(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の最良の実施液体について、図面を参照しつつ以下に説明する。本発明は、非圧縮映像信号と圧縮映像信号とを共通の(同一の)インターフェースで同時に伝送するものである。そしてこのような伝送を、普及し始めたDVIやHDMIなどの非圧縮デジタルインターフェースとの相互接続性を維持しつつ実現したものである。尚、いかに説明される実施例において、映像処理装置は、例えばデジタルチューナを内蔵するSTBや、テレビジョン表示装置等(以下、「TV」と称す)を含むものである。勿論、以下の実施例は、これらの機器以外にも適用できる。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明に係る第1実施例のブロック図であり、映像処理装置の一例であるSTB(Set Top Box)11と、映像処理装置の他の例であるTV12、及び外出先で映像を視聴可能なモバイルビューワ13を含んで構成される。以下、それらの動作例を説明する。
【0014】
STB11は、デジタル放送やケーブルなどから供給されるRF信号101を受け、デジタルチューナ111で圧縮映像のトランスポート・ストリーム(以下TSと略す)を復調する。復調されたTSはTS/PS変換部112でプログラム・ストリーム(以下PSと略す)を抽出し、復号部113で非圧縮映像信号を得る。この非圧縮映像信号とOSD部115で生成されたOSD画面とを映像合成部114で合成する。この非圧縮映像信号は、パケット化されずに送信部117から映像信号インターフェース103を経由してTV11の受信部127に伝送される。受信部127で受信された非圧縮映像信号は、映像合成部124を介して表示部129へ送られる。表示部129は、この非圧縮映像信号に基づいてリアルタイムな映像画面を表示し、ユーザへ提供する。制御部116と126は、それぞれ送信部117と受信部127の多重化や通信状況を制御するだけでなく、TV12の表示能力(映像の表示に関する特性や仕様)をSTB11へ伝え、STB11から送出する映像信号をTV12の表示特性に合わせる動作を行う。また、相互にリモコン制御コードなどをやりとりしてSTB11とTV12との連携動作が可能になるように、双方向通信制御もできる。
【0015】
一方、デジタルチューナ111のTS出力とOSD部115のOSD出力は送信部117へも送られる。送信部117は、TSとOSDのパケット・データを非圧縮映像信号に多重化して多重化映像信号を生成し、インターフェース103を経由して受信部127に伝送する。受信部127は、受信した多重化映像信号から非圧縮映像信号とTS及びOSDとを分離する。受信部127で分離もしくは抽出されたTS及びOSDは、蓄積部128に蓄積される。この蓄積部128は、例えばハードディスクで構成される。フラッシュメモリなどの半導体メモリで構成してもよい。これによりTSに基づく映像の録画が行われる。録画されたTSは、ユーザの指示により蓄積部128より読み出され、TS/PS変換部122でPSを抽出し、復号部123で非圧縮映像信号を得る。同時に、必要に応じてOSDデータも蓄積部128から読み出され、OSD部125で非圧縮のOSD映像信号を形成する。このOSD映像信号は、映像合成部124において復号部123から出力された非圧縮映像信号と映像合成される。録画映像とOSDが合成された非圧縮映像信号は表示部129により表示され、ユーザが希望する時間帯で視聴(タイムシフト視聴)することができる。
【0016】
尚、TV12がデジタルチューナ121を搭載していれば、STB11と同様にデジタル放送などを受信して、そのTSを蓄積部128で録画してタイムシフト視聴できる。さらに、TS/PS変換部122と復号部123を通して得られた非圧縮映像信号と、STB11より送られてきた非圧縮映像信号とを映像合成部124で合成して表示部129で2画面同時表示することもできる。デジタルチューナ111と121が異なるチャネルを受信して2画面合成してもよい。また、地上波デジタルチューナで受信したチャネルの映像と、ケーブルテレビチューナが受信したチャネルの映像とを2画面合成してもよい。STB11が、デジタルチューナ付TV12に内蔵されるデジタルチューナとは異なるデジタルチューナ111(すなわちTV12のデジタルチューナで受信できないチャネルを受信可能なデジタルチューナ)を備えていれば、TV12が受信できないチャネルのリアルタイム視聴やタイムシフト視聴が実現できる効果もある。また、STB11をTV12から取り外した後も、STBで受信して蓄積部128に残っている映像を視聴できる効果もある。
【0017】
デジタルチューナ111が、複数のチャネルの同時受信ができるものであれば、送信部117で多重化される圧縮映像信号と非圧縮映像信号とは、異なる番組であってもよいのは明らかである。また、送信部117が多重する圧縮映像データはTSではなく、TS/PS変換後のPSであってもよい。TSに比べてPSはデータ伝送量が少なくなる利点がある。
【0018】
蓄積部128に録画された圧縮映像信号は、符号変換部130でさらなる高圧縮化や伝送形式などの符号変換が為された後、USBやIEEE1394などのインターフェース部131、インターフェース104、及びインターフェース部132を通して、蓄積部138へ転送され得る。映像信号の転送後、モバイルビューワ14はインターフェース104から切り離され、任意の場所に持ち運びが可能となる。そしてモバイルビューワ14は、ユーザの指示に応じて、蓄積部138に記憶された映像を復号部133で復号化して表示部139で表示する。これにより、ユーザは、モバイルビューワ14を使用して任意の場所で所望の映像を視聴することができる。
【0019】
図2は、送信部117と受信部127の一構成例を示すブロック図である。以下その動作例を説明する。映像合成部114(
図1)からの非圧縮映像に対応する音声データ202、デジタルチューナ111(
図1)からのTS出力203、及びOSD部115(
図1)のOSDデータ204は、それぞれ送信部117のパケット生成部211、212及び213に入力される。パケット生成部211〜213は、それぞれ入力された信号に基づいて、非圧縮映像信号に多重するために適したパケットを形成する。バッファ部214は、パケット生成部211〜213からのパケットを受け取って、パケット送出の優先順位に従って並べかえ、非圧縮映像信号の帰線期間に合わせて順番に送出する。バッファ部214で並べかえたパケットは、ECC符号部215でエラー訂正用のコードが挿入される。そして、インタリーブ部216でビット単位のインタリーブ処理が施されてバーストエラーへの耐性が高められ、多重符号部217へ送られる。多重符号部217は、映像合成部114(
図1)からの非圧縮映像信号出力201に、上記インタリーブ化されたパケットを多重化する多重化部401と、非圧縮映像信号のためのコピー制御フラグを付与するコピーフラグ付与部402と、映像信号を暗号化する暗号化処理部403と、そして伝送用の符号化を行う伝送用符号化部404とを含む。多重符号部217の出力は、出力回路218を経由して、多重化映像信号207として受信部127の入力回路228に送信される。
【0020】
入力回路228が受信した多重化映像信号は、多重復号部227へ送られる。多重復号部227は、伝送用符号化を復号する伝送用復号部411と、映像信号の暗号化を解く暗号解読部412と、コピーフラグを抽出するコピーフラグ抽出部413と、非圧縮映像信号291と他のパケット・データを分離する分離部414とを含む。パケット・データは、デ・インタリーブ回路226でインタリーブ処理されて元の信号に復元され、ECC復号部225でエラー訂正が為された後に、バッファ部224に送信される。バッファ部224は、パケット・データを一旦保持してパケット復号部221〜223にそれぞれ出力する。パケット復号部221〜223は、バッファ部224からのパケット・データを復号し、非圧縮映像信号の音声データ292と、TS293、及びOSDデータ294を得る。これらは
図1において、受信部127から蓄積部128へ送られるデータである。
【0021】
能力伝達部229は、TVの持つ表示能力(表示仕様及び/または表示特性)に関する情報を、能力識別部219へ通信線208を介して伝える。能力識別部219は、上記表示能力に関する情報に基づいて、TV12の表示能力を識別して識別結果205を出力する。識別結果205は、制御部116(
図1)へ送信される。そして制御部116は、接続されたTV12に適した映像フォーマットを送出するようにSTB11内の映像処理または映像出力に関する要素を制御するとともに、TV12側の表示能力を確認した上で、本実施例に係る多重化映像信号を送出する。このような構成によって、多重化映像信号を入力可能な構成を備えていない(すなわち従来のインターフェースを持つTV)へは多重映像信号を伝送せず、非圧縮映像信号のみを送出する。このため、従来のインターフェースを持つTVとの相互接続性が確保される。このようなTV12側の能力を伝達する構成としては、例えば、VESAが規定するEDIDシステムを用いることが好ましい。本実施例において、上記TVの表示能力に関する情報は、例えば表示部129の水平及び垂直解像度、色再現範囲、ガンマ特性等を含む。更に、本実施例を有効に利用するためには、上記TVの表示能力に関する情報として、上記以外に、例えば多重化映像信号の表示タイミングを示す映像フォーマット、圧縮映像のビットレート、復号可能な符号化方式の一覧、蓄積部128の蓄積容量、空き容量、最大録画速度などの能力を追加して送ると良い。
【0022】
能力伝達部229と能力識別部219は、上記の他、機器認証や暗号処理の能力確認にも使われる。例えばDVIやHDMIでは、この暗号処理として、Digital Content Protection, LLCがライセンスするHDCPがある。今後、コンテンツの多様化と共に、コンテンツ又は国別に複数の暗号処理を管理することが必要になる可能性がある。このような場合、本実施例において、映像信号の受信側に、複数種類の機器認証や暗号処理のための要素を設け、送信側からの機器認証開始のプロトコルを参照してどの処理が適当かを判別して選択するための自働判別・選択回路を設けてもよい。一方、送信側は、コンテンツの種類や使用される国などを判別し、それに適した暗号処理を選択して切換える自働判別・選択回路を設けてもよい。例えば、DVDのディスクに記録されているリージョンコードを読み出し、そのリージョンコードで暗号処理を選択すればよい。また、テレビジョン放送においては、その放送局を判別して暗号処理を選択しても良い。
【0023】
国や事業者の規制により、暗号処理の固定化が必要になる場合もある。このような場合、専用の映像処理装置を新たに準備すると、開発コストが高くなり得る。よって、映像処理装置に複数種類の暗号処理を実行可能な暗号処理部を複数設け、暗号の種類を判別し、その判別結果に対応した暗号処理部を選択する判別・選択回路を設けてもよい。このとき、判別・選択回路は、暗号の種類を自動的に判別し選択動作するようにしてもよい。また、暗号処理の種類をユーザにより設定可能とするための設定回路を設けてもよい。また、この設定回路によって、複数の暗号処理のうち一つを、出荷時において予め設定して固定しておくようにしてもよい。この場合、この設定回路によって暗号処理の種類をユーザが勝手に設定変更できないように、暗号処理の設定変更に係る手続(例えばSTB11やTV12に対するコマンドまたはパスワードの入力等)をユーザに対し秘匿するようにしておくとよい。出荷後において暗号化処理の設定を変更する場合は、特定の条件下(例えばユーザからの料金の課金)において、例えば放送及び/またはインターネット等から上記設定変更に係る手続をダウンロード可能とするようにしてもよい。このようにして、秘匿された上記設定変更に手続が特定の条件下においてユーザに開示され、ユーザによる暗号処理の変更が有効となる。本例を実施するに際して、そのようなサービスを提供するようにしてもよい。更にまた、上記設定変更に係る手続をDVDなどの記憶メディアに記憶しておき、これを設定変更用DVDとしてユーザに配布するようにしてもよい。
【0024】
更にまた、各種の暗号処理が使用される場合に、暗号処理のグレードによって、解像度や圧縮映像信号のビットレートなどに制限を設けて画質を変えることもできる。
【0025】
通信回路220と230は、通信路209を介して双方向通信を行い、
図1の制御部116と126との間で制御情報を送受信するものである。例えば、本実施例における双方向通信として、例えばHDMIが規定するCECなどの双方向通信の構成を適用できる。また、ECC復号部225で訂正できないエラーが発生した場合、TV12が本通信路209を通してSTBへ再送要求を送信し、STB11はその再送要求に応答してエラーを生じた圧縮映像信号を再送するようにしてもよい。これにより、誤りの無い録画が可能となる。圧縮/非圧縮映像信号多重化信号207に含まれる圧縮映像信号パケットには、タイムスタンプ等の識別番号や記号を付与しておくことにより、エラーパケットの番号や記号を再送要求とともにTV12がSTB11へ送信するようにしてもよい。これにより、再送要求が発生した場合、STB11はエラーパケットの番号や記号を参照してエラーパケットのみを再送できる。このため、STB11はエラーの無いパケットを再送する必要が無いので、転送効率が高まる。
【0026】
前述したバッファ部214におけるパケット送出の処理、すなわち優先順位に従ったパケット並べかえ処理について以下に説明する。非圧縮映像信号に多重化して送信されるパケットの伝送容量には限界がある。最優先して送るべきパケットは、映像と同期してリアルタイムに再生が必要な、非圧縮映像信号の音声である。従って、この非圧縮映像信号の音声パケットの優先順位を最も高くして、その配置を最優先して決定する。残った領域には、圧縮映像パケットとOSDパケットを配置する。圧縮映像パケットとOSDパケットの優先順位は、任意に定められるが、OSDが非圧縮映像信号に関連する(またはその関連性が高い)場合は、OSDパケットの優先順位を圧縮映像パケットよりも高くしてもよい。TV12における圧縮映像の利用の必要性が高い場合は、圧縮映像パケットの優先順位をOSDパケットよりも高くしてもよい。
【0027】
圧縮映像を蓄積部128に送る場合は、該蓄積部128の最大録画速度を超えないようにパケットを配置することが必要である。又は、通信路209によってフロー制御を行い、パケット送出量を制御してもよい。圧縮映像をTV12でほぼリアルタイムに再生する場合は、圧縮映像の符号化速度に合わせたパケット送出量制御が必要となる。
【0028】
尚、非圧縮映像信号のフォーマットによっては、圧縮映像信号を多重化するためのパケット伝送能力が不足する場合がある。この場合は非圧縮映像信号の画素クロックをn倍化(nは2以上)、または非圧縮映像信号の帰線期間を広げたフォーマットを用いればよい。このようにすれば、圧縮映像信号のパケット伝送能力を向上させることができる。
【0029】
図3は、圧縮映像のパケット構造の一例を示す図である。
図3に示されるように、TSのパケットは、4バイトのヘッダと184バイトのアダプテーション(又はペイロード)の合計188バイトで構成される。一方、非圧縮映像信号の隙間(例えば帰線期間)にTSを多重化するためには、パケットサイズが小さい方が良い。
図3では3バイトのヘッダと28バイトのペイロードでパケットを構成した場合を示している。TSパケット188バイトを7個の圧縮映像パケットのペイロードに分割して伝送すると良い。
【0030】
ヘッダの構成の一例を以下に説明する。1バイト目は、圧縮映像や音声などのパケット種別を表す。2バイト目と3バイト目の合計16ビットは、7分割されたTSパケットの順番(3ビット)、TSパケット番号(11ビット)、及びコピー制御フラグ(2ビット)に配分すると良い。TS自体にもタイムスタンプが入っており、これを流用することによってヘッダ内の上記TSパケット番号の11ビットを省略しても良いが、ヘッダ部に記載しておいた方が使いやすい。このTSパケット番号を、パケットを識別するための識別番号として用いて、前述した伝送エラー発生時の再送要求パケット指定を行う。
【0031】
例えば20MbpsでHD映像を伝送する場合、188バイトのTSパケットを1秒間に10.6万個伝送することになる。伝送エラー発生時に送信側に再生要求を行う場合において、通信路209の速度が遅く(すなわち転送レートが低く)、エラー情報の伝送に100mS必要とすると、少なくとも1万個のTSパケットを判別するTSパケット番号が必要である。すなわち、TSパケット番号のために14ビットが必要であり、ヘッダ部の11ビットでは不十分である。一方、図示したように、7番目の圧縮映像パケットのペイロードには8バイトの空きがある。従って、この空き領域のうち1バイトを、不足したTSパケット番号の記載に用いてもよい。もちろん、必要に応じて2〜3バイトを用いてもよい。また、コピーフラグもヘッダでなくこの空き領域に記載してもよい。領域に余裕がある場合は、コピー回数、伝送後タイムシフト視聴を許可する蓄積制限時間、及び/またはCGMS−Dなども記載できる。さらに多くの情報記載が必要であれば,7個ではなく8個の圧縮映像パケットをTSパケット1個に当ててもよい。
【実施例2】
【0032】
図4は、本発明の他の実施例を示すブロック図である。本実施例は、
図1に示されたシステム構成のうち、送信部117と受信部127を、それぞれ
図4の送信部230と受信部250に変更したものである。本実施例は、送信部230と受信部250は、映像信号を送信する3本のデータ線271、272、273と、クロック信号を送信するクロック線274を含むインターフェースで互いに接続されているものとする。3本のデータ線は、例えば赤、緑、青それぞれの非圧縮映像信号の伝送に用いられる。クロック線はデータ受信のための基準クロックを伝送するものである。またデータ線は、クロック線を通るクロック周期の間に10個のデータを送るものとする。多重符号化部231〜233及び235、出力回路241〜244、入力回路251〜254、多重復号部261〜264は、それぞれ
図2の多重符号化部217、出力回路218、入力回路228、多重復号部227に相当するものであり、その詳細な説明は省略する。尚、
図2に示された他のブロックは、ここではその説明を省略している。
【0033】
スイッチ245がクロック供給部234を選択した場合が、
図2の実施例に相当する。本実施例では、映像データ伝送の高速化が必要な場合、スイッチ245を多重符号化部235へ切換えて、クロック線もデータ線として用い、映像データ伝送量を4/3倍化するものである。この場合、入力データをTV12側で再生する為の基準クロックは、クロック線で送信されるクロック信号ではなく、各データ線の信号から基準クロックを抽出して用いれば良い。このために、各入力回路251〜254の受信信号の全てもしくは少なくとも一つをPLL256へ導き、入力データからクロック成分を抽出すればよい。クロック成分の抽出にはバンドパスフィルタなどをPLLなどと組み合わせればよい。勿論、PLLはDLLで置き換えてもよい。
【0034】
さて、映像データには各種のフォーマットがあり、基準クロックが数多くある。上記のようにデータ線からクロック抽出してそれを基準クロックとして用いる場合、基準クロック周期を正確に検出する必要があり、そのために多大な時間を要する。本実施例では、初期状態ではスイッチ245はクロック供給部235を選択し、クロック供給部235からの基準クロックをクロック線274により受信部250へ伝送する。これにより、容易に基準クロック周期を受信部250へ伝えることができる。従って、本実施例によれば、基準クロックの周期に係る初期設定のための時間を短縮できる効果がある。
【0035】
図2の形態で説明された、TV12の表示能力に関する情報をSTB11に伝達するための構成みを用いれば、受信部250が、クロック線をデータ線として使うモードを持っているかどうかを送信部230へ伝えることができる。初期設定のクロック周期抽出に必要な時間も同様に伝えることができる。また、
図2に示された双方向通信路209を用いれば、初期設定が終了したことを受信部250から送信部230に伝えることもできる。
【実施例3】
【0036】
図5は、本発明の他の実施例を示すブロック図である。本実施例は、
図1に示されたシステム構成のうち、送信部117と受信部127を、それぞれ
図4の送信部240と受信部260に変更したものである。
図4に示された実施例と同じ構成要素については、同一の番号を付している。本実施例は、
図4に示されたPLL部も構成要素として必要であるが、図面の簡略化のために記載を省略している。そして本実施例では、
図4に示された実施例に対し、入力回路255、多重復号部265、多重符号化部258、そして出力回路257が追加されている。
【0037】
図5では、クロック線を使ってデータを送る際に、STB11からTV12ではなく、逆にTV12からSTB11へデータを伝送する機能を持っていることを特徴とする。初期状態では、出力回路257はOFF状態となっており、
図4に示された実施例と同様に、STB11の送信部240から受信部260へデータとクロックを伝送する。各データのクロック抽出動作の開始後は、クロック線でもデータを伝送できる状態になる。このタイミングで、出力回路244をOFF状態とした後、出力回路257の動作を開始させ、受信部260から送信部240へデータを逆送りさせる。このとき、クロック周期を初期状態と同一のクロック周期としておけば、この逆送させたクロック線でもクロックの抽出を他のデータ線と同様にすることができる。もちろん、クロック線でデータを逆送させている間、データ線では送信部240から受信部260への映像データを送り続けている。
【0038】
図6は、
図1に示されたシステム構成において、この逆方向のデータ伝送の機能を用いる場合の、映像信号の流れの一例を示したものである。TV12は蓄積部128に録画された圧縮映像信号をこのクロック線による逆方向のデータ伝送でSTB11へ送り、STB11の持つTS/PS変換部112と復号部113で非圧縮映像信号に復号する。そして、データ線を通してTV12へ送り返し、表示部129でその復号された映像信号に基づく映像を表示することができる。また、蓄積部に録画されたOSDも表示させる必要があるならば、同様にクロック線でSTB11のOSD回路に送り、映像合成部114で非圧縮映像信号と映像合成してTV12へ送ればよい。
【0039】
この機能により、復号部を持たないTVでも、蓄積部に録画した映像信号を再生表示して視聴することができる。復号部を持っているTVでも、その復号部が圧縮映像に使われている符号化方式に対応していない場合も同様である。更に、TV発売時点で存在しなかった新符号化方式を使った高圧縮放送などが始まった場合にも、TVの録画機能やタイムシフト視聴の機能が使える利点もある。また、符号化だけではなく、TVで対応していない著作権保護の方式が採用されている圧縮映像をTVで録画した場合であっても、STBがその方式に対応していれば、録画された圧縮映像信号をSTBへ送って著作権保護処理と復号処理を行うようにしてもよい。そして上記と同様に、著作権保護処理と復号処理がなされた映像信号をTV側へ非圧縮映像信号として送り返すことにより、当該映像信号に基づく映像の表示が可能となる。
【0040】
次に、
図5に示された入力回路254、255と出力回路244、257の回路構成の一例を
図7に示す。
図7の説明の前に、入力回路と出力回路の基本的な構成例を
図8に示しその動作を説明する。出力回路31は、出力制御部311とトランジスタ312、313、定電流源314で、入力回路32は終端抵抗336、337、差動判別部338とを含む。
【0041】
出力制御部311はトランジスタ312と313のON/OFF動作を、(ON−OFF)又は(OFF−ON)の組み合わせとなるように切換える。(ON−OFF)時は信号線321に定電流源314と同じ電流が流れて終端抵抗336の両端に電圧が発生し、信号線322には電流が流れないので終端抵抗337の両端電圧は0となる。(OFF−ON)時は信号線321に電流が流れないので終端抵抗336の両端電圧は0、信号線322には定電流源314と同じ電流が流れて終端抵抗337の両端に電圧が発生する。いわゆる差動伝送である。この終端抵抗の電位差を差動判別部338で検出して論理レベルを決定する。
【0042】
図7の構成は、
図8に示した入力回路と出力回路の構成をそのまま使って並列に接続した構成となっている。並列に接続された2つの出力回路は同時に動作させられないので、動作状態ではない出力回路の出力制御部331(又は311)がトランジスタ312及び313(またはトランジスタ332及び333)を(OFF−OFF)となるように制御する。入力回路は双方とも動作状態としてもよいし、使用しない側の終端抵抗316、317(又は336、337)を切り離しても良い。また、差動判別部318(又は338)の動作を停止させて低消費電力化しても良い。
【実施例4】
【0043】
図9は、本発明の他の実施例を示すブロック図で、映像処理装置として2つのTV15及び16を使用している。すなわち、本実施例は、
図1に示されたSTB11が表示部を持ちTVとなった例である。
図1に示された実施例と同様に、映像インターフェース104を通して、TV15からTV16へ非圧縮映像信号と圧縮映像信号を多重化した多重化映像信号を送り、非圧縮映像信号はTV16の表示部129で表示される。一方、圧縮映像は蓄積部128で録画され、ユーザの希望する時間に再生されて表示部129で表示される。
【0044】
送受信部157と167の一構成例を
図10に示す。この例では、データ線271とクロック線274の双方とも双方向伝送を可能としている。具体的な入力回路と出力回路の構成は
図7と同様としてもよい。送受信部157から167へデータを伝送する場合、データは多重符号化部231から出力回路241を経て入力回路251及び多重復号部261へ供給される。一方、クロック信号はクロック供給部235から出力回路244を経て入力回路254及びPLL283へ供給される。逆に、送受信部167から157へデータを伝送する場合、データは多重符号化部282から出力回路281を経て入力回路271及び多重復号部272へ供給される。一方、クロック信号はクロック供給部284から出力回路257を経て入力回路255及びPLL274へ伝送される。
【0045】
このように、TV15または16に、映像信号を逆に伝送する機能を持たせれば次のように動作される。すなわち、
図9の破線で示すように、TV16の蓄積部128で録画した圧縮映像をTV15へ送り、TV15のTS/PS変換部152と復号部153で非圧縮映像信号を形成し、表示部159で表示することができる。もちろん、TV16のTS/PS変換部122と復号部123で非圧縮映像信号を形成した後にTV15へ伝送し、表示部159に表示させても良い。
【0046】
本実施例によれば、デジタルチューナや蓄積部、復号部、著作権保護の各種のリソースを、互いに接続した2台のTV(映像処理装置)の間で融通しあうことができる。
【0047】
以上の実施例では、映像処理装置としてSTBとTVの例を示したが、レコーダやDVDプレーヤなどの映像信号源や、モニタなどの組み合わせでも同様な効果が期待できる。
【0048】
上記詳細に説明された本発明の実施形態を利用すれば、1つのインターフェースに、パケット化されていないリアルタイム非圧縮映像信号とパケット化された圧縮映像信号とを同時に伝送することができる。すなわち、1つのインターフェースで、互いに異なる規格に従った複数のデジタル映像信号を伝送することが可能となる。これを用いたTVなどの映像処理装置においては、STB等の信号源からの非圧縮映像信号をTVの表示部にリアルタイムに表示しながら、同時に伝送される圧縮映像信号をTVに内蔵されたHDD等の記憶装置に録画して別の時間で視聴することが可能となる。つまり、ある映像コンテンツのリアルタイムの映像とタイムシフトされた映像の両方を一画面上に同時に表示することが可能となり、当該映像コンテンツについてリアルタイム視聴とタイムシフト視聴の両方が可能となる。
【0049】
さらには、非圧縮映像伝送インターフェースの高速伝送可能な物理層をデータ伝送に使うことで、非圧縮映像信号の伝送が不要な場合は、多数の圧縮映像信号の伝送や、短時間での映像転送が可能になる効果もある。
【0050】
さらに、上記の実施形態によれば、各種の著作権保護技術へ適切に対応することが可能となり、フェアユース条件内での良好な視聴を実現できる効果もある。