特許第5926853号(P5926853)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 中国▲鉱▼▲業▼大学(北京)の特許一覧

<>
  • 特許5926853-動力学的性能試験システム 図000002
  • 特許5926853-動力学的性能試験システム 図000003
  • 特許5926853-動力学的性能試験システム 図000004
  • 特許5926853-動力学的性能試験システム 図000005
  • 特許5926853-動力学的性能試験システム 図000006
  • 特許5926853-動力学的性能試験システム 図000007
  • 特許5926853-動力学的性能試験システム 図000008
  • 特許5926853-動力学的性能試験システム 図000009
  • 特許5926853-動力学的性能試験システム 図000010
  • 特許5926853-動力学的性能試験システム 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5926853
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】動力学的性能試験システム
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/303 20060101AFI20160516BHJP
【FI】
   G01N3/303 E
【請求項の数】13
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2015-502046(P2015-502046)
(86)(22)【出願日】2012年3月31日
(65)【公表番号】特表2015-511709(P2015-511709A)
(43)【公表日】2015年4月20日
(86)【国際出願番号】CN2012073417
(87)【国際公開番号】WO2013143145
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2014年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】514248617
【氏名又は名称】中国▲鉱▼▲業▼大学(北京)
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】何 ▲満▼潮
(72)【発明者】
【氏名】郭 志▲ピャオ▼
(72)【発明者】
【氏名】▲張▼ 国▲峰▼
【審査官】 渡邉 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−078557(JP,A)
【文献】 特開2008−121304(JP,A)
【文献】 特開2002−174574(JP,A)
【文献】 特開平11−248611(JP,A)
【文献】 特開2010−181318(JP,A)
【文献】 米国特許第03196671(US,A)
【文献】 特開2004−004032(JP,A)
【文献】 特開2011−106844(JP,A)
【文献】 実開昭63−135259(JP,U)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0261494(US,A1)
【文献】 中国特許出願公開第102621013(CN,A)
【文献】 中国特許出願公開第101769838(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00 − 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンカー・ロッドまたはアンカー・ロープの動力学的性能を試験するための動力学的性能試験システムであって、
前記動力学的性能試験システムは、主体、および測定制御システムを備え、
前記の主体は、
縦型フレームと、
前記縦型フレームの頂部に設けられて、試料本体と、当該試料本体の底端のトレーとを含む試料の頂端を垂直の方向に挟持するための挟持装置と、
前記縦型フレームの所定の高さから垂直に落下して前記トレーを衝撃するための落錘装置と、
前記縦型フレームの底部にある前記落錘装置を、前記所定の高さまで引き上げるための引き上げ装置と、
物理的な防護および隔離を行って人身傷害および雑音を低減するための防護装置とを備え、
前記測定制御システムは、前記落錘装置の落錘パラメータの選択、および引き上げ、落下の過程に対して制御を行い、且つ、力センサにより前記落錘装置が垂直に落下する時の前記トレーへのリアルタイム衝撃を検知し、前記検知装置から受信した前記リアルタイム衝撃データを解析して、試験結果を形成し出力し、
前記落錘装置は、上ハンマー体と、下ハンマー体と、複数のカウンターウェイトと、前記上ハンマー体の上表面に設けられた下吊り環と、前記上ハンマー体および前記下ハンマー体を接続する2つの接続ハンマー体とを備え、
前記カウンターウェイトは、2つの前記接続ハンマー体の間に設けられ、
前記下吊り環は、2つの端面と2つの側面とを備え、前記2つの側面上に吊り手凹部が設けられて、前記引き上げ装置の吊り手と係合するために用いられ、
前記複数のカウンターウェイトの間は、位置決めロッドおよび位置決め柱により水平位置決めを行うことを特徴とする動力学的性能試験システム。
【請求項2】
前記落錘装置は、前記試料本体を通り抜けるための中央貫通孔を備えることを特徴とする、請求項1に記載の動力学的性能試験システム。
【請求項3】
前記縦型フレームは、4本の支持柱と、2本の案内柱と、前記支持柱の頂端に設けられた固定横梁と、前記支持柱の底端に設けられた作業台と、前記固定横梁の頂端に囲いで囲まれた頂端平台とを備え、
前記落錘装置において、前記中央貫通孔の両側には、前記案内柱を通り抜けるのための1対の案内スライドスリーブが、前記中央貫通孔と平行に設けられることを特徴とする請求項2に記載の動力学的性能試験システム。
【請求項4】
前記力センサは、圧電式力センサであることを特徴とする、請求項2または3に記載の動力学的性能試験システム。
【請求項5】
前記縦型フレームの周辺に防護壁を備え、前記縦型フレームの底部に、落錘装置の着地に緩衝作用を果たす液圧緩衝器を備えることを特徴とする請求項2に記載の動力学的性能試験システム。
【請求項6】
前記挟持装置は、楔形の挟持形式を採用し、前記挟持装置のチャックブロック内に、前記試料の螺旋紋と合致している螺旋線が加工されることを特徴とする請求項2に記載の動力学的性能試験システム。
【請求項7】
前記力センサ上の検知点は、同一円周上に90度の間隔を置いて配置されることを特徴とする、請求項6に記載の動力学的性能試験システム。
【請求項8】
前記測定制御システムは、前記落錘装置が既に所定の高さに達したことが検出された場合、制御状態を落錘準備状態に切換え、且つ、警報を出すことを特徴とする請求項1に記載の動力学的性能試験システム。
【請求項9】
前記引き上げ装置は、引き上げ電機により前記落錘装置を引き上げ、前記引き上げ電機は、周波数変換制動サイクロイド針輪減速電機であることを特徴とする、請求項7に記載の動力学的性能試験システム。
【請求項10】
前記位置決めロッドは、前記下ハンマー体の上表面に、回転可能に設けられ、
前記位置決めロッドの頂端は正四角柱形状であり、前記頂端は前記上ハンマー体を通り抜けて、前記上ハンマー体の上表面に設けられた位置決めブロックの垂直凹面に当接して、前記位置決めロッドの回転を制限し、
前記位置決めブロックは、前記下吊り環の端面に接触し、前記位置決めブロック上には長穴が設けられ、前記長穴に、前記位置決めブロックを前記上ハンマー体の上表面に固定するための締め付けナットが穿設され、
前記上ハンマー体と前記下ハンマー体との間に位置する前記位置決めロッドは、2つの平行側面と2つの円弧端面とを備え、前記2つの円弧端面と前記カウンターウェイト上の円弧凹部とが互いに配合して、前記カウンターウェイトの水平位置決めを行い、前記位置決めロッドを回転して、2つの円弧端面を前記円弧凹部から離れさせ、これにより、前記カウンターウェイトの増減を行うことを特徴とする請求項に記載の動力学的性能試験システム。
【請求項11】
前記引き上げ装置の吊り手は引き上げ枠体内に設けられ、
前記引き上げ枠体は、横向き枠体と、横向き枠体の後端に設けられた縦向き枠体を備え、
前記横向き枠体内には、吊り手アセンブリが設けられ、前記吊り手アセンブリは吊り手を含み、
前記横向き枠体の両端には、スチール・ケーブルの一端を固定接続するためのクランプハブを備え、前記スチール・ケーブルの他端は、前記頂端平台上に設けられた複滑車を経て、前記縦型フレームの底部に設けられた引き上げ電機に接続され、
前記クランプハブの内側に前記案内柱が通り抜けるための貫通孔が設けられ、
前記縦向き枠体内に電磁石が設けられ、前記吊り手アセンブリの両側には回転アームがヒンジ結合され、前記回転アーム上に錠芯が接続され、通電した時に前記電磁石が前記回転アームを回転させて、前記錠芯を前記吊り手アセンブリから外させ、停電した時に前記電磁石は前記回転アームを落下させて、前記錠芯を前記吊り手アセンブリに戻させ、これにより前記落錘装置をロッキングする、ことを特徴とする請求項に記載の動力学的性能試験システム。
【請求項12】
前記吊り手アセンブリは、対向に設けられた2セットの吊り手を備え、前記吊り手の各セットは共通の回転軸を有して、2セットの前記吊り手を互いに反対方向に回転させ、
前記吊り手の内側の上縁に段差部を備えて、2つの前記段差部の間に前記錠芯を収納し、2つの前記吊り手の間に、前記錠芯が前記吊り手アセンブリから外した後、前記2セットの吊り手を互いに反対に回転させて前記落錘装置を弛緩するための戻しバネが設けられ、前記吊り手の内側の下縁に半円形状の案内部を備え、前記下吊り環の作用力の下で前記吊り手を互いに反対方向に回転させて、前記吊り手により前記落錘装置をロッキングする、ことを特徴とする請求項1に記載の動力学的性能試験システム。
【請求項13】
前記挟持装置は、チャック油シリンダ、ピストン、チャック体、2つのチャックブロック、斜め下向きに傾斜して設けられた顎板および押板を備え、
前記押板は、ピストンの端部に接続して前記ピストンの作用により上下に移動し、
前記2つのチャックブロックの上端は、水平に摺動可能に押板の底部に接続され、
前記2つのチャックブロックの側辺は、摺動可能に前記顎板に接続されることを特徴とする請求項に記載の動力学的性能試験システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動力学的性能試験システムに関し、特に、定抵抗の大変形アンカー・ロッド(アンカー・ロープ)、およびその他の通常のアンカー・ロッド(アンカー・ロープ)の動力学的性能を室内で試験するための動力学的性能試験システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、国民経済の急速な発展に伴い、各の業界において、エネルギー源への需要は年々増えている。現在、中国の露天掘り鉱山は、既に、深部採掘の段階に入っており、鉱山、水利、交通などの分野において、多くの斜面(スロープ)、活断層、洞窟周辺岩盤の安定性問題に繋がっている。
【0003】
現在、中国は、様々な工事や建設が急速な発展の時期に入っており、鉱物資源の採掘および地下工事の建設の過程において、例えば、岩ハネ、地圧衝撃(ショック・バンプ)、地滑りなどの多くの災害が発生した。高い急斜面や坑道周辺岩盤の安定性において発生した自然災害および工事災害の制御については、主に伝統的なプレストレス・アンカー・ロッド(アンカー・ロープ)補強システムおよびその派生した保持構造の工事に依存している。ところが、大部分の岩土壌体の構造的な不安定性は、弾塑性大変形に繋がる問題であるため、従来のプレストレスト・アンカー・ロッド(アンカー・ロープ)システムに基づく支援(supporting)、および補強という概念は、もうすでに岩土壌体(斜面(スロープ)岩盤、トンネル周辺岩盤)の大変形の進化規律に適応することができず、坑道の支援過程において一部のアンカー・ロッドの端部の崩壊、アンカー・ロープ(ロッド)の中部の崩壊、支援区域への複数回の修復、鉄骨フレームの捻り変形・破壊・失効などの故障を生じてしまう。
【0004】
上記の問題に対応して、「柔よく剛を制す」、「柔と剛とが相乗する」という哲学思想の観点から、何満潮教授は、定抵抗変形で、変形吸収エネルギーの設計構想を提出し、且つ、新規アンカー・ロッド、すなわち、定抵抗大変形アンカー・ロッドを開発し(例えば、公開番号がCN101858225Aである中国発明特許に開示された定抵抗大変形アンカー・ロッドを参照)、これに基づいて斜面の補強、地すべりおよび地震災害の監視と早期警報、地下工事の支援にかかる一連の制御理念および技術的機器システムを形成して、岩盤工事における大変形問題を解決するために、優れた探索モードを提供した。
【0005】
定抵抗大変形アンカー・ロッド(アンカー・ロープ)の研究・開発の上、定抵抗の大変形アンカー・ロッド(アンカー・ロープ)の動力学的性能について、さらに系統的に試験・検討し、且つ、定抵抗大変形アンカー・ロッドの衝撃エネルギーへの抵抗・吸収性能を検査し、毎回衝撃の後のロッド体自身の伸長量および径方向への変形量を測定するために、動力学的性能試験システムが必要となっている。当該動力学的性能試験システムを通じて、定抵抗大変形アンカー・ロッドのダイナミック・ロード試験データをまとめ、試験曲線への比較・解析により、定抵抗デバイスの伸長量と、耐衝撃性と、衝撃エネルギーとの間の変化規律をまとめ、試験結果に基づいて定抵抗デバイスの幾何学的パラメータ、構造パラメータを最適化させ、定抵抗大変形アンカー・ロッドの耐衝撃性能をより向上させると共に、計算および関する測定により、軟岩大変形、衝撃(岩ハネ)大変形、突出大変形、地すべり大変形、地震断層大変形に対してよりよい支援を提供することが期待されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】中国特許出願公開第101858225号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術に存在する問題に鑑みて、本発明は、アンカー・ロッドまたはアンカー・ロープの耐衝撃性能、および衝撃エネルギー吸収性能を、正確で効果的に試験することができる動力学的試験システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、次の技術案によって達成される。
【0009】
アンカー・ロッドまたはアンカー・ロープの動力学的性能を試験するための動力学的性能試験システムであって、前記動力学的性能試験システムは、主体、および測定制御システムを備え、前記の主体は、縦型フレームと、前記縦型フレームの頂部に設けられて、試料本体および前記試料本体の底端のトレーを含む試料の頂端を垂直の方向に挟持するための挟持装置と、前記縦型フレームの所定の高さから、垂直に落下して前記トレーを衝撃するための落錘装置と、前記縦型フレームの底部にある前記落錘装置を、前記所定の高さまでに引き上げるための引き上げ装置と、物理的な防護および隔離を行って人身傷害および雑音を低減するための防護装置とを備え、前記測定制御システムは、前記落錘装置の落錘パラメータの選択、および引き上げ、落下の過程に対して制御を行い、且つ、力センサにより前記落錘装置が垂直に落下する時の前記トレーへのリアルタイム衝撃を検知し、前記の検知装置から受信した前記のリアルタイム衝撃データを解析し、試験結果を出力する、ことを特徴とする動力学的性能試験システム。
【発明の効果】
【0010】
本発明の動力学的性能試験システムによれば、定抵抗大変形アンカー・ロッドを含む各種類のアンカー・ロッドおよびアンカー・ロープの動力学パラメータを、正確で確実に得ることができ、アンカー・ロッド(ロープ)の抵抗および衝撃エネルギーの吸収性能を測定し、且つ、毎回衝撃した後に、ロッド体自身の伸長量および径方向への変形量を測定して、それぞれ、「衝撃高さ−衝撃変形量」試験曲線、「衝撃高さ−積算変形量」試験曲線、「積算衝撃エネルギー−積算衝撃変形量」試験曲線、「衝撃エネルギー−衝撃抵抗」試験曲線を描画することができる。また、試験曲線の比較・解析により、定抵抗デバイスの伸長量と、衝撃抵抗と、衝撃エネルギーとの間の変化規律をまとめ、試験結果に基づいて定抵抗デバイスの幾何学的パラメータ、構造パラメータを最適化して、定抵抗大変形アンカー・ロッドの耐衝撃性能をさらに向上させる。また、定抵抗大変形アンカー・ロッドの構成パラメータ、および技術パラメータをさらに最適化して調整し、軟岩大変形、衝撃(岩ハネ)大変形、突出大変形、地すべり大変形、地震断層大変形に対してよりよい支援を提供する。
【0011】
さらに、本発明に係る動力学的性能試験システムは、異なる高さ、または異なる高さが複合された制御形態を採用することができ、アンカー・ロッド(ロープ)の様々な形態の動力学的性能の試験を達成することが可能となり、且つ、省エネルギー、環境に優しい利点を有し、より高い安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施例に係る動力学的性能試験システムの主体を模式的に示す正面図である。
図2】本発明の実施例に係る動力学的性能試験システムの主体を模式的に示す左側面図である。
図3】本発明の実施例に係る動力学的性能試験システムの引き上げ枠体を模式的に示す図である。
図4】本発明の実施例に係る動力学的性能試験システムの吊り手アセンブリを模式的に示す図である。
図5】本発明の実施例に係る動力学的性能試験システムのチャックアセンブリを模式的に示す立体図である。
図6】本発明の実施例に係る動力学的性能試験システムのチャックアセンブリを模式的に示す底面図である。
図7図5の油路原理図である。
図8】本発明の実施例の動力学的性能試験システムの落錘装置を模式的に示す上面図である。
図9】本発明の実施例の動力学的性能試験システムの落錘装置を模式的に示す正面図である。
図10】落錘装置における位置決めロッドを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の特徴および利点を具現化した好適な実施例について、本発明を詳しく説明する。本発明は、異なる実施例において様々な変化を有することができ、これらの変化は、本発明の範囲から逸脱することでなく、且つ、その説明および添付した図面は、本質的には例示として用いられ、本発明を限定するものではないことを理解すべきである。
【0014】
本発明の実施例に係る動力学的性能試験システムは、主体、および測定制御システムの2つ部分に分けることができる。前記主体は、縦型フレーム1、落錘装置2、挟持装置3、引き上げ装置、および防護装置の5つの部分に分ける。前記測定制御システムは、機能に応じて、検知モジュール、制御モジュール、解析モジュール、出力モジュール、および防護モジュールの5つのモジュールに分けることができる。以下、上記の各部分についてそれぞれ説明する。
【0015】
1.縦型フレーム
図1および図2に示すように、縦型フレーム1は、垂直に配置したフレーム構造であり、主に4本の支持柱11、2本の案内柱12、作業台13、固定横梁14を備える。作業台13は、縦型フレーム1の最底端に位置し、支持柱11および案内柱12は、いずれも作業台13上に配置され、支持柱11および案内柱12の頂端に、固定横梁14が設けられ、固定横梁14の位置に、1つのフレーム構造の、囲い(fence)51を有する頂端平台が形成されて、引き上げ装置の複滑車43および固定挟持装置3を配置するために用いられる。
【0016】
図1および図2に示すように、各側面における2本の支持柱11は、水平引き板15により互いに接続され、4本の支持柱11の上下の両面は、いずれも、高強度の六角ボルトと蝶形止め座金により、固定横梁14および作業台13上に締付けられて固定され、これで縦型フレーム1が十分な剛性を有することを確保する。案内柱12は、自由落下する落錘装置2に対して案内の役割を果たすものであり、それは、各側面の2本の支持柱11の間の中間位置に、対称的に配置されることが好ましい。
【0017】
案内柱12は、潤滑性を有するの必要があり、潤滑する場合には、案内柱12上に定期的に適量の潤滑油を加えればよい。
【0018】
以上から分かるように、本発明の縦型フレーム1のフレーム構造は、その構成が合理的であり、剛性が高く、外観的に美しいなどの利点を有している。
【0019】
2.落錘装置
図1図2図4および図7に示すように、落錘装置2は、縦型フレーム1の所定の高さから垂直に落下して試料6のトレー61を衝撃するためのものである。
【0020】
落錘装置2は、上ハンマー体201、接続ハンマー体202、下ハンマー体203、カウンターウェイト(錘)23、および下吊り環21などの主要な部品と、位置決めロッド(位置決め棒)25、位置決め柱281、282、位置決めブロック24、締め付けナット242などの部品とを備える。
【0021】
上ハンマー体201および下ハンマー体203の間は、左右の2つの接続ハンマー体202により接続され、接続形態は、例えば、スピロ栓291により接続する。2つの接続ハンマー体202の間の空間は、カウンターウェイト23を配置するために用いられる。位置決めロッド25および位置決め柱281、282により複数のカウンターウェイト23の間の水平位置決めを行う。
【0022】
図8および図9に示すように、位置決めロッド25の底部は、下ハンマー体203の上表面に、回転可能に設けられる。位置決めロッド25の頂端は、正四角柱形状であってもよく、位置決めロッド25頂端は、上ハンマー体201を通り抜けて、互いに垂直している位置決めブロック24の凹面と当接して、位置決めロッド25の回転を制限する。位置決めブロック24は、下吊り環21の端面210に接触し、位置決めブロック24上に長穴241が設けられ、位置決めブロック242を上ハンマー体201の上表面に固定するように、長穴241に締め付けナット242が穿設され、さらに、位置決めロッド25の回転を制限し、従って、カウンターウェイトの水平位置決めを達成する。
【0023】
図9および図10に示すように、上ハンマー体201および下ハンマー体203との間の位置決めロッド25は、2つの平行側面252と、2つの円弧端面251を備え、円弧端面251と配合するように、カウンターウェイト23上に円弧凹部が設けられ、円弧端面251の円弧の弧度と、円弧凹部の円弧の弧度とは、等しくてもよく、等しくなくてもよい。円弧端面251とカウンターウェイト23の円弧凹部とが互いに配合して、カウンターウェイト23の水平位置決めを行う。位置決めロッド25を回転して、2つの円弧端面251を、円弧凹部から離れさせて、位置決めロッド25のカウンターウェイト23に対する横方向への係止を解除し、これにより、カウンターウェイト23の増減を行って、前記落錘装置2の自重の増減を行うことができる。
【0024】
カウンターウェイト23を取り外す前に、スパナを用いてカウンターウェイト23の頂部の締め付けナット242を弛緩し、その後、ハンマー体20の上面の位置決めブロック24を移動させ、位置決めロッド25を回転し、その後にカウンターウェイト23を移出することができる。
【0025】
図9に示すように、カウンターウェイト23の位置決め柱281と接触する位置にも、位置決め柱281、282とマッチングする円弧凹部が設けられている。中央の2セットのカウンターウェイト23は取り出すことができ、これで落錘装置2の自重を増減する。しかしながら、位置決め柱281、282を取り出さなかった場合、両側の2セットのカウンターウェイト230は、増減することができない。そのため、位置決めロッド25のやり方に従って、位置決め柱281、281を、選択可能な形態にすることができ、これで落錘装置2の自重の増減を行うカウンターウェイトの数量を増加することが可能になる。
【0026】
下吊り環21は、上ハンマー体201の上表面に設けられる。下吊り環21は、2つの端面210と、2つの側面212とを有する。吊り手凹部(凹溝)213は、2つの側面212上に設けられて、引き上げ装置の吊り手423とと係合するために用いられる。下吊り環21の中央位置には、試料6が通り抜けるための中央貫通孔211を有し、中央貫通孔211の両側には、対称的に、案内柱12が通り抜けるための1対の案内スライドスリーブ22が設けられる。
【0027】
落錘装置2は、本発明の動力学的性能試験システムにおける最も主要な作動部品であり、試料6を衝撃する過程において、巨大な衝撃力、曲げ力、および振動に耐える必要がある。落錘装置2の重さは、カウンターウェイト23の数量を変更することにより調整される。
【0028】
3.引き上げ装置
引き上げ装置は、縦型フレーム1の底部に位置した落錘装置2を、試験を行う所定の高さまでに引き上げるために用いられ、安全性を考慮して、落錘装置2は使用しない場合には、縦型フレーム1の底部に配置される。
【0029】
図1図4に示すように、引き上げ装置は、主に引き上げ枠体41、吊り手アセンブリ42、複滑車43、スチール・ケーブルおよび引き上げ電機40などから構成される。
【0030】
引き上げ電機40は、周波数変換制動サイクロイド針輪減速電機を用い、当該電機は、制御システムの制御下で無段階変速機能を達成することができて、落錘装置の引き上げ速度を、無段階に調整すうことが可能になり、試験の効率を向上させる。当該電機のタイプは、電機と減速機とが一体に形成された減速電機であり、ここで、減速機はサイクロイド式針輪減速機を用い、体積が小さく、作業効率が高く、出力トルクが大きいなどの利点を持っている。
【0031】
引き上げ装置の吊り手423は、引き上げ枠体41内に配置され、引き上げ枠体41は、縦型フレーム1内を上下方向に移動する必要があるため、移動可能な横梁と呼んでもよい。図3に示すように、引き上げ枠体41は、横向き枠体410、および横向き枠体410の後端に設けられた縦向き枠体413を備える。
【0032】
図3に示すように、横向き枠体410は、鋼板により溶接してなり、横向き枠体410内に、吊り手アセンブリ42が設けられ、吊り手アセンブリ42は、吊り手423を備える。クランプハブ412は、横向き枠体410の両端に設けられ、これにより、スチールケーブルクランプ(steel cable clamp)でスチールケーブルの下端が固定され、スチールケーブルの上端は、頂端平台上に配置した複滑車43を経て、さらに引き上げ電機40に接続されて、引き上げ枠体41の昇降を達成する。クランプハブ412の内側には、案内柱12を通り抜けるための貫通孔414が設けられる。
【0033】
縦向き枠体413内には、電磁石415が設けられる。電磁石415は、吊り手アセンブリ42が落錘装置2をロッキングする、または、落錘装置2を弛緩することを制御するために用いられる。吊り手アセンブリ42の両側には、回転アーム416がヒンジ結合され、回転アーム416の形状は、例えば、Y字形であり、回転アーム416上に錠芯425が接続され、通電した時に電磁石415が回転アーム416を回転させて、錠芯425を吊り手アセンブリ42から外させ、停電した時に電磁石415は回転アーム416を落下させて、錠芯425を吊り手アセンブリ42に戻させ、これにより落錘装置2をロッキングすることができる。
【0034】
図4に示すように、吊り手アセンブリ42は主要な部品(critical component)であって、錠芯425、吊り手423、転軸421、戻しバネ428、および案内部429などを備える。その中で、吊り手423は、2セットであり、セットごとに2つがあり、2セットの吊り手423は対向して設けられ、各セットの吊り手423は、共通の回転軸421を有し、その他の1セットの吊り手423と反対方向に回転する。
【0035】
吊り手423の内側上縁に、段差部が設けられて、2つの前記段差部の間に錠芯425を収納する。図4から分かるように、図4に示す状態は、吊り手423をロッキングした状態であり、錠芯425が2つの前記段差部の間に位置する時に、吊り手423の回転を制限することができ、これにより吊り手423が意外に弛緩してハンマー装置2が脱落されることを防止する。当該状態下で、2つの吊り手423の対向面の間の隙間が比較的小さく、2つの吊り手の対向面の間に運動干渉が生ずることを防止するために、上記隙間を大きくさせるか、または転軸421を上記対向面の上端以上の位置に設ける。
【0036】
吊り手423の間に、戻しバネ428が結合されており、戻しバネ428の両端部は、それぞれ、2つの吊り手423の上部に配置された接続柱427に結合されている。戻しバネ428は、錠芯425が吊り手アセンブリ42から外した後、2セットの吊り手423を逆方向へ回転させて落錘装置2を弛緩するために用いられる。
【0037】
吊り手423の内側下縁に、半円形状の案内部429を備え、前記引き上げ枠体41が下方向へ移動して落錘装置42に接近する過程において、2つの吊り手423の間は開かれており、戻しバネ428は収縮状態になっており、下吊り環21は両吊り手423の底端を通り抜けて、案内部429に接触するまで案内部429に向かって接近し、下吊り環21の作用力により、吊り手423は戻しバネ428の反作用力を克服して反対方向に回転し、これにより前記吊り手と下吊り環21の側面211の吊り手凹部213とを係合させ、同時に錠芯425が2つの段差部の間に挟まれて、ロッキングされることを達成する。
【0038】
引き上げ電機40は、縦型フレーム1の底部に位置し、引き上げ電機40は、縦型フレーム1(主にその作業台13)とは別当に単独に装着され、これにより、縦型フレーム1の振動による引き上げ電機40への影響を大幅に減少することができ、且つ装着および補修に便利である。
【0039】
4.挟持装置
挟持装置3は、縦型フレーム1の頂部に設けられ、試料6の頂端を垂直方向に挟持するために用いられる。
【0040】
図5に示すように、本発明は、液圧・楔形の挟持形式により試料を挟持する。挟持装置3は、チャック油シリンダ33、ピストン32、チャック体31、2つのチャックブロック36、斜め下向きに傾斜して設けられた顎板34、および押板35を備える。図5および図6に示すように、図6における上方が前方であり、下方が後方である。また、挟持装置の前面には、等脚台形の開口を有し、チャックブロック36は直角台形の形状となっており、前後方向においては、顎板34と背板39との間に固定されている。
【0041】
押板35は、ピストン32の下端部に接続し、ピストン32の作用により上下に移動する。2つのチャックブロック36の上端に、押板35とを配合するスライディング・シュートが設けられ、水平方向へ摺動可能に押板35に接続されている。2つのチャックブロック36の側辺は、傾斜に設けられた顎板34に沿って摺動する。
【0042】
図6に示すように、試料6を、2つのチャックブロック6の底部に形成された丸穴360に装着し、2つのチャックブロック6の頂端部に凸縁361が設けられて、顎板34の凹溝340と互いに配合して、2つのチャックブロック36の側辺と顎板34との摺接を達成する。
【0043】
ピストン33の作用力により押板35が上方へ運動する時に、これに連れて2つのチャックブロック36は上方向へ且つ外方向へ対向して開かれ、これにより試料を挟持する。試料を入れた後、ピストン33の作用力により、押板35が下方へ運動し、これに連れて2つのチャックブロック36が下方向へ且つ内方向へ対向して閉じられ、これにより試料を丸穴360中に挟持する。
【0044】
チャックブロック36は、高強度、高硬度の材料を用い、且つ、チャックブロック36内には、試料6の螺旋紋と合致している螺旋線が加工されてあって、試験において試料6を挟持する信頼性を確保する。
【0045】
挟持装置3には、独立した液圧源が配置されて、挟持装置3の手動的制御を実現することができる。油路の概略構成図は、図6に示す通りである。油路におけるアセンブリは、油タンク331、油粗濾過器332、プランジャーポンプ333、電機334、オーバーフロー弁335、圧力計337、電磁逆転弁338を備える。手持型制御カートリッジ上の油ポンプの起動プッシュボタンを押すと、油ポンプに電力が供給され、その後油シリンダ33の挟持プッシュボタンを押すと、電磁弁338の左の位置に電力が供給されて締め付け機能を実現し、試料6を締め付けるようになり、締め付けプッシュボタンは、寸動ボタンである。1回の試験が終了した後、油シリンダ33の弛緩プッシュボタンを押すると、電磁弁337の右の位置に電力が供給されて、弛緩機能を実現し、試料6を弛緩する。試験が全部終了すると、油ポンプの停止プッシュボタンを押して、機器を停止させる。
【0046】
5.防護装置および防護モジュール
本発明の動力学的性能試験システムにおいて、落下した落錘装置2により比較的大きな衝撃力が生成されて、雑音を生成し、且つ試験に参与する人員に潜在的な危害を与えるため、特に防護を行う必要がある。本発明の動力学的性能試験システムにおける防護は、主に、次の2つの面を含み、即ち、物理的な防護に焦点を当てて、主に隔離などの手段により潜在的な危害を低減させる主体における防護装置と、安全制御に焦点を当てて、試験の進行過程の面から試験システムの潜在的な危害の生成を防止する測定制御システムにおける防護モジュールとを含む。
【0047】
まず、本発明の動力学的性能試験システムにおいて、その縦型フレーム1は、雑音の危害を低減するために、4側面に防護壁を有し、または3側面に防護壁を有し、且つ沈み込め環境に配置されることが好ましい。また、測定制御システムにおける制御台は、相対的に高い位置、例えば、防護壁の頂部に配置されることが好ましい。操作者が容易に操作するために、互いに対向している2つの防護壁の間に橋を構築することができる。
【0048】
前に提出された、補修員の縦型フレーム1の頂部における作業に対して安全的保障を与えるための防護柵51の他に、防護装置は、さらに、飛行物体による負傷を防止するために、縦型フレーム1の左、前、右の3つの方向に設けられた、高さが2mの鋼板防護ネット53を備える。また、作業台13上に設けられた4つのエネルギー緩衝器52も備え、緩衝器52は、落下した落錘装置2に対し緩衝および弾性支持の役割を果たすものであり、雑音を効果的に低減することができる。また、緩衝器52は、落錘装置2の直下方向に配置されて、試料6が破裂した後の落錘装置2の余剰衝撃エネルギーを吸収する。その作動方式は、液圧減衰方式であり、総エネルギー吸収能力は、10000J(ジュール)であってもよい。
【0049】
本発明の測定制御システムにおける防護モジュールによれば、次の保護を与えることができる。
1)ドアオープン時の停電による保護:主体のある部分に障害が現れた場合、または、カウンターウェイト23を取り外す必要がある場合、操作者は、防護ドアを開けてから、主体に入ることができる。防護ドアが開かれた状態になれば、本発明の動力学的性能試験システムの電気制御システムは、停機状態になり、いかなる指令も受け入れられない。
2)上極限の制限による保護:引き上げ電機40の操作ミスにより引き上げ行程を越えて「衝突(クラッシュ)」することを避けるために、最大行程の箇所に、行程スイッチを設けて、限界位置に達すると自動的に停機されるようになる。
3)音響光学警報:支持柱11中の一つの頂端に1つの音響光学器が設けられ、主体が落錘の準備状態に入ると、音響光学警報装置は、点滅して警報音を発生する。落錘装置2が放出された後、警報装置は自動的にオフされる。
4)また、引き上げ装置の吊り手アセンブリ42について、その錠芯424の傍に検出装置が設けられて、吊り手423が所定の位置に達しているか否かを判断するために用いられる。吊り手423が所定の位置に達していなかった場合、引き上げ電機40は、落錘装置2を引き上げる方向へ回転しない。
【0050】
6.制御装置
本発明の動力学的性能試験システムにおいて、制御装置は、ヒューマン・コンピュータ・インタフェース(HCI:Human−Computer Interface)、プログラム可能な制御器(PLCと略称)、引き上げ電機40の周波数変換器、信号入力端子および信号出力端子などの部分を備え、落錘試験プロセスが正常に行われることを制御する。
【0051】
信号入力端子に入力された信号は、落錘高さの選択、2回衝撃の選択、防護ネットの状態、落錘の状態、吊り手の状態、落錘スイッチの状態、エンコーダにより得られた変位カウントなどを含む。信号出力端子から出力された信号は、落錘準備信号ランプ、落錘イネーブル信号、光学警報、音響警報、2回衝撃防止信号、周波数変換器回転信号、周波数変換器停止信号などを含む。
【0052】
ヒューマン・コンピュータ・インタフェースは、タッチスクリーンであってもよい。
タッチスクリーンは言語の選択画面を表示し、ユーザは、簡体中国語または英語(ENGLISH)の画面を選択することができ、一度画面を選択したら、再度通電しない限り、ユーザは切換えることができず、中国語のインターフェイスから英語(CHINESE TO ENGLIS)のインターフェイスへ、または英語のインターフェイスから中国語のインターフェイス(ENGLISH TO CHINESE)へ切換える場合、電源を遮断して再度通電してから、選択しなければいけない。ヒューマン・コンピュータ・インタフェースには、さらに、「テスト(Test)」というオプションがあり、それは、2回衝撃防止、およびド落錘の3つの電磁石の動作が正常であるか否かを検査するために設けられた機能オプションであり、試験が正常に行われる場合、ユーザはテスト画面に入る必要がなく、一度入れたらテスト画面からログアウトすることができる。
【0053】
例えば、中国語を選択して入った後、次のオプションがある。
移動速度(Speed):落錘装置2の引き上げ速度を選択する。ユーザは、速度設定エンコーダにより所望の速度を入力して引き上げることができる。
引き上げ高さ(Hight):ユーザがゼロ点を正確に確定した条件の下で、増分ロータリエンコーダにより測定し、落錘装置2が置かれている高さを表示する。
エネルギー(Energy):その時点の高さおよび落錘装置2の質量に基づき、落錘装置2が有する衝撃エネルギーを計算する。
高さ設定(Pre−hight):タッチスクリーンにより所望の引き上げ高さを入力したら、システムは自動的に当該高さまで移動することができ、同時にユーザは寸動により位置を微調整することができる。
ハンマーの質量(Weight):基本ハンマーの質量に基づき、ユーザが選択したカウンターウェイトの質量により、カウンターウェイトの増加または低減を選択することができる。
【0054】
7.検知装置
検知装置は、少なくとも、前記トレーに設けられて、前記落錘装置が垂直に落下した時に前記トレーに対するリアルタイム衝撃データを検知するための力測定センサを備える。
【0055】
本実施例に係る動力学的性能試験システムにおいて、力測定センサはYFF−2衝撃力センサであってもよい。さらに、検知装置は、KS60変位センサ、変形測定センサとしての変形片、DLF−4型多機能電荷増幅器、データ収集モジュールとしてのINV3018Aデータ収集器などを備えてもよい。各のセンサにより収集された信号は、いずれも、INV3018Aデータ収集器に送信され、その後、さらに制御モジュール、および解析モジュールに送信される。
【0056】
YFF力センサは圧電水晶センサであり、2セットの水晶板、圧電気板、力板、シェルおよびソケットから構成され、円環状である。YFF力センサは、非常に高い解像度を有し、比較的大きい初期荷重の下で、0.025Nと小さい力までの変化を測定することができる。
【0057】
測定しようとする外力がセンサの受力面に均一に作用する場合、水晶板の表面には外力に正比例した電荷が生成され、導電性シートによって受け入れ、接続リード線を介して電荷増幅器に接続されて、比例した電圧信号を出力する。
【0058】
YFFシリーズのセンサは、水晶の縦方向圧電理論(原理)を利用して、「力」を「電荷」に転換する変換装置である。センサにより生成された電荷は、測定しようとする外力に正比例し、電荷増幅器により電荷を比例的に電圧へ転換させ、さらに、ディスプレイまたは記録器を用いて直接に被測定力の大きさとその変化を読み出す。
本発明の動力学的性能試験システムにおいて、YFF力センサはトレー61の下表面に設けられている。その検知点は、同一円周上に90度の間隔を置いて分配されることができる。
【0059】
8.解析モジュール
通常、コンピュータによりデータ解析プログラム(DASP V10工程版)を実行することで完成し、試験の要求に応じて収集されたデータについて、当該分野の通用の解析方法で解析を行い、且つ、毎回衝撃後のロッド体自身の伸長量および径方向変形量を測定して、それぞれ、「衝撃高さ−衝撃変形量」試験曲線、「衝撃高さ−積算変形量」試験曲線、「積算衝撃エネルギー−積算衝撃変形量」試験曲線、「衝撃エネルギー−衝撃抵抗」試験曲線を描画し、出力モジューにより出力する。
【0060】
9.出力モジュール
出力モジュールによる出力は、主に2つを含み、1つは試験結果の出力であり、もう1つは試験中間データの出力である。試験結果は、表示デバイスにより出力し、且つ、試験データをコンピュータのハードディスクに記憶させてもよく、外付けの表示スクリーンにより出力してもい。試験中間データについても、コンピュータの表示デバイスおよび外付けの表示スクリーンによりリアルタイム出力することができる。
【0061】
本発明の動力学的性能試験システムにおいて、主要な技術バロメータは、次の通りである。
試料寸法:2.5m×φ32;標本空間:500mm;最大衝撃エネルギー:15000J;ハンマー体総質量:1000kg;基本ハンマー体質量:840kg;カウンターウェイト数量:4個、1個ごとに40kg;使用高さの有効範囲:0〜1.5m;引き上げ高さの直線性:0.5%(巻き線式エンコーダを用いる);引き上げ速度:0〜3m/min(無段階調整可能);主体の高さ:約4.5m;主体高さの空間:約5.5m;主体の敷地面積:約3m×3.5m。
【0062】
以下、本発明の動力学的性能試験システムの操作ステップを説明する。
【0063】
準備作業は、次のステップを含む。
(1)試料を装着し、挟持部位とアンカー・ロッド杆体とが係合しているか否かを検査する。
(2)トレーの底部に力センサ、変位センサ(変形片を接続する必要がある場合、実験前に変形片をアンカー・ロッドに貼り付けるべきである)を装着する。
(3)総電源スイッチをオンにして通電し、電気回路が正常に作動できるか否かを検査する。
(4)力センサ、変位センサおよび変形片が正常に読み取れるか否かを検査する。
(5)全てのコントロール・キーが正常に作動できるか否かを検査する。
【0064】
試験過程における操作は、以下のステップを含む。
(1)電源を入れる。
(2)起動スイッチをオンにし、数秒を待ってタッチスクリーンに言語の選択画面が表示されたら、ユーザは、簡体中国語または英語(ENGLISH)が選択可能な画面から、例えば、中国語のインターフェイスを選択する。
(3)中国語のインターフェイスに入る。
(4)落錘装置の引き上げ速度を設定し、最初の速度はあまりにも速く設定せず、100mm/s程度が好ましい。
(5)機器上の変位巻き線が弾性を維持できる極限を標準として、ハンマー体がマットブロックの上に軽く落下するように手動で制御し、その後、位置をゼロ点に調整する。
(6)ユーザが正確にゼロ点を確定した後、タッチスクリーンにより所望の引き上げ高さを入力し、システムは自動的に当該高さに運行することができ、同時にユーザは寸動により位置を微調整することができる。
(7)ハンマー体が所定の高さに移動した後、落錘準備ボタンをクリックし、この時に警報が鳴り、さらに、制御台上の赤色プッシュボタンをクリックすると、落錘装置2が自由に落下する。
(8)衝撃が終了した後、ハンマー体を自動に取り入れるためのボタンをクリックする。
【0065】
以上、好適な実施例により、本発明の技術案を掲示した。当業者にとって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内においてさまざまな変更及び改善を行い得る。かかる変更及び改善はすべて本発明の保護範囲に属することは、自明なことである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10