500)内で培養したが、ジャーカット並びラジ細胞の場合にはさらに10mM Hepes(パンバイオテックGmbH,#P05−01100)及び1mMピルビン酸ナトリウム(パンバイオテックGmbH,#P04−43100)を加えた。
【0079】
CHO−K1及びHEK293は、2mMグルタミン及び10%FCSを付加されたDMEM(ギブコ、#10938−025)内で生育させた。安定なCD38 CHO−K1トランスフェクト体を、G418(PAA GmbH,P11−012)の存在下で維持し、HEK293に関しては、1mMピルビン酸ナトリウムの付加が必須であった。HEK293の一過性トランスフェクションの後に、10%のFCSをウルトラ低IgG FCS(インビトロジェン、#16250−078)で置き換えた。細胞系OKT−10をIDMEM(ギブコ、#31980−022)中で培養したが、2mMグルタミン及び20%FCSを付加した。
末梢血からの単一細胞懸濁液の調製
全血サンプルをインフォームドコンセントの後に採取した。末梢血単核球細胞(PBMC)をHistopaque(登録商標)−1077(シグマ)により製造者の指示書に従い健康なドナーから単離した。ACK溶解バッファー(0.15M NH
4Cl,10mM KHCO
3,0.1M EDTA)中での5分間の室温におけるインキュベーションによるか又は市販の誘導体中で(バイオサイエンス、#00−4333)、赤血球細胞をこれらの細胞懸濁液から枯渇させた。細胞を2回PBSにより洗浄し、そして次にフローサイトメトリー又はADCCにより処理した(以下を参照)。
フローサイトメトリー(「FACS」)
全染色を丸底96ウエル培養プレート(Nalge Nunc)中でウエルあたり2x10
5細胞にて実施した。細胞を、Fab及びIgG抗体と共に、示された濃度にて50μlのFACSバッファー(PBS,3% FCS,0.02% NaN
3)中で40分間4℃においてインキュベートした。細胞を2回洗浄し、次に、1:200にてFACSバッファー中で希釈されたR−フィコエリスリン(PE)をコンジュゲートされたヤギ−抗−ヒト又はヤギ−抗−マウスIgG(H+L)F(ab’)
2(ジャクソンイムノリサーチ)と30分間4℃においてインキュベートした。細胞を再び洗浄し、0.3mlのFACSバッファーに懸濁し、そして次にフローサイトメトリーによりFACSCalibur(ベクトンディッキンソン、サンディエゴ、CA)中で分析した。
【0080】
FACSに基づくスキャッチャード分析RPMI8226細胞を12の異なる希釈(1:2
n)にて染色し、12.5μg/ml(IgG)最終濃度から出発した。少なくとも2つの独立の測定値を、各濃度及びChamow et al(1994)に従い中央値蛍光強度から推定された(extrapolated)Kd値に関して使用した。
表面プラズモン共鳴
キネティクス定数k
on及びk
offを、共有結合により固定化されたCD38−Fc融合蛋白質への各Fab結合の連続希釈により、BIAcore 3000装置(バイアコア、ウプサラ、スエーデン)を用いて測定した。共有結合による抗原の固定化に関しては、標準EDC−NHSアミンカップリング化学を用いた。CD38 Fc−融合蛋白質CM5の直接カップリングに関しては、センサーチップ(バイアコア)を約600〜700 RUと、10mM 酢酸バッファー、pH4.5中でコートした。レファレンスのフローセルに関しては、各々の量のHSA(ヒト血清アルブミン)を用いた。キネティクスの測定は、PBS(136mM NaCl,2.7mM KCl,10mM Na
2PO
4,1.76mM KH
2PO
4 pH7.4)中で、20μl/分の流速にて、1.5−500nMのFab濃度範囲にて行った。各濃度の注射時間は、1分、続く解離フェーズの2分間であった。戻す(regeneration)のに、5μlの10mM HClを用いた。全てのセンソグラム(sensograms)をBIA評価ソフトウエア3.1(バイアコア)を用いて局所的に適合させた。
実施例1:HuCALライブラリーからの抗体産生
CD38に対する治療用抗体の産生のために、MorphoSysHuCAL GOLDファージディスプレイライブラリーによる選択を実施した。HuCAL GOLD(登録商標)はHuCAL(登録商標)コンセプト(Knappik et al.,2000;Krebs et al.,2001)に基くFabライブラリーであり、全部で6つのCDRsを誘導し、そしてFab断片をファージ表面に結合させるためにCysDisplay(登録商標)技術を用いる(Lohning,2001)。
A.ファージミッドレスキュー、ファージ増幅及び精製
HuCAL GGOLD(登録商標)ファージミッドライブラリーを、34μg/mlクロラムフェニコール及び1%グルコースを含む2xTY培地(2xTY−GG)の中で増幅した。0.5のOD600におけるヘルパーファージ感染(VCSM13)の後に(37℃において30分間撹拌なし;37℃において30分間250rpmにて撹拌)、細胞をスピンダウンし(4120g;5分間;4℃)、2xTY/34μg/mlクロラムフェニコール/50μg/mlカナマイシン中に懸濁し、そして一晩22℃において生育させた。ファージを上清からPEG沈殿させ、PBS/20%グリセロール中に懸濁し、そして−80℃に保存した。2回のパンニング(panning)の間にファージ増幅を実施したが、以下のとおりであった:中期フェーズのTG1細胞に溶出されたファージを感染させ、そして1%のグルコース及び34μg/mlのクロラムフェニコールを付加されたLB−寒天(LB−CG)上にプレートした。37℃における一晩インキュベーションの後に、上記のとおりにして、コロニーをかき集め(scraped off)、0.5のOD600に調節し、そしてヘルパーファージを添加した。
B.HuCAL GOLD(登録商標)によるパンニング
選択のため、HuCAL GOLD(登録商標)抗体−ファージを、異なるVHマスター遺伝子に対応する3つのプールに分割した(プール1:VH1/5λκ、プール2:VH3 λκ、プール:VH2/4/6 λκ)。これらのプールを、個別に、CD38―発現CHO−K1細胞上の全細胞パンニング3ラウンドに供し、次に、無関係な抗体−ファージの消耗のためにCD38−陰性CHO−K1細胞上でpH−溶出及び後吸着工程を行った。最後に、残った抗体ファージを用いてエシェリヒアコリTG1細胞に感染させた。遠心分離の後に、細菌の沈殿物を2xTY培地に懸濁し、寒天プレートにプレートし、そして一晩30℃においてインキュベートした。選択されたクローンを次にプレートからスクラップし、ファージをレスキューして増幅した。第2及びだ3ラウンドの選択は最初のラウンドのように実施した。
【0081】
選択されたHuCAL GOLD(登録商標)ファージの挿入物をコードするFabを発現ベクターpMORPH(登録商標)x9_Fab_FS(Rauchenberger et al.,2003)にサブクローン化することにより、可溶性Fabの迅速な発現を促進させた。選択されたクローンのDNAをXbaIとEcoRIにより消化し、それによりFabコード挿入物(ompA−VLCL及びphoA−Fd)を切り出し、そしてXbaI/EcoRI切断ベクターpMORPH(登録商標)x9_Fab_FSにクローン化した。このベクター中で発現したFabは2つのC−末端タグ(FLAGS
TM及びtrep−tag(登録商標)II)を消耗及び精製のために含む。
実施例2:生物学上のアッセイ
抗体依存性細胞傷害性(ADCC)及び補体−依存性細胞傷害性を、フローサイトメトリー分析に基く公表されたプロトコルに従い(Naundorf et al.,2002)、以下のとおりに測定した:
ADCC:
ADCC測定のために、標的細胞(T)を2.0E+細胞/mlに調節し、そしてRPIM1640培地(Pan biotech GmbH)中の100ng/mlのカルセインAM(Molecular Probes,C−3099)により2分間室温において標識した。残りのカルセインをRPIM1640培地中の3回の洗浄工程により除去した。平行してPBMCを(ナチュラルキラー)エフェクター細胞(E)の源として調製し、1.0E+0.7に調節し、そしてアッセイ条件に依存して50:1又はそれ未満のE:T比を生じるように、標識された標的細胞と混合した。細胞を1回洗浄し、そして細胞混合物を異なる希釈にて各抗体を含む200μlのRPIM1640培地に懸濁した。プレートを4時間標準化条件下で37℃及び5%CO
2において湿潤発酵機中でインキュベートした。FACS分析に先立ち、細胞をヨウ化プロピジウム(PI)で標識し、そしてフローサイトメトリー(ベクトンディッキンソン)により分析した。50.000から150.000の間の事象が各アッセイに関して計数された。以下の式は殺傷活性[%]を生じさせる:
【0082】
【数1】
【0083】
式中、ED
A=事象で死んだ細胞(カルセイン+PI染色された細胞)、そして
EL
A=事象で生存する細胞(カルセイン染色された細胞)。
CDC:
CDC測定に関して、5.0E+04 CD38 CHO−K1トランスフェクト体を、マイクロタイタープレート(Nunc)に、1:4希釈のヒト血清(Sigma,#S−1764)と各抗体と共に加えた。全ての試薬及び細胞は、10%FCSを付加されたRPIM1640培地(Pan
biotech GmbH)中で希釈した。反応混合物を2時間標準化条件下で37℃及び5%CO
2において湿潤発酵機中でインキュベートした。陰性対照が熱不活性化相補体又は抗体なしのCD38−トランスフェクト体のいずれかとして機能した。細胞をPIにより標識して、FACS−分析に供した。
【0084】
全部で500の事象を計数し、そして異なる抗体濃度における死んだ細胞の数をEC50値の測定値として使用した。以下の等式は殺傷活性[%]を生じさせる:
【0085】
【数2】
【0086】
式中、ED
C=事象で死んだ細胞(PI染色された細胞)、そして
EL
C=事象で生存する細胞(未染色)。
全部で12の異なる抗体−希釈(1:2
n)の3通りの細胞傷害性の値をADCCにおいて用い、そして各抗体に関するCDCにおいて2通りに用いることにより、標準分析ソフトウエア(PRISM(登録商標),Graph Pad Software)によりEC−50値を得た。
実施例3:安定なCD38トランスフェクト体及びCD38 Fc−融合蛋白質の生成
パンニング及びスクリーニングするためのCD38蛋白質を生成するために、2つの異なる発現システムを確立した。第1の戦略はCD38−Fc−融合蛋白質の生成を含んだが、HEK293細胞の一過性トランスフェクションの後に上清から精製された。第2の戦略は、全細胞パンニングにより抗体−ファージの選択の為に使用される高CD38表面発現のための安定なCHO−K1−細胞系の精製を含んだ。
【0087】
初期工程として、ジャーカット細胞(DSMZ ACC282)をcDNAの生成のために使用し、次に、CD38の最初の7コドン及び最後の9コドンにそれぞれ相補のプライマーを用いて全CD38コード配列の増幅を行った(プライマーMTE001 & MTE002rev;表4)。CD38挿入物の配列分析は、Nataら(1997)により記載されたチロシンの代わりのグルタミンを明らかにした49位を除いて、Jacksonら(1990)による公表アミノ酸配列を確認した。制限エンドヌクレアーゼ部位の導入及び発現ベクターpcDNA3.1(Stratagene)へのクローン化のために、精製されたPCR産物が完全遺伝子(プライマーMTE006 & MTE007rev,表4)又はその一部(プライマーMTE004 & MTE005rev,表4)の再増幅のための鋳型として機能した。後者の場合、細胞外ドメインをコードする断片(aa45から300)を増幅して、ヒトVカッパリーダー配列とヒトFc−ガンマ1配列の間に印フレームにてクローン化した。このベクターは可溶性CD38−Fc融合蛋白質の生成のための発現ベクターとして機能した。リーダー配列を含まない別のpcDNA3.1−誘導体をCD38完全長遺伝子の挿入のために使用した。この場合、Fc−コーディング領域の前の停止コドン及び失われたリーダー配列はCD38表面発現を生じさせた。HEK293細胞を一時的にFc融合蛋白質ベクターでトランスフェクトさせることにより、可溶性CD38 Fc−融合蛋白質を生成させ、そして完全長誘導体の場合、CHO−K1−細胞をトランスフェクトすることにより安定なCD38−発現細胞系を生じさせた。
【0088】
【表5】
【0089】
実施例4:Hucal(登録商標)IgG1のクローン化、発現及び精製:
完全長のIgGを発現させるため、重鎖(VH)及び軽鎖(LH)の可変ドメイン断片を、Fab発現ベクターから、適切なpMORPH(登録商標)_hIgベクターのサブクローン化した(
図8及び10を参照)。制限エンドヌクレアーゼ対BlpI/MfeI(挿入物−調製)及びBlpI/EcoRI(ベクター−調製)をVHドメイン断片のpMORPH(登録商標)_hIgG1ベクターへのサブクローン化のために用いた。対の酵素EcoRI/HpaI(ラムダ0−挿入物)及びEcoRI/BsiWI(カッパ−挿入物)をVLドメイン断片の各pMORPH(登録商標)_hIκ_1ベクター又はpMORPH(登録商標)_hIgλ_1ベクターへのサブクローン化のために用いた。結果のIgG構築物をHEK293細胞(ATCC CRL−1573)中で、一過性トランスフェクションにより、標準リン酸カルシウム−DNA共沈殿技術を用いて発現させた。IgGsは、細胞培養物上清から親和性クロマトグラフィーによりプロテインAセファロースカラムにより精製した。さらに下流のプロセスは、精製されたIgGのゲル濾過及び滅菌濾過によるバッファー交換を含んだ。質的コントロールは、還元SDS−PAGEによれば>90%の精製度、及び分析用サイズ排除クロマトグラフィーにより測定されたところによれば>90%モノマーIgGを明らかにした。材料のエンドトキシン含有量はキネティクLALに基くアッセイ(Cambrex European Endotoxin Testing Service,Bergium)により測定した。
実施例5:キメラOKT10(chOKT10;配列番号:23及び24)の生成及び生産
hOKT10の構築のため、マウスVH及びVL領域を、PCRにより、マウスOKT10ハイブリドーマ細胞系(ECACC #87021903)から調製されたcDNAを用いて増幅した。プライマーのセットを公表されたとおりに用いた(Dattamajumdar et al.,1996;Zhou et al.,1994)。PCR産物を、Topo−クローニング(インビトロジェン;pCRII−ベクター)及び配列分析に供される単一コロニー(M13リバースプライマー)のために使用し、2つの異なるカッパ軽鎖配列と一つの重鎖配列を明らかにした。配列アラインメント(EMBL−ヌクレオチド配列データベース)及び文献(Krebber et al,1997)に従い、カッパ配列の一つは主要細胞融合パートナーX63Ag8.653の固有のレパートリーに属し、よって、OKT10抗体には属さない。よって、新規のカッパ配列と単一VH−断片のみがさらなるクローン化に使用された。重鎖(配列番号:23)及び重鎖(配列番号:24)の配列を表6に提供する。HEK293細胞を一時的にトランスフェクトし、そして上清をFACSにおいて、CD38過剰発現ラジ細胞系(ATCC)に結合したキメラOKT10抗体に関して分析した。
実施例6:エピトープマッピング
1.材料と方法
抗体:
以下の抗−CD38IgGsをエピトープマッピングに送った(sent):
【0090】
【表6】
【0091】
CD38−配列:
アミノ酸(aa)配列(44−130位)は、SWISS−PROT主要アクセション番号P28907にて公表された配列からのヒトCD38に基く。49位において、aaQ(Tの代わり)をペプチドデザインのために使用した。
PepSpot−分析:
抗原ペプチドをセルロース膜上で段階様式にて規程された配置にて(ペプチドアレイ)合成し、そしてセルロース膜に共有結合させた。結合アッセイは、ペプチドアレイ上で直接行った。通常、抗原ペプチドアレイは数時間ブロッキングバッファーインキュベートされることにより、抗体の非特異的結合を減じさせる。ブロッキングバッファー中での一次(抗原ペプチド−結合)抗体とのインキュベーションが起こり、次に、ペルオキシダーゼ(POD)−標識された二次抗体とのインキュベーションが続き、一次抗体を選択的に結合させる。抗原ペプチドアレイと二次抗体とのインキュベーションの直後の短いT(Tween)−TBSバッファー洗浄に続き、第1化学発光実験を行うことにより、どの抗原ペプチドが一次抗体と結合するのかについての最初の概要を得る。いくつかのバッファー洗浄工程の結果として、偽陽性結合が減る(セルロース膜自体への非特異的抗体結合)。これらの洗浄工程の後に、最終化学発光分析を実施する。各ペプチドに関して単一の測定として単一の強度を示すイメージングシステム(Boehringer Light units,BLU)を用いてデータを分析した。二次抗体(抗−ヒトIgG)の非特異的結合を評価するため、これらの抗体をペプチドアレイと共に第1工程のように一次抗体の不在下でインキュベートした。一次抗体が当該ペプチドに対して何の結合も示さないなら、PODにより直接標識することができ、システムの感度を増加させる(MOR3077に関して実施されたとおり)。この場合、遊離アミノ基を通した慣用のカップリング化学を実施する。当該抗原を13マーペプチド(11ペプチドが重複)によりスキャンした。これは、123ペプチドのアレイをもたらした。結合アッセイはアレイ上で直接実施した。ペプチドが結合した抗体MOR03077,MOR03079,MOR03080,MOR03100及びキメラOKT10がペルオキシダーゼ標識二次抗体(ペルオキシダーゼコンジュゲートヤギ抗ヒトIgG、ガンマ鎖特異的、親和性単離抗体;Sigma−Aldlich,A6029)を用いて検出された。マッピングはイメージングシステムと組み合わせて化学発光基質と共に実施した。さらに、MOR03077の直接POD−標識を実施することにより、システムの感度を増加させた。
2.要約と結論:
5つの抗体全てがPepSpot分析において異なるプロフィールを示した。模式的要約を
図7に示すが、CD38のaa配列が認識される相違を示す。MOR03079及びキメラOKT10のエピトープは明らかに直鎖状であると考えることができる。MOR03079のエピトープはCD38の192−206(VSRRFAEAACDVVHV)内に仮定され、OKT10のエピトープはaa284から298(FLQCVKNPEDSSCTS)の間が有力であると認識される。後者の結果は、親のマウスOKT10に関して公表されたデータを確証し(Hoshino et al.,1997)、そのエピトープをaa280−298の間に仮定する。しかし、より正確なエピトープの規程及びキーとなる(key)アミノ酸(主要抗原−抗体相互作用部位)の決定には、ペプチドVSRRFAEAACDVVHV及びFLQCVKNPEDSSCTSの短縮化及び両者のアラニンスキャンを考えるべきである。
【0092】
MOR03080とMOR03100のエピトープは不連続であると明らかに認識できるが、何故ならば蛋白質部位の異なる部位をカバーするいくつかのペプチドが認識されたからであった。それらのペプチドは、MOR03080に関してaa82−94を含み、そしてMOR03100に関してaa82−94,142−154,158−170,188−200及び280−296を含む。しかしながら、両ペプチドの間でのいくつかの重複が仮定され得るが、何故ならばaa位82−94(CQSVWDAFKGAFI;ペプチド#20)と158−170(TWCGEFNTSKINY;ペプチド#58)内に位置する2つの異なる部位が両抗体により認識されるからである。
【0093】
MOR03077のエピトープは後者2つの明らかに異なると考えることができ、そして複数セグメント化された不連続なエピトープとして記載され得る。当該エピトープはaa44−66,110−122,148−164,186−200及び202−224を含む。
実施例7:IL−6放出/増殖アッセイ
1.材料と方法
増殖及びIL−6放出アッセイをAusielloら(2000)に従い以下の修飾を加えて実施した:別の健康なドナー(インフォームドコンセントを得た後)からのPBMCsを密度勾配遠心分離によりHistopaque細胞分離システムを用いて供給者(Sigma)の指示書に従い精製し、そして標準条件下で10%FCS及びグルタミン(「完全RPMI1640」)を追加されたRPMI1640培地中で培養した(5%CO2,37℃)。両アッセイに関して、以下の抗体を用いた:HuCal(登録商標)抗−CD38 IgG1s Mabs MOR03077,MOR03079及びMOR03080,アゴニスト性マウスIgG2aモノクローナル抗体(IB4;Malavasi et al.,1984)、非関連性HuCAL(登録商標)IgG1抗体;適合したアイソタイプ対照(マウスIgG2a:抗−トリニトロフェノール、ハプテン特異的抗体;カタログ番号#555571,クローンG155−178;ベクトンディッキンソン)又は培地対照。IL−6放出アッセイに関しては、0.5ml完全RPIM1640培地中の1.0 E+06 PBMCsを24時間15ml培養チューブ(Falcon)中で20μg/mlの抗体の存在下でインキュベートした。細胞培養上清を回収し、そしてIL−6放出に関してQuantikineキットを用いて製造者のプロトコルに従い(R&Dシステムズ)分析した。増殖アッセイに関しては、2.0E+05 PBMCsを3日間96−ウエル平底プレート(Nunc)中で20μg/mlの抗体の存在下でインキュベートした。各アッセイを2通り実施した。4日後に、BrdUを各ウエルに加え、そして細胞の固定化及び供給者(Roche)のプロトコルに従ったDNA変性の前に細胞をさらに24時間37℃においてインキュベートした。BrdUの取り込みを抗−BrdUペルオキシダーゼ共役抗体により化学発光に基づくセッティングにおいて測定した。
2.要約と結論:
増殖アッセイ:
環状ADP−リボースサイクラーゼ及びヒドロラーゼとしてのその触媒活性に加えて、CD38は生物学上の関連性のシグナルをトランスデュースする能力を発揮する(Hoshino et al.,1997;Ausiello et al.,2000)。それらの機能はインビボにおいて、例えば受容体−リガンド相互作用によるか又は抗−CD38抗体との架橋結合により誘導することができる。それらのシグナリング事象は、例えばカルシウムの移動、リンパ球の増殖及びサイトカインの放出を導く。しかしながら、このシグナリングは、抗原性エピトープに依存するのみではなく、ドナーによって変化するかもしれない(Ausiello et al.,2000)。免疫治療の見地から、非アゴニスト抗体がアゴニスト性抗体よりも好ましい。よって、HuCAL(登録商標)抗−CD38抗体(Mabs MOR03077;MOR03079,MOR03080)を、増殖アッセイ及びIL−6−(重要なMM成長因子)放出アッセイにおいて参照抗体chOKT10及びアゴニスト性抗−CD38モノクローナル抗体IB4との比較においてさらに特性決定した。
【0094】
図11及び12において示されるとおり、HuCAL抗−CD38抗体Mab#1,2及び3並びに参照抗体chOKT10及び相当する陰性対照は、アゴニスト性抗体IB4に比較して全くか又はほんの僅かな増殖誘導を示さず、そしてIL−6放出は示さなかった。
実施例8:増殖性アッセイ
1.材料と方法:
PBMCsを有する自己由来CD34+/CD38+前駆体細胞を健康な個体(インフォームドコンセントを得た後で)から密度勾配遠心分離によりHisopaque細胞分離システムを用いて供給者(Sigma)の指示書に従い単離し、そして別のHuCAL(登録商標)IgG抗−CD38抗体(Mabs MOR03077;MOR03079,MOR03080)及び陽性対照(PC)chOKT10と10μg/mlにてインキュベートした。中度(medium)及び非関連のHuCAL(登録商標)はバックグラウンド対照として機能した。各ADCC−アッセイは4.0E+05 PBMCsからなったが、10%のFCSを追加されたRPIM1640培地中で4時間37℃においてインキュベートした。増殖(clonogenic)アッセイに関しては、2.50mlの「完全」メチルセルロース(CellSystems)をADCCアッセイからの2.5 E+0.5細胞で接種し、そして少なくとも14日間、制御された環境(37℃;5% CO2)においてコロニー発生のためにインキュベートした。コロニーを2人の別々の操作者により分析し、そしてBFU−E +(赤血球バースト形成及び顆粒球/赤血球/マクロファージ/巨核球幹細胞)とCFU−GM(顆粒球/マクロファージ幹細胞)にグループ分けした。
2.要約と結論
CD38発現は骨髄(例えば、単球及び顆粒球)及びリンパ球系列(例えば、活性化されたB及びT細胞;血漿細胞)のみならず、各前駆体細胞(CD34+/CD38+)においても見いだされるから、それらの細胞が抗体媒介性の殺傷により影響されないことが重要である。よって、CD34+/CD38+前駆細胞(progenitors)に対するそれらの作用を分析するために、増殖アッセイを適用した。
【0095】
健康なドナーからのPBMCsをHuCAL(登録商標)抗−CD38抗体(Mab#1,Mab#2及びMab#3)又はいくつかの対照(非関連HuCAL(登録商標)抗体、中度及び参照抗体chKTO10を陽性対照として)と共に、標準ADCC−プロトコルに従いインキュベートし、次に、コロニー発生のために、条件付けされたメチルセルロースとのさらなるインキュベーションを行った。
図13に示されるとおり、コロニー形成ユニットの顕著な低下は、非関連抗体及び参照抗体との比較において、全てのHuCAL(登録商標)抗−CD38抗体に関して示されなかった。
実施例9:異なる細胞系及び一次多発性骨髄腫細胞によるアッセイ
1.材料と方法:
MM−患者サンプルの単離とADCC:骨髄吸引物を多発性骨髄腫間者から得た(インフォームドコンセントを得た後で)。悪性腫瘍標準プロトコルにより抗−CD38磁気ビーズ(Milteny Biotec)を用いて密度勾配遠心分離(Sigma)の後で精製した。ADCCアッセイを前で記載されたとおりに実施した。
2.要約と結論:
別の悪性腫瘍由来のいくつかの細胞系をADCCにおいて使用することにより、異なる起源及びCD38発現レベルを含む広い範囲の細胞系に対するHuCAL(登録商標)抗−CD38抗体の細胞傷害性効果を示した。
図14に示されるとおり、全ての細胞がADCCにおいて一定抗体濃度にて(5μg/ml)及び30:1のE:T比にて死んだ。ADCCによる細胞傷害性は患者からのいくつかの多発性骨髄腫サンプルに関しても示された。全てのHuCAL(登録商標)抗−CD38抗体はMM−細胞依存性殺傷を示し、そしてEC50値は0.006から0.249nMの間で変動した(
図15)。
実施例10:FACS及び免疫組織化学(IHC)による交差反応性分析
1.材料と方法
扁桃腺(tonsils)を用いたIHC:IHC HuCAL(登録商標)抗−CD38Mabs及び非関連陰性対照抗体を二価dHLX−フォーマット(Pluckthum & Pack,1997)に変換した。カニクイザル、アカゲザル及びヒト(the Institute of Pathology of the University of Graz/Austriaの記録室から回収された)由来のリンパ節からの5μmの冷凍切片をLeica CM3050クリオスタットから切り出した。切片は30分から1時間空気乾燥し、そして氷冷メタノール中で10分かけて固定し、そしてPBSにより洗浄した。dHLX−フォーマットの検出のため、マウス抗−His抗体(Dianova)とEnvision Kit(DAKO)を組み合わせて使用した。抗−CD38マウス抗体(例えば、参照マウスモノクローナルOKT10)の検出に関しては、Envisionキットのみを用いた。
【0096】
リンパ球のFACS分析:EDTA−処理された血液サンプルを健康なヒト(インフォームドコンセントを得た後で)、アカゲザル及びカニクイザルから得て、供給者(Sigma)の指示書に従いHistopaque細胞分離システムを用いた密度勾配遠心分離に供した。FACS分析に関しては、中期(interphase)からの細胞を一次抗体(HuCAL(登録商標)抗−CD38及びマウスIgG2又はFab−フォーマットとしての陰性対照Mabs、陽性対照マウス抗体OKT10及び適合したアイソタイプ対照)と共にインキュベートし、次に、抗−M2Flag(Sigma;Fab−フォーマットのためのみ)及びフィコエリスリン(PE)−標識された抗マウスコンジュゲート(Jackson Research)とインキュベートした。FACS分析は、ゲート化されたリンパ球の集団上で実施した。
2.要約と結論
HuCAL(登録商標)抗−CD38を種間CD38交差反応性に関して分析した。全ての抗−CD38MabsはFACS及びIHCにおいてリンパ球上でヒトCD38を検出することができたが、MOR03080と陽性対照OKT10のみはカニクイザルとアカゲザルのCD38に対して追加の反応性を示した(表5:交差反応性分析を参照)。
【0097】
【表7】
【0098】
実施例11:マウス中のヒト骨髄腫異種移植片(RPMI8226細胞系を用いる)のMOR03080による処理
1.皮下マウスモデルの確率:
ヒト骨髄腫由来の腫瘍細胞系RPMI8226のメスC.B−17−SCIDマウス中での皮下マウスモデルをAurigon Life Science GmbH(Tutzing,ドイツ)により以下のとおりに確立した:−1,0,及び1日目、抗−アシアロGM1ポリクローナル抗体(ASGM)(WAKO−ケミカルズ)は、SCIDマウス中で異種反応性NK−細胞を消耗するが、静脈内適用することにより、C.B−17−SCIDマウス内のあらゆる残りの特異的免疫反応性を不活性化した。0日目、50μlのPBS中の5x10
6又は1x10
7のRPMI8226腫瘍細胞を皮下にて、ASGM(上で示すとおり)処理されたか又は未処理のマウスの右脇腹へ接種した(各群5匹のマウスからなる)。腫瘍発生は、4つ全ての接種群において類似であり、抗アシアロGM1抗体のあるなしの処理に拘わらず、また異なる細胞数の接種によっても顕著な差異は見いだせなかった。腫瘍は数日間でゆっくりと成長し、不活発の傾向とサイズの変動を伴った。調査の全期間にわたり2つの腫瘍のサイズが変動し、そして一つの腫瘍が完全に注目されて、321mm
3のピークの容積からすっかり消失した。この腫瘍モデルを用いた処理の研究は、群あたりの腫瘍を接種された動物の数を多く含むべきである。
2.MOR03080による処理:
2.1研究対象
この研究は、Aurigon Life Science GmbH(Tutzing,ドイツ)により実施されることにより、媒質処理(PBS)に比較しての腹膜内適用された抗体(HuCAL(登録商標)抗−CD38)の抗腫瘍効果を比較した。ヒト抗体hMOR03080(アイソタイプIgG1)を、異なる量及び処理スケジュールにて試験した。さらに、キメラ抗体chMOR03080(アイソタイプIgG2:キメラ抗体OKT10に関して実施例5において記載されたのと類似の様式にてMOR03080の様々な領域とマウス定常領域を含むキメラ抗体(マウスVH/VL及びヒト定常領域))を試験した。RPMI8226癌細胞系をモデルとして選択し、そして上記のとおりにしてメスのSCIDマウスに皮下接種した。研究の最終点は、体重(b.w.)、腫瘍容積及び臨床上の兆候であった。
2.2抗体と媒質
抗体は2.13mg/ml(MOR03080 hIgG1)及び1.73mg/ml(MOR03080 chIgG2a)の濃度にて、Aurigonに容易に使用されるように提供され、そして適用までは−80℃に保存した。上記抗体を解凍し、そしてPBSで希釈することにより、各最終濃度にした。媒質(PBS)はAurigonに容易に使用されるように提供され、そして適用までは4℃に保存した。
2.3動物の仕様
種:マウス
株:Fox chase C.B−17−scid(C.B−Igh−1b/IcrTac)
数と性別:75匹のメス
供給者:Taconic M&B,Bomholtvej 10,DK−8680 Ry
健康状態:SPF
注文された体重:約18g
順化:9日
2.4腫瘍細胞系
腫瘍細胞(RPMI8226細胞系)を成長させ、そしてAurigon Life Science GmbHに輸送し、新たな周期で細胞を分裂させて生育させた。Aurigonは接種の日に注射のための細胞を用意した。細胞増殖のために使用された培養培地は、5% FACS,2mM L−グルタミン及びPenStepを付加されたRPMI1640であった。細胞は予測不可能な生育速度及び挙動を示さなかった。
【0099】
接種のため、腫瘍細胞をPBSに懸濁して、1x10
7細胞/50μlPBSの最終濃度に調節した。腫瘍細胞懸濁液を注射前に完全に混合した。
2.5実験手法
0日目、1x10
7のRPMI8226腫瘍細胞を75匹のSCIDマウスの右背面脇腹(right dorsal flank)に皮下接種した。第1の群は、14日から36日の間2日目ごとに、1mg/kg b.w.hIgG1−MOR03080で処理した。他の全部で60匹の動物から、31日目に各群の10匹の動物を4群にした(built)(約92mm
3の腫瘍容積)。群1−4を同等の平均腫瘍サイズ及び標準偏差にて作成した(built)。予め処理された群5(全てであるがしかし3匹のマウスは10mm
3未満の腫瘍容積を示し、1匹は約22mm
3,1匹は約44mm
3そして1匹は約119mm
3)に比較して相対的に小さな腫瘍容積を示す(約50mm
3の腫瘍容積)追加の群の5匹の動物(群6)が選択された。群1から4は、32日目から48日目は、2日目ごとに、PBS(媒質;群1)、1mg/kgのb.w.hIgG1−MOR03080(群2)又は5mg/kgのb.w.hIgG1−MOR03080(群3)、又は5mg/kgのb.w.hIgG2a−MOR03080(群4)のいずれかで処理した。群6は何の処理も受けなかった(表6参照)。腫瘍容積、体重及び臨床兆候は、週に2回、研究の最後まで測定した。
【0100】
【表8】
【0101】
2.6結果
臨床観察及び死亡率
特別な腫瘍又は物質に関連する臨床上の発見又は死亡率は観察されなかった。群3(hIgG1 5mg/kg)においては、4匹の動物が血液サンプリングの間に死んだ(1匹が3日目、1匹が34日目;2匹が52日目)。群4(muIgG2a 1mg/kg)においては、1匹の動物が血液サンプリングの間に死んだ(34日目)。研究の間に死んだ全ての他の動物は、腫瘍サイズのために安楽死させた。
体重発育(body weight development)
薬剤に関連した体重発達の干渉は、群1(媒質)に比較して、観察されなかった。体重は、群3(hIgG1 5mg/kg)及び群4(muIgG2a 5mg/kg)において血液サンプリングにより顕著に影響された。そのような妨害にも拘わらず、全ての群の平均体重増加は続いた。
腫瘍発生(
図16を参照)
群1(媒質)においては、腫瘍成長が予測された速度で遅い進行により見いだされた。この細胞系が顕著な標準偏差を有するので、最大又は最小腫瘍に関する値はさらなる統計分析から除外された。群1の動物の腫瘍の成長は、群6(未処理)の腫瘍成長に匹敵したが、この群は31日目に低平均腫瘍容積から開始した。処理は、よって、腫瘍成長速度に対して僅かな影響を有すると考えられる。群1においては、2匹のマウスを腫瘍サイズのために83日目に安楽死させなければならなかったし、さらにもう1匹も87日目にそうしたため、腫瘍容積の平均値は80日目以後は、もはや表示されない。群6においては、1匹のマウスを80日目に、そして2匹のマウスを83日目に、腫瘍サイズのために安楽死させなければならず、そのため、腫瘍容積の平均値は76日目以後は、もはや平均値を表しているとは言えない。
【0102】
1mg/kgのb.w.のhIgG1で処理された群2においては、1匹の動物がさらなる分析から除外されたが、何故ならば、腫瘍が筋肉組織中で成長し、そしてこれがいつも腫瘍の生育速度を増強するからである。対照群1(媒質)に比較して、平均腫瘍サイズは45日に始まり研究の最後まで顕著に異なり始めた。増強された腫瘍の生育は処理の終了の後に(68日)観察されなかった。
【0103】
群3(5mg/kg b.w.hIgG1)の動物は、群1(媒質)との比較において腫瘍サイズの顕著な減少を明らかにしたことから、38日から83日までに統計学上の有意性を得た。平均腫瘍容積は、処理の最後の後の約2週間再度大きく成長し始めた。10の腫瘍のうちの1つは45日目に消失し、そして処理の最後の後の19日まで再度生育しなかった。
【0104】
92mm
3の腫瘍容積にて開始した全ての処理群の最良のパフォーマンスは、群4(5mg/kg b.w.muIgG2a)において得られたが、平均腫瘍容積は明らかな退行(regression)を示し、そして腫瘍は観察期間の最後までに4匹の動物において消失した。群1(媒質)の平均腫瘍容積に対する差異は、38日に始まり研究の最後まで顕著に高かった。
【0105】
14日目と36日目の間の1mg/kg b.w.hIgG1による初期の処理(群5)は、初期の効果並びに腫瘍発生に対する長く継続する効果を明らかにした。1匹の動物は腫瘍の筋肉組織への成長のためにさらなる分析から除外された。31日目、5匹の動物のみが接種の部位において残りの接種された動物に比較して、測定可能な腫瘍を有し、60匹のうちの2匹のみが腫瘍接種に応答しなかった。腫瘍の進行は約31日遅延した(対照群1の52日と群5の83との比較)。約50%の動物が研究の最後において接種の部位にて腫瘍を示さなかった。
2.7結論
特別な腫瘍又は物質に関連する臨床上の発見又は死亡率は、群1(媒質)との比較の上で観察されなかった。
【0106】
薬剤に関連した体重発達の干渉は、観察されなかった。
ROMI8226腫瘍細胞の処理後の腫瘍成長は効率の順に減少した:hIgG1 1mg/kg,14−36日は2日目ごと(群5)>muIgG2a 5mg/kg32−68日は2日目ごと(群4)>hIgG1 5mg/kg 32−68日は2日目ごと(群3)>hIgG1 1mg/kg 32−68日は2日目ごと(群2)。群2から4においては、平均腫瘍容積が、処理の終了後に程度の差はあれ再び増加した。