特許第5926772号(P5926772)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5926772スイッチングダイオードの光放射の変換を利用した光検出装置およびその方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5926772
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】スイッチングダイオードの光放射の変換を利用した光検出装置およびその方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/3745 20110101AFI20160516BHJP
   H03M 1/56 20060101ALI20160516BHJP
   H01L 27/146 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   H04N5/335 745
   H03M1/56
   H01L27/14 A
【請求項の数】9
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-126316(P2014-126316)
(22)【出願日】2014年6月19日
(65)【公開番号】特開2015-216614(P2015-216614A)
(43)【公開日】2015年12月3日
【審査請求日】2014年6月20日
(31)【優先権主張番号】14/272,661
(32)【優先日】2014年5月8日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514156482
【氏名又は名称】ピナクル イメージング コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(72)【発明者】
【氏名】ヴァニューシン イーゴリ ヴァレリエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】クリムコヴィッチ アントン グリゴリエヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】ヴォロディン エウゲニー ボリソヴィッチ
【審査官】 鈴木 明
(56)【参考文献】
【文献】 特表2013−507805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/30−5/378
H01L 27/14−27/148
H03M 1/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光放射を光電流に変換することと、
露光時間の間に累積した光電流を統合した電荷により、露光前に入力された初期電荷を変化させることと、
得られた電荷を信号電圧に変換することと、
前記信号電圧を基準電圧と比較し、その比較結果によりコンパレータを切り替えることと、
初期時間に対する切替時間に変調された複数の2値信号を生成することと、
前記2値信号に基づいた複数のデジタルコードを生成することと、
前記デジタルコードを格納するとともに前記デジタルコードを複数の出力部まで連続的に送出することを備え、
導通状態を切り替えるスイッチングダイオードに前記初期電荷を入力するために、前記初期電荷に対応する電圧が順方向に少数キャリアの注入を引き起こす変化率で印加され、その場合電圧は前記スイッチングダイオードが導通状態になるようトリガするレベルを超えず、また、対応するサンプリング電圧が少数キャリアの注入を引き起こすのに十分な高さの変化率で基準電圧として印加され、その場合の電圧は、結果として得られた電荷に対応する電圧に達した時正確にトリガするのに必要な電圧であることを特徴とする、
スイッチングダイオードの光放射をA/D(アナログ/デジタル)変換する方法。
【請求項2】
印加される基準となる前記サンプリング電圧は直線的または徐々に変化することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スイッチングダイオードの信号はパルス幅変調2値信号として前記出力部まで連続的に送出されることを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記露光時間の間に各スイッチングダイオードの状態を多周期でサンプリングすることにより前記初期時間に対する前記切替時間に応じて前記スイッチングダイオードの信号のデジタルコードを生成し、ある状態における前記スイッチングダイオードの複数の積分器によるサンプリングの量を記録し、他の状態における前記スイッチングダイオードの量は記録せず、前記スイッチングダイオードの信号のデジタルコードの前記積分器と複数のメモリセルの間の中間結果を交換し、同時に前記積分器を他のスイッチングダイオードに周期的に切り替え、対応する複数の感光性スイッチングダイオードの前記露光時間に前記メモリセルから前記出力部に前記デジタルコードを送出すことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
複数のアドレス線および複数の信号線に接続した1つまたは複数の感光セルを備えた光放射のA/D変換を有する光検出装置であって、前記感光セルの各々は、直列接続する、
受光素子と、
初期電荷入力回路と、
前記受光素子の信号により生成された電荷を初期電荷に加えて受光素子出力電圧に変換する電荷コンバータと、
前記受光素子出力電圧と基準電圧の差異を2値セル信号に変換するコンパレータと、
前記アドレス線と前記信号線を通じて前記2値セル信号を読み出す読出回路と、
前記2値セル信号の複数のデジタルコードを生成する回路と、
前記デジタルコードを格納するランダムアクセスメモリと、
前記光検出装置の1つまたは複数の出力部の前記2値セル信号の前記デジタルコードを読み出す読出回路と、
を含み、
単一セル内では、前記受光素子、前記初期電荷入力回路、前記電荷コンバータおよび前記コンパレータはMIS(metal−insulator−semiconductor)構造を有するトンネルスイッチングダイオードを形成しており、リードの1つは前記アドレス線に接続され、他のリードは前記信号線に接続されていることを特徴とする、
光検出装置。
【請求項6】
前記受光素子、前記初期電荷入力回路、前記電荷コンバータおよび前記コンパレータは単一セル内においてnpnp接合の半導体構造を有するスイッチングダイオードを形成することを特徴とする、請求項5に記載の光検出装置。
【請求項7】
前記MIS構造のトンネルスイッチングダイオードを有するセルは第一導電型の半導体基板上に構成され、前記基板と同じ導電型を有するセル表層絶縁領域を含み、オーミック接点をその表面に設け、電界を形成する不純物元素の濃度勾配を有し、反対の導電型の内部領域に少数キャリアが注入され、薄型誘導体を有するトンネル形態において電極が分離し、第一導電型領域では少数キャリアがその内部領域とトンネル誘導体に注入され、pn接合電極を有するオーミック接点を有することを特徴とする、請求項5に記載の光検出装置。
【請求項8】
前記セル表層絶縁領域の両側は前記半導体基板と同じ導電型を有し、複数の絶縁チャネルを形成することを特徴とする、請求項7に記載の光検出装置。
【請求項9】
前記アドレス線と前記信号線を通じて前記2値セル信号を読み出す前記読出回路、前記2値セル信号のデジタルコードを生成する前記回路、前記デジタルコードを格納する前記ランダムアクセスメモリ、前記光検出装置の1つまたは複数の出力部の前記2値セル信号の前記デジタルコードを読み出す前記読出回路は、上述の各回路またはそれらの任意の組み合わせに組み込まれた画像変換およびデータ圧縮回路素子を有するよう構成されていることを特徴とする、請求項5に記載の光検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はデジタルイメージングに関するものであって、特に、導通状態を切り替えるスイッチングダイオードの光放射のA/D(アナログ/デジタル)変換を利用した光検出装置およびその方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のA/D変換方法と光検出装置にはセル中でのA/D変換が用いられる。元々このような装置には、電荷転送アンプが組み込まれたデジタル画素センサ、イメージセンサ用の列毎の1ビットA/DコンバータまたはA/D画素コンバータを有するCMOS撮像装置を用いていた。
【0003】
これら従来の方法の中には、受光素子の信号を読み出したり転送したりする際に生じる非線形の歪みや回路での干渉に対し優れた保護力を有するものもあるが、主なデメリットとしてセルの複雑さがある。
【0004】
このような従来装置は、セルサイズを縮小して光検出装置の空間分解能を高める妨げとなる複雑さというデメリットを有し、また受けた放射線に晒されるセルエリアが減少し、等価量子効率が低下する。
【0005】
したがって、高い等価量子効率で空間分解能を高められるような効果的方法および光検出装置の改善が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここに具体的かつ広く述べる目的に従い、従来方法の利点を確保しデメリットを克服するために、本発明は導通状態を切り替えるスイッチングダイオードの光放射のA/D変換を利用した光検出装置およびその方法を提案する。
【0007】
本発明の目的は、高い等価量子効率で空間分解能を高められる装置および方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成し、さらなる利点を提供するために、本発明の光放射のA/D変換の方法は、光放射を光電流に変換することと、露光時間の間に累積した光電流を統合した電荷により、露光前に入力された初期電荷を変化させることと、得られた電荷を信号電圧に変換することと、前記信号電圧を基準電圧と比較し、その比較結果によりコンパレータを切り替えることと、初期時間に対する切替時間に変調された2値信号を生成することと、それに基づいたデジタルコードを生成することと、それに基づき前記デジタルコードを格納するとともに出力部まで連続的に送出することと、を備える。
【0009】
前記初期電荷に対応する電圧を順方向に少数キャリアの注入を引き起こす変化率で印加することにより、導通状態を切り替えるスイッチングダイオードに初期電荷が入力され、その場合電圧はスイッチングダイオードが導通状態になるようトリガするレベルを超えず、また、対応するサンプリング電圧を少数キャリアの注入を引き起こすのに十分な高さの変化率で基準電圧として印加する場合、その電圧は結果として得られた電荷に対応する電圧に達した時正確にトリガするのに必要である。
この方法を実現するために本発明の光検出装置は、複数のアドレス線および複数の信号線に接続した1つまたは複数の感光セルを備え、各セルは、直列接続する、受光素子と、初期電荷入力回路と、前記受光素子の信号により生成された電荷を初期電荷に加えて受光素子の出力電圧に変換する電荷コンバータと、前記受光素子出力電圧と基準電圧の差異をデジタルセル信号に変換するコンパレータと、前記アドレス線と前記信号線を通じて前記デジタルセル信号を読み出す読出回路と、前記セル信号のデジタルコードを生成する回路と、前記デジタルコードを格納するランダムアクセスメモリと、前記光検出装置の1つまたは複数の出力部の前記セル信号の前記デジタルコードを読み出す読出回路と、を含む。
【0010】
セル内では、前記受光素子、前記初期電荷入力回路、前記電荷コンバータおよび前記コンパレータがMIS(metal−insulator−semiconductor)構造を有するトンネルスイッチングダイオードを形成しており、リードの1つは前記アドレス線に接続され、他のリードは前記信号線に接続される。
【0011】
本発明の方法と光検出装置は他にも次の特徴を備えている。
a.印加される基準となる前記サンプリング電圧は直線的または徐々に変化する。
b.前記スイッチングダイオードの信号はパルス幅変調2値信号として出力部まで連続的に送出される。
c.前記露光時間の間に各スイッチングダイオードの状態を多周期でサンプリングすることにより前記初期時間に対する前記切替時間に応じて前記スイッチングダイオードの信号のデジタルコードを生成し、ある状態における前記スイッチングダイオードの積分器によるサンプリングの量を記録し、他の状態における前記スイッチングダイオードの量は記録せず、前記スイッチングダイオードの信号のデジタルコードの前記積分器と複数のメモリセルの間の中間結果を交換し、同時に前記積分器を他のスイッチングダイオードに周期的に切り替え、対応する感光性スイッチングダイオードの前記露光時間に前記メモリセルから前記出力部に前記デジタルコードを送出する。
d.前記受光素子、前記初期電荷入力回路、前記電荷コンバータおよび前記コンパレータはセル内においてnpnp接合半導体構造を有するスイッチングダイオードを形成し、前記MISトンネル構造のスイッチングダイオードを有するセルは第一導電型の半導体基板上に構成され、前記基板と同じ導電型を有するセル表層絶縁領域を含み、オーミック接点をその表面に設け、電界を形成する不純物元素の濃度勾配を有し、反対の導電型の内部領域に少数キャリアが注入され、薄型誘導体を有するトンネル形態において電極が分離し、第一導電型領域では少数キャリアがその内部領域とトンネル誘導体に注入され、pn接合電極を有するオーミック接点を有する。
e.セル表層絶縁領域の両側は前記基板と同じ導電型を有し、絶縁チャネルを形成する。
f.前記アドレス線と前記信号線を通じて前記デジタルセル信号を読み出す前記読出回路、前記セル信号のデジタルコードを生成する前記回路、前記デジタルコードを格納する前記ランダムアクセスメモリ、前記光検出装置の1つまたは複数の出力部の前記セル信号の前記デジタルコードを読み出す前記読出回路は、上述の各回路またはそれらの任意の組み合わせに組み込まれた画像変換およびデータ圧縮回路素子を有するよう構成される。
【発明の効果】
【0012】
本願のA/D変換方法を採用すれば、トンネルスイッチングダイオードの領域にある受光素子、初期電荷入力回路、電荷コンバータおよびコンパレータの機能統合により、MOSトランジスタのサイズを超えることなく、高い等価量子効率で空間分解能が高められる。
【0013】
サブミクロンCMOS技術に関しては、本発明の光検出装置におけるセルサイズの縮小は解析限界によってのみ制限され、対応するセル密度は約3・10cm−2である。
【0014】
生物の眼と違ってマトリクス状の光検出器のデータは限られた数の出力部を通じて出力されるので、通常の垂直周波数(100Hz)では読み出し頻度は10Gbit/sまでと極端に高くなる。
【0015】
したがって出力部数および/またはそこを通過するセル信号出力のクロックレート(約10〜100回)を減らすため、画像変換およびデータ圧縮回路素子が光検出装置の周辺回路に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態によるスイッチングダイオードの光放射のA/D変換方法を示す。
図2】本発明の実施形態によるスイッチングダイオードの光放射のA/D変換を行う光検出装置を示す。
図3a】エッチングにより形成された絶縁チャネルを備えた光検出装置のセル構造を示す。
図3b】不純物元素により形成された絶縁領域を備えた光検出装置のセル構造を示す。
図4】光検出装置のセルの等価回路図を示す(I=薄型副電極誘導体を通じたトンネル電流)。
図5】セル機能モードの説明のため、MISトンネル構造を有するスイッチングダイオードの電流−電圧特徴を示す(I RES=初期電荷入力電流、I REDON=スイッチがオンの時の読出電流、I REDON >> I RES、スイッチがオフの時はI REDOFF << I RES )。
【発明を実施するための形態】
【0017】
当業者は以下に詳述する好適な実施例を読めば上述した本発明の目的を明瞭に理解できる。
【0018】
前述の概要も後述する詳細も代表例であり、請求項に係る発明をより詳細に説明するためのものである。
【0019】
以下に図面を参照しながら好適な実施例について説明する。図面および明細書の中で示される同じまたは同種の素子にはできる限り同じ符合を用いる。
【実施例】
【0020】
図1を参照されたい。本発明の導通状態を切り替えるスイッチングダイオードの光放射のA/D変換の方法100のステップ110では光放射を光電流に変換する。ステップ120では露光時間の間に累積した光電流を統合した電荷により、露光前に入力された初期電荷を変化させる。次のステップ130では得られた電荷を信号電圧に変換する。ステップ140では信号電圧を基準電圧と比較し、その比較結果によりコンパレータを切り替える。ステップ150では初期時間に対する切替時間に変調された2値信号を生成する。ステップ160ではそれに基づきデジタルコードを生成する。ステップ170ではデジタルコードを格納するとともにデジタルコードを出力部まで連続的に送出する。
【0021】
また本発明の方法は、導通状態を切り替えるスイッチングダイオードに初期電荷を入力するために、初期電荷に対応する電圧が順方向に少数キャリアの注入を引き起こす変化率で印加され、その場合電圧はスイッチングダイオードが導通状態になるようトリガするレベルを超えず、また、対応するサンプリング電圧が少数キャリアの注入を引き起こすのに十分な高さの変化率で基準電圧として印加され、その場合の電圧は結果として得られた電荷に対応する電圧に達した時正確にトリガするのに必要であることを特徴とする。
【0022】
図2から図5を参照されたい。光検出装置50は、複数のアドレス線1および複数の信号線2に接続した1つまたは複数の感光セル3を備え、各感光セル3は、直列接続する、受光素子4と、初期電荷入力回路(pn接合)5と、受光素子4の信号により生成された電荷を初期電荷に加えて受光素子の出力電圧に変換する電荷コンバータ(MISキャパシタ)6と、受光素子4の出力電圧(電荷容量の)と基準電圧(サンプリングの間に信号線2に入力される)の差異をデジタルセル信号に変換するコンパレータ7と、アドレス線1と信号線2を通じてデジタルセル信号を読み出す読出回路8と、セル信号の複数のデジタルコードを生成する回路9と、デジタルコードを格納するランダムアクセスメモリ10と、光検出装置50の1つまたは複数の出力部12の前記セル信号の前記デジタルコードを読み出す読出回路11と、を含む。
本発明によれば、感光セル3内では、受光素子4、初期電荷入力回路5、電荷コンバータ6およびコンパレータ7がMIS構造を有するトンネルスイッチングダイオード13を形成しており、リードの1つはアドレス線1に接続され、他のリードは信号線2に接続され、読出回路8、回路9、ランダムアクセスメモリ10および読出回路11は画像変換およびデータ圧縮回路素子を含むことができる。
【0023】
光検出装置50は次のように動作する。感光セル3では、露光時間の間に受光素子4は光放射を光電流IDに変換し、光電流(MISキャパシタ6、受光素子4およびpn接合5で得られた容量の)を電荷に組み入れて、初期電荷に対応するpn接合5の電圧を順方向に少数キャリアの注入(IRES)を引き起こす変化率(例:10V/s)で印加することで露光前のアドレス線1を通じた初期電荷入力を変化させる。
その場合の電圧はセルが導通状態になるようトリガするレベルを超えず、得られた電荷を信号電圧に変換し、信号電圧と基準電圧を比較し、その基準電圧はアドレス線1でのサンプリング中に読出回路8により印加され、少数キャリアの注入(IREDON)が起こるのに十分な高さの変化率(例:10V/s)で直線的または徐々に印加されるものであり、その電圧は得られた電荷に対応する電圧に達した時正確にトリガするのに必要である。
しかし、回路9で実行されるクロックパルスを記録することにより(例:周波数100MHz)サンプリングした基準電圧の初期時間に対する切替時間に基づきセル信号のデジタルコードを生成することができる。そしてランダムアクセスメモリ10に生成されたデジタルコード(例:10ビットのもの)を格納する。その後読出回路11を通じて当該コードを連続的に出力部12に送出する。
【0024】
別の実施形態によれば、画素ごとまたは画素のグループごとに読出回路8によりサンプリングされた基準電圧の初期時間に対する切替時間に基づきパルス幅変調信号の形式にセル信号が生成される。この信号は回路9(積分器)およびランダムアクセスメモリ10は通過せず、直接1つまたは複数の対応する出力部12に出力される。
【0025】
さらに別の実施形態によれば、露光時間中各セル3の状態を多周期でサンプリングすることにより、露光の初期時間に対する切替時間に基づきセル信号が生成される。ある状態におけるセルの回路9(積分器)によるサンプリングの量は記録され、他の状態のセルの量は記録されず、回路9(積分器)を他のセルに周期的に切り替えている間に、セル信号のデジタルコードの回路9(積分器)とランダムアクセスメモリ10の間の中間結果が交換され、対応する感光セルの露光時間にランダムアクセスメモリ10から出力部12に前記デジタルコードが送出される。
【0026】
列のサンプリング中の基準電圧パルス幅は相当縮小し、変化率が上がることによってコンパレータとしてのセルのトリガの正確性は向上する。
【0027】
以上の詳述したように、本発明は高い等価量子効率の高い空間分解能を提供する。本発明の光放射のA/D変換方法は、放射線を光電流に変換し、露光時の光電流を電荷に統合して露光前の初期電荷を変化させ、得られた電荷を信号電圧に変換し、信号電圧と基準電圧を比較してその比較結果に基づきコンパレータを切り替え、初期時間に対する切替時間に変調された2値信号を生成し、それに基づいてデジタルコードを生成し、デジタルコードを格納し、そのデジタルコードを出力部まで連続に送出するステップが含まれる。
そして初期電荷に対応する電圧を順方向に少数キャリアの注入を引き起こす変化率で印加することにより、導通状態を切り替えるスイッチングダイオードに初期電荷が入力される。その場合電圧はスイッチングダイオードが導通状態になるようトリガするレベルを超えず、また、基準電圧は、対応するサンプリング電圧を少数キャリアの注入を引き起こすのに十分な高さの変化率の対応するサンプリング電圧である。この電圧は結果として得られた電荷に対応する電圧に達した時正確にトリガするのに必要である。
【0028】
この方法を実施するため、本発明の光検出装置50は、複数のアドレス線1および複数の信号線2に接続した1つまたは複数の感光セル3を備える。
各感光セル3は、直列接続する、受光素子4と、初期電荷入力回路5と、受光素子4の信号により生成された電荷を初期電荷に加えて受光素子4の出力電圧に変換する電荷コンバータ6と、受光素子出力電圧と基準電圧の差異をデジタルセル信号に変換するコンパレータ7と、アドレス線1と信号線2を通じてデジタルセル信号を読み出す読出回路8と、前記セル信号のデジタルコードを生成する回路9と、デジタルコードを格納するランダムアクセスメモリ10と光検出装置50の1つまたは複数の出力部12の前記セル信号の前記デジタルコードを読み出す読出回路11と、を含む。
感光セル3内では、受光素子4、初期電荷入力回路5、電荷コンバータ6およびコンパレータ7がMIS構造を有するトンネルスイッチングダイオードを形成しており、リードの1つはアドレス線1に接続され、他のリードは信号線2に接続される。
【0029】
上述の記載は本発明の好ましい実施例の説明に過ぎず、本発明の実施範囲を限定するものではない。したがって、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で加えた各種の変更や潤色は全て、本発明の特許請求の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0030】
1 アドレス線
2 信号線
3 感光セル
4 受光素子
5 初期電荷入力回路(pn接合)
6 電荷コンバータ(MISキャパシタ)
7 コンパレータ
8 読出回路
9 回路
10 ランダムアクセスメモリ
11 読出回路
12 出力部
13 MISトンネルスイッチングダイオード
50 光検出装置
図1
図2
図3a
図3b
図4
図5