(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
圧力導入孔を形成したケーシングと、該ケーシング内に設けられ、前記圧力導入孔に連通する受圧室と、該受圧室の圧力に応じて変位するダイヤフラムと、該ダイヤフラムの変位により圧力を電気信号に変換する圧力検出素子とを備えた圧力検出器を、配管路や機械装置に取り付けた取付け具本体の挿着孔内へ気密状に取り付けるようにした圧力検出器の取付け構造であって、前記圧力検出器の取付け構造は、前記ケーシングに外方へ突出する状態で設けられ、前記圧力導入孔を形成するパイプと、該パイプの先端部に設けられ、該パイプよりも大径の環状のガスケット押えと、前記取付け具本体の挿着孔の底面に設けられ、前記ガスケット押えの先端面が当接する環状のガスケットと、前記ガスケット押えの先端面と反対側の面に当接する割りリングと、前記取付け具本体の挿着孔内に着脱自在に挿着され、前記割りリングを押圧するボンネットとを備え、前記ガスケット押え及び前記割りリングを前記取付け具本体の挿着孔内へ挿入すると共に、前記ボンネットを前記挿着孔に挿着し、当該ボンネットを前記取付け具本体側へ締め付けて前記割りリングにより前記ガスケット押え及び前記ガスケットを押圧し、該ガスケットの一端面と前記挿着孔の底面との間及び前記ガスケットの他端面と前記ガスケット押えの先端面との間をそれぞれシール部とする構成としたことを特徴とする圧力検出器の取付け構造。
圧力導入孔を形成したケーシングと、該ケーシング内に設けられ、前記圧力導入孔に連通する受圧室と、該受圧室の圧力に応じて変位するダイヤフラムと、該ダイヤフラムの変位により圧力を電気信号に変換する圧力検出素子とを備えた圧力検出器を、配管路や機械装置に取り付けた取付け具本体の挿着孔内へ気密状に取り付けるようにした圧力検出器の取付け構造であって、前記圧力検出器の取付け構造は、前記ケーシングに外方へ突出する状態で設けられ、圧力導入孔を形成するパイプと、該パイプの先端部に設けられ、該パイプよりも大径の環状のガスケット押えと、前記取付け具本体の挿着孔の底面に設けられ、前記ガスケット押えの先端面が当接する環状のガスケットと、前記ガスケット押えの先端面と反対側の面に当接し、前記パイプが挿入される挿入部を有するU字状リングと、前記取付け具本体の挿着孔内に着脱自在に挿着され、前記U字状リングを押圧するボンネットとを備え、前記ガスケット押え及び前記U字状リングを前記取付け具本体の挿着孔内へ挿入すると共に、前記ボンネットを前記挿着孔に挿着し、当該ボンネットを前記取付け具本体側へ締め付けて前記U字状リングにより前記ガスケット押え及び前記ガスケットを押圧し、前記ガスケットの一端面と前記挿着孔の底面との間及び前記ガスケットの他端面と前記ガスケット押えの先端面との間をそれぞれシール部とする構成としたことを特徴とする圧力検出器の取付け構造。
圧力検出器のダイヤフラムは、前記圧力導入孔からの圧力を受ける隔壁ダイヤフラムと、前記圧力検出素子が設けられた圧力検知ダイヤフラムとを備え、前記隔壁ダイヤフラムと前記圧力検知ダイヤフラムとの間に圧力伝達用媒体を充填した圧力室が設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の圧力検出器の取付け構造。
前記割りリングを直径方向に沿って二分割した割りリングとし、また、前記ボンネットをその内径が前記ガスケット押えの外径よりも大きく且つ前記割りリングの外径よりも小さい筒状のボンネットとすると共に、当該ボンネットを前記取付け具本体の挿着孔内に着脱自在に螺着したことを特徴とする請求項1に記載の圧力検出器の取付け構造。
【背景技術】
【0002】
従前から管路内の流体圧の検出には圧力検出素子(例えば、感圧素子)を利用したダイヤフラム型の圧力検出器が広く利用されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図9〜
図11は従前のダイヤフラム型の圧力検出器30の例を示すものである。当該圧力検出器30は、センサーベース31、圧力検出素子32、ダイヤフラム33を備えたダイヤフラムベース34、圧力伝達用媒体35(シリコーンオイル)、封止用ボール36及びリードピン37等から構成されている。流体圧38がダイヤフラム33及び圧力伝達媒体35を介して圧力検出素子32へ加わると、圧力検出素子32を形成する半導体圧力トランスデューサから圧力に比例した電圧信号がリードピン37を介して外部へ出力されるようになっている。
【0004】
図12〜
図14は上述したダイヤフラム型の圧力検出器30の管路等への取付け構造の例を示す部分拡大断面図であり、配管路や機械装置に取り付けた取付け具本体39の挿着孔40内へ圧力検出器30が押え部材41や固定具42によりガスケット43を介して気密状に取り付け固定されている。
【0005】
即ち、圧力検出器30は、取付け具本体39の挿着孔40内へガスケット43、圧力検出器30及び押え部材41を順次挿入し、押え部材41を固定具42やボルト(図示省略)により取付け具本体39側へ締め付け固定し、押え部材41の先端でダイヤフラムベース34の鍔部34a又はセンサーベース31とダイヤフラムベース34の両鍔部31a,34aを押圧することにより、ガスケット43を介して取付け具本体39の挿着孔40内に気密状に取り付けられている。
【0006】
前記圧力検出器30の取付け構造に於いては、押え部材41が固定具42やボルトにより取付け具本体39側へ締め付け固定されると、押え部材41及びガスケット43を介してダイヤフラムベース34の鍔部34a又はセンサーベース31とダイヤフラムベース34の両鍔部31a,34aに上・下方向の圧縮力(上・下方向の反力)がかかる。
【0007】
万一、押え部材41の締め付け固定時に、ダイヤフラムベース34の鍔部34a又はセンサーベース31とダイヤフラムベース34の両鍔部31a,34aにかかる上・下方向の圧縮力が原因となって、ダイヤフラム33に歪力が加わる場合(例えば、上・下方向の圧縮力の分力が生じて、これがダイヤフラム33にかかったような場合)でも、ダイヤフラムベース34の鍔部34aに設けた浅溝34bやセンサーベース31の鍔部31aに設けた浅溝31bによりこの部分の肉厚が薄くなっているため、歪力による変位は前記薄肉部の近傍に於いて吸収される。
【0008】
これにより、歪力が直接にダイヤフラム33へ伝達されなくなり、ダイヤフラム33に歪みが生ずるのが防止されることになる。
その結果、従前の圧力検出器30の取付け構造に於いては、圧力検出器30の取付け具本体39への取付け前と取付け後に於ける出力や温度特性の変動が極く小さくなり、優れた実用的効用を奏するものである。
【0009】
しかし、上述した従来の圧力検出器30の取付け構造に於いても、圧力検出器30を取付け具本体39の挿着孔40に固定したときに、ダイヤフラム33の応力歪を完全に無くすことが困難であり、圧力検出器30の取付け具本体39への組み込み前後の出力や温度特性が変動すると云う問題がある。
何故なら、上・下方向の圧縮力がかかるダイヤフラムベース34の鍔部34aの近傍位置に、厚みが0.05mm〜0.06mm程度の極薄のダイヤフラム33を設けているので、どうしてもダイヤフラム33に圧縮力の分力が加わるからである。
【0010】
また、圧力検出器30の取付け具本体39への組み込み後に、経年変化により固定具42やボルトが弛んで押え部材41の押圧力が弱まることがあり、この場合には、ダイヤフラムベース34の鍔部34a又はセンサーベース31とダイヤフラムベース34の両鍔部31a,34aにかかる圧縮力が変化すると共に、ダイヤフラム33に加わる歪力も変化し、出力や温度特性が大きく変動すると云う問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、ダイヤフラム型の圧力検出器を実際に配管路等へ取り付け固定した場合に於ける上述の如き問題、即ち、圧力検出器を取付け具本体に組み込みした場合に生ずるダイヤフラムの応力歪のばらつきにより、出力や温度特性に変動が生じて圧力検出器の測定精度が低下すると云う問題を解決せんとするものであり、その目的は、圧力検出器の取付け具本体への組み込み後に於いても、ダイヤフラムへの応力影響が全く無く、また、経年変化による影響を受けないようにした圧力検出器の取付け構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の第1の側面は、圧力導入孔を形成したケーシングと、該ケーシング内に設けられ、前記圧力導入孔に連通する受圧室と、該受圧室の圧力に応じて変位するダイヤフラムと、該ダイヤフラムの変位により圧力を電気信号に変換する圧力検出素子とを備えた圧力検出器を、配管路や機械装置に取り付けた取付け具本体の挿着孔内へ気密状に取り付けるようにした圧力検出器の取付け構造であって、前記圧力検出器の取付け構造は、前記ケーシングに外方へ突出する状態で設けられ、圧力導入孔を形成するパイプと、該パイプの先端部に設けられ、該パイプよりも大径の環状のガスケット押えと、前記取付け具本体の挿着孔の底面に設けられ、前記ガスケット押えの先端面が当接する環状のガスケットと、前記ガスケット押えの先端面と反対側の面に当接する割りリングと、前記取付け具本体の挿着孔内に着脱自在に挿着され、前記割りリングを押圧するボンネットとを備え、前記ガスケット押え及び前記割りリングを前記取付け具本体の挿着孔内へ挿入すると共に、前記ボンネットを前記挿着孔に挿着し、当該ボンネットを前記取付け具本体側へ締め付けて前記割りリングにより前記ガスケット押え及び前記ガスケットを押圧し、該ガスケットの一端面と前記挿着孔の底面との間及び前記ガスケットの他端面と前記ガスケット押えの先端面との間をそれぞれシール部とする。
【0014】
本発明の第2の側面は、圧力導入孔を形成したケーシングと、該ケーシング内に設けられ、前記圧力導入孔に連通する受圧室と、該受圧室の圧力に応じて変位するダイヤフラムと、該ダイヤフラムの変位により圧力を電気信号に変換する圧力検出素子とを備えた圧力検出器を、配管路や機械装置に取り付けた取付け具本体の挿着孔内へ気密状に取り付けるようにした圧力検出器の取付け構造であって、前記圧力検出器の取付け構造は、前記ケーシングに外方へ突出する状態で設けられ、圧力導入孔を形成するパイプと、該パイプの先端部に設けられ、該パイプよりも大径の環状のガスケット押えと、前記取付け具本体の挿着孔の底面に設けられ、前記ガスケット押えの先端面が当接する環状のガスケットと、前記ガスケット押えの先端面と反対側の面に当接し、前記パイプが挿入される挿入部を有するU字状リングと、前記取付け具本体の挿着孔内に着脱自在に挿着され、前記U字状リングを押圧するボンネットとを備え、前記ガスケット押え及び前記U字状リングを前記取付け具本体の挿着孔内へ挿入すると共に、前記ボンネットを前記挿着孔に挿着し、当該ボンネットを前記取付け具本体側へ締め付けて前記U字状リングにより前記ガスケット押え及び前記ガスケットを押圧し、該ガスケットの一端面と前記挿着孔の底面との間及び前記ガスケットの他端面と前記ガスケット押えの先端面との間をそれぞれシール部とする。
【0015】
本発明の第3の側面は、圧力検出器のダイヤフラムが、前記圧力導入孔からの圧力を受ける隔壁ダイヤフラムと、前記圧力検出素子が設けられた圧力検知ダイヤフラムとを備え、前記隔壁ダイヤフラムと前記圧力検知ダイヤフラムとの間に圧力伝達用媒体を充填した圧力室を設けたことに特徴がある。
【0016】
本発明の第4の側面は、前記第1の側面において、前記割りリングを直径方向に沿って二分割した割りリングとし、また、前記ボンネットをその内径が前記ガスケット押えの外径よりも大きく且つ前記割りリングの外径よりも小さい筒状のボンネットとすると共に、当該ボンネットを前記取付け具本体の挿着孔内に着脱自在に螺着したことに特徴がある。
【発明の効果】
【0017】
本発明は、圧力検出器のケーシングの内部に受圧室を設けると共に、前記ケーシングに受圧室の圧力に応じて変位するダイヤフラムを設け、また、前記受圧室に連通する圧力導入孔を形成したパイプをケーシングに突出状態で設けると共に、当該パイプの先端部にガスケット押えを設け、前記ガスケット押えを配管路等に取り付けた取付け具本体の挿着孔内に挿入してガスケット押えの先端面を挿着孔の底面に設けたガスケットの一端面に当接させると共に、ガスケット押えの先端面と反対側の面に割りリング又はU字状リングを当接させ、更に取付け具本体の挿着孔にボンネットを挿着してこれを取付け具本体側へ締め付けることにより、割りリング又はU字状リングを介してガスケット押え及びガスケットを押圧し、ガスケットの一端面と挿着孔の底面との間及びガスケットの他端面とガスケット押えの先端面との間をそれぞれシール部とする構成としているため、圧力導入孔を形成したパイプにより圧縮力を受けるガスケット押えと圧力検出器のダイヤフラムとの距離が離れることになり、ガスケット押えが圧縮力を受けても、その分力がダイヤフラムに伝わることが全く無い。
その結果、本発明は、圧力検出器の取付け具本体への組み込み後に於いても、ダイヤフラムへの応力影響が全く無く、圧力検出器の取付け具本体への取付け前と取付け後に於ける出力や温度特性の変動が無くなる。
【0018】
また、本発明は、圧力検出器の取付け具本体への組み込み後に、経年変化によりボンネットの締め付け力が弱まってガスケット押えの圧縮力が変化しても、圧縮力を受けるガスケット押えと圧力検出器のダイヤフラムとの距離が離れているため、ダイヤフラムへの応力影響が全く無く、経年変化による影響を受けることがない。
【0019】
更に、本発明は、割りリングを直径方向に沿って二分割した割りリングとし、また、ボンネットをその内径がガスケット押えの外径よりも大きく且つ割りリングの外径よりも小さい筒状のボンネットとすると共に、当該ボンネットを取付け具本体の挿着孔内に着脱自在に螺着する構成としているため、圧力検出器のパイプの先端部にパイプよりも大径のガスケット押えを設けていても、圧力検出器を取付け具本体の挿着孔内へ組み込み固定することができ、至極便利である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る圧力検出器の取付け構造を示す。
図1に於いて、参照符号1はダイヤフラム型の圧力検出器、2はセンサーベース2′及びチューブベース2″から成るケーシング、3は隔壁ダイヤフラム、4はケーシング2内の受圧室、5はケーシング2内の圧力室、6は圧力検知ダイヤフラム(不図示)を備えた圧力検出素子、7はリードピン、8はカバー、9はパイプ、10は圧力導入孔、11はガスケット押え、12はガスケット、13は割りリング、14はボンネット、15は配管路や機械装置に取り付けた取付け具本体、16は取付け具本体15に形成した圧力検出器1の挿着孔、17は取付け具本体15に形成した流路、18は挿着孔16と流路17とを連通する連通孔である。
尚、圧力検出器1のダイヤフラムは、隔壁ダイヤフラム3と圧力検知ダイヤフラムとから成っている。
【0022】
前記圧力検出器1の取付け構造は、
図1に示す如く、ケーシング2に外方へ突出する状態で設けられて圧力導入孔10を形成するパイプ9と、パイプ9の先端部に設けた環状のガスケット押え11と、取付け具本体15の挿着孔16の底面に挿着されてガスケット押え11の先端面が当接するガスケット12と、ガスケット押え11の先端面と反対側の面に当接する割りリング13と、取付け具本体15の挿着孔16内に着脱自在に挿着されて割りリング13を押圧するボンネット14とを備えており、ガスケット押え11及び割りリング13を取付け具本体15の挿着孔16内へ挿入すると共に、ボンネット14を挿着孔16に挿着し、ボンネット14を取付け具本体15側へ締め付けて割りリング13によりガスケット押え11及びガスケット12を押圧し、ガスケット12の一端面と挿着孔16の底面との間及びガスケット12の他端面とガスケット押え11の先端面との間をそれぞれシール部としている。
【0023】
前記圧力検出器1は、圧力検出素子6(感圧素子)を利用したダイヤフラム型の圧力センサーである。
即ち、前記圧力検出器1は、
図2に示す如く、圧力導入孔10を形成するパイプ9を備えたケーシング2と、ケーシング2内を圧力導入孔10と連通する受圧室4と圧力伝達用媒体を充填する圧力室5とに分離する隔壁ダイヤフラム3と、圧力室5内に内蔵され、隔壁ダイヤフラム3の変位により作動する圧力検出素子6(感圧素子)と、ケーシング2に挿着されたリードピン7等から構成されており、流体圧が圧力導入孔10、隔壁ダイヤフラム3及びシリコーンオイル等の圧力伝達媒体を介して圧力検出素子6に設けられた圧力検知ダイヤフラム(不図示)へ加わると、圧力検出素子6を形成する半導体圧力トランスデューサから圧力に比例した電圧信号がリードピン7を介して外部へ出力されるようになっている。
【0024】
前記ケーシング2は、内部に空間を形成するセンサーベース2′とチューブベース2″とから成り、チューブベース2″の中心部には、内部の空間に連通して圧力導入孔10を形成するステンレス鋼製のパイプ9が挿着固定されている。
【0025】
具体的には、センサーベース2′は、ステンレス鋼により円盤状に形成されており、センサーベース2′の下面には、圧力検出素子6を収納し且つ圧力伝達用媒体を封入する圧力室5となる深い窪み部19が形成されている。
この実施形態に於いては、センサーベース2′の外径は8mmに、センサーベース2′の厚みは3.5mmに、センサーベース2′の窪み部19の深さは圧力検出素子6を収納できる深さにそれぞれ設定されている。
【0026】
また、チューブベース2″は、ステンレス鋼により円盤状に形成されており、チューブベース2″の上面には、圧力導入孔10に連通して受圧室4となる浅い窪み部20が形成されている。
この実施形態に於いては、チューブベース2″の外径は8mmに、チューブベース2″の厚みは3mmに、チューブベース2″の窪み部20の深さは0.3mmにそれぞれ設定されている。
【0027】
更に、パイプ9は、ステンレス鋼製のパイプ9により形成されており、基端部(
図2の上端部)をチューブベース2″の中心部に挿着し、パイプ9の基端部外周縁部をチューブベース2″へ溶接21することにより、チューブベース2″に気密状に挿着固定されている。このとき、パイプ9は、ケーシング2から外方へ大きく突出した状態となっている。
また、パイプ9の先端部(
図2の下端部)外周面には、パイプ9よりも大径に形成されたステンレス鋼製の環状のガスケット押え11が溶接21により固着されており、当該ガスケット押え11の下面内周縁部には、ガスケット12の内周面に嵌合される位置決め用の突部11aが突出形成されている。
この実施形態に於いては、パイプ9の外径は2.1mmに、パイプ9の長さは10mmに、ガスケット押え11の外径は4mmに、ガスケット押え11の内径は2.1mmに、ガスケット押え11の厚みは0.8mmに、ガスケット押え11の突部11aの高さは0.2mmにそれぞれ設定されている。
【0028】
そして、前記センサーベース2′とチューブベース2″は、センサーベース2′の下端面とチューブベース2″の上端面との間でダイヤフラム3の外周縁部を挟持し、この状態でセンサーベース2′の下端面外周縁部とチューブベース2″の上端面外周縁部とダイヤフラム3の外周縁部とを全周に亘って溶接21することにより気密状に組み立て固定され、内部に空間を有するケーシング2となる。
このとき、ケーシング2内に形成された空間は、センサーベース2′とチューブベース2″との間に挾持された隔壁ダイヤフラム3によって、圧力導入孔10と連通する受圧室4と圧力伝達用媒体を充填する圧力室5とに分離される。
【0029】
尚、圧力室5に充填される圧力伝達用媒体としては、温度膨張係数や圧縮係数が小さく且つ化学的に安定したシリコーンオイルが用いられており、このシリコーンオイルは隔壁ダイヤフラム3に加わった流体圧力を正確に圧力検出素子6へ伝達するものである。
【0030】
前記隔壁ダイヤフラム3は、ハステロイ製の極薄の金属板により波型の円板状に形成されている。
この実施形態に於いては、隔壁ダイヤフラム3の外径は8mmに、隔壁ダイヤフラム3の厚みは0.025mmに、隔壁ダイヤフラム3の波高さは0.175mmに、隔壁ダイヤフラム3の受圧室4側の面と受圧室4の底面(窪み部20の底面)との間隔は0.15mmにそれぞれ設定されている。
【0031】
前記圧力検出素子6は、ケーシング2の圧力室5に収納固定されており、この圧力検出素子6には、従来公知の圧力検知ダイヤフラム(不図示)を備える拡散形半導体圧力トランスデューサが使用されている。
【0032】
上述した圧力検出器1は、
図1に示す如く、配管路や機械装置に取り付けた金属製の取付け具本体15の挿着孔16内にガスケット12を介して割りリング13及びボンネット14により気密状に取り付け固定されている。
【0033】
前記取付け具本体15には、圧力検出器1を取り付けるための円形の挿着孔16が形成されており、当該挿着孔16の内周面には、ボンネット14が着脱自在に螺着される雌ネジ15aが形成されている。
また、挿着孔16の底部は、小径に形成されており、この小径部分にガスケット12が挿着されるようになっている。
更に、挿着孔16の小径部分の底面中央部には、取付け具本体15に形成した流路17と挿着孔16内とを連通状態にする連通孔18が形成されている。
【0034】
前記ガスケット12は、ステンレス鋼により挿着孔16の小径部分に挿着される大きさのリング状に形成されており、そのシート部の断面形状は矩形に形成されている。
このガスケット12の外周面は、挿着孔16の小径部分の内周面に当接し、また、ガスケット12の一端面(
図1の下面)は、挿着孔16の小径部分の底面に当接し、更に、ガスケット12の他端面(上面)は、ガスケット押え11の先端面に当接するようになっている。
この実施形態に於いては、ガスケット12の外径は4mmに、ガスケット12の内径は2mmに、ガスケット12のシート部の幅は1mmに、ガスケット12のシート部の高さは1mmにそれぞれ設定されている。
【0035】
前記割りリング13は、ステンレス鋼により形成した環状部材を直径方向に沿って二分割することにより形成されており、割りリング13の下面には、ガスケット押え11が嵌め込まれる嵌合凹部13aが形成されている。
この実施形態に於いては、割りリング13の外径は6mmに、割りリング13の内径は2.15mmに、割りリング13の厚みは1.8mmに、割りリング13の嵌合凹部13aの内径は4mmに、割りリング13の嵌合凹部13aの深さは0.8mmにそれぞれ設定されている。
【0036】
前記ボンネット14は、ステンレス鋼によりその内径がガスケット押え11の外径よりも大きく且つ割りリング13の外径よりも小さい筒状に形成されており、その外周面には、取付け具本体15の挿着孔16の内周面に形成した雌ネジ15aに着脱自在に螺着される雄ネジ14aが形成されている。
また、ボンネット14の下端面には、割りリング13が嵌め込まれる嵌合部14bが形成されていると共に、ボンネット14の上端部外周面(雄ネジ14aを形成していない部分)の形状は、ボンネット14をスパナ等の工具で回転させることができるようにほぼ多角形(四角形状、六角形状等)に形成されている。
この実施形態に於いては、ボンネット14の外径は8mmに、ボンネット14の内径は4.2mmに、ボンネット14の高さは5mmに、ボンネット14の嵌合部14bの内径は6mmに、ボンネット14の嵌合部14bの深さは1mmにそれぞれ設定されている。
【0037】
次に、圧力検出器1を取付け具本体15に形成した上向きの挿着孔16に組み込む場合について説明する。尚、
図4は圧力検出器1の取付け具本体15への組み込み手順を示す説明図である。
【0038】
先ず、圧力検出器1のパイプ9にボンネット14を遊嵌状態で外嵌する(
図4(A)参照)。このとき、ボンネット14の内径をガスケット押え11の外径よりも大きくしているので、パイプ9にボンネット14を簡単に外嵌することができる。
【0039】
次に、割りリング13をその内周面をパイプ9の外周面に当接させた状態でガスケット押え11の上側からガスケット押え11に被せ、割りリング13の嵌合凹部13aにガスケット押え11を嵌め込む(
図4(B)参照)。
【0040】
その後、ボンネット14を割りリング13の上側から割りリング13に被せ、ボンネット14の嵌合部14bに割りリング13を嵌め込み、割りリング13をこれが分解されないようにボンネット14により保持する(
図4(C)参照)。
【0041】
そして、ガスケット押え11、割りリング13及びボンネット14を、予めガスケット12を挿着した取付け具本体15の挿着孔16内へ挿入すると共に、ボンネット14を挿着孔16に挿着し、ボンネット14を取付け具本体15側へ締め付けて割りリング13によりガスケット押え11及びガスケット12を押圧する(
図4(D)参照)。
そうすると、ガスケット押え11によりガスケット12が押圧され、ガスケット12の一端面と挿着孔16の小径部分の底面との間及びガスケット12の他端面とガスケット押え11の先端面との間がそれぞれシール部となり、圧力検出器1は挿着孔16に気密状に取り付けられることになる。
【0042】
上述した圧力検出器1の取付け構造に於いては、ボンネット14が取付け具本体15側へ締め込まれると、ガスケット12及び割りリング13を介してガスケット押え11が圧縮力を受けるが、ケーシング2から外方へ大きく突出するパイプ9の先端部にガスケット押え11を設けているので、圧縮力を受けるガスケット押え11と圧力検出器1の隔壁ダイヤフラム3との距離が離れることになり、ガスケット押え11が圧縮力を受けても、その分力が隔壁ダイヤフラム3に伝わることが全く無い。
その結果、この圧力検出器1の取付け構造に於いては、圧力検出器1の取付け具本体15への組み込み後に於いても、隔壁ダイヤフラム3への応力影響が全く無く、圧力検知ダイヤフラムを備える圧力検出素子6への応力影響が全く無く、圧力検出器1の取付け具本体15への取付け前と取付け後に於ける出力や温度特性の変動が無くなる。
【0043】
また、この圧力検出器1の取付け構造に於いては、圧力検出器1の取付け具本体15への組み込み後に、経年変化によりボンネット14の締め付け力が弱まってガスケット押え11の圧縮力が変化しても、圧縮力を受けるガスケット押え11と圧力検出器1の隔壁ダイヤフラム3との距離が離れているため、隔壁ダイヤフラム3への応力影響が全く無く、経年変化による影響を受けることがない。
【0044】
同様に、圧力検出器1を取り付けした配管路の取付け個所の近傍に、他の機器類、例えばオリフィス等を取付け固定したような場合でも、当該オリフィスの固定によって、隔壁ダイヤフラム3が応力の影響を受けることはない。
【0045】
尚、圧力検出器1を配管路へ取付ける前と取付けた後との特性試験の結果から、圧力検出器1のオフセット電圧やスパン電圧、出力信号の直線性、温度特性等に殆んど変化が生じないことが確認されている。
【0046】
上記の実施形態に於いては、圧力検出器1を取付け具本体15に形成した上向きの挿着孔16に取り付けるようにしたが、他の実施形態に於いては、圧力検出器1を取付け具本体15に形成した下向き又は横向きの挿着孔16に取り付けるようにしても良い。
この場合にも、上述した作用効果と同様の作用効果を奏することができる。
【0047】
また、上記の実施形態に於いては、ボンネット14やガスケット12、割りリング13等はステンレス鋼としているが、配管路を流す流体の種類や温度等の外部環境等に合わせて、適した材料を選択しても良い。更に、隔壁ダイヤフラム3についても、ハステロイ製の極薄の金属板により波型の円板状としているが、使用条件に合わせて材料や形状を変更しても良いことは勿論である。
【0048】
図5は本発明の他の実施形態に係る圧力検出器の取付け構造を示す。
図5に示された当該圧力検出器1の取付け構造は、ケーシング2に外方へ突出する状態で設けられて圧力導入孔10を形成するパイプ9と、パイプ9の先端部に設けた環状のガスケット押え11と、取付け具本体15の挿着孔16の底面に挿着されてガスケット押え11の先端面が当接するガスケット12と、ガスケット押え11の先端面と反対側の面に当接し、前記パイプ9が挿入される挿入部を有するU字状リング24と、取付け具本体15の挿着孔16内に着脱自在に挿着されてU字状リング24を押圧するボンネット14とを備えており、ガスケット押え11及びU字状リング24を取付け具本体15の挿着孔16内へ挿入すると共に、ボンネット14を挿着孔16に挿着し、ボンネット14を取付け具本体15側へ締め付けてU字状リング24によりガスケット押え11及びガスケット12を押圧し、ガスケット12の一端面と挿着孔16の底面との間及びガスケット12の他端面とガスケット押え11の先端面との間をそれぞれシール部としたものである。
【0049】
前記圧力検出器1の取付け構造は、
図3(A)及び(B)に示す割りリング13に替えて後述する
図6(A)及び(B)に示すU字状リング24を用いたものであり、U字状リング24以外は
図1に示す圧力検出器1の取付け構造と同じ構造及び同じ形状に形成されており、
図1に示す取付け構造と同じ部位・部材には、同一の参照番号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0050】
前記U字状リング24は、
図6(A)及び(B)に示す如く、ステンレス鋼により平面形状U字状に形成されており、U字状リング24の下面には、ガスケット押え11が嵌め込まれる嵌合凹部24aが形成されている。
また、U字状リング24は、外周縁部から中心へ向って切欠かれ又は凹まされて形成された挿入部24bを有しており、当該挿入部24bにパイプ9がU字状リング24の外周側から挿入されるようになっている。
この実施形態に於いては、U字状リング24の外径は6mmに、U字状リング24の挿入部の幅は2.15mmに、U字状リング13の厚みは1.8mmに、U字状リング13の嵌合凹部24aの内径は4mmに、U字状リング13の嵌合凹部13aの深さは0.8mmにそれぞれ設定されている。
【0051】
図5に示す圧力検出器1の取付け構造も、
図1に示す圧力検出器1の取付け構造と同様の作用効果を奏することができる。
【0052】
図7は圧力伝達用媒体を使用しない別タイプの圧力検出器1を取付け具本体15の挿着孔16へ取り付けた状態を示すものであり、この圧力検出器1の取付け構造は、
図1(又
図5)に示す圧力検出器1の取付け構造と同じ構造及び同じ形状に形成されており、
図1に示す取付け構造と同じ部位・部材には、同一の参照番号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0053】
図7に示す圧力検出器1は、圧力検知ダイヤフラム(不図示)を備える圧力検出素子6(感圧素子)をセンサーベース2′の窪み部19に設けた受け台22で保持すると共に、圧力検出素子6の下端面を受圧室4の圧力に応じて変位する隔壁ダイヤフラム3の上面に直接当接させ、圧力導入孔10から受圧室4を経て隔壁ダイヤフラム3にかかった圧力を直接圧力検出素子6に伝達するようにしたものである。
【0054】
また、
図8は同じく圧力伝達用媒体を使用しない更に別タイプの圧力検出器1を取付け具本体15の挿着孔16へ取り付けた状態を示すものであり、この圧力検出器1の取付け構造は、
図1(又は
図5)に示す圧力検出器1の取付け構造と同じ構造及び同じ形状に形成されており、
図1に示す取付け構造と同じ部位・部材には、同一の参照番号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0055】
図8に示す圧力検出器1は、圧力検出素子6に金属細線又は金属箔の抵抗線を絶縁物で覆ってフイルム状に形成したストレンゲージ部6aを備えた金属ストレンゲージを使用したものであり、前記ストレンゲージ部6aを受圧室4の圧力に応じて変位するダイヤフラム3aの上面に固着すると共に、センサーベース2′の内方に抵抗変化を検出するブリッジ回路6bを取り付け、ストレンゲージ部6aとブリッジ回路6bとを配線23で接続したものである。
【0056】
尚、
図8の圧力検出器1では、ストレンゲージ部6aとブリッジ回路6bを別体とした金属ストレンゲージを使用しているが、両者を合体せしめた構成の金属ストレンゲージをダイヤフラム3aの上面に固着するようにしても良い。
また、
図8の圧力検出器1では、ダイヤフラム3aをセンサーベース2′と一体的に形成したが、例えば、
図1の圧力検出素子6のように独立した圧力トランスデューサを用いるとともに、隔壁ダイヤフラム3と圧力伝達媒体を無くすことにより、ダイヤフラム3aをセンサーベース2′とは別体に形成しても良いことは勿論である。
このとき、圧力トランスデューサとして拡散型圧力トランスデューサではなく、ダイヤフラムをステンレスやハステロイ、セラミックスにより形成するとともに、このダイヤフラム上に直接厚膜や薄膜によりストレンゲージを形成することにより、耐腐食性や耐高温性に優れた圧力検出器を提供することができる。
【0057】
上記の実施形態に於いて、
図1乃至
図7では、ダイヤフラムが隔壁ダイヤフラム3と圧力検知ダイヤフラムの2つから構成されるものについて、
図8では、ダイヤフラムが1つで構成されるものについて説明したが、ダイヤフラムの構成はこれらに限られたものでないことは勿論である。