【実施例1】
【0027】
先ず、実施例1の構成について説明する。
【0028】
図1は、実施例1の融雪システムを備えた建物1の概略構成を示している。
【0029】
まず、この建物1は、地盤に打設された基礎1B上に建物本体1Aを構築して構成されている。
【0030】
ここで、建物1は、建物本体1A内に、内部空間が、給気口7が設けられた床部13で仕切られて、床下空間11と床上空間12とが形成されている。
【0031】
また、床下空間11内には、暖気吹出部2aを有する暖房装置2が設置されている。
【0032】
さらに、床下空間11の側面及びその下縁には、断熱材3が設けられ、床下空間11内は断熱空間とされている。
【0033】
また、建物1の周囲には、外気吸込口41と融雪用暖気吹出口42とを有する中間部分が地中を通る地中埋設管としてのダクト4が設けられている。
【0034】
ここで、このダクト4が通る地盤の周囲には、地表面を覆う断熱材51と、この地盤を地中で側方から覆う断熱材52とが設けられている。
【0035】
また、ダクト4の外気吸込口41には、外気強制吸込手段としての外気吸込用ファン41aが設けられている。
【0036】
さらに、ダクト4の融雪用暖気吹出口42は、融雪必要箇所(中心点P)の近傍に位置しているとともに、開閉手段としての開閉弁42aが設けられている。
【0037】
また、ダクト4には、融雪用暖気吹出口42から建物1側に延びる通気経路としての延設部43が設けられている。
【0038】
さらに、ダクト4の地中部分と延設部43との境目には、開閉手段としての開閉弁43aが設けられている。
【0039】
また、ダクト4の延設部43の建物1側の端部と暖房装置2の暖気吹出部2aとの間には通気経路としてのダクト6が設けられて連通している。
【0040】
さらに、床上空間12の床部13には、給気口7が設けられており、この給気口7とダクト6の中間部との間が流路切替手段としての流路切替弁6aを介して空調用通気経路としてのダクト8で接続されている。
【0041】
そして、暖房装置2には、この実施例1の融雪システムの制御部(図示せず)が内蔵され、床上空間12と建物1の屋外部分には、温度データをこの制御部に送る温度センサー(図示せず)がそれぞれ設けられている。
【0042】
次に、この実施例1の融雪システムの運転パターンについて説明する。
【0043】
まず、この実施例1の融雪システムにおける暖房運転について説明する。
【0044】
冬場などの寒期に床上空間12を暖めたいときは、制御部は、流路切替弁6aをダクト8に暖気が流れるように切替設定する。
【0045】
そして、暖房装置2の暖気吹出部2aから暖気を吹き出すと、
図2に示したように、ダクト8を通って給気口7から暖気が吹き出され、床上空間12内の暖房が行われる。
【0046】
次に、この実施例1の融雪システムにおける融雪運転について説明する。
【0047】
冬場などの寒期に融雪必要箇所(中心点P)に積雪Sがあるときは、制御部は、融雪用暖気吹出口42の開閉弁42aを開状態とし、開閉弁43aも開状態とする。
【0048】
そして、外気吸込口41の外気吸込用ファン41aを回転させると、
図3に示したように、外気吸込口41からダクト4内に外気が吸い込まれ、この外気は地中部分で熱交換を行い暖気となり、融雪用暖気吹出口42から吹き出される暖気が積雪Sに吹き付けられて融雪が行われる。
【0049】
図示は省略したが、勿論、この間、
図2に示した暖房運転を並行して行っていてもよい。
【0050】
冬場などの寒期に融雪必要箇所(中心点P)に積雪Sがあるうえに、建物1の屋外の温度センサーが計測した温度データが低く、地中埋設管としてのダクト4を利用した暖気だけでは熱量が不足するときは、制御部は、融雪用暖気吹出口42の開閉弁42aを開状態とし、開閉弁43aも開状態とするとともに、流路切替弁6aをダクト6に暖気が流れるように切替設定する。
【0051】
そして、外気吸込口41の外気吸込用ファン41aを回転させるとともに、暖房装置2の暖気吹出部2aから暖気を吹き出すと、
図4に示したように、外気吸込口41からダクト4内に外気が吸い込まれ、この外気は地中部分で熱交換を行い生成された暖気と、暖房装置2の暖気吹出部2aから吹き出された暖気とが複合して融雪用暖気吹出口42から吹き出されて積雪Sに吹き付けられて融雪が行われる。
【0052】
冬場などの寒期に融雪必要箇所(中心点P)に積雪Sがあるうえに、建物1の屋外の温度センサーが計測した温度データがさらに低く、地中埋設管としてのダクト4を利用して役に立つ熱量を有する暖気を生成できないときは、制御部は、融雪用暖気吹出口42の開閉弁42aを開状態とし、開閉弁43aは閉状態とするとともに、流路切替弁6aをダクト6に暖気が流れるように切替設定する。
【0053】
そして、暖房装置2の暖気吹出部2aから暖気を吹き出すと、
図5に示したように、暖房装置2の暖気吹出部2aから吹き出された暖気のみが融雪用暖気吹出口42から吹き出されて積雪Sに吹き付けられて融雪が行われる。
【0054】
次に、この実施例1の融雪システムにおける冷房運転について説明する。
【0055】
夏場などの暑期に床上空間12を冷やしたいときは、制御部は、融雪用暖気吹出口42の開閉弁42aを閉状態とし、開閉弁43aは開状態とするとともに、流路切替弁6aをダクト8に冷気が流れるように切替設定する。
【0056】
そして、外気吸込口41の外気吸込用ファン41aを回転させると、
図6に示したように、外気吸込口41からダクト4内に外気が吸い込まれ、この外気は地中部分で熱交換を行いほどよい冷たさの冷気となり、延設部43とダクト8を通って給気口7から冷気が吹き出され、床上空間12内の冷房が行われる。
【0057】
次に、実施例1の作用効果について説明する。
【0058】
このような実施例1の融雪システムは、建物1の周囲の融雪が可能な融雪システムであって、建物1内には暖房装置2が設置されており、暖房装置2の暖気吹出部2aから建物1の周囲の融雪必要箇所(中心点P)の近傍に融雪用暖気吹出口42を有する通気経路としてのダクト6及び延設部43が設けられた構成とされている。
【0059】
こうした構成なので、大きな熱量を有する暖房装置2の暖気を利用できるため、積雪が多いときなどの建物1の屋外条件でも、これに左右されず、融雪必要箇所(中心点P)の十分な融雪を行うことができる。
【0060】
ここで、暖房装置2は、建物1の床下空間11に設置されている。
【0061】
このため、暖房装置2が建物1の床上空間12などを占有しないで済む。
【0062】
また、建物1の周囲には、外気吸込口41と融雪用暖気吹出口42とを有する地中埋設管としてのダクト4が設けられており、通気経路としてのダクト6及び延設部43とダクト4とは連通しており、これらの融雪用暖気吹出口42が共通である。
【0063】
このため、この共通である融雪用暖気吹出口42からピンポイントで、必要に応じ、地中埋設管としてのダクト4経由の暖気、通気経路としてのダクト6及び延設部43経由の暖気、又は両者経由の暖気を融雪必要箇所(中心点P)に吹き付けることができる。
【0064】
さらに、この共通である融雪用暖気吹出口42には、開閉手段としての開閉弁42aが設けられているとともに、通気経路としてのダクト6の途中には、建物1の内部空間としての床上空間12に繋がるダクト8に流路を切替可能な流路切替手段としての流路切替弁6aが設けられている。
【0065】
このため、例えば、夏場などの暑期には、融雪用暖気吹出口42の開閉弁42aを閉状態とし、流路切替弁6aにより流路を建物1の床上空間12の給気口7に接続されたダクト8側に切り替えることで、ダクト4の外気吸込口41から吸い込まれた外気が、地中で地中熱によりほどよく冷やされ、建物1の床上空間12に涼しい冷気を吹き出す心地良い冷房を行うことができる。
【0066】
ここで、地中埋設管としてのダクト4の外気吸込口41には、外気強制吸込手段としての外気吸込用ファン41aが設けられている。
【0067】
このため、外気吸込用ファン41aにより、外気吸込口41から多くの外気を吸い込み、融雪用暖気吹出口42から多くの暖気を吹き出すことができる。
【0068】
このような実施例1の建物1は、上記した実施例1の融雪システムを備えた構成とされている。
【0069】
こうした構成なので、上記した実施例1の融雪システムの作用効果を奏する建物とすることができる。
【実施例3】
【0077】
次に、実施例3について説明する。
【0078】
なお、実施例1で説明した内容と同一乃至均等な部分の説明については同一符号を付して説明する。
【0079】
図8は、実施例3の融雪システムを備えた建物1の概略構成を示している。
【0080】
この実施例3の建物1では、通気経路としてのダクト6の一部分61が地表面近くの地中を通っているとともに、ダクト6と地中埋設管としてのダクト4との合流部に流路切替手段としての流路切替弁44が設けられ、ダクト6の一部分61の上部が融雪必要箇所(中心点P)となっていることが実施例1の建物1と主に異なる。
【0081】
ここで、この実施例3の融雪システムでも、流路切替弁44の切替設定により、実施例1の融雪システムと同様、地中埋設管としてのダクト4を利用した融雪運転、暖房装置2を利用した融雪運転、及び両者による融雪運転を行うことができる。
【0082】
また、断熱材51,52については、要部の配置等を分かり易くするために図示を省略した。
【0083】
このため、融雪用暖気吹出口42から吹き出される暖気だけでなく、通気経路としてのダクト6の側面から伝達する熱も融雪に利用することができる。
【0084】
なお、他の構成及び作用効果については、実施例1と略同様であるので説明を省略する。
【0085】
以上、図面を参照して、本発明を実施するための形態を実施例1〜3に基づいて詳述してきたが、具体的な構成は、これら実施例1〜3に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0086】
例えば、上記した実施例1〜3では、説明を簡単とするために、建物1を単純な構造として実施したが、これに限定されず、勿論、より複雑な構造で実施してもよい。
【0087】
また、上記した実施例1〜3では、暖房装置2を床下空間11に設置して実施したが、これに限定されず、例えば、床上空間12に設置して実施してもよい。
【0088】
さらに、上記した実施例2では、暖房装置2の熱源であるヒートポンプ装置Hに適用して実施したが、これに限定されず、建物1が備える他のヒートポンプ式機器のヒートポンプ装置に適用して実施してもよい。