(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5926897
(24)【登録日】2016年4月28日
(45)【発行日】2016年5月25日
(54)【発明の名称】カーテンレール及びカーテンレールの施工方法
(51)【国際特許分類】
A47H 1/04 20060101AFI20160516BHJP
【FI】
A47H1/04 F
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2011-136580(P2011-136580)
(22)【出願日】2011年6月20日
(65)【公開番号】特開2013-462(P2013-462A)
(43)【公開日】2013年1月7日
【審査請求日】2014年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250672
【氏名又は名称】立川ブラインド工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(72)【発明者】
【氏名】船越 沙希子
【審査官】
川島 陵司
(56)【参考文献】
【文献】
実公昭57−3511(JP,Y2)
【文献】
特開平10−165291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47H 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテン生地を吊下支持するランナーを開口溝に沿って移動可能に支持するカーテンレールにおいて、
前記カーテンレールの両端部に取着されるキャップとは別体であって、前記ランナーが移動しない範囲で、下方に露出する前記開口溝を覆うカバーを備え、
前記カーテンレールの前面を曲面とし、前記カバーの外面を、前記カバーの全長に渡り前記カーテンレールの前面に連なる曲面としたことを特徴とするカーテンレール。
【請求項2】
前記カバーを、切断可能な合成樹脂体としたことを特徴とする請求項1記載のカーテンレール。
【請求項3】
前記カバーに、前記カーテンレールの開口溝に弾性的に嵌合可能とした係止片を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載のカーテンレール。
【請求項4】
前記カバーの外面に、前記カーテンレールの前面に等しい色彩及び質感を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のカーテンレール。
【請求項5】
前記カバーの縦断面形状を、前記カーテンレールの前後方向に線対称状としたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載のカーテンレール。
【請求項6】
前記カーテンレールの両端部に最も近い位置にある端部ランナーを、カーテンレールの任意位置に固定可能としたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のカーテンレール。
【請求項7】
カーテン生地を吊下支持するランナーを、前面を曲面としたカーテンレールの開口溝に沿って移動可能に支持し、前記ランナーが移動しない範囲で下方に露出する前記開口溝を覆い、外面が全長に渡り前記カーテンレールの前面に連なる曲面とされたカバーを、前記カーテンレールの設置現場で前記開口溝の長さに合わせて切断することを特徴とするカーテンレールの施工方法。
【請求項8】
カーテン生地を吊下支持するランナーを開口溝に沿って移動可能に支持するカーテンレールにおいて、
前記ランナーが移動しない範囲で、下方に露出する前記開口溝を覆うカバーを備え、
前記カーテンレールの前面を曲面とし、前記カバーの外面を、前記カバーの全長に渡り前記カーテンレールの前面に連なる曲面とし、
前記カバーに、前記カーテンレールの開口溝に弾性的に嵌合可能とした係止片を備えたことを特徴とするカーテンレール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、美観を向上させる装飾を施したカーテンレールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
装飾カーテンレールの一種類として、アルミ形材で形成されたカーテンレールの前面に装飾用シートを貼着し、そのカーテンレールの両端に装飾部材を取着して、美観を向上させるようにしたものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−165292号公報
【特許文献2】実開昭58−141077号公報
【特許文献3】実開平4−113216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されるカーテンでは、カーテン生地の移動限界を設定することにより、移動限界を超えた先の部分でカーテンレールの開口溝が室内の視界に露出されるため、美観が低下する。
【0005】
特許文献2には、カーテンレールの端部の開口部を閉塞する閉塞体が開示されているが、装飾性を考慮したものではない。
特許文献3には、カーテンレールの端部にエンドキャップが取着され、そのエンドキャップにカーテンレール端部の下方に位置するカバーが取着されるが、任意の距離でカーテンレールの開口溝を覆うものではない。
【0006】
この発明の目的は、開口溝を任意の範囲で覆って美観を向上させ得るカーテンレールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1では、カーテン生地を吊下支持するランナーを開口溝に沿って移動可能に支持するカーテンレールにおいて、
前記カーテンレールの両端部に取着されるキャップとは別体であって、前記ランナーが移動しない範囲で、下方に露出する
前記開口溝を覆
うカバーを備えた。
前記カーテンレールの前面を曲面とし、前記カバーの外面を、前記カバーの全長に渡り前記カーテンレールの前面に連なる曲面とした。
【0008】
請求項2では、前記カバーを、切断可能
な合成樹脂
体とした。
請求項3では、前記カバーに、前記カーテンレールの開口溝に弾性的に嵌合可能とした係止片を
備えた。
【0010】
請求項
4では、前記カバーの外面に、前記カーテンレールの前面に等しい色彩及び質感を備えた。
請求項
5では、前記カバーの縦断面形状を、前記カーテンレールの前後方向に線対称状とした。
【0011】
請求項
6では、前記カーテンレールの両端部に最も近い位置にある端部ランナーを、カーテンレールの任意位置に固定可能とした。
請求項
7では、カーテン生地を吊下支持するランナーを
、前面を曲面としたカーテンレ
ールの開口溝に沿って移動可能に支持し、前記ランナーが移動しない範囲で下方に露出する
前記開口溝を覆
い、外面が全長に渡り前記カーテンレールの前面に連なる曲面とされたカバーを、前記カーテンレールの設置現場で前記開口溝の長さに合わせて切断する。
請求項
8では、カーテン生地を吊下支持するランナーを開口溝に沿って移動可能に支持するカーテンレールにおいて、前記ランナーが移動しない範囲で、下方に露出する
前記開口溝を覆うカバーを備えた。
そして、前記カーテンレールの前面を曲面とし、前記カバーの外面を、前記カバーの全長に渡り前記カーテンレールの前面に連なる曲面とし、前記カバーに、前記カーテンレールの開口溝に弾性的に嵌合可能とした係止片を
備えた
。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、
カバーにより開口溝を任意の範囲で覆って美観を向上させ得るカーテ
ンレールを提供することができる。
また、最適な長さのカバーを設置現場で容易に形成することができる。さらに、係止片を設けることで、カバーをカーテンレールに容易に取着することができる。さらに、カバーの外面を、カーテンレールの前面に連なる面としたことで、カバーを取着したカーテンレールの美観を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】両開き型の装飾カーテンを示す正面図である。
【
図3】カーテンレールとカバーを示す分解斜視図である。
【
図4】カーテンレールとカバーを示す側面図である。
【
図5】カーテンレールとカバーを示す側面図である。
【
図6】第二の実施形態のカーテンレールとカバーを示す側面図である。
【
図7】第二の実施形態のカーテンレールとカバーを示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、この発明を具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
図1に示す両開き型のカーテンは、カーテンレール1が取付面に支持ブラケット2を介して取着され、そのカーテンレール1に多数のランナー3が移動可能に支持されている。
【0015】
前記ランナー3のうち、中間部に位置する2つの先頭ランナー3a,3bには磁石が取着され、互いに吸着可能となっている。
前記先頭ランナー3aとその右側に位置するランナー3には第一のカーテン生地4aが吊下支持され、先頭ランナー3bとその左側に位置するランナー3には第二のカーテン生地4bが吊下支持されている。
【0016】
そして、各カーテン生地4a,4bをカーテンレール1の中央部に引き出して先頭ランナー3a,3bを吸着させると、カーテンレール1の中間部に第一及び第二のカーテン生地4a,4bが吊下支持される。また、先頭ランナー3a,3bを引き離して、それぞれカーテンレール1の端部側に移動させると、第一及び第二のカーテン生地4a,4bがカーテンレール1の両端部に畳み込まれる。
【0017】
なお、前記ランナー3のうち、カーテンレール1の両端部に最も近い位置にある端部ランナー3c,3dは、カーテンレール1の両端から所要の間隔を隔てた位置まで移動された後に、カーテンレール1に移動不能に固定されている。
【0018】
また、前記端部ランナー3c,3dは、他のランナーと同様にカーテンレール1に移動可能に支持されるとともに、カーテンレール1の長手方向の任意の位置に固定可能となっている。その固定手段は、カーテンレール1の下方に露出されるフック部を回転させることにより、カーテンレール1の開口縁を挟み込んで固定するもの、端部ランナー3c,3dに備えられた固定板でカーテンレールの開口縁を挟みこんで固定するもの、端部ランナー3c,3dに挿通したビスをカーテンレール1の天井面にねじ込んで固定するもの等がある。
【0019】
前記カーテンレール1の両端部には、キャップ5を介して球状の飾り部材6がそれぞれ取着されている。
前記カーテンレール1は、
図2及び
図3に示すように、アルミ押出し形材で下方に開口溝7を備えた筒状に形成されている。また、カーテンレール1の前面すなわち室内に向かって対向する面は、円弧状の凸曲面に形成され、その前面には装飾シール8が貼着されている。そして、カーテンレール1の前面と前記キャップ5と前記飾り部材6が同色でかつ同様な質感を呈するように揃えられている。
【0020】
前記カーテンレール1の両端部において、前記開口溝7にはカーテンレール1の下部を覆うカバー9が取着される。このカバー9は、カーテンレール1の両端から前記端部ランナー3c,3dの取付位置までの範囲で取着される。
【0021】
前記カバー9は、
図4に示すように、弾性を有するとともに、前記装飾シール8、キャップ5及び飾り部材6と同色でかつ同様な質感を備えた合成樹脂で形成される。前記カバー9の下面は前記カーテンレール1の凸曲面と同一径の円弧面で形成される凸曲面10となっている。
【0022】
前記カバー9の上面には前記カーテンレール1の開口溝7に嵌合可能とした一対の係止片11が上方に突出形成されている。前記係止片11は、前記開口溝7に挿入可能とした間隔で形成されている。
【0023】
前記各係止片11の上下方向の中間部には、前記開口溝7の開口縁12に係合する突部13がそれぞれ形成されている。また、各係止片11の上端部には、前記開口溝7の溝幅の中央方向に向かって斜めに突出する斜片14が形成され、斜片14の下端部には前記開口縁12に係合する返し部15が形成されている。
【0024】
前記カバー9を開口溝7に取着するには、各係止片11をカーテンレール1の下方から開口溝7に挿入すると、各斜片14が開口縁12に係合して互いに近付く方向に撓みながら開口溝7内に侵入する。
【0025】
そして、係止片11をさらに開口溝7内に押し込むと、
図5に示すように、前記返し部15と突部13とで前記開口縁12を挟んで、カバー9がカーテンレール1の下面に保持される。
【0026】
この状態では、カーテンレール1の前面の凸曲面とカバー9の凸曲面10で連続する円弧面が形成される。
前記カバー9の両端部において、係止片11は突部13より上方部分が切除されて、前記カーテンレール1の端部へのキャップ5の嵌合操作に支障を来たさないようになっている。
【0027】
また、カバー9の両端部において、突部13より上方部分が同一長さで切除されているので、カバー9をカーテンレール1の両端のいずれにも取付可能である。
次に、上記のように構成されたカバー9の作用を説明する。
【0028】
上記カバー9をカーテンレール1の両端部に取着するには、合成樹脂で形成されたカバー材を端部ランナー3c,3dとカーテンレール1の端縁との間隔に合わせて所要の長さに切断してカバー9を形成する。
【0029】
そして、カーテンレール1の両端部の開口溝7に、上記のようにカバー9を取着すると、カーテンレール1の両端部で下方に露出される開口溝7がカバー9で覆われる。
上記のように構成されたカーテンレールのカバーでは、次に示す効果を得ることができる。
(1)ランナー3が移動しないカーテンレール1の両端部で、カーテンレール1の下方にアルミ地色で露出される開口溝7をカバー9で覆うことができる。従って、カーテンレール1の両端部の美観を向上させることができる。
(2)カーテンレール1に取着されたカバー9の外面を、カーテンレール1の前面に連なる円弧面とすることができるので、カバー9を取着したカーテンレール1の両端の美観を向上させることができる。
(3)カバー9を、カーテンレール1の前面と、キャップ5と、飾り部材6の色彩及び質感を一致させたので、カバー9を取着したカーテンレール1の両端の美観を向上させることができる。
(4)カバー9の係止片11をカーテンレール1の開口溝7に押し込むことにより、カバー9をカーテンレール1に容易に取着することができる。
(5)カバー9を、カーテンレール1の設置現場で、端部ランナー3c,3dとカーテンレール1の端部との距離に合わせた長さに切断することができるので、最適な長さのカバー9を設置現場で容易に形成することができる。
(第二の実施形態)
図6及び
図7は、第二の実施形態を示す。この実施形態のカバー16は、その縦断面形状が線対称状に形成されている。その他の構成は、前記第一の実施形態と同様である。
【0030】
このようなカバー16では、その一端側でのみ係止片11の突部13から上方部分を切除しても、カーテンレール1の両端部にカバー16を左右方向に入れ替えて取着することができる。また、カバー16を左右方向に入れ替えても、カーテンレール1の前面の凸曲面に連なる凸曲面10の形状に差異はない。
【0031】
上記実施形態は、以下の態様で実施してもよい。
・カーテンレールの前面とカバーの外面は、円弧面以外の任意の曲面あるいは平面で連続させてもよい。
・カバー9の外面に装飾シールを貼着してもよい。
・係止片11は、カバー9の長手方向の複数箇所に分割して設けてもよい。
・カバー9,16の端部の係止片11がキャップ5の嵌合を阻害しない場合には、係止片11を切除しなくてもよい。
【符号の説明】
【0032】
1…カーテンレール、3,3a〜3d…ランナー、4a,4b…カーテン生地、7…開口溝、9,16…カバー、11…係止片。