特許第5926774号(P5926774)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5926774
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】電源装置及びその組み合わせ方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 2/10 20060101AFI20160516BHJP
【FI】
   H01M2/10 P
【請求項の数】9
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-131759(P2014-131759)
(22)【出願日】2014年6月26日
(65)【公開番号】特開2015-170592(P2015-170592A)
(43)【公開日】2015年9月28日
【審査請求日】2014年6月26日
(31)【優先権主張番号】103107214
(32)【優先日】2014年3月4日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】503386056
【氏名又は名称】正▲うえ▼精密工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】李 政
【審査官】 山内 達人
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−298103(JP,A)
【文献】 特開2008−204773(JP,A)
【文献】 特開2010−153733(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3132789(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 2/02
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源装置において、
内部に収容空間が形成され、表面に該収容空間に連通する開口が形成された本体と、
該収容空間内に設置されるバッテリーと、
該開口周囲に設置される金属リングと、
該収容空間及び該開口周囲の該金属リングを被覆するカバーであり、該開口周囲の該金属リングにより該本体と融着された上記カバーと、
該本体或いは該カバー上に設置され並びに該バッテリーに電気的に接続される連接部と、
該収容空間内に設置され並びに該バッテリーの高周波加熱される一側であり、該金属リング側である一側を被覆する金属上板と、
を包含することを特徴とする、電源装置。
【請求項2】
請求項1記載の電源装置において、上述の本体は帯状体とされ、該本体と該カバーの連接部分は曲面状とされることを特徴とする、電源装置。
【請求項3】
請求項2記載の電源装置において、上述の収容空間内には底板を具え、該底板は該バッテリーと該収容空間底部の間に設置され、上述の金属上板辺縁と該底板は接続されることを特徴とする、電源装置。
【請求項4】
請求項2記載の電源装置において、上述の本体の該開口の周囲に凹溝が形成され、該カバーに該凹溝に嵌合する凸塊が設けられ、上述の金属リングは該凹溝内に設置されることを特徴とする、電源装置。
【請求項5】
請求項1記載の電源装置において、上述の連接部と該バッテリーの間は充放電モジュールに電気的に接続されることを特徴とする、電源装置。
【請求項6】
電源装置の組み合わせ方法において、
まず、本体、バッテリー、金属上板及びカバーを提供し、該本体の内部には収容空間が形成され、該本体の表面には該収容空間に連通する開口が形成され、該本体或いは該カバーの外部には連接部が形成されており、該バッテリーと該金属上板を該収容空間内に取り付け、並びに該バッテリーを該連接部に電気的に接続するステップ、
次に、金属リングを該開口の周囲に取り付け、且つ該カバーを該本体上に取り付け並びに該収容空間及び開口を封じるステップ、
続いて、該金属リングに対して高周波加熱を行ない、並びに該本体内の金属上板を高周波の加熱面に向け、該金属上板を高周波加熱面と該バッテリーの間に配置するステップ、 最後に、該金属リングの表面の熱によりその周囲の該カバーと該本体を融合させて一体となし、該バッテリーを完全に該本体内に密封するステップ、
以上のステップを含むことを特徴とする、電源装置の組み合わせ方法。
【請求項7】
請求項6記載の電源装置の組み合わせ方法において、該バッテリーを底板と金属上板の間に取り付け、続いて該底板、該バッテリー及び該金属上板を共同で該収容空間内に取り付けるステップを含むことを特徴とする、電源装置の組み合わせ方法。
【請求項8】
請求項7記載の電源装置の組み合わせ方法において、上述の本体は予め帯状体に形成し、該本体と該カバーの連接部分は予め曲面状に形成することを特徴とする、電源装置の組み合わせ方法。
【請求項9】
請求項7記載の電源装置の組み合わせ方法において、上述の本体の該開口の周囲には予め凹溝を形成し、該カバーには予め該凹溝に嵌合する凸塊を設け、さらに該金属リングを該凹溝内に取り付けることを特徴とする、電源装置の組み合わせ方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一種の電源装置及びその組み合わせ方法に係り、特に一種の防水式の装着式電源装置及びその組み合わせ方法に関する。
【背景技術】
【0002】
装着式電子装置の固定構造は、眼鏡のほかは、ほとんどが帯状体を選択し、それは撓み性と靱性を有するため、人体の四肢に固定するのに適合する。
【0003】
消費電力がますます大きくなっている装着式電子装置に対応するため、装着式電子装置のバッテリー容量の大きさは非常に重要となっており、それは装着式電子装置の市場での歓迎の程度に影響を与える。
【0004】
このため、もし、バッテリーを帯状体に取り付けられれば、装着式電子装置はより長い大気時間を有し、バッテリーは人体への装着上、内部への水の進入を防止してバッテリー寿命への影響を防止しなければならず、ゆえに、内部には防水の隔離構造が必要である。
【0005】
人体に装着するため、バッテリーを具えた帯状体は、曲面に形成される必要があるが、曲面の隔離構造は防水をより困難にする。
【0006】
高周波加工で形成した防水構造は、完全に水気を隔離でき、並びに曲面隔離構造に対しても同様の効果を有し得る。しかし、もし高周波でバッテリーを有する帯状体を加工すると、エネルギーがバッテリーに伝わり、バッテリーの損壊をもたらし得る。
【0007】
このことを鑑み、本発明は一種の電源装置及びその組み合わせ方法を提供し、それは帯状体の隔離構造に優れた防水効果を具備させることができ、且つ、バッテリーの高周波による損壊を防止できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述の周知の欠点に対して、一種の電源装置及びその組み合わせ方法を提供することにあり、それは、帯状体に優れた防水効果を具備させられ、且つバッテリーの高周波による損壊を防止できるものとする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述の目的を達成するため、本発明は一種の電源装置を公開し、それは、内部に収容空間が形成され、表面に該収容空間に連通する開口が形成された本体と、該収容空間内に設置されるバッテリーと、該開口周囲に設置される金属リングと、該収容空間及び該開口周囲の該金属リングを被覆するカバーであり、上記金属リングが高周波で加熱されることで該本体と融合させられる上記カバーと、該本体或いは該カバー上に設置され並びにバッテリーに接続される連接部と、該収容空間内に設置され並びに該バッテリーの高周波加熱される一側を被覆する金属上板と、を包含する。
【0010】
上述の本体は帯状体であり、該本体と該カバーの接続部分は曲面状とされる。
【0011】
上述の収容空間内には底板を具え、該バッテリーと該収容空間底部の間に設置され、上述の金属上板辺縁と該底板は互いに接続される。
【0012】
上述の本体は開口周囲に凹溝が形成され、該カバーに該凹溝に嵌合する凸塊が設けられ、上述の金属リングは該凹溝内に設置される。
【0013】
上述の連接部と該バッテリーの間は充放電モジュールに電気的に接続される。
【0014】
一種の電源装置の組み合わせ方法は、以下のステップを包含する。
【0015】
まず、本体、バッテリー、金属上板及びカバーを提供し、予め該本体の内部には収容空間が形成され、該本体の表面には該収容空間に連通する開口が形成され、該本体と該カバーの外部には連接部が形成されており、該バッテリーと該金属上板を該収容空間内に取り付け、並びに該バッテリーを該連接部に電気的に接続する。
【0016】
次に、金属リングを該開口の周囲に取り付け、且つ該カバーを該本体上に取り付け並びに該収容空間及び開口を封じる。
【0017】
続いて、該金属リングに対して高周波加熱を行ない、並びに該本体内の金属上板を高周波の加熱面に向け、該金属上板を高周波加熱面と該バッテリーの間に位置させる。
【0018】
最後に、該金属リングの表面の熱によりその周囲の該カバーと該本体を融合させて一体となし、該バッテリーを完全に該本体内に密封する。
【0019】
上述の電源装置の組み合わせ方法はさらに、該バッテリーを底板と金属上板の間に取り付け、続いて共同で該収容空間内に取り付けるステップを包含する。
【0020】
上述の本体は予め帯状体に形成し、該本体と該カバーの連接部分は予め曲面状に形成する。
【0021】
上述の本体の該開口の周囲には予め凹溝を形成し、該カバーには予め該凹溝に嵌合する凸塊を設け、さらに該金属リングを該凹溝内に取り付ける。
【発明の効果】
【0022】
総合すると、本発明の電源装置は、高周波により金属リングに対して誘導加熱を行ない、これにより、該金属リングにより周囲のカバーと本体を溶融させて一体となし、これにより、バッテリーを完全に本体内に密封し、それは電源装置に優れた防水効果を具備させられ、並びに高周波加工過程中にエネルギーがバッテリーに対して影響を及ぼす問題を克服し、上述の金属上板によりバッテリーを被覆して高周波エネルギーを隔離することで、バッテリーの高周波による損壊を防止でき、且つ上述の金属上板は電源装置の構造強度を増し、電源装置をより安全に携行させる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の電源装置の立体分解図である。
図2】本発明の電源装置の立体図である。
図3】本発明の電源装置の一つの実施例中の回路ブロック図である。
図4】本発明の電源装置の組み合わせステップ図である。
図5】本発明の電源装置の組み合わせステップの別の実施例図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に本発明の技術内容、構造特徴、達成する目的及び作用効果について、以下に例を挙げ並びに図面を組み合わせて詳細に説明する。
【0025】
図1及び図2を参照されたい。本発明の電源装置1は電子装置(図示せず)に電力供給するために用いられ、本体10、バッテリー20、金属上板30、カバー40及び金属リング50を包含する。バッテリー20及び金属上板30は本体10内に設置され、カバー40は本体10表面に設置され、金属リング50はカバー40と本体10の間に設置される。
【0026】
本体10は撓み性を有する帯状体とされ、その内部に収容空間11が形成され、本体10は表面に結合面12が画定され、収容空間11は結合面12において開口を形成し、金属リング50は結合面12の開口周囲に設置され、本体10外部に連接部13が設置される。本体10は好ましくはゴム材質が採用されるが、プラスチック材質、たとえばポリウレタンを採用してもよい。連接部13はまたカバー40に設置してもよい。上述の本体10は帯状体とされ、結合面12は曲面状とされる。
【0027】
連接部13は電子装置と接続し電源を該電子装置に伝送するのに用いられ、連接部13と電子装置の間はUSBプラグ及びスプリングコネクタ等の方式で電気的接続を達成するほか、係止部或いは係止溝の係合方式により機構連結を達成してもよく、その他の方式も採用可能である。
【0028】
バッテリー20は本実施例中では薄型バッテリー20を選択し、収容空間11内に設置され、バッテリー20は上述の連接部13に電気的に接続される。金属上板30は平板状とされ、収容空間11内に設置されると共にバッテリー20表面と平行に設置される。カバー40は本体10の結合面12に設置され並びに収容空間11及び結合面12の開口周囲の金属リング50を被覆する。
【0029】
金属リング50が高周波エネルギーを吸収した後に発生する高温は、本体10とカバー40を融合させ、本体10の結合面12及びカバー40はそれぞれ凹溝14と凸塊41で係合し、凹溝14は結合面12の開口周囲に形成され、凸塊41はカバー40表面に設置され、上述の金属リング50は凹溝14内に設置され、これにより、金属リング50は高周波誘導を受けた後に凹溝14と凸塊41を融合させて一体となす。
【0030】
電源装置1を装着式電子装置の固定構造に適合させるため、本体10、バッテリー20、金属上板30及びカバー40は人体特定部位にマッチする曲面状とされる。
【0031】
さらに、組み立てに便利であるように、上述の収容空間11内には底板60を具え、該底板60はバッテリー20と収容空間11底部の間に設置され、上述の金属上板30辺縁と底板60は接続され、金属上板30と底板60辺縁の間に開孔が露出し、バッテリー20が外部と接続可能とされ、これにより、バッテリー20、底板60及び金属上板30は一体に組み合わされ、組み立て時には、直接収容空間11内に置かれて接着剤で固定され、強固な構造を獲得できる。
【0032】
図3を参照されたい。別の実施例においては、本発明の電源装置1は、一種の防水ポータブル電源とされ、上述の連接部13は防水のコネクタプラグとされ、連接部13とバッテリー20は電気的に充放電モジュール70に接続される。
【0033】
図4を参照されたい。本発明の電源装置1の組み合わせ方式は、以下のステップを包含する。
第1ステップ:本体10、バッテリー20、金属上板30及びカバー40を提供し、予め該本体10の内部には収容空間11が形成され、該本体10の表面には結合面12が画定され、該結合面12に該収容空間11に連通する開口が形成され、該本体10或いは該カバー40の外部には連接部13が形成されており、該バッテリー20と該金属上板30を該収容空間11内に取り付け、並びに該バッテリー20を該連接部13に電気的に接続する。
第2ステップ:金属リング50を該開口の周囲に取り付け、且つ該カバー40を該本体10上に取り付け並びに該収容空間11及び開口を封じる。
第3ステップ:該金属リング50に対して高周波加熱を行ない、並びに該本体10内の金属上板30を高周波の加熱面に向け、該金属上板30を高周波加熱面と該バッテリー20の間に位置させる。
第4ステップ:高周波により金属リング50に対して誘導加熱することで、金属リング50の表面の熱に、周囲のカバー40と本体10を融合させて一体となし、バッテリー20を完全に本体10内に密封する。
【0034】
図5を参照されたい。ある実施例において、上述の第1ステップはさらに、該バッテリー20を底板60と金属上板30の間に取り付け、続いて共同で該収容空間11内に取り付け、並びにバッテリー20を連接部13に電気的に接続するステップを包含する。
【0035】
総合すると、本発明の電源装置1は高周波で金属リング50に対して誘導加熱し、これにより、金属リング50により周囲のカバー40と本体10を融合させ一体となし、これにより、バッテリー20を完全に本体10内に密封し、それは電源装置は優れた防水効果を具備し、並びに高周波加工過程中にバッテリー20に対して発生する影響を克服し、金属上板30によりバッテリー20の高周波加工を受ける一側を被覆し、高周波エネルギーを隔離し、バッテリー20の高周波による損壊を防止し、且つ金属上板30により電源装置1の構造強度を増加し、電源装置1を携帯時により安全とする。
【0036】
以上は本発明の好ましい実施例の説明に過ぎず、並びに本発明を限定するものではなく、本発明に提示の精神より逸脱せずに完成されるその他の同等の効果の修飾或いは置換は、いずれも本発明の権利請求範囲内に属する。
【符号の説明】
【0037】
1 電源装置
10 本体
11 収容空間
12 結合面
13 連接部
14 凹溝
20 バッテリー
30 金属上板
40 カバー
41 凸塊
50 金属リング
60 底板
70 充放電モジュール
図1
図2
図3
図4
図5