(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記移動電極は、前記ワーク表面を転動する通電ローラであり、該通電ローラの周面が導電性を有して該周面からワークの表面に電流を通電する、請求項1又は2に記載の通電装置。
前記ブスバー表面に接触して転動し前記移動電極と共に移動可能な給電ローラを備え、該給電ローラの周面が導電性を有して該周面から上記移動電極に電流を通電する、請求項1乃至3の何れかに記載の通電装置。
前記ブスバー表面に接触して転動し前記移動電極と共に移動可能な給電ローラを備え、該給電ローラが前記移動電極の軸方向両端側に配置され、該給電ローラから上記移動電極に電流を通電する、請求項1乃至3の何れかに記載の通電装置。
前記移動電極と対向配置されて該移動電極とともに移動する押さえ部材を備え、該押さえ部材により前記ワークが上記移動電極に押し付けられる、請求項1乃至9の何れかに記載の通電装置。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しながら本発明の幾つかの実施形態について説明する。この実施形態ではワークに直接電流を流して加熱するための通電加熱装置の例を用いる。
【0017】
本発明の通電対象となるワークは、通電可能なものであればよいが、電極を接触させて移動可能な平面又は曲面を有するものが好ましく、例えば平面状の表面を有する板材などが好適である。このワークは、全体が同じ材料からなるものであっても、抵抗率の異なる材料同士を溶接等により接合したものであってもよい。
本実施形態では、ワークは電流を流して通電して加熱すべき通電領域(以下、「加熱領域」という。)を有している。加熱領域を有するワークとしては、例えば鋼材からなるものなどが挙げられる。ワークには加熱領域が一領域だけに設定されていてもよく、複数の領域が設定されていてもよい。複数の領域を有する場合、隣接していても隣接せず離れていてもよい。
【0018】
本発明は、厚みが一定で奥行き幅が左右方向に沿って変化していないワークに当然適用できるが、ワークの加熱領域の左右の何れかの一方向に沿って奥行き幅や厚みが変化していることにより断面積が減少しているワーク、開口や切り欠いた領域が存在したり、左右の何れかの方向でそれに直交する断面の寸法が減少しているようなワークにも適用可能である。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る通電加熱装置のコンセプトを示しており、(a)は通電前の状態の平面図、(b)は通電前の状態の正面図、(c)は通電後の状態の平面図、(d)は通電後の状態の正面図である。
【0020】
この通電加熱装置10は、電源部1に電気的に接続された一方の電極11及び他方の電極12からなる電極対13と、一方の電極11又は他方の電極12を移動する移動機構15と、を備える。
【0021】
図1に示す態様では、移動機構15により一方の電極11を移動させているので、一方の電極11を移動電極といい、他方の電極12はワークWの所定位置に接触したままであるので、他方の電極12を固定電極という。なお、他方の電極12を移動電極とし、一方の電極11を固定電極としてもよいし、一方の電極11及び他方の電極12の何れも移動電極としてもよい。
【0022】
移動機構15は、一方の電極11又は他方の電極12をワークWに沿って移動可能に支持し、移動速度及び移動量を制御可能な構造を有している。例えば一方の電極11又は他方の電極12をスライドレールに装着し、並設したボールねじ等の駆動力を伝達する駆動伝達部15bに螺合させ、ステップモータ等の移動速度を調整できる調整部15aにより駆動するように構成される。
【0023】
図1に示す態様では、ワークWの全体領域が加熱領域となっており、電極の移動方向に従って徐々に奥行き幅が狭くなっている。そのため、
図1(a)に示すように、一方の電極11及び他方の電極12を近接した位置から、
図1(c)に示すように、電源部1から電極対13を経由してワークWに一定電流を流しながら、一方の電極11を一方側に移動させ、移動量や移動速度を調整することにより、加熱領域各部の通電時間を異ならせて熱量を制御して加熱処理を行うことで、加熱領域全体を加熱することができる。
【0024】
以下、通電加熱装置の具体例について説明する。
[第1実施形態]
第1実施形態の通電加熱装置10は、
図2及び
図3に示すように、ワークWに所定の交流電流を給電するための電源部1と、電源部1に接続された通電装置20とを有する。通電装置20はブスバー25と、移動電極11を有する移動部31と、固定電極12を有する固定部32と、を備えている。この通電装置20には、ワークWを図示しない所定位置で支持するワーク支持部が設けられており、ワーク支持部にワークWを支持させると、ブスバー25の表面がワークWの表面に沿って略平行に配置されるように構成されている。
【0025】
電源部1は、通電加熱時にワークWに所定の電流を供給可能なものであり、通電装置と一体に設けられていても、別体に設けられていてもよい。ここでは、通電加熱時に略一定の平均電流を供給するようになっている。
【0026】
ブスバー25は、銅等の高い導電性を有する材料からなり、例えば通電加熱時に必要な電流を給電可能な十分な断面積を有する硬質の板材である。このブスバー25はワークWの加熱領域に沿うように架台26に固定されており、電源部1の一方の電極に接続されている。この実施形態では、ワークWに対向する面が、ワークWの加熱領域のうちの固定電極12が配置された部位を除く全体に対向する平滑な平面に形成されている。
【0027】
移動部31は、ワークWの加熱領域に接触するように配設された移動電極11と、ブスバー25から移動電極11に給電するための給電機構40と、移動電極11に対向配置された押さえ部材36と、押さえ部材36を駆動する押圧機構35と、これらを一体に支持した移動フレーム37をワークWに沿って移動させる移動機構15と、を備えている。
ここでは移動電極11及び給電機構40がブスバー25とワークWとの間に配置された状態で、移動機構15により移動フレーム37と一体に移動可能となっている。
【0028】
移動電極11は、ワークW表面に接触して転動する通電ローラ23からなる。通電ローラ23は、全周面が導電性を有する材料からなり、軸部23aが周面とは絶縁された状態で移動フレーム37に固定された軸受部24に回転自在に支持されている。通電ローラ23の周面は銅、鋳鉄、カーボン等の導電性の高い材料から形成されており、表面が断面円形の平滑面となっている。通電ローラ23は、周面が給電機構40を介してブスバー25と電気的に接続されており、この周面が移動方向に対して直交方向にワークWの加熱領域と接触し、接触部分が加熱領域の全幅を横断している。
【0029】
給電機構40は、ブスバー25の表面に接触して転動する給電ローラ41を備える。給電ローラ41は、全周面が導電性を有する材料からなり、軸部41aが周面とは絶縁された状態で、移動フレーム37に固定された軸受部42に回転自在に支持されている。給電ローラ41の周面は銅、鋳鉄、カーボン等の導電性の高い材料から形成されており、表面が断面円形の平滑面となっている。給電ローラ41は、周面が移動方向に対して直交方向にブスバー25のワークW側表面と接触し、接触部分がブスバーの略全幅を横断している。
【0030】
給電ローラ41と通電ローラ23との間には、他のローラ等が介在されていてもよいが、この実施形態では、通電ローラ23は軸方向の略全長において給電ローラ41と直接接触している。ここでは通電ローラ23と給電ローラ41とが互いに逆方向に回転するため、摺動することなく常時接触している。通電加熱時には、ブスバー25から給電ローラ41の周面を介して通電ローラ23まで大電流を給電することが可能である。
【0031】
押さえ部材36は、ワークWを介して通電ローラ23と対向する位置に配設された押さえローラ38からなる。押さえローラ38の材質はワークWに当接して加圧可能であれば特に限定されないが、通電ローラ23よりも熱伝導率が低い材料からなるのが好ましく、例えば鋳鉄、セラミックスなどにより形成されていてもよい。
軸部38aは、移動フレーム37に移動可能に支持された軸受部39に回転自在に支持されている。この実施形態では、軸受部39は押圧機構35に設けられた可動ブラケット34に支持されることで、通電ローラ23に対して離接する方向に移動可能である。
さらに押さえローラ38は移動フレーム37に支持されているため、通電ローラ23及び給電ローラ41と共に移動可能である。
【0032】
押圧機構35は、移動機構15の移動フレーム37に装着された加圧シリンダ33と、加圧シリンダ33に連結されて移動可能な可動ブラケット34とを備えている。ここでは加圧シリンダ33により加圧されることで可動ブラケット34が通電ローラ23側へ押圧され、押さえローラ38がワークWを通電ローラ23に向けて押し付けるようになっている。
【0033】
移動機構15は、架台26に一軸方向に配設されたスライドレール16と、スライドレール16に支持された移動フレーム37と、架台26上にスライドレール16に沿って配置されてステップモータ等により回転駆動されるねじ軸17と、移動フレーム37に取り付けられてねじ軸17が螺合された駆動受部18と、を備えている。移動フレーム37には通電ローラ23、給電ローラ41、押さえローラ38の各軸受け部が支持されている。この移動機構15では、ねじ軸17の回転速度や回転量が制御されて駆動されると、移動フレームがスライドレール16に沿って所定速度及び所定量移動可能である。
【0034】
固定部32は、ワークWの加熱領域の端部に接触するように配設された固定電極12と、固定電極12に対向配置された押さえ部材36と、押さえ部材36を駆動する押圧機構と、を備える。固定電極12は電源部1の他方の電極と接続されている。押圧機構は移動部31の押圧機構35と同様に構成されている。
【0035】
固定電極12は、ワークWの加熱領域の一方の端部において加熱領域全幅に横断して接触するように配置されている。この固定電極12は銅、鋳鉄、カーボン等の導電性の高い材料から形成されており、ワークWとの当接面は平滑平面となっている。固定電極12は、ワークWとの接触面積を少なくすることでワークWからの伝熱を少なくでき、また通電加熱時に固定電極12付近における温度低下防止のため、固定電極12の加熱用ヒータを内蔵してもよい。
【0036】
[通電加熱方法]
このような通電加熱装置10を用い、ワークWに電流を流して加熱する方法について説明する。
まず、板状のワークWをワーク支持部により略水平な状態で所定位置に配置する。これによりブスバー25の表面がワークWの加熱領域全体に沿って近接配置され、ブスバー25の表面とワークWの表面とが略平行に対向する。
固定部32では、固定電極12の表面にワークWの加熱領域の端部の略全幅を接触させるとともに、押さえ部材36によりワークWを固定電極12に押し付ける。また移動部31では、通電ローラ23の表面にワークWの加熱領域の端部近傍を接触させるとともに、押さえローラ38によりワークWを通電ローラ23に押し付ける。
【0037】
この状態で、電源部1から固定電極12とブスバー25とに電圧を印加する。これにより、ブスバー25から給電ローラ41を介して通電ローラ23に給電され、通電ローラ23と固定電極12との間の加熱領域に電流を流す。
その後、移動フレーム37を移動機構により固定部32から離間する方向に移動させる。すると通電ローラ23、給電ローラ41及び押さえローラ38が相対位置を保持したまま移動し、通電ローラ23が給電ローラ41を介してブスバー25に接続した状態で、且つ、ワークWに接触した状態で、転動しながら通電状態で所定位置まで移動する。
【0038】
これにより、ワークWの加熱領域において通電される領域が、狭い範囲から広い範囲に広がり、移動方向の各部において異なる通電時間通電される。即ち、ワークWの固定電極12が接触している一方の端部側ではより長い時間通電され、他端側ほど短い時間通電される。
このときワークWの形状が略一定の厚みを有し、固定電極12が接触している側で幅が広く、他端側で狭い場合には、ワークWの形状に応じて通電ローラ23の移動速度及び移動量を調整することで全体を略均一に加熱することが可能である。
またワークWの形状に拘わらず、ワークWの形状変化とは異なるように通電ローラ23の移動速度及び移動量を調整することで、ワークWに温度分布を設けて加熱することが可能である。
【0039】
[第1実施形態の作用効果]
以上のような通電装置20によれば、ブスバー25がワークWに沿うように配設されているので、ブスバー25によりループが形成され難くてインダクタンス成分を小さくできる。その結果、力率が悪くならず、所定の電流をワークWに流すことができる。
移動電極11がブスバー25及びワークWに対して接触状態且つ通電状態で移動可能であるため、ワークWの大電流を通電する領域を変化させたり通電時間を変化させたりすることができる。
【0040】
このためワークWとブスバー25との相対位置が変化せず、ワークWを負荷として構成される回路の定数が変わらない。
また移動電極11を移動させるだけで通電領域や通電時間を変化できるため、従来のように電極や給電構造を多数設けたり、ワークWやブスバー25を移動する構造を設けたりして複雑な構造にする必要がなく、通電装置20を簡素でコンパクトに形成できる。従って、通電領域や通電時間を変化させてワークWの通電領域に所定の大電流を流すことが容易で簡素な構成を実現できる。
【0041】
この装置では、移動電極11がブスバー25とワークWとの間に配置されているので、ブスバー25からワークWまでの間の給電経路を短くでき、ロスを小さくできる。
また移動電極11が通電ローラ23のため、移動電極11を移動させる際の機械的抵抗を小さくでき、ワークWの長い範囲に接触させた状態でも容易に移動可能である。そのためワークWとの接触長さを長くして、効率よくワークWの加熱領域を加熱できる。
しかも移動電極11が通電ローラ23であれば、ワークW表面に接触した状態で安定して移動でき、例えば振動等によりワークW表面から浮き上がってスパークが生じることを防止でき、移動電極11を通電した状態で移動させてもワークWに大電流を安定して流すことができる。
【0042】
この装置ではブスバー25が、ワークWの加熱領域のうちの固定電極12が配置された部位を除く全体と対向しているので、移動電極11を移動させた際に、常に移動電極11とブスバー25とを近接位置で接続でき、給電経路を短くできる。しかも移動電極11を移動させた際にブスバー25からワークWまでの間の給電経路が変化しないため、安定した通電状態を維持することが可能である。
【0043】
この装置では、押さえ部材36によりワークWが移動電極11に押し付けられるので、移動電極11を移動させた際に移動電極11がワークWの表面から浮き上がることを防止でき、ワークWに安定して通電できる。
またワークWの加熱領域の幅方向全長に移動電極11を接触させて通電するため、移動電極をワークWの幅方向と交差する1方向に移動させれば加熱領域全体に通電でき、簡素な構成で効率よく加熱して通電時間を短縮できる。
【0044】
特に、第1実施形態の装置は、ブスバー25に接触して転動する給電ローラ41を備えているので、ブスバー25表面に接触した状態で移動させる際の移動抵抗を小さくでき、ブスバー25の長い範囲に接触させた状態で容易に移動させることができる。そのためブスバー25との接触長さを長く確保でき、ブスバー25から大電流を給電することが容易である。
【0045】
また第1実施形態の装置では、給電ローラ41が通電ローラ23と共に移動するため、移動電極11を移動させた際、ブスバー25から移動電極11までの給電経路を略一定に保つことができる。そのため移動電極11を移動させた際の電気的な条件の変動を小さく又は無くすことができ、ワークWに大電流を安定して流すことができる。
【0046】
第1実施形態の装置では、通電ローラ23と給電ローラ41とが互いに逆方向に転動して直接接触しているので、給電ローラ41の周面と通電ローラ23の周面とが接触部分で摺動せず、接触抵抗を小さくして給電ローラ41と通電ローラ23とを広い範囲で接触させた状態で移動させることができる。そのため給電ローラ41の表面と通電ローラ23の表面との接触幅を広く確保することが可能となり、給電ローラ41から通電ローラ23に大電流を給電することが容易である。しかもブスバー25からワークWまでの給電経路が給電ローラ41の表面及び通電ローラ23の表面からなるため顕著に簡素化でき、これにより大電流の給電が一層容易にできる。
【0047】
[第1実施形態の変形例]
第1実施形態では、電極対13の一方の電極を移動電極11とした例について説明したが、
図4に示すように、電極対13の双方の電極を移動電極11,11とすることも可能である。その場合、ブスバー25、25を双方の電極11,11の移動範囲に対応するように別々に設け、それぞれに上述のような通電装置20を構成する。そして両ブスバー25,25間に電圧を印加した状態で、双方の電極11,11を互いに近接位置から離間する方向に移動させることで、加熱領域を加熱する。このような通電装置であっても、上記と同様の作用効果が得られる。
【0048】
[第1実施形態の他の変形例]
図5は第1実施形態の他の変形例を示している。
第1実施形態は、給電ローラ41を通電ローラ23に対して所定位置となるように移動フレーム37に装着しており、通電ローラ23の軸線と給電ローラ41の軸線とがワークW及びブスバー25の長手方向の同じ位置に重なるように配置されている。
これに対してこの変形例では、各ローラ23,41が、移動部31の移動方向にずらして配置されている。ここではさらに給電ローラ23の直径を通電ローラ23に対して細くして前後に複数設けている。
【0049】
このように給電ローラ41を通電ローラ23に対してずれた位置に配置すれば、ワークWとブスバー25とをより近接して配置できる。そのためインダクタンスをより小さくできるとともに、通電装置20のコンパクト化を図ることが可能である。
【0050】
[第2実施形態]
第2実施形態の通電加熱装置10は、
図6及び
図7に示すように、ワークWに電流を給電するための電源部1と、電源部1に接続された通電装置20とを有する。通電装置20は、ブスバー25と、移動電極11を有する移動部31と、固定電極12を有する固定部32と、を備えている。この通電装置20には、ワークWを図示しない所定位置で支持するワーク支持部が設けられており、ワーク支持部にワークWを支持させると、ブスバー25の表面がワークWの表面と略平行となるように配置される。
【0051】
電源部1は、通電加熱時にワークWに所定の交流電流を供給可能なものであり、通電装置20と一体であっても別体に設けられていてもよい。
【0052】
ブスバー25は、銅等の高い導電性を有する材料からなり、例えば通電加熱時に必要な電流を給電可能な十分な断面積を有する硬質の板材である。このブスバー25はワークWの加熱領域に沿うように架台26に固定されており、電源部1の一方の電極に接続されている。この実施形態では、ワークWに対向する面が、ワークWの加熱領域のうちの固定電極12が配置された部位を除く全体に対向するように形成されている。
【0053】
移動部31は、ワークWの加熱領域に接触するように配設された移動電極11と、ブスバー25から移動電極11に給電するための給電機構40と、移動電極11に対向配置された押さえ部材36と、押さえ部材36を駆動する押圧機構35と、これらを一体に支持する移動フレーム37をワークWに沿って移動させる移動機構15と、を備えている。
移動電極11は、ブスバー25とワークWとの間に配置された状態で、給電機構40と接触しつつ、押さえ部材36及び押圧機構35と共に移動フレーム37に支持された状態で移動機構15により移動する。
【0054】
この第2実施形態の移動部31では、移動電極11、押さえ部材36及び押圧機構35は第1実施形態と同様のものを使用することができる。
第2実施形態の給電機構40は、
図8に示すように、ブスバー25のワークW側の表面に、通電ローラ23が接触可能に一体又は別体に設けられ、ワークWに対向する面の略全体に配置された導電ブラシ45を備えている。
導電ブラシ45は、導電性を有する多数の繊維を備えたもので、ワークWの加熱領域に対向する略全体に配置されている。この導電ブラシ45は、ブスバー25の表面から移動電極11と接触可能な高さに達する厚みで設けられており、通電ローラ23と接触した際弾性変形して適度な接圧で通電ローラ23に接触する。
【0055】
導電ブラシ45は通電加熱時にブスバー25から移動電極11に十分に給電可能な導電性を有することが必要である。例えば導電ブラシ45とブスバー25との間の導電性を良好になるように密着していること、先端側の移動電極11と接触する部位までの導電性が十分であること、通電時に溶融や熱変形等が生じない耐熱性を有すること、繰り返し移動電極が接触して変形させても劣化が生じ難いこと、などが必要となる。
【0056】
導電ブラシ45としては、直線的な導電性繊維を略同じ向きに配列して束ねたもの、導電性繊維を織布又は不織布状に集合させたもの、導電性繊維を一部が突出するように他の材料により固定したもの、柔軟性を有する材料と共に成形したもの、など、適宜な形態により形成することができる。また導電ブラシ45として、ブスバー25表面を構成する材料層に一部を埋設してブスバー25と一体化して形成することも可能である。導電繊維46を構成する材料は、例えばカーボンファイバー等が例示できる。
【0057】
移動機構15は、通電ローラ23のワークWと接触する幅全体を導電ブラシ45に接触させた状態で、通電ローラ23、押さえ部材36及び押圧機構35を移動フレーム37に支持し、この移動フレーム37を第1実施形態と同様の構造で、所定速度及び所定量移動可能となっている。
【0058】
この移動部31では、移動フレーム37により通電ローラ23を移動させると、通電ローラ23がワークWの表面に接触して転動して移動する。その際、通電ローラ23はブスバー25の表面に配置されている導電ブラシ45と摺接した状態で移動し、ブスバー25からの電流が導電ブラシ45を介して通電ローラ23の周面全体に給電されるため、ワークWに通電した状態で移動することが可能である。
【0059】
第2実施形態の固定部32は、ワークWの加熱領域の端部に接触するように配設された固定電極12と、固定電極12に対向配置された押さえ部材36と、押さえ部材36を駆動する押圧機構35と、を備える。固定電極12には電源部1の他方の電極と接続されている。これらの固定電極12、押さえ部材36、押圧機構35は第1実施形態と同様である。
【0060】
[通電加熱方法]
次に、通電加熱装置10を用いてワークWに電流を流して加熱する方法について説明する。
まず、板状のワークWをワーク支持部により略水平な状態で所定位置に配置する。これによりブスバー25の表面がワークWの加熱領域全体に沿って配置されてワークWの一方の表面と略平行に対向する。
固定部32において、固定電極12の表面にワークWの加熱領域の端部を接触させるとともに、押さえ部材36によりワークWを固定電極12に押し付ける。また移動部31において、通電ローラ23の表面にワークWの加熱領域の端部近傍を接触させるとともに、押さえローラ38によりワークWを通電ローラ23に押し付ける。
【0061】
この状態で、電源部1から固定電極12とブスバー25とに電圧を印加する。これによりブスバー25から導電ブラシ45を介して通電ローラ23に給電され、通電ローラ23と固定電極12との間の加熱領域に電流を流す。
その後、移動フレーム37を移動機構により固定部32から離間する方向に移動させる。すると通電ローラ23及び押さえローラ38が相対位置を保持したまま移動し、通電ローラ23が導電ブラシ45を介してブスバー25に接続した状態で、且つ、ワークWに接触した状態で、転動しながら通電状態で所定位置まで移動する。
【0062】
これによりワークWの加熱領域において通電される領域が、狭い範囲から広い範囲に広がり、移動方向の各部において異なる通電時間通電される。即ち、ワークWの固定電極12が接触している一方の端部側ではより長い時間通電され、他端側ほど短い時間通電されることで、ワークWの加熱領域が加熱される。
このとき第1実施形態と同様に移動速度及び移動量を調整することで、ワークWの加熱領域全体を略均一に加熱し、又は温度分布を設けて加熱することができる。
【0063】
[第2実施形態の作用効果]
この通電加熱装置20では、第1実施形態と同様に次の作用効果が得られる。
即ち、第1実施形態と同様、ブスバー25がワークWに沿うように配設されているので、ブスバー25によりループが形成され難くインダクタンス成分を小さくできる。その結果、力率が悪くならず、所定の電流をワークWに流すことができる。
移動電極11がブスバー25及びワークWに対して接触状態且つ通電状態で移動可能であるため、ワークWの大電流を通電する領域を変化させたり通電時間を変化させることができる。
【0064】
このためワークWとブスバー25との相対位置が変化せず、ワークWを負荷として構成される回路の定数が変わらない。そのため簡素な構成で所定の電流を流すことができる。
また移動電極11を移動させるだけで通電領域や通電時間を変化できるため、従来のように電極や給電構造を多数設けたり、ワークWやブスバー25を移動する構造を設けたりして複雑な構造にする必要がなく、通電装置20を簡素でコンパクトに形成できる。
従って、通電領域や通電時間を変化させてワークWの通電領域に所定の大電流を流すことが容易で簡素な構成を実現できる。
【0065】
この装置では、移動電極11がブスバー25とワークWとの間に配置されているので、ブスバー25からワークWまでの間の給電経路を短くでき、ロスを小さくできる。
また移動電極11が通電ローラ23のため、移動電極11を移動させる際の機械的抵抗を小さくでき、ワークWの長い範囲に接触させた状態でも容易に移動可能である。そのためワークWとの接触長さを長くして、効率よくワークWの加熱領域を加熱できる。
しかも移動電極11が通電ローラ23であれば、ワークW表面に接触した状態で安定して移動でき、例えば振動等によりワークW表面から浮き上がってスパークが生じることを防止でき、移動電極11を通電した状態で移動させてもワークWに大電流を安定して流すことができる。
【0066】
この装置では、ブスバー25が、ワークWの加熱領域のうちの固定電極12が配置された部位を除く全体と対向しているので、移動電極11を移動させた際に、常に移動電極11とブスバー25とを近接位置で接続でき、給電経路を短くできる。しかも移動電極11を移動させた際にブスバー25からワークWまでの間の給電経路が変化しないため、安定した通電状態を維持することが可能である。
【0067】
この装置では、押さえ部材36によりワークWが移動電極11に押し付けられるので、移動電極11を移動させた際に移動電極11がワークWの表面から浮き上がることを防止でき、ワークWに安定して通電できる。
またワークWの加熱領域の幅方向全長に移動電極11を接触させて通電するため、移動電極をワークWの幅方向と交差する1方向に移動させれば加熱領域全体に通電できる。
【0068】
また第2実施形態では第1実施形態と異なる構成を有するため、その構成の違いによる作用効果も得られる。
即ち、第2実施形態では、ブスバー25の導電ブラシ45に移動電極11が摺接するので、移動電極11の接触抵抗を小さくでき、ブスバー25と移動電極11とを長い範囲で接触させて移動させることができる。そのため移動電極11とブスバー25との接触長さを長く確保することが可能となり、ブスバー25から移動電極11に大電流を給電することが容易である。
しかもブスバー25からワークWまでの給電経路が導電ブラシ45及び移動電極11からなるため構成を顕著に簡素化できる。
【0069】
また第2実施形態では、導電ブラシ45がワークWの加熱領域の略全体に対向して配置されているので、加熱領域の各部には導電ブラシ45の各対向部位から給電することができる。そのため導電ブラシ45からワークWまでの給電経路を短くして略一定にでき、加熱領域全体に均等に通電できる。
【0070】
[第2実施形態の変形例]
上記第2実施形態では、電極対13の一方の電極を移動電極11とした例について説明したが、
図9に示すように、電極対13の双方の電極を移動電極11,11とすることも可能である。その場合、ブスバー25及び導電ブラシ45を双方の電極11,11の移動範囲に対応するように別々に設け、それぞれに上述のような通電装置20を構成する。そして両ブスバー25間に電圧を印加した状態で、双方の電極11,11を互いに近接位置から離間する方向に移動させることで、加熱領域を加熱する。このような通電装置20であっても、上記と同様の作用効果が得られる。
【0071】
[第3実施形態]
第3実施形態の通電加熱装置10は、
図10及び
図11に示すように、ワークWに電流を給電するための電源部1と、電源部1に接続された通電装置20とを有する。通電装置20はブスバー25と、移動電極11を有する移動部31と、固定電極12を有する固定部32と、を備えている。この通電装置20では、ワークWを図示しない所定位置で支持するワーク支持部が設けられており、ワーク支持部にワークWを支持させると、ブスバー25の表面がワークWの表面と略平行となるように配置される。
【0072】
電源部1は、通電加熱時にワークWに所定の交流電流を供給可能なものであり、通電装置20と一体でも別体に設けてもよい。
【0073】
ブスバー25は、第1実施形態と同様に、銅等の高い導電性を有する材料からなり、例えば通電加熱時に必要な電流を給電可能な十分な断面積を有する硬質の板材である。このブスバー25は、ワークWの加熱領域に沿うように架台26に固定されており、電源部1の一方の電極に接続されている。
この実施形態では、ワークWに対向する面がワークWの加熱領域のうちの固定電極12が配置された部位を除く全体に対向する広さを有すると共に、移動部31の通電ローラ23及び給電ローラ41に対向する幅を有しており、全体が平滑な平面に形成されている。ワークWに対向する面が、ワークWの加熱領域のうちの固定電極12が配置された部位を除く全体に対向する平滑な平面に形成されている。
【0074】
第3実施形態の移動部31は、ワークWの加熱領域に接触するように配設された移動電極11と、ブスバー25から移動電極11に給電するための給電機構40と、移動電極11に対向配置された押さえ部材36と、押さえ部材36を駆動する押圧機構35と、これらを支持した移動フレーム37をワークWに沿って移動させる移動機構15と、を備えている。
【0075】
第3実施形態の移動部31では、押さえ部材36及び押圧機構35は第1実施形態と同様のものを使用することができる。
【0076】
移動電極11は、ワークWの表面に接触して転動する通電ローラ23からなる。通電ローラ23は、全周面及び軸部23aが導電性を有する材料からなり、全周面と軸部23aとの間が十分な導電性を有している。この通電ローラ23は移動フレーム37に装着された軸受部24に回転自在に支持されている。通電ローラ23の周面は移動方向に対して直交方向にワークWの加熱領域と接触し、接触部分が加熱領域の全幅を横断している。通電ローラ23は、第1実施形態と同様に、銅、鋳鉄、カーボン等の導電性の高い材料から形成されており、表面が断面円形の平滑面となっている。
【0077】
給電機構40は、ブスバー25の表面に接触して転動する給電ローラ41を備える。給電ローラ41は、通電ローラ23より大径に形成され、通電ローラ23の両端側の軸部23aに装着されている。給電ローラ41は軸部23aに固定されていてもよいが、軸部23aより軟質の金属等からなるスライド軸受けを介して軸部23aに回動可能に装着されてもよい。給電ローラ41の周面と軸部23aとの間は十分な導電性を有するのがよい。
【0078】
移動機構15は、第1実施形態と同様に構成されている。ここでは通電ローラ23及び給電ローラ41を支持する軸部23aの軸受部24と、押さえローラ38の軸受部39とが、移動フレーム37に支持されて移動可能となっている。
【0079】
この移動機構15では、ねじ軸17が回転速度や回転量が制御されて駆動されると、移動フレームがスライドレール16に沿って所定速度及び所定量移動し、これに伴って通電ローラ23及び給電ローラ41が移動する。その際、通電ローラ23がワークWに接触した状態で、給電ローラ41がブスバー25に接触した状態のまま移動可能である。
【0080】
押さえ部材36が加圧されると、ワークWが通電ローラ23に押し付けられる。給電ローラ41が通電ローラ23より大きな直径を有するため、通電ローラ23はブスバー25の表面と離間した状態でワークWと圧接される。また給電ローラ41がワークWよりも両外側に配置されているため、ワークWに接触することなくブスバー25の両側縁側に圧接される。
【0081】
一方、第3実施形態の固定部32は、ワークWの加熱領域の端部に接触するように配設された固定電極12と、固定電極12に対向配置された押さえ部材36と、押さえ部材36を駆動する押圧機構35と、を備える。固定電極12には電源部1の他方の電極と接続されている。これらの固定電極12、押さえ部材36、押圧機構35は第1実施形態と同様である。
【0082】
[通電加熱方法]
次に、上記通電加熱装置10を用いてワークWに電流を流して加熱する方法について説明する。
まず板状のワークWをワーク支持部により略水平な状態で所定位置に配置する。これによりブスバー25の表面がワークWの加熱領域全体に沿って配置されてワークWの一方の表面と略平行に対向する。
固定部32において、固定電極12の表面にワークWの加熱領域の端部を接触させるとともに、押さえ部材36によりワークWを固定電極12に押し付ける。また移動部31において、通電ローラ23の表面にワークWの加熱領域の端部近傍を接触させるとともに、押さえローラ38によりワークWを通電ローラ23に押し付ける。
【0083】
この状態で、電源部1から固定電極12とブスバー25とに電圧を印加する。これによりブスバー25から給電ローラ41を介して通電ローラ23に給電し、通電ローラ23と固定電極12との間の加熱領域に電流を流す。
その後、移動フレーム37を移動機構15により固定部32から離間する方向に移動させる。すると通電ローラ23及び押さえローラ38が相対位置を保持したまま移動し、通電ローラ23が給電ローラ41を介してブスバー25に接続した状態で、且つ、ワークWに接触した状態で、転動しながら通電状態で所定位置まで移動する。このとき通電ローラ23と給電ローラ41とが逆方向に回転してもよく、一方がワークWやブスバー25と摺動してもよい。
【0084】
これによりワークWの加熱領域において通電される領域が、狭い範囲から広い範囲に広がり、移動方向の各部において異なる通電時間通電される。即ち、ワークWの固定電極12が接触している一方の端部側ではより長い時間通電され、他端側ほど短い時間通電されて、ワークWの加熱領域が加熱される。
このとき第1実施形態と同様に移動速度及び移動量を調整することで、ワークWの加熱領域全体を略均一に加熱し、且つ温度分布を設けて加熱することができる。
【0085】
[第3実施形態の作用効果]
以上のような通電加熱装置10であっても、第1実施形態と同様に、次のような作用効果が得られる。
即ち、第1実施形態と同様に、ブスバー25がワークWに沿うように配設されているので、ブスバー25によりループが形成され難くてインダクタンス成分を小さくできる。その結果、力率が悪くならず、所定の電流をワークWに流すことができる。
移動電極11がブスバー25及びワークWに対して接触状態且つ通電状態で移動可能であるため、ワークWの大電流を通電する領域を変化させたり通電時間を変化させることができる。
【0086】
このためワークWとブスバー25との相対位置が変化せず、ワークWを負荷として構成される回路の定数が変わらない。そのため簡素な構成で所定の電流を流すことができる。
また移動電極11を移動させるだけで通電領域や通電時間を変化できるため、従来のように電極や給電構造を多数設けたり、ワークWやブスバー25を移動する構造を設けたりして複雑な構造にする必要がなく、通電装置20を簡素でコンパクトに形成できる。
【0087】
この装置では、移動電極11がブスバー25とワークWとの間に配置されているので、ブスバー25からワークWまでの間の給電経路を短くでき、ロスを小さくできる。
また移動電極11が通電ローラ23のため、移動電極11を移動させる際の機械的抵抗を小さくでき、ワークWの長い範囲に接触させた状態でも容易に移動可能である。そのためワークWとの接触長さを長くして、効率よくワークWの加熱領域を加熱できる。
しかも移動電極11が通電ローラ23であれば、ワークW表面に接触した状態で安定して移動でき、例えば振動等によりワークW表面から浮き上がってスパークが生じるようなことを防止でき、移動電極11を通電した状態で移動させてもワークWに大電流を安定して流すことができる。
【0088】
この装置では、ブスバー25が、ワークWの加熱領域のうちの固定電極12が配置された部位を除く全体と対向しているので、移動電極11を移動させた際に、常に移動電極11とブスバー25とを近接位置で接続でき、給電経路を短くできる。しかも移動電極11を移動させた際にブスバー25からワークWまでの間の給電経路が変化しないため、安定した通電状態を維持することが可能である。
【0089】
この装置では、押さえ部材36によりワークWが移動電極11に押し付けられるので、移動電極11を移動させた際に移動電極11がワークWの表面から浮き上がることを防止でき、ワークWに安定して通電できる。
またワークWの加熱領域の幅方向全長に移動電極11を接触させて通電するため、移動電極をワークWの幅方向と交差する1方向に移動させれば加熱領域全体に通電できる。
【0090】
また第3実施形態では第1実施形態と異なる構成を有するため、その構成の違いによる作用効果も得られる。
即ち、第3実施形態の装置では、給電ローラ41が移動電極11の両端側に設けられてブスバー25に接触して移動するので、ブスバー25とワークWとの間の間隙を狭くできる。また移動電極11の大きさに拘わらずブスバー25に対する移動抵抗やワークWに対する移動抵抗を小さくできる。そのため大電流の給電を一層容易にできる。
【0091】
[第3実施形態の変形例]
上記第3実施形態では、電極対13の一方の電極を移動電極11としたが、
図12に示すように、電極対13の双方の電極を移動電極11,11としてもよい。その場合ブスバー25,25を双方の電極11,11の移動範囲に対応するように別々に設け、それぞれに上述のような通電装置20を構成する。そして両ブスバー25,25間に電圧を印加した状態で、双方の電極11,11を互いに近接位置から離間する方向に移動させることで、加熱領域を加熱する。このような通電装置20であっても、上記と同様の作用効果が得られる。
また上記第3実施形態では、通電ローラ23と給電ローラ41とを同じ軸に装着したが、異なる軸に装着して通電ローラ23と給電ローラ41との間を通電可能に構成してもよい。
【0092】
なお、上記各実施形態は本発明の範囲内において適宜変更可能である。例えば上記各実施形態では、通電装置を通電加熱装置として用いた例について説明したが、本発明の通電装置はワークの通電加熱装置以外の装置であっても、ワークに電流を通電するために使用することができる。
上記各実施形態では、通電しながら一対の移動電極11を移動させることで、一対の移動電極間の間隙を変化させる例について説明したが、一対の移動電極11を相対位置を一定にして同じ間隔を保ちつつワークW及びブスバー25に対して移動させて通電することも可能である。
上記各実施形態では、移動電極として、ワークW表面に接触して転動する通電ローラ23を用いた例について説明したが、移動電極として例えばワークW表面で摺動する部材を用いることも可能である。