(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0023】
(駐車料金精算システム)
図1は、本発明の実施形態である駐車料金精算システムを示している。本発明の実施形態である駐車料金精算システム1は、駐車場の提供および管理を行う役務に係る料金である駐車料金を精算するシステムである。駐車料金精算システム1は、開始情報記録装置としての駐車券発行機2、料金精算装置としての事前精算機3、および割引情報記録装置4を備えている。
【0024】
駐車券発行機2は、カード状記録媒体としての駐車券6に、入場情報コード(開始情報コード)23を記録し、当該駐車券6を発行する装置である。駐車券発行機2は、駐車場の入場レーンに配置されている。入場情報コード23とは、入場時刻(役務提供開始時刻)を含む入場情報(開始情報)をエンコードすることにより形成された二次元コードである。
【0025】
割引情報記録装置4は、割引情報コード27を駐車券6に記録する装置である。割引情報記録装置4は、例えば駐車場周辺にある関連店舗に配置されている。関連店舗とは、例えば、駐車場の利用者が当該店舗で商品を購入した場合に、当該利用者に駐車料金の割引を受ける資格を与えるといったサービスを提供している店舗である。割引情報コード27とは、割引合計額を含む割引情報をエンコードすることにより形成された二次元コードである。
【0026】
事前精算機3は、駐車券6に記録された入場情報コード23および割引情報コード27を読み取り、駐車料金を精算し、精算終了後、駐車券6に精算情報コード24を記録する装置である。事前精算機3は、例えば駐車場内に配置されている。事前精算機3は、入場情報コード23および割引情報コード27を用いて割引された駐車料金の金額(実際駐車料金額)を算定し、当該金額の支払を利用者に請求する。精算情報コード24とは、精算結果等を示す精算情報をエンコードすることにより形成された二次元コードである。
【0027】
入場情報コード23、精算情報コード24および割引情報コード27として用いられる二次元コードは、例えばQRコード(登録商標)であるが、他の二次元コードをこれらのコード23、24、27として用いてもよい。後述する精算中止情報コード25および再精算情報コード26についても同様である。
【0028】
駐車料金精算システム1の動作は概ね次の通りである。すなわち、利用者が駐車場を利用すべく入場レーンに車両を進入させたとき、駐車券発行機2は、入場情報コード23を駐車券6に記録し、当該駐車券6を発行する。利用者が当該駐車券6を駐車券発行機2から引き抜くと、これに応じ、駐車券発行機2は、入場レーンに配置された入口ゲートを開ける。利用者は、車両を駐車場内に進入させ、駐車場内の空いているいずれかの駐車スペースに駐車させる。車両入場後、駐車券発行機2は入口ゲートを閉じる。
【0029】
その後、利用者は、駐車場周辺の店舗で買い物をする。上記関連店舗で商品を購入した利用者は駐車料金の割引を受けることができる。例えば、関連店舗の店員は、駐車料金の割引を利用者に受けさせるために、次のような作業を行う。すなわち、関連店舗の店員は、利用者が購入した商品について精算を行うときに、利用者から駐車券6を受け取る。続いて、店員は、受け取った駐車券6に、割引情報記録装置4により取引金額や店舗コードに応じた割引情報コード27を記録する。そして、店員は、割引情報コード27が記録された駐車券6を利用者に返却する。また、利用者が複数の関連店舗で商品を購入した場合には、利用者は駐車料金の割引を店舗ごとに受けることができる。この場合、各関連店舗において割引情報コード27が駐車券6に記録されるので、駐車券6には複数の割引情報コード27が記録される。
【0030】
買い物を終えた利用者は、駐車場から車両を出場させる前に、事前精算機3により駐車料金の精算を行う。具体的には、まず、利用者は、駐車券6を事前精算機3の券挿入口に挿入する。挿入された駐車券6は事前精算機3内に引き込まれる。事前精算機3は、駐車券6に記録された入場情報コード23および割引情報コード27を読み取る。そして、事前精算機3は、入場情報コード23等を用いて基準駐車料金額を算出し、割引情報コード27から割引合計額を認識し、基準駐車料金額から割引合計額を差し引くことにより実際駐車料金額を算定する。続いて、事前精算機3は、当該実際駐車料金額を利用者に向けて表示し、当該実際駐車料金額を利用者から受け取る。続いて、事前精算機3は、駐車券6に精算情報コード24を記録し、当該駐車券6を利用者に返却する。
【0031】
その後、利用者は、駐車スペースに駐車された車両を出場レーンに進入させ、出場レーンに配置された駐車券読取機に駐車券6を読み取らせる。駐車券読取機は駐車券6に記録された精算情報コード24を読み取り、駐車料金の精算が正常に終了しているか否かを判断する。駐車料金の精算が正常に終了している場合には、駐車券読取機は、出場レーンに配置された出口ゲートを開ける。駐車券6は駐車券読取機に回収される。利用者は、車両を進め、駐車場から出る。
【0032】
(駐車券)
図2および
図3は駐車券6を示している。説明の便宜上、駐車券6の向きを次のように定める。すなわち、駐車券6を事前精算機3の券挿入口72に正しい方向で挿入する場合において、券挿入口72に挿入する側を上側とし、その反対側を下側とする。また、
図2(2)に示すように、駐車券6の上側を上に向けて駐車券6の表面を見たとき、左に向く側を左側とし、右に向く側を右側とする。
【0033】
図2(1)に示すように、発行前において、複数の駐車券6は連結部11を介してファンフォールド状に連接されている。駐車券6は、表面に感熱発色機能を付した感熱紙である。駐車券6の表面には、普通のインキによる普通印刷により、文字列12、矢印記号13、識別マーク14、15等が予め印刷されている。矢印記号13は、駐車券6を事前精算機3の券挿入口72に挿入する際の正しい挿入方向を示しており、駐車券6の表面の上縁近傍に配置されている。駐車券6の表面には、文字記録領域16、第1のコード記録領域17、および第2のコード記録領域18が形成されている。文字記録領域16は、駐車券6の表面の上部であって矢印記号13の下側に配置されている。第1のコード記録領域17は、駐車券6の表面の上部であって文字記録領域16の下側に配置されている。第2のコード記録領域18は、駐車券6の表面の上下方向中間部から下部にかけて広がっている。
【0034】
図2(2)に示すように、発行時において、駐車券6の表面の文字記録領域16には、入場日時等を示す視認可能な印字文字19が記録され、駐車券6の表面の第1のコード記録領域17には入場情報コード23が記録される。印字文字19は、文字記録領域16内の所定の位置、例えば文字記録領域16内の最上行に記録される。入場情報コード23は、第1のコード記録領域17内の所定の位置、例えば第1のコード記録領域17内の最も左側に記録される。入場情報には例えば入場日時(または駐車券6の発行日時)が含まれている。
【0035】
図2(3)に示すように、精算時において、駐車券6の表面の文字記録領域16には、精算金額および精算日時等を示す視認可能な印字文字20が記録され、駐車券6の表面の第1のコード記録領域17には精算情報コード24が記録される。印字文字20は、文字記録領域16内の所定の位置、例えば、入場日時等を示す印字文字19が記録された行の次の行に記録される。精算情報コード24は、第1のコード記録領域17内の所定の位置、例えば、入場情報コード23の右隣、または第1のコード記録領域17内の左右方向中間部に記録される。精算情報には例えば精算日時、精算金額、支払い金額、残額、精算完了ステータスの有無等が含まれている。
【0036】
図2(4)に示すように、駐車料金の精算が中止され、その後、再精算が行われた場合には、駐車券6の表面の文字記録領域16には、精算中止時における既支払金額および精算中止日時等を示す印字文字21と、再精算時における支払金額および再精算日時等を示す印字文字22とがそれぞれ所定の位置に記録される。また、この場合には、駐車券6の表面の第1のコード記録領域17には、精算中止情報コード25および再精算情報コード26とがそれぞれ所定の位置に記録される。精算中止情報コード25とは、精算中止時における既支払金額および精算中止日時等を示す精算中止情報をエンコードすることにより形成された二次元コードである。再精算情報コード26とは、再精算時における支払金額および再精算日時等を示す再精算情報をエンコードすることにより形成された二次元コードである。
【0037】
図3に示すように、駐車場の利用者が関連店舗で商品を購入したとき、駐車券6の表面の第2のコード記録領域18には割引情報コード27が記録される。当該利用者が、車両を駐車場に駐車している間に、複数の関連店舗で商品を購入した場合には、1つの関連店舗で購入した商品について精算を行う度に、第2のコード記録領域18に割引情報コード27が記録される。この結果、第2のコード記録領域18には複数の割引情報コード27が記録される。
【0038】
第2のコード記録領域18内における割引情報コード27の記録位置は、予め定められた記録位置規則に従って決定される。この記録位置規則とは、例えば次の通りである。すなわち、第2のコード記録領域18に最初に記録される割引情報コード27は、
図3(1)に示すように、第2のコード記録領域18内の最上行の最も左側に記録される。その後、第2のコード記録領域18に追加記録される割引情報コード27は、
図3(2)または図(3)に示すように、直前に記録された割引情報コード27の右隣に記録される。また、
図3(3)に示すように、第2のコード記録領域18において同一の行に割引情報コード27を記録する領域が残っていない場合には、追加記録される割引情報コード27は、
図3(4)に示すように、当該行の次の行の最も左側に記録される。この記録位置規則によれば、ある1つの割引情報コード27を駐車券6の第2のコード記録領域18に記録するとき、当該割引情報コード27が当該駐車券6の第2のコード記録領域18に何番目に記録される割引情報コード27であるかに従って当該割引情報コード27の記録位置が常に一定に定まる。
【0039】
1つの割引情報コード27に対応する割引情報には、例えば、店舗コード、購入日時、商品金額、割引額、割引合計額等が含まれている。例えば、店舗コードとは、利用者が車両を駐車場に駐車している間に商品を購入した1つの関連店舗を識別するためのコードである。購入日時とは、1つの関連店舗で利用者が商品を購入した日時である。商品金額とは、1つの関連店舗で購入した商品の金額(1つの関連店舗で複数の商品を1度に購入した場合には当該複数の商品の金額の合計額)である。割引額とは、1つの関連店舗が、商品を購入した利用者に対して提供した駐車料金の割引の金額である。
割引合計額とは、駐車券6の第2のコード記録領域18にすでに記録されている割引情報コード27に対応する割引情報に含まれる割引額を合計した金額に、今回の商品購入に対して1つの関連店舗が提供した割引額を加算した金額である。別言すれば、駐車券6の第2のコード記録領域18に直前に記録された割引情報コード27に対応する割引情報に含まれる割引合計額に、今回の商品購入に対して1つの関連店舗が提供した割引額を加算した金額である。
【0040】
この割引情報についてより具体的に説明する。すなわち、
図3(1)に示す1番目の割引情報コード27に対応する割引情報の内容は次の通りである。
店舗コード:02
購入日時:2012年1月5日13:28
商品金額:¥3500
割引額:¥200
割引合計額:¥200
図3(2)に示す2番目の割引情報コード27に対応する割引情報の内容は次の通りである。
店舗コード:05
購入日時:2012年1月5日13:51
商品金額:¥5200
割引額:¥400
割引合計額:¥600
図3(3)に示す3番目の割引情報コード27に対応する割引情報の内容は次の通りである。
店舗コード:12
購入日時:2012年1月5日14:07
商品金額:¥6000
割引額:¥400
割引合計額:¥1000
図3(4)に示す4番目の割引情報コード27に対応する割引情報の内容は次の通りである。
店舗コード:56
購入日時:2012年1月5日14:30
商品金額:¥1200
割引額:¥100
割引合計額:¥1100
1番目から4番目までの割引情報において割引合計額に着目すると、1番目の割引情報の割引合計額は1番目の割引情報の割引額と等しく、2番目の割引情報の割引合計額は、1番目の割引情報の割引合計額と2番目の割引情報の割引額との合計額に等しく、3番目の割引情報の割引合計額は、2番目の割引情報の割引合計額と3番目の割引情報の割引額との合計額に等しい。そして、4番目の割引情報の割引合計額は、3番目の割引情報の割引合計額と4番目の割引情報の割引額との合計額に等しい。また、4番目の割引情報の割引合計額、すなわち、駐車券6の第2のコード記録領域18に最後に記録された割引情報コード27に対応する割引情報に含まれる割引合計額は、当該最後に記録された割引情報コード27を含め、駐車券6の第2のコード記録領域18に記録されたすべての割引情報コード27に対応する割引情報に含まれる割引額を合計した金額である。
【0041】
一方、
図2(1)に示すように、2つの識別マーク14、15のうち、一方の識別マーク14は、駐車券6の表面において、左上側の隅部に配置されている。識別マーク14は、四角形状のマーク片を左右方向に所定の間隔を持たせて2つ並べて配置することにより形成されている。他方の識別マーク15は、駐車券6の表面において、右下側の隅部に配置されている。識別マーク15は、識別マーク14を構成するマーク片と同一のマーク片を1つ配置することにより形成されている。駐車券6の表面において、識別マーク14と識別マーク15とは、駐車券6の表面の中心を基準に互いに点対称となるように配置されている。
【0042】
(駐車券発行機)
図4は駐車券発行機2を示している。
図4に示すように、駐車券発行機2は、CPU(中央演算処理装置)31、メモリ32およびインターフェイス33を備えている。CPU31、メモリ32およびインターフェイス33は相互にバス34を介して接続されている。インターフェイス33には、駐車券処理装置35、表示器36、駐車券発行釦37、設定器38、スピーカ39、外部通信部40、入出力信号端子41、および車両センサ42等が接続されている。駐車券処理装置35は、駐車券6に入場情報コード23を記録し、この駐車券6を発行する装置である。表示器36は、駐車券発行に関するメッセージ等を利用者に対して表示するディスプレイ装置である。駐車券発行釦37は、駐車券を発行する際に利用者が押下する釦である。設定器38は、駐車券発行機2についての各種設定入力を行う装置である。スピーカ39は、駐車券発行に関するメッセージ等を利用者に対して音声出力する装置である。外部通信部40は、事前精算機3等、駐車場内に設置された他の機器と情報通信を行う装置である。入出力信号端子41は、入口ゲート開閉機の制御を行うために入口ゲート開閉機と駐車券発行機2とを接続するための端子である。車両センサ42は、入場レーンに埋設されたループコイルから出力される検出信号に基づいて車両の入場レーンへの進行状況を検出する装置である。CPU31は、プログラムをメモリ32から読み出し、このプログラムを実行し、インターフェイス33に接続された上記装置を制御する。これにより、CPU31は、後述する駐車券発行処理を行う。
【0043】
(事前精算機)
図5は事前精算機3を示している。
図5に示すように、事前精算機3は、CPU51、メモリ52およびインターフェイス53を備えている。CPU51、メモリ52およびインターフェイス53は相互にバス54を介して接続されている。インターフェイス53には、駐車券処理装置55、表示器56、取消釦57、領収証発行釦58、設定器59、インターホン60、精算開始釦61、人感センサ62、領収証プリンタ63、硬貨識別装置64、硬貨払出装置65、紙幣読取装置66、スピーカ67、および外部通信部68等が接続されている。駐車券処理装置55は、駐車料金の精算を行うために駐車券6に記録された入場情報コード23および割引情報コード27等を読み取ると共に、駐車券6に精算情報コード24を記録する装置である。表示器56は、駐車料金、精算に関するメッセージ等を利用者に対して表示するディスプレイ装置である。取消釦57および領収証発行釦58は、利用者が精算の取消、領収書の発行等の操作を行うための釦である。設定器59は、事前精算機3についての各種設定入力を行う装置である。インターホン60は、利用者が駐車場の管理者または係員と会話をするときに用いられる。人感センサ62は、事前精算機3に利用者が接近したことを感知する装置である。利用者の接近が感知されたとき、精算処理が開始される。精算開始釦61は、利用者が精算を開始するときに押下する釦である。人感センサ62が利用者の接近を感知しなかった場合でも、利用者は精算開始釦61を押下して精算を始めることができる。領収証プリンタ63、硬貨識別装置64、硬貨払出装置65および紙幣読取装置66は、駐車料金の受取処理等を行うための装置である。スピーカ67は、精算に関するメッセージ等を利用者に対して音声出力する装置である。外部通信部68は、駐車券発行機2等、駐車場内に設置された他の機器と情報通信を行う装置である。CPU51は、プログラムをメモリ52から読み出し、このプログラムを実行し、インターフェイス53に接続された上記装置を制御する。これによりCPU51は、後述する精算処理を行う。なお、
図5中の入出力信号端子69および車両センサ70は事前精算機3には設けられていない。入出力信号端子69および車両センサ70は出口精算機に設けられている。これについては後述する。
【0044】
(駐車券処理装置)
図6は、駐車券発行機2内における駐車券処理装置の配置、および事前精算機3内における駐車券処理装置の配置を示している。
図7は、駐車券発行機2に設けられた駐車券処理装置の機械的構成を示している。
図8は、事前精算機3に設けられた駐車券処理装置の機械的構成を示している。
図6ないし
図8に示すように、駐車券発行機2に設けられた駐車券処理装置35と、事前精算機3に設けられた駐車券処理装置55とは、構成要素の大部分が互いに共通している。駐車券処理装置35と駐車券処理装置55とで互いに共通する構成要素には同一の符号を付す。
図6(1)に示すように、駐車券発行機2において、駐車券処理装置35は、駐車券発行機2の筐体内に収容されており、当該筐体内に設けられた支持台43の上に固定されている。駐車券処理装置35の搬送路87の一端側に形成された排出引込口88が、駐車券発行機2の前側面に設けられた券発行口44に接続されている。
図6(2)に示すように、事前精算機3において、駐車券処理装置55は、事前精算機3の筐体内に収容されており、当該筐体内に設けられた支持台71の上に固定されている。駐車券処理装置55の搬送路87の一端側に形成された排出引込口88が、事前精算機3の前側面に設けられた券挿入口72に接続されている。
【0045】
これより、駐車券処理装置35および駐車券処理装置55の機械的構成について詳細に説明する。まず、駐車券処理装置35と駐車券処理装置55とで互いに共通の構成要素について説明する。
図7または
図8に示すように、各駐車券処理装置35、55は、駐車券6を搬送する搬送路87を備えている。搬送路87は駐車券発行機2または事前精算機3内を水平方向に伸びている。また、搬送路87の一端部には排出引込口88が形成され、券発行口44または券挿入口72に接続されている。また、搬送路87の下側には、排出引込口88に近い搬送路87の一端側から他端側にかけて4つの搬送ローラ89A、89B、89C、89Dが所定の間隔をもって設けられている。また、搬送路87の上側には3つの搬送プーリ90A、90B、90Cが搬送ローラ89A、89C、89Dと上下方向に対応する位置にそれぞれ設けられている。また、搬送ローラ89A、89B、89C、89Dのそれぞれの内周側にはベルトプーリが形成され、各ベルトプーリには無端の搬送ベルト91が掛けられている。さらに、搬送路87の一端側であって搬送路87の下側には搬送モータ92が設けられている。また、搬送モータ92の近傍には、搬送モータ92の回転位相を検出するパルスセンサ93(
図9参照)が設けられている。
【0046】
搬送モータ92を駆動すると、搬送モータ92の出力軸の回転が搬送ローラ89Aに伝達され、さらに搬送ベルト91を介して搬送ローラ89B、89C、89Dに伝達され、搬送ローラ89A、89B、89C、89Dがそれぞれ回転する。そして、搬送ローラ89A、89B、89C、89Dの回転により、駐車券6を搬送路87上において移動させることができる。また、搬送モータ92の出力軸の回転方向を変更することにより、搬送ベルト91の移動方向および搬送ローラ89A、89B、89C、89Dの回転方向を変えることができ、これにより、搬送路87上における駐車券6の移動方向を変えることができる。ここで、搬送路87上の駐車券6の移動方向について、搬送路87の他端側から一端側に向かう方向、すなわち、駐車券発行機2の奥側から前面側に向かう方向を「排出方向」といい、搬送路87の一端側から他端側に向かう方向、すなわち、駐車券発行機2の前面側から奥側に向かう方向を「引込方向」という。
【0047】
また、各駐車券処理装置35、55において、搬送路87の上側であって搬送ローラ89Bと搬送ローラ89Cとの間に対応する位置にはサーマルヘッド94が設けられ、搬送路87の下側であってサーマルヘッド94と対応する位置にはプラテンローラ95が設けられている。サーマルヘッド94は、駐車券6に印字文字および二次元コードを印刷する装置である。サーマルヘッド94は、感熱紙を加熱して印刷を行うための多数の発熱素子を有し、これら発熱素子は、サーマルヘッド94の先端部(
図7または
図8では下端部)において、水平方向であって、かつ搬送路87の伸長方向に直交する方向、すなわち搬送路87の幅方向に配列されている。また、サーマルヘッド94は上下方向に移動することができる。駐車券6に印字文字および二次元コードを印刷するときには、サーマルヘッド94が下降し、サーマルヘッド94の先端部が駐車券6の表面に接触する。このとき、サーマルヘッド94の先端部とプラテンローラ95との間に駐車券6が適切な押圧力をもって支持されることで、サーマルヘッド94の先端部の駐車券6の表面への確実な接触が維持される。搬送ローラ89A、89B、89C、89D等の回転による駐車券6の移動に伴ってプラテンローラ95が回転するので、サーマルヘッド94の先端部が駐車券6の表面に接触している間であっても駐車券6は移動することができる。一方、駐車券6に対する印刷を行わないときには、サーマルヘッド94は上昇し、搬送路87から離れた位置で待機している。
【0048】
また、各駐車券処理装置35、55において、搬送路87の上側であって搬送ローラ89Aと搬送ローラ89Bとの間に対応する位置にはラインセンサ96が設けられている。ラインセンサ96は、駐車券6に印刷された二次元コードのベリファイおよび読取、並びに識別マーク14、15の読取等を行う装置である。ラインセンサ96は多数の撮像素子を有し、これら撮像素子は、ラインセンサ96の先端部(
図7または
図8では下端部)において、水平方向であって、かつ搬送路87の伸長方向に直交する方向、すなわち搬送路87の幅方向に配列されている。また、各駐車券処理装置35、55において、搬送路87の上側であって搬送ローラ89Bと対応する位置には磁気ヘッド97が設けられている。
【0049】
また、各駐車券処理装置35、55には、搬送路87上における駐車券6の位置を検出する複数の光センサ98A、98B、98Cが搬送路87に沿って設けられている。各光センサ98A、98B、98Cは、例えば搬送路87を上下方向に挟んで互いに対向する発光素子と受光素子とを備えている。搬送路87上を移動する駐車券6が発光素子と受光素子との間に到達すると、発光素子から受光素子への間の光が駐車券6によって遮られる。このことを検出することにより駐車券6の位置を認識することができる。
【0050】
次に、駐車券発行機2の駐車券処理装置35と事前精算機3の駐車券処理装置55とで互いに相違する構成要素について説明する。
図7に示すように、駐車券発行機2の駐車券処理装置35の搬送路において、搬送ローラ89Cと搬送ローラ89Dとの間の所定の位置には、駐車券供給路99の一端側が接続されている。駐車券供給路99の他端側は駐車券供給装置111に接続されている。駐車券供給装置111は、駐車券6の発行に備えて駐車券6を搬送路87に供給する装置である。駐車券供給装置111は、ファンフォールド状に連結された発行前の駐車券6(
図2(1)参照)が収容された駐車券収容部45(
図6(1)参照)と、駐車券収容部45から駐車券を駐車券供給路99に沿って引き上げるフィードローラ112と、フィードローラ112と共に駐車券6を支持するフィードプーリ113と、フィードローラ112を回転させるフィードモータ114(
図9参照)と、フィードモータ114の動力をフィードローラ112に伝達するフィードベルト115と、これから発行する1枚の駐車券6をファンフォールド状に連結された他の駐車券6から切り離すカッタ116と、連結された駐車券6をカッタ116で切り離す位置を定めるための光センサ117と、フィードモータ114およびフィードローラ112の回転位相を検出するパルスセンサ118(
図9参照)とを備えている。
【0051】
一方、
図8に示すように、事前精算機3の駐車券処理装置55の搬送路87において、搬送ローラ89Cと搬送ローラ89Dとの間の所定の位置には、分岐搬送路119の一端側が接続されている。分岐搬送路119の他端側は券回収ボックス73に接続されている。券回収ボックス73は、分岐搬送路119に導かれた券(例えば廃券として取り扱われる回数券)を回収する箱である。搬送路87と分岐搬送路119とが接続している部分には分岐ガイド121が設けられ、分岐ガイド121の近傍には分岐ガイド121の切り換えを制御する分岐ガイド駆動ソレノイド122(
図9参照)が設けられている。分岐ガイド121は、搬送路87を引込方向に搬送された券を、搬送路87の他端側に水平方向にそのまま搬送するか、それとも分岐搬送路119に導くかを切り換える装置である。
例えば、精算時に駐車券処理装置55に引き込まれた駐車券6を、精算後に利用者に返却するために駐車券処理装置55内に一時的に保持する場合には、駐車券6を搬送路87の他端側に搬送するように分岐ガイド121を切り換える。一方、精算時に駐車券処理装置55に引き込まれた回数券07を、精算後に廃棄する場合には、回数券07を分岐搬送路119に導くように分岐ガイド121を切り換える(
図15参照)。分岐ガイド121の動作の詳細については後述する。
【0052】
図9は各駐車券処理装置35、55の電気的構成を示している。
図9に示すように、各駐車券処理装置35、55は、CPU81、メモリ82およびインターフェイス83を備え、これらはバス84を介して相互に接続されている。インターフェイス83には、搬送モータ92と、サーマルヘッド94の上下方向の移動を制御するサーマルヘッド駆動ソレノイド123と、サーマルヘッド94の記録動作を制御するサーマルヘッド制御回路124と、磁気ヘッド97の読取・記録動作を制御する磁気ヘッド制御回路125と、光センサ98A、98B、98Cと、ラインセンサ96と、搬送モータ92の回転位相を検出するパルスセンサ93とが接続されている。
【0053】
駐車券発行機2の駐車券処理装置35において、インターフェイス83には、駐車券供給装置111の被制御要素が接続されている。具体的には、インターフェイス83には、駐車券供給装置111のフィードモータ114と、カッタ116を制御するカッタソレノイド126と、光センサ117と、フィードモータ114の回転位相を検出するパルスセンサ118とが接続されている。なお、これら駐車券供給装置111の被制御要素は、事前精算機3の駐車券処理装置55には存在しない。
【0054】
一方、事前精算機3の駐車券処理装置55において、インターフェイス83には、分岐ガイド121の切換動作を制御する分岐ガイド駆動ソレノイド122が接続されている。なお、分岐ガイド駆動ソレノイド122は、駐車券発行機2の駐車券処理装置35には存在しない。
【0055】
また、各駐車券処理装置35、55において、CPU81はメモリ82からプログラムを読み出し、このプログラムを実行することにより、光センサ98A、98B、98Cおよびパルスセンサ93で認識した駐車券6等の位置に応じ、搬送モータ92の回転、サーマルヘッド94の上下方向の移動、サーマルヘッド94の記録動作、磁気ヘッド97の読取・記録動作、ラインセンサ96の読取動作、駐車券供給装置111の動作(駐車券処理装置35の場合)、分岐ガイド121の切換動作(駐車券処理装置55の場合)を制御する。
【0056】
また、駐車券処理装置35のCPU81は駐車券発行機2のCPU31と電気的に接続されており、これにより、駐車券発行機2における処理と駐車券処理装置35における処理との連携が図られる。また、駐車券処理装置55のCPU81は事前精算機3のCPU51と電気的に接続されており、これにより、事前精算機3における処理と駐車券処理装置55における処理との連携が図られる。
【0057】
(割引情報記録装置)
図10は割引情報記録装置4を示している。
図10に示すように、割引情報記録装置4は、CPU131、メモリ132およびインターフェイス133を備え、これらはバス134を介して相互に接続されている。インターフェイス133には、駐車券処理装置135、テンキー入力装置136および外部通信部137が接続されている。駐車券処理装置135は、駐車券6に割引情報コード27を記録する処理を行う装置である。テンキー入力装置136は、関連店舗の店員が、利用者の購入した商品の金額を入力するための装置である。外部通信部137は、割引情報記録装置4をPOS(販売時点情報管理)レジスタに接続した場合に、割引情報記録装置4とPOSレジスタとの間の通信を制御する装置である。割引情報記録装置4をPOSレジスタに接続した場合には、利用者の購入した商品の金額をPOSレジスタから割引情報記録装置4に自動的に入力することが可能になる。CPU131は、プログラムをメモリ132から読み出し、このプログラムを実行し、インターフェイス133に接続された上記装置を制御する。これによりCPU131は、後述する割引情報記録処理を行う。
【0058】
(割引情報記録装置の駐車券処理装置)
図11は割引情報記録装置4に設けられた駐車券処理装置135を示している。駐車券処理装置135において
図8に示す駐車券処理装置55と同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する。駐車券処理装置135は、割引情報記録装置4の筐体内に収容されており、当該筐体内に設けられた支持台の上に固定されている。駐車券処理装置135の搬送路87の一端側に形成された排出引込口88は、割引情報記録装置4の筐体の前側面に設けられた券発行口に接続されている。駐車券処理装置135の機械的構成に着目すると、駐車券処理装置135は、
図8に示す駐車券処理装置55の機械的構成から、磁気ヘッド97、分岐ガイド121および券回収ボックス73を取り除いた構成を有している。なお、機能上、駐車券処理装置135の機械的構成に分岐搬送路119は不要であるが、他の搬送路と共にガイドを形成する部材を兼用するために、構成上残している。駐車券処理装置135の電気的構成に着目すると、駐車券処理装置135は、
図9に示す駐車券処理装置55の電気的構成から、磁気ヘッド制御回路125および分岐ガイド駆動ソレノイド122を取り除いた構成を有している。
【0059】
(駐車券発行処理)
図12は、駐車券発行機2による駐車券発行処理を示している。
図12に示すように、駐車券発行機2は、駐車券発行処理が開始されるまで、駐車券6の発行準備が完了した状態で、待機している(ステップS1:NO)。駐車券6の発行準備が完了した状態では、1枚の駐車券6が他の駐車券6から切り離され、搬送路87においてサーマルヘッド94の下の所定の位置に停止している。車両が入場レーンに進入し、所定の位置に到達したとき、車両センサ42が車両を検出し、検出信号をCPU31に出力する。CPU31は、車両センサ42から出力された検出信号を受け取り、これに応じ、駐車券発行処理を開始する(ステップS1:YES)。
【0060】
まず、CPU31は、利用者に対する案内メッセージ等を表示器36に表示し、またはスピーカ39から音声出力する(ステップS2)。これに応じ、利用者が駐車券発行釦37を押下したとき(ステップS3:YES)、CPU31は、現在の時刻を認識し、認識した時刻を入場日時として設定し、この入場日時を含んだ入場情報を生成する。そして、CPU31は、当該入場情報を駐車券処理装置35のCPU81に出力する。
【0061】
駐車券処理装置35のCPU81は、入場情報を受け取り、この入場情報を用いて、印字文字19および入場情報コード23を生成する。続いて、CPU81は、サーマルヘッド駆動ソレノイド123を制御してサーマルヘッド94を下降させ、搬送モータ92を制御して駐車券6を低速で排出方向に移動させ、サーマルヘッド制御回路124を制御して、サーマルヘッド94により、印字文字19および入場情報コード23を駐車券6に記録する(ステップS4)。これにより、入場日時等を示す印字文字19が駐車券6の文字記録領域16内の最上行に記録され、入場情報コード23が駐車券6の第1のコード記録領域17内の最も左側に記録される(
図2(2)参照)。
【0062】
続いて、CPU81は、サーマルヘッド駆動ソレノイド123を制御してサーマルヘッド94を上昇させた後、搬送モータ92を制御して駐車券6を中速で排出方向に移動させる(ステップS5)。駐車券6がラインセンサ96の下を通過するとき、ラインセンサ96は駐車券6に記録された入場情報コード23を読み取り、この結果得られた情報をCPU81に出力する。CPU81は、ラインセンサ96から出力された情報を用いて入場情報コード23が駐車券6に正常に記録されているか否かを確認する(ベリファイ処理:ステップS6)。
【0063】
入場情報コード23が駐車券6に正常に記録されている場合には(ステップS6:YES)、CPU81は、引き続き駐車券6を排出方向に移動させる(ステップS7)。駐車券6が排出引込口88に接近したとき、光センサ98Aがこの旨を検出し、検出信号をCPU81に出力する。CPU81は、光センサ98Aから出力された検出信号を受け取り、これに応じ、パルスセンサ93から出力されるパルスをカウントし、このパルス数が所定のパルス数に達したときに、搬送モータ92を停止させる(ステップS8)。これにより、駐車券6は、その一部が排出引込口88(券発行口44)から外部に飛び出した状態で停止する。
【0064】
利用者が駐車券6を券発行口44から引き抜いたとき、CPU81は、光センサ98Aから出力される検出信号に基づいてこの旨を検出し(ステップS9:YES)、続いて、次回発行するための駐車券6の発行準備を行う(ステップS10)。具体的には、CPU81は、駐車券供給装置111を制御し、1枚の駐車券6を他の駐車券6からカッタ116で切り離し、当該切り離した駐車券6を、駐車券供給路99を介して搬送路87に進入させる。さらに、CPU81は、光センサ98Bから出力される検出信号およびパルスセンサ93から出力されるパルスに基づいて、当該駐車券6を、搬送路87においてサーマルヘッド94の下の所定の位置まで移動させる。
【0065】
このようにして駐車券6の発行準備が完了したとき、CPU81は動作完了通知を、駐車券発行機2のCPU31に出力する。
駐車券発行機2のCPU31は、動作完了通知を受け取り、これに応じ、入口ゲートの開閉を行う(ステップS11)。具体的には、CPU31は、まず、入口ゲート開閉機を制御し、入口ゲートを開く。続いて、CPU31は、車両が入口ゲートを通過し終えたことを車両センサ42から出力される検出信号に基づいて認識し、これに応じ、入口ゲート開閉機を制御し、入口ゲートを閉じる。なお、前述の駐車券6の発行準備の動作(ステップS10)より先に、入口ゲートの開閉動作(ステップS11)を行い、利用者を素早く駐車場内に入場させるようにしてもよい。
【0066】
一方、ステップS6のベリファイ処理において、入場情報コード23が駐車券6に正常に記録されてない場合には(ステップS6:NO)、駐車券処理装置35のCPU81は、エラー処理を行う(ステップS12)。例えば、CPU81は搬送モータ92の回転を反転させ、駐車券6を搬送路87の他端側へ高速に移動させて廃券処理を行う。その後、CPU81は、駐車券供給装置111を制御し、新たな駐車券6をサーマルヘッド94の下の所定の位置へ供給した後、ステップS4へ移行し、印字文字19および入場情報コード23の記録をやり直す。なお、駐車券発行機2の内部で駐車券処理装置35の搬送路87の他端側には、図示しない廃券収容用の小箱が設けられている。
【0067】
(割引情報記録処理)
図13は割引情報記録装置4による割引情報記録処理を示している。
図13において、まず、関連店舗の店員が、割引情報記録装置4のテンキー入力装置136を操作し、利用者の購入した商品の金額を入力する。または、割引情報記録装置4がPOSレジスタに接続されている場合には、利用者の購入した商品の金額がPOSレジスタから割引情報記録装置4に入力される(ステップS21:YES)。
【0068】
その後、割引情報記録装置4のCPU131は、駐車券処理装置135のCPU81に動作開始指令を出力する。これに応じ、駐車券処理装置135のCPU81は、光センサ98A等を動作させる。そして、関連店舗の店員が、利用者から受け取った駐車券6を割引情報記録装置4の券挿入口に挿入すると、駐車券6の一部が排出引込口88を介して搬送路87に進入する。光センサ98Aは駐車券6の進入を検出し、検出信号をCPU81に出力する。CPU81は、光センサ98Aから出力された検出信号を受け取り、これに応じ、搬送モータ92を制御し、駐車券6を引込方向に移動させる(ステップS22)。これにより、駐車券6が割引情報記録装置4内に引き込まれる。
【0069】
割引情報記録装置4内に引き込まれた駐車券6は搬送路87上を引込方向に移動し続け、駐車券6の引込方向側の端部がラインセンサ96の下を通過する。このとき、ラインセンサ96は、駐車券6に印刷された識別マーク14または15を読み取り、この結果得られた情報をCPU81に出力する。CPU81は、ラインセンサ96から出力された情報を用いて駐車券6の向きを認識する(ステップS23)。関連店舗の店員が駐車券6を券挿入口72に正しい向きに挿入した場合には、駐車券6の引込方向側の端部は駐車券6の上端部となる。したがって、ラインセンサ96により読み取られる識別マークは識別マーク14である。この場合、CPU81は、駐車券6の向きが正しい向きであると認識する。一方、店員が駐車券6を券挿入口72に反対向きに挿入した場合には、駐車券6の引込方向側の端部は駐車券6の下端部となる。したがって、ラインセンサ96により読み取られる識別マークは識別マーク15である。この場合、CPU81は、駐車券6の向きが反対向きであると認識する。
【0070】
続いて、駐車券6は搬送路87上を引込方向に移動し続け、駐車券6の第1のコード記録領域17および第2のコード記録領域18がラインセンサ96の下を通過して停止する。このとき、ラインセンサ96は、駐車券6の第1のコード記録領域17と第2のコード記録領域18とを合わせた領域の全体を読み取る。これにより、駐車券6の第1のコード記録領域17に記録された入場情報コード23、および駐車券6の第2のコード記録領域18に記録された割引情報コード27が読み取られる(ステップS24)。そして、ラインセンサ96は、読み取った情報をCPU81に出力する。CPU81は、ラインセンサ96から出力された情報を受け取り、この情報を用いてコード読取画像情報を生成する。コード読取画像情報は、駐車券6の第1のコード記録領域17と第2のコード記録領域18とを合わせた領域の全体をそのまま写し取った画像情報である。したがって、コード読取画像情報には、駐車券6に記録された入場情報コード23および複数の割引情報コード27の内容だけでなく、これら入場情報コード23および複数の割引情報コード27間の相対的な位置関係も、駐車券6に実際に記録された通り忠実に再現されている。
【0071】
続いて、CPU81は、コード読取画像情報中における複数の割引情報コード27の位置をそれぞれ認識し、割引情報コード27の個数を認識する(ステップS25)。CPU81は、割引情報コード27の位置および個数の認識を、各割引情報コード27をデコードせず、各割引情報コード27の詳細な内容を認識せず、各割引情報コード27の外形を認識することにより行う。例えば、CPU81は、コード読取画像情報にローパスフィルタ処理を施すことにより、各割引情報コード27内部の詳細な情報を除去し、これにより各割引情報コード27の外形を明確化してこれを認識する。このとき、CPU81は、ステップS23で駐車券6の向きを認識しているので、券挿入口に挿入された駐車券6の向きが正しい向きである場合でも、反対向きである場合でも、割引情報コード27の位置および個数を容易かつ正確に認識することができる。
【0072】
続いて、CPU81は、コード読取画像情報中の複数の割引情報コード27(すなわち駐車券6の第2のコード記録領域18内に記録された複数の割引情報コード27)のうち、最後に記録された割引情報コード27を特定する(ステップS26)。駐車券6の第2のコード記録領域18内における割引情報コード27の記録位置は、
図3に示すように、予め定められた記録位置規則に従って決定されているので、CPU51は、ステップS23で認識した駐車券6の向き、並びにコード読取画像を用いて認識した各割引情報コード27の位置および割引情報コード27の個数から、最後に記録された割引情報コード27を容易かつ正確に特定することができる。
【0073】
続いて、CPU81は、最後に記録された割引情報コード27をデコードし、当該割引情報コード27に対応する割引情報を取得する(ステップS27)。そして、CPU81は、割引情報記録装置4のCPU131に当該割引情報を出力し、CPU131はこれを受け取る。
【0074】
続いて、割引情報記録装置4のCPU131は、最後に記録された割引情報コード27に対応する割引情報に含まれる割引合計額を認識する(ステップS28)。続いて、CPU131は、メモリ132に予め記憶された駐車料金の割引額を読み出し、この割引額を、ステップS28で認識した割引合計額に加算し、これにより割引合計額を更新する(ステップS29)。
【0075】
続いて、CPU131は、今回の商品購入に対応する割引情報を生成する(ステップS30)。具体的には、CPU131は、メモリ132に予め記憶された店舗コード、購入日時、ステップS21で入力された商品金額、メモリ132に予め記憶された割引額、およびステップS29で更新した割引合計額等を所定の規則に従って組み合わせることにより、割引情報を生成する。なお、上記購入日時として、例えば現在の日時を用いる。そして、CPU131は、生成した割引情報を、駐車券処理装置135のCPU81に出力し、CPU81はこれを受け取る。
【0076】
駐車券処理装置135のCPU81は、搬送モータ92を制御し、駐車券6を排出方向に移動させる。続いて、CPU81は、光センサ98Bから出力される検出信号およびパルスセンサ93から出力されるパルスに基づき、搬送モータ92を適切なタイミングで停止させ、駐車券6をサーマルヘッド94の下の所定の位置で止める(ステップS31)。
【0077】
続いて、CPU81は、ステップS30で生成された割引情報を用いて割引情報コード27を生成する。そして、CPU81は、
図3に示す予め定められた記録位置規則に従って、駐車券6の第2のコード記録領域18内において割引情報コード27を記録する位置を決定する。すなわち、CPU81は、当該割引情報コード27が当該駐車券6の第2のコード記録領域18に何番目に記録される割引情報コード27であるかに従って当該割引情報コード27の記録位置を決定する。続いて、CPU81は、サーマルヘッド駆動ソレノイド123を制御してサーマルヘッド94を下降させ、搬送モータ92を制御して駐車券6を低速で排出方向に移動させ、サーマルヘッド制御回路124を制御して、サーマルヘッド94により、割引情報コード27を、駐車券6の第2のコード記録領域18内の決定された位置に記録する(ステップS32)。
【0078】
続いて、CPU81は、サーマルヘッド駆動ソレノイド123を制御してサーマルヘッド94を上昇させた後、搬送モータ92を制御して駐車券6を中速で排出方向に移動させる(ステップS33)。駐車券6がラインセンサ96の下を通過するとき、ラインセンサ96は駐車券6に今回記録された割引情報コード27を読み取り、この結果得られた情報をCPU81に出力する。CPU81は、ラインセンサ96から出力された情報を用いて割引情報コード27が駐車券6に正常に記録されているか否かを確認する(ベリファイ処理:ステップS34)。
【0079】
割引情報コード27が駐車券6に正常に記録されている場合には(ステップS34:YES)、CPU81は、引き続き駐車券6を排出方向に移動させる(ステップS35)。続いて、CPU81は、光センサ98Aから出力される検出信号およびパルスセンサ93から出力されるパルスに基づいて駐車券6の位置を認識し、駐車券6が排出引込口88近傍の所定の位置に到達したときに、搬送モータ92を停止させる(ステップS36)。これにより、駐車券6はその一部が排出引込口88から外部に飛び出した状態で停止する。利用者により駐車券6が引き抜かれた後(ステップS37:YES)、処理はステップS21へ戻る。
【0080】
一方、ステップS34のベリファイ処理において、割引情報コードが駐車券6に正常に記録されてない場合には(ステップS34:NO)、CPU81は、エラー処理を行う(ステップS38)。例えば、CPU81は、搬送モータ92を制御し、当該駐車券6を搬送路87の他端側へ高速で移動させた後、割引情報コード27の当該駐車券6への記録を再度行う。この際の記録位置は、直前に割引情報コード27を記録した位置の次の順番の位置とし、その割引情報コード27には、エラーによる再記録を示す情報が含まれている。もちろん、印字用の余白が残っていない場合や、繰り返しエラーとなる場合には、異常状態を表示させたうえで、内部停止または駐車券の排出をさせる。
【0081】
このような割引情報記録処理によれば、割引合計額を含んだ割引情報コード27を駐車券6に記録することにより、複数の関連店舗のそれぞれが提供する割引額の記録・収集を確実に行うことができる。また、精算時において割引合計額を算出するための計算を省くことを可能にし、割り引かれた最終的な駐車料金額、すなわち実際駐車料金額の迅速な算出を可能にする。
【0082】
(精算処理)
図14は事前精算機3による精算処理を示している。
図15は、精算処理が行われてる間における搬送路87上の駐車券6等の位置を示している。
図14において、人感センサ62が利用者の事前精算機3への接近を感知したとき、または利用者により精算開始釦61が押下されたとき、事前精算機3のCPU51はこの旨を認識し(ステップS51:YES)、利用者に対する案内メッセージ等を表示器56に表示し、またはスピーカ67から音声出力する(ステップS52)。
【0083】
続いて、CPU51は、駐車券処理装置55のCPU51に動作開始指令を出力する。これに応じ、駐車券処理装置55のCPU81は、光センサ98A等を動作させる。利用者が駐車券6を券挿入口72に挿入すると、駐車券6の一部が排出引込口88を介して搬送路87に進入する。
図15中の(A)は、このときの駐車券6の位置を示している。光センサ98Aは駐車券6の進入を検出し、検出信号をCPU81に出力する。CPU81は、光センサ98Aから出力された検出信号を受け取り、これに応じ、搬送モータ92を制御し、駐車券6を中速で引込方向に移動させる(ステップS53)。これにより、駐車券6が事前精算機3内に引き込まれる。
【0084】
事前精算機3内に引き込まれた駐車券6は搬送路87上を引込方向に移動し続け、駐車券6の引込方向側の端部がラインセンサ96の下を通過する。
図15中の(B)は、このときの駐車券6の位置を示している。このとき、ラインセンサ96は、駐車券6に印刷された識別マーク14または15を読み取り、この結果得られた情報をCPU81に出力する。CPU81は、ラインセンサ96から出力された情報を用いて駐車券6の向きを認識する(ステップS54)。
図15に示すように、利用者が駐車券6を券挿入口72に正しい向きに挿入した場合には、駐車券6の引込方向側の端部は駐車券6の上端部となる。したがって、ラインセンサ96により読み取られる識別マークは識別マーク14である。この場合、CPU81は、駐車券6の向きが正しい向きであると認識する。一方、利用者が駐車券6を券挿入口72に反対向きに挿入した場合には、駐車券6の引込方向側の端部は駐車券6の下端部となる。したがって、ラインセンサ96により読み取られる識別マークは識別マーク15である。この場合、CPU81は、駐車券6の向きが反対向きであると認識する。
【0085】
続いて、駐車券6は搬送路87上を引込方向に移動し続け、駐車券6の第1のコード記録領域17および第2のコード記録領域18がラインセンサ96の下を通過する。この過程で、ラインセンサ96は、駐車券6の第1のコード記録領域17と第2のコード記録領域18とを合わせた領域の全体を読み取る。これにより、駐車券6の第1のコード記録領域17に記録された入場情報コード23、および駐車券6の第2のコード記録領域18に記録された割引情報コード27が読み取られる(ステップS55)。そして、ラインセンサ96は、読み取った情報をCPU81に出力する。CPU81は、ラインセンサ96から出力された情報を受け取り、この情報を用いてコード読取画像情報を生成する。コード読取画像情報は、駐車券6の第1のコード記録領域17と第2のコード記録領域18とを合わせた領域の全体をそのまま写し取った画像情報である。したがって、コード読取画像情報には、駐車券6に記録された入場情報コード23および複数の割引情報コード27の内容だけでなく、これら入場情報コード23および複数の割引情報コード27間の相対的な位置関係も、駐車券6に実際に記録された通り忠実に再現されている。
図15中の(C)は、入場情報コード23および割引情報コード27がラインセンサ96により読み取られた直後の駐車券6の位置を示している。
【0086】
続いて、事前精算機3のCPU51および駐車券処理装置55のCPU81は、料金算出処理を行い、駐車料金の実際駐車料金額を算出する(ステップS56)。料金算出処理については後述する。
【0087】
料金算出処理と並行して、駐車券処理装置55のCPU81は、搬送モータ92を制御し、駐車券6を引込方向に高速に移動させる。このとき、分岐ガイド121は、駐車券6を搬送路87の他端側に搬送するように切り換えられている。したがって、駐車券6は、搬送路87の他端側へ水平方向に移動する。そして、駐車券6が搬送路87の他端部へ移動したとき、CPU81は、光センサ98Cから出力される検出信号およびパルスセンサ93から出力されるパルスに基づいてこの旨を検出し、適切なタイミングで搬送モータ92を停止させる(ステップS57)。この結果、駐車券6は搬送路87の他端部で停止する。
図15中の(D)は、搬送路87の他端部で停止した駐車券6を示している。
【0088】
続いて、CPU81は、分岐ガイド駆動ソレノイド122を制御し、排出引込口88から引込方向に移動する券を分岐搬送路119に導くように分岐ガイド121を切り換える(ステップS58)。このように分岐ガイドが切り換えられたとき、搬送ローラ89Dにおいてその外周側のローラ部と内周側のベルトプーリとの間のクラッチ(図示しない)が切断され、搬送モータ92の回転が搬送ローラ89Dのローラ部に伝わらなくなる。この結果、搬送モータ92の回転の有無にかかわらず、駐車券6が搬送路87の他端部で停止した状態が維持される。
【0089】
続いて、事前精算機3のCPU51および駐車券処理装置55のCPU81は、駐車料金の実際駐車料金額を利用者から受け取る料金受取処理を行う(ステップS59)。料金受取処理において、まず、CPU51が駐車料金の実際駐車料金額等を表示器56に表示する。これを確認した利用者が紙幣または硬貨を事前精算機3に投入したとき、CPU51は、硬貨識別装置64、紙幣読取装置66等を制御し、駐車料金の実際駐車料金額を受け取る。また、利用者が、現金ではなく回数券7を用いた場合には、
図15中の(E)、(F)および(G)に示すように、CPU81が、回数券7を排出引込口88から引き込み、搬送路87を引込方向に移動させる。この間、磁気ヘッド制御回路125の制御の下、磁気ヘッド97が、回数券7の磁気ストライプに磁気的に記録された情報を読み取る。回数券7から読み取られた情報は、CPU81からCPU51へ出力される。回数券7が全額割り引かれる種別である場合には、当該情報を受け取ったCPU51は、駐車料金の実際駐車料金額を受け取ったと判断する。その後、回数券7が使用済みとなった場合には、回数券7は駐車券供給路99を通過して、券回収ボックス73内に排出される。一方、回数券7がまだ使用可能である場合には、利用度数の減算をおこなった情報を磁気ヘッド97で適宜上書きし、利用者に返却するために券挿入口72へ戻される。料金受取処理が終了したとき、CPU51は、料金の受取が完了した旨のメッセージを表示器56に表示する。
【0090】
続いて、駐車券処理装置55のCPU81は、分岐ガイド駆動ソレノイド122を制御し、分岐ガイド121を、駐車券6を搬送路の一端側に搬送するように切り換える(すなわちステップS57よりも前の状態に戻す)(ステップS60)。これにより、搬送ローラ89Dにおいてその外周側のローラ部と内周側のベルトプーリとの間のクラッチが接続され、搬送モータ92の回転が搬送ローラ89Dのローラ部に伝わるようになる。続いて、CPU81は、搬送モータ92を制御し、駐車券6を高速で排出方向に移動させる(ステップS61)。続いて、CPU81は、光センサ98Bから出力される検出信号およびパルスセンサ93から出力されるパルスに基づいて搬送モータ92を適切なタイミングで停止させ、当該駐車券6を、搬送路87においてサーマルヘッド94の下の所定の位置で止める(ステップS62)。
図15中の(H)は、このときの駐車券6の位置を示している。続いて、事前精算機3のCPU51は精算情報を生成し、これを駐車券処理装置55のCPU81に出力する。駐車券処理装置55のCPU81は、事前精算機3のCPU51から精算情報を受け取り、この精算情報を用いて、印字文字20および精算情報コード24を生成する。続いて、CPU81は、サーマルヘッド駆動ソレノイド123を制御してサーマルヘッド94を下降させ、搬送モータ92を制御して駐車券6を低速で排出方向に移動させ、サーマルヘッド制御回路124を制御して、サーマルヘッド94により、印字文字20および精算情報コード24を駐車券6に記録する(ステップS63)。これにより、駐車券6の文字記録領域16内において、入場日時等を示す印字文字19がすでに記録されている行の次の行に、精算金額および精算日時等を示す印字文字20が記録される。また、駐車券6の第1のコード記録領域17において、すでに記録されている入場情報コード23の右隣に精算情報コード24が記録される(
図2(3)参照)。
図15中の(I)は、印字文字20および精算情報コード24が記録された直後の駐車券6の位置を示している。
【0091】
続いて、CPU81は、サーマルヘッド駆動ソレノイド123を制御してサーマルヘッド94を上昇させた後、搬送モータ92を制御して駐車券6を中速で排出方向に移動させる(ステップS64)。駐車券6がラインセンサ96の下を通過するとき、ラインセンサ96は駐車券6に記録された精算情報コード24を読み取り、この結果得られた情報をCPU81に出力する。
図15中の(J)は、精算情報コード24がラインセンサ96により読み取られた直後の駐車券6の位置を示している。CPU81は、ラインセンサ96から出力された情報を用いて精算情報コード24が駐車券6に正常に記録されているか否かを確認する(ベリファイ処理:ステップS65)。
【0092】
精算情報コード24が駐車券6に正常に記録されている場合には(ステップS65:YES)、CPU81は、引き続き駐車券6を排出方向に移動させる(ステップS66)。続いて、CPU81は、光センサ98Aから出力される検出信号およびパルスセンサ93から出力されるパルスに基づいて駐車券6の位置を認識し、駐車券6が排出引込口88近傍の所定の位置に到達したときに、搬送モータ92を停止させる(ステップS67)。これにより、
図15中の(K)に示すように、駐車券6はその一部が排出引込口88(券挿入口72)から外部に飛び出した状態で停止する。利用者により駐車券6が引き抜かれた後(ステップS68:YES)、処理はステップS51へ戻る。
【0093】
一方、ステップS64のベリファイ処理において、精算情報コードが駐車券6に正常に記録されてない場合には(ステップS65:NO)、CPU81は、エラー処理を行う(ステップS69)。例えば、CPU81は、搬送モータ92を制御し、当該駐車券6を搬送路87の他端側へ高速で移動させた後、精算情報コード24の当該駐車券6への記録を再度行う。この場合、2回目に記録する精算情報コード24は、1回目に正常でない状態で記録された精算情報コード24の右隣に配置される。なお、精算情報コード24の2回目の記録も正常に行われなかった場合には、CPU51はエラーメッセージを表示器56に表示し、処理を中止する。
【0094】
(料金算出処理)
図16は、事前精算機3により行われる精算処理の一部である料金算出処理を示している。
図14中のステップS56において、事前精算機3のCPU51および駐車券処理装置55のCPU81は、以下に述べる料金算出処理を行う。料金算出処理において、まず、CPU81は、コード読取画像情報中における入場情報コード23の位置を認識する。CPU81は、
図14中のステップS54で駐車券6の向きを認識しているので、券挿入口72に挿入された駐車券6の向きが正しい向きである場合でも、反対向きである場合でも、入場情報コード23の位置を容易かつ正確に認識することができる。続いて、CPU81は、入場情報コード23をデコードし、当該入場情報コード23に対応する入場情報を取得する(ステップS81)。そして、CPU81は、入場情報を事前精算機3のCPU51に出力し、CPU51はこれを受け取る。
【0095】
続いて、CPU81は、コード読取画像情報中における複数の割引情報コード27の位置をそれぞれ認識し、割引情報コード27の個数を認識する(ステップS82)。CPU81は、割引情報コード27の位置および個数の認識を、各割引情報コード27をデコードせず、各割引情報コード27の詳細な内容を認識せず、各割引情報コード27の外形を認識することにより行う。例えば、CPU81は、コード読取画像情報にローパスフィルタ処理を施すことにより、各割引情報コード27内部の詳細な情報を除去し、これにより各割引情報コード27の外形を明確化してこれを認識する。CPU81は、
図14中のステップS54で駐車券6の向きを認識しているので、券挿入口72に挿入された駐車券6の向きが正しい向きである場合でも、反対向きである場合でも、割引情報コード27の位置および個数を容易かつ正確に認識することができる。
【0096】
続いて、CPU81は、コード読取画像情報中の複数の割引情報コード27(すなわち、駐車券6の第2のコード記録領域18内に記録された複数の割引情報コード27)のうち、最後に記録された割引情報コード27を特定する(ステップS83)。駐車券6の第2のコード記録領域18内における割引情報コード27の記録位置は、
図3に示すように、予め定められた規則に従って決定されているので、CPU51は、
図14中のステップS54で認識した駐車券6の向き、並びにコード読取画像を用いて認識した各割引情報コード27の位置および割引情報コード27の個数から、最後に記録された割引情報コード27を容易かつ正確に特定することができる。
【0097】
続いて、CPU81は、最後に記録された割引情報コード27をデコードし、当該割引情報コード27に対応する割引情報を取得する(ステップS84)。そして、CPU81は、事前精算機3のCPU51に当該割引情報を出力し、CPU51はこれを受け取る。
【0098】
続いて、事前精算機3のCPU51は、最後に記録された割引情報コード27に対応する割引情報に含まれる割引合計額を認識する(ステップS85)。続いて、CPU51は、ステップS81で取得された入場情報に含まれる入場日時を認識する(ステップS86)。続いて、CPU51は、現在の日時を認識し、ステップS86で認識した入場日時から現在の日時までの時間、すなわち駐車時間を算出する(ステップS87)。続いて、CPU51は、メモリ52に予め記憶された駐車料金テーブル(料金情報)を参照し、ステップS87で算出した駐車時間に応じた基準駐車料金額を算出する(ステップS88)。続いて、CPU51は、ステップS88で認識した基準駐車料金額から、ステップS85で認識した割引合計額を差し引き、実際駐車料金額を算出する(ステップS89)。
【0099】
続いて、CPU51は、この実際駐車料金額がマイナスの値でない場合には(ステップS90:NO)、この実際駐車料金額をそのまま、案内メッセージ等と共に、表示器56に表示する(ステップS92)。一方、実際駐車料金額がマイナスの値になった場合には(ステップS90:YES)、CPU51は、実際駐車料金額を0に設定してから(ステップS91)、当該実際駐車料金額を、案内メッセージ等と共に、表示器56に表示する(ステップS92)。
【0100】
このような料金算出処理を含む精算処理によれば、割引合計額を取得するために、複数の割引情報コード27のすべてをデコードする必要がなく、また、割引合計額を求める計算をする必要もないので、割り引かれた最終的な駐車料金額、すなわち実際駐車料金額を迅速に算出することができる。
【0101】
(購入情報保存処理)
図17は事前精算機3による購入情報保存処理を示している。上述したように、割引情報には、店舗コード、購入日時、商品金額等の情報が含まれている。これらの情報は、駐車場利用者の商品購入活動または役務受領活動を示す消費活動情報である。購入情報保存処理は、駐車券6に割引情報コード27として記録された割引情報に含まれる店舗コード、購入日時、商品金額等の消費活動情報を保存する処理である。保存された消費活動情報は、月毎に店舗毎の有効な割引き適応額の配分を計算し、店舗毎の駐車場オーナーへの支払い額の決定に利用する以外にも、例えば駐車場利用者の消費活動動向の調査や、駐車場利用者が利用した店舗の評価、マーケティングリサーチ等に役立てることができる。購入情報保存処理は、精算処理において実際駐車料金額の算出を終え、実際駐車料金額を表示器56に表示した後の所定の期間、例えば、精算処理の直後に実行することが望ましい。
【0102】
購入情報保存処理の内容は次の通りである。すなわち、事前精算機3に設けられた駐車券処理装置55のCPU81は、メモリ82に記憶されたカウント値Cを1に設定する(ステップS101)。続いて、CPU81は、カウント値Cに対応する割引情報コード27、すなわち、駐車券6の第2のコード記録領域18にC番目に記録された割引情報コード27を特定する(ステップS102)。続いて、CPU81は、当該割引情報コード27をデコードし、割引情報を取得する(ステップS103)。続いて、CPU81は、当該割引情報を事前精算機3のCPU51に出力する。続いて、事前精算機3のCPU51は、当該割引情報に含まれる店舗コード、購入日時、商品金額等の消費活動情報をメモリ52に記憶する(ステップS104)。また、駐車券処理装置55のCPU81は、カウント値Cを1増加させる(ステップS105)。続いて、CPU81は、カウント値Cが、駐車券6の第2のコード記録領域18内に記録された割引情報コード27の個数N以下であるか否かを判断する(ステップS106)。カウント値Cが割引情報コード27の個数N以下である場合には(ステップS106:YES)、CPU81は処理をステップS101に戻す。一方、カウント値Cが割引情報コード27の個数N以下でない場合には(ステップS106:NO)、CPU81は購入情報保存処理を終了する。
【0103】
以上説明した通り、駐車料金精算システム1によれば、複数の関連店舗が提供したすべての割引額の合計額を、駐車券6に最後に記録された割引情報コード27に含まれる割引合計額を読み取るだけで取得することができるので、割り引かれた最終的な駐車料金額、すなわち実際駐車料金額を迅速に算出することができる。これにより、事前精算機3の精算処理時間が遅く、処理待ちで利用者が列を成して待つようなことを防止することができる。
【0104】
なお、上述した実施形態では、本発明の料金精算システムの料金精算装置として事前精算機3を例にあげたが、本発明の料金精算システムの料金精算装置は出口精算機にも適用することができる。出口精算機は、出場レーンに設置され、精算処理に連動して出口ゲートの開閉を制御する機能を備えている。
図5に示すように、事前精算機3と出口精算機の構成は、事前精算機3が精算開始釦61および人感センサ62を備え、入出力信号端子69および車両センサ70を備えていないのに対し、出口精算機が入出力信号端子69および車両センサ70を備え、精算開始釦61および人感センサ62を備えていない点を除き、互いに共通している。なお、入出力信号端子69は、出口ゲート開閉機の制御を行うために出口ゲート開閉機と出口精算機とを接続するための端子であり、車両センサ70は、出場レーンに埋設されたループコイルから出力される検出信号に基づいて車両の出場レーンへの進行状況を検出する装置である。
【0105】
本発明の料金精算システムをこのような出口精算機に適用させた場合には、利用者が出口精算機の前に一旦停車し、車両センサ70が車両の進入を感知して自動的に精算受付状態(
図14ステップS52と同様)となり、利用者が未精算の駐車券6を出口精算機に挿入すると、前述の
図14のステップS53からステップS58までと同様な処理を経て、ステップS59の料金受取処理が終了した時点で、入出力端子69(
図5参照)から出口ゲート開閉機に対してゲート開信号を出力し、利用者はすぐさま車両を進行させて駐車場から退場することができる。その際の料金精算に係る処理時間が、本発明の料金システムによって迅速となることにより、出口精算機の前での渋滞が生じにくくなり、利用者にとっては極めて利便性の良い料金精算システムが実現する。
【0106】
また、本発明の料金精算システムは、ゲート式駐車場用の駐車料金精算システム1だけでなく、フラップ式駐車場用の駐車料金精算システムや、フラップレス式駐車場用の駐車料金精算システムにも適用することができる。さらに、本発明の料金精算システムは、駐車料金精算システムに限らず、他の役務に係る料金を精算する料金精算システムにも適用することができる。いずれの場合にも、複数の割引情報を全て
デコードして料金精算処理をおこなわないため、処理時間が迅速となって利用者にとって好適である。
【0107】
また、
図13に示す割引情報記録処理において、ステップS26が第1のコード特定手段の具体例であり、ステップS27およびS28が第1の割引合計額認識手段の具体例であり、ステップS29が割引合計額更新手段の具体例であり、ステップS30ないしS32がコード記録手段の具体例である。
【0108】
また、
図14に示す精算処理および
図16に示す料金算出処理において、ステップS55、S81およびS86が開始時刻認識手段の具体例であり、ステップS55、S82、S83が第2のコード特定手段の具体例であり、ステップS84およびS85が第2の割引合計額認識手段の具体例であり、ステップS87が終了時刻決定手段の具体例であり、ステップS88およびS89が料金算出手段の具体例であり、ステップS59が料金受取手段の具体例である。
【0109】
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う料金精算システムもまた本発明の技術思想に含まれる。