特許第5926821号(P5926821)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許59268212−アリールベンゾフラン−7−カルボキサミド系化合物、その製造方法および用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5926821
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】2−アリールベンゾフラン−7−カルボキサミド系化合物、その製造方法および用途
(51)【国際特許分類】
   C07D 307/82 20060101AFI20160516BHJP
   C07D 405/04 20060101ALI20160516BHJP
   C07D 405/10 20060101ALI20160516BHJP
   C07D 405/12 20060101ALI20160516BHJP
   A61K 31/343 20060101ALI20160516BHJP
   A61K 31/443 20060101ALI20160516BHJP
   A61K 31/4025 20060101ALI20160516BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20160516BHJP
   A61K 31/4525 20060101ALI20160516BHJP
   A61K 31/551 20060101ALI20160516BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20160516BHJP
   A61K 31/541 20060101ALI20160516BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20160516BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20160516BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   C07D307/82CSP
   C07D405/04
   C07D405/10
   C07D405/12
   A61K31/343
   A61K31/443
   A61K31/4025
   A61K31/496
   A61K31/4525
   A61K31/551
   A61K31/5377
   A61K31/541
   A61P43/00 111
   A61P35/00
   A61P29/00
【請求項の数】8
【全頁数】47
(21)【出願番号】特願2014-555927(P2014-555927)
(86)(22)【出願日】2013年1月14日
(65)【公表番号】特表2015-511942(P2015-511942A)
(43)【公表日】2015年4月23日
(86)【国際出願番号】CN2013070410
(87)【国際公開番号】WO2013117120
(87)【国際公開日】20130815
【審査請求日】2014年10月8日
(31)【優先権主張番号】201210028895.0
(32)【優先日】2012年2月9日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513299225
【氏名又は名称】上海 インスティテュート オブ マテリア メディカ、チャイニーズ アカデミー オブ サイエンシーズ
【氏名又は名称原語表記】SHANGHAI INSTITUTE OF MATERIA MEDICA, CHINESE ACADEMY OF SCIENCES
(73)【特許権者】
【識別番号】514138020
【氏名又は名称】シーセン ファーマシューティカル カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Cisen Pharmaceutical Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100102842
【弁理士】
【氏名又は名称】葛和 清司
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チュンハオ
(72)【発明者】
【氏名】ミャオ,ツェーホン
(72)【発明者】
【氏名】ディン,ジャン
(72)【発明者】
【氏名】ワン,メン
(72)【発明者】
【氏名】ヘー,ジンスエ
(72)【発明者】
【氏名】タン,チュン
(72)【発明者】
【氏名】チェン,イー
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2011−511078(JP,A)
【文献】 特表2009−535427(JP,A)
【文献】 特表2002−528531(JP,A)
【文献】 特表2003−532709(JP,A)
【文献】 特表2002−515488(JP,A)
【文献】 特表2008−513538(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102627620(CN,A)
【文献】 Bull. Korean Chem. Soc.,2012年,33,1147−1153
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 307/82
C07D 405/04〜12
A61K 31/343〜551
A61P 29/00
A61P 35/00
A61P 43/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式I
【化1】
式中、
R1とR2は、それぞれ独立に水素、C1-C4の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、C3-C4のシクロアルキル基または酸素もしくは窒素を含有する飽和の5員もしくは6員の複素環基で、
あるいは、R1およびR2は、Nと一緒になって少なくとも一つのヘテロ原子を含有する無置換もしくは置換の飽和の5員もしくは6員の複素環基を形成するか、またはホモピペラジル基を形成し、ここで、前記ヘテロ原子はO、NおよびSで、前記置換基はNにあるメチル基で、
R3は、水素原子または塩素原子で、
R4は、水素原子またはフッ素原子で、
Xは、CH、CFまたはNで、
Yは、CH、CFまたはNである、
で表される2-アリールベンゾフラン-7-カルボキサミド化合物またはその薬理学的または生理学的に許容される塩。
【請求項2】
R1が、水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ピペリジン-4-イル基または(R)テトラヒドロフラン-3-イル基で、
R2が、水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ピペリジン-4-イル基または(R)テトラヒドロフラン-3-イル基で、
あるいは、R1およびR2が、Nと一緒になって無置換もしくは置換の、モルホリル基、ピペラジル基、ホモピペラジル基、チオモルホリル基、ピペリジル基またはピロリジル基を形成し、ここで、前記置換基はNにあるメチル基で、
R3が、水素原子で、
R4が、フッ素原子で、
Xが、CH、CFまたはNで、
Yが、CH、CFまたはNである、請求項1に記載の化合物またはその薬理学的または生理学的に許容される塩。
【請求項3】
R1が、水素またはメチル基で、
R2が、メチル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ピペリジン-4-イル基または(R)テトラヒドロフラン-3-イル基で、
あるいは、R1およびR2が、Nと一緒になって無置換もしくは置換の、モルホリル基、ピペラジル基、ホモピペラジル基、チオモルホリル基、ピペリジル基またはピロリジル基を形成し、ここで、前記置換基はNにあるメチル基で、
R3が、水素原子で、
R4が、フッ素原子で、
Xが、CH、CFまたはNで、
Yが、CH、CFまたはNである、
請求項2に記載の化合物またはその薬理学的または生理学的に許容される塩。
【請求項4】
化合物が、以下の化合物である、請求項3に記載の化合物またはその薬理学的または生理学的に許容される塩。
【表1-1】
【表1-2】
【請求項5】
薬理学的または生理学的に許容される塩が、塩酸塩である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物またはその薬理学的または生理学的に許容される塩。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物の製造方法であって、
合成経路が、スキーム1
【化2】
で示され、
a)5-位置換のサリチル酸1をエステル化反応させて化合物2を生成する工程と、
b)化合物2をヨウ素化反応させて化合物3を生成する工程と、
c)化合物3と置換芳香族アルキン化合物8を薗頭反応させ、閉環して化合物4を生成する工程と、
d)化合物4をハロゲン化反応させて化合物6を生成する工程と、
e)化合物4または化合物6をアンモノリシス反応させてそれぞれ化合物5または化合物Iを生成する工程と、
を含み、
前記置換芳香族アルキン化合物8の構造式は、以下のとおりであり、
【化3】
R1、R2、R3、R4、XおよびYの定義は、請求項1〜4のいずれか一項に記載の通りである、前記方法。
【請求項7】
PARP関連疾患を治療する薬物の製造における請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬理学的または生理学的に許容される塩の使用。
【請求項8】
PARP関連疾患を治療する薬物が、抗腫瘍薬、抗炎症薬である、請求項7に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬物化学および薬物治療の分野に関する。具体的に、2-アリールベンゾフラン-7-カルボキサミド系化合物またはその薬理学的または生理学的に許容される塩、その製造方法およびそれらのポリ(アデノシン二リン酸リボース)ポリメラーゼに関連する疾患、例えば悪性腫瘍を治療する薬物の製造における応用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ(アデノシン二リン酸リボース)ポリメラーゼ(Poly(adenosine diphosphate[ADP]-ribose) polymerase、PARP)は、多くの真核細胞に存在するリボザイムである。その主な機能は、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(Nicotinamide adenine dinucleotide、NAD+)を基質としてポリ(ADPリボース)(Poly(ADP-ribose)、PAR)を合成し、且つそれを受容体タンパク質に輸送し、タンパク質を調節する機能である(参照文献:Schreiber, V.; Dantzer, F.; Ame, J. C.; de Murcia, G. Poly(ADPribose):novel functions for an old molecule. Nat. Rev. Mol. Cell Biol. 2006, 7, 517-528.)。
【0003】
PARPファミリーは、既に16種類の同族体が発見されたが、厳格に構造と機能の基準から見ると、PARP1、PARP2、PARP3、PARP4(VPARP)、Tankyrase1およびTankyrase2の6つのメンバーだけがポリ(ADPリボース)ポリメラーゼの作用を有し、他のファミリーメンバーはモノADPリボース転移酵素として作用する可能性が高い(参照文献:Rouleau, M.; Patel, A.; Hendzel, M. J.; Kaufmann, S. H.; Poirier, G. G. PARP inhibition:PARP1 and beyond. Nat. Rev. Cancer 2010, 10, 293-301.)。
【0004】
PARPファミリーでは、PARP1およびPARP2だけがDNA鎖の断裂によって活性化されてポリ(ADPリボース)化を仲介し、塩基除去修復(Base-excision repair、BER)経路を経由してDNA一本鎖の断裂損傷の修復に関与する。ポリ(ADPリボース)化は、損傷部位の染色質の脱凝縮を起こし、修復機構を起動させ、DNA損傷の修復を促進し、この面では、PARP1及びPARP2は、過程全体においてDNA損傷の検出と信号センサーの二重作用を果たす。ヒトPARP1は、分子量が113kDaのポリペプチド鎖で、3つの機能性ドメインを含む。
【0005】
N-末端に位置するDNA結合ドメイン(DNA binding domain、DBD)は、2つのジンクフィンガー(Zinc finger)を含有し、DNA一本鎖と二本鎖の断裂を識別する。自己修飾ドメイン(Automodification domain)は、中央部に位置し、PARP1がこの部分によってADPリボシルと結合し、PARP自身のポリ(アデノシン二リン酸リボシル)化が発生する。C-末端は、触媒ドメイン(Catalytic domain)で、NAD+をADPリボースに転換する基礎で、PARP1が作用を発揮する活性構造である。ヒトPARP1は、分子量が62kDaのポリペプチド鎖である。
【0006】
PARP2のDNA結合ドメインは、PARP1と少し違い、相応的にその主な機能は、損傷鎖におけるヌクレオチドの欠失による空白を識別することである。PARP2のC-末端の触媒ドメインは、PARP1の触媒ドメインとほぼ同様であるが、その構造上の微細の違いは、それらが触媒する目的タンパク質の違いを反映する。
【0007】
PARP1及びPARP2は、塩基除去修復によって、DNA損傷修復、ゲノム安定性、アポトーシス調節では重要な作用を発揮するため、近年、最も注目される抗腫瘍薬の研究における標的となっている(参照文献:Yelamos, J.; Farres, Jordi.; Llacuna, L.; Ampurdanes, C.; Caballero, J. M. PARP-1 and PARP-2:New players in tumour development. Am. J. Cancer Res. 2011, 1(3), 328-346.)。
【0008】
また、PARPは、炎症の発生、虚血再灌流などの過程で重要な作用を発揮することから、悪性腫瘍以外の疾患(例えば糖尿病、心臓血管疾患など)の治療にも潜在の応用価値があることが示された(参照文献:Peralta-Leal, A.; Rodriguez-Vargas, J. M.; Aguilar-Quesada, R.; Rodriguez, M. I.; Linares, J. L.; de Almodovar, M. R.; Oliver, F. J. PARP inhibitors:new partners in the therapy of cancer and inflammatory diseases. Free Radical Biol. Med. 2009, 47, 13-26.)。
【0009】
2005年に、Nature雑誌では、単独にPARP1/2阻害剤を使用することで、BRCA1/2欠失の乳腺細胞に顕著な阻害作用があることが報告されたが(参照文献:Bryant, H. E.; Schultz, N.; Thomas,H. D.; Parker, K. M.; Flower, D.; Lopez, E.; Kyle, S.; Meuth, M.; Curtin, N. J.; Helleday, T. Specific killing of BRCA2-deficient tumours with inhibitors of poly(ADP-ribose) polymerase. Nature 2005, 434, 913-917.及びFarmer, H.; McCabe, N.; Lord, C. J.; Tutt, A. N.; Johnson, D. A.; Richardson, T. B.; Santarosa, M.; Dillon, K. J.; Hickson, I.; Knights, C.; Martin, N. M.; Jackson, S. P.; Smith, G. C.; Ashworth, A. Targeting the DNA repair defect in BRCA mutant cells as a therapeutic strategy. Nature 2005, 434, 917-921.)、PARP1/2阻害剤が単独に抗腫瘍治療に用いられる飛躍的な研究進展となった。
【0010】
DNAは、不安定で、厳しい環境(例えば、紫外線放射、イオン放射など)への露出、正常の細胞代謝副生物、一部のDNAの化学結合の断裂でもDNA損傷が生じる。ゲノムの完全性・安定性を維持するため、正常の人体細胞では、毎日幾千幾万回の色々な要素によるDNA損傷の修復が行われる。
【0011】
主なDNA修復経路は、塩基除去修復、ヌクレオチド除去修復(Nucleotide-excision repair、NER)、相同組換え(Homologous recombination、HR)や非相同末端結合(Nonhomologous end joining、NHEJ)を含む。中では、PARP1/2が関与するBERは、主なDNA一本鎖断裂の修復経路で、HRは、主なDNA二本鎖断裂の修復経路である(参照文献:Hoeijmakers, J. H. Genome maintenance mechanisms for preventing cancer. Nature 2001, 411, 366-74.)。
【0012】
BRCA1/2は、有名な癌抑制遺伝子で、HR経路の重要な修復因子である。BRCA1/2欠失は、DNAの不安定性を増やし、悪性腫瘍の発生に繋がる。このような細胞は、HR経路によるDNA二本鎖断裂の修復が困難で、断裂によって最終的に細胞が死亡する。BRCA1/2欠失の腫瘍細胞では、PARP1/2を抑制すると、DNA一本鎖断裂の蓄積が増加する。進行中の複製フォークが衝突すると、DNA一本鎖断裂が致死的な二本鎖断裂に変わり、最終的に細胞が死亡する。
【0013】
BRCA1/2欠失とPARP1/2阻害が共同で細胞を死亡させる現象は、合成致死(synthetic lethality)と呼ばれ、合成致死現象の利用は悪性腫瘍の治療に新たな対策と発想を提供し、そしてこれによってPARP1/2阻害剤を高選択性新型抗腫瘍薬として開発する新時代が始まった(参照文献:Kaelin, W. G., Jr. The concept of synthetic lethality in the context of anticancer therapy. Nat. Rev. Cancer 2005, 5, 689-698;He JX, Yang CH, Miao ZH. PARP inhibitors as promising cancer therapeutics. Acta Pharmacol. Sin. 2010, 31, 1172-1180.)。
【0014】
一代目のPARP1/2阻害剤は、30年前に誕生し、ニコチンアミド類似体が多かったが、選択性と有効性が欠けていた。二代目のPARP1/2阻害剤は、20世紀90年代に発展し、明確な構造活性相関が確立したことで、PARP1/2阻害剤により明確な構造特徴を持たせた。これらの特徴は、電荷が豊富な芳香族環構造、遊離水素を少なくとも一つ含有するカルボキサミド基が水素結合に有利であること、カルボキサミドのファーマコフォアの3-位に断裂しにくい化学結合が存在する必要があるなどを含む(参考文献:Zaremba, T.; Curtin, N. J. PARP inhibitor development for systemic cancer targeting. Anti-Cancer Agents Med. Chem. 2007, 7, 515-523.)。
【0015】
現在、7種類以上のPARP1/2阻害剤が新型抗腫瘍薬として臨床試験に入り、さらなる試験中であるが(参照文献:C. Toulmonde1, U. M.; Bonnefoi, H. A review of PARP inhibitors:from bench to bedside. Annals of Oncology 2011, 22(2), 268-79; Ferraris, D. V. Evolution of Poly(ADP-ribose) Polymerase-1(PARP-1) Inhibitors. From Concept to Clinic. J. Med. Chem. 2010, 53, 4561-4584; およびHe JX, Yang CH, Miao ZH. PARP inhibitors as promising cancer therapeutics. Acta Pharmacol. Sin. 2010, 31, 1172-1180.)、これらの阻害剤は、まだ、経口投与の生物的利用能が低い、PARP1/2以外のPARPサブタイプに選択性が欠けているなど、多くの欠点がある。
【0016】
周知のように、2-アリールベンゾフラン系化合物は、天然物に広く存在し、優れた生物活性と潜在の薬用価値があるため、ずっと科学研究者に注目されてきた。天然物学家は、次々と天然物から抽出して新しい構造の2-アリールベンゾフラン系化合物を分離し、その生物活性を調査して開発する(参照文献:Halabalaki, M.; Aligiannis, N.; Papoutsi, Z.; Mitakou, S.; Moutsatsou, P.; Sekeris, C.; Skaltsounis, A.-L. Three New Arylobenzofurans from Onobrychis ebenoides and Evaluation of Their Binding Affinity for the Estrogen Receptor. J. Nat. Prod. 2000, 63, 1672-1674;およびTsai, I. L.; Hsieh, C.-F.; Duh, C.-Y. Additional Cytotoxic Neoligants From Perseaobovatifolia. Phytochemistry 1998, 48,1371-1375.)。
【0017】
一方、化学家は、力を入れて一連の2-アリールベンゾフラン系化合物を構築する方法を開発して最適化する(参照文献:Ziegert, R. E.; Torang, J. Knepper, K.; Brase, S. The Recent Impact of Solid-Phase Synthesis on Medicinally Relevant Benzoannelated Oxygen Heterocycles. J. Comb. Chem. 2005, 7, 147-169.およびChen, C. Y.; Dormer, P. G. Synthesis of Benzo[b]furans via CuI-Catalyzed Ring Closure. J. Org. Chem. 2005, 70, 6964-6967.およびLiang, Z. D.; Hou, W. Z.; Du, Y. F.; Zhang, Y. L.; Pan, Y.; Mao, D.; Zhao, K. Oxidative Aromatic C-O Bond Formation:Synthesis of 3-Functionalized Benzo[b]furans by FeCl3-Mediated Ring Closure of α-Aryl Ketones. Org. Lett. 2009, 21, 4978-4981.等)。
【0018】
報告された2-アリールベンゾフラン系化合物は、例えば、レチノイン酸受容体(retinoic acid receptor、RAR)の作動薬(参照文献:Santin, E.P.; Khanwalkar H.; Voegel, J.; Collette, P.; Mauvais, P.; Gronemeyer, H.; A. R. de Lera. Highly Potent Naphthofuran-Based Retinoic Acid Receptor Agonists. ChemMedChem. 2009, 4, 780-791)、チューブリン重合(Tubulin Polymerization)の阻害剤(参照文献:Flynn, B. L.; Hamel E.; Jung, M. K. One-Pot Synthesis of Benzo[b]furan and Indole Inhibitors of Tubulin Polymerization. J. Med. Chem. 2002, 45, 2670-2673)、メタロプロテアーゼ(Metalloproteinase)の阻害剤(参照文献:Nakatani, S.; Ikura, M.; Yamamoto, S.; Nishita, Y.; Itadani, S.; Habashita, H.; Sugiura, T.; Ogawa, K.; Ohno, H.; Takahashi, K.; Nakai, H.; Toda, M. Design and synthesis of novel metalloproteinase inhibitors. Bioorg. Med. Chem. 2006, 14, 5402-5422)や抗菌剤(参照文献:Emirdag-Ozturk, S.; Karayildirim, T.; Anil, H. Synthesis of egonol derivatives and their antimicrobial activities. Bioorg. Med. Chem. 2011, 18, 1179-1188)など、多くの活性を示した。
【0019】
中では、一部の化合物は、優れた生物活性と潜在の莫大な医薬市場価値があるため、知的財産権の保護が出願され、例えばプロスタグランジンE2受容体(prostaglandin E2 receptor)関連疾患を治療する用途(特許号:WO 2008/098978)、カンナビノイド受容体(cannabinoid receptor)関連疾患を治療する用途(特許号:WO 2011/022679)、エストロゲン受容体(estrogen receptor)関連疾患を治療する用途(特許号:WO 2009/124968)、抗細菌・真菌感染の用途(特許号:WO 2005/047275)、膀胱筋反射性収縮疾患を治療する用途(特許号:EP 0306226A2)などが挙げられる。上述報告された2-アリールベンゾフランは、いずれも本発明に記載の化合物およびそのPARP1/2阻害剤としての内容を包括・言及していない。
【0020】
以上の理由で、発明者は、新しい高選択性の2-アリールベンゾフラン-7-カルボキサミド系PARP1/2阻害剤を設計・合成した。本発明に係る化合物は、明確な構造活性相関があり、一部の化合物、例えば5bがPARP1/2に対して高い選択性を持ち、且つ優れた生物的利用能を有する(ラットに胃灌流によって5bを10mg/kg投与した後のの絶対生物的利用能が58.9%で、II期臨床試験の化合物AZD2281のラットの経口投与の生物的利用能が11.1%しかなかった)。このような新型PARP1/2阻害剤は、新型抗腫瘍薬として有望である。
【発明の概要】
【0021】
本発明の目的は、一般式Iで表される2-アリールベンゾフラン-7-カルボキサミド化合物またはその薬理学的または生理学的に許容される塩を提供することである。
【化1】
【0022】
式中、
R1およびR2は、それぞれ独立に水素、C1-C4の直鎖もしくは分枝鎖のアルキル基、C3-C4のシクロアルキル基または酸素もしくは窒素を含有する飽和の5員もしくは6員の複素環基で、
あるいは、R1およびR2は、Nと一緒になって少なくとも一つのヘテロ原子を含有する無置換もしくは置換の飽和の5員もしくは6員の複素環基を形成し、ここで、前記ヘテロ原子はO、NおよびSで、前記置換基はNにあるメチル基で、
R3は、水素原子または塩素原子で、
R4は、水素原子またはフッ素原子で、
Xは、CH、CFまたはNで、
Yは、CH、CFまたはNである。
【0023】
好ましくは、
R1は、水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ピペリジン-4-イル基または(R)テトラヒドロフラン-3-イル基で、
R2は、水素、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ピペリジン-4-イル基または(R)テトラヒドロフラン-3-イル基で、
あるいは、R1およびR2は、無置換もしくは置換の、モルホリル基、ピペラジル基、ホモピペラジル基、チオモルホリル基、ピペリジル基またはピロリジル基を形成し、ここで、前記置換基はNにあるメチル基で、
R3は、水素原子で、
R4は、フッ素原子で、
Xは、CH、CFまたはNで、
Yは、CH、CFまたはNである。
【0024】
より好ましくは、
R1は、水素またはメチル基で、
R2は、メチル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ピペリジン-4-イル基または(R)テトラヒドロフラン-3-イル基で、
あるいは、R1およびR2は、無置換もしくは置換の、モルホリル基、ピペラジル基、ホモピペラジル基、チオモルホリル基、ピペリジル基またはピロリジル基を形成し、ここで、前記置換基はNにあるメチル基で、
R3は、水素原子で、
R4は、フッ素原子で、
Xは、CH、CFまたはNで、
Yは、CH、CFまたはNである。
【0025】
最も好ましくは、本発明は、下述表1に示される化合物を提供する。
【表1-1】
【0026】
【表1-2】
【0027】
好ましくは、前述薬理学的または生理学的に許容される塩は、塩酸塩である。
本発明のもう一つの目的は、合成経路が
a)5-位置換のサリチル酸1をエステル化反応させて化合物2を生成する工程と、
b)化合物2をヨウ素化反応させて化合物3を生成する工程と、
c)化合物3と置換芳香族アルキン化合物8を薗頭反応させ、閉環して化合物4を生成する工程と、
d)化合物4をハロゲン化反応させて化合物6を生成する工程と、
e)化合物4または化合物6をアンモノリシス反応させてそれぞれ化合物5または化合物I(または7)を生成する工程と、
を含むスキーム1で示される、一般式Iで表される化合物の製造方法を提供する。
【0028】
【化2】
【0029】
前述工程a)の条件は、触媒量の酸の存在下で、例えば濃硫酸の存在下で、メタノールを溶媒として還流させることである。
前述工程b)の条件は、N,N-ジメチルホルムアミドを溶媒とし、薄層クロマトグラフィーの検出で反応が完成するまで、N-ヨードスクシンイミドと窒素ガスの保護下で室温で撹拌することである。
【0030】
前述工程c)の条件は、N,N-ジメチルホルムアミドを溶媒とし、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド、ヨウ化第一銅を触媒とし、ジイソプロピルエチルアミンを塩基とし、窒素ガスの保護下で室温で2〜3時間反応させ、さらに50〜90℃で薄層クロマトグラフィーの検出で反応が完成するまで反応させることである。
【0031】
前述工程d)の条件は、テトラヒドロフランを溶媒とし、薄層クロマトグラフィーの検出で反応が完成するまで、N-クロロスクシンイミドと窒素ガスの保護下で室温で撹拌することである。
前述工程e)の条件は、アンモニアの飽和メタノール溶液を溶媒とし、封じて70〜120℃で一晩反応させることであるが、直接濃アンモニア水と封じて70〜120℃で一晩撹拌して反応させてもよい。
【0032】
ここの置換芳香族アルキン化合物8の構造式は、以下の通りである。
【化3】
ここで、R1、R2、R3、R4、XおよびYの定義は、上述の通りである。
【0033】
本発明は、合成経路が
f) 化合物9をアミン置換反応させて化合物10を生成する工程と、
g)化合物10または化合物12を園頭反応させてそれぞれ化合物11または化合物13を生成する工程と、
h)化合物11または化合物13を脱保護基させてそれぞれ化合物8または化合物14を生成する工程と、
i)化合物14を還元アミン化して化合物8を生成する工程と、
を含む以下の経路1または経路2で示される、異なる置換芳香族アルキン化合物8の製造方法を提供する。
【0034】
【化4】
【0035】
前述工程f)の条件は、C1-C4のアルキルアミンまたはヘテロ原子(酸素/窒素/硫黄)を一つ含有する5員または6員の第二級アミンの飽和アルコール溶液を溶媒として室温で撹拌することである。
前述工程g)の条件は、テトラヒドロフランを溶媒とし、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド、ヨウ化第一銅を触媒とし、ジイソプロピルエチルアミンを塩基とし、窒素ガスの保護下でトリメチルシリルアセチレンと還流させることである。
【0036】
前述工程h)の条件は、メタノールを溶媒とし、炭酸カリウムを塩基とし、室温で撹拌して反応させることである。
前述工程i)の条件は、メタノールを溶媒とし、シアノ水素化ホウ素ナトリウムを還元剤とし、異なるアミンと室温で撹拌して反応させることである。
ここで、R1、R2、XおよびYの定義は、上述の通りである。
【0037】
本発明のさらにもう一つの目的は、抗腫瘍薬、抗炎症薬などのPARP関連疾患を治療する薬物の製造における、一般式Iで表される化合物またはその薬理学的または生理学的に許容される塩の用途を提供することである。
【0038】
具体的な実施形態
以下、実施例によって本発明に係る化合物の構造と製造方法および体内外のPARP1/2阻害活性をさらに説明するが、本発明はこれらの説明に制限される。
全ての実施例において、5-フルオロサリチル酸は上海卒得(書亜)医薬科技有限公司によって、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリドはShanghai Chiral Chemistry Co., Ltdによって、トリメチルシリルアセチレンは大連化工研究設計院によって、4-ブロモベンズアルデヒドは上海邦成化工有限公司によって、N-ヨードスクシンイミドは上海進瑞化学有限公司によって、特に説明しない限り、他の開始試薬、溶媒、材料はいずれも国薬試薬グループによって提供された。
【0039】
マイクロ波反応は、CEM NULL型マイクロ波反応装置によって行われた。1HNMRは、BrucherAM-400型またはGEMINI-300型の核磁気共鳴装置によって記録され、化学シフトはδ(ppm)で表される。質量分析は、Finnigan MAT-95質量分析装置またはAgilent 1200-6110型四重極LC/MSシステムによって記録された。
【0040】
融点は、Buchi 510融点測定装置で測定され、温度が校正されていない。分離用シリカゲルは、青島海洋化工工場によって生産された200-300メッシュのカラムクロマトグラフィーシリカゲルである。ここで、英語の略称で表される化学試薬は、以下の通りである。
NBS N-ブロモスクシンイミド
NIS N-ヨードスクシンイミド
NCS N-クロロスクシンイミド
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
THF テトラヒドロフラン
【0041】
化合物の製造と合成
実施例1
5-フルオロサリチル酸メチル(化合物2a)の製造:
【化5】
【0042】
250 mLの丸底フラスコに、磁気撹拌子を入れた。10 g(0.064 mol)の5-フルオロサリチル酸を60 mLのメタノールに溶解させてそこに置き、氷浴下で濃硫酸を5 mL滴下し、滴下終了後80℃で油浴で冷却還流して一晩反応させた。翌日、室温に低下させ、ロータリーエバポレーターでメタノールを減圧蒸発させ、酢酸エチルを60 mL入れ、有機層をそれぞれ50 mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液、50 mLの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで蒸発させて乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=150:1)で薄色液体を10.0 g分離し、油ポンプで吸引した後、柵状結晶状固体に凝固し、収率が92%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 10.51 (s, 1H), 7.50 (dd, J = 3.3, 8.7 Hz, 1H), 7.22-7.15 (m,1H), 6.94 (q, J = 4.5Hz, 1H), 3.96 (s, 3H); MS (EI) M+:m/z (%) 170 (50)。
【0043】
5-フルオロ-3-ヨードサリチル酸メチル(化合物3a)の製造:
【化6】
【0044】
100 mLの丸底フラスコに、磁気撹拌子を入れた。7 g(0.041 mol)の5-フルオロサリチル酸メチル(化合物2a)を40 mLのDMFに溶解させてそこに置き、10 g(0.049 mol、1.2当量)のNISを入れ、窒素の保護下で室温で2日撹拌して反応させた。反応終了後、酢酸エチルを80 mL入れ、有機層を50 mLの飽和塩化ナトリウム溶液で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで蒸発させて乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=150:1)で分離して白色綿状固体が10.8 g得られ、収率が89%であった。
1H-NMR (300 MHz, CDCl3) δ 11.37 (s, 1H), 7.70 (dd, J = 3.3, 7.8 Hz, 1H), 7.56 (dd, J = 3.3, 8.7 Hz, 1H), 3.98 (s, 3H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 297.0 (55)。
【0045】
実施例2
N,N-ジメチル-1-(4-ヨードフェニル)メチルアミン(化合物10a)の製造:
【化7】
250 mLの丸底フラスコに、100 mLのジメチルアミンを入れ、3回に分けて12 g(40 mmol)のp-ヨードベンジルブロミド(化合物9)を入れ、室温で一晩撹拌した。翌日、酢酸エチルで3回抽出し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで蒸発させて乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5:1)で黄色液体を8.4 g分離し、収率が80%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.63 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.05 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 3.35 (s, 2H), 2.22 (s, 6H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 262.0 (100)。
【0046】
N,N-ジメチル-1-{4-[(トリメチルシリル)エチニル]フェニル}メチルアミン(化合物11a)の製造:
【化8】
【0047】
250 mLの丸底フラスコに、9.03 g(34.5 mmol)のN,N-ジメチル-1-(4-ヨードフェニル)メチルアミン(化合物10a)、6.86 g(70 mmol)のトリメチルシリルアセチレン、300 mg(0.35 mmol)のビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド、133 mg(0.7 mmol)のヨウ化第一銅、10 mLのトリエチルアミン、100 mLのTHFを入れ、真空吸引して窒素置換を3回行った後、80℃の油浴で還流して一晩反応させた。翌日、室温に低下させ、ロータリーエバポレーターで大部分の溶媒を減圧蒸発させ、直接シリカゲルを入れてカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=5:1)で褐色油状物を6.8 g分離し、収率が85%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.44 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.22 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 3.39 (s, 2H), 2.21 (s, 6H) , 0.24 (s, 9H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 232.0 (100)。
【0048】
N,N-ジメチル-1-(4-エチニルフェニル)メチルアミン(化合物8a)の製造:
【化9】
【0049】
250 mLの丸底フラスコにおいて、8 g(34.6 mmol)のN,N-ジメチル-1-{4-[(トリメチルシリル)エチニル]フェニル}メチルアミン(化合物11a)を80 mLのメタノールに溶解させ、2.46 g(17.3mmol)の炭酸カリウムを入れ、真空吸引して窒素置換を3回行った後、室温で2時間反応させた。反応終了後、ロータリーエバポレーターで大部分の溶媒を減圧蒸発させ、酢酸エチルを80 mL入れ、有機層を50 mLの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで蒸発させて乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=2:1)で黄色液体を4.8 g分離し、収率が87%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.46 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.25 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 3.40 (s, 2H), 3.05 (s, 1H),2.21 (s, 6H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 160.2 (100)。
【0050】
2-{4-[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4a)の製造:
【化10】
【0051】
100 mLの二口丸底フラスコに、3.4 g(21.4 mmol)のN,N-ジメチル-1-(4-エチニルフェニル)メチルアミン(化合物8a)、3.16 g(10.7 mmol)の5-フルオロ-3-ヨードサリチル酸メチル(化合物3a)、750 mg(1.07 mmol)のビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムジクロリド、203 mg(1.07 mmol)のヨウ化第一銅、2.16 g(21.4 mmol)のトリエチルアミン、10 mLのDMFを入れ、真空吸引して窒素置換を3回行った後、室温で2時間反応させ、さらに70℃の油浴で一晩反応させた。翌日、酢酸エチルを60 mL入れ、有機層を50 mLの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで蒸発させて乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=60:1)で分離して褐色油状物が1.7 g得られ、収率が48%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.90 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.64 (dd, J = 3.0, 9.3 Hz, 1H), 7.54 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.43 (dd, J = 3.0, 8.1 Hz, 1H), 7.04 (s, 1H), 4.05 (s, 3H), 3.73 (s, 2H), 2.44 (s, 6H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 328.2 (100)。
【0052】
2-{4-[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド(化合物5a)の製造:
【化11】
100 mLの密閉管に、1.65 g(5 mmol)の2-{4-[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4a)と50 mLのアンモニアの飽和メタノール溶液を入れ、80℃の油浴で一晩反応させた。翌日、室温に低下させ、静置して針状結晶を析出させ、ろ過し、メタノールで洗浄し、浅黄色針状結晶固体が1.18 g得られ、収率が75%であった。
1HNMR (300 MHz, d6-DMSO) δ 7.98-7.60 (m, 3H), 7.89 (br s, 1H), 7.66 (dd, J = 3.0, 8.7 Hz, 1H), 7.49-7.43 (m, 4H), 3.45 (s, 2H),2.17 (s, 6H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 313.2 (100)。
【0053】
実施例3
N-メチル-1-(4-ヨードフェニル)メチルアミン(化合物10b)の製造:
【化12】
20 g(67 mmol)のp-ヨードベンジルブロミド(化合物9)を原料とし、化合物10aの製造過程を参照し、黄色液体が13.8 g得られ、収率が83%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.63 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.06 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 3.68 (s, 2H), 2.43 (s, 3H);MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 248 (61)。
【0054】
N-メチル-1-{4-[(トリメチルシリル)エチニル]フェニル}メチルアミン(化合物11b)の製造:
【化13】
13 g(52.6 mmol)のN-メチル-1-(4-ヨードフェニル)メチルアミン(化合物10b)を原料とし、化合物11aの製造過程を参照し、褐色固体が9.1 g得られ、収率が80%であった。
MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 218.2 (87)。
【0055】
N-メチル-1-(4-エチニルフェニル)メチルアミン(化合物8b)の製造:
【化14】
N-メチル-1-{4-[(トリメチルシリル)エチニル]フェニル}メチルアミン(化合物11b)を原料とし、化合物8aの製造過程を参照し、褐色液体が4.6 g得られ、収率が86%であった。
1HNMR (300 MHz, d6-DMSO) δ 7.41 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.32 (d, J = 8.1Hz, 2H), 4.10 (s, 1H),3.64 (br s, 2H), 2.24 (br s, 3H);MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 146.1 (10)。
【0056】
2-{4-[(メチルアミノ)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4b)の製造:
【化15】
【0057】
3.19 g(22 mmol)のN-メチル-1-(4-エチニルフェニル)メチルアミン(化合物8b)、5.92 g(20 mmol)の5-フルオロ-3-ヨードサリチル酸メチル(化合物3a)を原料とし、化合物4aの製造過程を参照し、褐色油状物が3.2 g得られ、収率が51%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.86 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.62 (dd, J = 2.7, 9.6 Hz, 1H), 7.44-7.41 (m, 3H), 7.00 (s, 1H), 4.05 (s, 3H), 3.82 (s, 2H),3.48 (s, 1H),2.49 (s, 3H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 314.1 (30)。
【0058】
2-{4-[(メチルアミノ)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド(化合物5b)の製造:
【化16】
2.7 g(8.6 mmol)の2-{4-[(メチルアミノ)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4b)を原料とし、化合物5aの製造過程を参照し、灰黄色粒状固体が1.81 g得られ、収率が70%であった。
1HNMR (300 MHz, d6-DMSO) δ 7.97-7.94 (m, 3H), 7.88 (br s, 1H), 7.64 (dd, J = 2.7, 8.4 Hz, 1H), 7.50-7.42 (m, 4H), 3.70(s, 2H),2.28 (s, 3H); MS (EI) (M): m/z (%) 298 (100)。
【0059】
実施例4
N-メチル-1-(4-エチニルフェニル)メチルアミン(化合物8b)の製造:
【化17】
【0060】
100 mLの丸底フラスコにおいて、238 mg(1.5 mmol)の4-エチニルベンズアルデヒドを10 mLのメタノールに溶解させ、101 mg(1.5 mmol)のメチルアミン塩酸塩、142 mg(2.25 mmol)のシアノ水素化ホウ素ナトリウムを入れ、室温で3時間反応させた。反応終了後、水を入れて希水酸化ナトリウム溶液でpHを10に調整し、酢酸エチルを50 mL入れて抽出し、有機層を30 mLの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで蒸発させて乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(石油エーテル/酢酸エチル=1:1)で分離して褐色液体が133 mg得られ、収率が61%であった。
1HNMR (300 MHz, d6-DMSO) δ 7.41 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.32 (d, J = 8.1Hz, 2H), 4.10 (s, 1H),3.64 (br s, 2H), 2.24 (br s, 3H);MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 146.1 (10)。
【0061】
実施例5
2-{4-[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}-5-フルオロ-3-クロロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物6a)の製造:
【化18】
【0062】
100 mLの二口丸底フラスコにおいて、500 mg(1.53 mmol)の2-{4-[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4a)を20 mLのテトラヒドロフランに溶解させ、氷浴下で350 mg(2.6 mmol)のNCSのテトラヒドロフラン溶液を20 mL滴下し、15分間で滴下終了後、真空吸引して窒素置換を3回行い、室温で一晩反応させた。翌日、酢酸エチルを50 mL入れ、有機層を50 mLの飽和炭酸水素ナトリウム溶液で洗浄し、50 mLの飽和チオ硫酸ナトリウムで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで蒸発させて乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=80:1)で分離して黄色粉末が170 mg得られ、収率が31%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.12 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.70 (dd, J = 2.7, 9.3 Hz, 1H), 7.47-7.44 (m, 3H), 4.04 (s, 3H), 3.50 (s, 2H),2.27 (s, 6H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 362.1 (100), 364.1 (33)。
【0063】
2-{4-[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}-5-フルオロ-3-クロロベンゾフラン-7-カルボキサミド(化合物7a)の製造:
【化19】
50 mg(0.14 mmol)の2-{4-[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}-5-フルオロ-3-クロロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物6a)を原料とし、化合物5aの製造過程を参照し、灰白色粉末状固体が38 mg得られ、収率が79%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.99 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 7.84 (dd, J =2.7, 9.6 Hz, 1H), 7.47 (d, J = 8.7 Hz, 2H), 743 (dd, J = 2.7, 7.2 Hz, 1H) 6.28 (s, 1H), 3.50 (s, 2H),2.28 (s, 6H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 347.1 (100), 349.1 (33)。
【0064】
実施例6
5-[(トリメチルシリル)エチニル]ピリジン-2-ホルムアルデヒド(化合物13a)の製造:
【化20】
1.5 g(8 mmol)の5-ブロモピリジン-2-ホルムアルデヒドを原料とし、化合物11aの製造過程を参照し、褐色粉末が930 mg得られ、収率が57%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 10.05 (s, 1H), 8.80 (s, 1H), 7.89 (s, 2H), 0.28 (s, 9H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 204.1 (64)。
【0065】
5-エチニルピリジン-2-ホルムアルデヒド(化合物14a)の製造:
【化21】
812 mg(4 mmol)の5-[(トリメチルシリル)エチニル]ピリジン-2-ホルムアルデヒド(化合物13a)を原料とし、化合物8aの製造過程を参照し、淡黄色粉末が377 mg得られ、収率が72%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 10.07 (s, 1H), 8.84 (s, 1H), 7.93 (s, 2H), 3.42 (s, 1H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 132.1 (64)。
【0066】
N-メチル-1-(5-エチニルピリジン-2-イル)メチルアミン(化合物8c)の製造:
【化22】
196 mg(1.5 mmol)の5-エチニルピリジン-2-ホルムアルデヒド(化合物14a)を原料とし、実施例4の製造過程を参照し、褐色液体が135 mg得られ、収率が62%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.65 (d, J=1.5 Hz, 1H), 7.73 (dd, J=2.1, 8.1 Hz, 1H), 7.27 (d, J=8.1 Hz, 1H), 3.87 (s, 2H), 3.18 (s, 1H) , 2.46 (s, 3H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 147.1 (100)。
【0067】
2-{6-[(メチルアミノ)メチル]ピリジン-3-イル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4c)の製造:
【化23】
【0068】
82 mg(0.56 mmol)のN-メチル-1-(5-エチニルピリジン-2-イル)メチルアミン(化合物8c)、166 mg(0.56 mmol)の5-フルオロ-3-ヨードサリチル酸メチル(化合物3a)を原料とし、化合物4aの製造過程を参照し、浅黄色粉末が10 mg得られ、収率が5.7%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.07 (d, J = 1.8 Hz, 1H), 8.15 (dd, J = 2.1, 8.4 Hz, 1H), 7.66 (dd, J = 2.1, 8.4 Hz, 1H), 7.47-7.42 (m, 2H), 7.10 (s, 1H), 4.05 (s, 3H), 3.94 (s, 2H), 2.51 (s, 3H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 315.1 (100)。
【0069】
2-{6-[(メチルアミノ)メチル]ピリジン-3-イル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド(化合物5c)の製造:
【化24】
10 mg(0.032 mmol)の2-{6-[(メチルアミノ)メチル]ピリジン-3-イル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4c)を原料とし、化合物5aの製造過程を参照し、白色粉末が5 mg得られ、収率が52.5%であった。
1HNMR (300 MHz, CD3OD) δ 9.09 (s, 1H), 8.32 (dd, J = 2.1, 8.1 Hz, 1H), 7.58-7.51 (m, 3H), 7.44 (s, 1H), 3.96 (s, 2H), 2.49 (s, 3H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 300.1 (100)。
【0070】
実施例7
6-[(トリメチルシリル)エチニル]ピリジン-3-ホルムアルデヒド(化合物13b)の製造:
【化25】
279 mg(1.5 mmol)の6-ブロモピリジン-3-ホルムアルデヒドを原料とし、化合物11aの製造過程を参照し、黄色粉末が222 mg得られ、収率が73%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 10.09 (s, 1H), 9.01 (s, 1H), 8.12 (dd, J = 1.2, 8.1 Hz, 1H), 7.59(d, J = 1.2 Hz, 1H), 0.28 (s, 9H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 204.1 (22)。
【0071】
6-エチニルピリジン-3-ホルムアルデヒド(化合物14b)の製造:
【化26】
304 mg(1.5 mmol)の6-[(トリメチルシリル)エチニル]ピリジン-3-ホルムアルデヒド(化合物13b)を原料とし、化合物8aの製造過程を参照し、白色綿状固体が175 mg得られ、収率が89%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 10.12 (s, 1H), 9.04 (d, J = 0.9 Hz, 1H), 8.15 (dd, J = 2.1, 8.1 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 3.39 (s,1H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 132.1 (59)。
【0072】
N-メチル-1-(6-エチニルピリジン-3-イル)メチルアミン(化合物8d)の製造:
【化27】
196 mg(1.5 mmol)の6-エチニルピリジン-3-ホルムアルデヒド(化合物14b)を原料とし、実施例4の製造過程を参照し、褐色油状物が76 mg得られ、収率が35%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.52 (d, J = 2.1 Hz, 1H), 7.65 (dd, J = 2.1, 8.4 Hz, 1H), 7.45 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 3.77 (s, 2H), 3.12 (s,1H) , 2.45 (s,3H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 147.1 (100)。
【0073】
2-{5-[(メチルアミノ)メチル]ピリジン-2-イル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4d)の製造:
【化28】
73 mg(0.50 mmol)のN-メチル-1-(6-エチニルピリジン-3-イル)メチルアミン(化合物8d)、148 mg(0.50 mmol)の5-フルオロ-3-ヨードサリチル酸メチル(化合物3a)を原料とし、化合物4aの製造過程を参照し、褐色粉末が71 mg得られ、収率が45%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.62 (s, 1H), 7.99 (d, J = 7.1 Hz, 1H), 7.81 (dd, J = 1.8, 7.1 Hz, 1H), 7.67 (dd, J = 2.7, 9.6 Hz, 1H), 7.49(dd, J = 2.4, 8.7 Hz, 1H), 7.44 (s, 1H), 4.05 (s,3H), 3.84 (s, 2H), 2.49 (s, 3H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 315.1 (100)。
【0074】
2-{5-[(メチルアミノ)メチル]ピリジン-2-イル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド(化合物5d)の製造:
【化29】
50 mg(0.16 mmol)の2-{5-[(メチルアミノ)メチル]ピリジン-2-イル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4d)を原料とし、化合物5aの製造過程を参照し、浅褐色粉末が37 mg得られ、収率が78%であった。
1HNMR (300 MHz, CD3OD) δ 8.63 (s, 1H), 8.06 (d, J = 8.4 Hz, 1H), 7.94 (dd, J = 1.8, 8.1 Hz, 1H), 7.67-7.58 (m, 3H), 3.82 (s, 2H), 2.43 (s, 3H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 300.1 (100)。
【0075】
実施例8
4-[(トリメチルシリル)エチニル]-2-フルオロベンズアルデヒド(化合物13c)の製造:
【化30】
1 g(4 mmol)の3-フルオロ-4-ヨードベンズアルデヒドを原料とし、化合物11aの製造過程を参照し、褐色油状物が495 mg得られ、収率が56%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 10.32 (s, 1H), 7.79 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.32 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.24 (m, 1H), 0.26 (s, 9H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 221.0 (10)。
【0076】
4-エチニル-2-フルオロベンズアルデヒド(化合物14c)の製造:
【化31】
440 mg(2 mmol)の4-[(トリメチルシリル)エチニル]-2-フルオロベンズアルデヒド(化合物13c)を原料とし、化合物8aの製造過程を参照し、黄色固体が208 mg得られ、収率が70%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 10.34 (s, 1H), 7.83 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.37 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.28 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 3.34 (s, 1H)。
【0077】
N-メチル-1-(4-エチニル-2-フルオロフェニル)メチルアミン(化合物8e)の製造:
【化32】
208 mg(1.4 mmol)の4-エチニル-2-フルオロベンズアルデヒド(化合物14c)を原料とし、実施例4の製造過程を参照し、黄色油状物が95 mg得られ、収率が42%であった。
MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 164.1 (38)。
【0078】
2-{4-[(メチルアミノ)メチル]-3-フルオロフェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4e)の製造:
【化33】
95 mg(0.58 mmol)のN-メチル-1-(4-エチニル-2-フルオロフェニル)メチルアミン(化合物8e)、156 mg(0.52 mmol)の5-フルオロ-3-ヨードサリチル酸メチル(化合物3a)を原料とし、化合物4aの製造過程を参照し、黄色粘稠液体が58 mg得られ、収率が34%であった。
MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 332.1 (100)。
【0079】
2-{4-[(メチルアミノ)メチル]-3-フルオロフェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド(化合物5e)の製造:
【化34】
58 mg(0.17 mmol)の2-{4-[(メチルアミノ)メチル]-3-フルオロフェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4e)を原料とし、化合物5aの製造過程を参照し、浅黄色粉末が24 mg得られ、収率が43%であった。
1HNMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.83-7.76 (m, 2H), 7.64 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.57-7.50 (m, 2H), 7.41 (s, 1H), 4.22 (s, 2H), 2.71 (s, 3H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 317.2 (100)。
【0080】
実施例9
1-(4-エチニルベンジル)ピロリジン(化合物8f)の製造:
【化35】
【0081】
50 mLの丸底フラスコにおいて、130 mg(1 mmol)の4-エチニルベンズアルデヒドを10 mLのメタノールに溶解させ、71 mg(1 mmol)のピロリジン、126 mg(2 mmol)のシアノ水素化ホウ素ナトリウム、120 mg(2 mmol)の氷酢酸を入れ、室温で3時間反応させた。反応終了後、水を入れて希水酸化ナトリウム溶液でpHを10に調整し、酢酸エチルを50 mL入れて抽出し、有機層を30 mLの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで蒸発させて乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=30:1)で分離して無色液体が130 mg得られ、収率が70%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.44 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.28 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 3.62 (s, 2H), 3.04 (s, 1H),2.51 (m, 4H), 1.79(m, 4H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 186.2 (100)。
【0082】
2-{4-[(ピロリジン-1-イル)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4f)の製造:
【化36】
105 mg(0.57 mmol)の1-(4-エチニルベンジル)ピロリジン(化合物8f)、168 mg(0.57 mmol)の5-フルオロ-3-ヨードサリチル酸メチル(化合物3a)を原料とし、化合物4aの製造過程を参照し、褐色油状物が14 mg得られ、収率が7%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.85 (d, J = 6.3 Hz, 2H), 7.62 (dd, J = 2.1, 7.1Hz, 1H), 7.45-7.41 (m, 3H), 7.00 (s, 1H), 4.05 (s,3H), 3.67 (s, 2H), 2.54 (m, 4H), 1.80 (m, 4H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 354.2 (100)。
【0083】
2-{4-[(ピロリジン-1-イル)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド(化合物8f)の製造:
【化37】
12 mg(0.03 mmol)の2-{4-[(ピロリジン-1-イル)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4f)を原料とし、化合物5aの製造過程を参照し、白色粉末が6 mg得られ、収率が52%であった。
1HNMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.92 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.47-7.56 (m, 4H), 7.30 (s, 1H), 3.73 (s, 2H), 2.62 (m, 4H) , 1.86-1.82 (m, 4H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 339.2 (100)。
【0084】
実施例10
1-(4-エチニルベンジル)-4-メチルピペラジン(化合物8g)の製造:
【化38】
156 mg(1.2 mmol)の4-エチニルベンズアルデヒド、120 mg(1.2 mmol)のN-メチルピペラジンを原料とし、化合物8fの製造過程を参照し、黄色液体が175 mg得られ、収率が68%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.42 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.26 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 3.49 (s, 2H), 3.05(s, 1H),2.44(br s, 8H), 2.28(s, 3H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 215.2 (100)。
【0085】
2-{4-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4g)の製造:
【化39】
83 mg(0.39 mmol)の1-(4-エチニルベンジル)-4-メチルピペラジン(化合物8g)、115 mg(0.39 mmol)の5-フルオロ-3-ヨードサリチル酸メチル(化合物3a)を原料とし、化合物4aの製造過程を参照し、褐色油状物が14 mg得られ、収率が9.4%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.84 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.62 (dd, J = 2.4, 9.6 Hz, 1H), 7.44-7.40 (m, 3H), 7.00 (s, 1H), 4.05(s,3H), 3.56(s, 2H), 2.50(br s, 8H), 2.30(s, 3H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 383.2 (100)。
【0086】
2-{4-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド(化合物5g)の製造:
【化40】
10 mg(0.03 mmol)の2-{4-[(4-メチルピペラジン-1-イル)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4g)を原料とし、化合物18の製造過程を参照し、白色粉末が7 mg得られ、収率が73%であった。
1HNMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.90 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.56-7.45 (m, 4H), 7.29 (s, 1H), 3.58 (s, 2H), 2.52 (br s, 8H) , 2.28(s, 3H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 368.2 (100)。
【0087】
実施例11
1-(4-エチニルベンジル)ピぺリジン(化合物8h)の製造:
【化41】
156 mg(1.2 mmol)の4-エチニルベンズアルデヒド、102 mg(1.2 mmol)のピペリジンを原料とし、化合物8fの製造過程を参照し、黄色液体が138 mg得られ、収率が58%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.42 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.27 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 3.46 (s, 2H), 3.04 (s, 1H),2.36 (m, 4H), 1.60-1.53(m, 4H), 1.46-1.40(m, 2H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 200.2 (100)。
【0088】
2-{4-[(ピペリジン-1-イル)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4h)の製造:
【化42】
113mg(0.57mmol)の1-(4-エチニルベンジル)ピペリジン(化合物8h)、140mg(0.47mmol)の5-フルオロ-3-ヨードサリチル酸メチル(化合物3a)を原料とし、化合物4aの製造過程を参照し、無色油状物が14 mg得られ、収率が6.7%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.85 (d, J=8.1 Hz, 2H), 7.62 (dd, J=2.7, 9.0 Hz, 1H), 7.45-7.41 (m, 3H), 7.00 (s, 1H), 4.05 (s,3H), 3.53(s, 2H), 2.41 (m, 4H), 1.63-1.57 (m, 4H), 1.47-1.43 (m, 2H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 368.2 (100)。
【0089】
2-{4-[(ピペリジン-1-イル)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド(化合物5h)の製造:
【化43】
12 mg(0.03 mmol)の2-{4-[(ピぺリジン-1-イル)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4h)を原料とし、化合物5aの製造過程を参照し、白色粉末が6 mg得られ、収率が52%であった。
1HNMR (300 MHz, CD3OD) δ 7.75-7.66 (m, 3H), 7.44-7.35 (m, 3H), 7.03 (s, 1H), 3.52 (s, 2H), 2.41 (m, 4H), 1.63-1.57 (m, 4H), 1.47-1.43 (m, 2H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 353.2 (100)。
【0090】
実施例12
1-(4-エチニルベンジル)-4-メチルホモピペラジン(化合物8i)の製造:
【化44】
156 mg(1.2 mmol)の4-エチニルベンズアルデヒド、137 mg(1.2 mmol)のN-メチルホモピペラジンを原料とし、化合物8fの製造過程を参照し、黄色液体が235 mg得られ、収率が86%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.42 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.30 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 3.62 (s, 2H), 3.04 (s, 1H), 2.71-2.57 (m, 8H), 2.35 (s, 3H), 1.84-1.78 (m, 2H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 229.2 (100)。
【0091】
2-{4-[(4-メチルホモピペラジン-1-イル)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4i)の製造:
【化45】
198 mg(0.87 mmol)の1-(4-エチニルベンジル)ホモピペラジン(化合物8i)、257 mg(0.87 mmol)の5-フルオロ-3-ヨードサリチル酸メチル(化合物3a)を原料とし、化合物4aの製造過程を参照し、褐色油状物が22 mg得られ、収率が6.4%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.84 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.62 (dd, J = 2.4, 9.3 Hz, 1H), 7.54-7.40 (m, 3H), 6.99 (s, 1H), 4.04 (s,3H), 3.68(s, 2H), 2.71-2.57 (m, 8H), 2.41 (s, 3H), 1.84-1.78 (m, 2H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 397.2 (100)。
【0092】
2-{4-[(4-メチルホモピペラジン-1-イル)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド(化合物5i)の製造:
【化46】
15 mg(0.04 mmol)の2-{4-[(ピロリジン-1-イル)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4i)を原料とし、化合物5aの製造過程を参照し、白色粉末が11 mg得られ、収率が76%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.78-7.72 (m, 3H), 7.47-7.36 (m, 4H), 7.02 (s, 1H), 6.66 (br s, 1H) , 3.68 (s, 2H), 2.76-2.64 (m, 8H), 2.38 (s, 3H), 1.88-1.80 (m, 2H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 382.2 (100)。
【0093】
実施例13
1-(4-エチニルベンジル)モルホリン(化合物8j)の製造:
【化47】
156 mg(1.2 mmol)の4-エチニルベンズアルデヒド、104 mg(1.2 mmol)のモルホリンを原料とし、化合物8fの製造過程を参照し、黄色液体が138 mg得られ、収率が57%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.43 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.28 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 3.70 (t, J = 5.1 Hz, 4H), 3.48 (s, 2H), 3.05 (s, 1H), 2.43 (t, J=4.8 Hz, 4H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 202.1 (100)。
【0094】
2-{4-[(モルホリン-1-イル)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4j)の製造:
【化48】
113 mg(0.56 mmol)の1-(4-エチニルベンジル)モルホリン(化合物8j)、166 mg(0.56 mmol)の5-フルオロ-3-ヨードサリチル酸メチル(化合物3a)を原料とし、化合物4aの製造過程を参照し、褐色油状混合物が135 mg得られた。
MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 370.2 (100)。
【0095】
2-{4-[(モルホリン-1-イル)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド(化合物5j)の製造:
【化49】
110 mgの2-{4-[(モルホリン-1-イル)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4j)混合物を原料とし、化合物5aの製造過程を参照し、白色粉末が15 mg得られ、2ステップの収率が9.2%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.80-7.68 (m, 3H), 7.47-7.33 (m, 4H), 7.05 (s, 1H), 6.31 (s, 1H), 3.73 (t, J = 4.8 Hz, 4H), 3.56 (s, 2H), 2.47 (t, J = 4.8Hz, 4H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 355.2 (100)。
【0096】
実施例14
1-(4-エチニルベンジル)チオモルホリン(化合物8k)の製造:
【化50】
156 mg(1.2 mmol)の4-エチニルベンズアルデヒド、124 mg(1.2 mmol)のチオモルホリンを原料とし、化合物8fの製造過程を参照し、黄色液体が145 mg得られ、収率が56%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.43 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.26 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 3.50 (s, 2H), 3.05(s, 1H), 2.67(br s, 8H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 218.1 (100)。
【0097】
2-{4-[(チオモルホリン-1-イル)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4k)の製造:
【化51】
120 mg(0.55 mmol)の1-(4-エチニルベンジル)チオモルホリン(化合物8k)、164 mg(0.55 mmol)の5-フルオロ-3-ヨードサリチル酸メチル(化合物3a)を原料とし、化合物4aの製造過程を参照し、褐色油状混合物が170 mg得られた。
MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 386.1 (100)。
【0098】
2-{4-[(チオモルホリン-1-イル)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド(化合物5k)の製造:
【化52】
145 mgの2-{4-[(チオモルホリン-1-イル)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4k)混合物を原料とし、化合物5aの製造過程を参照し、白色粉末が15 mg得られ、2ステップの収率が9.2%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.81-7.68 (m, 3H), 7.48-7.39 (m, 4H), 7.05 (s, 1H), 6.28 (br s, 1H), 3.57 (s, 2H), 2.74-2.68 (m, 8H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 371.1 (100)。
【0099】
実施例15
4-[(4-エチニルベンジル)アミノ]ピペリジン-1-カルボン酸-t-ブチル(化合物8l)の製造:
【化53】
156mg(1.2mmol)の4-エチニルベンズアルデヒド、240mg(1.2 mmol)の4-アミノピペリジン-1-カルボン酸-t-ブチルを原料とし、化合物8fの製造過程を参照し、黄色液体が330 mg得られ、収率が85%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.44 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.26 (d, J = 9.3 Hz, 2H), 4.00 (m, 2H), 3.82 (s, 2H), 3.05 (s, 1H), 2.79 (t, J = 10.8 Hz, 2H), 2.64 (m, 1H), 1.83 (m, 2H), 1.45 (s, 9H), 1.28 (m, 2H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 315.2 (54)。
【0100】
4-[4-(7-メトキシカルボニル-5-フルオロベンゾフラン-2-イル)ベンジルアミノ]ピペリジン-1-カルボン酸-t-ブチル(化合物4l)の製造:
【化54】
181 mg(0.58 mmol)の4-[(4-エチニルベンジル)アミノ]ピペリジン-1-カルボン酸-t-ブチル(化合物8l)、170 mg(0.58 mmol)の5-フルオロ-3-ヨードサリチル酸メチル(化合物3a)を原料とし、化合物4aの製造過程を参照し、褐色油状混合物が44 mg得られた。
MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 483.3(95)。
【0101】
4-[4-(7-アミノホルミル-5-フルオロベンゾフラン-2-イル)ベンジルアミノ]ピペリジン-1-カルボン酸-t-ブチル(化合物5la)の製造:
【化55】
30 mgの4-[4-(7-メトキシカルボニル-5-フルオロベンゾフラン-2-イル)ベンジルアミノ]ピペリジン-1-カルボン酸-t-ブチル(化合物4l)混合物を原料とし、化合物5aの製造過程を参照し、白色粉末が15 mg得られ、2ステップの収率が8.1%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.79-7.74 (m, 3H), 7.46-7.38 (m, 4H), 7.04 (s, 1H), 6.31 (br s, 1H), 4.04 (br s, 2H), 3.89 (s, 2H), 2.81 (t, J = 8.7Hz, 2H), 2.70 (m, 1H), 1.88 (m, 2H), 1.45 (s, 9H), 1.32 (m, 2H); MS (ESI) (M-99)+: m/z (%) 368.2 (100)。
【0102】
2-{4-[(ピペリジン-4-イル)アミノメチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド(化合物5l)の製造:
【化56】
【0103】
15 mg(0.03 mmol)の4-[4-(7-アミノホルミル-5-フルオロベンゾフラン-2-イル)ベンジルアミノ]ピペリジン-1-カルボン酸-t-ブチル(化合物5la)を10 mLの反応瓶に置き、2 mLの塩化メチレンと0.5 mLのトリフルオロ酢酸を入れ、室温で2時間撹拌した後、ロータリーエバポレーターで溶媒を蒸発させて乾燥し、水を入れて希水酸化ナトリウム溶液でpHを10に調整し、酢酸エチルを50 mL入れて抽出し、有機層を30 mLの飽和塩化ナトリウム溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ロータリーエバポレーターで蒸発させて乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/メタノール=10:1)で分離して白色粉末が6 mg得られ、収率が51%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.79-7.68 (m, 3H), 7.46-7.37 (m, 4H), 7.04 (s, 1H), 6.52 (br s, 1H), 3.88 (s, 2H), 3.11 (m, 2H), 2.61 (m, 3H), 1.92 (m, 2H), 1.32 (br s, 2H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 368.2 (100)。
【0104】
実施例16
(R)-N-(4-エチニルベンジル)-3-アミノテトラヒドロフラン(化合物8m)の製造:
【化57】
130 mg(1 mmol)の4-エチニルベンズアルデヒド、124 mg(1 mmol)の(R)-3-アミノテトラヒドロフランを原料とし、実施例4の製造過程を参照し、黄色油状物が108 mg得られ、収率が54%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.44 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 7.28 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 3.92 (m, 1H),3.81-3.74 (s, 4H), 3.61 (m, 1H), 3.41 (m, 1H),3.06 (s, 1H), 2.10 (m, 1H), 1.74 (m, 1H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 202.1 (95)。
【0105】
(R)-2-{4-[(テトラヒドロフラン-3-イルアミノ)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4m)の製造:
【化58】
98 mg(0.49 mmol)の(R)-N-(4-エチニルベンジル)-3-アミノテトラヒドロフラン(化合物8m)、144 mg(0.49 mmol)の5-フルオロ-3-ヨードサリチル酸メチル(化合物3a)を原料とし、化合物4aの製造過程を参照し、褐色油状混合物が100 mg得られた。
MS (ESI) (M+H)+:m/z (%) 370.2 (95)。
【0106】
(R)-2-{4-[(テトラヒドロフラン-3-イルアミノ)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド(化合物5m)の製造:
【化59】
90 mgの(R)-2-{4-[(テトラヒドロフラン-3-イルアミノ)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4m)混合物を原料とし、化合物5aの製造過程を参照し、白色粉末が7 mg得られ、2ステップの収率が4.5%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.80-7.74 (m, 3H), 7.45 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.40 (m, 2H), 7.04 (s, 1H), 6.37 (s, 1H), 4.00-3.92 (m, 1H), 3.85-3.75 (m, 4H), 3.69-3.64 (m, 1H), 3.50-3.43 (m, 1H), 2.20-2.08 (m, 1H), 1.85-1.78 (m,1H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 355.2 (100)。
【0107】
実施例17
N-(4-エチニルベンジル)シクロプロピルアミン(化合物8n)の製造:
【化60】
253 mg(1.95 mmol)の4-エチニルベンズアルデヒド、111 mg(1.95 mmol)のシクロプロピルアミンを原料とし、化合物8fの製造過程を参照し、無色液体が272 mg得られ、収率が79%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.44 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.26 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 3.83 (s, 2H),3.05 (s, 1H), 2.16-2.09 (m, 1H), 0.46-0.33 (m, 4H) MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 172.2 (30)。
【0108】
2-[4-(シクロプロピルアミノメチル)フェニル]-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4n)の製造:
【化61】
83 mg(0.49 mmol)のN-(4-エチニルベンジル)シクロプロピルアミン(化合物8n)、144 mg(0.49 mmol)の5-フルオロ-3-ヨードサリチル酸メチル(化合物3a)を原料とし、化合物4aの製造過程を参照し、褐色油状混合物が95 mg得られた。
MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 340.2 (60)。
【0109】
2-[4-(シクロプロピルアミノメチル)フェニル]-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド(化合物5n)の製造:
【化62】
95 mgの2-[4-(シクロプロピルアミノメチル)フェニル]-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4n)混合物を原料とし、化合物5aの製造過程を参照し、白色粉末が12 mg得られ、2ステップの収率が7.6%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3/CD3OD) δ 7.75-7.68 (m, 3H), 7.41-7.35 (m, 3H), 7.02 (s, 1H), 3.84 (s, 2H), 2.16-2.09 (m, 1H), 0.48-0.35 (m, 4H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 325.2 (52)。
【0110】
実施例18
N-(4-エチニルベンジル)イソプロピルアミン(化合物8o)の製造:
【化63】
260 mg(2 mmol)の4-エチニルベンズアルデヒド、120 mg(2 mmol)のシクロプロピルアミンを原料とし、化合物8fの製造過程を参照し、無色液体が272 mg得られ、収率が79%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.43 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 7.26 (d, J = 8.4 Hz, 2H), 3.77 (s, 2H),3.04 (s, 1H) , 2.89-2.78 (m, 1H), 1.08 (d, J = 6.3 Hz, 6H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 174.2(73)。
【0111】
2-[4-(イソプロピルアミノメチル)フェニル]-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4o)の製造:
【化64】
110 mg(0.63 mmol)のN-(4-エチニルベンジル)イソプロピルアミン(化合物8o)、188 mg(0.63 mmol)の5-フルオロ-3-ヨードサリチル酸メチル(化合物3a)を原料とし、化合物4aの製造過程を参照し、褐色油状混合物が165 mg得られた。
MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 342.2 (100)。
【0112】
2-[4-(イソプロピルアミノメチル)フェニル]-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド(化合物5o)の製造:
【化65】
160 mgの2-[4-(イソプロピルアミノメチル)フェニル]-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4o)混合物を原料とし、化合物5aの製造過程を参照し、白色粉末が13 mg得られ、2ステップの収率が6%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.74-7.72 (m, 3H), 7.43-7.35 (m, 4H), 7.02 (s, 1H), 6.36 (s, 1H), 3.82 (s, 2H), 2.85 (m, 1H), 1.09(d, J=6.3Hz, 6H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 327.(100)。
【0113】
実施例19
4-[(トリメチルシリル)エチニル]-3-フルオロベンズアルデヒド(化合物13d)の製造:
【化66】
101 mg(0.5 mmol)の3-フルオロ-4-ブロモベンズアルデヒドを原料とし、化合物11aの製造過程を参照し、黄色固体が102 mg得られ、収率が92%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.96 (d, J = 1.2, 1H), 7.61-7.54 (m, 3H), 0.28 (s, 9H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 221.1 (100)。
【0114】
4-エチニル-3-フルオロベンズアルデヒド(化合物14d)の製造:
【化67】
440 mg(2 mmol)の4-[(トリメチルシリル)エチニル]3-フルオロベンズアルデヒド(化合物13d)を原料とし、化合物8aの製造過程を参照し、白色綿状固体が260 mg得られ、収率が88%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 9.97 (s, 1H), 7.68-7.57 (m, 3H), 3.57 (s, 1H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 149.1 (10)。
【0115】
N-メチル-1-(4-エチニル-3-フルオロフェニル)メチルアミン(化合物8p)の製造:
【化68】
222 mg(1.5 mmol)の4-エチニル-3-フルオロベンズアルデヒド(化合物14d)を原料とし、実施例4の製造過程を参照し、黄色油状物が182 mg得られ、収率が74%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 7.42 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 7.09-7.04(m, 2H), 3.74 (s, 2H), 3.27 (s,1H), 2.43 (s,3H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 164.1 (26)。
【0116】
2-{4-[(メチルアミノ)メチル]-2-フルオロフェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4p)の製造:
【化69】
82 mg(0.50 mmol)のN-メチル-1-(4-エチニル-3-フルオロフェニル)メチルアミン(化合物8p)、148 mg(0.50 mmol)の5-フルオロ-3-ヨードサリチル酸メチル(化合物3a)を原料とし、化合物4aの製造過程を参照し、褐色粉末が15 mg得られ、収率が9%であった。
1HNMR (300 MHz, CDCl3) δ 8.05 (t, J = 7.8 Hz, 1H), 7.64 (dd, J = 2.7, 9.3 Hz, 1H), 7.44 (dd, J = 2.7, 8.1 Hz, 1H), 7.24-7.12 (m, 3H), 4.04 (s,3H), 3.80 (s, 2H), 2.47 (s, 3H); MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 332.1 (10)。
【0117】
2-{4-[(メチルアミノ)メチル]-2-フルオロフェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド(化合物5p)の製造:
【化70】
10 mg(0.03 mmol)の2-{4-[(メチルアミノ)メチル]-2-フルオロフェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボン酸メチル(化合物4p)を原料とし、化合物5aの製造過程を参照し、浅褐色粉末が6 mg得られ、収率が63%であった。
1HNMR (300 MHz, CD3OD) δ 8.03 (t, J = 7.9 Hz, 1H), 7.55 (m, 2H), 7.34-7.24 (m, 3H), 3.77 (s, 2H), 2.40 (s, 3H; MS (ESI) (M+H)+: m/z (%) 317.2 (50)。
【0118】
実施例20
2-{4-[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド塩酸塩の製造:
【化71】
【0119】
250 mLの反応瓶に、937 mg(3 mmol)の2-{4-[(ジメチルアミノ)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド(化合物5a)を置き、溶解するまで室温で撹拌してメタノールを入れた。溶解後、235.5 mg(3 mmol)の塩化アセチルを滴下し、半時間撹拌した後、溶媒を回転乾燥させ、白色粉末が1.02 g得られ、収率が98%で、融点が232〜234℃であった。
1HNMR (300 MHz, d6-DMSO) δ 10.96 (br s, 1H), 8.09 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.95 (s, 1H), 7.91 (s, 1H), 7.76-7.68 (m, 3H), 7.61 (s, 1H), 7.50 (dd, J = 2.4, 9.9Hz, 1H), 4.33 (d, J = 5.4Hz, 2H), 2.70 (d, J = 4.8Hz, 6H)。
【0120】
実施例21
2-{4-[(メチルアミノ)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド塩酸塩の製造:
【化72】
【0121】
298 mg(1 mmol)の2-{4-[(メチルアミノ)メチル]フェニル}-5-フルオロベンゾフラン-7-カルボキサミド(化合物5b)に、溶解するまで室温で撹拌しながらメタノールを入れた。溶解後、78.5 mg(1 mmol)の塩化アセチルを滴下し、半時間撹拌した後、溶媒を回転乾燥させ、灰黄色粉末が330 mg得られ、収率が98%で、融点が286〜288℃であった。
1HNMR (300 MHz, d6-DMSO) δ 9.42 (br s, 2H), 8.07 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.94 (s, 1H), 7.91 (s, 1H), 7.72-7.67 (m, 3H), 7.59 (s, 1H), 7.50 (dd, J =2.7, 9.9 Hz, 1H), 4.17 (t, J = 5.4 Hz, 2H), 2.70 (d, J = 5.1 Hz, 3H)。
【0122】
実施例1
分子レベルのPARP1酵素活性阻害実験:
実験方法:酵素結合免疫吸着法(Enzyme-Linked Immunosorbent Assay, ELISA)(Decker P.によって発表された文献に記載の酵素結合免疫吸着法を参照する。参照文献:Decker P, Miranda EA, de Murcia G, Muller S. An improved nonisotopic test to screen a large series of new inhibitor molecules of Poly(ADP-ribose) Polymerase activity for therapeutic applications. Clinical Cancer Research, 5:1169-1172, 1999.)。
【0123】
その原理は、基質であるヒストンを吸着性の96ウェルプレートに被覆させ、PARP1組換え酵素、基質NAD+、活性化したDNAを入れてPARP1を酵素反応させ、ヒストンに産物のPAR(ポリ(アデノシン二リン酸リボース))を生成させた後、抗PAR(anti-PAR)抗体を入れ、96ウェルプレートに被覆されたヒストンにおける産物のPARの強度を検出することで、PARP酵素の活性を反映することができる。
【0124】
具体的な方法は以下の通りである。
1.ヒストンは、周知のPARP1の重要な基質である。ヒストンを無カリウムイオンのPBS(10 mMリン酸ナトリウム緩衝液、150 mM NaCl、pH 7.2-7.4)で96ウェルプレートを被覆し、37℃で一晩シェーカーに置いた後、ウェルにおける液体を捨てた。120 μL/ウェルのT-PBS(0.1%Tween-20含有PBS)でプレートを5回洗浄した。37℃のオーブンで乾燥した。
【0125】
2.NAD+(最終濃度8 μM/ウェル)、DNA(100 ng/ウェル)、PARP1(10 ng/ウェル)(50mM Tris(トリヒドロキシメチルアミノメタン)、2mM MgCl2を含むPARP1酵素反応緩衝液で希釈したもの。pH 8.0)を入れ、各ウェルに規定の希釈濃度(最終濃度は10 μMから、10倍希釈した6段の濃度)の阻害剤(陽性対照化合物がAZD2281で、商品名Olaparib、LC Laboratories社から購入)を10 μLずつ入れ、各濃度に2つの重複ウェルを設け、反応系は合計100μL/ウェルとし(規定値まで前述PARP1酵素反応緩衝液を追加する)、37℃のシェーカーで1h反応させ、空白・陽性・陰性対照(酵素を入れないウェルを空白対照ウェルと、阻害剤を入れないウェルを陰性対照ウェルと、陽性阻害剤を入れるウェルを陽性対照ウェルとする)を設けた。反応を開始し、37℃のシェーカーに置いて1h反応させた。
【0126】
3.PBS-Tでプレートを3回洗浄し、第一抗体として anti-PAR MAb10H(1:4000、5 μg/mL BSA含有PBS-Tで希釈したもの)を100μL/ウェル入れ、37℃のシェーカーで1hインキュベートした。
4.PBS-Tでプレートを3回洗浄し、ペルオキシダーゼで標識された第二抗体(抗マウス抗体)(1:2000、5 μg/mL BSA含有PBS-Tで希釈したもの)を100μL/ウェル入れ、37℃のシェーカーで30分間反応させた。
【0127】
5.2 mg/mLのOPD(O-Phenylenediamine Dihydrochloride、o‐フェニレンジアミン二塩酸塩)呈色液(0.03% H2O2含有0.1Mクエン酸-クエン酸ナトリウム緩衝液(pH=5.4)で希釈したもの)を100μL/ウェル入れ、25℃で15分間遮光反応させた(OPDの溶解に超音波が必要で、呈色液は使用直前に調製する)。
【0128】
50μL/ウェルの2M H2SO4で反応を中止させ、Molecular Devicesマイクロプレートリーダー(米国モレキュラーデバイス社(MDC)から購入した型番SpectraMax 190 Microplate Reader (90V to 240V)で数値を読み取り、波長490nmでOD値を測定した。
算式:阻害率(%)=(OD対照ウェル-OD投与ウェル)/OD対照ウェル×100%で薬物のPARP酵素活性に対する阻害程度を計算し、且つこれに基づいてLogit法で阻害率50%に達した時の薬物濃度、すなわちIC50値を算出した。実験を3回繰り返し、平均値と標準偏差を算出した。
【0129】
実施例2
体外細胞の増殖阻害実験:
細胞株:チャイニーズハムスター肺線維芽細胞株VC8(BRCA2-/-)と野生型細胞株V79(オランダライデン大学の教授から受贈)。
実験方法:MTT比色法(Mosman T.によって発表されたMTT比色法を参照する。参照文献:Mosmann T. Rapid colorimetric assay for cellular growth and survival application to proliferation and cytotoxicity assasys. Journal of Immunological Methods 65(1-2):55-63, 1983.)。MTTの正式な名称は3-(4,5-ジメチル-チアゾール-2-イル)-2,5-ジフェニルテトラゾリウムブロミド(3-(4,5-dimethylthiazol-2-yl)-2,5-Diphenyltetrazolium bromide)である。)。
【0130】
その原理は、生細胞のミトコンドリアにおけるコハク酸デヒドロゲナーゼが外因性MTTを水不溶性の青紫色結晶のホルマザン(Formazan)に還元し、且つ細胞の中で沈積するが、死細胞はこの機能を持たない。一定の細胞数の範囲内では、MTT結晶の量は細胞数に比例する。MTT溶解液は、細胞におけるホルマザンを溶解することができるため、酵素結合免疫測定装置によって波長570nmで間接に生細胞数を反映し、細胞阻害率を計算することができる。
【0131】
具体的な方法は以下の通りである。対数成長期の細胞をV79細胞2000個/ウェル、VC8細胞4000個/ウェルの密度で96ウェル培養プレートに各ウェル100μLずつ接種し、一晩培養した後、異なる濃度(最終濃度は10 μMから、5倍希釈した6段の濃度)の薬物作用を入れて72h作用させ、各濃度に3つの重複ウェルを設け、且つ相応の濃度の生理食塩水の溶媒対照とよび無アポトーシスウェルを設けた。作用終了後、20 μLのMTT(5 mg/mL)を入れ、37℃で4 h培養した後、100 μLのMTT溶解液(10%SDS-5%イソブタノール-0.01M HCl)を入れ、37℃で一晩置き、波長570 nmでOD値を測定した。算式:阻害率(%)=(OD対照ウェル-OD投与ウェル)/OD対照ウェル×100%で薬物の細胞増殖に対する阻害程度を計算し、且つこれに基づいてLogit法で阻害率50%に達した時の薬物濃度、すなわちIC50値を算出した。実験を3回繰り返し、平均値と標準偏差を算出した。
【0132】
本発明の好適な化合物の分子レベルと細胞レベルの生物活性の結果を表2に示す。
【表2】
【0133】
表2から、本発明の化合物は、PARP1に優れた阻害活性を有し、分子レベルでは、陽性対照と同じ桁数であることがわかる。体外細胞の増殖阻害実験では、本発明の化合物は、チャイニーズハムスター線維芽細胞株VC8(BRCA2-/-)に優れた阻害活性を有することが示された。一方、野生型無欠失(BRCA2+/+)に対するチャイニーズハムスター肺細胞株V79の50%阻害濃度は10μMを超えることから、設計された化合物は、BRCA欠失の細胞に対して高い選択性を有し、得られた結果はその作用機構と一致すること示された。
【0134】
実施例3
分子レベルのPARPファミリー酵素活性阻害実験:
実験方法:酵素結合免疫吸着法(Enzyme-Linked Immunosorbent Assay, ELISA)。その原理は、基質であるヒストンを吸着性の96ウェルプレートに被覆させ、PARP1組換え酵素、基質NAD+、活性化したDNAを入れてPARP1を酵素反応させ、ヒストンに産物のPAR(ポリ(アデノシン二リン酸リボース))を生成させた後、抗PAR(anti-PAR)抗体を入れ、96ウェルプレートに被覆されたヒストンにおける産物のPARの強度を検出することで、PARP酵素の活性を反映することができる。
【0135】
具体的な方法は以下の通りである。
1.酵素反応基質であるヒストンを無カリウムイオンのPBS(10 mMリン酸ナトリウム緩衝液、150 mM NaCl、pH 7.2-7.4)で96ウェルプレートを被覆し、37℃で一晩シェーカーに置いた後、ウェルにおける液体を捨てた。120 μL/ウェルのT-PBS(0.1%Tween-20含有PBS)でプレートを5回洗浄し、37℃のオーブンで乾燥した。
【0136】
2.50μLの酵素反応緩衝液(Tris.HCl、pH 8.0)、NAD+(2.5μM)、ビオチンNAD+(2.5μM)、活性化DNA(100 ng/ウェル)、PARP酵素(具体的に表4に示す)および規定の希釈濃度(最終濃度0.3nM〜10μM)の阻害剤を入れ、各濃度に2つの重複ウェルを設け、室温で1h反応させた(TNKSs反応温度30℃)。空白・陽性・陰性対照を設けた。
【0137】
3.PBSでプレートを3回洗浄し、50のペルオキシダーゼで標識されたアビジン(Strep-HRP)を入れ、室温で30分間インキュベートした。
4.100μLの呈色液を入れ、マイクロプレートリーダーBioTek SynergyTM 2で蛍光(Luminescence)数値を読み取った。算式:阻害率(%)=(L対照ウェル-L投与ウェル)/L対照ウェル×100%で化合物の酵素に対する阻害程度を計算し、且つこれに基づいてLogit法で阻害率50%に達した時の化合物濃度、すなわちIC50値を算出した。実験を3回繰り返し、平均値と標準偏差を算出した。
【0138】
化合物5bのPARPファミリーの6種の最も重要のアイソザイムの体外分子レベルの阻害結果を表3に示す。
【表3】
【0139】
表3から、陽性対照AZD2281と比較すると、本発明の化合物5bは、PARP1/2以外のサブタイプに対する阻害活性が低く、PARP1/2およびファミリーの他のアイソザイムに対する阻害活性との差は400倍以上であることがわかるが、化合物5bは、PARP1/2に対して高選択性を有し、PARP1/2の高選択性阻害剤で、5bの他のサブタイプに対する選択性は陽性対照AZD2281よりも優れることが示された。
【0140】
【表4】
【0141】
本発明は、好適な化合物5bに対して初歩の薬物動態学実験を行ったが、その方法と結果は以下の通りである。
1.投与プラン
体重200〜220gのオスの健康SDラット(にShanghai Sippr-BK Lab. Animal Co. Ltdよって提供されたもの。実験動物生産許可証番号:SCXK(滬))を無作為に組み分けし、それぞれ胃灌流した。化合物は、生理食塩水で調製された。
【0142】
試験前、12h断食し、水を自由に飲ませた。薬物を投与してから2h後、一緒に食事をさせた。
採血の時点およびサンプルの処理:胃灌流投与、投与後0.25、0.5、1.0、2.0、3.0、5.0、7.0、9.0、24hを経た時点でラットの眼球後静脈叢から静脈血0.3mLを取り、ヘパリンで処理した試験管に置き、11000rpmで5 min遠心し、血漿を分離し、-20℃の冷蔵庫で冷凍した。
【0143】
2.実験結果
化合物5bを10mg/kg胃灌流投与後、ラット体内の血漿濃度がピークに達した時間Tmaxは3.5±2.4hで、ピークに達した時の濃度Cmaxは92.5±33.2ng/mLで、血漿濃度-時間曲線下面積AUC0-tは452±103 ng・h/mLで、排泄半減期t1/2は1.75±0.94 hで、平均滞留時間MRTは3.94±1.13時間であった。ラットの化合物5bを10mg/kg胃灌流投与後の絶対生物的利用能が58.9%であった。
【0144】
【表5】
【0145】
3.結果分析
初歩の薬物動態学実験では、化合物5bの体内の除去速度が適切で、生物的利用能が高く、ラットの化合物5bを10mg/kg胃灌流投与後の絶対生物的利用能が58.9%で、体内の吸収、分布、代謝の状況が優れたことが示されたが、II期臨床試験化合物AZD2281のラットの経口投与の生物的利用能が11.1%しかない。