特許第5926597号(P5926597)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5926597
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】融雪システム及び建物
(51)【国際特許分類】
   F24D 5/00 20060101AFI20160516BHJP
   F24J 3/08 20060101ALI20160516BHJP
   E04H 9/16 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   F24D5/00 B
   F24J3/08
   E04H9/16 M
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2012-84439(P2012-84439)
(22)【出願日】2012年4月3日
(65)【公開番号】特開2013-213626(P2013-213626A)
(43)【公開日】2013年10月17日
【審査請求日】2015年1月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100082670
【弁理士】
【氏名又は名称】西脇 民雄
(72)【発明者】
【氏名】相良 峰雄
(72)【発明者】
【氏名】朝桐 大介
【審査官】 鈴木 貴雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−124636(JP,A)
【文献】 特開2008−101378(JP,A)
【文献】 特開2007−322100(JP,A)
【文献】 特開2009−127982(JP,A)
【文献】 特開2000−274700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24D 5/00
F24J 3/08
E04H 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の周囲の融雪が可能な融雪システムであって、
前記建物の床下空間内には暖房装置が設置されており、
前記暖房装置の暖気吹出部から前記建物の周囲の融雪必要箇所又はその近傍に融雪用暖気吹出口を有する通気経路が設けられており、
前記建物の周囲には、外気吸込口と融雪用暖気吹出口とを有する地中埋設管が設けられており、前記通気経路と前記地中埋設管とは連通しており、前記通気経路の前記融雪用暖気吹出口と前記地中埋設管の前記融雪用暖気吹出口とが共通であり、
前記通気経路と前記地中埋設管の共通である前記融雪用暖気吹出口には、開閉手段が設けられているとともに、前記通気経路の途中には、前記建物の内部空間に流路を切替可能な流路切替手段が設けられていることを特徴とする融雪システム。
【請求項2】
前記地中埋設管の前記外気吸込口には、外気強制吸込手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の融雪システム。
【請求項3】
前記通気経路の一部が前記融雪必要箇所又はその近傍の地中又は地表面を通っていることを特徴とする請求項1又は2に記載の融雪システム。
【請求項4】
前記建物の周囲にはヒートポンプ装置が設置されており、前記融雪必要箇所は、前記ヒートポンプ装置であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の融雪システム。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれか1項に記載の融雪システムを備えていることを特徴とする建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の周囲などの融雪を行うことができる融雪システム、及びこの融雪システムを備えた建物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、冬場などの寒期において、建物の周囲などの融雪を行うことができる技術が多数提案され、実施に供されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、地中に地中埋設管を埋設し、この地中埋設管が吹き出す地中熱との熱交換による暖気を融雪などに利用する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−127982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1のような従来技術では、積雪が多いときなどの建物の屋外条件では、地中熱との熱交換による暖気の熱量だけでは必要な融雪をまかないきれず、対応できない場合があった。
【0006】
そこで、本発明は、建物の屋外条件に左右されずに対応することができる融雪システム、及びこの融雪システムを備えた建物を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するために、本発明の融雪システムは、建物の周囲の融雪が可能な融雪システムであって、前記建物内には暖房装置が設置されており、前記暖房装置の暖気吹出部から前記建物の周囲の融雪必要箇所又はその近傍に融雪用暖気吹出口を有する通気経路が設けられていることを特徴とする。
【0008】
ここで、前記暖房装置は、前記建物の床下空間に設置されているとよい。
【0009】
また、前記建物の周囲には、外気吸込口と融雪用暖気吹出口とを有する地中埋設管が設けられており、前記通気経路と前記地中埋設管とは連通しており、前記通気経路の前記融雪用暖気吹出口と前記地中埋設管の前記融雪用暖気吹出口とが共通であるとよい。
【0010】
さらに、前記通気経路と前記地中埋設管の共通である前記融雪用暖気吹出口には、開閉手段が設けられているとともに、前記通気経路の途中には、前記建物の内部空間に流路を切替可能な流路切替手段が設けられていてもよい。
【0011】
ここで、前記地中埋設管の前記外気吸込口には、外気強制吸込手段が設けられているとよい。
【0012】
また、前記通気経路の一部が前記融雪必要箇所又はその近傍の地中又は地表面を通っていてもよい。
【0013】
さらに、前記建物の周囲にはヒートポンプ装置が設置されており、前記融雪必要箇所は、前記ヒートポンプ装置であってもよい。
【0014】
本発明の建物は、上記した本発明の融雪システムを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
このような本発明の融雪システムは、建物の周囲の融雪が可能な融雪システムであって、建物内には暖房装置が設置されており、暖房装置の暖気吹出部から建物の周囲の融雪必要箇所又はその近傍に融雪用暖気吹出口を有する通気経路が設けられた構成とされている。
【0016】
こうした構成なので、大きな熱量を有する暖房装置の暖気を利用できるため、積雪が多いときなどの建物の屋外条件でも、これに左右されず、融雪必要箇所の十分な融雪を行うことができる。
【0017】
ここで、暖房装置は、建物の床下空間に設置されている場合は、暖房装置が建物の床上空間などを占有しないで済む。
【0018】
また、建物の周囲には、外気吸込口と融雪用暖気吹出口とを有する地中埋設管が設けられており、通気経路と地中埋設管とは連通しており、通気経路の融雪用暖気吹出口と地中埋設管の融雪用暖気吹出口とが共通である場合は、共通である融雪用暖気吹出口からピンポイントで、必要に応じ、地中埋設管経由の暖気、通気経路経由の暖気、又は両者経由の暖気を融雪必要箇所に吹き付けることができる。
【0019】
さらに、通気経路と地中埋設管の共通である融雪用暖気吹出口には、開閉手段が設けられているとともに、通気経路の途中には、建物の内部空間に流路を切替可能な流路切替手段が設けられている場合は、例えば、夏場などの暑期には、融雪用暖気吹出口の開閉手段を閉状態とし、流路切替手段により通気経路の流路を建物の内部空間側に切り替えることで、地中埋設管の外気吸込口から吸い込まれた外気が、地中で地中熱により冷やされ、建物の内部空間に涼しい冷気を吹き出す心地良い冷房を行うことができる。
【0020】
ここで、地中埋設管の外気吸込口には、外気強制吸込手段が設けられている場合は、外気強制吸込手段により、外気吸込口から多くの外気を吸い込み、融雪用暖気吹出口から多くの暖気を吹き出すことができる。
【0021】
また、通気経路の一部が融雪必要箇所又はその近傍の地中又は地表面を通っている場合は、融雪用暖気吹出口から吹き出される暖気だけでなく、通気経路の側面から伝達する熱も融雪に利用することができる。
【0022】
さらに、建物の周囲にはヒートポンプ装置が設置されており、融雪必要箇所は、ヒートポンプ装置である場合は、冬場などの寒期には、暖気を吹き付けると、ヒートポンプ装置が雪で埋もれてしまうことを防止するとともに、周囲が暖かくなるので、暖房向けのエネルギー効率が良くなり、夏場などの暑期には、地中埋設管を通った冷気を吹き付けると、冷房向けのエネルギー効率が良くなる。
【0023】
このような本発明の建物は、本発明の融雪システムを備えた構成とされている。
【0024】
こうした構成なので、上記した本発明の融雪システムの効果を奏する建物とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】実施例1の融雪システムを備えた建物の概略構成を示す説明図である。
図2】実施例1の融雪システムにおいて、暖房運転を行っている状態を示す説明図である。
図3】実施例1の融雪システムにおいて、地中埋設管としてのダクトを利用した融雪運転を行っている状態を示す説明図である。
図4】実施例1の融雪システムにおいて、地中埋設管としてのダクト及び暖房装置を利用した融雪運転を行っている状態を示す説明図である。
図5】実施例1の融雪システムにおいて、暖房装置を利用した融雪運転を行っている状態を示す説明図である。
図6】実施例1の融雪システムにおいて、冷房運転を行っている状態を示す説明図である。
図7】実施例2の融雪システムを備えた建物の概略構成を示す説明図である。
図8】実施例3の融雪システムを備えた建物の概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を実施するための形態を、図面に示す実施例1〜3に基づいて説明する。
【実施例1】
【0027】
先ず、実施例1の構成について説明する。
【0028】
図1は、実施例1の融雪システムを備えた建物1の概略構成を示している。
【0029】
まず、この建物1は、地盤に打設された基礎1B上に建物本体1Aを構築して構成されている。
【0030】
ここで、建物1は、建物本体1A内に、内部空間が、給気口7が設けられた床部13で仕切られて、床下空間11と床上空間12とが形成されている。
【0031】
また、床下空間11内には、暖気吹出部2aを有する暖房装置2が設置されている。
【0032】
さらに、床下空間11の側面及びその下縁には、断熱材3が設けられ、床下空間11内は断熱空間とされている。
【0033】
また、建物1の周囲には、外気吸込口41と融雪用暖気吹出口42とを有する中間部分が地中を通る地中埋設管としてのダクト4が設けられている。
【0034】
ここで、このダクト4が通る地盤の周囲には、地表面を覆う断熱材51と、この地盤を地中で側方から覆う断熱材52とが設けられている。
【0035】
また、ダクト4の外気吸込口41には、外気強制吸込手段としての外気吸込用ファン41aが設けられている。
【0036】
さらに、ダクト4の融雪用暖気吹出口42は、融雪必要箇所(中心点P)の近傍に位置しているとともに、開閉手段としての開閉弁42aが設けられている。
【0037】
また、ダクト4には、融雪用暖気吹出口42から建物1側に延びる通気経路としての延設部43が設けられている。
【0038】
さらに、ダクト4の地中部分と延設部43との境目には、開閉手段としての開閉弁43aが設けられている。
【0039】
また、ダクト4の延設部43の建物1側の端部と暖房装置2の暖気吹出部2aとの間には通気経路としてのダクト6が設けられて連通している。
【0040】
さらに、床上空間12の床部13には、給気口7が設けられており、この給気口7とダクト6の中間部との間が流路切替手段としての流路切替弁6aを介して空調用通気経路としてのダクト8で接続されている。
【0041】
そして、暖房装置2には、この実施例1の融雪システムの制御部(図示せず)が内蔵され、床上空間12と建物1の屋外部分には、温度データをこの制御部に送る温度センサー(図示せず)がそれぞれ設けられている。
【0042】
次に、この実施例1の融雪システムの運転パターンについて説明する。
【0043】
まず、この実施例1の融雪システムにおける暖房運転について説明する。
【0044】
冬場などの寒期に床上空間12を暖めたいときは、制御部は、流路切替弁6aをダクト8に暖気が流れるように切替設定する。
【0045】
そして、暖房装置2の暖気吹出部2aから暖気を吹き出すと、図2に示したように、ダクト8を通って給気口7から暖気が吹き出され、床上空間12内の暖房が行われる。
【0046】
次に、この実施例1の融雪システムにおける融雪運転について説明する。
【0047】
冬場などの寒期に融雪必要箇所(中心点P)に積雪Sがあるときは、制御部は、融雪用暖気吹出口42の開閉弁42aを開状態とし、開閉弁43aも開状態とする。
【0048】
そして、外気吸込口41の外気吸込用ファン41aを回転させると、図3に示したように、外気吸込口41からダクト4内に外気が吸い込まれ、この外気は地中部分で熱交換を行い暖気となり、融雪用暖気吹出口42から吹き出される暖気が積雪Sに吹き付けられて融雪が行われる。
【0049】
図示は省略したが、勿論、この間、図2に示した暖房運転を並行して行っていてもよい。
【0050】
冬場などの寒期に融雪必要箇所(中心点P)に積雪Sがあるうえに、建物1の屋外の温度センサーが計測した温度データが低く、地中埋設管としてのダクト4を利用した暖気だけでは熱量が不足するときは、制御部は、融雪用暖気吹出口42の開閉弁42aを開状態とし、開閉弁43aも開状態とするとともに、流路切替弁6aをダクト6に暖気が流れるように切替設定する。
【0051】
そして、外気吸込口41の外気吸込用ファン41aを回転させるとともに、暖房装置2の暖気吹出部2aから暖気を吹き出すと、図4に示したように、外気吸込口41からダクト4内に外気が吸い込まれ、この外気は地中部分で熱交換を行い生成された暖気と、暖房装置2の暖気吹出部2aから吹き出された暖気とが複合して融雪用暖気吹出口42から吹き出されて積雪Sに吹き付けられて融雪が行われる。
【0052】
冬場などの寒期に融雪必要箇所(中心点P)に積雪Sがあるうえに、建物1の屋外の温度センサーが計測した温度データがさらに低く、地中埋設管としてのダクト4を利用して役に立つ熱量を有する暖気を生成できないときは、制御部は、融雪用暖気吹出口42の開閉弁42aを開状態とし、開閉弁43aは閉状態とするとともに、流路切替弁6aをダクト6に暖気が流れるように切替設定する。
【0053】
そして、暖房装置2の暖気吹出部2aから暖気を吹き出すと、図5に示したように、暖房装置2の暖気吹出部2aから吹き出された暖気のみが融雪用暖気吹出口42から吹き出されて積雪Sに吹き付けられて融雪が行われる。
【0054】
次に、この実施例1の融雪システムにおける冷房運転について説明する。
【0055】
夏場などの暑期に床上空間12を冷やしたいときは、制御部は、融雪用暖気吹出口42の開閉弁42aを閉状態とし、開閉弁43aは開状態とするとともに、流路切替弁6aをダクト8に冷気が流れるように切替設定する。
【0056】
そして、外気吸込口41の外気吸込用ファン41aを回転させると、図6に示したように、外気吸込口41からダクト4内に外気が吸い込まれ、この外気は地中部分で熱交換を行いほどよい冷たさの冷気となり、延設部43とダクト8を通って給気口7から冷気が吹き出され、床上空間12内の冷房が行われる。
【0057】
次に、実施例1の作用効果について説明する。
【0058】
このような実施例1の融雪システムは、建物1の周囲の融雪が可能な融雪システムであって、建物1内には暖房装置2が設置されており、暖房装置2の暖気吹出部2aから建物1の周囲の融雪必要箇所(中心点P)の近傍に融雪用暖気吹出口42を有する通気経路としてのダクト6及び延設部43が設けられた構成とされている。
【0059】
こうした構成なので、大きな熱量を有する暖房装置2の暖気を利用できるため、積雪が多いときなどの建物1の屋外条件でも、これに左右されず、融雪必要箇所(中心点P)の十分な融雪を行うことができる。
【0060】
ここで、暖房装置2は、建物1の床下空間11に設置されている。
【0061】
このため、暖房装置2が建物1の床上空間12などを占有しないで済む。
【0062】
また、建物1の周囲には、外気吸込口41と融雪用暖気吹出口42とを有する地中埋設管としてのダクト4が設けられており、通気経路としてのダクト6及び延設部43とダクト4とは連通しており、これらの融雪用暖気吹出口42が共通である。
【0063】
このため、この共通である融雪用暖気吹出口42からピンポイントで、必要に応じ、地中埋設管としてのダクト4経由の暖気、通気経路としてのダクト6及び延設部43経由の暖気、又は両者経由の暖気を融雪必要箇所(中心点P)に吹き付けることができる。
【0064】
さらに、この共通である融雪用暖気吹出口42には、開閉手段としての開閉弁42aが設けられているとともに、通気経路としてのダクト6の途中には、建物1の内部空間としての床上空間12に繋がるダクト8に流路を切替可能な流路切替手段としての流路切替弁6aが設けられている。
【0065】
このため、例えば、夏場などの暑期には、融雪用暖気吹出口42の開閉弁42aを閉状態とし、流路切替弁6aにより流路を建物1の床上空間12の給気口7に接続されたダクト8側に切り替えることで、ダクト4の外気吸込口41から吸い込まれた外気が、地中で地中熱によりほどよく冷やされ、建物1の床上空間12に涼しい冷気を吹き出す心地良い冷房を行うことができる。
【0066】
ここで、地中埋設管としてのダクト4の外気吸込口41には、外気強制吸込手段としての外気吸込用ファン41aが設けられている。
【0067】
このため、外気吸込用ファン41aにより、外気吸込口41から多くの外気を吸い込み、融雪用暖気吹出口42から多くの暖気を吹き出すことができる。
【0068】
このような実施例1の建物1は、上記した実施例1の融雪システムを備えた構成とされている。
【0069】
こうした構成なので、上記した実施例1の融雪システムの作用効果を奏する建物とすることができる。
【実施例2】
【0070】
次に、実施例2について説明する。
【0071】
なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0072】
図7は、実施例2の融雪システムを備えた建物1の概略構成を示している。
【0073】
この実施例2の建物1では、融雪必要箇所(中心点P)にヒートポンプ装置Hが設置されていることが実施例1の建物1と主に異なる。
【0074】
ここで、このヒートポンプ装置Hは、暖房装置2の熱源であり、暖房装置2は冷房機能も有している。なお、熱媒循環管の図示は省略した。
【0075】
このため、冬場などの寒期には、暖気を吹き付けると、ヒートポンプ装置Hが雪で埋もれてしまうことを防止するとともに、周囲が暖かくなるので、暖房向けのエネルギー効率が良くなり、夏場などの暑期には、地中埋設管としてのダクト4を通った冷気を吹き付けると、冷房向けのエネルギー効率が良くなる。
【0076】
なお、他の構成及び作用効果については、実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【実施例3】
【0077】
次に、実施例3について説明する。
【0078】
なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0079】
図8は、実施例3の融雪システムを備えた建物1の概略構成を示している。
【0080】
この実施例3の建物1では、通気経路としてのダクト6の一部分61が地表面近くの地中を通っているとともに、ダクト6と地中埋設管としてのダクト4との合流部に流路切替手段としての流路切替弁44が設けられ、ダクト6の一部分61の上部が融雪必要箇所(中心点P)となっていることが実施例1の建物1と主に異なる。
【0081】
ここで、この実施例3の融雪システムでも、流路切替弁44の切替設定により、実施例1の融雪システムと同様、地中埋設管としてのダクト4を利用した融雪運転、暖房装置2を利用した融雪運転、及び両者による融雪運転を行うことができる。
【0082】
また、断熱材51,52については、要部の配置等を分かり易くするために図示を省略した。
【0083】
このため、融雪用暖気吹出口42から吹き出される暖気だけでなく、通気経路としてのダクト6の側面から伝達する熱も融雪に利用することができる。
【0084】
なお、他の構成及び作用効果については、実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【0085】
以上、図面を参照して、本発明を実施するための形態を実施例1〜3に基づいて詳述してきたが、具体的な構成は、これら実施例1〜3に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0086】
例えば、上記した実施例1〜3では、説明を簡単とするために、建物1を単純な構造として実施したが、これに限定されず、勿論、より複雑な構造で実施してもよい。
【0087】
また、上記した実施例1〜3では、暖房装置2を床下空間11に設置して実施したが、これに限定されず、例えば、床上空間12に設置して実施してもよい。
【0088】
さらに、上記した実施例2では、暖房装置2の熱源であるヒートポンプ装置Hに適用して実施したが、これに限定されず、建物1が備える他のヒートポンプ式機器のヒートポンプ装置に適用して実施してもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 建物
1A 建物本体
1B 基礎
11 床下空間(内部空間)
12 床上空間(内部空間)
13 床部
2 暖房装置
2a 暖気吹出部
3 断熱材
4 ダクト(地中埋設管)
41 外気吸込口
41a 外気吸込用ファン(外気強制吸込手段)
42 融雪用暖気吹出口
42a 開閉弁(開閉手段)
43 延設部(通気経路)
43a 開閉弁(開閉手段)
44 流路切替弁(流路切替手段)
51 断熱材
52 断熱材
6 ダクト(通気経路)
6a 流路切替弁(流路切替手段)
61 ダクトの一部分(通気経路の一部分)
7 給気口
8 ダクト(空調用通気経路)
H ヒートポンプ装置
P 融雪必要箇所の中心点
S 積雪
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8