【実施例】
【0231】
実験の部
A 光増感剤の合成
化学的に反応性の基を有する化合物
一般的方法:
空気-または水-感受性の反応は、乾燥アルゴン下で行われた。溶媒は一般的に乾燥され、使用前に蒸留された。反応は、Merck シリカゲル 60 F
254 が前もって被覆されたアルミシートでの薄層クロマトグラフィーによってモニターされた。カラムクロマトグラフィー:Merck シリカゲル Si 60 (40-63 μm, 230-400 メッシュまたは63-200 μm, 70-230 メッシュ)。融点は、Electrothermal IA9300 デジタル融点計器で測定された。NMR:Bruker ARX 200 (
1H: 200.13 MHz,
13C: 50.32 MHz)またはAvance AV 300 (
1H: 300.13 MHz,
13C: 75.48 MHz), CDCl
3溶液で;
1H ケミカルシフト (δ)は、内部標準としてのTMS (テトラメチルシラン)に対してのppmで与えられ、J値はHzで、
13C ケミカルシフトは、77.0 ppmでのCDCl
3の中央ピークに対してで与えられる。高および低分解マススペクトル測定は、EBE TOF ジオメトリー、m-ニトロベンジルアルコール(mNBA)中、Cs
+ を用いる8 kVでのLSIMS (液体二次イオン質量分析); 4 kVでのES
+ (電子スプレーイオン化, 正電荷モード);70 eVでのEI (電子イオン化)を有するMicromass MS/MS ZABSpec TOF測定器を用いて、Centre Regional de Mesures Physiques de l'Ouest (C.R.M.P.O., Rennes)で行われた。元素分析はC.R.M.P.O.で行われた。
【0232】
実施例 1
フルオレン中核部の一般的合成:
2,7-ジヨードフルオレンをトルエン中に入れ、3分間超音波処理した。トルエン中に、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)を加え、続いてアルキルハライドまたはトシレートを加えた。最後に、NaOH (50 重量%溶液)を加えた。反応混合物を脱気し、アルゴン下、60℃で20時間加熱し、次いで室温に冷却した。次いで、反応混合物をCH
2Cl
2および水で希釈した。有機層を分離し、水層をCH
2Cl
2で抽出した。合わせた有機層を水で洗浄し、次いで1M HClおよび最後に飽和NaCl溶液で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥した。蒸発乾固後、粗試料をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーで精製し、対応する9,9-ジアルキル-2,7-ジヨード-9H-フルオレンを得た。
【0233】
実施例 2
光増感剤の一般的合成:
対応する9,9-ジアルキル-2,7-ジヨード-9H-フルオレンから、2-メチル-3-ブチン-2-オールを用いる二重のパラジウム(II)-触媒クロスカップリング、続いて得られた中間体の塩基推進の脱保護により、フルオレン中核部を得た。適当な(3,4-置換されたまたは置換されていない) 5-ヨードチオフェン-2-カルボキシアルデヒドを用いる9,9-ジアルキル-2,7-ジエチニル-9H-フルオレンの二重の薗頭カップリングにより、対応する5,5'-(9,9-ジアルキル-9H-フルオレン-2,7-ジイルジ-2,1-エチンジイル)ビス-2-チオフェンカルボキシアルデヒドを得た。これらのジアルデヒドの[[4-[エチル(2-ヒドロキシエチル)アミノ]フェニル]メチル]トリフェニルホスホニウム ヨーダイド (Porres, L.; Bhatthula, B. K. G.; Blanchard-Desce, M. Synthesis 2003, 1541-1544)とのウィッティヒ縮合により、単一の(E,E)-立体異性体として対応する光増感剤を得た。
【0234】
実施例 3
4,4'-(9,9-ジブチル-9H-フルオレン-2,7-ジイル)ビス(2-メチル-3-ブチン-2-オール)
【化45】
【0235】
20分間のアルゴン吹付けにより、37.5 mLのトルエン/Et
3N (5/1)中の9,9-ジブチル-2,7-ジヨード-9H-フルオレン (Li, F.; Chen, Z.; Wei, W.; Cao, H.; Gong, Q.; Teng, F.; Qian, L.; Wang, Y. J. Phys. D: Appl. Phys. 2004, 37, 1613-1616) (6.00 g, 11.3 mmol)の溶液から空気を除いた。次いで、CuI (86 mg, 0.45 mmol)、Pd(PPh
3)
2Cl
2 (316 mg, 0.45 mmol)および2-メチル-3-ブチン-2-オール (2.84 g, 33.8 mmol)を加え、混合物を40℃で16時間撹拌した。溶媒蒸発後、残渣をカラムクロマトグラフィー (ヘプタン/CH
2Cl
2 30:70 次いでCH
2Cl
2)により精製し、4.37 g (87%)の4,4'-(9,9-ジブチル-9H-フルオレン-2,7-ジイル)ビス(2-メチル-3-ブチン-2-オール)を得た。
【0236】
1H NMR (200.13 MHz, CDCl
3) δ 7.60 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.40 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.38 (s, 2H), 2.16 (s, 2H), 1.94 (m, 4H), 1.66 (s, 12H), 1.07 (m, 4H), 0.66 (t, J = 7.3, 6H), 0.52 (m, 4H);
13C NMR (50.32 MHz, CDCl
3) δ 150.8, 140.5, 130.7, 126.0, 121.3, 119.8, 93.9, 82.9, 65.7, 55.0, 40.1, 31.5, 25.7, 23.0, 13.8;
HRMS (EI) C
31H
38O
2 (M
+・)に対する計算値 m/z 442.2872, 実測値 442.2859
分析(Anal.) C
31H
38O
2 (442.64)に対する計算値: C, 84.12; H, 8.65 実測値: C, 84.01; H, 8.71
【0237】
実施例 4
9,9-ジブチル-2,7-ジエチニル-9H-フルオレン
【化46】
【0238】
20 mLのトルエン/i-PrOH (3/1)中の4,4'-(9,9-ジブチル-9H-フルオレン-2,7-ジイル)ビス(2-メチル-3-ブチン-2-オール) (1.04 g, 2.35 mmol)の溶液に、固体のKOH (0.39 g)を加えた。混合物を還流下で0.5時間加熱した。冷却後、KOHを濾別し、溶媒を蒸発し、残渣をカラムクロマトグラフィー (ヘプタン/CH
2Cl
2 70:30 次いで20:80)により精製し、0.54 g (71%)の2,7-ジエチニル-9,9-ジブチル-9H-フルオレンを得た。
【0239】
1H NMR (200.13 MHz, CDCl
3) δ 7.63 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.48 (d, J = 8.6 Hz, 2H), 7.46 (s, 2H), 3.15 (s, 2H), 1.94 (m, 4H), 1.07 (m, 4H), 0.67 (t, J =7.2 Hz, 6H), 0.54 (m, 4H);
13C NMR (50.32 MHz, CDCl
3) δ 151.0, 140.9, 131.2, 126.5, 120.8, 119.9, 84.5, 77.4, 55.1, 40.0, 25.8, 22.9, 13.7;
HRMS (EI) C
25H
26 (M
+・)に対する計算値 m/z 326.2035, 実測値 326.2036
分析 C
25H
26 (326.48)に対する計算値: C, 91.97; H, 8.03 実測値: C, 92.17; H, 8.07
【0240】
実施例5
5,5'-(9,9-ジブチル-9H-フルオレン-2,7-ジイルジ-2,1-エチンジイル)ビス-2-チオフェンカルボキシアルデヒド
【化47】
【0241】
20分間のアルゴン吹付けにより、6.5 mLのトルエン/Et
3N (4/1)中の2,7-ジエチニル-9,9-ジブチル-9H-フルオレン (0.150 g, 0.460 mmol)および5-ヨードチオフェン-2-カルボキシアルデヒド (Wu, L.-H.; Chu, C.-S.; Janarthanan, N.; Hsu, C.-S. J. Polym. Res. 2000, 7, 125-134 ) (0.251 g, 1.06 mmol)の溶液から空気を除いた。次いで、CuI (7.0 mg, 0.0037 mmol)およびPd(PPh
3)
2Cl
2 (27 mg, 0.0039 mmol)を加え、10分間脱気を続けた。その後、混合物を40℃で16時間撹拌した。溶媒を減圧下に除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー (ヘプタン/CH
2Cl
2 50:50 次いで40:60)により精製し、245 mg (97%)の5,5'-(9,9-ジブチル-9H-フルオレン-2,7-ジイルジ-2,1-エチンジイル)ビス-2-チオフェンカルボキシアルデヒドを得た。
【0242】
1H NMR (300.13 MHz, CDCl
3) δ 9.80 (s, 2H), 7.61および7.26 (AX, J
AX = 3.9 Hz, 4H), 7.62 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.47 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.45 (s, 2H), 1.93 (m, 4H), 1.02 (m, 4H), 0.60 (t, J =7.3 Hz, 6H), 0.51 (m, 4H);
13C NMR (75.46 MHz, CDCl
3) δ 182.4, 151.4, 143.9, 141.4, 136.1, 133.0, 132.5, 131.0, 126.0, 120.9, 120.4, 98.9, 82.6, 55.3, 40.1, 25.9, 23.0, 13.8;
HRMS (ESI) C
35H
30O
2S
2 (M
+・)に対する計算値 m/z 546.16872, 実測値 546.1687
【0243】
実施例 6
5,5'-(9,9-ジブチル-9H-フルオレン-2,7-ジイルジ-2,1-エチンジイル)ビス(3,4-エチレンジオキシ-2-チオフェンカルボキシアルデヒド)
【化48】
【0244】
20分間のアルゴン吹付けにより、トルエン/Et
3N (4/1)中の2,7-ジエチニル-9,9-ジブチル-9H-フルオレンおよび5-ヨード-3,4-エチレンジオキシチオフェン-2-カルボキシアルデヒド (Jessing, M.; Brandt, M.; Jensen, K. J.; Christensen, J. B.; Boas, U. J. Org. Chem. 2006, 71, 6734) (2.3 当量)の溶液から空気を除いた。次いで、CuI (2×4 mol%)およびPd(PPh
3)
2Cl
2 (2×4 mol%)を加え、10分間脱気を続けた。その後、混合物を40℃で16時間撹拌した。溶媒を減圧下に除去し、粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー (ヘプタン/CH
2Cl
2 50:50 次いで40:60)により精製し、5,5'-(9,9-ジブチル-9H-フルオレン-2,7-ジイルジ-2,1-エチンジイル)ビス(3,4-エチレンジオキシ-2-チオフェンカルボキシアルデヒド)を得た。
【0245】
実施例 7
5-[[7-[[5-[(1E)-2-[4-(ジヘキシルアミノ)フェニル]エテニル]チエニ-2-イル]エチニル]-9,9-ジブチル-9H-フルオレン-2-イル]エチニル]チオフェン-2-カルボキシアルデヒド
【化49】
【0246】
無水CH
2Cl
2 (40 mL)中の5,5'-(9,9-ジブチル-9H-フルオレン-2,7-ジイルジ-2,1-エチンジイル)ビス-2-チオフェンカルボキシアルデヒド (1.14 g, 2.085 mmol)および[[4-(ジヘキシルアミノ)フェニル]メチル]トリフェニルホスホニウム ヨーダイド (1.66 g, 2.501 mmol)の溶液に、tBuOK (0.352 g, 3.137 mmol)を加えた。混合物を20℃で16時間撹拌し、次いでシリカゲルの短いパッドにより濾過した。溶媒を減圧下に除去し、粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー (へプタン/CH
2Cl
2 勾配 70:30〜30:70)により精製し、701 mg (42%)の5-[[7-[[5-[(1E)-2-[4-(ジヘキシルアミノ)フェニル]エテニル]チエニ-2-イル]エチニル]-9,9-ジブチル-9H-フルオレン-2-イル]エチニル]チオフェン-2-カルボキシアルデヒドを得た。
【0247】
1H NMR (300.13 MHz, CDCl
3) δ 9.88 (s, 1H), 7.70 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.69および7.35 (AX, J
AX = 3.9 Hz, 2H), 7.68 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.56-7.49 (m, 4H), 7.33および6.61 (AA'XX', J
AX = 8.9 Hz, 4H), 7.17および6.87 (AX, J
AX = 3.8 Hz, 2H), 6.95 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 6.86 (d, J = 16.0 Hz, 1H), 3.28 (m, 4H), 2.00 (m, 4H), 1.60 (m, 4H), 1.33 (m, 12H), 1.11 (m, 4H), 0.91 (t, J = 6.8 Hz, 6H), 0.69 (t, J = 7.3 Hz, 6H), 0.59 (m, 4H)
【0248】
実施例 8
光増感剤 6a(本願において、化合物CR109とも呼ばれる)
【化50】
【0249】
無水CH
2Cl
2 (10 mL)中の5,5'-(9,9-ジブチル-9H-フルオレン-2,7-ジイルジ-2,1-エチンジイル)ビス-2-チオフェンカルボキシアルデヒド (0.241 g, 0.441 mmol)および[[4-[エチル(2-ヒドロキシエチル)アミノ]フェニル]メチル]トリフェニルホスホニウム ヨーダイド (Porres, L.; Bhatthula, B. K. G.; Blanchard-Desce, M. Synthesis 2003, 1541-1544) (0.576 g, 1.016 mmol)の溶液に、tBuOK (0.149 g, 1.325 mmol)を加えた。混合物を20℃で16時間撹拌し、次いでシリカゲルの短いパッドにより濾過した。溶媒を減圧下に除去し、粗生成物をカラムクロマトグラフィー (CH
2Cl
2/AcOEt 98:2 次いで95:5)により精製し、134 mg (35%)の6aを得た。
【0250】
1H NMR (300.13 MHz, CDCl
3) δ 7.66 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.50 (d, J = 8.0 Hz, 2H), 7.48 (m, 2H), 7.35および6.73 (AA'XX', J
AX = 8.9 Hz, 8H), 7.17および6.89 (AX, J
AX = 3.6 Hz, 4H), 6.98 (d, J = 16.0 Hz, 2H), 6.85 (d, J = 16.0 Hz, 2H), 3.81 (t, J = 5.7 Hz, 4H), 3.50 (t, J = 5.7 Hz, 4H), 3.50 (q, J = 7.1 Hz, 4H), 1.99 (m, 4H), 1.66 (s, 2H), 1.18 (t, J = 7.0 Hz, 6H), 1.07 (m, 4H), 0.69 (t, J = 7.3 Hz, 6H), 0.59 (m, 4H);
13C NMR (75.46 MHz, CDCl
3) δ 151.1, 148.1, 145.8, 140.7, 132.7, 130.5, 129.6, 127.9, 125.6, 125.0, 124.8, 121.8, 120.4, 120.0, 117.2, 112.5, 94.9, 84.0, 60.3, 55.2, 52.4, 45.6, 40.2, 25.9, 23.1, 13.9, 12.0;
HRMS (ESI) C
57H
61N
2O
2S
2 [(M+H)
+]に対する計算値 m/z 869.41745, 実測値 869.4173
【0251】
【表1】
【0252】
化合物 6aのエタノール中での吸収および発光スペクトル(
図10)、化合物 6aのTHF中での二光子吸収(
図11)および化合物 6aのUV-可視吸収スペクトル(
図14)が示されている。
【0253】
実施例 9
光増感剤 9a
【化51】
【0254】
無水CH
2Cl
2 (10 mL)中の5-[[7-[[5-[(1E)-2-[4-(ジヘキシルアミノ)フェニル]エテニル]チエニ-2-イル]エチニル]-9,9-ジブチル-9H-フルオレン-2-イル]エチニル]チオフェン-2-カルボキシアルデヒド (300 mg, 0.373 mmol)および[[4-[エチル(2-ヒドロキシエチル)アミノ]フェニル]メチル]トリフェニルホスホニウム ヨーダイド (666 mg, 1.175 mmol)の溶液に、tBuOK (219 mg, 1.958 mmol)を加えた。混合物を20℃で16時間撹拌し、次いでシリカゲルの短いパッドにより濾過した。溶媒を減圧下に除去し、粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー (ヘプタン/CH
2Cl
2 勾配 50:50〜20:80)により精製し、302 mg (84%)の9aを得た。
【0255】
1H NMR (300.13 MHz, CDCl
3) δ 7.69 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.56 (m, 2H), 7.55 (d, J = 8.5 Hz, 2H), 7.38および6.75 (AA'XX', J
AX = 8.9 Hz, 4H), 7.38および6.66 (AA'XX', J
AX = 8.9 Hz, 4H), 7.22および6.922 (AX, J
AX = 3.7 Hz, 2H), 7.22および6.912 (AX, J
AX = 3.7 Hz, 2H), 7.02 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 7.01 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 6.918 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 6.908 (d, J = 15.9 Hz, 1H), 3.81 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 3.50 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 3.46 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.32 (m, 4H), 2.05 (m, 4H), 1.89 (br s, 1H), 1.64 (m, 4H), 1.38 (m, 12H), 1.20 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 1.16 (m, 4H), 0.97 (t, J = 6.6 Hz, 6H), 0.74 (t, J = 7.3 Hz, 6H), 0.67 (m, 4H);
13C NMR (75.46 MHz, CDCl
3) δ 151.1, 147.9, 146.0, 145.7, 140.64, 140.57, 132.6, 130.4, 129.9, 129.5, 127.8, 125.6, 125.0, 124.7, 124.4, 123.5, 121.8, 121.7, 120.4, 120.0, 119.9, 117.1, 116.3, 112.5, 111.5, 94.9, 94.7, 84.0, 83.9, 60.2, 55.1, 52.4, 51.0, 45.6, 40.2, 31.7, 27.2, 26.8, 25.9, 23.0, 22.7, 14.0, 13.8, 11.9
【0256】
実施例 10
光増感剤 11a
【化52】
【0257】
無水CH
2Cl
2中の5-[[7-[[5-[(1E)-2-[4-(ジヘキシルアミノ)フェニル]エテニル]チエニ-2-イル]エチニル]-9,9-ジブチル-9H-フルオレン-2-イル]エチニル]チオフェン-2-カルボキシアルデヒドおよび[[4-[エチル[2-(4-ヒドロキシフェノキシ)エチル]アミノ]フェニル]メチル]トリフェニルホスホニウム ヨーダイドの溶液に、tBuOK (2 当量)を加えた。混合物を20℃で16時間撹拌し、次いでシリカゲルの短いパッドにより濾過した。溶媒を減圧下に除去し、粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー (ヘプタン/CH
2Cl
2)により精製し、光増感剤 11aを得た。
【0258】
実施例 11
光増感剤 14
【化53】
【0259】
無水CH
2Cl
2中の5,5'-(9,9-ジブチル-9H-フルオレン-2,7-ジイルジ-2,1-エチンジイル)ビス(3,4-エチレンジオキシ-2-チオフェンカルボキシアルデヒド)および[[4-[エチル(2-ヒドロキシエチル)アミノ]フェニル]メチル]トリフェニルホスホニウム ヨーダイド (2.33 当量)の溶液に、tBuOK (3 当量)を加えた。混合物を20℃で16時間撹拌し、次いでシリカゲルの短いパッドにより濾過した。溶媒を減圧下に除去し、粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー (CH
2Cl
2/AcOEt)により精製し、光増感剤 14を得た。
【0260】
実施例 12
2,7-ジヨード-9,9-ビス[2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]-9H-フルオレン
【化54】
【0261】
1.0 gの2,7-ジヨードフルオレン (2.4 mmol)を4 mLのトルエンに入れ、3分間超音波処理した。これに、0.25 gのテトラブチルアンモニウム ブロマイド (TBAB) (0.78 mmol)加え、続いて2 mLのトルエン中の2.5 gの2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル p-トルエンスルホネート (TEG-OTs, 7.82 mmol)を加えた。最後に、4 mLのNaOH (50 重量%溶液)を加えた。反応混合物を脱気し、アルゴン下、60℃で20時間加熱し、次いで室温に冷却した。次いで、反応混合物を60 mLのCH
2Cl
2および30 mLの水で希釈した。有機層を分離し、水層をCH
2Cl
2 (3×15ml)で抽出した。合わせた有機層を水 (2×50 mL)で洗浄し、次いで1M HCl (50 ml)および最後に60 mLの飽和NaCl溶液で洗浄し、無水Na
2SO
4で乾燥した。蒸発乾固後、粗試料をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー (CH
2Cl
2/AcOEt 65:35)により精製し、1.0 gの2,7-ジヨード-9,9-ビス[2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]-9H-フルオレン (59%)を得た。
【0262】
1H NMR (CDCl
3) δ 2.33 (t, 4H, J = 7.8 Hz), 2.76 (t, 4H, J = 6.9 Hz), 3.21 (m, 4H), 3.35 (s, 6H), 3.39(m, 4H), 3.56-3.48 (m, 8H), 7.40 (d, 2H, J = 8 Hz), 7.67 (dd, 2H, J = 8 Hz, J = 1.3 Hz), 7.73 (d, 2H, J = 1.3 Hz);
13C NMR (CDCl
3) δ 39.4, 51.7, 59.1, 66.7, 70.0, 70.46, 70.49, 71. 9, 93. 3, 121.6, 132.5, 136.5, 139.1, 150.8
分析 C
27H
36O
6I
2 (710.38)に対する計算値: C, 45.65; H, 5.11 実測値: C, 46.06; H, 5.12
【0263】
実施例 13
2,7-ジエチニル-9,9-ビス[2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]-9H-フルオレン
【化55】
【0264】
20分間のアルゴン吹付けにより、7.5 mLのトルエン/Et
3N (4/1)中の2,7-ジヨード-9,9-ビス[2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]-9H-フルオレン (0.452 g, 0.636 mmol)の溶液から空気を除いた。次いで、CuI (5 mg, 4 mol%)、Pd(PPh
3)
2Cl
2 (18 mg, 4 mol%)および2-メチル-3-ブチン-2-オール (0.185 mL, 1.9 mmol)を加え、混合物を40℃で18時間撹拌した。反応の終了はTLCでモニターされた。溶媒の蒸発後、粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー (CH
2Cl
2/AcOEt 20:80 次いでAcOEt)により精製し、0.372 g (94%)の4,4'-[9,9-ビス[2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]-9H-フルオレン-2,7-ジイル]ビス(2-メチル-3-ブチン-2-オール)を得た。
【0265】
1H NMR (CDCl
3) δ 1.66 (s, 12H), 2.34 (s, 2H), 2.36 (t, 4H, J = 6.9 Hz), 2.72 (t, 4H, J = 6.9 Hz), 3.18 (m, 4H), 3.36 (s, 6H), 3.38 (m, 4H), 3.56-3.48 (m, 8H), 7.41 (dd, 2H, J = 7.8 Hz, J = 1.2 Hz), 7.47 (d, 2H, J = 1.2 Hz), 7.59 (d, 2H, J = 7.8 Hz);
13C NMR (CDCl
3) δ 15.3, 31.5, 39.6, 51. 3, 59.0, 65.6, 66.8, 70.0, 70.4, 71.8, 82.6, 94.5, 112.0, 121.8, 126.6, 131.1, 139.8, 149.2
【0266】
9 mLのトルエンおよび2 mLのi-PrOH中の4,4'-[9,9-ビス[2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]-9H-フルオレン-2,7-ジイル]ビス(2-メチル-3-ブチン-2-オール) (0.363g, 0.58 mmol)の溶液に、固体のNaOH (0.15 g, 3.75 mmol)を加えた。混合物を還流下に1.5時間加熱した。冷却後、NaOHを濾別し、溶媒を蒸発し、残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー (CH
2Cl
2/AcOEt 60:40)により精製し、0.171 g (58%)の2,7-ジエチニル-9,9-ビス[2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]-9H-フルオレンを得た。
【0267】
mp 68 ℃;
1H NMR (CDCl
3) δ 2.37 (t, 4H, J = 7.8 Hz), 2.74 (t, 4H, J = 7.2 Hz), 3.17 (s, 2H), 3.20 (m, 4H), 3.35 (s, 6H), 3.39 (m, 4H), 3.54-3.47 (m, 8H), 7.50 (dd, 2H, J = 7.8 Hz, J = 1.3 Hz), 7.55 (d, 2H, J = 1.3 Hz). 7. 63 (d, 2H, J = 7.8 Hz);
13C NMR (CDCl
3) δ 39.5, 51.3, 59.1, 65.9, 66.8, 70.0, 70.4, 71.8, 77.9, 84.1, 120.1, 121.2, 127.0, 131.7, 140.2, 149.3
分析 C
31H
38O
6 (506.63)に対する計算値: C, 73.49; H, 7.56 実測値: C, 73.59; H, 7.64
【0268】
実施例 14
5,5'-[9,9-ビス[2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]-9H-フルオレン-2,7-ジイルジ-2,1-エチンジイル]ビス-2-チオフェンカルボキシアミド
【化56】
【0269】
20分間のアルゴン吹付けにより、8.2 mLのトルエンおよび1.8 mLのEt
3N中の2,7-ジエチニル-9,9-ビス[2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]-9H-フルオレン (0.120 g, 0.237 mmol)の溶液から空気を除いた。次いで、Pd(PPh
3)
2Cl
2 (10 mg, 6 mol%)およびCuI (2.7 mg, 6 mol%)ならびに5-ヨードチオフェン-2-カルボキシアルデヒド (0.135 g, 0.568 mmol)を加え、15分間脱気を続けた。その後、混合物を40℃で17時間撹拌した。反応の終了後、反応混合物を濾過し、蒸発乾固した。粗生成物をシリカゲルのカラムクロマトグラフィー (CH
2Cl
2/AcOEt 60:40 次いでAcOEt)により精製し、0.140 g (81%)の5,5'-[9,9-ビス[2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]-9H-フルオレン-2,7-ジイルジ-2,1-エチンジイル]ビス-2-チオフェンカルボキシアルデヒドを得た。
【0270】
mp 84 ℃;
1H NMR (CDCl
3) δ 2.43 (t, 4H, J = 7.5 Hz), 2.79 (t, 4H, J = 7.2 Hz), 3.21 (m, 4H), 3.33 (s, 6H), 3.39 (m, 4H), 3.54-3.46 (m, 8H), 7.37 (d, 2H, J = 3.9 Hz), 7.57 (dd, 2H, J = 1.5 Hz, J = 7.1 Hz), 7.62 (d, 2H, J = 1.2 Hz), 7.71 (d, 2H, J = 7.1 Hz), 7.72 (d, 2H, J = 3.9 Hz), 9.90 (s, 2H);
13C NMR (CDCl
3) δ 39.6, 51.6, 59.0, 66.8, 70.1, 70.4, 70.5, 71.8, 83.0, 98.5, 120.5, 121.2, 126.6, 131.3, 132.6, 132.8, 136.2, 140.7, 143.9, 149.7, 182.5
HRMS (ESI) C
41H
42O
8NaS
2 [(M+Na)
+]に対する計算値 m/z 749.2219, 実測値 749.2226
分析 C
41H
42O
8S
2 (726.90)に対する計算値: C, 67.75; H, 5.82; S, 8.82 実測値: C, 67.86; H, 5.82; S, 8.63
【0271】
実施例 15
光増感剤 6b(本願において、化合物SMU33とも呼ばれる)
【化57】
【0272】
無水CH
2Cl
2 (5 mL)中の5,5'-[9,9-ビス[2-[2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ]エチル]-9H-フルオレン-2,7-ジイルジ-2,1-エチンジイル]ビス-2-チオフェンカルボキシアルデヒド (0.040 g, 0.055 mmol)の溶液に、tBuOK (18.5 mg, 0.165 mmol)および[[4-[エチル(2-ヒドロキシエチル)アミノ]フェニル]メチル]トリフェニルホスホニウム ヨーダイド (0.081 g, 0.143 mmol)を加えた。混合物を20℃で20時間撹拌し、次いでCH
2Cl
2 (15 mL)で希釈した。溶媒を減圧下に除去し、残渣をシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製した。望まない生成物をCH
2Cl
2/AcOEt (90:10〜0:100)で溶出し、次いで所期の生成物をCH
2Cl
2/MeOH (95:5)で溶出し、0.020 g (35%)の6bを得た。
【0273】
1H NMR (CDCl
3) δ 1.19 (t, 6H, J = 7.0 Hz), 1.68 (t, 2H, J = 5.7 Hz), 2.41 (t, 4H, J = 7.3 Hz), 2.79 (t, 4H, J = 7.3 Hz), 3.22 (m, 4H), 3.33 (s, 6H), 3.40 (m, 4H), 3.55-3.43 (m, 16H), 3.83 (q, 4H, J = 5.7 Hz), 6.74 (d, 4H, J = 8.9 Hz), 6.86 (d, 2H, J = 15.8 Hz), 6.90 (d, 2H, J = 3.6 Hz), 6.99 (d, 2H, J = 15.8 Hz), 7.18 (d, 2H, J = 3.6 Hz), 7.36 (d, 4H, J = 8.9 Hz), 7.51 (dd, 2H, J = 7.8 Hz, J = 1.4 Hz), 7.57 (m, 2H), 7.65 (d, 2H, J = 7.8 Hz);
13C NMR (CDCl
3) δ 12.0, 39.7, 45.6, 51.4, 52.4, 59.0, 60.3, 66.9, 70.0, 70.4, 70.5, 71.9, 84.4, 94.5, 112.5, 117.1, 120.1, 120.2, 122.1, 124.8, 125.0, 126.0, 127.9, 129.6, 130.8, 132.8, 139.9, 145.9, 148.0, 149.4;
HRMS (ESI) C
63H
72N
2O
8S
2 (M
+.)に対する計算値 m/z 1048.4730, 実測値 1048.4742
【0274】
化合物 6bのエタノール中での吸収および発光スペクトル(
図12)、化合物 6bのTHF中での二光子吸収(
図13)が示されている。
光増感剤 6aおよび6bは、有機媒体中での良好な光増感効率(トルエン中での一重項酸素発生に対して22% 量子収率)と同時に生物環境でのモニタリングおよびスクリーニングに対して興味ある蛍光(エタノール中での蛍光に対して65% 量子収率、オレンジ色の発光)を示す。溶液中で測定された近赤外でのそれらの二光子吸収特性は、非常に興味深い(最大値で1000 GMより優れた二光子吸収断面積および良好な二光子励起効率で700〜900 nmの範囲の照射を可能にする広いスペクトル)。
【0275】
【表2】
【0276】
分子クリップ基を有する化合物
官能化された化合物の一般的な合成
乾燥THF中、アルゴン下の化学的に反応性の基を有する (1 当量)化合物に、イソシアナートプロピルトリエトキシシラン (2.2 当量)および触媒としてのトリエチルアミンを加えた。新しく蒸留されたTHFを加えた。反応混合物を70℃で2日間撹拌した。反応の終了は赤外線分光法でチェックされた。反応混合物を減圧下に乾燥し、シリカゲルのクロマトグラフィーにより精製した。精製された化合物をMgSO4で乾燥し、濾過し、蒸発乾固した。
【0277】
実施例 16
化合物 7a
【化58】
【0278】
光増感剤 6a (75 mg, 8.4 10
-2 mmol)を、新しく蒸留されたTHFに溶解した。イソシアナートプロピルトリエトキシシラン (2.1 当量, 1.76 10
-1 mmol)および数滴のトリエチルアミンを加えた。該THF溶液を3日間還流した。反応混合物を蒸発させ、次いで、溶出混液CH
2Cl
2/AcOEt (90/10; rf 0.2)を用いるシリカゲルで精製した。光増感剤トリアルコキシシラン誘導体 7aを31% 収率で得た。
【0279】
実施例 17
化合物 7b
【化59】
【0280】
光増感剤 6b (5.9.10
-5 mol, 62 mg)存在下の反応容器をアルゴン雰囲気下に置いた。新しく蒸留されたTHF (5 mL)を加えた。次いで、イソシアナートプロピルトリエトキシシラン (2.2 当量, 1.3 10
-4 mol)および 触媒として3滴のトリエチルアミンを加えた。反応混合物を70℃で2日間撹拌した。反応の終了は赤外線分光法でチェックされた。反応混合物を減圧下に乾燥し、CH
2Cl
2/AcOEt 混液 (7/3 次いで5/5)により溶出されるシリカゲルのカラムクロマトグラフィーにより精製した。MgSO4で乾燥、濾過および蒸発乾固後、生成物を赤外線、NMRおよびUV-可視分光法により特徴付けた。
【0281】
化合物 9b
【化60】
【0282】
光増感剤 9a (30.3 mg, 3.14 10
-2mmol)を、新たに蒸留したTHFに溶解した。イソシアナートプロピルトリエトキシシラン (1.1 当量, 3.45 10
-2 mmol)および数滴のトリエチルアミンを3 mlのTHFに溶解し、前記溶液に加えた。THF溶液を2日間還流した。反応混合物を蒸発させ、精製せずに次の封入工程のために用いた。
【0283】
B ナノ粒子合成
生体標的部分なしのナノ粒子
実施例 18
メソ多孔性ナノ粒子の合成 (DB052およびDB060)
ナノ粒子を塩基性媒体中での直接(direct)マイクロエマルジョン(水中油型)によって合成した。
セチルトリメチルアンモニウム ブロマイド (CTAB) (686 mg, 1.8 10
-3 mol)を25℃で、水酸化ナトリウム (40 mL, 0.2 M)に溶解した。テトラエトキシシラン (3.5 mL, 1.57 10
-2 mmol)を、前で合成された光増感剤トリアルコキシシラン誘導体 7a (DB052に対して4.7 mgおよびDB060に対して9.2 mg)のエタノール溶液と一緒に滴下した。40秒後、脱イオン水 (260 mL)を加えた。溶液を6分間撹拌し、次いで、HCl (0.2 M, 約50 mL)を用いてpH 7に素早く中和した。ナノ粒子を遠心分離 (10分, 1分当たり20000 回転)により回収し、超音波を用いてEtOHでかき混ぜ、遠心分離した。室温で3時間のMeOH/NaCl (285 mL, 1.3重量%)での処理で界面活性剤を抽出した。遠心分離後、抽出を2回繰り返し、次いで、ナノ粒子を水およびエタノールで洗浄した。
【0284】
これらのナノ粒子は、六方晶型MCM41ネットワークを有するメソ多孔性である。メソ孔は約3 nmであった。封入された光増感剤の存在は、UV-可視吸収によって示される (図 14)。
【0285】
エタノール中の分散体でのナノ粒子DB052およびDB060の光物理学的および二光子吸収特性が表 1に示され、それは、該ナノ粒子が、封入された光増感剤の蛍光特性および近赤外での二光子励起に対するそれらの応答(強度の光増感をより効率的にすることができる)を保持することを示している。
本発明の重要な特徴は、光増感剤がナノ粒子から浸出することを防ぐ光増感剤のナノ粒子への共有接合であることに注目することが重要である。
【0286】
【表3】
【0287】
生体標的部分を有するナノ粒子
光増感剤を封入するナノ粒子の合成のさらなる工程は、癌細胞の生体標的を可能にする生体分子による、該ナノ粒子表面の官能化である。この表面の接合化のために、いくつかの有機カップリング剤が用いられた。有機カップリング剤は、シリカに固定するためにクロロまたはアルコキシシラン官能基、および生体分子と結合するためにアミン、チオール、アルコール、ヒドラジン、セミカルバジド、イソシアネート、酸またはアルデヒド官能基を含む。
【0288】
ナノ粒子表面の官能化のために用いられる生体分子は、異なるタイプのもの、例えばマンノース、ガラクトース、ラムノース、マンノース 6-ホスフェート、マンノース 6-ホスフェート類似体であることができる。
ナノ粒子表面は、一つのアミン官能基を含むトリアルコキシシラン(例えば、アミノプロピルトリエトキシシランまたはアミノプロピルトリメトキシシラン)によって官能化された。本表面アミン官能基は、α-マンノース フェニルアミノシクロブテンジオン誘導体と反応する。マンノースの配分は、レゾルシノール/H
2SO
4溶液との反応後のUV-可視吸収によりモニターされた(吸収量メトリックアッセイ)。
【0289】
実施例 19
ナノ粒子表面へのアミノプロピルトリエトキシシラン(APTS)接合
脱イオン水中で、ナノ粒子 DB052またはDB060 (350 mg)を超音波によって懸濁した。APTS (500 μL)を滴下した。pH 6.5までHCl (0.2 M)を加えた。反応混合物を18時間撹拌し、遠心分離(10分, 1分当たり20000回転)した。ナノ粒子を水で2回およびエタノールで3回洗浄(超音波および遠心分離)した。ナノ粒子を単離した(350 mg)。
アミン官能基は、ニンヒドリンを用いる定量分析によって特徴付けられた。エタノール中で観測されたUV-可視吸収スペクトルは、光増感剤がまだ存在し、合成の間に害されなかったことを示した。
【0290】
実施例 20
ナノ粒子上へα-マンノース表面接合 (DB069)
【化61】
【0291】
エタノール (5 mL)中で、ナノ粒子 DB052 (200 mg)を超音波によって30分間かき混ぜた。α-マンノース フェニルアミノシクロブテンジオン誘導体 (71 mg, 1.8 10
-4 mol, ここの上の構造)をエタノール/水 混液 (10 ml, 3/2)に溶解した。本α-マンノース フェニルアミノシクロブテンジオン誘導体溶液を、前記ナノ粒子懸濁液に滴下した。トリエチルアミン (500 μL)を加え、懸濁液を18時間撹拌した。遠心分離後、ナノ粒子を、水に懸濁し遠心分離(3サイクル)し、次いでエタノールに分散し遠心分離(2サイクル)した。官能化されたナノ粒子 (DB069)を得た(200 mg)。
【0292】
実施例 21
ナノ粒子上へα-マンノース表面接合 (DB103)
エタノール/H
2O (3/2) (10 mL)とトリエチルアミン (400 μL)の混合物中にα-マンノース フェニルアミノシクロブテンジオン (250 mg; 0.37 mmol)を溶解し、APTS (アミノプロピルトリエトキシシラン)が接合されたナノ粒子 DB060 (EtOH 10 ml中に250 mg)の溶液に滴下した。混合物を16時間撹拌した。次いでナノ粒子を遠心分離し、水およびエタノールで洗浄し、真空下で乾燥して、232 mgの接合されたナノ粒子を得た。DB103ナノ粒子の表面に接合されたα-マンノース フェニルアミノシクロブテンジオンの濃度は、0.089 mmol/gである。
二光子光増感剤を封入するナノ粒子の特性(サイズ、多孔度、光増感剤および生体標的分子の濃度)が測定された。それらのデータを表 2に示す。
【0293】
【表4】
【0294】
内部光増感剤の数に対して、粒子の表面に接合された大過剰のフェニルアミノシクロブテンジオン部分は、光増感において遮蔽効果を誘発する(フェニルアミノシクロブテンジオン官能基の近UVおよび可視波長での強い吸収のため)。
この強い遮蔽効果は、近赤外でのフェニルアミノシクロブテンジオンの二光子吸収断面積は非常に弱いので、二光子励起とは関係がない。
【0295】
抗腫瘍剤を封入するナノ粒子
実施例 22
カンプトテシン(CPT)の装填
マンノース誘導体被覆ナノ粒子 (50 mg)を、CPT (5 mg)を含むDMSO (3 mL)中に懸濁した。その懸濁液を室温で24時間撹拌した。遠心分離後、ナノ粒子を水で2回洗浄し、真空下で乾燥した。
【0296】
ナノ粒子に装填されたCPTの量の決定
カンプトテシン装填ナノ粒子 (4 mg)をDMSO (5 mL)と一緒に懸濁し超音波処理した。懸濁液を遠心分離し、放出CPT分子を含む上清液のUV-可視スペクトルを測定した。ナノ粒子1 g当たり12 μmolのCPTが装填されていることが決定された。
【0297】
C 生物学的結果
生体分子および遮蔽部分で官能化されているかされていない異なるナノ粒子の光線力学活性を、いくつかの癌細胞株で調べた。癌細胞株に取り込まれたナノ粒子の細胞毒性能力は、ナノ粒子に封入された光感受性体(photosensibilisators)(PS)の二光子照射により誘発された。PDT治療の興味は、これらのナノ粒子のレーザー照射なしでの細胞毒性の欠如によっても示された。これらのナノ粒子の特異的な標的および活性なエンドサイトーシスは、表面官能化ナノ粒子と対応する生体分子とのコインキュベーション(co-incubation)による以前の特許(08/05034)に既に記載され、示されている。
細胞株は全て、American Type Culture Collection (ATCC)で入手でき、ATCCの推奨に従って推奨される培地で培養される。
【0298】
インビトロ
ナノ粒子DB052(それらの表面に接合された遮蔽部分または生体標的部分を欠いている)およびナノ粒子DB069(それらの表面にフェニルアミノシクロブテンジオンおよびマンノースが接合されている)を、MDA-MB-231乳癌 (Maynadier M, Ramirez JM, Cathiard AM, Platet N, Gras D, Gleizes M, Sheikh MS, Nirde P, Garcia M. Unliganded estrogen receptor alpha inhibits breast cancer cell growth through interaction with a cyclin-dependent kinase inhibitor (p21(WAF1)). FASEB J. 2008 Mar;22(3):671-81. Epub 2007 Oct 2)における二光子光線力学的療法で試験した。照射された細胞(770 nmで)と非照射細胞との比較は、一方では、二光子照射での非処理および自然光下でもナノ粒子の細胞毒性の欠如を示し、他方では、二光子照射下では強い細胞毒性を示し、該細胞毒性は、生体標的(または生体分子)部分の存在によって高められる。
【0299】
これらの試験は、二光子光線力学的療法に対する、二元で官能化されたナノ粒子(二光子光増感剤が封入され、生体標的部分と遮蔽部分が接合した)の高い効率を示す。
さらに、本発明のナノ粒子において、光増感剤は、ナノ粒子の表面に接合された部分の遮蔽効果のために、一光子可視照射(すなわち自然光)により励起されないことに注目することが重要である。この特性は、患者を治療前の間(注入と照射の間)および/または治療後(除去)の間、暗闇に居ることを患者に強いる増感の問題から解放することを可能にするであろうから、治療計画書を検討するときに特に重要である。
この効果は、治療計画書の重要な改善になる。
【0300】
実施例 23
24時間インキュベーションでのMDA-MD-231 乳癌細胞株に対するナノ粒子 DB052 (MSN (メソ多孔性シリカナノ粒子))およびDB069 (MSN-マンノース)のPDT効率 (図 1A、1B)
MDA-MB-231細胞を、10% ウシ胎仔血清(FBS)が加えられたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM) (MDA-MB-231 通常の培地)中、37℃、5% CO
2の湿潤雰囲気下に保持した。実験のために、細胞を、700 細胞/70 μl 媒体のウエルの密度で、黒色のポリスチレンフレームを有する384 マルチウエルガラスボトム (0.17 mm)中で平板培養した。MDA-MB-231 癌細胞を20 μg/mlのナノ粒子と一緒に24時間インキュベートした。次いで、培地を除き、細胞を洗浄し、通常の培地に保持する。
【0301】
80 MHzの割合で、100 フェトム秒幅のパルスを発生するモード同期Ti:サファイアレーザーを備えた共焦点顕微鏡で、二光子照射を行った。レーザービームは、顕微鏡対物レンズ(10X, NA 0.4)により焦点を合わされた。細胞を、1 秒のそれぞれについて3 スキャンからなる760 nmでの二光子照射にかけた。スキャンされた部分は、ウエルの全体を照射するためにウエルの4クォート(4 quarts)で1.5×1.5 mm
2 であった。試料に供給された平均パワーが、熱電気光エネルギーメーター(thermoelectric optical energy meter)を用いて測定され、80 mWであった。二光子照射2日後、生存細胞のパーセントが、MTS 酵素アッセイ(Cell Titer 96, G3580, Promega)により測定された。
【0302】
図1Aおよび1Bは、MSNもしくはMSN-マンノースを用いて(または用いないで)、24時間インキュベートし、二光子照射により処理されたMDA-MB-231細胞の顕微鏡写真を示す。
図1Aおよび1Bは、本発明の粒子を用いた光線力学的療法の特異性を示している。細胞が本発明のナノ粒子と一緒にインキュベートされたとき、細胞死が照射領域で観察され、起こる。
治療効率は、ナノ粒子表面のマンノースの被覆により改善される。さらに、非照射ナノ粒子の毒性の非存在は、本発明の化合物を用いた光線力学的療法の特異性を示す。
【0303】
実施例 24
4時間インキュベーションでのMDA-MD-231 乳癌細胞株に対するナノ粒子 DB052 (MSN)およびDB069 (MSN-マンノース)のPDT効率 (図 2A、2B)
条件は、実施例 21のそれらと同じで、インキュベーション時間だけが異なった。この実施例において、インキュベーション時間は4時間であった。
二光子照射により処理され、本発明のナノ粒子と一緒にインキュベートされた試料で、細胞密度の減少が観察された(図 2A)。
光線力学的処置の効率(図 2B)が、ナノ粒子DB052と一緒にインキュベートされた細胞の33%の死、およびDB069と一緒にインキュベートされた細胞の76%の死によって示された。治療効率は、ナノ粒子表面のマンノースの被覆によって改善された。
さらに、非照射ナノ粒子の毒性の非存在は、本発明の化合物を用いた光線力学的療法の特異性を示す。
【0304】
実施例 25
2時間および4時間インキュベーションでのMCF7 乳癌細胞株に対するナノ粒子 DB052 (MSN)およびDB069 (MSN-マンノース)のPDT効率 (図 3A、3B、4Aおよび4B)
MCF7 細胞 (Maynadier M, Ramirez JM, Cathiard AM, Platet N, Gras D, Gleizes M, Sheikh MS, Nirde P, Garcia M. Unliganded estrogen receptor alpha inhibits breast cancer cell growth through interaction with a cyclin-dependent kinase inhibitor (p21(WAF1)). FASEB J. 2008 Mar;22(3):671-81. Epub 2007 Oct 2)を、10% FBSが加えられたF-12ダルベッコ改変イーグル培地(F-12 DMEM) (MCF7 通常の培地)中、37℃、5% CO
2の湿潤雰囲気下に保持した。実験のために、細胞を、2000 細胞/70 μl 媒体のウエルの密度で、黒色のポリスチレンフレームを有する384 マルチウエルガラスボトム (0.17 mm)中で平板培養した。MCF7 癌細胞を20 μg/mlのナノ粒子と一緒に2時間または4時間インキュベートした。次いで、培地を除き、細胞を洗浄し、通常の培地に保持する。
【0305】
80 MHzの割合で、100 フェトム秒幅のパルスを発生するモード同期Ti:サファイアレーザーを備えた共焦点顕微鏡で、二光子照射を行った。レーザービームは、顕微鏡対物レンズ(10X, NA 0.4)により焦点を合わされた。細胞を、1 秒のそれぞれについて3 スキャンからなる760 nmでの二光子照射にかけた。スキャンされた部分は、ウエルの全体を照射するためにウエルの4クォートで1.5×1.5 mm
2 であった。試料に供給された平均パワーが、熱電気光エネルギーメーターを用いて測定され、80 mWであった。二光子照射2日後、生存細胞のパーセントが、MTS 酵素アッセイ(Cell Titer 96, G3580, Promega)により測定された。
細胞死が、本発明のナノ粒子を用いた光線力学的療法により誘発された。
【0306】
2時間インキュベーション
本発明による化合物を用いたインキュベーションおよび照射は、細胞死を誘発する(図 3A)。
治療の効率は、ナノ粒子とのインキュベーションの2時間後、ナノ粒子DB052を用いた照射およびインキュベートされた細胞の31%の死、およびナノ粒子DB069を用いた照射およびインキュベートされた細胞の46%の死によって示される(図 3B)。
【0307】
4時間インキュベーション
本発明による化合物を用いたインキュベーションおよび照射は、細胞死を誘発する(図 4A)。
治療の効率は、ナノ粒子とのインキュベーションの4時間後、ナノ粒子DB052を用いた照射およびインキュベートされた細胞の36%の死、およびナノ粒子DB069を用いた照射およびインキュベートされた細胞の56%の死によって示される(図 4B)。
【0308】
図 4A、4B、5Aおよび5Bは、マンノースで被覆されたナノ粒子表面の治療効率の増加を示している。
さらに、ナノ粒子と一緒にインキュベートされたが二光子照射により処理がされなかった細胞で得られた提示されていない結果は、毒性の非存在を示す。
【0309】
実施例 26
ナノ粒子DB069(MSN-マンノース)のMCF7 乳癌細胞株への動力学的効果(図 5)
条件は、実施例 23のそれらと同じで、インキュベーション時間だけが異なった。この実施例において、DB069とのインキュベーション時間は、2時間、4時間および24時間で、誘発された細胞死は、それぞれ46%、56%および100%であった(図 5)。
この実施例は、光線力学的療法の効率は、本発明のナノ粒子と一緒に細胞をインキュベートする時間と共に増加することを示している。
【0310】
実施例 27
24時間インキュベーションでのY-79網膜芽種細胞株に対するナノ粒子 DB052 (MSN)およびDB069 (MSN-マンノース)のPDT効率 (図 6)
Y-79 細胞 (Laville I, Pigaglio S, Blais JC, Doz F, Loock B, Maillard P, Grierson DS, Blais J. Photodynamic efficiency of diethylene glycol-linked glycoconjugated porphyrins in human retinoblastoma cells. J Med Chem. 2006 Apr 20;49(8):2558-67)は、非接着性細胞であり、それらを20% FBSが加えられたRoswell Park Memorial Institute 培地(RPMI 1640) (Y-79 通常の培地)中、37℃、5% CO
2の湿潤雰囲気下に保持した。実験のために、細胞を、2000 細胞/70 μl 媒体のウエルの密度で、黒色のポリスチレンフレームを有する384 マルチウエルガラスボトム (0.17 mm)中で平板培養した。Y-79網膜芽種細胞を20 μg/mlのナノ粒子と一緒に24時間インキュベートした。
【0311】
80 MHzの割合で、100 フェトム秒幅のパルスを発生するモード同期Ti:サファイアレーザーを備えた共焦点顕微鏡で、二光子照射を行った。レーザービームは、顕微鏡対物レンズ(10X, NA 0.4)により焦点を合わされた。細胞を、1 秒のそれぞれについて3 スキャンからなる760 nmでの二光子照射にかけた。スキャンされた部分は、ウエルの全体を照射するためにウエルの4クォートで1.5×1.5 mm
2 であった。試料に供給された平均パワーが、熱電気光エネルギーメーターを用いて測定され、80 mWであった。二光子照射2日後、生存細胞のパーセントが、MTS 酵素アッセイ(Promegaから)により測定された。
DB052およびDB069 ナノ粒子は、Y-79網膜芽種細胞株に対して、それぞれ30%および67%の細胞毒性を誘発した (図 6)。
これらの結果は、マンノース被覆ナノ粒子(DB069)の増大した効率を示している。
【0312】
実施例 28
4時間インキュベーションでのHCT-116 結腸癌細胞株に対するナノ粒子 DB052 (MSN)、DB060 (MSN)、DB069 (MSN-マンノース)およびDB103 (MSN-マンノース)のPDT効率 (図 7A、7B、7C、7D、7E)
HCT-116 細胞 (Zhan Y, Ginanni N, Tota MR, Wu M, Bays NW, Richon VM, Kohl NE, Bachman ES, Strack PR, Krauss S. Control of cell growth and survival by enzymes of the fatty acid synthesis pathway in HCT-116 colon cancer cells. Clin Cancer Res. 2008 Sep 15;14(18):5735-42)を、10% FBSが加えられたMac Coy 培地(HCT-116 通常の培地)中、37℃、5% CO
2の湿潤雰囲気下に保持した。実験のために、細胞を、2000 細胞/70 μl 媒体のウエルの密度で、黒色のポリスチレンフレームを有する384 マルチウエルガラスボトム (0.17 mm)中で平板培養した。HCT-116 細胞を、マンノースで官能化されたナノ粒子(DB069 (図 7C)、DB103 (図 7E))または官能化されていないナノ粒子(DB052 (図 7B)、DB060 (図 7D))の20 μg/mlと一緒に4時間インキュベートした。DB060およびDB103は、DB052およびDB069より高い量の二光子PSにより特徴付けられた。
【0313】
80 MHzの割合で、100 フェトム秒幅のパルスを発生するモード同期Ti:サファイアレーザーを備えた共焦点顕微鏡で、二光子照射を行った。レーザービームは、顕微鏡対物レンズ(10X, NA 0.4)により焦点を合わされた。細胞を、1 秒のそれぞれについて3 スキャンからなる760 nmでの二光子照射にかけた。スキャンされた部分は、ウエルの全体を照射するためにウエルの4クォートで1.5×1.5 mm
2 であった。試料に供給された平均パワーが、熱電気光エネルギーメーターを用いて測定され、80 mWであった。結果は顕微鏡での直接観察によりモニターされた。
図 7A〜7Eは、実施例 26のHCT-116 細胞の顕微鏡写真であり、図 7Aはコントロール細胞を示す。
図 7A〜7Eは、より多くの量の光増感剤を含むナノ粒子の改善された治療効率、およびマンノース被覆ナノ粒子の改善された治療効率を示す。ナノ粒子なしでの二光子照射は細胞死を誘発しない。
【0314】
実施例 29
DB052またはDB069と一緒にインキュベートされた培養細胞の日光曝露の細胞毒性効果研究
細胞培養のため、MDA-MB-231およびMCF-7 ヒト乳癌細胞 (ATCC)を、10% ウシ胎仔血清(FBS)および50 μg mL
-1 ゲンタマイシンで補完されたダルベッコ改変イーグル培地(DMEM)中でごく普通に培養した。HCT-116 ヒト結腸直腸癌細胞 (ATCC)を、10% ウシ胎仔血清(FBS)および50 μg mL
-1 ゲンタマイシンで補完されたMac Coyの培地中でごく普通に培養した。これらの全ての細胞型を、5% CO
2下、37℃の湿潤雰囲気中で増殖させた。日光曝露の細胞毒性効果の実験のため、96-ウエルプレート中に、3・10
4 細胞/100 μlの培地中のウエルで細胞を播種し、24時間増殖させた。次いで、細胞を20 μg mL
-1のDB052またはDB069と一緒に4時間インキュベートした。MSNとのインキュベーション後、細胞を洗浄し、新しい培地中に保持し、次いで、1時間、日光曝露に付すか、または付さなかった。照射二日後、MSNの細胞毒性を評価するために、3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロマイド; Promega (MTT)アッセイを行った。手短に言えば、ミトコンドリア内酵素活性を測定するため、細胞を0.5 mg mL
-1 MTTの存在下で4時間インキュベートした。次いで、MTT沈殿を150 μl エタノール/DMSO (1:1)溶液に溶解し、540 nmで吸光度を読み取った。そのデータを表 3に示す。
【0315】
【表5】
【0316】
インビボ
DB069ナノ粒子の光線力学活性を、マウスの皮下腫瘍で調べた。
【0317】
実施例 30
HCT-116 異種移植片からのヌードマウス腫瘍でのナノ粒子DB069 (MSN-マンノース)のPDT効率 (図 8および9)
- J0: ヌードマウス (Swiss)を、10,000,000 HCT-116細胞および再構成細胞外マトリックス (Matrigel 5 mg/ml)を含む単細胞懸濁液100 μlの皮下注射により異種移植した。
- J15: 腫瘍を測定し、同質群を制定した。
【0318】
- J18: マウスを、ナノ粒子 (2 mg/ml)が加えられた生理血清か、または加えられない生理血清(コントロール) 200 μlの静脈注射により処理した。注射3時間後、マウスを麻酔し、腫瘍を、腫瘍の3つの異なる場所に、3×3分間、760 nmでの二光子照射に付した。
- J21-J45: 腫瘍を測定 (L×l×h)し、それらの容積を式: (L×l×h)×0.52で決定した。
- J45: マウスを屠殺し、腫瘍を集め、測定した。
【0319】
図 8は、0.009〜0.01 cm
3に含まれる出発容積を有する腫瘍の結果を示している。図 8は、腫瘍が、本発明のナノ粒子を用いる光線力学療法に強く反応することを示している。
図 9は、0.02〜0.04 cm
3に含まれる出発容積を有する腫瘍の結果を示している。図 9は、腫瘍が、本発明のナノ粒子を用いる光線力学療法に反応することを示している。
【0320】
実施例 31
ナノ粒子の医薬組成物の投与
本発明のナノ粒子が添加された生理血清の輸液(20 mg/kgの用量で)が、患者に投与される。
注入の終了2〜24時間後、腫瘍部位を、二光子励起に対して決定された波長で、5〜60分間照射した。
腫瘍の退縮により、この実験が1または数回繰り返される。