【実施例】
【0017】
(パチンコ機10について)
実施例に係るパチンコ機10は、
図1に示すように、全体として縦長の矩形状に構成されており、遊技者がパチンコ機10の前面に向かう姿勢でパチンコ遊技を行うことができるよう、パチンコ球の発射操作を行うための操作ハンドル21が前面右下部に設けられている。このパチンコ機10には、矩形枠状に形成されて遊技店の図示しない設置枠台に固定される固定枠としての外枠11の開口前面側に、後述する遊技盤13(
図2参照)を着脱可能に保持する本体枠としての中枠12が開閉および着脱可能に組付けられると共に、遊技盤13の後側に、図柄を変動表示可能な図柄表示装置35が着脱し得るよう配設されている。また、中枠12の前面側には、遊技盤13を透視可能に保護する透明板を窓部に備えた装飾枠としての前枠14が開閉可能に組付けられると共に、該前枠14の下方にパチンコ球を貯留する下球受け皿15が開閉可能に組付けられる。なお、実施例では、前枠14の下部位置に、パチンコ球を貯留する上球受け皿16が一体的に組付けられており、前枠14の開閉に合わせて上球受け皿16も一体的に開閉するよう構成される。前記前枠14には、下球受け皿15の側方に、前記中枠12に配設された打球発射装置(図示せず)を作動する前記操作ハンドル21が設けられ、該操作ハンドル21の回動操作によって打球発射装置が作動されて、前記上球受け皿16に貯留されたパチンコ球が前記遊技盤13に向けて発射されるようになっている。なお、実施例では、前記図柄表示装置35としては、各種図柄を表示可能な液晶パネルを収容ケースに収容した液晶表示装置が採用されるが、これに限られるものではなく、ドラム式の図柄表示装置やドットマトリックス式の図柄表示装置等の各種図柄を停止および変動表示可能な従来公知の各種の図柄表示装置を採用し得る。
【0018】
(遊技盤13について)
前記遊技盤13は、
図2に示すように、前面(盤面)にパチンコ球が流下可能な遊技領域13aが画成されたベニヤ板からなる平板状の板部材であって、該遊技盤13の裏側に、光透過性の合成樹脂材により前方へ開口した箱状に形成されて、前記図柄表示装置35や後述する各種演出装置42,51,52,53等が配設される設置部材(設置部)50とから構成されている。遊技盤13および設置部材50は、正面視における外郭形状が略整合する大きさおよび形状に形成されて、遊技盤13の後面に設置部材50を取着した状態で、設置部材50が遊技盤13の後面を全面的に覆うよう構成されている。なお、遊技盤13をアクリルやポリカーボネート等の合成樹脂材により光透過性を有するよう形成してもよい。この場合には、設置部材50を不透明な合成樹脂材により形成することで、裏側の構成をパチンコ機10前方から視認し難くしておくことが好ましい。
【0019】
図2に示すように、前記遊技盤13の前面には、左側部の上下隅部に第1および第2盤面保護部材38a,38bが夫々配設されると共に、右側部において上下隅部に亘るように第3盤面保護部材38cが配設されている。これら第1〜第3盤面保護部材38a,38b,38cの夫々は、遊技盤13の中心側を向く内縁が円弧状に形成されており、第1盤面保護部材38a、第2盤面保護部材38bおよび第3盤面保護部材38cの上端部の内縁に沿って円弧状の案内レール38dが配設されている。そして、案内レール38dおよび右側に配設された第3盤面保護部材38cによって、パチンコ球が流下可能な略円形状の遊技領域13aが画成される。また遊技盤13には、枠状装飾体39および第1および第2サイド装飾体40,41が遊技領域13aに臨むように配設されると共に、これら装飾体39,40,41の周囲に多数の遊技釘が植設されて、流下するパチンコ球の挙動を複雑に変化させ得るよう構成されている。
【0020】
前記枠状装飾体39は、
図1および
図2に示すように、全体として大小2つの輪を上下に連結した所謂「8の字」状をなすもので、上側の輪の内側には、設置部材50に配設された図柄表示装置35や各種演出装置42,51,52,53を前側に露出させる第1可視開口39aが設けられ、下側の輪の内側には、設置部材50に配設された入賞球演出装置42を前側に露出させる第2可視開口39bが設けられている。また、枠状装飾体39には、遊技領域13aから入賞可能な第1および第2始動口45a,45bが設けられると共に、第1および第2可視開口39a,39bの間には、第1始動口45aへ入賞したパチンコ球を振り分けて入賞球演出装置42へ誘導するステージ43が形成されている。更に、枠状装飾体39には、遊技盤13に配設したゲート通過口39cへのパチンコ球の通過をトリガとする普通図柄当否抽選の結果に基づいて第2始動口45bを開放するよう駆動される開閉部材45cが配設されている。なお、入賞球演出装置42は、第1始動口45aへ入球(入賞)したパチンコ球を振分ける演出を実行し得るよう構成されている。
【0021】
前記第1および第2サイド装飾部材40,41は、普通入賞口が設けられると共に遊技領域13aの下方領域を装飾する部材として構成されている。遊技領域の右側下部に配設される第2サイド装飾部材41は、
図1および
図2に示すように、始動入賞に基づく大当り遊技においてパチンコ球が入賞可能な特別入賞口46aを有する特別入賞装置46を備えており、該特別入賞装置46には、第1または第2始動口45a,45bへのパチンコ球の入賞をトリガとする特別図柄当否抽選(大当り抽選)の結果に基づいて特別入賞口46aを開放するよう駆動される開閉部材46bが設けられている。なお、遊技領域の左側下部に配設された第1サイド装飾部材40に3つの普通入賞口が設けられるのに対し、右側下部に配設された第2サイド装飾部材41には1つの普通入賞口が設けられている。
【0022】
(設置部材50について)
前記設置部材(設置部)50は、
図3に示す如く、矩形状の背壁50aと、該背壁50aの周縁から前方へ向けて突出する囲い壁50bとから前方に開口する矩形箱状に形成された部材であって、該設置部材50は、囲い壁50bの前縁から外側方へ延在するフランジ50cを遊技盤13の後面に当接した状態で取付けられる。また、背壁50aには、該背壁50aの後面に配設された図柄表示装置35の表示面35aを前方へ露出させる表示面用開口部50dが表示面35aに倣う形状に形成されている。
【0023】
前記設置部材50の内側には、表示面用開口部50dの上側に第1可動演出装置51(
図1および
図2参照)が配設されると共に、表示面用開口部50dの左右両側には第2可動演出装置52が夫々配設されている。第1可動演出装置51および第2可動演出装置52は、図柄表示装置35の表示面35aで表示される図柄変動演出に関連して、表示面35aの前側を中央部に対して近接・離間する動作を行うよう構成される。また、収容部における内側下半部の中央において、入賞球演出装置42が枠状装飾体39の第2可視開口39bを介して前側へ露出する位置に配設されると共に、該入賞球演出装置42の後方に第3可動演出装置53が配設されている。
【0024】
(第3可動演出装置53について)
前記第3可動演出装置53は、
図3および
図4に示すように、可動体用基板(電気部品)70を内蔵した可動体54と、該可動体54を待機位置(第1位置)および可動位置(第2位置)の間を往復移動させる駆動機構55と、該駆動機構55および可動体54が配設される台座部56と、該台座部56および可動体54に設けられて該可動体54の移動方向を規制するガイド機構57とを備えている。第3可動演出装置53は、駆動機構55の駆動に応じて、可動体54がガイド機構57に案内されて上下方向に移動し得るよう構成されている。また、可動体54は、常には表示面用開口部50dよりも下方で台座部56の前側に重なる移動始端としての最下部の待機位置に位置し、入賞球演出装置42により前側が覆われることで、遊技盤13の前方から枠状装飾体39の第1および第2可視開口39a,39bを介して視認することが不可能な状態とされている(
図1参照)。一方、可動体54が移動終端である最上部の可動位置に移動した場合には、台座部56より上方に位置して表示面用開口部50d(または表示面35a)の前側に重なり、遊技盤13の前方から第1可視開口39aを介して視認し得る状態(
図2参照)となるよう構成されている。
【0025】
前記設置部材50における背壁50aの後面には、図示しない制御装置に電気的に接続する中継基板(基板)49が表示面用開口部50dの下方部位に配設されており、該中継基板49に一端がコネクタ接続されたハーネス(配線)Hが、背壁50aに形成した通孔50eおよび台座部56に形成した後述の配線引き出し口88を介して該台座部56の前側に引き出され、該ハーネスHの他端が前記可動体用基板70にコネクタ接続される。また、後述する配線保持部材100が、ハーネスHの一部を保持した状態で後述する設置面84aと平行に揺動し得るよう台座部56に枢支されることで、可動体54の上下動に従動することとなるハーネスHの動きを規制し得るようになっている。
【0026】
(可動体54について)
前記可動体54は、
図4に示すように、該可動体54の外形を形成する可動体本体60と、該可動体本体60の前面に貼付される意匠シート73と、該意匠シート73に光を照射して光装飾する可動体用基板70とから基本的に構成されている。可動体本体60は、光透過性の合成樹脂材からなる前側ケース体61および後側ケース体62を前後に組み合わせることで薄型のケースとして構成されると共に、該可動体本体60の内側には可動体用基板70が収容されている。可動体用基板70の前面には、LED等の複数の発光体(図示省略)が全体的に点在するよう配置されると共に、ハーネスHのコネクタが接続されるソケット71が下端部に設けられている。また、可動体用基板70には、発光体用の回路を避けるようにして多数の開口72が形成されており、該開口72の位置に対応して前側および後側ケース体61,62にも多数の開口63,66が形成されている。すなわち、可動体用基板70および可動体本体60に多数の開口72,63,66を形成することで、可動体54を軽量化して駆動時における駆動機構55の後述の駆動モータ74の負担を抑えると共に、意匠シート73を、後側に位置する図柄表示装置35の表示面35aの表示光により補助的に光装飾し得るよう構成されている。
【0027】
なお、前記前側ケース体61に設けられる開口63のうち中央下端部の開口は、可動体用基板70に設けられたハーネスH用のソケット71と対応して位置するソケット収納口63aであって、可動体本体60に可動体用基板70を収容した際にソケット71をソケット収納口63aに収容することで、可動体54の薄型化を図り得るようになっている。前記意匠シート73は、キャラクタが印刷されたインク層の表面を薄い透明層(図示省略)で保護してなる光透過性の薄型シートであり、前側ケース体61の前面に対して開口63を避けながら外縁部位のみに接着することで配設し得るよう、裏面の外縁に沿って環状に接着層73aが形成されている。また、前側ケース体61の後面には、
図4に示す如く、ソケット収納口63aの真下に並ぶように一対の配線保持棒64が左右方向に離間して突設されており、ソケット71に接続されたコネクタ近傍のハーネスHが一対の配線保持棒64の間を通過して可動体54から外方に延出するよう構成される。更に、前側ケース体61に、両配線保持棒64,64の配設位置から下方へ延在する舌片
(抑制部)65が設けられており、両配線保持棒64,64間を通過して外方に延出するハーネスHが前方に変位するのを舌片65によって抑制し得るようになっている。また、舌片65の下端縁には、配線保持部材100から離間する側から近接する側に向けて上方傾斜する誘導傾斜面65aが形成されており、可動体54が可動位置から待機位置に向けて移動する際に、舌片65より下側でハーネスHが前方に変位した場合において、該ハーネスHが誘導傾斜面65aに当接して押し下げられる際にハーネスHを配線保持部材100側に誘導し得るよう構成してある。
【0028】
前記可動体本体60を構成する前後のケース体61,62は、可動体用基板70を収容する部分では意匠シート73のキャラクタに対応する外縁形状をなす一方、後側ケース体62が前側ケース体61よりも下方へ大きく膨出する形状に形成されている(
図8参照)。該後側ケース体62の下部(膨出部分)後面には、後述する揺動アーム76の係合軸79が係合する横長の係合溝67が形成されていると共に、後述するスライダ93が固定されている。また、後側ケース体62の右下隅部(可動体54における可動位置から待機位置への移動方向前側の端部)には、可動体54が可動位置側から待機位置へ向けて下方へ移動する際に配線保持部材100を押し下げるように当接する当接部69が設けられている(
図8参照)。なお、当接部69は、実施例では弧状に形成されている。後側ケース体62の左下隅部(膨出部分)には、台座部56に配設された原位置センサ82により検知される検知用リブ68aが後面に設けられた被検知部材68が取付けられている。被検知部材68の検知用リブ68aは、上下に延在する壁状に突設されており、可動体54の移動に応じて、フォトセンサとしての原位置センサ82の検知光を遮断する下端位置と、遮断しない上方位置とに移動する。この検知用リブ68aを原位置センサ82が検知している状態では、可動体54が待機位置にあることを制御装置が認識するようになっている。また、被検知部材68の上面には、後述する磁石Mに磁着する板金部材(磁着部材)68bが設けられている。なお、係合溝67の横幅は、揺動アーム76における係合軸79の左右方向の変位を可動体本体60の上下動に応じて許容し得る大きさに設定されている。
【0029】
(駆動機構55について)
前記駆動機構55は、
図4,
図7に示す如く、正逆回転可能な回転軸を備える駆動モータ(駆動手段)74と、該駆動モータ74の回転軸に固着される駆動ギア75と、該駆動ギア75の回転に応じて揺動することで可動体54を往復移動させる揺動アーム76と、両端が外方へ延出した形状をなして巻回方向に付勢力を生じさせる捻りバネ81とから構成されている。揺動アーム76の基端部には、台座部56の後述する基台部材83に枢支される揺動軸部77と、該揺動軸部77と同一中心をなす円弧状に形成されて駆動ギア75に噛合する従動ギア部78とが設けられ、該揺動アーム76の自由端部には、可動体本体60の係合溝67に係合する係合軸79が前方へ向けて突設されている。更に、揺動アーム76の後面には、後述する揺動開口90aに係入する揺動リブ80が後方へ向けて突設されている。
【0030】
前記台座部56は、可動体54および駆動機構55が配設される基台部材83と、該基台部材83の後面を覆う保護プレート90とから構成されている。基台部材83は、可動体54が上下に往復移動可能に設置される設置面(前面)84aを形成する画壁84と、該画壁84の設置面84aを略U字状に囲うことで周囲の配線等の入り込みを防止する囲い部85とにより、前方および上方が開口した箱状に形成されている。該囲い部85の右部分をなす駆動系設置領域86の前面には、駆動モータ74が回動軸を基台部材83の後面側に挿通させるようにして取着され、後面側では該駆動モータ74の回転軸に駆動ギア75が固着されている。また揺動アーム76は、駆動ギア75に従動ギア部78を噛合させた状態で駆動系設置領域86の後面側に枢支され、該揺動アーム76の自由端側に設けられる係合軸79は、基台部材83の画壁84に設けられた切欠き部84bを介して可動体54の係合溝67に係合している。すなわち、揺動アーム76と可動体54とは、互いの動作領域が基台部材83により前後に区画された状態で、係合軸79および係合溝67によってリンクしている。更に、揺動アーム76の基端側には、前記捻りバネ81が巻回部分に揺動軸部77を挿通して一端が揺動アーム76に係止された状態で保持されると共に、該捻りバネ81の他端は基台部材83に係止されており、該捻りバネ81が揺動アーム76を
図7において反時計方向(可動体54を待機位置から可動位置に向けて付勢する方向)に回動付勢するよう構成される。
【0031】
前記基台部材83には、駆動系設置領域86の前面における駆動モータ74の下方に、後述する配線保持部材100が取付けられている。また、囲い部85の左側上端部には、磁石Mが挿着される磁石挿入部87が後方へ開口して設けられており、該磁石挿入部87に挿入した磁石Mに、可動位置に到達した可動体54の前記板金部材68bが磁力吸着されることで該可動体54を確実に静止姿勢で保持し得るよう構成される。更に、磁石挿入部87から下方に離間した位置には、基台部材83の後面側から設置面84aに突出するように原位置センサ82が配設されている。そして、保護プレート90が基台部材83の後面を覆うように取付けられることで、保護プレート90と基台部材83との間に原位置センサ82が挟持されると共に磁石挿入部87が封止され、更に揺動アーム76が回動可能に抜け止め支持される。なお、台座部56に揺動アーム76が支持された状態では、揺動リブ80が保護プレート90に開設された扇状の揺動開口90aに係入し、該揺動開口90aの範囲内で揺動アーム76が揺動可能になっている。
【0032】
(ガイド機構57について)
図4,
図7に示す如く、前記ガイド機構57は、台座部56の設置面84aに固着される固定ガイド部材91と、該固定ガイド部材91に対して上下に摺動し得るよう配設される摺動ガイド部材92と、該摺動ガイド部材92に対して上下に摺動し得る状態で後側ケース体62(可動体本体60)の後面に配設されるスライダ93とから構成される。固定ガイド部材91は、上下方向を長手方向として左右に平行するよう台座部56の設置面84aに取り付けられる一対の長板部材91a,91aからなり、該一対の長板部材91a,91aの対向縁91b,91bにより設置面84aとの間に摺動ガイド部材92の両側部92a,92aを挟むことで、摺動ガイド部材92を上下に摺動可能に支持している。また、摺動ガイド部材92は、上下方向(長手方向)に延在する長孔92bが形成された長枠状の部材であり、固定ガイド部材91の対向縁91b,91bと設置面84aとに挟まれる両側部92a,92aが薄板状に形成されると共に、下端部が一対の長板部材91a,91aの離間間隔より幅広に設定されて、該下端部が長板部材91a,91aの下端に当接することで、当該摺動部材92が固定ガイド部材91の上方へ外れるのを防止し得るよう構成してある。
【0033】
図6に示す如く、前記後側ケース体62の後面に突設されて上下に離間するボス62a,62aが摺動ガイド部材92の長孔92bに摺動自在に挿通された状態で、該ボス6a,62aの後端にスライダ93がネジ止め固定されることで、摺動ガイド部材92とスライダ93に固定された後側ケース体62(可動体54)とが、長孔92bに沿って相対的に上下方向に移動可能に構成されている。ガイド機構57は、固定ガイド部材91に沿って摺動ガイド部材92が上下に摺動可能で、かつ該摺動ガイド部材92に沿って可動体54(スライダ93)が上下に摺動し得るよう構成されることで、可動体54の移動範囲を稼いでいる。すなわち、実施例では、固定ガイド部材91に対して摺動ガイド部材92が摺動し得る第1距離と、摺動ガイド部材92に対してスライダ93が摺動し得る第2距離とを加算した長さが、可動体54が移動可能な範囲として設定されている。
【0034】
(配線保持部材100について)
図3および
図8に示すように、前記基台部材83(台座部56)の前記駆動系設置領域86の前面における駆動モータ74の配設位置下方に、ハーネスHを設置部材50の後面側から設置面84a側に引き出すための配線引き出し口88が設けられると共に、該配線引き出し口88から引き出されたハーネスHを保持する配線保持部材
(配線保持部)100が揺動自在に枢支されている。配線保持部材100は、台座部56の駆動系設置領域86において後方に向けて突設された軸部89(
図5(b)参照)に枢支されており、軸部89の軸方向と交差する方向(設置面84aに沿う方向)に延在している。配線保持部材100の全長は、軸部89に枢支された状態で該枢支端部から離間する自由端部が、可動体54の移動経路Rに進入し得る長さに設定される。なお、
図8に、可動体54の待機位置と可動位置との間の移動移路Rを二点鎖線で示してある。より具体的には、配線保持部材100の全長は、該配線保持部材100の自由端部が、
図8(c)に示す如く、前記固定ガイド部材91における一方(配線保持部材100に近接する側)の長板部材91aの前側に重なる長さに設定されて、ハーネスHを比較的長く保持し得るよう構成されている。なお、配線保持部材100における自由端部の後面は、長板部材91aの前面より僅かに前側に位置するよう設定されており、該長板部材91aの前側に配線保持部材100の自由端部が重なる際に引掛かるのを防止すると共に、重なった状態での配線保持部材100の後方への変位を規制し得るようになっている。また、配線保持部材100は、ハーネスHを保持していない状態では自重によって自由端部が下向きとなるように、遊嵌状態で軸部89に枢支されている。
【0035】
前記配線保持部材100は、
図8(a)に示す如く、可動体54が待機位置にある状態では、自由端部が可動体54における可動位置から待機位置への移動方向前側に位置する傾斜姿勢となるよう構成される。なお、実施例では、基台部材83に設けたリブ83aに配線保持部材100の側面(可動体54から離間する側の側面)が当接することで、該配線
保持部材100が傾斜姿勢に保持されるようになっている。そして、
図8(a)に示す姿勢の配線保持部材100では、自由端部側の通孔110aは、可動体54の下端(後側ケース体62)の下端より下方に位置する。この状態で通孔110aは、可動体54における可動体用基板70のソケット71側(ハーネスHの可動体54からの延出部側)に偏って開口しており、該通孔110aから引き出されて引き出し端部が可動体用基板70にコネクタ接続されたハーネスHの引き出し部分が屈曲しないようになっている。また配線保持部材100の通孔110aは、
図8(c)に示す如く、可動体54が可動位置にある状態においても、可動体54が待機位置から可動位置に移動するのに伴ってハーネスHによって牽引されて回動することで可動体用基板70のソケット71に向けて開口するようになっている。すなわち、可動体54の待機位置において可動体用基板70のソケット71側に偏って通孔110aが設けられた配線保持部材100は、可動体54が待機位置と可動位置との間を移動する際に、前記通孔110aが可動体用基板70のソケット71側に向けて開口する姿勢に変位するよう構成されて、通孔110aとソケット71との間のハーネスHが屈曲するのを抑制し得るようになっている。
【0036】
前記配線保持部材100に保持されるハーネスHは、可動体54が待機位置にある状態(
図8(a)参照)では略U字状に湾曲した状態となり、可動体54が可動位置にある状態で直線状に緊張しない長さ(
図8(c)参照)に設定されている。そして、可動体54が待機位置にある状態では、配線引き出し口88から引き出されて配線保持部材100で保持されたハーネスHは、配線保持部材100から引き出された部分が可動体54の下方を左右方向に延在した後に先端部に設けたコネクタが可動体用基板70のソケット71に下方から接続されるようになっている。また、軸部89は、配線引き出し口88の下方近傍かつ僅かに可動体54側へ偏倚した位置に設けられ、枢支した配線保持部材100がハーネスHの配線引き出し口88に近い部位を保持し得るよう構成してある。なお、配線保持部材100に保持されるハーネスHは、可動体54が待機位置にある状態では下方の囲い部85の上面に当接しない長さに設定するのが好ましい。
【0037】
図5(a)に示すように、前記配線保持部材100は、台座部56に枢支されるベース体101と、該ベース体101の前側に着脱自在に取付けられる蓋部材107とから全体として細長い四角筒状に構成され、ベース体101と蓋部材107とを組付けた状態で、長手方向両端に外側方に開口する通孔110a,110b(
図8参照)が形成されると共に、両通孔110a,110bが連通する配線通路(通路)110が内部画成される。前記ベース体101は、平板状をなす底壁部102の短手方向に対向する一対の側壁部102a,102bが前方へ突設されることで、短手方向の断面がコ字状に形成されている。一対の側壁部102a,102bのうち、可動体54から離間する側に位置する一方の側壁部102aは、底壁部102の一方の側縁に沿って設けられると共に、自由端側が底壁部102の端縁に沿って弧状に延設されている。一方、可動体54に近接する側に位置する他方の側壁部102bは、底壁部102の他方の側縁に沿って平板状に形成されて、該他方の側壁部102bと一方の側壁部102aとの端部間に隙間が形成されている。一方の側壁部102aの内側面に、蓋部材107を位置決めするための2つの位置決めボス103,103が長手方向に離間して内側に膨出した状態で一体的に設けられると共に、他方の側壁部102bの内側面に、蓋部材107をネジ止めするためのネジ止めボス104が内側に膨出した状態で一体的に設けられている。なお、ネジ止めボス104は、ベース体101の長手方向において両位置決めボス103,103の略中間に位置している。一対の側壁部102a,102bは、蓋部材107を底壁部102と平行な状態に支持し得るよう、突出長が等しくされている。また、蓋部材107がベース体101に取付けられた状態では、各側壁部102a,102bの内面側に形成された位置決めボス103,103およびネジ止めボス104により、定幅の直進路を僅かに非直線状(蛇行状)に狭めた形状の配線通路110が内部画成される。
【0038】
更に、配線通路110の自由端側において、両側壁部102a,102bにおける自由端側の端部間に形成される通孔110aは、配線保持部材100の自由端から他方の側縁に亘って形成されて、該通孔110aが、可動体54の待機位置において該可動体54の可動体用基板70に接続されて前記配線保持棒64,64の間から下方に延在するハーネスHの延出部側に偏って開口するよう構成される。また、台座部56に枢支された配線保持部材100における自由端部側の通孔110aは、
図6に示す如く、可動体54からのハーネスHの延出部(具体的には前後のケース体61,62の間)と略同一平面上で開口するよう構成されて、該平面上で配線保持部材100が可動体54の移動に伴って回動するよう構成される。すなわち、通孔110aから引き出されて前後のケース体61,62の間に引き込まれているハーネスHが、可動体54および配線保持部材100の移動に際して前後方向に変位するのを抑制し得るようになっている。
【0039】
前記ベース体101における底壁部102の基端側(枢支端側)には、
図5(b)に示すように、台座部56の軸部89に枢支される軸挿通部(一端部)105が連設されると共に、該軸挿通部105を介して嵌合部材106がネジNにより軸部89に固定されている。軸挿通部105は、前面が底壁部102の前面と面一に設けられると共に底壁部102の後面よりも後方へ膨出した形状に形成され、内径が大きな第1内周面105aと、該第1内周面105aより小径の第2内周面105bとが段部を介して連設された内面によって挿通口が形成されている。嵌合部材106は、円筒状の筒部106aの前端にフランジ106bが形成されている。筒部106aは、軸挿通部105における第2内周面105bの内径よりも小径に形成されると共に、フランジ106bは第2内周面105bよりも大径で、かつ第1内周面105aよりも小径となる大きさに形成されている。また、軸挿通部105および嵌合部材106は、配線保持部材100が台座部56に枢支された状態における駆動系設置領域86の前面と嵌合部材106のフランジ106bとの最短距離が、軸挿通部105の第2内周面105bの軸方向の幅より大きくなるよう設定されている。すなわち、配線保持部材100は、軸挿通部105の挿通口に第2内周面105b側から軸部89を挿入した後、第1内周面105a側から嵌め込んだ嵌合部材106を軸部89にネジ止めすることで台座部56に枢支され、該枢支された状態で台座部56および嵌合部材106の間に軸挿通部105が遊嵌されるよう構成されている。
【0040】
前記蓋部材107は、
図5(a)に示すように、光透過性の合成樹脂材によりベース体101の底壁部102に対応する大きさの平板状に形成されている。また、可動体54から離間する側の一方の側縁に沿う位置には、ベース体101に設けられた2つの位置決めボス103,103が嵌入する2つの位置決め開口108,108が設けられており、可動体54に近接する側の他方の側縁に沿う位置には、ベース体101のネジ止めボス104にネジ止めされるネジ止め孔109が設けられている。なお、位置決め開口108,108が板厚方向だけでなく側方へも開口する切欠き状に設けられていることで、蓋部材107をコンパクトに成形し得ると共に、ベース体101に対する位置決めを容易に解除し得るようになっている。
【0041】
〔実施例の作用〕
次に、前述した実施例に係るパチンコ機10の作用につき説明する。
【0042】
図7(a)に示すように、前記可動体54が待機位置に位置する状態で、前記駆動機構55は、揺動アーム76が揺動範囲の下端に位置し、摺動ガイド部材92およびスライダ93が何れも摺動下端に位置する状態で、駆動ギア75が従動ギア部78の回動を阻止している。この状態において、可動体54の係合溝67に係合する揺動アーム76の係合軸79には、揺動アーム76を押し下げる方向に可動体54の重みがかかるが、本実施例では、揺動アーム76の基端側に保持された捻りバネ81の付勢力により、揺動アーム76にかかる押し下げ力が軽減されていると共に、意匠シート73の採用や可動体本体60や可動体用基板70に設けた複数の開口63,66,72により可動体54の軽量化が図られている。従って、可動体54を待機位置から上昇させる際に駆動モータ74にかかる負荷を小さくでき、可動体54をスムーズに上昇移動させることができる。なお、可動体54の待機位置では、前記被検知部材68の検知用リブ68aにより原位置センサ82の検知光が遮断(オフ)されている。
【0043】
前記可動体54を動作させるべく駆動モータ74を回転駆動すると、前記駆動ギア75と従動ギア部78との噛合作用下に、揺動アーム76が上昇して可動体54の係合溝67を押し上げる。ここで、係合軸79は、揺動アーム76の揺動軸部77を支点とする弧状に上昇するが、可動体54は、ガイド機構57により左右への変位が規制されているので、該可動体54は、係合溝67の幅内で係合軸79の左右移動を許容しながら係合軸79の押し上げ力を継続的に受け、摺動ガイド部材92に対するスライダ93の摺動に従って上方へ移動する。
【0044】
図7(b)に示すように、前記可動体54に設けたスライダ93が摺動ガイド部材92の長孔92bの内縁上端に当接すると、スライダ93の摺動ガイド部材92に対する変位が規制されるが、以後はスライダ93に押し上げられて摺動ガイド部材92が固定ガイド部材91に沿って上方へ摺動することで、スライダ93および可動体54の更なる上昇移動が許容される。そして、
図7(c)に示すように、可動体54が可動位置に到達すると、前記駆動モータ74が停止制御され、該可動体54は可動位置に保持される。このとき、可動体54に設けた板金部材68bが磁石Mに磁力吸着されることにより、可動体54は可動位置で安定的に静止した状態に保持される。そして、前記駆動モータ74を逆方向に回転駆動すると、前記駆動ギア75と従動ギア部78との噛合作用下に、揺動アーム76が下降して可動体54が可動位置から待機位置に戻り、前記被検知部材68の検知用リブ68aにより原位置センサ82の検知光が遮断されたときに、駆動モータ74を停止制御することで可動体は待機位置に保持される。
【0045】
次に、前記可動体54の移動に伴う配線保持部材100の作用につき説明する。
図8(a)に示すように、前記可動体54が待機位置に位置する状態において、ハーネスHにおける可動体54に近い一端側は、可動体用基板70に固定されたソケット71レクタから一対の配線保持棒64,64の間を通って直下方向(可動体54の可動位置から待機位置への移動方向前方)へ延在し、ハーネスH全体としては可動体54と配線引き出し口88との間で略U字状に大きく湾曲している。配線保持部材100はこのハーネスHの形状に沿うよう、鉛直姿勢よりも僅かに下端(自由端部)が可動体54側へ寄った傾斜姿勢でハーネスHの他端側(配線引き出し口88側)を保持している。配線保持部材100はこのハーネスHの形状に沿うよう、鉛直姿勢よりも僅かに下端(自由端部)が可動体54側へ寄った傾斜姿勢でハーネスHの他端側(配線引き出し口88側)を保持している。なお、配線通路110の内部では、ハーネスHが該配線通路110の形状に沿って湾曲状態で保持されると共に、該湾曲形状に沿って通孔110a,110bの各中央を通るように延在している。
【0046】
前記可動体54が待機位置から上方への移動を開始すると、可動体54に従動するハーネスHに牽引されて配線保持部材100が自由端部を軸部89の下方位置から可動体用基板70のソケット71へ近づけるように回動を開始し、自由端部が軸部89と同じ高さに至るまでの間には、
図8(b)に示すように、可動体54の移動経路Rに自由端部が入り込んだ状態となる。すなわち、配線保持部材100は、可動体54の上昇に伴う上方への回動により自由端部を大きく可動体54側に移動させ得る全長(軸部89に対する径方向の延在長さ)とされている。従って、可動体54の上昇に応じてハーネスHが湾曲を緩めるように上方へ引っ張られていくのに対して、可動体用基板70のソケット71と、配線保持部材100の自由端部との水平方向の距離は大幅に縮小されるから、可動体54が上昇しても、ハーネスHの一端側が直下へ延在する姿勢は大きく変位することはない。
【0047】
図8(c)に示すように、前記可動体54が可動位置に到達した状態では、配線保持部材100の自由端部と、可動体用基板70のソケット71との距離が最も大きくなり、これに応じてハーネスHが最も直線に近くなる。この状態において、配線保持部材100は、自由端部が軸部89の高さを僅かに越える高さに位置している。すなわち、配線保持部材100の揺動範囲は、該配線保持部材100の自由端部が軸部89と水平に並ぶ状態(配線保持部材100が水平に延在する状態)を基準として上側となる揺動範囲が、下側となる揺動範囲よりも小さくなるよう設定されている。そして、可動体54が可動位置に到達した際の配線保持部材100の姿勢においても、自由端部側の通孔110aが可動体54の可動体用基板70のソケット71に向いており、該通孔110aから引き出されて可動体用基板70にコネクタ接続されたハーネスHが屈曲することなく略直線状に延在し、該ハーネスHに大きな負荷が加わることはない。なお、配線保持部材100の自由端部の後面は、固定ガイド部材91における一方の長板部材91aの前面に重なっている。
【0048】
前記可動体54が可動位置から待機位置へ向けて下降する場合において、可動体54の進行方向に位置するハーネスHは、可動体54に押されて下方へ退避することで、可動体54との干渉が防止される。ここで、配線保持部材100は、軸部89に遊嵌されているため、通常はハーネスHの退避に従って下方へ回動するが、可動体54と配線保持部材100との間に位置するハーネスHの姿勢、あるいは配線保持部材100の設置状態の不具合やゴミの混入等といった何らかの原因により、ハーネスHによってのみでは配線保持部材100が回動しない事態が生ずるおそれがある。しかるに、本実施例では、可動体54が可動位置から下降する場合に、配線保持部材100の自由端部が可動体54の移動経路Rに位置している。従って、配線保持部材100がハーネスHの移動を受けても下方へ回動しない状態に陥った場合には、下降してくる可動体54の当接部69が配線保持部材100に当接して直接的かつ強制的に配線保持部材100を押し下げることができる。これにより、配線保持部材100の自由端部を可動体54から離間して、可動体54に対するハーネスHの引っ掛かりを防ぐことができる。また、可動体54の当接部69は、配線保持部材100における自由端側の通孔110aより基端側(揺動支点側)に当接するように設定されているので、可動体54の当接部69と配線保持部材100との間にハーネスHが噛み込まれるのは防止される。
【0049】
前述したように、実施例に係るパチンコ機10では、配線保持部材100の全長を、軸部89に枢支された状態で自由端部が可動体54の移動経路Rに至る長さに設定した。これにより、ハーネスHを比較的長く保持し得ることで可動体54の動作に係るハーネスHの可動部位を小さく制限できると共に、配線保持部材100が自重によっては下方へ回動しない事態が生じたとしても、可動体54の当接部69により強制的に配線保持部材100を押し下げて可動体54に対するハーネスHの引っ掛かりを防ぐことができる。従って、可動体54の動作がハーネスHによって阻害されたり、ハーネスHのコネクタが可動体用基板70のソケット71から外れる問題が発生するのを防止し得る。
【0050】
また、可動体54が待機位置から上方へ移動する場合に配線保持部材100の自由端部を可動体54側に移動させることで、可動体用基板70のソケット71と、配線保持部材100の自由端部との水平方向の距離が大幅に縮小されるよう構成した。また、配線保持部材100の揺動範囲を、配線保持部材100が水平に延在する状態を基準としたとき、基準位置より上側への揺動範囲が下側への揺動範囲よりも小さくなるよう設定した。これにより、ハーネスHの一端側が可動体54の一連の動作の際に動き難くなり、ハーネスHのうち可動体用基板70のソケット71に接続されるコネクタとそれに接合する配線部分との間に生じる負荷が軽減される。従って、ハーネスHの断線やコネクタ抜けを防止し得る。
【0051】
前記可動体用基板70の前面に対向する前側ケース体61の後面に、ソケット71の真下に並ぶ一対の配線保持棒64を設け、コネクタから配線が直下へ延出するハーネスHの正常姿勢が維持されるよう可動体54を構成した。これにより、可動体54の下方移動に応じてハーネスHにおけるコネクタとの接合部分に交差方向への引っ張り力が働かず、コネクタとの接合部位に生じ易い折れや断線を防止し得る。また、可動体54が可動位置にある状態でハーネスHが最も直線に近くなるよう構成すると共に、可動体54が可動位置にある場合に、配線保持部材100における自由端部の後面が固定ガイド部材91の前面で支持可能に構成した。すなわち、ハーネスHに遊びが少ない状態において配線保持部材100が後方から支持されてガタつきが抑えられることで、ハーネスHが直線状に緊張する状態が生じるのを防止し得る。
【0052】
前記配線保持部材100は、可動体54が待機位置と可動位置との間を移動する際に、自由端部側の通孔110aが常に可動体用基板70のソケット71側に開口する姿勢に変位するよう構成したので、可動体54が移動する際に通孔110aとソケット71との間のハーネスHが屈曲するのを抑制し、可動体54に絡んだりハーネスHの断線やコネクタ抜けを防止することができる。また、配線保持部材100は、自由端側の通孔110aが可動体54からのハーネスHの延出部(具体的には前後のケース体61,62の間)と略同一平面上に位置する状態で回動するようにしたので、通孔110aとソケット71との間のハーネスHが前後に変位するのを抑制することができ、ハーネスHが可動体54やガイド機構57に絡んだりハーネスHの断線やコネクタ抜けをより防止することができる。更に、可動体54が可動位置から待機位置へ移動する際にハーネスHの移動に伴って回動する配線保持部材100は、自由端部が鉛直姿勢よりも可動体54から離間する側を向く傾斜姿勢となるのが前記リブ83aで防止される。言い替えれば、配線保持部材100は、可動体54の待機位置においては、自由端部が可動体54側へ寄った傾斜姿勢にリブ83aで保持されるので、可動体54が可動位置へ向けて移動する際にはハーネスHに牽引されて該配線保持部材100は自由端部が可動体54の移動経路R側へ円滑に回動する。更にまた、通孔110aを画成する側壁部102aは、可動体用基板70のソケット71側とは反対側(通孔110aの開口側とは反対側)では配線通路110を閉塞しているので、可動体54が可動位置から待機位置に移動する際に、ハーネスHが側壁部102aで位置規制されて意図しない方向に変位してしまうのを防止することができる。
【0053】
前記配線通路110が位置決めボス103,103およびネジ止めボス104により非直線状(蛇行状)となるよう内部画成され、通孔110aが可動体54側へ偏倚した位置に画成されるよう配線保持部材100を構成した。これにより、ハーネスH自体の弾性を利用して配線通路110にハーネスHの一部を保持させることができるため、配線保持部材100を簡易な形状とすることができる。また、軸挿通部105が設けられるベース体101とは別体の嵌合部材106を備え、軸挿通部105を挟むようにして嵌合部材106を軸部89にネジ止めすることで、嵌合部材106および台座部56の間で配線保持部材100が遊嵌状態で枢支されるよう構成した。すなわち、ネジNを強く締結しすぎたとしても配線保持部材100が揺動し難くなることがないため、配線保持部材100がハーネスHの動作を阻害せず、ハーネスHの断線やコネクタ抜けを防止し得る。
【0054】
前記可動体54およびハーネスHの動作領域と、揺動アーム76の動作領域とが基台部材83によって区画されるよう構成したので(
図6参照)、ハーネスHが揺動アーム76に引っ掛かりハーネスHの破損や可動体54の動作不良が生じる不具合を防止し得る。また、前側ケース体61の下端縁より後側ケース体62を下方に延出するよう構成し、該後側ケース体62の前側を下方に向けてハーネスHが延在するよう構成したので、該ハーネスHがガイド機構57の配設側(後側)へ変位するのを後側ケース体62で抑制することができ、ハーネスHがガイド機構57に絡むのを防ぐことができる。また、前側ケース体61の下端縁から舌片65を延出すると共に、該舌片65の下端縁に、配線保持部材100側を向く誘導傾斜面65aを形成してある。これにより、可動体54の下方移動によってハーネスHが押し下げられる際に、ハーネスHが前側に湾曲したとしても、該湾曲部分は誘導傾斜面65aに沿って配線保持部材100側に誘導されるため、配線保持部材100のスムーズな回動が許容される。更に、実施例では、可動体54が移動自在に配設される基台部材83を箱状に形成し、可動体54から延出するハーネスHを、該ハーネスHの延出部と対向する囲い部85で受け得るよう構成してあるので、可動体54が可動位置から待機位置に移動した際にハーネスHが基台部材83の外側方に延出するのを防止して他部品に引掛かるのを確実に防ぐことができる。
【0055】
ここで、前記可動体54の待機位置において、該可動体54から下方に延在するハーネスHが基台部材83の囲い部85に当接して湾曲した場合に、該ハーネスHの弾性によって配線保持部材100が、自由端部を可動体54に近接する方向に大きく回動されるおそれがある。しかるに、実施例では、可動体54の当接部69に配線保持部材100が当接することで、該配線保持部材100の自由端部が可動体54の下方に近接する方向の回動は規制されるので、自由端部の通孔110aから引き出されているハーネスHが可動体54の下側で大きく移動するのは防止され、該ハーネスHが可動体54に絡むのを防ぐことができる。
【0056】
また、待機位置にある可動体54と配線引き出し口88との間でハーネスHが略U字状に吊り下がるのに対し、軸部89を配線引き出し口88の下方近傍かつ可動体54側へ偏倚した位置に設けた。これにより、最も滞在時間が長くなる待機位置に可動体54がある状態で、配線保持部材100における通孔110aの縁を基点としたハーネスHの折れを生じさせることがなく、自然な状態で配線保持部材100がハーネスHを保持し得る。
【0057】
〔変更例について〕
なお、本発明に係る遊技機の構成としては、前述した実施例に示したものに限らず、種々の変更が可能で、例えば以下のものを採用可能である。
(1) 実施例では、可動体が設置面に沿って上下方向に移動するよう構成したが、左右方向その他の方向に移動するよう構成してもよい。また、直線方向ではなく回動方向に移動するよう構成してもよい。
(2) 実施例では、可動体に電気部品として可動体用基板を設置したが、電気部品としてはこれに限定されるものでなく、可動体に設けられる可動部材を動作させるためのモータやソレノイド等の駆動手段であってもよい。
(3) 実施例では、配線保持部材をベース体と蓋部材とから構成したが、ハーネスを挿通する通孔および案内する通路を備える筒状の部材であってもよい。
(4) 実施例では、配線保持部材を細長い矩形筒状に構成したが、ハーネスの湾曲に沿うよう曲筒状に構成してもよい。その他、複数の部材を延在方向に軸連結し、配線通路を変形させ得るように構成してもよい。
(5) 実施例では、可動体を駆動モータによって移動するよう構成したが、可動体を移動する駆動手段は、ソレノイドやその他公知の手段を採用可能である。
(6) 遊技機としては、パチンコ機に限られるものではなく、アレンジボール機やパチンコ球を用いたスロットマシン等、その他各種の遊技機であってもよい。