(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0012】
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0013】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0014】
(実施の形態1)
図25は本発明者が検討したLEDパッケージ50の平面図、
図26は
図25のLEDパッケージ50のX10−X10線の断面図である。なお、
図25では説明を分かり易くするためにLEDパッケージ50の内部を透かして示している。
【0015】
LEDパッケージ50の配線基板51には、配線52aおよび配線52bが互いに電気的に分離された状態で形成されている。配線52a上には、LEDチップ53が、その主面を上に向けた状態で実装されている。LEDチップ53の主面には、アノード電極およびカソード電極(図示せず)が形成されている。LEDチップ53のアノード電極は金属ワイヤ54aを通じて配線52bに電気的に接続され、カソード電極は金属ワイヤ54bを通じて配線52aに電気的に接続されている。
【0016】
一方、配線52b上には、保護チップ55ZVが、その主面を上に向けた状態で実装されている。保護チップ55ZVには、LEDチップ53をESDから保護する縦型のツェナーダイオードが形成されている。この保護チップ55ZVの主面にはアノード電極(図示せず)が形成され、保護チップ55ZVの裏面にはカソード電極(図示せず)が形成されている。保護チップ55ZVのアノード電極は金属ワイヤ54cを通じて配線52aに電気的に接続され、カソード電極は、例えば銀(Ag)ペーストにより形成された導電性の接着層(
図25および
図26には図示せず)を介して配線52bに電気的に接続されている。
【0017】
次に、
図27は
図25および
図26に示した保護チップ55ZVの平面図、
図28は
図27の保護チップ55ZVのX11−X11線の断面図である。
【0018】
保護チップ55ZVは、例えば、平面四角形状の半導体基板からなり、n
+型の半導体層55aと、その上層に形成されたn
−型の半導体層55bと、そのn
−型の半導体層55bに内包されたp
+型の半導体領域55cとを有している。
【0019】
保護チップ55ZVの主面のp
+型の半導体領域55cはアノード電極56Aと電気的に接続されている。一方、保護チップ55ZVの裏面にはカソード電極56Kが形成されている。このカソード電極56Kは、例えばAgペーストにより形成された導電性の接着層57を介して配線52bに電気的に接続されている。なお、
図28の破線の矢印IFは順方向電流を示し、破線の矢印IRは逆方向電流を示している。
【0020】
ところで、このような縦型のツェナーダイオード(保護チップ55ZV)の場合、例えば以下のような課題がある。まず、接着層57を形成するためのAgペーストの塗布工程が必要であり、半導体装置の組立工程が複雑になる。また、Agペーストを用いていることもあり、保護チップ55ZVの主面高さ(配線52bの上面から保護チップ55ZVの主面まで高さ)が高くなり、LEDチップ53の発光時に影が形成される結果、LEDパッケージ50の発光効率が低下する。一方、LEDパッケージ50の発光効率を上げるために保護チップ55ZVをLEDチップ53から遠ざけるとLEDパッケージ50の小型化が阻害される。さらに、保護チップ55ZVの裏面が剥離した場合、保護チップ55ZVの所期の電気的特性が得られない。
【0021】
このため、近年は縦型のツェナーダイオードに代えて、保護チップの主面にアノード電極およびカソード電極を持つ表面構造型のツェナーダイオードが採用されつつある。
図29〜
図32は、表面構造型のツェナーダイオードを備える保護チップ55ZLの断面図である。
【0022】
図29に示すように、表面構造型のツェナーダイオードを備える保護チップ55ZLは、その主面を上に向け、かつ、裏面を配線52bに向けた状態で、例えばシリコーン樹脂等のような絶縁性の接着層58を介して配線52b上に実装されている。保護チップ55ZLの主面にはアノード電極とカソード電極とが形成されており、これらは金属ワイヤ54d,54eを通じて引き出されている。
【0023】
しかし、このような表面構造型の保護チップ55ZLにおいては、
図30に示すように、保護チップ55ZLが傾いて実装されると、保護チップ55ZLの裏面角が配線52bに接触し電気的に接続されてしまう結果、ツェナーダイオードの所期の電気的特性が得られなくなってしまう問題がある。また、保護チップ55ZLが薄くなると保護チップ55ZLが実装時に傾き易いので保護チップ55ZLの薄型化が阻害されるという問題もある。
【0024】
そこで、
図31に示すように、保護チップ55ZLの裏面に接触不良防止用の絶縁膜59を形成している。この場合、仮に保護チップ55ZLが配線52b上に傾いて実装されたとしても、保護チップ55ZLの裏面に絶縁膜59が形成されているので、保護チップ55ZLと配線52bとの接触不良を回避することができ、ツェナーダイオードの所期の電気的特性を得ることができる。
【0025】
しかし、その場合、保護チップ55ZLを形成するためのウエハは薄いので、その裏面に絶縁膜59を形成することが困難である。また、保護チップ55ZLの裏面の絶縁膜59が樹脂で形成されている場合、接触防止用の絶縁膜59と接着層58との接着性が低く、保護チップ55ZLが剥離し易い。これらにより、LEDパッケージ50の製造が複雑になるという問題がある。
【0026】
さらに、保護チップ55ZLの裏面に絶縁膜59を形成した分、保護チップZLの薄型化が阻害される。このため、保護チップ55ZLがLEDチップ53の発光時の影となり発光効率が低下する。そこで、
図32に示すように、配線52bの上面に凹部60を形成し、そこに保護チップ55ZLを実装することで保護チップ55ZLの主面高さを低くすることもできるが、その場合、LEDパッケージ50の製造が複雑になる上、コストが高くなるという問題がある。
【0027】
次に、実施の形態1の半導体装置の構造を説明する。
【0028】
図1は、実施の形態1の半導体装置1を含む回路図である。本実施の形態の半導体装置1は、発光素子(電子部品)LDと、発光素子LDをESDから保護する保護素子ZNとを備えている。
【0029】
発光素子LDは、例えば直流順方向電流を流すことにより発光するLEDである。LEDの発光原理は、例えば以下の通りである。すなわち、LEDのpn接合部に順方向バイアス電圧を印加すると、LEDのp型半導体領域からpn接合部に正孔が注入され、LEDのn型半導体領域からpn接合部に電子が注入される。このため、pn接合部においては正孔と電子とが再結合する。この再結合は、伝導帯にある電子がバンドギャップ分のエネルギーを放出して価電子帯にある正孔と結合することになる。このため、再結合時にはバンドギャップ分のエネルギーが放出されるが、そのエネルギー放出がバンドギャップ分のエネルギーを有する光Lとして放出される。
【0030】
上記した保護素子ZNは、例えばツェナーダイオード(保護ダイオード)であり、発光素子LDに対して逆方向になるように電気的に並列に接続されている。すなわち、保護素子ZNのアノード電極は発光素子LDのカソード電極に電気的に接続され、保護素子ZNのカソード電極は発光素子LDのアノード電極に電気的に接続されている。
【0031】
ツェナーダイオードによる保護原理は、例えば以下の通りである。すなわち、外部から発光素子LDに静電気等によるサージ電圧が印加されると、発光素子LDに並列に接続された保護素子ZNにもサージ電圧が印加される。保護素子ZNは、印加されたサージ電圧が降伏電圧を超えると降伏して逆方向電流が流れる。このとき、降伏したツェナーダイオードに印加される電圧は、サージ電圧より小さなツェナー電圧を保持する。すなわち、ツェナーダイオードが降伏することにより、サージ電圧はツェナーダイオードに吸収されてツェナー電圧に交換される。このため、発光素子LDには、サージ電圧より低いツェナー電圧が印加される。その結果、発光素子LDはESDから保護される。
【0032】
これら発光素子LDおよび保護素子ZNは、電源端子Vtと接地端子GNDとの間に電気的に接続されている。電源端子Vtには、第1の電位が供給され、接地端子GNDには、第1の電位より低い第2の電位(基準電位)が供給される。また、半導体装置1の外部において発光素子LDのカソード電極および保護素子ZNのアノード電極と接地端子GNDとの間には抵抗Rが電気的に接続されている。
【0033】
このような半導体装置1は、発光素子LDの消費電力が低く、寿命が長いことから、例えば、液晶ディスプレイのバックライト、自動車用光源または信号機のような様々な照明機器に使用されている。
【0034】
次に、
図2は
図1の半導体装置1のパッケージ構造を示す全体平面図、
図3は
図2の半導体装置1のX1−X1線の断面図、
図4は
図3の半導体装置1の保護チップおよびその周辺部分を抜き出して示した要部拡大側面図である。なお、
図2では説明を分かり易くするために半導体装置1のパッケージ内部を透かして示している。また、
図4には保護素子ZNの接続方向がわかる様に保護素子ZNを示した。
【0035】
半導体装置1は、パッケージ基板2と、配線3a,3bと、発光チップ4と、保護チップ(半導体チップ)5ZAと、金属ワイヤ(接続用線材)6a〜6dと、反射板7と、封止樹脂8とを有している。
【0036】
パッケージ基板2は、例えば、主面とその裏側の裏面とそれらに交差する四側面とで囲まれた平板状の絶縁体により形成されている。このパッケージ基板2を構成する絶縁体は、例えば、ガラスエポキシ樹脂等からなるプリント基板または酸化アルミニウムや窒化アルミニウム等からなるセラミック基板により形成されている。パッケージ基板2としてプリント基板を用いる場合はプリント基板に放熱部を設けることが好ましい。
【0037】
上記した配線3a,3bは、例えば銅(Cu)合金からなる主導体部の表面にAgメッキが施されてなり、配線3a,3b自体は互いに電気的に分離された状態でパッケージ基板2に形成されている。
【0038】
一方の配線(第1の配線)3aは、パッケージ基板2の主面上からパッケージ基板2の長手方向一端側の側面で折れ曲がりパッケージ基板2の裏面上に引き出されている。この配線3aは、上記した電源端子Vt(
図1参照)と電気的に接続される。
【0039】
他方の配線(第2の配線)3bは、パッケージ基板2の主面からパッケージ基板2の長手方向他端側の側面で折れ曲がりパッケージ基板2の裏面上に引き出されている。この配線3bは、上記した接地端子GND(
図1参照)と電気的に接続される。
【0040】
パッケージ基板2の主面側において配線3a上には、発光チップ4がその発光面を上に向け、かつ、発光面の裏側の裏面を配線3aに向けた状態で実装されている。
【0041】
この発光チップ4には、上記した発光素子LDが形成されており、例えば、サファイア基板等のような絶縁性基板上に、窒化ガリウム(GaN)層、n型GaN層、窒化インジウムガリウム(InGaN)活性層、p型窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)層およびp型GaN層を順に積層することで構成されている。このうちのInGaN活性層が発光層である。
【0042】
発光チップ4の発光面には、発光素子LDのアノード電極およびカソード電極(図示せず)が形成されている。この発光素子LDのアノード電極は、金属ワイヤ6aを通じて配線3aに電気的に接続され、カソード電極は、金属ワイヤ6bを通じて配線3bに電気的に接続されている。金属ワイヤ6a,6bは、例えば金(Au)により形成されている。一方、発光チップ4の裏面は、例えばシリコーン樹脂からなる接着層(図示せず)により配線3aに接着されている。
【0043】
パッケージ基板2の主面側において配線3b上には、保護チップ5ZAがその主面(第1の面)を上に向け、かつ、主面の裏側の裏面(第2の面)を配線3bに向けた状態で実装されている。この保護チップ5ZAには、上記した保護素子ZNが形成されている。
【0044】
保護チップ5ZAの保護素子ZNは、表面構造型のツェナーダイオードにより形成されており、保護チップ5ZAの主面には、保護素子ZNの一対の電極であるアノード電極およびカソード電極(図示せず)が形成されている。この保護素子ZNのアノード電極は、金属ワイヤ6cを通じて配線3bに電気的に接続され、カソード電極は、金属ワイヤ6dを通じて配線3aに電気的に接続されている。金属ワイヤ6c,6dは、例えばAuにより形成されている。このような保護チップ5ZAは、例えばシリコーン樹脂からなる絶縁性の接着層9(
図4参照)を介して配線3bに接着されている。
【0045】
ここで、上記した縦型のツェナーダイオードの場合は、
図28に示したように、保護チップ55ZVの裏面のカソード電極56Kと配線52bとをAgペーストにより電気的に接続する必要がある。これに対して、本実施の形態の表面構造型のツェナーダイオードを備える保護チップ5ZAの場合は、保護チップ5ZAの裏面と配線3bとを接続することで回路を構成するわけではないので、保護チップ5ZAの裏面と配線3bとを電気的に接続する必要が無い。このため、保護チップ5ZAの裏面にAgペーストを塗布する必要も無いので、半導体装置1の製造工程を容易にすることができる。
【0046】
また、保護チップ5ZAと配線3bとを接続することで回路を構成するわけではないので、仮に保護チップ5ZAが配線3bから剥離したとしても保護チップ5ZAの電気的特性が大きく変動することもない。このため、半導体装置1の信頼性を向上させることができる。
【0047】
このようなパッケージ基板2の主面上の外周には、発光チップ4および保護チップ5ZAを取り囲むように反射板7が設置されている。反射板7は、例えばアルミニウムまたはセラミック等からなり、発光チップ4で放射された光を外部に反射する反射面を備えている。さらに、パッケージ基板2の主面上において反射板7で取り囲まれた部分には、蛍光体を含む封止樹脂8が埋め込まれており、これにより発光チップ4および保護チップ5ZAが封止されている。
【0048】
次に、
図5は保護チップ5ZAの拡大平面図、
図6は
図5の保護チップ5ZAのX2−X2線の断面図である。
【0049】
保護チップ5ZAは、例えば、主面とその裏側の裏面とそれらに交差する四側面とで囲まれた平板状の半導体基板5sを有している。半導体基板5sは、例えばp型のシリコン(Si)からなり、その主面側には、p
+型の半導体領域5pとn
+型の半導体領域5nとが互いに離間した状態で並んで形成されている。このp
+型の半導体領域5pおよびn
+型の半導体領域5nは、
図5に示すように、例えば平面三角形状に形成されており、互いの長辺を向かい合わせた状態で配置されている。
【0050】
半導体基板5sの主面上には、
図6に示すように、例えば酸化シリコンからなる絶縁膜5iが形成されている。この絶縁膜5i上には、一対の電極であるアノード電極5Aとカソード電極5Kとが互いに電気的に分離された状態で形成されている。アノード電極5Aおよびカソード電極5Kは、例えばAlを主体とする金属により形成されている。
【0051】
アノード電極5Aは、絶縁膜5iに穿孔された孔を通じてp
+型半導体領域5pにオーミック接触の状態で電気的に接続されている。カソード電極5Kは、絶縁膜5iに穿孔された孔を通じてn
+型半導体領域5nにオーミック接触の状態で電気的に接続されている。
【0052】
このような表面構造型のツェナーダイオードを備える保護チップ5ZAの場合、
図6の破線で示すように、順方向電流IFがp
+型半導体領域5pからn
+型半導体領域5nに向かって半導体基板5sの主面に沿って流れるようになっている。
【0053】
ところで、アノード電極5Aが電気的に接続されている半導体領域5pは、その導電型が半導体基板5sと同じp型であり、pn接合を介することなく半導体基板5sの裏面と電気的に接続されている。すなわち、アノード電極5Aは、金属ワイヤ6cを通じて配線3bに電気的に接続されているとともに、保護チップ5ZA内で保護チップ5ZAの裏面とも電気的に接続されている。
【0054】
このため、仮に保護チップ5ZAが配線3b上に傾いた状態で実装され、半導体基板5sの裏面角が配線3bに接触したとしても、その半導体基板5sの裏面はアノード電極5Aから金属ワイヤ6cを通じて配線3bと電気的に接続されているので、保護素子ZNの電気的特性に問題が生じない。
【0055】
そこで、本実施の形態においては、保護チップ5ZA(半導体基板5s)の裏面に接触防止用の絶縁膜59(
図27参照)が形成されておらず、保護チップ5ZA(半導体基板5s)は、その裏面(Si面)が接着層9に直接接触した状態で配線3b上に実装されている。
【0056】
このような本実施の形態によれば、保護チップ5ZAの裏面に接触防止用の絶縁膜59を形成する必要がないので、保護チップ5ZAの製造を容易にすることができる。また、保護チップ5ZAの主面高さを下げるために配線3bに凹部を形成する必要もなくなるので、半導体装置1の製造を容易にすることができる。
【0057】
また、Siと樹脂系の接着層9とは接着性が良いので、保護チップ5ZAの裏面を接着層9に直接接触することにより、保護チップ5ZAの剥離不良(実装不良)を低減できる。したがって、半導体装置1の信頼性を向上させることができる。
【0058】
また、保護チップ5ZAの裏面の接着層9の厚さをAgペーストよりも薄くできるので、保護チップ5ZAの主面高さ(配線3bの上面から保護チップ5ZAの主面までの高さ)を、縦型の保護チップ55ZV(
図25等参照)の主面高さよりも低くすることができる。また、保護チップ5ZAの裏面に接触防止用の絶縁膜59を設けないので、その分、同じ表面構造型のツェナーダイオードを備える保護チップであっても裏面に接触防止用の絶縁膜59を設けるものに比べて、保護チップ5ZAの主面高さを低くすることができる。さらに、保護チップ5ZAの傾斜による裏面接触不良を容認できるので、保護チップ形成用のウエハの薄型化を推進することができる。このため、保護チップ5ZAの主面高さをさらに低くすることができる。これらにより、半導体装置1内の保護チップ5ZAによる影を小さくすることができるので、発光チップ4の発光効率を向上させることができる。また、半導体装置1の薄型化を推進できる。また、保護チップ5ZAを発光チップ4から遠ざける必要もないので、半導体装置1の小型化が阻害されることもない。
【0059】
次に、実施の形態1の半導体装置1の保護チップ5ZAの電気的特性について
図7〜
図16を参照して説明する。なお、
図7〜
図14は、本発明者が検討した各種の保護チップの構造例を示している。そして、
図15および
図16は、
図7〜
図14に示した各保護チップの順方向特性および逆方向特性の測定結果を簡略化してグラフに示した図である。
【0060】
図7は表面構造型の保護チップ55ZLであって裏面に接触防止用の絶縁膜59を設けている保護チップ55ZLの側面図、
図8は
図7の保護チップ55ZLの拡大断面図を示している。なお、
図7にも
図4と同様に保護素子ZNを示した。
【0061】
ここでは、
図7に示すように、保護チップ55ZLの裏面に接触防止用の絶縁膜59が形成されている。したがって、保護チップ55ZLは、絶縁膜59および接着層58を介して配線52b上に実装されている。
【0062】
図8に示すように、保護チップ55ZLの半導体基板55sはn型のSiからなり、その主面にはアノード電極に接続されたp
+型の半導体領域55pと、カソード電極に電気的に接続されたn
+型の半導体領域55nとが形成されている。
【0063】
この構造では、保護チップ55ZLの裏面に絶縁膜59が形成されているので、保護チップ55ZLが傾いて実装されたとしても配線52bとは電気的に接続されない。したがって、
図15に示すように、順方向特性は実線FLsで示すように良好な特性が得られ、
図16に示すように、逆方向特性も実線RLsで示すように良好な特性が得られる。なお、
図15および
図16では、この構造の電気的特性を良好な特性とする。
【0064】
次に、
図9は
図8と同じ表面構造型の保護チップ55ZLであって裏面に接触防止用の絶縁膜59を設けていない保護チップ55ZLの側面図、
図10は
図9の保護チップ55ZLの拡大断面図を示している。なお、
図9にも
図4と同様に保護素子ZNを示した。
【0065】
この構造では、
図9に示すように、保護チップ55ZLの裏面に絶縁膜59を設けていないので、保護チップ55ZLが傾いて実装されると、保護チップ55ZLの裏面角が配線52bに電気的に接続され、保護チップ55ZLのアノード電極と保護チップ55ZLの裏面とが電気的に接続されてしまう場合がある。
【0066】
この構造の場合、
図10に示すように、アノード電極が電気的に接続された半導体領域55pと半導体基板55sとの導電型が異なるので、アノード電極と保護チップ55ZLの裏面とが電気的に接続されると保護素子ZNのアノード電極とカソード電極とが短絡した状態になる。このため、保護素子ZNの所期の電気的特性が得られない。したがって、
図15の順方向特性では破線FLbで示す特性が得られ、
図16の逆方向特性では破線RLbで示す特性が得られ、いずれも良好な特性(実線FLs,RLs)から大きく離れている。
【0067】
次に、
図11は
図4で示した本実施の形態の保護チップ5ZAの側面図、
図12は
図11の保護チップ5ZAの拡大断面図を示している。なお、
図11にも
図4と同様に保護素子ZNを示した。
【0068】
この構造では、
図11に示すように、保護チップ5ZAの裏面に接触防止用の絶縁膜59が形成されていないが、
図12に示すように、アノード電極が電気的に接続された半導体領域5pと半導体基板5sとの導電型が同じなので、もともとアノード電極が保護チップ5ZAの内部でp
+型の半導体領域55pを通じてpn接合を介することなく保護チップ5ZAの裏面と電気的に接続されている。
【0069】
このため、保護チップ5ZAが傾いて実装されて、保護チップ5ZAの裏面角が配線3bと電気的に接続されたとしても保護素子ZNの電気的特性に問題が生じない。したがって、
図15に示すように、順方向特性では良好な特性(実線FLs)と一致しており、
図16に示すように、逆方向特性では破線RLで示す特性が得られ、良好な特性(実線RLs)とほぼ一致している。
【0070】
次に、
図13は本実施の形態の他の例の表面構造型のツェナーダイオードZNを備える保護チップ5ZBの側面図、
図14は
図13の保護チップ5ZBの拡大断面図を示している。なお、
図14にも
図4と同様に保護素子ZNを示した。
【0071】
この構造では、
図13に示すように、保護チップ(半導体チップ)5ZBの裏面(第2の面)に接触防止用の絶縁膜59が設けられていない。このため、保護チップ5ZBは、その裏面が接着層9に直接接触された状態で実装されている。
【0072】
また、
図14に示すように、保護チップ5ZBの半導体基板5sはn型のSiからなり、その主面(第1の面)にはアノード電極に接続されたp
+型の半導体領域5pとカソード電極に電気的に接続されたn
+型の半導体領域5nとが形成されている。なお、保護チップ5ZB自体の他の構成は
図6等で説明したものと同じである。
【0073】
この場合、カソード電極に電気的に接続された半導体領域5nの導電型が半導体基板5sの導電型と同じなので、
図13に示すように、保護チップ5ZBは、カソード電極が金属ワイヤ6dを通じて接続される配線3a上に実装されている。
【0074】
この構造では、保護チップ5ZBの裏面に絶縁膜59が形成されていないが、カソード電極が電気的に接続された半導体領域5nと半導体基板5sとの導電型が同じなので、もともとカノード電極が保護チップ5ZBの内部でn
+型の半導体領域5nを通じてpn接合を介することなく保護チップ5ZBの裏面と電気的に接続されている。
【0075】
このため、保護チップ5ZBが傾いて実装され、保護チップ5ZBの裏面角が配線3aと電気的に接続されたとしても保護素子ZNの電気的特性に問題が生じない。したがって、
図15に示すように、順方向特性では良好な特性(実線FLs)と一致しており、
図16に示すように、逆方向特性では破線RLで示す特性が得られ、良好な特性(実線RLs)とほぼ一致している。
【0076】
次に、本実施の形態の半導体装置1の製造方法について
図17〜
図20を参照して説明する。なお、
図17および
図18は
図6の保護チップ5ZAを用いた半導体装置1の製造工程中のパッケージ基板2の平面図を示し、
図19および
図20は
図14の保護チップ5ZBを用いた半導体装置1の製造工程中のパッケージ基板2の平面図を示している。
【0077】
まず、
図6の構造の保護チップ5ZAを用いる場合の製造例について説明する。
図17に示すように、パッケージ基板2の主面の配線3a上に発光チップ4を実装する。また、パッケージ基板2の主面の配線3b上に保護チップ5ZAを実装する。
【0078】
このとき、発光チップ4の実装時には、例えばシリコーン樹脂からなる接着剤を用いる一方で、縦型の保護チップを用いる場合は、Agペーストからなる接着剤を用いるので、両方の接着剤を用意し、それぞれを塗布する工程が必要となり、半導体装置の製造工程が複雑になる。これに対して本実施の形態においては、発光チップ4も保護チップ5ZAも同じ絶縁性の接着剤を用いて実装できるので、半導体装置の製造工程を容易にすることができる。
【0079】
続いて、
図18に示すように、発光チップ4および保護チップ5ZAを金属ワイヤ6a〜6dにより配線3a,3bに電気的に接続する。保護チップ5ZAの構造の場合、配線3bが金属ワイヤ6cを通じて電気的に接続されるアノード電極が保護チップ5ZAの内部でpn接合を介することなく保護チップ5ZAの裏面に電気的に接続されているので、傾いた状態で配線3b上に実装され保護チップ5ZAの裏面角が配線3bに接触したとしても保護チップ5ZAの保護素子ZNの電気的特性には問題が生じない。
【0080】
その後、パッケージ基板2の主面上に、反射面を上に向けた状態で反射板7(
図3参照)を接合した後、さらに発光チップ4および保護チップ5ZAを封止樹脂8(
図3参照)で封止することにより、
図2および
図3に示した半導体装置1を製造する。
【0081】
次に、
図14の構造の保護チップ5ZBを用いる場合の製造例について説明する。
図19に示すように、パッケージ基板2の主面の配線3a上に発光チップ4および保護チップ5ZBを実装する。この場合も、発光チップ4も保護チップ5ZBも同じ絶縁性の接着剤を用いて実装できるので、半導体装置1の製造工程を容易にすることができる。
【0082】
続いて、
図20に示すように、発光チップ4および保護チップ5ZBを金属ワイヤ6a〜6dにより配線3a,3bに電気的に接続する。保護チップ5ZBの構造の場合、配線3aが金属ワイヤ6dを通じて電気的に接続されるカソード電極が保護チップ5ZBの内部でpn接合を介することなく保護チップ5ZBの裏面とも電気的に接続されている。このため、傾いた状態で配線3a上に実装され保護チップ5ZBの裏面角が配線3aに接触したとしても保護チップ5ZBの保護素子ZNの電気的特性には問題が生じない。
【0083】
その後、パッケージ基板2の主面上に反射板7を接合し、さらに封止樹脂8による封止工程を経て、
図2および
図3に示した半導体装置1を製造する。
【0084】
(実施の形態2)
図21は実施の形態2の携帯電話外部インターフェイス(半導体装置)15の回路図である。
【0085】
本実施の形態2の携帯電話外部インターフェイス15は、ベースバンド回路(電子部品)15aと、高周波信号処理回路15bと、アンテナ15cと、電源回路(電子部品)15dと、複数の端子15e〜15gと、保護回路15hとを有している。
【0086】
ベースバンド回路15aは、変調前または復調後のベースバンド信号を扱う回路であり、高周波信号処理回路15bを介してアンテナ15cと電気的に接続されている。高周波信号処理回路15bは、電磁波の周波数帯の信号を処理する回路であって、送信時にベースバンド信号を予め決められた周波数帯(RF帯)に変調し、かつ、受信時に予め決められた周波数帯の信号をベースバンド信号に復調する。アンテナ15cは、電磁波を受けて電気信号に変換し、また、電気信号を電磁波に変換する電子部品である。
【0087】
電源回路15dは、ベースバンド回路15aや高周波信号処理回路15b等に電源電圧を供給する回路であり、充電用の蓄電池15daと、電池充電切替回路15dbと、電源コントロール回路15dcとを有している。
【0088】
保護回路15hは、ベースバンド回路15aおよび電源回路15dをサージ電圧から保護する回路であり、複数の端子15e〜15gとベースバンド回路15aおよび電源回路15dとの間に電気的に接続されている。なお、端子15eは各種の信号端子を示し、端子15fは操作信号端子を示し、端子15gは直流電圧供給用の電源端子を示している。
【0089】
次に、
図22は、
図21の携帯電話外部インターフェイス15の保護回路15hの回路図である。
【0090】
保護回路15hは、複数の保護素子ZN1〜ZN3(ZN)により形成されている。そして、各保護素子ZN1〜ZN3は、上記した表面構造型のツェナーダイオードにより構成されている。
【0091】
保護素子ZN1は、信号用の配線(第1の配線)15iaと接地用の配線(第2の配線)15jaとの間に電気的に接続されている。保護素子ZN1のアノード電極は接地用の配線15jaに電気的に接続され、カソード電極は信号用の配線15iaに電気的に接続されている。なお、信号用の配線15iaは、信号用の端子15eとベースバンド回路15aとを電気的に接続する配線であり、上記した配線3aに相当する。また、接地用の配線15jaは、上記した配線3bに相当する。
【0092】
保護素子ZN2は、操作信号用の配線(第1の配線)15ibと接地用の配線(第2の配線)15jbとの間に電気的に接続されている。保護素子ZN2のアノード電極は接地用の配線15jbに電気的に接続され、カソード電極は操作信号用の配線15ibに電気的に接続されている。なお、操作信号用の配線15ibは、操作信号用の端子15fとベースバンド回路15aとを電気的に接続する配線であり、上記した配線3aに相当する。また、接地用の配線15jbは、上記した配線3bに相当する。
【0093】
保護素子ZN3は、電源用の配線(第1の配線)15kと接地用の配線(第2の配線)15jcとの間に電気的に接続されている。保護素子ZN3のアノード電極は接地用の配線15jcに電気的に接続され、カソード電極は電源用の配線15kに電気的に接続されている。なお、電源用の配線15kは、接地用の端子15gと電源回路15dとを電気的に接続する高電位側の電源配線であり、上記した配線3aに相当する。また、接地用の配線15jcは、上記した配線3bに相当する。
【0094】
本実施の形態2においては、これらの保護素子ZN1〜ZN3(ZN)が上記した保護チップ5ZA,5ZB(
図12および
図14等参照)の構造で形成されている。そして、保護素子ZN1〜ZN3が保護チップ5ZAの構造で形成されている場合、その保護チップ5ZAは、それぞれ接地用の配線15ja〜15jc上に実装されている。一方、保護素子ZN1〜ZN3が保護チップ5ZBの構造で形成されている場合、その保護チップ5ZBはそれぞれ配線15ia,15ib,15k上に実装されている。
【0095】
このような本実施の形態2によれば、保護回路15hによりベースバンド回路15aや電源回路15dをサージ電圧から保護することができる。
【0096】
また、上記したように保護チップ5ZA,5ZBの裏面に接触防止用の絶縁膜59(
図7等参照)を形成しないので、保護チップ5ZA,5ZBの製造を容易にすることができる。また、携帯電話外部インターフェイス15の薄型化を図るために保護チップ5ZA,5ZBの主面高さを下げるべく配線15ia,15ib,15k,15ja〜15jcに凹部を形成する必要もない。これらにより、携帯電話外部インターフェイス15の製造を容易にすることができる。
【0097】
また、Siと樹脂系の接着層9とは接着性が良いので、保護チップ5ZA,5ZBの裏面(Si面)を接着層9に直接接触することにより、保護チップ5ZA,5ZBの剥離不良(実装不良)を低減できる。したがって、携帯電話外部インターフェイス15の信頼性を向上させることができる。
【0098】
また、保護チップ5ZA,5ZBの裏面の接着層9(
図11および
図13参照)の厚さをAgペーストよりも薄くできるので、保護チップ5ZA,5ZBの主面高さを、縦型のツェナーダイオードを備える保護チップ55ZV(
図25等参照)を用いた場合よりも低くすることができる。
【0099】
また、保護チップ5ZA,5ZBの裏面に接触防止用の絶縁膜59(
図7等参照)を設けないので、その分、同じ表面構造型のツェナーダイオードを備える保護チップであっても裏面に接触防止用の絶縁膜59を設けるものに比べて、保護チップ5ZA,5ZBの主面高さを低くすることができる。
【0100】
また、保護チップ5ZA,5ZBの傾斜による裏面接触不良を容認できるので、保護チップ形成用のウエハの薄型化を推進することができる。このため、保護チップ5ZA,5ZBの主面高さをさらに低くすることができる。
【0101】
(実施の形態3)
図23は実施の形態3のPC周辺機器(半導体装置)16の回路図である。
【0102】
本実施の形態3のPC周辺機器16は、ホストPC回路16aと、周辺回路16bと、それらを電気的に接続する複数本のデータ線16cとを有している。
【0103】
ホストPC回路16aは、マイクロコンピュータ回路(電子部品)16aaと、インターフェイス回路(電子部品)16abと、コネクタ16acと、複数の保護回路16adと、複数本の配線(第1の配線)16aeと、接地用の配線(第2の配線)16afとを有している。
【0104】
一方、周辺回路16bは、マイクロコンピュータ回路(電子部品)16baと、インターフェイス回路(電子部品)16bbと、コネクタ16bcと、複数の保護回路16bdと、複数本の配線(第1の配線)16beと、接地用の配線(第2の配線)16bfとを有している。
【0105】
ホストPC回路16aのマイクロコンピュータ回路16aaは、インターフェイス回路16abを介して複数本のデータ線16cと電気的に接続され、さらにデータ線16cを通じてコネクタ16acに電気的に接続されている。このコネクタ16acは、複数本のデータ線16cを通じて周辺回路16bのコネクタ16bcに電気的に接続されている。
【0106】
周辺回路16bのコネクタ16bcは複数本のデータ線16cを通じて周辺回路16bのインターフェイス回路16bbに電気的に接続され、さらに周辺回路16bのマイクロコンピュータ回路16baに電気的に接続されている。
【0107】
保護回路16ad,16bdは、配線(第1の配線)16ae,16beと接地用の配線(第2の配線)16af,16bfとの間に電気的に接続されている。配線16ae,16beは、各データ線16cに電気的に接続されており、上記配線3aに相当する。接地用の配線16af,16bfは、上記配線3bに相当する。
【0108】
この保護回路16ad,16bdは、上記保護素子ZNにより形成されており、各保護素子ZNは、上記した表面構造型のツェナーダイオードにより構成されている。そして、保護素子ZNのアノード電極は接地用の配線16af,16bfに電気的に接続され、カソード電極はデータ線側の配線16ae,16beに電気的に接続されている。
【0109】
本実施の形態3においても、この保護素子ZNが上記した保護チップ5ZA,5ZB(
図12および
図14等参照)の構造で形成されている。そして、保護素子ZNが上記した保護チップ5ZAの構造で形成されている場合、その保護チップ5ZAは、それぞれ接地用の配線16af,16bf上に実装されている。一方、保護素子ZNが保護チップ5ZBの構造で形成されている場合、その保護チップ5ZBはデータ線側の配線16ae,16be上に実装されている。
【0110】
このような本実施の形態3によれば、前記実施の形態2と同様の効果が得られる。
【0111】
(実施の形態4)
図24は実施の形態4のUSB(Universal Serial Bus)デバイス(半導体装置)17の回路図である。
【0112】
本実施の形態4のUSBデバイス17は、USBデバイス本体回路(電子部品)17aと、USBコネクタ17bと、それらを電気的に接続する差動信号線17ca(D+),17cb(D−)、高電位側の電源用の配線17da(VBUS)および接地用の配線17db(GND)と、保護回路17eとを有している。
【0113】
USBデバイス本体回路17aには、例えば半導体メモリ、デジタルカメラ、プリンタまたはスキャナがある。
【0114】
保護回路17eは、配線(第1の配線)17cc,17cdと接地用の配線(第2の配線)17fとの間に電気的に接続されている。配線17cc,17cdは、それぞれ差動信号線17ca,17cbに電気的に接続されており、上記した配線3aに相当する。また、接地用の配線17fは、上記した配線3bに相当する。
【0115】
この保護回路17eは、上記した保護素子ZNにより形成されており、この保護素子は、上記した表面構造型のツェナーダイオードにより構成されている。そして、各保護素子ZNのアノード電極は接地用の配線17fに電気的に接続され、カソード電極はそれぞれ差動信号線側の配線17cc,17cdに電気的に接続されている。
【0116】
本実施の形態4においても、この保護素子ZNが上記した保護チップ5ZA,5ZB(
図12および
図14等参照)の構造で形成されている。そして、その保護素子ZNが保護チップ5ZAの構造で形成されている場合、その保護チップ5ZAは、それぞれ配線17f上に実装されている。一方、保護素子ZNが保護チップ5ZBの構造で形成されている場合、その保護チップ5ZBはそれぞれ配線17cc,17cd上に実装されている。
【0117】
このような本実施の形態4によれば、前記実施の形態2,3と同様の効果が得られる。
【0118】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0119】
例えば前記実施の形態1〜4では、保護素子ZNをツェナーダイオードで形成した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば通常のpn接合ダイオードにより形成しても良い。