(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5926747
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】フィルターアセンブリを通る供給流及び回収流を有するバイオリアクター
(51)【国際特許分類】
C12M 3/00 20060101AFI20160516BHJP
C12N 1/00 20060101ALI20160516BHJP
C12M 3/02 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
C12M3/00 Z
C12N1/00 B
C12M3/02
【請求項の数】8
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-555392(P2013-555392)
(86)(22)【出願日】2012年2月22日
(65)【公表番号】特表2014-509194(P2014-509194A)
(43)【公表日】2014年4月17日
(86)【国際出願番号】SE2012050198
(87)【国際公開番号】WO2012115586
(87)【国際公開日】20120830
【審査請求日】2015年2月19日
(31)【優先権主張番号】1150158-2
(32)【優先日】2011年2月24日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】ジーイー・ヘルスケア・バイオサイエンス・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(72)【発明者】
【氏名】フリッキング,パトリック
【審査官】
吉岡 沙織
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2003/0036192(US,A1)
【文献】
実開平06−007500(JP,U)
【文献】
特開平03−297380(JP,A)
【文献】
特開2009−142182(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2011/0020922(US,A1)
【文献】
国際公開第2011/005773(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
C12N 1/−7/
C02F 3/
B01D 24/,29/,33/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体培地を受容できるチャンバー(100)と、灌流フィルター(210、212、214)を備えるフィルターアセンブリ(200)とを含み、前記フィルターアセンブリ(200)が前記チャンバー(100)内に配置され、前記フィルターアセンブリ(200)が前記チャンバー(100)内で自由に移動するバイオリアクターであって、
前記フィルターアセンブリ(200)が、前記フィルター(210、212、214)を通過する回収流を連結する手段と、前記回収流とは逆方向に前記フィルターを通過する供給流を連結する手段とを備えており、前記供給流が供給ポンプ(330)によって前記バイオリアクターに送り込まれ、前記回収流が回収ポンプ(340)によって前記バイオリアクターから送り出され、前記フィルターアセンブリが2つ以上のフィルター(211、212、213、214)を備えていて、前記供給流が前記2つ以上のフィルター(211、212、213、214)の間に流れるように導かれることを特徴とするバイオリアクター。
【請求項2】
前記流れを連結する手段が前記フィルターアセンブリに取り付けられた可撓性管を備える、請求項1記載のバイオリアクター。
【請求項3】
前記フィルターアセンブリ(200)が、前記供給流及び前記回収流をそれぞれ連結する手段を備える、請求項1又は請求項2記載のバイオリアクター。
【請求項4】
前記フィルターアセンブリ(200)が前記供給流と前記回収流を同軸に連結する手段を備える、請求項1乃至請求項3のいずれか記載のバイオリアクター。
【請求項5】
前記供給流が前記回収流の周囲に同軸に配置される、請求項4記載のバイオリアクター。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか1項記載のバイオリアクターを操作する方法であって、
回収ポンプ(340)によって回収流を前記灌流フィルター(210、212、214)を通して前記バイオリアクターから除去するステップと、
供給流を前記2つ以上のフィルター(211、212、213、214)の間に流れるように導くことによって供給ポンプ(330)で供給流を前記灌流フィルター(210、212、214)を通して前記バイオリアクターに供給するステップと
を含み、前記回収流が前記供給流とは逆方向に前記灌流フィルター(210、212、214)を通過して除去される、方法。
【請求項7】
当該方法が、先ず特定の体積の前記回収流を前記バイオリアクター(100)から除去し、次いで実質的に同じ体積の前記供給流を前記バイオリアクター(100)に供給する方式で実施される、請求項6記載の方法。
【請求項8】
前記回収流の除去と前記供給流の供給が周期的な間隔で行われる、請求項7記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、
灌流フィルタ
ーを備えるバイオリアクタ
ー並びに灌流フィルタ
ーを備えるバイオリアクタ
ーの
操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遺伝子工学
及び
バイオテクノロジーの
革新により、近年、
細胞培養が多大な関心を
集めている。
例えば、治療、研究
及び診断
用のタンパク質、受容体、ワクチン
及び抗体
を生産するために細胞が培養されている。
【0003】
灌流培養
が、
比較的経済性に優れた細胞培養
法であることは長く認識されている。この
操作では、細胞
をバイオリアクタ
ー内に保持
し、生成物
を毒性代謝副産物と共に連続的に除去
する。栄養素を含む
供給液がバイオリアクタ
ーに連続的に
添加される。
灌流培養
操作では、
高い細胞密度を達成することができ、さらに重要なことには、細胞を
数週間にわたって生産性の高い状態
に維持することができる。
こうして収率を高めることができ、必要とされるバイオリアクタ
ーのサイズを縮小することができる。
これは、初代細胞又は
その他の
増殖が遅い細胞を培養するための有用な
技術でもある。
【0004】
灌流
操作は、ここ数年で
大幅に開発が進んだ。米国特許第6,544,788号明細書には、バイオリアクタ
ーから細胞を失
わずに液体を除去
できる
灌流フィルタ
ーを備える従来技術のバイオリアクタ
ーが開示されている。
灌流フィルタ
ーは、培地に対して
中性浮遊(neutrally buoyant)であるように構成される。
灌流フィルタ
ーは、バイオリアクタ
ーの
揺動運動
と共に自由に動くことができるように、バイオリアクタ
ー内部に配置される。フィルタ
ーの底面は、液体透過性であるが、細胞を保持する膜からなる。可撓性管
によって、本質的に細胞を含まない
濾液をフィルタ
ーの内側から取り出
せるようにする。バイオリアクタ
ーが
揺動すると、フィルタ
ーが培地中で前後に素早く動く。この前後運動は、フィルタ
ーを洗浄し、
酷い目詰まり
を起こさずに操作できるように
する。栄養素
供給液をバイオリアクタ
ー内に
送り込み、回収
濾液
を連続的
に又は周期的な間隔で除去
する。
【0005】
上
述の
灌流フィルタ
ーは、フィルタ
ーの目詰まりを
十分に防ぐが、
灌流フィルタ
ーの目詰まり防止を向上させ、
灌流フィルタ
ーの
操作耐久性を高めることが依然としてさらに望まれている。
【0006】
米国特許第5032524号明細書、国際公開第2007076865号パンフレット
及び仏国特許第2679248号明細書は、バイオリアクタ
ーのフィルタ
ーの目詰まりの問題に対処
したものである。
これらの各文献には、液体培地の再循環を含むシステムが提案されている。しかし、こうしたシステムは、フィルタ
ーアセンブリがチャンバ
ー内で自由に動くバイオリアクタ
ーで実施するのが難しい。
【0007】
本発明の目的は、上
述のタイプのバイオリアクタ
ーを改良して、バイオリアクタ
ー内の
灌流フィルタ
ーの目詰まり防止を向上させることである。他の目的は、
灌流フィルタ
ーの
操作耐久性を高めることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第20030036192号
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
上
述の目的は、
添付の特許請求の範囲に記載された本発明に
係るバイオリアクタ
ーによって達成される。
【0010】
本発明
では、液体培地を
受容できるチャンバ
ーと、
灌流フィルタ
ーを備えるフィルタ
ーアセンブリとを含むバイオリアクタ
ーを提供する。フィルタ
ーアセンブリはチャンバ
ー内に配置され、フィルタ
ーアセンブリはチャンバ
ー内で自由に移動する。フィルタ
ーアセンブリは、前記フィルタ
ーを通
過する回収流を
連結する手段
と、回収流
とは逆方向に前記フィルタ
ーを通
過する
供給流を
連結する手段
とを備える。
【0011】
上
述の目的は、
バイオリアクターを操作する方法によっても達成されるが、前記バイオリアクターは、液体培地を
受容できるチャンバ
ーと、
灌流フィルタ
ーを備えるフィルタ
ーアセンブリとを含
んでいて、フィルタ
ーアセンブリがチャンバ
ー内に配置され、フィルタ
ーアセンブリがチャンバ
ー内で自由に移動
し、当該方法は、回収流を前記
灌流フィルタ
ーを通してバイオリアクタ
ーから除去し、
供給流を前記
灌流フィルタ
ーを通してバイオリアクタ
ーに供給することを含む。回収流は、
供給流
とは逆方向に前記
灌流フィルタ
ーを通
過して除去される。
【0012】
このようにして、フィルタ
ーの目詰まり
の低減
によって灌流細胞培養を行うことができる
操作期間を延ばすことができる。本発明は、
フィルタ
ーの
過度の目詰まり
を起こさずに灌流
操作を行うことのできる低価格の細胞培養バイオリアクタ
ーを提供する。
【0013】
流れを
連結する手段は、フィルタ
ーアセンブリに取り付けられた可撓性管を備えることができる。可撓性管
は、
流れを効果的に供給又は回収しながら、バイオリアクタ
ー内の
灌流フィルタ
ーを望ましく移動
させることができ
る。
【0014】
フィルタ
ーアセンブリは、それぞれ
供給流及び回収流
を連結するための別個
の手段を備え
ていてもよい。システムを簡素化し、
供給流と回収流
とが互いに接触しないように保
つため、
供給流
を供給ポンプによってバイオリアクタ
ーに
送り込み、回収流
を回収ポンプによってバイオリアクタ
ーから
送り出す。こうすると、2つの流れの混合が阻止される。従って、確実に、回収流が望ましい無細胞生成物を含み、回収流中の栄養素の量が最小限に抑えられる。これは、栄養素がしばしば高価であり、栄養素損失の量を最小限に抑えなければならないために重要である。
【0015】
フィルタ
ーアセンブリは、
供給流と回収流を同軸に
連結する手段を備え
ていてもよい。
供給流を回収流の周囲に同軸に配置することができる。この
構成によって、
起こり得る乱流が防止される。
この
構成は、また、単一の同軸管
接続しか必要とされ
ないので、2つの別個の管を
もつ構成よりもバイオリアクタ
ーバッグ内
でのフィルタ
ーの
移動に対する障害が少なく、バッグ内で
フィルターが自由に移動
できる。
【0016】
フィルタ
ーアセンブリは、2つ以上のフィルタ
ーを備え
ていてもよく、回収
液の
濾過を向上させることができる。次いで、
供給流を2つ以上のフィルタ
ーの間を流れるように
導くことができる。この
構成により、フィルタ
ーアセンブリ内
に捕集できる
供給液の量を最小限に抑えることができる。さらに、乱流を防止することができる。
【0017】
バイオリアクタ
ーの操作方法
は、
先ず特定の体積の回収流
をバイオリアクタ
ーから除去し、次いで実質的に同じ体積の
供給流をバイオリアクタ
ーに供給する
方式で実施
することができ、回収流中の栄養素量を最小限に抑えることができる。回収流の除去
及び
供給流の供給
は周期的な間隔で行うことができる。
【0018】
以下の詳細な説明
及び本発明を実施する方法の例を示す図から、本発明のさらなる態様及び利点が明らかになるであろう。
【0019】
本発明を示すために、バイオリアクタ
ーの従来技術の構成
及び本発明の好ましい実施形態を図面に示したが、理解されるように、本発明は図面に示した正確な形態に限定されないものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】従来技術の
灌流バイオリアクタ
ーを示す断面図である。
【
図1a】従来技術のフィルタ
ーアセンブリを示す断面図である。
【
図2】流れ制御回路を有する本発明に
係るバイオリアクタ
ーの一実施形態を示す概略図である。
【
図3】回収流及び
供給流のための同軸
連結部を有する
灌流フィルタ
ーアセンブリの一実施形態を示す概略図である。
【
図4】
供給流のための縁部
連結部を有する
灌流フィルタ
ーアセンブリの一実施形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
波動式撹拌に基づく
灌流バイオリアクタ
ーとしては、
限定されるものではないが、GE Healthcare
社製のWAVE Bioreactor(商標)システム
が挙げられる。こうしたバイオリアクタ
ーは、
培地で部分的に充填され、堅くなるまで膨らませたプラスチックバッグなどのチャンバ
ーを備え
る。本明細書でバイオリアクタ
ーバッグとも呼ばれるチャンバ
ーは、
揺動プラットホーム上に配置され、
揺動プラットホームは、
所定の角度
及び
所定の揺動速度でチャンバ
ーを前後に
動かす。
揺動運動は、培地中に波を
惹起し、いずれも良好なバイオリアクタ
ー性能に不可欠な撹拌及び酸素移動を促進する。
【0022】
灌流フィルタ
ーは、培地に対して
中性浮遊となるように構成され、例えば、米国特許第6,544,788号に
記載されているように設計することができる。
【0023】
図1に従来技術のバイオリアクタ
ーを示す。バイオリアクタ
ーは、培地及び細胞11で部分的に(10%
〜80%)充填
したプラスチックバッグ10を備える。チャンバ
ーの残り
は膨らませて、ガス
で充填されたヘッドスペース12からなる。細胞代謝に必要とされる酸素
は、滅菌入口フィルタ
ー13を通して導入される空気(又は他の酸素富化ガス)によって供給される。排気は、チャンバ
ーから排出フィルタ
ー14を通して通気される。バッグ10は、回転軸16を中心に前後に移動する
揺動プラットホーム15に取り付けられる。通常の
揺動速度は、水平面か
ら2〜20度
の角度で
毎分10
〜30
回の揺動である。
灌流フィルタ
ー20は液体表面17上に浮揚する。
図1aから分かるように、
灌流フィルタ
ー20の下面は
液体透過性膜21からな
り、浸漬される。この膜21は、細胞が通過
できない
ポロシティを有する。フィルタ
ー膜21は、平均孔径7ミクロン
の焼結
多孔質ポリエチレンシート
(Porex T3)でもよい。ナイロン及びポリエチレンなど、他の適したプラスチック
も使用
できる。
濾過膜21は、非
多孔質上層26に熱
融着される。
濾液管22を
簡単に取り付けることができるように、ホースバルブポート27が上層26に取り付けられる。この従来技術の解決法では、可撓性の
濾液管22に吸引
力を加えて、無細胞
濾液23
をフィルタ
ー20内に
吸い込んで、バイオリアクタ
ーから除去
する。可撓性管22はフィルタ
ー20の唯一の取り付け点である。
濾過膜21が上層26に
べったりと吸引されて流れ
が詰まるのを防
ぐため、ポリエチレンメッシュ24をフィルター20内部に配置してもよい。フィルタ
ーアセンブリ20全体を熱
融着継目25でシール
してもよい。栄養素
は別の入口ポート30を介してバイオリアクタ
ーに供給される。
【0024】
本発明では、
図2に示すように、
灌流フィルタ
ー210
はフィルタ
ーアセンブリ200に
内蔵され、フィルタ
ーアセンブリ200は、回収流管220
(本明細書では濾液管ともいう。)及び
供給流管300
をフィルタ
ーアセンブリ200に
連結する手段をさらに備えて
いて、回収流と栄養素を含む
供給流とが
灌流フィルタ
ー210を通
して反対方向に流れることができるようにする。
揺動プラットホーム150、バイオリアクタ
ーバッグ100、可撓性管220、300の材料、及び
灌流フィルタ
ー210のタイプは、上
述の従来技術のバイオリアクタ
ーに関連
して説明するとともに図1及び1a
に示したものと同様
であっても或いは対応する特徴
を有するものであってもよい。
【0025】
流管220、300をフィルタ
ーアセンブリに取り付ける手段は、例えば、可撓性管220、300を連結するホースバルブポートを含むことができる。当業者には明らかなように、液密且つ/又はガス密連結部を提供する任意の他の適した取り付け手段を使用することもできる。
【0026】
可撓性管220、300は、バイオリアクタ
ーバッグ100の壁を通して
連結される。可撓性管220、300は、フィルタ
ーアセンブリ200が液体表面170上で自由に移動できるように十分
な可撓性
をもつ。必要に応じて、バイオリアクタ
ーの壁に
対する可撓性管220、300の長さ及び位置
は、
灌流フィルタ
ーアセンブリ200の運動を幾分制限して、例えば、フィルタ
ーアセンブリ200がバイオリアクタ
ー100の壁に衝突するのを防ぐように
構成してもよい。そうすると、
灌流フィルタ
ーの
操作耐久性をさらに高めることができる。
【0027】
灌流フィルタ
ー200及びバイオリアクタ
ーバッグ100
はγ線
照射によってその場で滅菌することができる。使用
に際
して、バッグ100に
増殖促進無菌栄養培地が充填される。細胞
を加えて、バッグ100
を揺動プラットホーム150上に配置
する。バイオリアクタ
ーを揺動し、通気
して細胞の
増殖を促進
する。
【0028】
本発明に
係るバイオリアクタ
ーは、さらに
図2に示すように、
操作することができる。バイオリアクタ
ーから回収
する。すなわち、回収ポンプ340のスイッチを入れ
て、回収流(無細胞
濾液)
をフィルタ
ー210内に取り
込んで、バイオリアクタ
ーから除去
する。このポンプは、
所望の量の濾液を
灌流フィルタ
ー210を通して
吸引し、
回収槽350内に
送る。
回収槽は、
回収槽350の重量を測定するための重量センサ
ーなど手段310を備えるフックによってつり下げられる。制御装置500は、
回収槽350の重量の増加の測定によって、
所定及び/又は所望の重量の回収
液が
回収槽350に送られるまでポンプ340のスイッチを入れた状態にする。次に、
供給ポンプ330のスイッチを入れる。栄養素が
回収槽350と同じフックにつり下げられた
供給容器320から供給される。供給速度は
供給ポンプ330によって制御される。この
供給ポンプ330は、制御装置500によって断続的に
操作され、フィルタ
ーアセンブリ200に
連結された可撓性管300を介して
供給液をバイオリアクタ
ーバッグ100に
送り込む。制御装置500は、
供給容器320の重量の減少の測定によって、
所定の重量の
供給液がバイオリアクタ
ーバッグ100に送られるまで
供給ポンプ330に電源を入れて作動させる。
供給量がバイオリアクタ
ーバッグ100から
回収された回収量と等しくなる。次いで、このサイクル
を繰り返
す。
サイクルの頻度
は、所望の全体
的灌流速度が得
られるように調整できる。
供給液の累積添加量と回収
液の累積除去量は重量センサ
ー310のサイクリングから容易に計算することができる。
【0029】
本発明の他の変形形態では、
先ず栄養素の
供給流をバイオリアクタ
ーバッグ100に
添加し、次いで回収
液を
回収することによって、バイオリアクタ
ーバッグ100を
操作すること
もできる。制御システム500は、上記
と同様に機能する。先ず
供給液を添加する場合、
供給容器320の重量の減少
を測定
し、次いで回収
液の量がリアクタ
ー100
への供給液の添加量と等しくなるように
する。この
構成によって、培養中
の栄養素のレベルを比較的高く保持することができる。
【0030】
本発明の一変形形態では、それぞれ
供給容器320及び
回収槽350は、それぞれ重量センサ
ーのような重量測定手段を含む。こうした
構成では、制御システム500は、それぞれ各センサ
ーから情報を受けるように適合され、その後、回収量と
供給量が等しくなるように適合させる。この
構成により、システムの正確さをさらに向上させることができる。
【0031】
本発明の他の実施形態では、重量センサ
ー又は計量
機構など
の重量測定手段は、バイオリアクタ
ーの
揺動プラットホーム150内に組み込まれる。制御システム500は、上記
と同様に機能する、すなわち、制御システムは回収
液量がリアクタ
ー100
への供給液の添加量と等しくなるように
する。こうした
構成により、システムをよりコンパクトに構成することができる。
【0032】
灌流
操作では、細胞がバイオリアクタ
ーから流出しないことが重要である。さもなければ、細胞が洗い流されることによって、バイオリアクタ
ー内の細胞濃度が低下する。実際には、少量の細胞損失(<10%)は、死細胞、又は瀕死細胞を除去し、低レベルの細胞の再
増殖を向上させるために許容される。ポンプ又はフィルタ
ーの故障を警告するように警報をプログラミングして、価値のある細胞の損失を防ぐことができる。
【0033】
図3に、フィルタ
ーアセンブリ200’が
供給流300’及び回収流220’のための同軸に配置された可撓性管を備える一実施形態
を示す。可撓性管は単一の同軸
連結手段270’を介してフィルタ
ーアセンブリ200’に
連結される。この
連結手段は、回収流と
供給流の両方に入口を設ける任意の適した構成でよく、前記フィルタ
ーアセンブリ200’に取り付けることができるものであるが、図面に
はそれ以上の詳細
は示していない。
図3に示すように、
供給流300’は、回収流220’の周囲に配置され、フィルタ
ーアセンブリ200’の周囲から第2の
灌流フィルタ
ー212に移動するように
導かれる。回収流220’は、
濾液の除去に関連して、フィルタ
ー211と212の両方を通って移動する。それによって、回収流220’は、
供給流300’
と逆方向に
灌流フィルタ
ー212を通ってバイオリアクタ
ーバッグから除去され、回収流の
濾過の向上が得られる。この
構成により、フィルタ
ーアセンブリ内
に捕集できる供給流の量を最小限に抑えることができる。また、乱流を回避することもできる。同軸に配置された
供給流及び回収流を、単一の
灌流フィルタ
ーを通してバイオリアクタ
ーバッグに、すなわち、
図2に関連して示したのと同様の方法で向けることもできる。
【0034】
他の変形形態
(図示せず)では、回収流管と
供給流管を隣り合わせに、又はフィルタ
ーアセンブリ上で平行に互いに接近するように取り付けることができる。次いで、
供給流を、
図3に関連して示したのと同様の方法で、フィルタ
ーアセンブリの周囲を流れ、第2の
灌流フィルタ
ーを通
過してバイオリアクタ
ーバッグに供給されるように配置することができる。
供給流を、
図2に示すものと同様の方法で、単一
灌流フィルタ
ーを通
過して流れるように配置することもできる。
供給流と回収流を隣り合わせに、且つ/又は平行に
連結する手段を配置することによって、バイオリアクタ
ー内のフィルタ
ーアセンブリの自由な動きを確保することができる。
【0035】
図4に本発明の他の実施形態
を示す。フィルタ
ーアセンブリ200”は、2つの
灌流フィルタ
ー213及び214を備える。フィルタ
ーアセンブリ200”は、
供給流用の可撓性管300”及び回収流用の管220”を備える。
供給流管300”はフィルタ
ーアセンブリ200の縁部に取り付けられ、
供給流は2つの
灌流フィルタ
ー213と214の間に
導かれる。この
構成によっても、フィルタ
ーアセンブリ内部
に捕集できる供給流の量を最小限に抑えることができる。また、乱流を回避することもできる。
【0036】
上
述のように、本発明によれば、
灌流フィルタ
ーの表面上に発生させる逆流により、長期間にわたり、
灌流フィルタ
ーを目詰まりしないように保持することができる。目詰まりが、容易に、経済的に、且つ有効に防止される。
【0037】
本発明を特定の実施形態及び用途に関して記載してきたが、当業者は、この教示を踏まえて、特許請求する本発明の範囲を超えることなく、又はその精神から逸脱することなく、追加の実施形態を作製することができる。例えば、
灌流バイオリアクタ
ーシステムの様々な要素の特定の組成物は、限定要因であると考えられるべきではない。従って、理解されるように、本開示の図面及び記載は、本発明の理解を容易にするために提案されるものであり、本開示の範囲を限定するもと解釈すべきではない。
【符号の説明】
【0038】
10、100 バッグ
11 培地及び細胞
12 ヘッドスペース
13 入口フィルタ
ー
14 排出フィルタ
ー
15、150
揺動プラットホーム
16 回転軸
17、170 液体表面
20、210、211、212、213、214
灌流フィルタ
ー
21 膜
22
濾液管
23
濾液
24 メッシュ
25 継目
26 上層
27 ホースバルブポート
30 入口ポート
200、200’、200” フィルタ
ーアセンブリ
220、220” 回収流管
220’ 回収流
270、270’
連結手段
300、300”
供給流管
300’
供給流
310 重量センサ
ー
320
供給容器
330
供給ポンプ
340 回収ポンプ
350
回収槽
500 制御装置