特許第5926833号(P5926833)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5926833物理的記憶媒体に記憶された地理的データパーセルの位置を突き止めるための空間的インデックス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5926833
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】物理的記憶媒体に記憶された地理的データパーセルの位置を突き止めるための空間的インデックス
(51)【国際特許分類】
   G06F 17/30 20060101AFI20160516BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20160516BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20160516BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20160516BHJP
   G08G 1/16 20060101ALN20160516BHJP
【FI】
   G06F17/30 170C
   G01C21/26 A
   G06F17/30 414Z
   G09B29/00 A
   G09B29/10 A
   !G08G1/16 C
【請求項の数】19
【外国語出願】
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-74840(P2015-74840)
(22)【出願日】2015年4月1日
(62)【分割の表示】特願2009-244904(P2009-244904)の分割
【原出願日】2009年10月1日
(65)【公開番号】特開2015-130205(P2015-130205A)
(43)【公開日】2015年7月16日
【審査請求日】2015年4月3日
(31)【優先権主張番号】12/243,186
(32)【優先日】2008年10月1日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】313011836
【氏名又は名称】ヘレ グローバル ベスローテン フェンノートシャップ
【氏名又は名称原語表記】HERE Global B.V.
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【弁理士】
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】ロバート ピー ファーンクス
【審査官】 齊藤 貴孝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−326073(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0203909(US,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第1473543(EP,A2)
【文献】 特開2003−122656(JP,A)
【文献】 特開2005−174198(JP,A)
【文献】 特開2004−254024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 17/30
G01C 21/26
G09B 29/00
G09B 29/10
G08G 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理的記憶媒体上にパーセルで記憶された地理的データの位置を突き止めるためのシステムであって、その地理的データは、ワールドタイルグリッドにおいて一定緯度又は経度の線で境界定めされた1つ以上のタイルのパーセルにより編成された地理的データベースに位置されるようなシステムにおいて、
地理的データの要求を受け取るアプリケーションを備え、その要求は、要求された地理的データを含むタイルを識別するためにこのアプリケーションが使用する情報を含むものであり、
(i)ビットフラグの第1アレイ及び媒体アドレスの第1アレイを含み、前記ビットフラグの第1アレイは前記媒体アドレスの第1アレイにおけるエントリーの存在を指示する、単一の行パーセルと、ビットフラグの第2アレイ及び媒体アドレスの第2アレイを含み、前記ビットフラグの第2アレイは前記媒体アドレスの第2アレイにおけるエントリーの存在を指示する、少なくとも1つの列パーセルとで構成され、前記媒体アドレスの第1アレイにおけるエントリーは、前記列パーセルの媒体アドレスを識別し、そして前記媒体アドレスの第2アレイは、空間的パーセルの媒体アドレスを識別するか、あるいは
(ii)ビットフラグの第1アレイ及び媒体アドレスの第1アレイを含み、前記ビットフラグの第1アレイは前記媒体アドレスの第1アレイにおけるエントリーの存在を指示する、単一の列パーセルと、ビットフラグの第2アレイ及び媒体アドレスの第2アレイを含み、前記ビットフラグの第2アレイは前記媒体アドレスの第2アレイにおけるエントリーの存在を指示する、少なくとも1つの行パーセルとで構成され、前記媒体アドレスの第1アレイにおけるエントリーは、前記行パーセルの媒体アドレスを識別し、そして前記媒体アドレスの第2アレイは、空間的パーセルの媒体アドレスを識別する、
ことによりスパース二次元アレイとして編成される空間的インデックスを更に備え、前記アプリケーションは、この空間的インデックスにタイル識別を与え、この空間的インデックスは、そのタイル識別を使用して、タイルに関連した行及び列を識別し、更に、この空間的インデックスは、その行及び列を使用して、前記要求された地理的データを含む前記物理的記憶媒体上のパーセル位置を識別する、システム。
【請求項2】
タイルを識別するために前記アプリケーションが使用する前記情報は、乗物の現在位置に関連したデータを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
乗物の現在位置に関連した前記データは、乗物の位置の地理的座標を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
乗物の現在位置に関連した前記データは、セグメント識別及びノード識別の少なくとも1つを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
タイルを識別するために前記アプリケーションが使用する前記情報は、セグメント識別及びノード識別の少なくとも1つを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
物理的記憶媒体上にパーセルで記憶された地理的データの位置を突き止めるための方法であって、その地理的データは、ワールドタイルグリッドにおいて一定緯度又は経度の線で境界定めされた1つ以上のタイルのパーセルによって編成された地理的データベースに位置されるような方法において、
受信手段が、地理的データの要求を受け取るステップと、
識別手段が、要求された地理的データを含むタイルを識別するステップであって、タイルの識別は、前記ワールドタイルグリッドにおける行及び列に関連しているステップと、 検索手段が、前記ワールドタイルグリッドにおけるタイルの行及び列によりインデックスされる空間的インデックスであって
(i)ビットフラグの第1アレイ及び媒体アドレスの第1アレイを含み、前記ビットフラグの第1アレイは前記媒体アドレスの第1アレイにおけるエントリーの存在を指示する、単一の行パーセルと、ビットフラグの第2アレイ及び媒体アドレスの第2アレイを含み、前記ビットフラグの第2アレイは前記媒体アドレスの第2アレイにおけるエントリーの存在を指示する、少なくとも1つの列パーセルとで構成され、前記媒体アドレスの第1アレイにおけるエントリーは、前記列パーセルの媒体アドレスを識別し、そして前記媒体アドレスの第2アレイは、空間的パーセルの媒体アドレスを識別するか、あるいは
(ii)ビットフラグの第1アレイ及び媒体アドレスの第1アレイを含み、前記ビットフラグの第1アレイは前記媒体アドレスの第1アレイにおけるエントリーの存在を指示する、単一の列パーセルと、ビットフラグの第2アレイ及び媒体アドレスの第2アレイを含み、前記ビットフラグの第2アレイは前記媒体アドレスの第2アレイにおけるエントリーの存在を指示する、少なくとも1つの行パーセルとで構成され、前記媒体アドレスの第1アレイにおけるエントリーは、前記行パーセルの媒体アドレスを識別し、そして前記媒体アドレスの第2アレイは、空間的パーセルの媒体アドレスを識別する、
ことによりスパース二次元アレイとして編成される空間的インデックスを使用してパーセルのための媒体アドレスを検索するステップと、
を備えた方法。
【請求項7】
前記要求は、乗物の現在位置に関連したデータを含む、請求項に記載の方法。
【請求項8】
乗物の現在位置に関連した前記データは、乗物の位置の地理的座標を含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
タイルを識別する前記ステップは、乗物の位置の地理的座標を変換してタイル識別を得ることを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
乗物の現在位置に関連した前記データは、セグメント識別及びノード識別の少なくとも1つを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
タイルを識別する前記ステップは、セグメント識別及びノード識別の少なくとも1つを使用して地理的データベース識別からタイル識別を抽出することを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記要求は、セグメント識別及びノード識別の少なくとも1つを含む、請求項に記載の方法。
【請求項13】
読み取り手段が、前記物理的記憶媒体からパーセルを読み取るステップを更に備えた、請求項に記載の方法。
【請求項14】
物理的記憶媒体上にパーセルで記憶された地理的データの位置を突き止めるのに使用される空間的インデックスであって、その地理的データは、ワールドタイルグリッドにおいて一定緯度又は経度の線で境界定めされた1つ以上のタイルのパーセルによって編成された地理的データベースに位置されるような空間的インデックスにおいて、
前記空間的インデックスは、(i)ビットフラグの第1アレイ及び媒体アドレスの第1アレイを含み、前記ビットフラグの第1アレイは前記媒体アドレスの第1アレイにおけるエントリーの存在を指示する、単一の行パーセルと、ビットフラグの第2アレイ及び媒体アドレスの第2アレイを含み、前記ビットフラグの第2アレイは前記媒体アドレスの第2アレイにおけるエントリーの存在を指示する、少なくとも1つの列パーセルとで構成され、前記媒体アドレスの第1アレイにおけるエントリーは、前記列パーセルの媒体アドレスを識別し、そして前記媒体アドレスの第2アレイは、空間的パーセルの媒体アドレスを識別するか、あるいは
(ii)ビットフラグの第1アレイ及び媒体アドレスの第1アレイを含み、前記ビットフラグの第1アレイは前記媒体アドレスの第1アレイにおけるエントリーの存在を指示する、単一の列パーセルと、ビットフラグの第2アレイ及び媒体アドレスの第2アレイを含み、前記ビットフラグの第2アレイは前記媒体アドレスの第2アレイにおけるエントリーの存在を指示する、少なくとも1つの行パーセルとで構成され、
前記媒体アドレスの第1アレイにおけるエントリーは、前記行パーセルの媒体アドレスを識別し、そして前記媒体アドレスの第2アレイは、空間的パーセルの媒体アドレスを識別する、
ことによりスパース二次元アレイとして編成される、
空間的インデックス。
【請求項15】
前記行パーセル及び列パーセルは、パーセルヘッダを更に含む、請求項14に記載の空間的インデックス。
【請求項16】
前記パーセルヘッダは、パーセルの形式、ビットフラグのアレイ、及び媒体アドレスのアレイに関する情報を含む、請求項15に記載の空間的インデックス。
【請求項17】
前記地理的データベースは、行パーセルの媒体アドレスを識別するデータベースヘッダを含む、請求項14に記載の空間的インデックス。
【請求項18】
前記行パーセル及び列パーセルの1つが、2つ以上のパーセルにおいて記憶される、請求項14に記載の空間的インデックス。
【請求項19】
前記行パーセル及び列パーセルの1つが、2つ以上のインデックスを含む、請求項14に記載の空間的インデックス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、進歩型ドライバ支援システム(ADAS)のための地理的データベースに係り、より詳細には、進歩型ドライバ支援システムにより使用するために物理的記憶媒体に記憶された地理的データパーセルの位置を突き止めることに係る。
【背景技術】
【0002】
ADASは、ドライブの快適性、効率、安全性及び全体的満足度を改善するために開発された。これらの進歩型ドライバ支援システムは、例えば、適応ヘッドライト照準、適応クルーズコントロール、レーン離脱警報及びコントロール、カーブ警報、速度制限通知、ハザード警報、予想クルーズコントロール、適応シフトコントロール、等を含む。これらの進歩型ドライバ支援システムの幾つかは、乗物における種々のセンサメカニズムを使用して、乗物の現在状態及び乗物の前方の車道の現在状態を決定する。これらセンサメカニズムは、レーダー、赤外線、超音波、及び視覚指向のセンサ、例えば、デジタルビデオカメラ及びライダーを含む。
【0003】
ある進歩型ドライバ支援システムは、デジタルマップデータも使用する。これらのシステムは、時々、マップエンハンストADASとも称される。進歩型ドライバ支援システムにデジタルマップデータを使用して、道路網、道路幾何学、道路コンディション、並びに乗物の周りの道路及び地形に関連した他の項目に関する情報を提供することができる。あるセンサとは異なり、デジタルマップデータは、霧、雨又は雪のような環境条件によって影響されない。更に、デジタルマップデータは、カメラやレーダーでは確実に与えることのできない有用な情報、例えば、信号、交通及びレーン制限、等では指示されない曲率、勾配、坂、速度制限を与えることができる。更に、デジタルマップデータは、他のセンサのレンジを遥かに越える又はドライバの視力をも越える予想能力を与えて、乗物の前方、コーナーの周り、丘の向こう又は障害物を越えて道路を決定することができる。従って、デジタルマップデータは、幾つかの進歩型ドライバ支援システムのための有用な追加物である。
【0004】
マップエンハンストの進歩型ドライバ支援システムは、通常、乗物のナビゲーションシステムに関連した地理的データベースからのデータを使用する。ナビゲーションシステムのデータベースは、その領域の道路網を表すデータ、例えば、道路及び交差点の位置(標高を含む地理的座標)、道路名、道路に沿った速度制限、交差点での転回制限、道路に沿った所番地又は所番地範囲、各道路のレーン数、レーン巾、レーンの表示、道路の機能的分類、中央分離帯の位置、等を含む。又、ナビゲーションシステムのデータベースは、他の地理的特徴物、例えば、水域、公園、管理域(地方自治体、州及び国の境界を含む)、及び重要ポイント、例えば、会社、病院、警察署、等の位置に関する情報を含むこともできる。
【0005】
ナビゲーションシステムのデータベースは、進歩型ドライバ支援システムが必要とするものより遥かに多くのデータを有している。更に、ナビゲーション用に設計される地理的データベースは、全てのデータを有していなくてもよく、及び/又は進歩型ドライバ支援システムが必要とする精度レベルのデータを有していなくてもよい。その結果、特に進歩型ドライバ支援システムのための地理的データベースを設計する際には、ある程度の努力がなされていた。例えば、米国特許公告第2006/0100780号は、自動車システムのセンサ装置用に設計されたデータ記憶フォーマットを有する地理的データベースを説明している。
【0006】
特にADAS用に設計された地理的データベースは、ナビゲーションシステムのデータベースより少ないデータしか含まないので、ADASデータベースを記憶するのに必要なメモリは僅かでよい。例えば、地理的データベースをCDに記憶するのではなく、データベースをメモリチップに記憶することができる。又、他の効率を実現することもできる。例えば、進歩型ドライバ支援システムに必要なデータを物理的記憶媒体から検索する仕方を変更して、データの検索効率を改善することができる。
【発明の概要】
【0007】
物理的記憶媒体上にパーセルで記憶された地理的データの位置を突き止めるための方法及びシステムが開示される。地理的データは、ワールドタイルグリッドにおいて一定緯度又は経度の線で境界定めされた1つ以上のタイルのパーセルにより編成された地理的データベースに位置される。各タイルには、タイルIDが指定される。
【0008】
マップアクセスアプリケーションが地理的データの要求を受け取る。この要求は、要求された地理的データに関連したタイルのタイルIDを得るためにマップアクセスアプリケーションが使用できる情報を含む。この情報は、ポジショニングシステムによって決定される現在乗物位置の地理的座標でよい。又、この情報は、セグメント又はノードの識別でもよい。
【0009】
タイルIDを得た後、マップアクセスアプリケーションは、タイルに関連した行及び列を識別し、そしてスパース二次元アレイとして編成された空間的インデックスを使用して、要求されたデータを含むパーセルの媒体アドレスを識別する。マップアクセスアプリケーションは、その媒体アドレスを使用して、物理的記憶媒体からパーセルにアクセスして読み取る。次いで、マップアクセスアプリケーションは、地理的データのパーセルへのアクセスを与え、ドライバ支援アプリケーションが地理的データを受け取れるようにする。
【0010】
これら及び他の態様及び効果は、添付図面を参照した以下の詳細な説明から当業者に明らかとなろう。更に、この概要は、単なる例示に過ぎず、特許請求の範囲に述べた本発明の範囲をこれに限定するものではない。
【0011】
同じ要素が同じ参照番号で示された添付図面を参照して現在の好ましい実施形態を以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施例によるマップエンハンストADASアーキテクチャーのブロック図である。
図2】一実施形態により図1に示すプロセッサに使用可能なソフトアプリケーションのブロック図である。
図3】一実施形態による図1に示す地理的データベースにおける道路セグメントデータレコードのためのデータ属性を示すブロック図である
図4】一実施形態によりタイルへとセグメント化されたワールドマップを示す図である。
図5】一実施形態により図5に示すタイルをどのようにパーセル化するかを示すブロック図である。
図6】一実施形態により物理的記憶媒体において図5に示すパーセルの位置を突き止めるために空間的インデックスをどのように使用するかを示すフローチャートである。
図7】一実施形態により図6に示す空間的インデックスのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1は、マップエンハンストADASアーキテクチャー100のブロック図である。この実施例において、マップエンハンストADASアーキテクチャー100は、ドライバ支援アプリケーション114と、マップ及びポジショニングエンジン(MPE)116とを備えている。このMPE116は、図1にはスタンドアローンモジュールとして示されているが、MPE116は、複数のパッケージへ分散されてもよく、及び/又はセンサパッケージのような他の装置パッケージへ一体化されてもよい。MPE116は、プロセッサ102、ポジショニングシステム104、地理的データベース106、通信システム108、及び乗物内データバスインターフェイス110を備えている。又、MPE116は、他のハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェア、例えば、メモリ及び電源を含んでもよい。
【0014】
プロセッサ102は、いかなる形式のプロセッサ、コントローラ、又は他のコンピューティング装置でもよい。例えば、プロセッサ102は、デジタル信号プロセッサでよい。プロセッサ102は、ポジショニングシステム104、地理的データベース106、通信システム108、乗物内データバスインターフェイス110、及び他のソースから入力を受け取る。次いで、プロセッサ102は、図2を参照して幾つか説明するアプリケーションソフトウェアプログラム200を使用して、入力を処理する。
【0015】
次いで、プロセッサ102は、乗物内データバスインターフェイス110及びデータバス112を経てドライバ支援アプリケーション114へ出力を与える。好ましくは、乗物内データバスインターフェイス110及びデータバス112は、自動車用に設計されたコントローラ・エリアネットワーク(CAN)インターフェイス及びCANバスである。ドライバ支援アプリケーション114は、適応ヘッドライト照準、適応クルーズコントロール、障害物検出、障害物回避、衝突回避、適応シフトコントロール、等を含むことができる。
【0016】
ポジショニングシステム104は、GPS型の技術、推測航法(dead reckoning)型のシステム、或いはこれら又は他のシステムの組合せを含むことができ、これらは、全て、この技術で知られたものである。又、ポジショニングシステム104は、走行距離速度、方向、向き、等を測定する適当な感知装置を含むこともできる。例えば、ポジショニングシステム104は、GPSシステム及びジャイロスコープを含む。ポジショニングシステム104は、プロセッサ102に出力信号を与える。プロセッサ102で実行されるアプリケーションソフトウェアプログラム200の幾つかは、ポジショニングシステム104からの出力信号を使用して、MPE116の位置、方向、向き、等を決定する。
【0017】
地理的データベース106は、ADASアプリケーション用に設計される。ナビゲーションシステムの地理的データベースと同様に、地理的データベース106は、地理的領域における道路及び交差点に関するデータを含む。例えば、地理的データベース106は、道路セグメントごとに少なくとも1つのデータベースレコード(「エンティティ」又は「エントリー」とも称される)を含む。道路セグメントデータレコードは、地理的データベース106においてデータレコードを識別できるようにするセグメント識別(ID)を含む。
【0018】
又、道路セグメントデータレコードは、表示される道路セグメントの終了点の地理的座標(例えば、緯度、経度、標高)を与えるデータと、道路セグメントの形状を与えるデータも含む。一実施形態では、終了点データは、表示される道路セグメントの終了点に対応するノードを表すノードデータレコードを参照する。セグメントIDと同様に、ノードデータレコードは、地理的データベース106においてデータレコードを識別できるようにするノードIDを含む。
【0019】
地理的データベース106は、ナビゲーションシステムの地理的データベースに典型的に含まれるデータよりクオリティの高い(即ち精度の高い)データを含むことができる。例えば、道路幾何学に関して、地理的データベース106のデータは、経度、緯度及び/又は標高についてより正確である。又、地理的データベース106においてトンネルのスタート及びストップ位置をより正確に指定することができる。更に、地理的データベース106のデータは、曲率のような導出された情報についてより正確である。
【0020】
又、地理的データベース106は、ナビゲーションシステムの地理的データベースに典型的に含まれるデータより多くの種類のデータ(例えば、より多くの種類の属性)を含むこともできる。例えば、地理的データベース106は、標識及び横断歩道のような道路の対象物を含むことができ、これは、道路セグメントに沿ったそれらの位置、標識対象物の形式、及び標識の文言を含む。地理的データベース106に見られるデータ属性の幾つかを、図3を参照して説明する。
【0021】
地理的データベース106は、パーセルへと編成される。パーセルとは、1つ以上のタイルのグループであり、図4を参照して説明する。パーセルは、交換又は更新することのできる地理的データベース106の最小単位である。地理的データベース106は、通信システム108を使用して規則的に更新することができる。地理的データベース106の一部分は、他の部分とは独立して更新することができる。地理的データベース106は、この地理的データベース106に付加的なカバレージを追加するか又は通信システム108を経て既存のパーセルに置き換わる新たなパーセルを受け取ることにより、更新することができる。通信システム108は、ワイヤレス通信リンクを経て新たなパーセルを受け取るのが好ましい。セルラー、PCS、衛星、FM、ラジオ、又は将来開発される技術を含む任意のワイヤレス通信システムを使用して、新たなパーセル又は更新パーセルを通信システム108へ送信することができる。
【0022】
図2は、プロセッサ102に使用可能な幾つかのソフトウェアアプリケーション200を示すブロック図である。図2に示すソフトウェアアプリケーション200は、マップアクセスアプリケーション202、マップ更新アプリケーション204、乗物ポジショニングアプリケーション206、電子ホライゾン(horizon)アプリケーション208、及びインターフェイスアプリケーション210を含む。これは、プロセッサ102に使用可能な全てのソフトウェアアプリケーション200の余すところのないリストではないから、図2は、スタートアップルーチン、自己テスト診断、等を含む他のアプリケーション212も示している。
【0023】
マップアクセスアプリケーション202は、物理的記憶媒体に記憶された地理的データベース106へのデータアクセスを与える。マップアクセスアプリケーション202は、プロセッサ102からデータの要求を受け取り、その要求に応答して物理的記憶媒体においてデータの位置を突き止める。図6から7を参照して説明するように、マップアクセスアプリケーション202は、要求されたデータを識別し読み取るために空間的インデックスを使用する。マップアクセスアプリケーション202は、プロセッサ102及び/又は他のアプリケーション200により使用するためのアプリケーションプログラミングインターフェイス(API)を与えるのが好ましい。
【0024】
マップ更新アプリケーション204は、地理的データベース106への更新を容易にする。通信システム108は、既存のデータベースに付加的なカバレージを追加するか又は既存のパーセルに置き換わる1つ以上のパーセルを受信する。新たなパーセルに対して、マップ更新アプリケーション204は、そのパーセルを物理的記憶媒体に記憶する。既存のパーセルに対して、マップ更新アプリケーション204は、物理的記憶媒体において古いパーセルを新しいパーセルに置き換える。
【0025】
乗物ポジショニングアプリケーション206は、地理的データベース106に含まれたデータにより表される道路網に対する乗物の位置を決定する。乗物ポジショニングアプリケーション206は、ポジショニングシステム104からの出力を使用し、その出力を、マップマッチングアルゴリズムとも時々称される乗物ポジショニングアルゴリズムを使用して、地理的データベース106のデータとマッチングさせる。乗物ポジショニングアプリケーション206は、現在知られている又は将来開発されるいかなる乗物ポジショニングアルゴリズムを使用することもできる。
【0026】
電子ホライゾンアプリケーション208は、電子ホライゾンを決定する。電子ホライゾンとは、現在の乗物位置から電子ホライゾンアプリケーション208で決定された程度まで導き出される道路及び交差点の集合である。道路及び交差点の集合は、乗物が現在乗物位置からたどることのできる潜在的な経路である。電子ホライゾンアプリケーション208は、1つ以上のコスト関数を使用してその程度を決定する。コスト関数は、ドライバ支援アプリケーション114の必要性に基づくもので、乗物の速度、走行時間及びドライブ距離のような種々のファクタを考慮に入れることができる。本出願人と同じ譲受人に譲渡され、参考としてここに援用する米国特許第6,405,128号には、電子ホライゾンアプリケーションの一例が説明されている。
【0027】
インターフェイスアプリケーション210は、インターフェイス110及びバス112を経てMPE116とドライバ支援アプリケーション114との間の通信を制御する。好ましくは、インターフェイスアプリケーション210は、乗物内の種々の電子装置間を通信するためのシリアル通信プロトコルであるCANプロトコルに基づく。CANプロトコルによれば、乗物内のある電子装置から別の電子装置へメッセージ及びデータを送信できるように、乗物内の種々の電子装置を単一のシリアルバス(例えば、バス112)に結合することができる。CANプロトコルは、CANフレームを共通のCANバスに入れるようなメッセージベースプロトコルである。CANバスは、単一ワイヤでもよいし、或いは差動的に駆動されるワイヤ対でもよい。
【0028】
図3は、地理的データベース106に見られる道路セグメントデータレコードに対する幾つかのデータ属性300のブロック図である。図3に示すデータ属性は、セグメント識別302、制御ポイント304、走行方向306、速度分類308、レーン分類310、道路形式312、セグメント特性314、及びアクセス特性316を含む。これは、道路セグメントデータレコードに対する全てのデータ属性の余すところのないリストではないから、図3は、他の属性318も示している。例えば、セグメントデータ属性300は、セグメントの終了点に対応するノードIDの形態のノードデータレコードへの参照を含むこともできる。
【0029】
先に述べたように、道路セグメントデータレコードは、地理的データベース106においてデータレコードを識別できるようにするセグメントID302を含む。制御ポイント属性304は、曲率、ヘッディング、及び傾斜プロフィールをスプラインデータから生成する上で助けとなるように、制御ポイントに関する付加的な情報を与えるビットフラグを含む。例えば、制御ポイント属性304は、制御ポイント当たりのバイトサイズフラグを含むことができる。フラグにおけるビットの1つは、曲率に指定され、一方、別のビットは、傾斜に指定される。曲率ビットフラグが1にセットされた場合には、制御ポイントが曲率プロフィールの一部分としてマークされる。同様に、傾斜ビットフラグが1にセットされた場合には、制御ポイントが傾斜プロフィールの一部分としてマークされる。
【0030】
走行方向属性306は、セグメントにおけるトラフィックフローの許可された方向を表す。例えば、セグメントは、両方向に走行が許された道路網の一部分を表してもよい。或いは又、セグメントは、一方向走行しか許さない道路網の一部分を表してもよい。走行方向属性306は、セグメントが両方向走行を許すか一方向走行を許すかを識別し、そして一方向の場合には、走行方向属性306は、許された走行方向も識別する。
【0031】
速度分類属性308は、道路の一般的な速度傾向を、掲示又は暗示される速度限界に基づいて表す。速度分類属性308は、速度範囲に関連したデータを含む。例えば、速度分類属性308は、80mphを越える速度については整数1、65−80mphの範囲の速度については整数2、55−64mphの範囲の速度については整数3、等々のデータ表示を、速度範囲が0mphになるまで、含むことができる。
【0032】
レーン分類属性310は、1つの走行方向におけるセグメントの主なレーン数を表す。レーン分類属性310は、転回レーンを含まないのが好ましい。レーン数が方向ごとに異なる場合には、レーン分類属性310は、大きい方の数を表してもよい。
【0033】
道路形式属性312は、セグメントが表す道路の形式を表す。例えば、道路形式属性312は、州間ハイウェイ、管理アクセスハイウェイ、ランプ、歩行者の歩道、等に関連したデータを含むことができる。
【0034】
セグメント特性属性314は、セグメントに対する種々の特性を記述するビットフラグを含む。例えば、セグメント特性属性314は、セグメントが舗装されているか、ランプであるか、橋であるか、トンネルであるか、ロータリーであるかどうか、等々を識別することができる。
【0035】
アクセス特性属性316は、そのセグメントに許された交通の形式を定義するビットフラグを含む。例えば、アクセス特性属性316は、そのセグメントに許されているのは、自動車か、バスか、トラックか、タクシーか、非常用車両か、歩行者か、等々を識別することができる。
【0036】
図4は、タイル402にセグメント化されたワールドマップ400を示す。タイルは、一定の緯度又は経度の線で境界定めされている。経度及び緯度方向のサイズは、ワールドジェオデチックシステム1984(WGS84)座標ユニットに関して等しいのが好ましい。しかしながら、現在知られている又は将来開発される地球に対する他の座標系を使用してもよい。好都合なことに、WGS84座標系は、北極及び南極を除いて地表面上の各地点(xを経度、yを緯度とすれば、x、y)を独特に識別する。
【0037】
ワールドタイルグリッド400は、行0が−90°緯度に位置し及び列0が−180°経度に位置する状態で8192(213)列及び16384(214)列より成る。タイル402の各々にタイルIDが指定される。タイルIDは、0からスタートして行順に西から東へ、次いで、南から北へ進む逐次番号である。
【0038】
WGS84では、タイル402ごとのエリアカバレージは、緯度に依存する。タイル402の各々は、約2.44kmの高さである。タイル402の巾は、緯度に基づいて変化し、赤道における約2.44kmから±80°の緯度における約424mまでの範囲である。
【0039】
タイル402に対して座標の均一な割り当てを与えるために、タイルのボーダーラインがタイルに指定される。一実施例では、タイル402の各々が西及び南のボーダーラインを含み、一方、東及び北のボーダーラインは、隣接タイルの一部分である。従って、(x1、y1)があるタイルの南西の角で、且つ(x2、y2)がそのタイルの北東の角である場合には、x1≦x<x2及びy1≦y<y2の全てのポイント(x、y)が、そのタイルに独特に指定される。もちろん、ボーダーラインを指定するため他のメカニズムを使用することもできる。
【0040】
図5は、図4に示されたタイル402をどのようにしてパーセル500(より黒い線で示す)へとグループ化するか示すブロック図である。地理的データベース106は、1つ以上のタイル402に対するデータを各々含むパーセル500の集合として編成される。地理的データベース106のデータは、物理的記憶媒体にパーセルにより記憶される。パーセル500は、位置座標を含む単一の地理的エリアに対するマップデータを表す空間的パーセルである。又、パーセル500は、非空間的なもので、特定形式のデータ(例えば、インデックス)を表すこともできる。各パーセル500は、パーセルの形式及びサイズと、そのパーセル特有のパラメータとを指定するヘッダで始まる。
【0041】
パーセル化は、地理的データベース106を空間的パーセルへと分割するプロセスである。パーセルの境界は、図4を参照して述べたワールドタイルグリッド400に基づいて定義される。パーセル500は、単一のタイルとして定義することもできるし、又はタイル402の長方形グループ(方形グループを含む)として定義することもできる。パーセル500に含まれるタイル402の数は、ターゲットパーセルサイズに基づいてコンパイラーにより決定される。例えば、図5は、28個のタイル402が種々のサイズの8個のパーセル500にグループ化されたところを示す。パーセル化の後に、パーセルは、物理的記憶媒体に記憶される。好ましくは、物理的記憶媒体は、フラッシュメモリであるが、適当なメモリ形式を使用して、地理的データベース106を記憶することができる。
【0042】
図6は、物理的記憶媒体上のパーセル500の位置を突き止めるのに空間的インデックス616をどのように使用するか示すフローチャートである。空間的インデックス616は、タイルID608、614を使用して物理的記憶媒体上のパーセル500の位置を突き止める。空間的インデックス616は、マップアクセスアプリケーション202がプロセッサ102から地理的データの要求を受け取った後に、タイルID608、614を受け取る。
【0043】
地理的データの要求は、乗物の現在位置に関するデータを含むことができる。乗物の現在位置に関するデータは、ポジショニングシステム104からのデータに基づく乗物位置の地理的座標602(即ち緯度/経度)の形態でよい。或いは又、乗物の現在位置に関するデータは、乗物ポジショニングアプリケーション206からのデータに基づく乗物位置に現在関連しているセグメントID及び/又はノードID610の形態でもよい。或いは又、地理的データの要求は、乗物の現在位置を参照せずにセグメントID及び/又はノードID610を含んでもよい。
【0044】
マップアクセスアプリケーション202が乗物の地理的座標602を受け取る場合は、マップアクセスアプリケーション202は、その地理的座標602をタイルID608へ変換する(604)。例えば、マップアクセスアプリケーション202は、緯度及び経度からタイルID608を次のように計算することができる。
行=(緯度+230)>>18
列=(経度+231)>>18
タイルID=(行<<14)+列
但し、>>及び<<は、標準的なCビットシフト演算である。
【0045】
マップアクセスアプリケーション202がセグメントID及び/又はノードID610を受け取る場合は、マップアクセスアプリケーション202は、タイルID614を抽出する(612)。タイルID614は、地理的データベースIDに埋め込まれる。マップアクセスアプリケーション202は、セグメントID及び/又はノードID610を使用して、地理的データベースIDからタイルID614を得る。
【0046】
タイルID608、614が変換604又は抽出612のいずれかにより得られると、マップアクセスアプリケーション202は、空間的インデックス616を使用してパーセルの媒体アドレス618を識別する。空間的インデックス616の各エントリーは、対応するタイル402を含むパーセル500の媒体アドレス618である。タイル402の行及び列番号は、タイル608、614から次のように得ることができる。
行=タイルID>>14
列=タイルID&0x3FFF
【0047】
空間的インデックス616は、パーセルIDではなく、タイルIDを使用して、媒体アドレス618を得るのが便利である。タイルIDを使用すると、空間的インデックス616を、ワールドタイルグリッド400においてタイルの行及び列によってインデックスされる二次元アレイにすることができる。その結果、空間的インデックス616の設計は、典型的にツリーインデックス(例えば、kdツリーインデックス)であるパーセルIDを使用するインデックスよりも簡単である。
【0048】
媒体アドレス618を使用して、物理的記憶媒体からパーセル500にアクセスして読み取る。一実施例において、媒体アドレス618は、メディア・テーブル・オブ・コンテンツ(MTOC)インデックスと、そのエントリーに対してMTOCにおいて指定されたアドレスからのパーセルオフセット(例えば、セクターでの)と、パーセルサイズ(例えば、セクターでの)とを含む。種々の形式の物理的記憶媒体は、異なる論理的セクターサイズを有する。典型的に、1つの論理的セクターは、読み取ることのできる最小量のデータである。
【0049】
MTOCインデックスは、地理的データベース106に含まれたコンポーネントを識別し位置を突き止める。MTOCインデックスは、適当なMTOCエントリー(例えば、コンポーネント形式、ファイルの開始からのオフセット、コンポーネントのサイズ、及びコンポーネントのファイル名)にアクセスするのに使用される。媒体アドレス618のパーセルオフセットと結合されるMTOCにおける情報は、物理的記憶媒体からパーセル500を読み取るのに使用できる。媒体アドレス618は、MTOCのエントリーに対するものであるから、物理的記憶媒体におけるパーセルの順序を変更できると共に、既存のソフトウェアに影響することなく新たなパーセルを追加することができる。
【0050】
図7は、図6に示された空間的インデックス616のブロック図である。空間的インデックス616は、タイルの行及び列番号によりインデックスされるスパース二次元アレイとして編成される。上述したように、空間的インデックス616は、タイルIDを使用し、パーセルIDを使用しないので、空間的インデックス616は、より複雑なツリーインデックスを使用する必要がない。しかしながら、典型的に均一に埋められるパーセルとは異なり、タイル402は、均一に埋められず、多くのタイルは、地理的データを全く含まない(例えば、海、農場、田園エリア)。物理的記憶媒体に空間的インデックス616を記憶するのに必要なスペースの量を減少するために、空間的インデックス616は、スパースアレイとして設計される。スパースアレイとは、ほとんどのエレメントが、典型的に「0」又はナルであるデフォールト値と称する同じ値を有するアレイである。
【0051】
空間的インデックス616は、単一の行パーセル702と、それに続く1つ以上の列パーセル704とで構成される。別の実施例では、空間的インデックス616は、単一の列パーセルと、それに続く1つ以上の行パーセルとで構成される。更に別の実施例では、例えば、サイズ制約のために、単一の行パーセル及び/又は単一の列パーセルを複数のパーセルにおいて記憶してもよい。更に別の実施例では、複数の行及び/又は列インデックスを単一のパーセルにおいて記憶してもよい。
【0052】
地理的データベース106は、データベース106を記述する情報及びパラメータを含むデータベースヘッダ706を有する。このデータベースヘッダ706は、空間的インデックスの行パーセル702の媒体アドレスを含む。
【0053】
各空間的インデックスパーセル702、704は、空間的インデックスパーセルヘッダ708と、それに続く、媒体アドレスエントリーの存在を指示するビットフラグのアレイ710と、それに続く、媒体アドレスのアレイ712とを含む。空間的インデックスパーセルヘッダ708は、空間的インデックスパーセルの形式(即ち行又は列)、行又は列におけるエントリーに対する開始及び終了インデックス値、ビットフラグのアレイ710におけるビットマップフィールドの数、媒体アドレスのアレイ712における媒体アドレスエントリーの数、ヘッダ708の開始からアレイ710、712までのオフセット値を含む。空間的インデックスパーセルヘッダ708は、付加的な情報も含むことができる。
【0054】
ビットフラグのアレイ710は、媒体アドレスのアレイ712における媒体アドレスエントリーの有無を指示する一連のビットマップフィールドを含む。ビットマップフィールドは、各々、4バイトであるのが好ましい。第1ビットマップフィールドの最上位ビットは、空間的インデックスパーセルヘッダ708において指定された開始インデックス値に対応する。ビットマップフィールドにおける残りのビットは、空間的インデックスパーセルヘッダ708において指定された終了インデックス値を通る逐次の順序でそれに対応する媒体アドレスエントリーを表す。
【0055】
行パーセル702の媒体アドレスアレイ712におけるタイルIDに対応するタイルの行エントリーを識別した後、空間的インデックス616は、空間的インデックスの列パーセル704の媒体アドレスを識別する。列パーセル704の媒体アドレスアレイ712におけるタイルIDに対応するタイルの行エントリーを識別した後、空間的インデックス616は、タイルID608、614に対応するタイル402を含むパーセル500の媒体アドレス618を識別する。
【0056】
要求された行又は列インデックスに対応する媒体アドレスアレイ712におけるエントリーのインデックスは、要求されたインデックスに対するビットに先行するビットフラグのアレイ710における非ゼロビットの和である(要求されたインデックス−開始インデックス)。
【0057】
図7は、空間的インデックス616の1つの例示的構成を示すが、他のスパースアレイ設計を使用してもよいことが理解されよう。スパースアレイを使用することにより、物理的記憶媒体に空間的インデックス616を記憶するのに必要なスペースの量が減少される。更に、進歩型ドライバ支援システムに必要なデータを物理的記憶媒体殻検索することがより効率的になる。
【0058】
以上の詳細な説明は、例示に過ぎず、それに限定されないことが意図され、又、本発明の範囲は、全ての等効物を含む特許請求の範囲により定義されることを理解されたい。例えば、地理的データベース106は、ADASデータベースとして説明したが、物理的記憶媒体上のデータの位置を突き止めるためにスパースアレイとして編成された空間的インデックスから他のデータベースでも利益を得ることができよう。特許請求の範囲は、効果が述べられていない限り記載された順序又は要素に限定するように読んではならない。それ故、請求項及びその等効物の範囲及びその精神に包含される全ての実施形態が発明として請求される。
【符号の説明】
【0059】
100:マップエンハンストADASアーキテクチャー
102:プロセッサ
104:ポジショニングシステム
106:地理的データベース
108:通信システム
110:乗物内データバスインターフェイス
114:ドライバ支援アプリケーション
116:マップ及びポジショニングエンジン(MPE)
200:ソフトウェアアプリケーション
202:マップアクセスアプリケーション
204:マップ更新アプリケーション
206:乗物ポジショニングアプリケーション
208:電子ホライゾンアプリケーション
210:インターフェイスアプリケーション
212:他のアプリケーション
400:ワールドマップ
402:タイル
500:パーセル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7