(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
給水管に接続された水栓の吐水口から水受槽内に給水を行うとともに、該水受槽の底部から下向きに凹陥した形態の排水用凹部の排水口から、該水受槽に受けた水を排水管に排水する給排水装置において、
前記排水用凹部の内部には回転軸線周りに回転する回転羽根を設けて、前記給水管から前記吐水口までの給水流路の流れの力を駆動力として該回転羽根を回転駆動し、前記排水用凹部内の排水に対して該回転羽根の回転の力を作用させて該凹部内を洗浄する洗浄水流を生ぜしめるようになし、
前記給水流路の一部を前記排水用凹部に近接して設け、
該給水流路には該給水流路の流れの力で回転する水車を設けて、該水車に水車側磁石を一体回転状態に設けるとともに、
前記排水用凹部には、前記回転羽根と一体回転する羽根側磁石を、前記給水流路側の該水車側磁石と磁気カップリング可能に設け、
該水車側磁石と前記羽根側磁石とが隔壁で隔てた位置にあることを特徴とする給排水装置。
請求項1において、前記排水用凹部は、底部に排水口を有する上側の第1の排水用凹部と、排水トラップを構成する下側の第2の排水用凹部とを有しており、該第2の排水用凹部の内部に封水に回転力を与える前記回転羽根が設けてあることを特徴とする給排水装置。
【背景技術】
【0002】
通常、流し台のシンク(水受槽)には、その底部から凹陥した形態の排水ボウル(排水用凹部)が設けられており、流し台に備えた水栓(流し台水栓)の吐水口からの吐水(給水)が、シンクからこの排水ボウル内に流れ込み、更にその排水ボウルの底部に設けた排水口から排水管へと排水されるようになっている。
またその排水ボウル内には、一般に生ごみ等を入れるごみ籠が収容されるようになっている。
【0003】
この排水ボウル等の排水用凹部の内面には、栄養分を取り込んで増殖した菌類やその死骸またその代謝物等が堆積することによるヌメリが生じがちである。
このようなヌメリその他の油分等の汚れが付着した状態は非衛生的であり、また悪臭の元となる。
流し台のシンクには、また、底部から凹陥した形態で排水トラップを構成する排水用凹部が設けられることもあり、この場合においても排水用凹部の内面に汚れが付着し、また堆積する問題がある。
【0004】
従来、このような排水用凹部を洗浄するための装置が種々提案されている。
例えば下記特許文献1には「シンク排水トラップ」についての考案が示され、そこにおいてゴミを入れる網かご(9)を内側に収容する筒(3a)にスプレーノズル(5)を取り付けて、これを給湯管(1b)に接続し、流し台のキャビネットに備えた切換え装置(7b)の作動ボタンを使用者が押すことで、電磁弁(7a)を開いてスプレーノズル(5)から湯を噴射し、筒(3a)内に湯の強い旋回流を形成して汚物を洗浄し、排除するようになした点が開示されている。
【0005】
また下記特許文献2には、排水用凹部を構成する排水装置本体(1)内の排水トラップ(3)近傍において、給水源に連通する洗浄ノズル(7)を斜め下向きに複数配置し、それら洗浄ノズル(7)から、水道分岐管(13)からの水を噴射して封水に渦流を発生させ、封水部(6)内の厨芥垢類を除去するようになした点が開示されている。
【0006】
しかしながらこれら従来の装置は、何れも上水を単に洗浄のためだけに吐水するもので、そのための特別な操作を使用者が行わなければならず、洗浄操作のために手間を要する問題がある他、洗浄のために吐水された上水はそのまま排水されることから、洗浄の頻度が高いと水の使用量が多く、節水が叫ばれる今日にあって問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上のような事情を背景とし、効果的に節水を果たすことができるとともに、排水用凹部洗浄のための使用者が特別の操作を行うことを不要となし得る給排水装置を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
而して請求項1のものは、給水管に接続された水栓の吐水口から水受槽内に給水を行うとともに、該水受槽の底部から下向きに凹陥した形態の排水用凹部の排水口から、該水受槽に受けた水を排水管に排水する給排水装置において、前記排水用凹部の内部には回転軸線周りに回転する回転羽根を設けて、前記給水管から前記吐水口までの給水流路の流れの力を駆動力として該回転羽根を回転駆動し、前記排水用凹部内の排水に対して該回転羽根の回転の力を作用させて該凹部内を洗浄する洗浄水流を生ぜしめるようになし、
前記給水流路の一部を前記排水用凹部に近接して設け、該給水流路には該給水流路の流れの力で回転する水車を設けて、該水車に水車側磁石を一体回転状態に設けるとともに、前記排水用凹部には、前記回転羽根と一体回転する羽根側磁石を、前記給水流路側の該水車側磁石と磁気カップリング可能に設け、該水車側磁石と前記羽根側磁石とが隔壁で隔てた位置にあることを特徴とする。
【0010】
請求項2のものは、請求項1において、前記排水用凹部の底部に前記排水口が設けてあり、前記回転羽根は、前記回転軸線が該排水口の内側で上下向きとなり、少なくとも上端が前記排水用凹部における底面の該排水口周りの縁部よりも上側に位置する状態に設けてあることを特徴とする
。
【0011】
請求項
3のものは、請求項1,2の何れかにおいて、前記回転羽根は、前記回転軸線を中心として法線方向に直線状に延びる形状となしてあることを特徴とする。
【0012】
請求項
4のものは、請求項1において、前記排水用凹部は、底部に排水口を有する上側の第1の排水用凹部と、排水トラップを構成する下側の第2の排水用凹部とを有しており、該第2の排水用凹部の内部に封水に回転力を与える前記回転羽根が設けてあることを特徴とする。
【0013】
以上のように本発明は、水受槽の排水用凹部の内部に回転羽根を設けて、給水管から吐水口までの給水流路の流れの力を駆動力として回転羽根を回転駆動し、水栓の吐水口からの吐水即ち給水により排水用凹部内に流れ込んだ排水に対し回転羽根の回転の力を作用させて、凹部内を洗浄する洗浄水流を生ぜしめるようになしたものである。
【0014】
本発明において、排水用凹部内の回転羽根は自身に排水の流れが当ることによって回転するのではなく、給水管から吐水口までの給水流路の流れの力を駆動力として強制的に回転駆動されるため、排水用凹部内に強い洗浄水流を生ぜしめ得て、排水用凹部内を効果高く洗浄することが出来る特長を有する。
【0015】
本発明では、吐水口から吐水を行うと回転羽根が回転して自動的に排水用凹部内を洗浄する。
従って使用者は排水用凹部内を洗浄するための特別の操作を行う必要は無いので、洗浄のために手間を要するといったことが無く、洗浄のための負担は使用者には掛からない。
即ち本発明では、使用者が洗浄をしようとする意識をもたなくても、水栓を使用すれば自動的に回転羽根が回って排水用凹部内が洗浄される。
【0016】
また本発明では、シンク等の水受槽で水栓を用いて水作業をすると、その排水自体が洗浄水流となって凹部内を洗浄するため、従来の装置のように上水を洗浄のみのためにだけ吐水する場合と比べて、水を洗浄のためだけに使用してしまうといったことがなく、節水を図ることができる。
【0017】
本発明では回転羽根を複数設けておくことが望ましいが、場合によって回転羽根を1つだけ設けておくといったことも可能である。
また回転羽根の回転により、渦流ないし旋回流を洗浄水流として発生させるようになすことができるが、その他様々の洗浄水流を生ぜしめることで凹部内を洗浄するようになすこともできる。
【0018】
本発明ではまた、給水流路に水車を設けて、その水車に水車側磁石を一体回転状態に設けるとともに、排水用凹部に、前記回転羽根と一体回転する羽根側磁石を、給水流路側の水車側磁石と磁気カップリング可能に設け、水車側磁石と羽根側磁石とが隔壁で隔てた位置に設けてある。
【0019】
本発明では、排水用凹部の底部に排水口を設け、そして回転羽根を、回転軸線が排水口の内側で上下向きとなり、少なくとも上端が排水用凹部における底面の、排水口周りの縁部よりも上側に位置する状態に設けておくことができる(請求項2)。
【0020】
この請求項2において、排水用凹部内の回転羽根は、上記のようにこれに衝突する水流の勢いで回転するのではなく、他部で発生した駆動力、具体的には給水管から吐水口までの給水流路の流れによって発生した駆動力にて強制的に回転駆動される。
この場合、排水用凹部内で強制駆動で回転する、上記のように配置した回転羽根は、シンク等の水受槽の底部から排水用凹部内に流れ込み、更にその排水用凹部の底部を排水口に向って流れる排水の流れに対して抵抗体として働く。
【0021】
即ち強制駆動で回転する回転羽根は、排水用凹部の周壁を伝って流下し、更にその底部を経て排水口に、その周りから流れ込もうとする排水に対し、自身を回転方向に当て、排水口に向う流れに抵抗を与えて流れを阻害するように作用するとともに、更に加えて自身の回転による遠心力をその流れに作用させ、排水口に向おうとする水の流れを逆方向、即ち排水口から遠ざかる方向に押し返し、その作用によって排水口周りに水を滞留させる。
のみならずこの回転羽根は、その滞留した水に対して自身の回転による遠心力の作用で撹拌作用を及ぼしつつ渦流等の洗浄水流、詳しくは排水用凹部内を洗浄する洗浄水流を生ぜしめる。
【0022】
発生した洗浄水流は排水用凹部の内面に勢い良く当って、その内面に付着した、ヌメリに至る前の菌とその栄養分や油分その他の汚れを除去し、同内面を洗浄する。
また排水用凹部内にごみ籠が収容されている場合には、同じくその洗浄水流をごみ籠の主として下面を含む外面に当てて、これを洗浄する。
【0023】
本発明ではまた、上記回転羽根の形状を、回転軸線を中心として法線方向に直線状に延びる形状となしておくことができる(請求項
3)。
ここで法線方向とは、回転軸線を中心とする回転軸線周りの円に対する法線方向を意味する。
このようにすれば、回転羽根の回転により、排水に対し効果的に遠心力を及ぼすことができ、渦流等の洗浄水流を効果的に生ぜしめることができる。
【0024】
特に請求項2においては、回転羽根の回転により、排水用凹部の底部から排水口に向う水の流れに対し効果的に抵抗を与えることができるとともに、回転による遠心力を排水に対して効果的に及ぼして排水を排水口から遠ざかる方向に押し返し、排水口周りに滞留水を生ぜしめ且つその滞留水にて洗浄水流を効果的に生ぜしめることができる。
【0025】
本発明では、排水用凹部を、底部に排水口を有する上側の第1の排水用凹部と、排水トラップを構成する下側の第2の排水用凹部とを有するものとなし、そして第2の排水用凹部内に封水に回転力を与える回転羽根を設けておくことができる(請求項
4)。
このようにすれば、封水に洗浄水流を生ぜしめて第2の排水用凹部の内面を洗浄することができるとともに、封水の上面に浮いた浮遊物の第2の排水用凹部や排水管への固着を避けることができる。
【0026】
この場合において、上側の第1の排水用凹部にも回転羽根を設けておくこと、第1の排水用凹部においては、回転羽根を、回転軸線が排水口の内側で上下向きとなり、少なくとも上端が排水用凹部における底面の、排水口周りの縁部よりも上側に位置する状態に設けておくこと、上側の第1の排水用凹部と下側の第2の排水用凹部の回転羽根とを、共通の回転シャフトに一体回転状態に設けておくこと、またそれら第1の排水用凹部の回転羽根と第2の排水用凹部の回転羽根とを
、水車による駆動力にて回転駆動するようになすこと、第2の排水用凹部の回転羽根もまた回転軸線を中心として法線方向に直線状に延びる形状となしておくことが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に本発明の実施形態を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は流し台(図示省略)に備えられたシンク(水受槽)で、このシンク10に流し台水栓(以下単に水栓とする)12が設けられている。ここで水栓12はシングルレバー式の混合水栓である。
水栓12は、シンク10の頂面から起立する水栓本体14と、水栓本体14からシンク10の中央側に向かって延び出した吐水管16とを有している。吐水管16の先端には吐水口18が備えられている。
また水栓本体14の内部には、水と湯とを混合する混合部が備えられている。
【0029】
20はレバーハンドルで、このレバーハンドル20の操作により吐水口18からの吐水と止水及び吐水の流量調節、更に吐水の温度調節が行われる。
水栓12には、水,湯をそれぞれ給水する給水管22が接続されている(図では一方の給水管22のみ示され、他方の給水管22は図示省略されている)。
24は水栓12の混合部からの水を吐水口18に導く給水流路を内側に形成する配管で、この配管24に後述の水車ユニット25が接続されている。
【0030】
図中24Aは、混合弁から出た水を水車ユニット25に流入される入側の配管、24Bは水車ユニット25から流出した水を吐水口18側に導く出側の配管で、それぞれの一端部が水車ユニット25の後述の水車ハウジング26に接続されている。
【0031】
図2において、28はシンク10の底部30から凹陥した形態で構成された排水用凹部で、この例において排水用凹部28は、上側の第1の排水用凹部を構成する排水ボウル32と、下側の第2の排水用凹部を構成する、排水トラップ34の外筒36とを有している。
排水ボウル32は、上端に径方向外方に環状に張り出したフランジ部38を有しており、そのフランジ部38を、シンク10における底部30の開口40縁部に掛止させる状態に底部30に取り付けられている。
【0032】
42は、排水ボウル32内部に収容された、生ごみ等を入れるごみ籠で、上端部に断面L字状且つ周方向にリング状をなす枠部43を有しており、この枠部43を排水ボウル32の環状の段付部44に掛止させる状態に、排水ボウル32内部に保持されている。
ここでごみ籠42は、枠部43を除くほぼ全体がメッシュにて構成されている。
【0033】
排水トラップ34は、外筒36と、その内側に上側から下向きに挿入された内筒46とを有しており、それら外筒36と内筒46とによって下部に封水48を保持している。
排水トラップ34は、封水48を保持することによって排水管50の側からシンク10内への臭気の逆流を防止する。
【0034】
外筒36には、その上部に排水口(第2の排水口)58が横向きに設けられており、この排水口58から円筒形状の接続管52が突き出している。
接続管52の内部には排水管50の端部が内嵌状態に嵌合されており、それら接続管52と排水管50とが、それぞれに形成されたフランジ部54を重ね合せ状態で挟持するクリップ56にて抜止状態に接続されている。
ここで内筒46は、上端と下端とが開口形状とされており、シンク10からの排水は、内筒46の上端の開口から内筒46内に流入して流下し、そしてその下端の開口から、内筒46と外筒36との間に流出して、外筒36の上記横向きの排水口58から排水管50へと流出し、外部に排出される。
【0035】
図3に示すように、上記排水ボウル32は円形の周壁部59と、底部60とを有している。
底部60には、その中心部に開口が形成されており、その開口の内側に上記の内筒46の上端部が配置されている。
この内筒46の上端の開口は、排水ボウル32における排水口62となるもので、排水ボウル32内の排水はこの排水口62を通じて下方に排出される。
排水ボウル32の開口の縁部には、径方向内向きの環状のフランジ部64が設けられており、そのフランジ部64に対して、外筒36の上端部と内筒46の上端部とが取り付けられている。
【0036】
66,68は、内筒46の上端部及び外筒36の上端部を排水ボウル32のフランジ部64に取り付けるための取付部材で、何れも円形のリング状をなしている。
これら取付部材66,68はフランジ部70,72を有しており、それらフランジ部70,72にて排水ボウル32のフランジ部64を上下両側から挟み込む状態に、取付部材66の外周面の雄ねじと、取付部材68の内周面の雌ねじとのねじ結合で、排水ボウル32のフランジ部64に固定されている。
【0037】
そして取付部材66に対して、内筒46の上端部が内嵌状態に嵌合された上で、内筒46の上端の掛止部74が、取付部材66の内面の段付部に掛止されることで、内筒46が取付部材66,68を介して排水ボウル32のフランジ部64に取り付けられ、保持されている。
尚、内筒46は取付部材66に対して、図中上側から下向きに差し込まれることで、取付部材66に取り付けられ、保持される。
【0038】
一方外筒36は、その上端部が取付部材68の円筒状の嵌合部76に対して内嵌状態に嵌合された上、それぞれに設けられたフランジ部78が互いに重ね合せ状態でクリップ80により挟持されることで、取付部材68に取り付けられ、保持されている。
【0039】
尚、内筒46の上端部からは径方向内方にアーム82が延び出しており、その内端部において、後述の回転シャフト86を回転可能に嵌入させてこれを径方向に支持する円筒状の支持部84を構成している。
図2に示しているように、内筒46の下端部からも同様にアーム82が径方向内方に延び出しており、その内端部において、回転シャフト86を回転可能に嵌入させてこれを径方向に支持する円筒状の支持部84を構成している。
【0040】
ここで回転シャフト86は、排水口62の内側の中心位置に且つ上下向きに配置されており、排水ボウル32の内部に設けられた羽根車88が、その上端部に一体回転状態に連結されている。
羽根車88の具体的構成や配置位置及び作用については後述する。
【0041】
図4に示しているように、回転シャフト86の下端には有底の円筒部90が設けられており、その円筒部90にドーナツ環状の磁石92が取り付けられている。
ここで磁石92は、上記の羽根車88と一体に回転する羽根側磁石となる。
この円筒部90の上底部には、回転シャフト86から放射状に、即ち法線方向に直線状に延びる形状の回転羽根94が、一体回転状態に設けられている。
ここで回転羽根94は、封水48に回転力を与えて、封水に渦流を洗浄水流として生ぜしめる働きを有する。
【0042】
上記外筒36は下端部に開口96を有しており、その開口96がキャップ98にて閉鎖されている。
キャップ98は、外筒36の開口96周りに形成された円筒部100に対して外嵌状態に嵌合されている。
このキャップ98には、円筒状の凹部102が設けられており、その凹部102内に、上記の磁石92を含む円筒部90の下部が回転可能に収容されている。
尚、キャップ98にはその中心部において上向きに突出する支持軸104が設けられており、その支持軸104によって回転シャフト86を回転可能に上向きに支持している。
【0043】
キャップ98の下側には、上記の水車ユニット25が配置されており、その水車ユニット25の水車ハウジング26が、キャップ98に対してクリップ106にて取り付けられている。
詳しくは、キャップ98と水車ハウジング26とのそれぞれに設けられたフランジ部108を重ね合せ状態で挟持するクリップ106にて、水車ハウジング26がキャップ98に取り付けられている。
【0044】
水車ハウジング26の内部には水車110が回転可能に収容されている。
水車110は外周部に羽根112を有している。また本体部114には、ドーナツ環状を成す磁石116が設けられている。
磁石116は水車側磁石となるもので、この磁石116に対して上記の羽根側磁石となる磁石92が、給水流路の一部を形成する水車ハウジング26,及び上記のキャップ98を隔壁として、その内側位置に配置され、径方向に対向せしめられている。
【0045】
即ちこれら磁石116,92によって水車110と回転シャフト86、即ち上記の羽根車88とが磁気カップリングされている。そしてその磁気カップリングにより、水車110の回転の力が回転シャフト86を経て排水ボウル32内の上記の羽根車88に伝えられ、羽根車88が水車110と一体に排水ボウル32内で回転せしめられる。
つまり水栓12の混合部から吐水口18までの給水流路の流れの力を駆動力として、羽根車88が排水ボウル32内で強制的に回転駆動せしめられる。
水車110は、底部118から上下方向に突出する回転軸120を有しており、その回転軸120の下端部と上端部とが、水車ハウジング26に設けられた軸受部122,124にて回転可能に支持されている。
【0046】
水車ハウジング26には、流入口126と流出口128とが設けられており、
図1に示した入側配管24Aからの水は、この流入口126から水車ハウジング26内に流入して、その流れを水車110の羽根112に対して水車110を一定方向に回転させる向きに当て、これを回転させる。
そして水車110を通過した水が流出口128から流出する。
流出した水は、出側配管24Bにて水栓12の吐水口18へと導かれ、そして吐水口18からシンク10内に吐水される。即ちシンク10内に水栓12からの水として給水される。
【0047】
排水ボウル32の内部に配置された上記の羽根車88は、
図5に示しているように中心部にハブ130を、外周部に円形のドーナツ環状の板状部132を有し、それらの間に開口134を形成している。
また中心部のハブ130と外周部の板状部132とは、アーム136にて連結されている。
【0048】
外周部の板状部132は、
図5(B)に示しているように中心側から外周側に向かって上向きに傾斜した形状をなしている。そしてその板状部132の下側において、側面形状及び正面形状が三角形状をなす回転羽根138が、周方向に沿って一定間隔毎に複数設けられている。
ここで回転羽根138は、羽根車88の中心側から放射方向に即ち法線方向に直線状に延びる形状とされている。
尚、板状部132の内周側の付根部は全周に亘り板状部132の他部よりも厚肉に構成されており、その厚肉部140が、
図5(C)に示しているようにアーム136とともに下向きに突出せしめられている。
【0049】
上記ハブ130は、これら厚肉部140よりも更に下向きに突出せしめられている。
このハブ130には、
図5(B)に示しているように下向きに開口した嵌込孔142が設けられており、そこに上記の回転シャフト86の上端部が圧入嵌合され、羽根車88が回転シャフト86と一体に回転せしめられるようになっている。
【0050】
図2及び
図3に示しているように、羽根車88は排水ボウル32における排水口62の真上位置に配置されており、そして羽根車88に備えられた複数の回転羽根138のそれぞれが、排水ボウル32における底部60の上面(底面)、詳しくは底面における排水口62周りの縁部60aよりも全体的に上側に位置せしめられている。
【0051】
この実施形態では、使用者が水栓12のレバーハンドル20を操作して吐水口18から吐水し水作業を行うと、吐水口18から吐水された水即ち給水された水はシンク10にて受けられて、シンク10の底部30から
図6に示しているように排水ボウル32の内部へと排水される。
【0052】
このときシンク10の底部30を流れた水(排水)は、排水ボウル32の周壁部59の内面を伝って流下し、排水ボウル32の底部60へと至る。
底部60に至った排水は、その底部60に沿って排水口62に向う流れとなり、その流れが排水口62周りの全周から排水口62に向って求心方向に流れ込もうとする(その際に排水の流れは排水口62周りの全周から排水口62に向う求心方向の流れとなるために、その流れは羽根車88即ち回転羽根138を特定の一方向に回転させる力としては働かない)。
【0053】
このとき排水ボウル32内の羽根車88は、配管24内の給水流路の流れの力を駆動力として既に強制的に回転駆動されている。
そのため排水ボウル32内の排水が底部60に沿って排水口62に流れ込もうとしたときに、強制駆動で回転する羽根車88の回転羽根138が、その排水の流れに対して回転方向に当り、排水口62に向う排水の流れの抵抗となって排水口62への流入を抑制する。
【0054】
回転羽根138は、その流れの抵抗体となるのみならず、自身の回転による遠心力を排水の流れに作用させて、
図6に示しているように排水を排水口62から遠ざかる方向に押し返し、その作用によって排水口62周りに排水を滞留させる。
のみならず回転羽根138は、その滞留水に対し遠心力を働かせることで、撹拌作用を及ぼしつつ渦流等の洗浄水流を生ぜしめる。
【0055】
発生した洗浄水流は排水ボウル32の内面に勢い良く当って、その内面に付着した、ヌメリに至る前の菌とその栄養分や油分その他の汚れを除去し、排水ボウル32の内面を洗浄する。
併せて発生した洗浄水流はごみ籠42の外面、主としてその下面に当って、そこに付着した汚れを併せて除去し、洗浄作用する。
【0056】
洗浄後の水は、その後その一部が羽根車88の回転継続中に排水口62を経て排水トラップ34内に流入し、或いは水栓12からの給水停止によってその全体が排水口62から排水トラップ34へと流入し、更に続いて横向きの排水口58から排水管50内に流れ出て、排水管50を通じ外部に排出される。
【0057】
尚、回転羽根138による排水の押し返しの量が過剰になると、押し返された排水が排水ボウル32からシンク10の底部30側に溢れてしまう恐れがあるが、本実施形態では滞留水が過剰になったときには、その過剰な滞留水が羽根車88の開口134を通じて排水口62内に流出できるため、羽根車88周りに過剰な滞留水が生じて、その排水が羽根車88による遠心力の作用でシンク10の底部30側に溢れる現象を良好に防ぐことができる。
【0058】
本実施形態ではまた、回転シャフト86の回転とともに、排水トラップ34の底部に設けられた回転羽根94が回転して、封水48にその回転の力を作用させ、封水48に渦流等の洗浄水流を生ぜしめ、外筒36の内面,内筒46の外面等を洗浄作用する。
またこのとき封水48が内筒46周りに旋回流を生じるため、封水48の上面に浮遊していた油分その他の浮遊物を、排水口58を形成している堰58aを乗り越えて排水管50内に円滑に排出せしめる。
【0059】
その際
図7に示す排水路144の中心軸線が、排水トラップ34における外筒36の周壁に対して直角の向きをなしていると、封水48の上面に浮遊した浮遊物のうち排水口58に近い側の浮遊物は、排水口58から排水管50内に、つまり排水路144内に比較的流出し易いが、これとは周方向に180°隔たった位置の封水48上の浮遊物は排水口58の位置まで内筒46周りを移動し難く、従って排水口58を通過して排水路144内に円滑に流出し難いが、この実施形態では、
図7に示すように排水路144の中心軸線が外筒36の周壁に対し斜めに交差するように排水路144が設けられているため、詳しくは排水路144内面と外筒36内面との接続部分が、外筒36内面の接線方向ないしこれに近い方向に延びているため、排水口58とは周方向に180°隔たった位置の浮遊物もまた、良好に排水口58へと導かれて排水口58から排水路144を通じ流出することができ、外筒34や排水管50への浮遊物の固着を避けることができる。
【0060】
以上のように本実施形態では、吐水口18から吐水を行うと回転羽根138が回転して自動的に排水ボウル32内を洗浄する。
従って使用者は排水ボウル32内を洗浄するための特別の操作を行う必要は無いので、洗浄のために手間を要するといったことが無く、洗浄のための負担は使用者には掛からない。
即ち本実施形態では、使用者が洗浄をしようとする意識をもたなくても、水栓を使用すれば自動的に回転羽根138が回って排水ボウル32内が洗浄される。
【0061】
また本実施形態では、シンク10で水栓12を用いて水作業をすると、その排水自体が洗浄水流となって排水ボウル32内を洗浄するため、従来の装置のように上水を洗浄のみのためにだけ吐水する場合と比べて、水を洗浄のためだけに使用してしまうといったことがなく、節水を図ることができる。
【0062】
本発明において、排水ボウル32内の回転羽根の形状は、他の様々な形状とすることが可能である。
図8はその一例を示している。
この例では、回転羽根138が下向きに垂下しておらず、斜め下方に傾斜した形状とされている。
その他本発明では、回転羽根が排水をスプリンクラーの様に吹き上げてごみ籠42に当て、これを洗浄するように回転羽根の形状を構成したり、或いは排水ボウル32の底部60を伝って排水口62に向い流れて来た水を回転羽根ですくい上げた上、これに遠心力を作用させるように構成するといったことも可能である。
その他に回転羽根の形状については他の様々な形状とすることが可能である。
【0063】
以上本発明の実施形態を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば本発明においては、場合によって回転羽根の下側の一部が排水ボウル32の底面の縁部60aよりも下側に位置するように回転羽根を構成するといったことの可能であるし、また排水ボウル32内の羽根車に直接円筒状の磁石を設ける一方、水車ハウジングを同じ高さ位置でその羽根車と同心状に外側に配置し、水車と羽根車とを回転シャフト86を経由しないで直接磁気カップリングさせるようになすことも可能である。
更に本発明においては排水用凹部として第1の排水用凹部だけを設けておくことも可能であるし、またその場合においてその第1の排水用凹部を排水トラップを形成するための外筒として構成しておくといったことも可能である。
また第1の排水用凹部と第2の排水用凹部とを設けた場合において、その第2の排水用凹部にのみ回転羽根を設けておくといったことも可能である。
その他本発明はシンク以外の水受槽に適用し、その水受槽から凹陥した形態の排水用凹部を洗浄するための給排水装置として適用することも可能である等、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。