(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
1台又は複数台の圧縮機(5)、オイルセパレータ(6)、四方切換弁(7)、室外熱交換器(8)、膨張機構(10)及び室外配管(11)から成る室外回路を備えた室外機(1)と、室内熱交換器(17)及び室内配管(19)から成る室内回路を備えた室内機(2)と、室外機(1)の室外回路と室内機(2)の室内回路を接続して閉鎖された冷媒回路を形成する液側配管(3)及びガス側配管(4)とを有し、前記冷媒回路内で冷媒(R)を循環させると共に、オイルセパレータ(6)で冷媒(R)から分離された潤滑油(O)を潤滑油戻り配管(12)により圧縮機(5)へ戻すようにした冷暖房システムに用いられ、破損した圧縮機(5)を新しい圧縮機(5)に交換した後の冷暖房システムの管路洗浄方法であって、破損した圧縮機(5)を新しい圧縮機(5)に交換すると共に、前記液側配管(3)に液化した冷媒(R)中の異物を除去する第1洗浄具(27)を、また、前記潤滑油戻り配管(12)に潤滑油(O)中の異物を除去する第2洗浄具(28)をそれぞれ介設し、前記第1洗浄具(27)として、入口及び出口を形成した筒状のケーシング(29a)、ケーシング(29a)内に収納されて一端部が上流側配管(33)に接続されると共に、他端部が閉塞されて周壁に多数の透孔(29b′)を有する筒体(29b)、筒体(29b)の両端部外周面にそれぞれ嵌めた一対の円盤状の永久磁石(29c)及び一対の永久磁石(29c)間に配設されて筒体(29b)の外周面に嵌めた複数枚の円盤状のフィルタ材(29d)から成る第1マグネットフィルタ(29)と、第1マグネットフィルタ(29)に直列状に接続され、入口及び出口を形成したケーシング(30a)内にフィルタ材(30b)を収納した第1フィルタ(30)と、第1マグネットフィルタ(29)及び第1フィルタ(30)に並列状に配置されて第1マグネットフィルタ(29)の上流側配管(33)及び第1フィルタ(30)の下流側配管(35)に分岐配管(36)を介して接続され、入口及び出口を形成したケーシング(31a)内にフィルタ材(31b)を収納した第1分岐フィルタ(31)と、第1マグネットフィルタ(29)の上流側配管(33)で且つ第1分岐フィルタ(31)の接続箇所よりも下流側の位置に介設され、第1マグネットフィルタ(29)側への流れを許容する逆止弁(32)と、第1フィルタ(30)の下流側配管(35)に接続された第1分岐フィルタ(31)の分岐配管(36)に介設され、第1分岐フィルタ(31)側への流れを許容する逆止弁(32)とから構成した第1洗浄具(27)を用い、また、前記第2洗浄具(28)として、入口及び出口を形成した筒状のケーシング(37a)、ケーシング(37a)内に収納され、一端部が上流側配管(33)に接続されると共に、他端部が閉塞されて周壁に多数の透孔(37b′)を有する筒体(37b)、筒体(37b)の両端部外周面にそれぞれ嵌めた一対の円盤状の永久磁石(37c)及び一対の永久磁石(37c)間に配設されて筒体(37b)の外周面に嵌めた複数枚の円盤状のフィルタ材(37d)から成る第2マグネットフィルタ(37)と、第2マグネットフィルタ(37)に直列状に接続され、入口及び出口を形成したケーシング(38a)内にフィルタ材(38b)を収納した第2フィルタ(38)とから構成した第2洗浄具(28)を用い、冷暖房システムを一定時間通常運転して冷媒回路内の冷媒(R)及び潤滑油(O)中の異物を前記第1洗浄具(27)及び第2洗浄具(28)により除去した後、当該第1洗浄具(27)及び第2洗浄具(28)を液側配管3及び潤滑油戻り配管(12)からそれぞれ取り外すようにしたことを特徴とする冷暖房システムの管路洗浄方法。
1台又は複数台の圧縮機(5)、オイルセパレータ(6)、四方切換弁(7)、室外熱交換器(8)、膨張機構(10)及び室外配管(11)から成る室外回路を備えた室外機(1)と、室内熱交換器(17)及び室内配管(19)から成る室内回路を備えた室内機(2)と、室外機(1)の室外回路と室内機(2)の室内回路を接続して閉鎖された冷媒回路を形成する液側配管(3)及びガス側配管(4)とを有し、前記冷媒回路内で冷媒(R)を循環させると共に、オイルセパレータ(6)で冷媒(R)から分離された潤滑油(O)を潤滑油戻り配管(12)により圧縮機(5)へ戻すようにした冷暖房システムの管路洗浄方法に用いる管路洗浄器具であって、前記管路洗浄器具は、液側配管(3)に介設され、液化した冷媒(R)中の異物を除去する第1洗浄具(27)と、潤滑油戻り配管(12)に介設され、潤滑油(O)中の異物を除去する第2洗浄具(28)とから構成され、前記第1洗浄具(27)は、入口及び出口を形成した筒状のケーシング(29a)、ケーシング(29a)内に収納され、一端部が上流側配管(33)に接続されると共に、他端部が閉塞されて周壁に多数の透孔(29b′)を有する筒体(29b)、筒体(29b)の両端部外周面にそれぞれ嵌めた一対の円盤状の永久磁石(29c)及び一対の永久磁石(29c)間に配設されて筒体(29b)の外周面に嵌めた複数枚の円盤状のフィルタ材(29d)から成る第1マグネットフィルタ(29)と、第1マグネットフィルタ(29)に直列状に接続され、入口及び出口を形成したケーシング(30a)内にフィルタ材(30b)を収納した第1フィルタ(30)と、第1マグネットフィルタ(29)及び第1フィルタ(30)に並列状に配置されて第1マグネットフィルタ(29)の上流側配管(33)及び第1フィルタ(30)の下流側配管(35)に分岐配管(36)を介して接続され、入口及び出口を形成したケーシング(31a)内にフィルタ材(31b)を収納した第1分岐フィルタ(31)と、第1マグネットフィルタ(29)の上流側配管(33)で且つ第1分岐フィルタ(31)の接続箇所よりも下流側の位置に介設され、第1マグネットフィルタ(29)側への流れを許容する逆止弁(32)と、第1フィルタ(30)の下流側配管(35)に接続された第1分岐フィルタ(31)の分岐配管(36)に介設され、第1分岐フィルタ(31)側への流れを許容する逆止弁(32)とから構成され、また、前記第2洗浄具(28)は、入口及び出口を形成した筒状のケーシング(37a)、ケーシング(37a)内に収納され、一端部が上流側配管(33)に接続されると共に、他端部が閉塞されて周壁に多数の透孔(37b′)を有する筒体(37b)、筒体(37b)の両端部外周面にそれぞれ嵌めた一対の円盤状の永久磁石(37c)及び一対の永久磁石(37c)間に配設され、筒体(37b)の外周面に嵌めたフェルト製の複数枚の円盤状のフィルタ材(37d)から成る第2マグネットフィルタ(37)と、第2マグネットフィルタ(37)に直列状に接続され、入口及び出口を形成したケーシング(38a)内にフィルタ材(38b)を収納した第2フィルタ(38)とから構成されていることを特徴とする管路洗浄器具。
【背景技術】
【0002】
一般に、室内の冷暖房を行う冷暖房システムは、室内熱交換器(凝縮器又は蒸発器)及び室内ファン等を備えた室内機と、圧縮機、四方切換弁、室外熱交換器(凝縮器又は蒸発器)、室外ファン及び膨張機構(膨張弁やキャピラリーチューブ)等を備えた室外機とを、液側配管及びガス側配管により接続して閉鎖された冷媒回路を形成し、当該冷媒回路内で冷媒を循環させて蒸発又は凝縮させることにより室内の冷暖房を行うようになっている。
また、圧縮機には、ガス駆動式の圧縮機や電気駆動式の圧縮機が使用されており、これら圧縮機には、摩耗防止用として潤滑油が封入されている。
【0003】
ところで、前記冷暖房システムにおいては、圧縮機の潤滑油が切れたり、圧縮機の摺動材の摩耗粉、潤滑油の劣化物、酸化スケール等の異物が発生したり、或いは、物冷媒及び潤滑油が冷媒回路内を循環しなくなると、圧縮機が破損し、圧縮機の交換を要することになる。
【0004】
冷暖房システムの圧縮機が破損すると、金属粉や細かな破片等の異物が圧縮機内や冷媒回路を形成する管路内に飛散するため、冷媒や潤滑油が汚染されることになる。
また、破損した圧縮機の交換時にも、管路内に金属粉等の異物が入り込み、冷媒や潤滑油が汚染されることがある。
この状態で冷暖房システムを運転すると、例え新しい圧縮機に交換しても、冷媒中の異物や潤滑油中の異物によって直ぐに破損を引き起こすことになる。
【0005】
尚、冷暖房システムにおいては、通常冷媒回路中に冷媒中の異物を除去するフィルタを設置しているが、このフィルタの仕様は、前記異物を完全に捕集できるように設計されていない。
何故なら、微細な異物を完全に捕集できるようにフィルタの仕様を変更すると、フィルタの孔径が小さくなり、目詰まりを起こし易くなるうえ、冷媒の循環量が低下して冷却能力・暖房能力が低下するからである。
【0006】
そのため、従来の冷暖房システムにおいては、圧縮機が破損すると、破損した圧縮機を新しい圧縮機に交換すると共に、管路中に残留する潤滑油や冷媒を完全に除去した後、管路中に新しい冷媒を充填し、圧縮機に新しい潤滑油を封入するようにしていた。
【0007】
しかし、この場合には、圧縮機を交換するのでコストがかかるうえ、使用する冷媒及び潤滑油の量が多くなって冷媒及び潤滑油のコストもかなり高くなると云う問題があった。
例えば、業務用の冷暖房システムに用いる圧縮機は1台当たり20万円位し、また、潤滑油は1リットル当たり1万円位し、システム全体で数十リットル必要とするので、かなりの金額となり、コスト高騰を招くことになる。
特に、複数台の圧縮機を備えた冷暖房システムにおいては、前記問題がより一層顕著に現れることになる。
【0008】
一方、本件出願人は、先に冷暖房システムの洗浄装置を開発し、これを特開2004−177028号公報(特許文献1)として公開している。
【0009】
即ち、前記洗浄装置は、図示していないが、圧縮機内の汚れた潤滑油を抜き出して潤滑油と潤滑油に含まれている冷媒を分離して回収する油・冷媒分離回収装置と、新しい潤滑油を室外機側の管路へ供給すると共に、油・冷媒分離回収装置で分離回収された冷媒の一部を室外機側の管路へ戻す油・冷媒供給装置と、冷媒に含まれている異物等を除去するフィルタ装置とから構成されており、冷暖房システムを運転しながら潤滑油と冷媒の分離回収、新しい潤滑油の供給、冷媒に含まれている異物等の除去を行えるようになっている。
【0010】
しかし、前記洗浄装置は、部品点数が多くて構造が極めて複雑であるため、洗浄装置自体のコストが高く付くと共に、洗浄装置自体の組立や冷暖房システムへの接続に時間と手間がかかって作業能率が極めて悪いと云う問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、このような問題点に鑑みて為されたものであり、その目的は、破損した圧縮機を新しい圧縮機に交換した後、冷暖房システムを運転しながら冷媒回路内を循環する冷媒中の異物と圧縮機の潤滑油に含まれている異物をそれぞれ除去して冷媒及び潤滑油を清浄化し、交換した新しい圧縮機の破損を防止できると共に、圧縮機への潤滑油の補充量を少なくできてコスト削減を図れるうえ、管路洗浄器具自体の組立や冷暖房システムへの接続を簡単且つ容易に行えるようにした冷暖房システムの管路洗浄方法及びこれに用いる管路洗浄器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1の発明は、1台又は複数台の圧縮機、オイルセパレータ、四方切換弁、室外熱交換器、膨張機構及び室外配管から成る室外回路を備えた室外機と、室内熱交換器及び室内配管から成る室内回路を備えた室内機と、室外機の室外回路と室内機の室内回路を接続して閉鎖された冷媒回路を形成する液側配管及びガス側配管とを有し、前記冷媒回路内で冷媒を循環させると共に、オイルセパレータで冷媒から分離された潤滑油を潤滑油戻り配管により圧縮機へ戻すようにした冷暖房システムに用いられ、破損した圧縮機を新しい圧縮機に交換した後の冷暖房システムの管路洗浄方法であって、破損した圧縮機を新しい圧縮機に交換すると共に、前記液側配管に液化した冷媒中の異物を除去する第1洗浄具を、また、前記潤滑油戻り配管に潤滑油中の異物を除去する第2洗浄具をそれぞれ介設し、
前記第1洗浄具として、入口及び出口を形成した筒状のケーシング、ケーシング内に収納されて一端部が上流側配管に接続されると共に、他端部が閉塞されて周壁に多数の透孔を有する筒体、筒体の両端部外周面にそれぞれ嵌めた一対の円盤状の永久磁石及び一対の永久磁石間に配設されて筒体の外周面に嵌めた複数枚の円盤状のフィルタ材から成る第1マグネットフィルタと、第1マグネットフィルタに直列状に接続され、入口及び出口を形成したケーシング内にフィルタ材を収納した第1フィルタと、第1マグネットフィルタ及び第1フィルタに並列状に配置されて第1マグネットフィルタの上流側配管及び第1フィルタの下流側配管に分岐配管を介して接続され、入口及び出口を形成したケーシング内にフィルタ材を収納した第1分岐フィルタと、第1マグネットフィルタの上流側配管で且つ第1分岐フィルタの接続箇所よりも下流側の位置に介設され、第1マグネットフィルタ側への流れを許容する逆止弁と、第1フィルタの下流側配管に接続された第1分岐フィルタの分岐配管に介設され、第1分岐フィルタ側への流れを許容する逆止弁とから構成した第1洗浄具を用い、また、前記第2洗浄具として、入口及び出口を形成した筒状のケーシング、ケーシング内に収納され、一端部が上流側配管に接続されると共に、他端部が閉塞されて周壁に多数の透孔有する筒体、筒体の両端部外周面にそれぞれ嵌めた一対の円盤状の永久磁石及び一対の永久磁石間に配設されて筒体の外周面に嵌めた複数枚の円盤状のフィルタ材から成る第2マグネットフィルタと、第2マグネットフィルタに直列状に接続され、入口及び出口を形成したケーシング内にフィルタ材を収納した第2フィルタとから構成した第2洗浄具を用い、冷暖房システムを一定時間通常運転して冷媒回路内の冷媒及び潤滑油中の異物を前記第1洗浄具及び第2洗浄具により除去した後、当該第1洗浄具及び第2洗浄具を液側配管3及び潤滑油戻り配管からそれぞれ取り外すようにしたことに特徴がある。
【0014】
本発明の請求項2の発明は、
1台又は複数台の圧縮機、オイルセパレータ、四方切換弁、室外熱交換器、膨張機構及び室外配管から成る室外回路を備えた室外機と、室内熱交換器及び室内配管から成る室内回路を備えた室内機と、室外機の室外回路と室内機の室内回路を接続して閉鎖された冷媒回路を形成する液側配管及びガス側配管とを有し、前記冷媒回路内で冷媒を循環させると共に、オイルセパレータで冷媒から分離された潤滑油を潤滑油戻り配管により圧縮機へ戻すようにした冷暖房システムの管路洗浄方法に用いる管路洗浄器具であって、前記管路洗浄器具は、液側配管に介設され、液化した冷媒中の異物を除去する第1洗浄具と、潤滑油戻り配管に介設され、潤滑油中の異物を除去する第2洗浄具とから構成され、前記第1洗浄具は、入口及び出口を形成した筒状のケーシング、ケーシング内に収納され、一端部が上流側配管に接続されると共に、他端部が閉塞されて周壁に多数の透孔を有する筒体、筒体の両端部外周面にそれぞれ嵌めた一対の円盤状の永久磁石及び一対の永久磁石間に配設されて筒体の外周面に嵌めた複数枚の円盤状のフィルタ材から成る第1マグネットフィルタと、第1マグネットフィルタに直列状に接続され、入口及び出口を形成したケーシング内にフィルタ材を収納した第1フィルタと、第1マグネットフィルタ及び第1フィルタに並列状に配置されて第1マグネットフィルタの上流側配管及び第1フィルタの下流側配管に分岐配管を介して接続され、入口及び出口を形成したケーシング内にフィルタ材を収納した第1分岐フィルタと、第1マグネットフィルタの上流側配管で且つ第1分岐フィルタの接続箇所よりも下流側の位置に介設され、第1マグネットフィルタ側への流れを許容する逆止弁と、第1フィルタの下流側配管に接続された第1分岐フィルタの分岐配管に介設され、第1分岐フィルタ側への流れを許容する逆止弁とから構成され、また、前記第2洗浄具は、入口及び出口を形成した筒状のケーシング、ケーシング内に収納され、一端部が上流側配管に接続されると共に、他端部が閉塞されて周壁に多数の透孔を有する筒体、筒体の両端部外周面にそれぞれ嵌めた一対の円盤状の永久磁石及び一対の永久磁石間に配設され、筒体の外周面に嵌めたフェルト製の複数枚の円盤状のフィルタ材から成る第2マグネットフィルタと、第2マグネットフィルタに直列状に接続され、入口及び出口を形成したケーシング内にフィルタ材を収納した第2フィルタとから構成されていることに特徴がある。
【発明の効果】
【0017】
本発明の冷暖房システムの管路洗浄方法は、破損した圧縮機を新しい圧縮機に交換すると共に、冷暖房システムの液側配管に液化した冷媒中の異物を除去する第1洗浄具を、また、冷暖房システムの潤滑油戻り配管に潤滑油中の異物を除去する第2洗浄具をそれぞれ介設し、この状態で冷暖房システムを一定時間通常運転して冷媒回路内の冷媒中の異物と潤滑油中の異物を前記第1洗浄具及び第2洗浄具によりそれぞれ除去するようにしているため、運転中に冷媒及び潤滑油が清浄化されるので、新しく交換した圧縮機の破損を防止することができる。
【0018】
また、本発明の冷暖房システムの管路洗浄方法は、圧縮機を交換した後に、管路内に残っている冷媒及び潤滑油を第1洗浄具及び第2洗浄具により洗浄しているため、新たに補充する冷媒及び潤滑油の量が少なくて済み、コスト低減を図ることができる。
例えば、本発明の冷暖房システムの管路洗浄方法を用いた場合、潤滑油を30リットル必要とする冷暖房システムにおいては、潤滑油を約6リットル補充(約1/6補充)するだけで良い。
【0019】
更に、本発明の冷暖房システムの管路洗浄方法は、比較的簡単な構造の第1洗浄具及び第2洗浄具を用い、前記第1洗浄具を液側配管に、また、前記第2洗浄具を潤滑油戻り配管にそれぞれ介設するだけで、管路内を洗浄することができるため、従来の洗浄装置に比較してコスト削減を図れると共に、管路洗浄器具自体の組立や冷暖房システムへの接続を簡単且つ容易に行えて作業能率の向上を図ることができる。
【0020】
加えて、本発明の冷暖房システムの管路洗浄方法は、第1洗浄具として、第1マグネットフィルタと、第1マグネットフィルタに直列状に接続された第1フィルタと、第1マグネットフィルタ及び第1フィルタに並列状に配置されて第1マグネットフィルタの上流側配管及び第1フィルタの下流側配管に接続配管を介して接続された第1分岐フィルタと、第1マグネットフィルタの上流側配管で且つ第1分岐フィルタの接続箇所よりも下流側の位置に介設され、第1マグネットフィルタ側への流れを許容する逆止弁と、第1フィルタの下流側配管に接続された第1分岐フィルタの接続配管に介設され、第1分岐フィルタ側への流れを許容する逆止弁とから成る第1洗浄具を用いているため、冷暖房システムを冷房運転又は暖房運転にしても、液化した冷媒を第1洗浄具により洗浄しながら室内機側又は室外機側の何れにも流すことができ、冷媒中の異物を確実且つ良好に除去することができる。
【0021】
本発明の管路洗浄器具は、上記の冷暖房システムの管路洗浄方法を好適に実施することができる。
【0022】
また、本発明の管路洗浄器具は、第1洗浄具が第1マグネットフィルタと第1フィルタを直列状に接続し、また、第2洗浄具が第2マグネットフィルタと第2フィルタを直列状に接続しているため、液化した冷媒中の異物と潤滑油中の異物を確実且つ良好に除去することができる。
【0023】
更に、本発明の管路洗浄器具は、第1洗浄具が、直列状に接続した第1マグネットフィルタ及び第1フィルタに第1分岐フィルタを並列状に配置すると共に、第1分岐フィルタの両端部を接続配管を介して第1マグネットフィルタの上流側配管及び第1フィルタの下流側配管にそれぞれ接続し、第1マグネットフィルタの上流側配管と第1分岐フィルタの上流側の接続配管に逆止弁をそれぞれ介設した構成としているため、冷暖房システムを冷房運転又は暖房運転にしても、液化した冷媒を第1洗浄具により洗浄しながら室内機側又は室外機側の何れにも流すことができ、冷媒中の異物を確実且つ良好に除去することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の実施の形態に係る管路洗浄器具を組み込んだ冷暖房システムの冷房運転時の概略系統図を示すものであり、前記冷暖房システムは、室外機1の室外回路と室内機2の室内回路とを液側配管3及びガス側配管4により接続して閉鎖された冷媒回路を形成すると共に、当該冷媒回路内に冷媒R(例えばHFC系の冷媒R)を封入し、冷媒Rを冷媒回路内で循環させて蒸発又は凝縮させることにより室内の冷暖房を行うようにしたものである。
【0026】
具体的には、前記室外機1の室外回路は、
図1に示す如く、並列状に配置した2台の圧縮機5、オイルセパレータ6、四方切換弁7、並列状に配置した室外熱交換器8、レシーバタンク9及び膨張機構10(この実施の形態では、電子膨張弁)等を室外配管11により順次接続することにより構成されている。
また、室外機1は、オイルセパレータ6で冷媒Rから分離された潤滑油Oを圧縮機5へ戻す潤滑油戻り配管12と、室外熱交換器8へ室外空気を送る室外ファン13と、液側配管3の一端部が接続される液側閉鎖弁14と、ガス側配管4の一端部が接続されるガス側閉鎖弁15と、リキッドインジェクション回路を形成する配管16等を備えている。
【0027】
一方、前記室内機2の室内回路は、
図1に示す如く、室内熱交換器17及び室内電子膨張弁18等を室内配管19により接続することにより構成されている。
また、室内機2は、室内熱交換器17へ室内空気を送る室内ファン20と、液側配管3の他端部が接続される液側端部21と、ガス側配管4の他端部が接続されるガス側端部22等を備えている。
【0028】
そして、前記室外機1の液側閉鎖弁14と室内機2の液側端部21を液側配管3により接続し、また、前記室外機1のガス側閉鎖弁15と室内機2のガス側端部22をガス側配管4により接続することにより閉鎖された冷媒回路が形成される。
【0029】
前記冷暖房システムにおいては、四方切換弁7
を切り換え操作して圧縮機5から吐出された冷媒Rを室外熱交換器8(凝縮器)から室内熱交換器17(蒸発器)へ流すことにより冷房運転(
図1参照)を行い、また、四方切換弁7
を切り換え操作して圧縮機5から吐出された冷媒Rを室内熱交換器17(凝縮器)から室外熱交換器8(蒸発器)へ流すことにより暖房運転(
図4参照)を行うようになっている。
【0030】
即ち、四方切換弁7が冷房運転に切り換えられると、
図1に示す如く、室外機1の圧縮機5から吐出された冷媒Rは、オイルセパレータ6及び四方切換弁7を経て室外熱交換器8に至り、ここで室外空気と熱交換して凝縮液化され、レシーバタンク9、膨張機構10、液側閉鎖弁14、液側配管3を経て室内機2に流入し、室内電子膨張弁18にて減圧された後、室内熱交換器17に流入してここで室内空気と熱交換して蒸発し、室内を冷房する。
室内機2の室内熱交換器17から流出した冷媒Rは、ガス側配管4、ガス側閉鎖弁15、四方切換弁7を経て室外機1の圧縮機5に戻される。
【0031】
一方、四方切換弁7が暖房運転に切り換えられると、
図4に示す如く、室外機1の圧縮機5から吐出された冷媒Rは、オイルセパレータ6、四方切換弁7、ガス側閉鎖弁15、ガス側配管4を経て室内機2の室内熱交換器17に至り、ここで室内空気と熱交換して凝縮し、室内を暖房する。
室内熱交換器17にて凝縮された冷媒Rは、室内電子膨張弁18、液側配管3、液側閉鎖弁14を経て室外機1に流入し、レシーバタンク9、膨張機構10を経て室外熱交換器8に流入し、ここで室外空気と熱交換して蒸発した後、四方切換弁7を経て室外機1の圧縮機5に戻される。
【0032】
また、冷暖房システムが冷房運転又は暖房運転されると、上述のように圧縮機5から吐出された冷媒Rは、オイルセパレータ6を経由することになるが、このオイルセパレータ6においては、冷媒Rに含まれる潤滑油Oが分離されて潤滑油戻り配管12により圧縮機5に戻されるようになっている。
【0033】
尚、
図1及び
図4において、23は逆止弁、24は室外電子膨張弁、25は廃熱回収器、26は電磁弁である。
【0034】
そして、本発明の実施の形態に係る管路洗浄器具は、破損した圧縮機5を新しい圧縮機5に交換したときに、冷暖房システムの管路(冷媒回路)を洗浄する際に用いるものであり、液側配管3に介設され、液化した冷媒R中の異物を除去する第1洗浄具27と、並列状に配置した2台の圧縮機5近傍の潤滑油戻り配管12にそれぞれ介設され、潤滑油O中の異物を除去する2台の第2洗浄具28とから構成されている。
【0035】
即ち、前記第1洗浄具27は、
図2(A)に示す如く、第1マグネットフィルタ29、第1フィルタ30、第1分岐フィルタ31及び二つの逆止弁32を、上流側配管33、接続配管34、下流側配管35及び分岐配管36により直列状及び並列状に接続してユニット化したものであり、冷暖房システムの冷房運転時には、液化した冷媒Rが第1マグネットフィルタ29から第1フィルタ30へ流れて冷媒R中の異物が第1マグネットフィルタ29及び第1フィルタ30により除去され、また、冷暖房システムの暖房運転時には、液化した冷媒Rが第1分岐フィルタ31を通過して冷媒R中の異物が第1分岐フィルタ31により除去されるように構成されている。
【0036】
具体的には、第1マグネットフィルタ29は、
図3に示す如く、入口及び出口を形成した筒状のケーシング29aと、ケーシング29a内に収納され、一端部がケーシング29aに気密状に挿入された上流側配管33に接続されると共に、他端部が閉塞されて周壁に多数の透孔29b′を有する筒体29bと、筒体29bの両端部外周面にそれぞれ嵌めた一対の円盤状の永久磁石29cと、一対の永久磁石29c間に配設され、筒体29bの外周面に嵌めたフェルト製の複数枚の円盤状のフィルタ材29dと、筒体29bの他端部端面にボルト29eにより固定され、永久磁石29c及びフィルタ材29dの抜け止め用円板29fとから構成されており、液化した冷媒Rが上流側配管33から筒体29b内に流入し、筒体29bの透孔29b′及びフィルタ材29dを経てケーシング29aと永久磁石29c及びフィルタ材29dとの間の空間に流入した後、ケーシング29aの出口から流出するようになっている。
この第1マグネットフィルタ29においては、冷媒Rがフィルタ材29dを通過する際に冷媒R中の異物がフィルタ材29dにより除去され、また、フィルタ材29dにより除去されなかった磁性を有する異物が永久磁石29cにより除去される。
【0037】
また、第1フィルタ30は、
図2に示す如く、入口及び出口を形成した筒状のケーシング30a内にフィルタ材30bを収納したものであり、ケーシング30aの入口が第1マグネットフィルタ29のケーシング29aの出口に接続配管34を介して接続されていると共に、ケーシング30aの出口に下流側配管35が接続されている。
この第1フィルタ30のフィルタ材30bには、2μm〜5μmレベルの微細な異物を除去することができるフィルタ材30bが使用されている。この実施の形態では、フィルタ材30bには、高純度のステンレスファイバーを焼結し、プリーツ成型した高濾過面積の金属フィルタ(商品名:ステンレスプリーツコンパクトカートリッジフィルタ)が使用されている。
【0038】
更に、第1分岐フィルタ31は、
図2に示す如く、入口及び出口を形成した筒状のケーシング31a内にフィルタ材31bを収納したものであり、ケーシング31aの入口が分岐配管36を介して上流側配管33に接続されている共に、ケーシング31aの出口が分岐配管36を介して下流側配管35に接続されている。
この第1分岐フィルタ31のフィルタ材31bには、2μm〜5μmレベルの微細な異物を除去することができるフィルタ材31bが使用されている。この実施の形態では、フィルタ材31bには、高純度のステンレスファイバーを焼結し、プリーツ成型した高濾過面積の金属フィルタ(商品名:ステンレスプリーツコンパクトカートリッジフィルタ)が使用されている。
【0039】
そして、二つの逆止弁32のうち、一方の逆止弁32は、第1マグネットフィルタ29の上流側配管33で且つ第1分岐フィルタ31の接続箇所よりも下流側の位置に介設されており、上流側配管33から第1マグネットフィルタ29側への流れを許容し、反対方向の流れを阻止するようになっている。
また、他方の逆止弁32は、第1フィルタ30の下流側配管35に接続された第1分岐フィルタ31の分岐配管36に介設されており、下流側配管35から第1分岐フィルタ31側への流れを許容し、反対方向の流れを阻止するようになっている。
【0040】
前記2台の第2洗浄具28は、
図2(B)に示す如く、第2マグネットフィルタ37及び第2フィルタ38を接続配管34により直列状に接続してユニット化したものであり、冷暖房システムの冷房運転時及び暖房運転時には、潤滑油Oが第2マグネットフィルタ37から第2フィルタ38へ流れて潤滑油O中の異物が第2マグネットフィルタ37及び第2フィルタ38により除去されるように構成されている。
【0041】
前記第2マグネットフィルタ37は、第1マグネットフィルタ29と同じ形状及び同じ構造に構成され、また、第2フィルタ38は、第1フィルタ30と同じ形状及び同じ構造に構成されており、ここではその詳細な説明を省略する。
また、第2マグネットフィルタ37のケーシング37aの入口には、上流側配管33が接続され、第2フィルタ38のケーシング38aの出口には、下流側配管35が接続されている。
【0042】
尚、
図2において、39は上流側配管33及び下流側配管35にそれぞれ介設した圧力計である。
また、
図3において、37は第2マグネットフィルタ、37aはケーシング、37bは筒体、37b′は透孔、37cは永久磁石、37dはフィルタ材、37eはボルト、37fは抜け止め用円板、38は第2フィルタ、38aはケーシング、38bはフィルタ材である。
【0043】
次に、上述した管路洗浄器具を用いて冷暖房システムの破損した圧縮機5を交換した後、冷暖房システムの冷媒回路内に残っている冷媒Rの洗浄及び潤滑油Oの洗浄を行う場合について説明する。
【0044】
先ず、冷暖房システムの破損した圧縮機5を新しい圧縮機5に交換すると共に、冷暖房システムの液側配管3に第1洗浄具27を介設し、第1洗浄具27の上流側配管33及び下流側配管35をそれぞれフランジ継手(図示省略)等により液側配管3に接続し、また、2台の圧縮機5の上流側に位置する潤滑油戻り配管12に第2洗浄具28をそれぞれ介設し、各第2洗浄具28の上流側配管33及び下流側配管35をそれぞれフランジ継手(図示省略)等により潤滑油戻り配管12接続する。
【0045】
次に、この状態で冷暖房システムを一定時間(1日〜2日程度)通常運転し、冷媒R中の異物を第1洗浄具27により、また、潤滑油O中の異物を第2洗浄具28によりそれぞれ除去する。
【0046】
例えば、冷房運転となっている冷暖房システムの場合、圧縮機5により高温・高圧のガスとなった冷媒Rは、オイルセパレータ6を経由してここで冷媒Rに含まれる潤滑油Oが分離された後、四方切換弁7を経て室外熱交換器8に流入し、ここで高温・高圧の液体となり、レシーバタンク9を経て膨張機構10により低温・低圧の液体となって第1洗浄具27に流入して行く。
【0047】
第1洗浄具27に流入した液化した冷媒Rは、第1マグネットフィルタ29及び第1フィルタ30を通過し、その間に冷媒R中に含まれている異物(圧縮機5の摺動材の摩耗粉、金属粉、細かな破片、潤滑油Oの劣化物、酸化スケール等)が順次除去される。
【0048】
第1洗浄具27を通過した冷媒Rは、室内電子膨張弁18を経て室内熱交換器17に入り、ここで低温・低圧のガスとなった後、四方切換弁7を経て圧縮機5に入り、上述した工程が繰り返される。
【0049】
また、オイルセパレータ6で分離された潤滑油Oは、潤滑油戻り配管12により第2洗浄具28に流入して第2マグネットフィルタ37及び第2フィルタ38を通過し、その間に潤滑油O中に含まれている異物(圧縮機5の摺動材の摩耗粉、金属粉、細かな破片、潤滑油Oの劣化物、酸化スケール等)が順次除去された後、圧縮機5に戻される。
尚、新しい冷媒R及び潤滑油Oの補充は、冷暖房システムの運転中に行われる。
【0050】
反対に、暖房運転となっている冷暖房システムの場合、圧縮機5により高温・高圧のガスとなった冷媒Rは、オイルセパレータ6を経由してここで冷媒Rに含まれる潤滑油Oが分離された後、四方切換弁7を経て室内熱交換器17に流入し、ここで高温・高圧の液体となり、室内電子膨張弁18により低温・低圧の液体となって第1洗浄具27に流入して行く。
【0051】
第1洗浄具27に流入した液化した冷媒Rは、第1分岐フィルタ31を通過し、その間に冷媒R中に含まれている異物(圧縮機5の摺動材の摩耗粉、金属粉、細かな破片、潤滑油Oの劣化物、酸化スケール等)が除去される。
【0052】
第1洗浄具27を通過した冷媒Rは、レシーバタンク9、膨張機構10を経て
室外熱交換器8に入り、ここで低温・低圧のガスとなった後、四方切換弁7を経て圧縮機5に入り、上述した工程が繰り返される。
【0053】
また、オイルセパレータ6で分離された潤滑油Oは、潤滑油戻り配管12により第2洗浄具28に流入して第2マグネットフィルタ37及び第2フィルタ38を通過し、その間に潤滑油O中に含まれている異物(圧縮機5の摺動材の摩耗粉、金属粉、細かな破片、潤滑油Oの劣化物、酸化スケール等)が順次除去された後、圧縮機5に戻される。
尚、新しい冷媒R及び潤滑油Oの補充は、冷暖房システムの運転中に行われる。
【0054】
そして、冷暖房システムの冷房運転又は暖房運転を一定時間行って冷媒R及び潤滑油O中の異物を除去した後、第1洗浄具27及び第2洗浄具28を液側配管3及び潤滑油戻り配管12からそれぞれ取り外す。
【0055】
このように、上述した管路洗浄器具を用いた冷暖房システムの管路洗浄方法は、冷暖房システムを一定時間通常運転して冷媒回路内の冷媒R中の異物を第1洗浄具27により、また、潤滑油O中の異物を第2洗浄具28によりそれぞれ除去するようにしているため、零倍R及び潤滑油Oが清浄化され、新しく交換した圧縮機5の破損を防止することができる。
【0056】
また、この冷暖房システムの管路洗浄方法は、圧縮機5を交換した後に、管路内に残っている冷媒R及び潤滑油Oを第1洗浄具27及び第2洗浄具28により洗浄しているため、新たに補充する冷媒R及び潤滑油Oの量が少なくて済み、コスト低減を図ることができる。
例えば、本発明の冷暖房システムの管路洗浄方法を用いた場合、潤滑油Oを30リットル必要とする冷暖房システムにおいては、潤滑油Oを約6リットル補充(約1/6補充)するだけで良い。
【0057】
尚、上記の実施の形態においては、室外機1の圧縮機5を2台使用したが、他の実施の形態においては、圧縮機5を1台としても良い。
また、上記の実施の形態においては、室内機2を1台としたが、他の実施の形態においては、室内機2を複数台としても良い。