特許第5926854号(P5926854)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5926854
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】模擬衝撃型岩ハネの実験方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 3/30 20060101AFI20160516BHJP
   G01N 3/34 20060101ALI20160516BHJP
【FI】
   G01N3/30 F
   G01N3/34 A
【請求項の数】16
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-502050(P2015-502050)
(86)(22)【出願日】2012年3月31日
(65)【公表番号】特表2015-511710(P2015-511710A)
(43)【公表日】2015年4月20日
(86)【国際出願番号】CN2012073439
(87)【国際公開番号】WO2013143151
(87)【国際公開日】20131003
【審査請求日】2014年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】514248617
【氏名又は名称】中国▲鉱▼▲業▼大学(北京)
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】何 ▲満▼潮
(72)【発明者】
【氏名】▲孫▼ ▲暁▼明
(72)【発明者】
【氏名】▲楊▼ ▲暁▼▲傑▼
【審査官】 渡邉 勇
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−206303(JP,A)
【文献】 米国特許第04444058(US,A)
【文献】 特開2002−195924(JP,A)
【文献】 特開平08−005533(JP,A)
【文献】 実公昭46−002704(JP,Y1)
【文献】 特開2002−162326(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 3/00 − 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
模擬衝撃型岩ハネの実験方法であって、
S1:貫通孔または半分孔を有する岩石被検試料を製作するステップと、
S2:前記岩石被検試料に3方向の初期静荷重応力をロードして維持し、坑道掘削を行う場合に静荷重応力の作用を受ける状況を模擬するステップと、
S3:前記岩石被検試料に、1方向または2方向または3方向の外乱荷重を0.5〜10分間ロードして、岩石被検試料の貫通孔または半分孔の内表面に剥離現象が現れるか否かを観察し、ここで、外乱荷重は、掘削、爆破、地震または機械的振動の波形を模擬するためのものであるステップと、
S4:前記ステップS3の外乱荷重の作用の下で、孔の内表面に剥離現象が現れた場合、ステップS3における外乱荷重のローディング状態をさらに0.5−10分間維持して、岩石被検試料がさらに破壊されるか否かを観察し、岩石被検試料がさらに破壊されない場合、外乱荷重のローディングを停止し、岩石被検試料にロードされる1方向または2方向または3方向の静荷重応力値を向上して、前記ステップS2およびその以降の実験ステップを繰り返し、岩石被検試料が破壊の過程に入った場合、当該破壊の過程を観察して記録し、衝撃岩ハネ実験を終了するステップと、
S5:前記ステップS3の外乱荷重の作用の下で、岩石被検試料の孔の内表面に剥離現象が現れなかった場合、S3ステップにおける外乱荷重のローディング状態を2〜10分間維持して、岩石被検試料に剥離現象が現れるか否かを観察し、岩石被検試料の孔の内表面に剥離現象が現れた場合、前記ステップS4およびその以降の実験ステップを繰り返し、岩石被検試料の孔の内表面に剥離現象が現れなかった場合には、外乱荷重のローディングを停止し、且つ、岩石被検試料にロードされる1方向または2方向または3方向の静荷重応力値を向上して、前記ステップS2およびその以下の実験ステップを繰り返し、岩石被検試料が破壊の過程に入った場合、当該破壊の過程を観察して記録し、衝撃岩ハネ実験を終了するステップと
を含むことを特徴とする模擬衝撃型岩ハネの実験方法。
【請求項2】
前記ステップS1において、岩石被検試料は掘削しようとする現場の岩盤から収集されることを特徴とする請求項1に記載の模擬衝撃型岩ハネの実験方法。
【請求項3】
前記ステップS4、S5において、岩石被検試料が破壊されておらず、外乱を停止した後、岩石被検試料にロードする1方向または2方向または3方向の静荷重応力値を向上し、その向上幅は前記ステップS3において岩石被検試料にロードした外乱荷重の強度であることを特徴とする請求項1に記載の模擬衝撃型岩ハネの実験方法。
【請求項4】
前記ステップS2において、静荷重応力のローディング形態は、力のローディング形態、または変位のローディング形態であり、ここで、変位のローディング形態を用いる場合、ローディング速度は0.004〜0.2mm/sであり、力のローディング形態を用いる場合、ローディング速度は0.05〜2kN/sであることを特徴とする請求項1に記載の模擬衝撃型岩ハネの実験方法。
【請求項5】
前記ステップS1において、前記岩石被検試料の貫通孔または半分孔の横断面は、円形、半円形、またはU字形であることを特徴とする請求項1に記載の模擬衝撃型岩ハネの実験方法。
【請求項6】
前記ステップS1において、岩石被検試料は節理構造を有し、当該節理構造を有する岩石被検試料は、現場から採集して加工されたものであり、または以下の方法により製作されたものであることを特徴とする請求項1に記載の模擬衝撃型岩ハネの実験方法。
(1)いくつかの5〜10mm厚さの石膏板、または3〜8mm厚さの樹脂板を製作して風乾させ、
(2)接着剤を用いて、風乾された前記いくつかの石膏板または樹脂板を接着し、積層体を形成して風乾させ、
(3)節理の走向に従って、風乾された石膏積層体を所望の寸法に切断し、且つ、中心線の位置に孔を加工して、節理構造を有する岩石被検試料を得る。
【請求項7】
前記ステップS3において、前記外乱荷重の外乱信号は、循環波外乱信号、単パルス外乱信号、ステップパルス外乱信号、ノイズ波外乱信号、または上記いずれかの循環波外乱信号とランプ波とを重ね合わせて形成した複合波外乱信号、または前記複合波外乱信号とノイズ波外乱信号とを重ね合わせて形成した重ね合わせ外乱信号を含むことを特徴とする請求項1記載の模擬衝撃型岩ハネの実験方法。
【請求項8】
さらに、録画ステップ及び/又は撮影ステップを含み、岩石被検試料の表面に現象が現れた場合、マイクロ型カメラを用いて破壊の過程を録画及び/又は撮影することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の模擬衝撃型岩ハネの実験方法。
【請求項9】
模擬衝撃型岩ハネの実験方法であって、
S1:貫通孔または半分孔を有する岩石被検試料を製作するステップと、
S2:前記岩石被検試料に3方向の初期静荷重応力をロードして維持し、坑道掘削を行う場合に静荷重応力の作用を受ける状況を模擬するステップと、
S3:前記岩石被検試料に、1方向または2方向または3方向の外乱荷重を0.5〜10分間ロードして、岩石被検試料の貫通孔または半分孔の内表面に剥離現象が現れるか否かを観察し、ここで、外乱荷重は、掘削、爆破、地震または機械的振動の波形を模擬するためのものであるステップと、
S4:前記ステップS3の外乱荷重の作用の下で、孔の内表面に剥離現象が現れた場合、ステップS3における外乱荷重のローディング状態をさらに0.5−10分間維持して、岩石被検試料がさらに破壊されるか否かを観察し、岩石被検試料がさらに破壊されない場合、外乱荷重のローディングを停止し、1方向または2方向または3方向の外乱荷重の強度値を向上して、前記ステップS3およびその以降の実験ステップを繰り返し、岩石被検試料が破壊の過程に入った場合、当該破壊の過程を観察して記録し、衝撃岩ハネ実験を終了するステップと、
S5:前記ステップS3の外乱荷重の作用の下で、岩石被検試料の孔の内表面に剥離現象が現れなかった場合、S3ステップにおける外乱荷重のローディング状態を2〜10分間維持して、岩石被検試料に剥離現象が現れるか否かを観察し、岩石被検試料の孔の内表面に剥離現象が現れた場合、前記ステップS4およびその以降の実験ステップを繰り返し、岩石被検試料の孔の内表面に剥離現象が現れなかった場合、外乱荷重のローディングを停止し、且つ、外乱荷重の強度値を向上して、前記ステップS3およびその以降の実験ステップを繰り返し、岩石被検試料が破壊の過程に入った場合、当該破壊の過程を観察して記録し、衝撃岩ハネ実験を終了するステップと
を含むことを特徴とする模擬衝撃型岩ハネの実験方法。
【請求項10】
前記ステップS1において、岩石被検試料は、掘削しようとする現場の岩盤から収集されることを特徴とする、請求項9に記載の模擬衝撃型岩ハネの実験方法。
【請求項11】
前記ステップS4、S5において、岩石被検試料が破壊されておらず、外乱を停止した後、岩石被検試料にロードする1方向または2方向または3方向の外乱荷重の強度値を向上し、その向上幅は前記ステップS3において岩石被検試料にロードした外乱荷重の強度であることを特徴とする請求項9に記載の模擬衝撃型岩ハネの実験方法。
【請求項12】
前記ステップS2において、静荷重応力のローディング形態は、力のローディング形態、または変位のローディング形態であり、ここで、変位のローディング形態を用いる場合、ローディング速度は0.004〜0.2mm/sであり、力のローディング形態を用いる場合、ローディング速度は0.05〜2kN/sであることを特徴とする、請求項9に記載の模擬衝撃型岩ハネの実験方法。
【請求項13】
前記ステップS1において、岩石被検試料の貫通孔または半分孔の横断面は、円形、半円形、またはU字形であることを特徴とする請求項9に記載の模擬衝撃型岩ハネの実験方法。
【請求項14】
前記ステップS1において、岩石被検試料は節理構造を有し、当該節理構造を有する岩石被検試料は、現場から採集して加工されたものであり、または以下の方法により製作されたものであることを特徴とする請求項9に記載の模擬衝撃型岩ハネの実験方法。
(1)いくつかの5〜10mm厚さの石膏板、または3〜8mm厚さの樹脂板を製作して風乾させ、
(2)接着剤を用いて、風乾された前記いくつかの石膏板または樹脂板を接着し、積層体を形成して風乾させ、
(3)節理の走向に従って、風乾された石膏積層体を所望の寸法に切断し、且つ、中心線の位置に孔を加工して、節理構造を有する岩石被検試料を得る。
【請求項15】
前記ステップS3において、前記外乱荷重の外乱信号は、循環波外乱信号、単パルス外乱信号、ステップパルス外乱信号、ノイズ波外乱信号、または上記いずれかの循環波外乱信号とランプ波とを重ね合わせて形成した複合波外乱信号、または前記複合波外乱信号とノイズ波外乱信号とを重ね合わせて形成した重ね合わせ外乱信号を含むことを特徴とする請求項9に記載の模擬衝撃型岩ハネの実験方法。
【請求項16】
さらに、録画ステップ及び/又は撮影ステップを含み、岩石被検試料の表面に現象が現れた場合、マイクロ型カメラを用いて破壊の過程を録画及び/又は撮影することを特徴とする、請求項9〜15のいずれか1項に記載の模擬衝撃型岩ハネの実験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、深部鉱山工事の岩石力学及び岩盤工事の研究分野に関し、特に、模擬衝撃型岩ハネの実験方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鉱山、水利や水力発電、鉄道(道路)の交通トンネル等の岩盤工事が深部へ進展するに伴って、岩ハネは、深部坑井における非常に危険な災害現象として、より頻繁に発生してしまうようになってきた。岩ハネは、突発性、猛烈性を持っており、爆発によって打ち出された岩石のかけらは、大量のエネルギーを持っているため、設備及び人員に脅威をもたらすだけでなく、深刻な場合には生命を脅かすこともある。
【0003】
周知のように、爆破は、現在大規模な水利、トンネル、鉱山工事、原子力発電工事での岩盤掘削において不可欠な手段となっている。爆薬が岩盤中で爆発する際、瞬時に大量の爆発エネルギーを放出し、爆発の衝撃波及び応力波を生じ、動荷重の形で周辺の岩盤に作用して、周辺の岩盤に破砕や損傷を生じさせ、ひいては岩ハネを発生させる。しかしながら、現在の岩ハネの実験室における模擬(シミュレーション)実験方法は、静荷重による作用の下で実施する場合が多く、掘削や爆破などの外乱要因による作用の下での実験方法は、まだ開発されていない。これは、深部岩盤の固有の力学的特徴に加えて、人間が深部岩盤の規律についての研究経歴がまだ短く、外乱要因による作用の下での岩ハネの発生規律について認識が浅いからである。そのため、工事の掘削、爆破の過程において、掘削、爆破等の外乱要因の作用の下での岩盤の状況を研究するために、本発明者らは、外乱要因による作用の下での岩ハネ現象について実験室模擬を行い、模擬衝撃型岩ハネの実験方法を提出する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術の欠点を解決するために、本発明は、外乱要因の作用の下での模擬衝撃型岩ハネの実験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の上記目的は、以下の技術方案により達成される。
【0006】
本発明に係る模擬衝撃型岩ハネの実験方法は、
S1:貫通孔または半分孔を有する岩石被検試料を製作するステップと、
S2:前記岩石被検試料に3方向の初期静荷重応力をロードして維持し、坑道掘削を行う場合に静荷重応力の作用を受ける状況を模擬するステップと、
S3:前記岩石被検試料に、1方向または2方向または3方向の外乱荷重を0.5〜10分間ロードして、岩石被検試料の貫通孔または半分孔の内表面に剥離現象が現れるか否かを観察し、ここで、外乱荷重は、掘削、爆破、地震または機械的振動の波形を模擬するためのものであるステップと、
S4:前記ステップS3の外乱荷重の作用の下で、孔の内表面に剥離現象が現れた場合、ステップS3における外乱荷重のローディング状態をさらに0.5−10分間維持して、岩石被検試料がさらに破壊されるか否かを観察し、岩石被検試料がさらに破壊されない場合、外乱荷重のローディングを停止し、岩石被検試料にロードされる1方向または2方向または3方向の静荷重応力値を向上して、上記ステップS2およびその以降の実験ステップを繰り返し、岩石被検試料が破壊の過程に入った場合、当該破壊の過程を観察して記録し、衝撃岩ハネ実験を終了するステップと、
S5:前記ステップS3の外乱荷重の作用の下で、岩石被検試料の孔の内表面に剥離現象が現れなかった場合、S3ステップにおける外乱荷重のローディング状態を2〜10分間維持して、岩石被検試料に剥離現象が現れるか否かを観察し、岩石被検試料の孔の内表面に剥離現象が現れた場合、上記ステップS4およびその以降の実験ステップを繰り返し、岩石被検試料の孔の内表面に剥離現象が現れなかった場合には、外乱荷重のローディングを停止し、且つ、岩石被検試料にロードされる1方向または2方向または3方向の静荷重応力値を向上して、上記ステップS2およびその以下の実験ステップを繰り返し、岩石被検試料が破壊の過程に入った場合、当該破壊の過程を観察して記録し、衝撃岩ハネ実験を終了するステップと、
を含む。
【0007】
本発明のもう1つの模擬衝撃型岩ハネの実験方法は、
S1:貫通孔または半分孔を有する岩石被検試料を製作するステップと、
S2:前記岩石被検試料に3方向の初期静荷重応力をロードして維持し、坑道掘削を行う場合に静荷重応力の作用を受ける状況を模擬するステップと、
S3:前記岩石被検試料に、1方向または2方向または3方向の外乱荷重を0.5〜10分間ロードして、岩石被検試料の貫通孔または半分孔の内表面に剥離現象が現れるか否かを観察し、ここで、外乱荷重は、掘削、爆破、地震または機械的振動の波形を模擬するためのものであるステップと、
S4:前記ステップS3の外乱荷重の作用の下で、孔の内表面に剥離現象が現れた場合、ステップS3における外乱荷重のローディング状態をさらに0.5−10分間維持して、岩石被検試料がさらに破壊されるか否かを観察し、岩石被検試料がさらに破壊されない場合、外乱荷重のローディングを停止し、1方向または2方向または3方向の外乱荷重の強度値を向上して、上記ステップS3およびその以降の実験ステップを繰り返し、岩石被検試料が破壊の過程に入った場合、当該破壊の過程を観察して記録し、衝撃岩ハネ実験を終了するステップと、
S5:前記ステップS3の外乱荷重の作用の下で、岩石被検試料の孔の内表面に剥離現象が現れなかった場合、S3ステップにおける外乱荷重のローディング状態を2〜10分間維持して、岩石被検試料に剥離現象が現れるか否かを観察し、岩石被検試料の孔の内表面に剥離現象が現れた場合、上記ステップS4およびその以降の実験ステップを繰り返し、岩石被検試料の孔の内表面に剥離現象が現れなかった場合、外乱荷重のローディングを停止し、且つ、1方向または2方向または3方向の外乱荷重の強度値を向上して、上記ステップS3およびその以降の実験ステップを繰り返し、岩石被検試料が破壊の過程に入った場合、当該破壊の過程を観察して記録し、衝撃岩ハネ実験を終了するステップと
を含む。
【0008】
さらに、前記模擬衝撃型岩ハネの実験方法において、
前記ステップS1における岩石被検試料は、掘削しようとする現場の岩盤から収集される。
【0009】
前記ステップS4、S5において、岩石被検試料が破壊されておらず、外乱を停止した後、岩石被検試料にロードされた1方向または2方向または3方向の静荷重応力値又は外乱荷重の強度値を向上する場合、その向上幅は、前記ステップS3において岩石被検試料にロードされた外乱荷重の強度である。
【0010】
前記ステップS2において、静荷重応力のローディング形態は、力のローディング形態、または変位のローディング形態であり、ここで、変位のローディング形態を用いる場合、ローディング速度は0.004〜0.2mm/sであり;力のローディング形態を用いる場合、ローディング速度が0.05〜2kN/sである。
【0011】
前記ステップS1において、岩石被検試料の貫通孔または半分孔の横断面は、円形、半円形、またはU字形(馬蹄形)となっている。
【0012】
前記ステップS1において、岩石被検試料は節理構造を有し、当該節理構造を有する岩石被検試料は、現場から採集して加工したものであり、または次の方法により製作されたものである。即ち、(1)いくつかの5〜10mm厚さの石膏板、または3〜8mm厚さの樹脂板を製作して風乾させ、(2)接着剤を用いて、風乾された前記いくつかの石膏板または樹脂板を接着し、積層体を形成して風乾させ、(3)節理の走向に従って、風乾された石膏積層体を所望の寸法に切断し、且つ、中心線の位置に孔を加工して、節理構造を有する岩石被検試料を得る。
【0013】
前記ステップS3において、前記外乱荷重の外乱信号は、循環波外乱信号、単パルス外乱信号、ステップパルス外乱信号、ノイズ波外乱信号、または上記のいずれかの循環波外乱信号とランプ波とを重ね合わせて形成した複合波外乱信号、または前記の複合波外乱信号とノイズ波外乱信号とを重ね合わせて形成した重ね合わせ外乱信号を含む。
【0014】
さらに、録画ステップ及び/又は撮影ステップを含み、前記岩石被検試料の表面に現象が現れた場合、マイクロ型カメラを用いて破壊の過程に対し録画及び/又は撮影を行う。
【発明の効果】
【0015】
上記技術案から分かるように、本発明の模擬衝撃型岩ハネの実験方法によれば、岩石被検試料は孔を有し、掘削または爆破の現場のトンネル等の実際の状態を現実的に模擬している。本発明によれば、岩石被検試料に対して1方向、2方向または3方向に静荷重応力荷重および外乱荷重をかけることにより、掘削または爆破の現場のトンネル等が静荷重応力を受ける状況、および外乱荷重を受ける状況を、現実的に模擬している。実験設計に基づけば、地質の深さによって岩石被検試料に異なる静荷重応力荷重および外乱荷重をロードすることができ、さらに掘削現場の実際の状況によって異なる形態の外乱荷重、例えば、パルス波、またはノイズ波等を設計して、機械的振動、地震、人為的な掘削動作などにより生成された外乱荷重を現実的に模擬することができる。本発明は、外乱荷重の作用の下で岩石被検試料の岩ハネ現象の発生を誘導することに成功し、岩石被検試料の岩ハネ現象のメカニズムを研究することで、実際の岩ハネ現象の本質を次第に理解・把握するための基礎を定めた。特に、用いられる岩石被検試料が掘削または爆破の現場から採集したものである場合、当該岩石被検試料の岩ハネ災害の現象を模擬し、且つ岩ハネの過程および現象について十分に解析を行うことにより、掘削または爆破の衝撃作用に対して敏感の弱い部位を確実に見つけることに寄与して、当該弱い部位に対する支援手段を補強することができ、安全施工の目的を達成して、採掘などの作業をスムーズに行うことを確保する。
【0016】
以下、添付図面を参照し、好ましい実施形態を挙げて説明することにより、本発明の上述した内容とその他の目的、特徴および利点は、より明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る模擬衝撃型岩ハネの実験方法の第1実施例を示すフロー図である。
図2】本発明に係る模擬衝撃型岩ハネの実験方法に用いられたさまざまな試料の構成を模式的に示す図である。
図3】本発明に係る模擬衝撃型岩ハネの実験方法の第1実験例の実験経路を示す図である。
図4】本発明に係る模擬衝撃型岩ハネの実験方法の第1実験例において実験過程に撮られた岩ハネ過程の写真である。
図5】本発明に係る模擬衝撃型岩ハネの実験方法の第1実験例において岩石被検試料に外乱荷重信号をロードすることを示す原理図である。
図6】本発明に係る模擬衝撃型岩ハネの実験方法の第2実施例を示すフロー図である。
図7】本発明に係る模擬衝撃型岩ハネの実験方法の第2実験例の実験経路を示す図である。
図8】本発明に係る模擬衝撃型岩ハネの実験方法の第2実験例において実験過程に撮られた岩ハネ過程の写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。なお、本明細書に記載の実施例は、単に例示のために用いられ、本発明を限定するものではないことに留意すべきである。
【0019】
本発明に係る模擬衝撃型岩ハネの実験方法の実施例において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向は、互いに垂直して3次元空間を構成し、X軸方向、Z軸方向が水平方向であり、Y軸方向が垂直方向である。
【0020】
実施例1
図1に示すように、本発明に係る模擬衝撃型岩ハネの実験方法の第1実施例は、以下のステップS1〜ステップS5を含む。
【0021】
ステップS1:岩石被検試料60を製作し、前記岩石被検試料60の中央部に、断面形状が円形の貫通孔61(図2Aを参照)、または断面形状が円形の半分孔62(図2Bを参照)、または断面形状がU字形の貫通孔63(図2Cを参照)、または断面形状がU字形の半分孔64(図2Dを参照)を有する。岩石被検試料60の孔は、主に、貫通孔および半分孔であるが、孔の断面形状は様々な形状であってもよく、円形またはU字形に限定されるものではない。当該岩石被検試料は、実験室で製作されたものであっても、掘削しようとする現場から取った岩盤であってもよく、掘削しようとする現場からの岩盤を用いる場合、岩ハネ発生のメカニズムを研究することができるだけでなく、実際の現場での掘削、爆破に対して指導的役割を果たすことができる。
【0022】
ステップS2:岩石被検試料に3方向の初期静荷重応力をロードして維持し、坑道掘削を行う場合に静荷重応力の作用を受ける状況を模擬する。ここで、静荷重応力のローディング形態は、力のローディング形態、または変位のローディング形態であり、変位のローディング形態を用いる場合、ローディング速度は0.004〜0.2mm/sであり、力のローディング形態を用いる場合、ローディング速度は0.05〜2kN/sである。
【0023】
ステップS3:岩石被検試料に、1方向または2方向または3方向の外乱荷重を0.5〜10分間ロードして、岩石被検試料の貫通孔または半分孔の内表面に剥離現象が現れるか否かを観察し、ここで、外乱荷重は、掘削、爆破、地震または機械的振動の波形を模擬するためのものである。
【0024】
ステップS4:ステップS3の外乱荷重の作用の下で、孔の内表面に剥離現象が現れた場合、ステップS3における外乱荷重のローディング状態をさらに0.5−10分間維持して、岩石被検試料がさらに破壊されるか否かを観察し、岩石被検試料がさらに破壊されない場合、外乱荷重のローディングを停止し、岩石被検試料にロードされる1方向または2方向または3方向の静荷重応力値を向上する。1方向または2方向または3方向の静荷重応力値の増加量は、ステップS3において岩石被検試料にロードした外乱荷重の強度であってもよく、またこれに限定されるものでもなく、他の量であってもよい。岩石被検試料への3方向の静荷重応力値を向上した後、前記ステップS2およびその以降の実験ステップを繰り返し、岩石被検試料が破壊の過程に入った場合、当該破壊の過程を観察して記録し、衝撃岩ハネ実験を終了する。その他の状況として、ステップS3の外乱荷重の作用の下で、孔の内表面に剥離現象が現れ、引き続いて更なる破壊現象が現れ、且つ岩ハネに発展した場合には、当該破壊の過程を直接に観察して記録し、衝撃岩ハネの実験を終了する。
【0025】
ステップS5:前記ステップS3の外乱荷重の作用の下で、岩石被検試料の孔の内表面に剥離現象が現れなかった場合、S3ステップにおける外乱荷重のローディング状態を2〜10分間を維持して、岩石被検試料に剥離現象が現れるか否かを観察し、岩石被検試料の孔の内表面に剥離現象が現れた場合、上記ステップS4およびその以降の実験ステップを繰り返し、岩石被検試料の孔の内表面に剥離現象が現れなかった場合には、外乱荷重のローディングを停止し、且つ、岩石被検試料へロードされる1方向または2方向または3方向の静荷重応力値を向上する。3方向への静荷重応力値の増加量は、ステップS3において岩石被検試料にロードした外乱荷重の強度であってもよく、またこれに限定されるものでもなく、他の量であってもよい。岩石被検試料への3方向の静荷重応力値を向上した後、上記ステップS2およびその以降の実験ステップを繰り返し、岩石被検試料が破壊の過程に入った場合には、衝撃岩ハネ過程の実験経路図、振幅および頻度(周波数)、発生した現象および時刻、応力、変形等についてよく観察して記録し、衝撃岩ハネ実験を終了する。
【0026】
上記実験過程は、さらに、マイクロ型カメラを用いて破壊の過程に対し録画または撮影を行うステップを含む。即ち、岩石被検試料の表面に剥離現象が現れたことが観察された場合、及び/又は岩石被検試料が破壊の過程に入った場合に、マイクロ型カメラを用いて破壊の過程に対し録画若しくは撮影を行い、または同時に撮影と録画を行う。
【0027】
図2Eに示すように、上記の実験ステップS1において、節理構造を有する岩石被検試料を製作してもよく、具体的には、以下の方法により製作する。
(1)現場の岩盤の配合比を模擬して、いくつかの5〜10mm厚さの石膏板、または3〜8mm厚さの樹脂板を製作し、且つ、風乾させる。(2)接着剤を用いて、風乾させたいくつかの石膏板または樹脂板を接着して積層体を形成し、風乾させる。(3)現場の岩盤の節理走向を模擬して、風乾させた石膏積層体を所望の寸法、例えば、160×160×160mmの立方体に切断し、且つ、中心線の位置に孔を加工して、節理構造を有する岩石被検試料を得る。このような節理構造を有する岩石被検試料は、掘削または爆破しようとする現場から採取し、再加工を行って形成したものであってもよい。
【0028】
表1に示すように、上記の実験ステップS3において、岩石被検試料にロードした外乱荷重信号は、循環波外乱信号、単パルス外乱信号(地圧衝撃、爆破瞬時の衝撃を模擬するための信号)、ステップパルス外乱信号、ノイズ波外乱信号(施工による機械的振動、鉱石運搬車の稼動による振動および地震波の外乱信号を模擬するための信号)、または、上記のいずれかの循環波外乱信号とランプ波とを重ね合わせて形成した複合波外乱信号、または、前記複合波外乱信号とノイズ波外乱信号とを重ね合わせて形成した重ね合わせ外乱信号であってもい。その中で、単パルス外乱信号は、正弦波、三角波、正鋸歯状波、矩形波等を含み、単パルス外乱信号のパルス幅およびパルス幅値を、いずれも調整することができ、ステップパルス外乱信号は、半正弦波、半三角波、半正鋸歯状波、半矩形波等を含み、ステップパルス外乱信号のパルス幅およびパルス振幅値のいずれも調整することができる。以下、いくつかの代表的な外乱荷重信号のタイプを表1に示す。
【0029】
【表1】
【0030】
実験例1
図3図4A図4Fを参照する。上記の第1実施例の模擬衝撃型岩ハネの実験方法を用い、ここで、岩石被検試料は、掘削しようとする現場から収集された、110×110×110mm立方体形状の砂岩の岩盤であり、直径50mmの円形貫通孔を有している。当該岩石被検試料の一軸強度は、68MPaであり、ステップS2において、岩石被検試料にロードした3方向の初期静荷重応力は、それぞれ、X方向静荷重応力FXが30kN、Y方向静荷重応力FYが290kN、Z方向静荷重応力FZが50kNである。また、力のローディング形態を用いる場合、ローディング速度は0.5kN/sである。ステップS3における外乱荷重は、矩形波(波の振幅が0.1mmで、頻度が0.05HZ)であり、Y方向のみにおいて外乱を行い、外乱荷重を3分間印加する。岩石被検試料の貫通孔内に、剥離現象が現れなく、外乱を停止して、Y方向の静荷重応力を320kNに向上し、同じ種類の外乱荷重をかけて3分間観察する。岩石被検試料の貫通孔内に、未だ剥離現象が現れなく、外乱を停止して、さらにY方向静荷重応力を350kNに向上し、同じ種類の外乱荷重をかけたら、岩石被検試料の貫通孔内表面に剥離・割れ現象が現れることが観察され、同時に音が伴われた。当該荷重状態を3分間維持したら、割れは発展しなく、更なる破壊もなかった。外乱を停止して、Y方向静荷重応力を380kNに向上させ、同じ種類の外乱荷重をかけたら、岩石被検試料に、岩ハネ現象が激しく発生し、大きな音を伴って多量の砕屑片が噴出し、実験を停止した。
【0031】
図4A図4Fは、上記実験過程においてマイクロカメラにより撮影された写真である。図4Aは、岩石被検試料の貫通孔の内表面に剥離現象が発生し、且つ割れが発展したことを示す。図4Bは、岩ハネが発生し、多量の碎屑片が噴出され、音が聞こえることを示す。図4Cは、岩ハネ現象が低減され、碎屑片が射出することを示す。図4Dは、少量の碎屑片が射出され、音が減少されることを示す。図4Eは、碎屑片が微弱に射出され、音がほとんど消失したことを示す。図4Fは、岩ハネが終了し、明らかな割れが生成され、音が消失したことを示す。
【0032】
図5に示すように、本発明において、制御システムにより岩石被検試料に対して外乱荷重信号をロードする。ここで、制御システムは、それぞれ独立しつつ、互いに協調している3セットの制御システムを備え、それぞれ、X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向において岩石被検試料へ外乱荷重をロードするために用いられる。各の制御システムは、いずれも、力(応力)および作動器変位(変形)等の制御パラメータを持っており、その中の1つが選択された場合、選択されたパラメータの制御ループ(制御回路)を構成することができ、選択されていないパラメータ(求めたい試験結果)は、選択されたパラメータ(試験条件)の関数である。制御システムは、すべてデジタル化されて、制御器により制御を行い、各の制御システムの構成および動作原理は同一である。図5に示すように、制御システムは、複数のセンサと、液圧源と制御器とを備える。ここで、複数のセンサは、それぞれ岩石被検試料の受けられた力、変位または変形量を収集するために用いられる。液圧源は、ポンプ場およびサーボ弁を備え、前記ポンプ場は、前記X方向ローディング液圧シリンダ及び/又はY方向ローディング液圧シリンダ及び/又はZ方向ローディング液圧シリンダに液圧油を提供するために用いられ;前記サーボ弁は、少なくとも一つの調整弁および少なくとも一つの逆転弁を備える。前記制御器は、前記複数のセンサが収集した信号を受信し、且つ、入力した外乱荷重信号と比較して差値を得、当該差値により修正調整を行って、前記調整弁の開度を制御し、さらに、前記X方向ローディング液圧シリンダ及び/又はY方向ローディング液圧シリンダ及び/又はZ方向ローディング液圧シリンダの給油量または出油量、および給油スピードまたは出油スピードをそれぞれ制御し、且つ、前記X方向ローディング液圧シリンダ及び/又はY方向ローディング液圧シリンダ及び/又はZ方向ローディング液圧シリンダの各ピストンロッドの移動した変位距離、またはそれぞれ受けた力の大きさを制御し、同時に、前記制御器は、前記逆転弁の逆転を制御して、最終的に前記X方向ローディング液圧シリンダ及び/又はY方向ローディング液圧シリンダ及び/又はZ方向ローディング液圧シリンダの各ピストンロッドの伸縮した変位距離、またはそれぞれ受けた力の大きさを、前記入力した外乱荷重信号により表現された力、変位または変形量とに一致させる。本発明における制御システムは、さらに、警報機能を有し、センサの測定した値が所定の制御限界値の範囲を越えた場合警報を出し、制御器はサーボ弁を制御して閉鎖させ、油路を遮断し、油圧を撤回して、岩石被検試料を意図しない破壊から保護するとともに、ポンプ場の稼動を停止させる。所与の外乱荷重信号値が所定の制御限界値の範囲を越えた場合にも、警報を出すことになっている。また、本発明の制御システムは、センサにより測定したデータに対しデータ処理を行い、すなわち、センサにより測定した信号値を取って、有用で意義のあるデータを導き出し、例えば、力−時間曲線、変位−時間曲線、応力−変形関係曲線等を生成する。
【0033】
本発明において、液圧源から輸出された多量の高圧油はサーボ弁に入り、操作者は試験目的に応じて制御パラメータ(または試験の印加力、または試料の変形、またはピストンストローク)および所与の外乱荷重信号を選択し、所与の外乱荷重信号を比較器に入力して、ンサによる測定値と比較して差値を得、その差値基づき修正した後サーボ弁を駆動する。また、サーボ弁(既存の構造を用いてもよい)により電気量を油の流量に変換させて液圧シリンダのピストンを駆動し、岩石被検試料に力を印加する。また、センサにより非電気的物理量(力、変形および変位)を電気量に変換させ、増幅した後、比較器において所与の信号と比較して差値を出力し、制御器により偏差を調整・修正して、岩石被検試料に印加される非電気的物理量を、一定の精度で迅速かつ正確に所与の信号に追随させる。
【0034】
本発明において外乱荷重のローディング形態は、その他の従来の形態から任意に選択して用いてもよい。実際に、静荷重のローディング形態と基本的に同じであり、静荷重のローディング形態において、応力値は線形変化となっているが、外乱荷重のローディング形態において、応力値は、所定の外乱信号の変化と一致していることに差異があるだけである。
【0035】
実施例2
図6に示すように、本発明の模擬衝撃型岩ハネの実験方法の第2実施例のステップは、第1実施例のステップと基本的に同じであり、その相違点は、第1実施例のステップS4、S5において、岩石被検試料に岩ハネが発生しなかった場合に、岩石被検試料にロードする3方向の静荷重応力値を向上した後、その以降の実験ステップ(即ち、ステップS2およびその以降の実験ステップ)を繰り返しているが、第2実施例のステップS4、S5においては、岩石被検試料に岩ハネが発生しない場合、岩石被検試料にロードする外乱荷重を向上した後、その以降の実験ステップ(即ち、ステップS3およびその以降の実験ステップ)を繰り返して、最終的に岩ハネ現象を成功に誘導することにある。当該第2実施例のその他の部分は、第1実施例と同じであり、ここで、重複の説明を省略する。
【0036】
実験例2
図7を参照する。上記第2実施例の模擬衝撃型岩ハネの実験方法を用い、ここで、岩石被検試料は、掘削しようとする現場から収集された、110×110×110mm立方体形状の砂岩の岩盤であり、直径50mmの円形貫通孔を有しており、一軸強度は73MPaである。ステップS2において、岩石被検試料にロードする3方向の初期静荷重応力は、それぞれ、X方向静荷重応力FXが30kN、Y方向静荷重応力FYが350kN、Z方向静荷重応力FZが50kNである。力のローディング形態を用いる場合、ローディング速度は0.5kN/sであり、ステップS3における外乱荷重タは、矩形波(波の振幅は0.1mm、頻度は0.05HZ)であり、Y方向のみにおいて外乱をしている。外乱荷重を3分間印加したが、岩石被検試料の貫通孔内に剥離現象が現れなく、外乱を停止し、Y方向の外乱強度を向上させ、即ち、Y方向外乱荷重の波の振幅を0.2mmに向上し、頻度は0.05HZに維持したら、すぐに岩石被検試料の貫通孔内表面に剥離・割れ現象が現れ、同時に音が伴われた。当該荷重状態を3分間維持したが、割れがさらに発展しなく、岩石被検試料の貫通孔内に更なる破壊はなかった。外乱を停止し、再び外乱荷重の波の振幅を0.3mmに向上させ、頻度は0.05HZに維持したら、岩石被検試料に、すぐに岩ハネ現象が激しく発生し、大きな音を伴って多量の砕屑片が噴出され、実験を停止した。
【0037】
図8A図8Fは、上記実験過程においてマイクロカメラにより撮影した写真である。図8Aは、岩石被検試料の貫通孔の内表面に剥離現象が発生し、且つ割れが発展したことを示す。図8Bは、岩ハネが発生し、大きな音を伴って碎屑片が噴出することを示す。図8Cは、岩ハネ現象が強化され、多量の碎屑片が射出し、音量が増加することを示す。図8Dは、岩ハネが弱くなり、碎屑片が射出し、音が減少することを示す。図8Eは、岩ハネが終了し、試料が断裂されたことを示す。図8Fは、試料が完全に崩壊・破壊されたことを示す。
【0038】
以上、いくらかの典型的な実施形態を参照して本発明を説明したが、それに用いられた用語は、説明および例示のために用いられ、限定的な用語ではないことと、理解すべきである。本発明の特許請求の範囲は、これらの実施形態により限定されるものではない。当業者にとって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内においてさまざまな変更及び改善を行い得る。かかる変更及び改善はすべて本発明の保護範囲に属することは、自明なことである。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F