(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記テーパチップが1次シース当接面をさらに含み、前記円筒壁部分の遠位末端が前記1次シース当接面に連結されている請求項1に記載のステントグラフト送達システム。
前記円筒壁部分が前記遠位末端から近位方向に前記円筒壁部分の近位末端まで延び、前記制御解放部分の遠位末端が前記円筒壁部分の前記近位末端に連結している請求項2に記載のステントグラフト送達システム。
前記第1の円周エッジ、前記第2の円周エッジ、前記第1の長手方向エッジ、および前記第2の長手方向エッジが丸められているか、又は、前記開口が前記第1の円周エッジ、前記第1の長手方向エッジ、および前記第2の長手方向エッジにより規定され、
前記第1の距離が前記第1のスピンドルピンと前記第1の円周エッジの間に存在し、ならびに前記第2の距離が前記第2のスピンドルピンと前記第2の円周エッジの間に存在する、請求項5に記載のステントグラフト送達システム。
前記近位アンカーステントリングが、前記第1のスピンドルピンの周辺に延びる第1の近位頂端、および前記第2のスピンドルピンの周辺に延びる第2の近位頂端を含み、または、
前記近位アンカーステントリングが、複数の近位頂端および前記複数の近位頂端に隣接する複数のアンカーピンを含む、請求項7に記載のステントグラフト送達システム。
前記らせんエッジが左ねじれらせんを含む、または、前記らせんエッジが右ねじれらせんを含む、または、前記らせんエッジが丸められている、請求項10に記載のステントグラフト送達システム。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下の記載で、同じまたは類似の要素は、同じまたは類似の参照番号で標識している。
【0015】
図5を参照して考察するが、総括的には、近位アンカーステントリング410を有するステントグラフトを配置する方法は、スピンドル126のスピンドル本体130とテーパチップ(
図5では部分的にのみ示されている)の制御解放スリーブ116の間の近位アンカーステントリング410の近位頂端506A、506Bを含む拘束近位頂端、例えば、506、を拘束することを含む。ここで、
図5と6を一緒に参照して考察するが、制御解放スリーブ116が、スピンドル126に対し前進し、制御解放スリーブ116の開口314のエッジが前進するにつれ、スリーブの下から頂端を露出させることにより近位頂端506Aを解放する。一方、近位頂端506Bを含む残りの近位頂端506は、カバーされたまま残り、そのため、制御解放スリーブ116により拘束されている。ここで、
図6と7を一緒に参照して考察するが、制御解放スリーブ116は、スピンドル126に対しさらに前進し、残りの近位頂端、例えば、506Bを含む506が制御解放スリーブ116から解放されるのが示される。制御解放スリーブ116を使うことにより、近位頂端、例えば、506の制御された連続的解放が達成できる。
【0016】
ここで、さらに詳細に考察すると、
図1は、実施形態における、ステントグラフトおよび1次シースの無いステントグラフト送達システム100の模式断面図である。ステントグラフト送達システム100は、狭く、曲がりくねった血管中で追従性を与えるテーパチップ102を含む。テーパチップ102は、その中に隣接部材に連結するためのガイドワイヤー管腔104を含み、テーパチップ102を通るガイドワイヤーの通過を可能とする。他のチップ形状、例えば、ビュレット形状チップも使用可能であろう。
【0017】
インナーチューブ106は、その中の管腔、例えば、ガイドワイヤー管腔を規定する。インナーチューブ106の遠位末端108は、テーパチップ102内に位置し、それに固定される、すなわち、テーパチップ102は、インナーチューブ106に取り付けられる。
図1に示すように、インナーチューブ106の管腔は、テーパチップ102のガイドワイヤー管腔104と流体連通しており、それにより、ガイドワイヤーは、インナーチューブ106を通過し、遠位末端108から出て、テーパチップ102のガイドワイヤー管腔104を通って、テーパチップ102の遠位末端110から出て行くことができる。
【0018】
テーパチップ102は、徐々に直径が増加するテーパ外表面112を含む。さらに具体的には、テーパ外表面112は、遠位末端110で最小直径を有し、近位方向に、すなわち、遠位末端、例えば、110から、操作者(またはステントグラフト送達システム100のハンドル)の方向に、直径が徐々に増加する。
【0019】
テーパ外表面112は、テーパチップ102の1次シース当接面(肩)114まで近位方向に延びる。1次シース当接面114は、ステントグラフト送達システム100およびテーパチップ102の長手方向軸「L」に垂直な環状リングである。
【0020】
テーパチップ102は、1次シース当接面114から近位方向に延びる制御解放スリーブ116をさらに含む。通常、制御解放スリーブ116は、テーパチップ102の近位末端118にある。制御解放スリーブ116は、1次シース当接面114から近位方向に向かい長手方向に沿って延びる。制御解放スリーブ116は、外側の部分的に切り取った円筒面120および内側の部分的に切り取った円筒面122を含む。
【0021】
ステントグラフト送達システム100は、中間部材124の遠位末端128に位置し、それに対し固定されるスピンドル126を有する中間部材124をさらに含む。スピンドル126は、円筒外表面を有するスピンドル本体130、スピンドル本体130から半径方向外向きに突き出た複数のスピンドルピン、例えば、132、およびスピンドル本体130から半径方向外向きに突き出た複数の1次シースガイド、例えば、134、を含む。1次シースガイド134は、制御解放スリーブ116(例えば、
図4を参照のこと)に対する位置に1次シースを導く。
【0022】
図2は、
図1のステントグラフト送達システム100のテーパチップ102の斜視図の一例(実施形態)である。
図3は、
図2のテーパチップ102の制御解放スリーブ116の領域IIIの拡大斜視図である。
【0023】
ここで、
図1、2、および3を一緒に参照して考察するが、制御解放スリーブ116は、円筒壁部分302および制御解放部分304を含む。円筒壁部分302は、円筒状で、1次シース当接面114から近位方向に延びる。さらに具体的には、円筒壁部分302の遠位末端306は、1次シース当接面114に連結する。円筒壁部分302は、遠位末端306から円筒壁部分302の近位末端308に向かって近位方向に延びる。
【0024】
制御解放部分304は、円筒壁部分302の近位末端308に連結され、また、ここから近位方向に延びる。さらに具体的には、制御解放部分304の遠位末端310は、円筒壁部分302の近位末端308に連結する。制御解放部分304は、遠位末端310から制御解放部分304の近位末端312に向け近位方向に延びる。
【0025】
一例では、円筒壁部分302および制御解放部分304は、一体化され、すなわち、単一部材であり、相互に連結された複数の別々の部分ではない。例えば、制御解放スリーブ116は、既存のハイポチューブを特殊パターンで切断して、形成される。
【0026】
制御解放部分304は、通常、円筒状であるが、開口314を含み、制御解放スリーブ116のエッジの一部にある空隙または窓と呼ばれることもある。別の言い方をすれば、制御解放部分304は、不均一な近位長さのエッジを形成する円筒切り取り末端部分を有することを除いて、中空円筒(チューブ)である。この末端部分以外の部分は、開口314の生成と呼ぶことができる。従って、開口314は、制御解放部分304の円筒の切り取り部分と呼ばれることもあり、また、制御解放部分304は、部分切り取り円筒と呼ばれることもある。例として示すと、
図3に示すように、制御解放スリーブ116は、単一ステップを有するものとして記載されることもある。
【0027】
開口314は、制御解放スリーブ116の円周エッジ316、制御解放スリーブ116の第1長手方向エッジ318、および制御解放スリーブ116の第2の長手方向エッジ320、により規定される。円周エッジ316は、長手方向エッジ318、320の間の制御解放スリーブ116の円周Cに沿って延びる不完全直角または90度切り口をトレースする。円周エッジ316は、円筒壁部分302の近位末端308および制御解放部分304の遠位末端310の位置にある。長手方向エッジ318、320は、制御解放スリーブ116の長手方向軸「L」に平行であり、制御解放部分304の近位末端312および円周エッジ316の間に延びている。
【0028】
制御解放部分304は、制御解放スリーブ116の円周エッジ322および制御解放スリーブ116の長手方向エッジ318、320により規定される。円周エッジ322は、長手方向エッジ318、320の間の制御解放スリーブ116の円周Cに沿って延びる不完全直角または90度切り口をトレースする。円周エッジ322は、制御解放部分304の近位末端312の位置にある。長手方向エッジ318、320は、円周エッジ316(第1円周エッジと呼ばれることもある)および円周エッジ322(第2の円周エッジと呼ばれることもある)の間に延びている。第1の円周エッジ316および第2の円周エッジ322の間の距離は、少なくとも1〜2mmであり、もっと大きくてもよい。
【0029】
図1に示すように、スピンドル126は、制御解放スリーブ116の内側をスライドするように構成されており、それにより、スピンドルピン132は、制御解放スリーブ116の内側の部分的に切り取った円筒面122に対しすぐ隣であるか、またはそれに接触する。スピンドルピン132は、スピンドル本体130から制御解放スリーブ116までこの方向に延びる。
【0030】
通常、スピンドルピン132がスピンドル本体130から延びる直径は、制御解放スリーブ116の内側の部分的に切り取った円筒面122の直径にほぼ等しいか、またはそれより少し小さく、スピンドルピン132を制御解放スリーブ116の内側に丁度よく適合させる。空隙(またはギャップ)136は、内側の部分的に切り取った円筒面122およびスピンドル本体130の間に存在する。
【0031】
インナーチューブ106は、中間部材124およびスピンドル126の間にあり、そこを通って延びる。インナーチューブ106と、従って、テーパチップ102は、中間部材124に対して長手方向軸「L」に沿って移動し(長手方向に移動)、その結果、スピンドル126が移動し、以下で考察のように、ステントグラフトの近位末端を解放する。本明細書で使われる用語の「ステントグラフト」は、ステントグラフトおよび他の形の内部人工器官を含むと理解されたい。
【0032】
図4は、配置前の圧縮配置の
図1のステントグラフト送達システム100の模式断面図であり、後退可能な1次シース404内に位置するステントグラフト402を含む。
【0033】
1次シース404は、中空チューブで、その中の管腔406を規定し、その中を通って、中間部材124およびインナーチューブ106が延びる。1次シース404は、
図4における配置前の圧縮配置状態になっている。1次シース404は、中間部材124/スピンドル126に対し、長手方向軸「L」に沿って近位方向に移動し(後退すると呼ばれることもある)、その結果、ステントグラフト402(その近位末端は、アウターチューブおよびスピンドルにより捉えられて保持される)が移動し、以下でさらに考察するように、ステントグラフト402の一部を配置する。
【0034】
一例では、ステントグラフト402は、自己展開ステントグラフトであり、ステントグラフト402は、半径方向に拘束された位置から解放されるとき、自己展開する。この例では、ステントグラフト402は、例えば、ePTFE、ポリエステルまたはダクロン材料から形成されたグラフト材料408、および、例えば、ニチノール等の超弾性自己展開記憶材料から形成された複数の弾性的自己展開支持構造、を含む。グラフト材料408は、近位末端408Pを含む。
【0035】
支持構造は、ステントグラフト402の近位末端402Pにある近位アンカーステントリング410および近位アンカーステントリング410に遠位の1つまたは複数のステントリング412を含む。近位アンカーステントリング410は、グラフト材料408の近位末端408Pに取り付けられている。近位アンカーステントリング410およびステントリング412は、例えば、縫合、接着剤、または他の手段により、グラフト材料408に取り付けられている。
【0036】
図4に示すように、ステントグラフト402は、中間部材124およびスピンドル126の周りで(または取り囲むように)半径方向に拘束された配置にある。ステントグラフト402は、1次シース404内に、半径方向に収縮して保持される。さらに、ステントグラフト402の近位アンカーステントリング410の近位頂端(クラウンまたは先端と呼ばれることもある)は、半径方向に拘束され、スピンドル本体130および制御解放スリーブ116の間の空隙136内の位置に保持される。
【0037】
通常、ステントグラフト402のグラフト材料408は、1次シース404に半径方向に拘束されて保持され、近位アンカーステントリング410の近位頂端は、制御解放スリーブ116により半径方向に拘束されて保持され、ステントグラフト402のグラフト材料408および近位アンカーステントリング410の近位頂端の連続的および非依存性配置を可能とする。
【0038】
1次シース404は、テーパチップ102の1次シース当接面114と隣接する、または隣接接触する遠位末端404Dを含む。遠位末端404Dは、制御解放スリーブ116の周囲に正確に適合し、また、一例では、制御解放スリーブ116の外側の部分的に切り取った円筒面120を半径方向内向きに軽く押しつける。
【0039】
図5は、血管502内の
図4のステントグラフト送達システム100の1次シース404の後退後の拡大斜視図である。ここで、
図4と5を一緒に参照して考察するが、ステントグラフト送達システム100は、当業者なら本開示を考慮して理解できるであろうが、血管502内に置かれる。
【0040】
血管502内に置かれるとすぐに、1次シース404は、部分的にまたは完全に後退し、それにより、遠位末端404Dは、テーパチップ102から間隙を介して隔てられる。さらに、1次シース404の後退により、一部のステントグラフト402が露出され、部分的に配置される。しかし、近位アンカーステントリング410の近位の部分は、制御解放スリーブ116により拘束され、従って、拘束されたまま残される。
【0041】
さらに具体的には、近位アンカーステントリング410は、近位頂端506と近位アンカーステントリング410の遠位頂端の間に交互配置されるジグザグパターンのストラット504を含む。遠位頂端は、
図4に示すように、ステントグラフト402のグラフト材料408に取り付けられている。
【0042】
近位アンカーステントリング410は、アンカーピン508(点線により表されるように)をさらに含んでもよい。さらに具体的には、1対のアンカーピン508が、各近位頂端506に隣接したストラット504上に位置する。この例では、アンカーピン508は、遠位先端510(例えば、鋭くとがった先端)を含み、これは、アンカーピン508のステントグラフト402が配置される血管502中への侵入を容易にする。
【0043】
図で示されるように、近位アンカーステントリング410の近位頂端506は、制御解放スリーブ116により半径方向に拘束されて保持される。さらに具体的には、各近位頂端506は、スピンドルピン132の周辺に延び、スピンドル本体130と制御解放スリーブ116の間の空隙136内に位置し、そこに固定される。特に、各近位頂端506は、スピンドル本体130と制御解放スリーブ116の円筒壁部分302の間の空隙136内に位置し、そこに固定される。
【0044】
例を挙げると、複数の近位頂端、例えば、506の第1の近位頂端506Aは、複数のスピンドルピン132の第1のスピンドルピン132Aの周りに(またいで)延び、スピンドル本体130と制御解放スリーブ116の間の空隙136内に位置し、固定される(拘束されたまま残る)。同様に、複数の近位頂端506の第2の近位頂端506Bは、複数のスピンドルピン132の第2のスピンドルピン132Bの周りに延び、スピンドル本体130と制御解放スリーブ116の間の空隙内に位置し、固定される。全体で4つの近位頂端を有する近位アンカーステントリングに対応して、
図5では3つの近位頂端506が図示されているが、他の例では、類似の近位アンカーステントリングは、4つの近位頂端より多い、または少ない頂端を有する。
【0045】
さらに、アンカーピン、例えば、508は、スピンドル本体130から半径方向に延び、スピンドル本体130と制御解放スリーブ116の間の間隙136の一部を占め、それらの間のスペーサーの役割をある程度果たす。
【0046】
図6は、ステントグラフト402の近位アンカーステントリング410の一部のクラウンの配置後の、
図5のステントグラフト送達システム100の斜視図である。ステップのついた、または可変ピッチの送達システム上のスリーブは、ステントグラフトの近位エッジの調整可能な配置ができるというメリットがある。これは、腎臓動脈が異なる高さにある状況(例えば、アンカーピンを、最初、高い側に配置し、次に、アンカーピンを反対側に配置して低位の標的とそろえる前に、送達システムを遠位に移動する状況)では有用であり、短いシールゾーンが利用可能な場合にのみ、有効にする(使用可能にする)ことができる。調整可能な配置が役立つと思われる他の状況には、急性梗塞や長期の遊走に影響する可能性のある血栓が形成されている領域を回避することが含まれる。ここで、
図5と6を一緒に参照して考察するが、テーパチップ102がスピンドル126に対し前進して、近位アンカーステントリング410の近位頂端506Aを露出し、解放する。
【0047】
さらに具体的には、
図5に示されるように、スピンドルピン、例えば、132に対するテーパチップ102の前進の前に、スピンドルピン132Aと円周エッジ316、すなわち開口314の間の長手方向軸「L」に対し平行方向の第1の距離D1は、残りのスピンドルピン、例えば、132(スピンドルピン132Bを含む)と円周エッジ322、すなわち近位末端312の間の第2の距離D2より(少なくとも1〜2mmだけ)短い。従って、残りのスピンドルピン132Bを含むスピンドルピン132を越えて円周エッジ322が前進する前に、テーパチップ102が前進し、スピンドルピン132Aを越えて円周エッジ316が前進する。円周エッジ316がスピンドルピン132Aを越えて前進するので、
図6に示すように、近位頂端506Aが露出され、開口314を介して解放される。しかし、残っているスピンドルピン132と円周エッジ322の間の最初の距離D2がより大きいため、円周エッジ322は、残っているスピンドルピン132およびそれぞれの近位頂端506を越えて前進しないで、同様に
図6に示されるように、それの近位に残される。
【0048】
制御解放スリーブ116から解放されると、近位頂端506A(および、通常、近位アンカーステントリング410の関連部分も)は、ステントグラフト402が配置される血管502中へ自己展開する。
【0049】
近位頂端506Aに関連するアンカーピン508は、血管502中に侵入し、その結果、近位頂端506A、すなわち、近位アンカーステントリング410の一部を血管502に固定する。
【0050】
この例では、残っている近位頂端506、すなわち、近位頂端506Aとは別の近位頂端506Bを含む近位頂端506は、制御解放スリーブ116により半径方向に拘束されたまま残る。さらに具体的には、残っている近位頂端506は、スピンドルピン132の周りに延び、スピンドル本体130と制御解放スリーブ116の間の空隙136内に位置し、固定される。特に、残っている近位頂端506は、スピンドル本体130と制御解放スリーブ116の制御解放部分304の間の空隙136内に位置し、固定される。
【0051】
例を挙げると、近位頂端506Bは、スピンドルピン132Bの周りに延びたままで残り、スピンドル本体130と制御解放スリーブ116、すなわち、制御解放スリーブ316の制御解放部分304の間の空隙136内に位置し、固定される。
【0052】
制御解放スリーブ116を使用することにより、残りの近位頂端506の拘束がある間に、近位頂端506Aの制御解放が行われる。単一近位頂端506Aの制御解放が図示され、考察されているが、本開示を考慮すれば、当業者なら他の例で、第2セットの近位頂端が拘束されている間に、第1セットの近位頂端が解放される、すなわち、近位頂端は、2段階で解放されることを理解するであろう。
【0053】
図7は、ステントグラフト402の近位アンカーステントリング410の完全配置後の
図6のステントグラフト送達システム100の斜視図である。ここで、
図6と7を一緒に参照して考察するが、テーパチップ102は、スピンドル126の方向に前進し、近位アンカーステントリング410の残りの近位頂端506を露出し、解放して、この結果、近位アンカーステントリング410を完全に配置する。さらに具体的には、円周エッジ322が残りのスピンドルピン132を越えて前進するので、残りの近位頂端506が露出され、解放される。
【0054】
制御解放スリーブ116から解放されると、残りの近位頂端506(および、通常、近位アンカーステントリング410の関連部分も)は、ステントグラフト402が配置される血管502中に自己展開する。
【0055】
残りの近位頂端506と関連する残りのアンカーピン508は、延び、血管502中に侵入し、それにより、残りの近位頂端506および、従って、近位アンカーステントリング410の残存部分を血管壁504に固定する。
【0056】
一例では、近位頂端506Aが、大きく異なる高さの腎臓動脈を含む短頸腹部大動脈内の最も高い所望の位置に配置される。近位頂端506Aの配置後、ステントグラフト送達システム100は、必要に応じ、抜去される。制御解放スリーブ116はさらに前進し、残っている近位頂端506を解放して、その結果、残っているアンカーピン508を短頸腹部大動脈内の低い領域内に、ひっかからせる。
【0057】
再度
図4を参照して考察するが、一例では、1次シース404は、近位アンカーステントリング410の配置の前に一部分のみ後退する。この例では、上記のように、配置し、近位アンカーステントリング410の血管502への固定後、1次シース404は、完全に後退し、ステントグラフト402を完全に配置する。
【0058】
しかし、別の例では、1次シース404は、近位アンカーステントリング410の解放の前に完全に後退する。さらに具体的には、1次シース404は、完全に後退し、一方、近位アンカーステントリング410の近位頂端506は、そのときでも制御解放スリーブ116により半径方向に拘束されている。
【0059】
図8は、別の例(実施形態)による制御解放スリーブ116Aの斜視図である。ここで、
図8を参照して考察するが、制御解放スリーブ116Aは、複数のステップにより形成される。
【0060】
制御解放スリーブ116Aは、円筒壁部分302Aおよび制御解放部分304Aを含む。円筒壁部分302Aは、制御解放スリーブ116の円筒壁部分302に類似である(上で考察したように。従って、ここでは繰り返さない)。
【0061】
制御解放部分304Aは、円筒壁部分302Aの近位末端308Aに連結しており、ここから近位方向に延びる。さらに具体的には、制御解放部分304Aの遠位末端310Aは、円筒壁部分302Aの近位末端308Aに連結されている。制御解放部分304Aは、制御解放部分304Aの遠位末端310Aから近位方向に近位末端312Aまで、延びる。
【0062】
制御解放部分304Aは、通常、円筒状であるが、制御解放スリーブ116A内の可変サイズ開口314A(可変サイズ空隙と呼ばれることもある)を含む。別の言い方をすれば、制御解放部分304Aは、円筒切り取りの部分を有すること、すなわち、可変サイズ開口314Aを形成することを除いて、中空円筒である。従って、可変サイズ開口314Aは、制御解放部分304Aの円筒の切り取り部分と呼ばれることもあり、また、制御解放部分304Aは、部分的切り取り円筒と呼ばれることもある。
【0063】
可変サイズ開口314Aは、第1の円周エッジ316A、第1の長手方向エッジ318A、第2の長手方向エッジ320A、第2の円周エッジ802A、第3の円周エッジ802B、第3の長手方向エッジ318B、および第4の長手方向エッジ320Bにより規定される。
【0064】
円周エッジ316Aは、垂直であるが、実際には、それは、スリーブ116Aに向かって、わずかに角度を有するか、または傾いており、長手方向エッジ318A、320Aの間の制御解放スリーブ116Aの円周Cに沿って延びることが可能である。円周エッジ316Aは、円筒壁部分302Aの近位末端308Aおよび制御解放部分304Aの遠位末端310Aの位置にある。
【0065】
長手方向エッジ318Aは、制御解放スリーブ116Aの長手方向軸「L」に対し平行であり、円周エッジ316Aと円周エッジ802Aの間に延びる。長手方向エッジ320Aは、制御解放スリーブ116Aの長手方向軸「L」に平行であり、円周エッジ316Aと円周エッジ802Bの間に延びる。
【0066】
円周エッジ802Aは、長手方向エッジ318A、318Bの間の制御解放スリーブ116Aの円周Cに沿って延びる。円周エッジ802Bは、長手方向エッジ320A、320Bの間の制御解放スリーブ116Aの円周Cに沿って延びる。円周エッジ802A、802Bは、制御解放部分304Aの遠位末端310Aと近位末端312Aの間の長手方向軸「L」に沿った位置にある。
【0067】
長手方向エッジ318Bは、制御解放スリーブ116Aの長手方向軸「L」に平行であり、制御解放部分304Aの円周エッジ802Aと近位末端312Aの間に延びる。長手方向エッジ320Bは、制御解放部分304Aの長手方向軸「L」に平行であり、制御解放部分304Aの円周エッジ802Bと近位末端312Aの間に延びる。
【0068】
従って、長手方向エッジ318B、320Bの間の近位末端312Aの位置での可変サイズ開口314Aは、長手方向エッジ318A、320Aの間の遠位末端310Aの位置での場合よりも大きく、そのため、可変サイズ開口と呼ばれる。
【0069】
制御解放部分304Aは、制御解放スリーブ116の制御解放スリーブ116Aの第4の円周エッジ322A、円周エッジ802A、802B、長手方向エッジ318A、318B、320A、320B、により規定される。円周エッジ322Aは、長手方向エッジ318B、320Bの間の制御解放スリーブ116Aの円周Cに沿って延びる。円周エッジ322Aは、制御解放部分304Aの近位末端312Aの位置にある。長手方向エッジ318B、320Bは、それぞれ、制御解放部分304の円周エッジ322Aと円周エッジ802A、802Bの間に延びる。
【0070】
図5、6、7に関連して前に考察したのと同じ手法を用いて、制御解放スリーブ116Aが前進するにつれ、円周エッジ316Aが第1セットの(1つまたは複数の)スピンドルピン132を越えて前進し、その結果、それぞれの第1セットの近位頂端506が解放される。制御解放スリーブ116Aがさらに前進するにつれ、円周エッジ802A、802Bが第2セットの(1つまたは複数の)スピンドルピン132を越えて前進し、その結果、それぞれの第2セットの近位頂端506が解放される。最終的に、制御解放スリーブ116Aがさらに前進すると、円周エッジ322Aが第3セット(1つまたは複数の)のスピンドルピン132を越えて前進し、その結果、それぞれの第3セットの近位頂端506が解放される。この方法で、3回の近位頂端506の連続的制御解放が達成され、すなわち、近位頂端506が3段階で解放される。
【0071】
単一のステップの制御解放スリーブ116が、
図1〜7に関連して、上記で図示され、考察され、また、2ステップの制御解放スリーブ116Aが、他の例について、
図8に関連して考察されているが、類似の制御解放スリーブが、3つ以上のステップ、または他の構成を有するステップで形成され、近位頂端の連続的制御解放が実現される。
【0072】
図9は、さらに別の例における、制御解放スリーブ116Bの斜視図である。ここで、
図9を参照して考察するが、制御解放スリーブ116Bは、円筒壁部分302Bおよび制御解放部分304Bを含む。円筒壁部分302Bは、前に考察したように、制御解放スリーブ116の円筒壁部分302に類似であり、そのため、ここでは繰り返さない。
【0073】
制御解放部分304Bは、円筒壁部分302Bの近位末端308Bに連結され、ここから近位方向に延びる。さらに具体的には、制御解放部分304Bの遠位末端310Bは、円筒壁部分302Bの近位末端308Bに連結されている。制御解放部分304Bは、制御解放部分304Bの遠位末端310Bから近位末端312Bの方向へ近位方向に延びる。
【0074】
制御解放部分304Bは、通常、円筒状であるが、制御解放スリーブ116B内の可変サイズ開口314B(可変サイズ空隙と呼ばれることもある)を含む。別の言い方をすれば、円筒切り取り部分、すなわち、成形可変サイズ開口314Bを有することを除いて、制御解放部分304Bは、中空円筒である。従って、可変サイズ開口314Bは、制御解放部分304Bの円筒の切り取り部分と呼ばれることもあり、また、制御解放部分304Bは、部分切り取り円筒と呼ばれることもある。
【0075】
可変サイズ開口314Bは、左ねじれらせんエッジ902および長手方向エッジ904により規定される。長手方向エッジ904は、制御解放スリーブ116Bの長手方向軸「L」に平行である。長手方向エッジ904は、制御解放部分304Bの近位末端312Bの位置の近位末端904Pおよび制御解放部分304Bの遠位末端310Bの位置の遠位末端904Dを有する。
【0076】
左ねじれらせんエッジ902は、長手方向エッジ904の近位末端904Pおよび遠位末端904Dの間で延びる。左ねじれらせんエッジ902は、左ねじれらせんの形である。用語の「らせん状」および「らせん」が本明細書で使用されるが、記載した特色は、正確にらせん状およびらせんではなく、おおよそらせん状およびらせんでよく、また、その変形を含んでもよいことは理解されよう。
【0077】
長手方向エッジ904と左ねじれらせんエッジ902の間の可変サイズ開口314Bは、近位末端312Bの位置で、遠位末端310Bの位置でのそれよりも大きく、そのため、可変サイズ開口と呼ばれる。
【0078】
制御解放部分304Bは、左ねじれらせんエッジ902および長手方向エッジ904により規定される。
【0079】
図5、6、7に関連して上記で考察したのと同様の方法で、制御解放スリーブ116Bが前進するにつれ、左ねじれらせんエッジ902がスピンドルピン132を越えて連続的に前進し、その結果、全ての近位頂端506が解放されるまで、それぞれの近位頂端506を解放する。さらに具体的には、遠位方向でみた場合(ハンドルからみた場合)、近位頂端506が連続的に半径方向時計回りに、すなわち、時計回りの円周方向で1つずつ解放される。この方式で、近位頂端506の連続的制御解放が実現する。一例では、左ねじれらせんエッジ902のピッチは、変えられて、所望の近位頂端506の解放タイミングが得られる。らせんが示されているが、当業者には理解されうるように、完全ではない、またはおおよそらせんである漸進的エッジパターンの使用も可能である。
【0080】
図10は、また別の例における、制御解放スリーブ116Cの斜視図である。ここで、
図10を参照して考察するが、制御解放スリーブ116Cは、円筒壁部分302Cおよび制御解放部分304Cを含む。円筒壁部分302Cは、前に考察のように、制御解放スリーブ116の円筒壁部分302に類似であるので、ここで繰り返すことはしない。
【0081】
制御解放部分304Cは、円筒壁部分302Cの近位末端308Cに連結され、ここから近位方向に延びる。さらに具体的には、制御解放部分304Cの遠位末端310Cは、円筒壁部分302Cの近位末端308Cに連結される。制御解放部分304Cは、遠位末端310Cから近位方向に制御解放部分304Cの近位末端312Cまで延びる。
【0082】
制御解放部分304Cは、通常、円筒状であるが、制御解放スリーブ116C内の可変サイズ開口314C(可変サイズ空隙と呼ばれることもある)を含む。別の言い方をすれば、円筒切り取りの部分を有すること、すなわち、可変サイズ開口314Cを形成していることを除いて、制御解放部分304Cは、中空円筒である。従って、可変サイズ開口314Cは、制御解放部分304Cの円筒の切り取り部分と呼ばれることもあり、また、制御解放部分304Cは、部分的切り取り円筒と呼ばれることもある。
【0083】
可変サイズ開口314Cは、右ねじれらせんエッジ1002および長手方向エッジ1004により規定される。長手方向エッジ1004は、制御解放部分304Cの長手方向軸「L」に平行である。長手方向エッジ1004は、制御解放部分304Cの近位末端312Cの位置に近位末端1004P、および制御解放部分304Cの遠位末端310Cの位置に遠位末端1004Dを有する。
【0084】
右ねじれらせんエッジ1002は、伸長手方向エッジ1004の近位末端1004Pおよび遠位末端1004Dの間で延びる。右ねじれらせんエッジ1002は、右ねじれらせんである。
【0085】
従って、長手方向エッジ1004および右ねじれらせんエッジ1002の間の可変サイズ開口314Cは、近位末端312Cの位置で、遠位末端310Cでのそれより大きく、そのために、可変サイズ開口と呼ばれる。
【0086】
制御解放部分304Cは、右ねじれらせんエッジ1002および長手方向エッジ1004により規定される。
【0087】
上記
図5、6、7に関連して考察したのと類似の方法で、制御解放スリーブ116Cが前進するにつれ、右ねじれらせんエッジ1002がスピンドルピン132を越えて連続的に前進し、その結果、全ての近位頂端506が解放されるまで、それぞれの近位頂端506を解放する。さらに具体的には、近位頂端506は、遠位方向へみた場合(ハンドルからみた場合)、半径方向に連続的に反時計回りに解放される、すなわち、円周方向の反時計回りで1つずつ解放される。この方法で、近位頂端506の連続的制御解放が実現される。一例では、右ねじれらせんエッジ1002のピッチは、変更され、近位頂端506の所望の解放タイミングを得られる。
【0088】
一例では、
図1〜10の例で上述のように、制御解放スリーブの種々のエッジは、丸められ、それにより、傷つけないように設計されている。例えば、エッジは、丸められ、先端の再捕捉時、および/または送達システム抜去時の潜在的なかぎ裂きを最小限にする。
【0089】
図11は、ステントグラフト送達システムと共に使用するためのステントグラフトの側面図である。配置状態で図示されているステントグラフト1120は、ステント1122およびステント1122により支持されているグラフト材料1124を含む。この例では、ステントグラフト1120は、いくつかのベアステントクラウン1128(近位頂端と呼ばれることもある)を伴ったベアステント(バネ)1126(近位アンカーステントリングと呼ばれることもある)をさらに含む。ベアステント1126は、グラフト材料1124上を延び、血管壁に係合する半径方向の力を提供し、血管壁の位置でステントグラフト1120をシールする。各ステントクラウン1128の1つの頂端は、ステントグラフト1120の末端の位置にある。別の実施形態では、ベアステントは、省略できる。ステントグラフト1120は、配置部位に送達直径で送達され、配置部位で配置直径に拡張される。
【0090】
ステントグラフトは、配置部位、例えば、腹部大動脈、胸部大動脈、または他の血管中の配置部位での移植後に、管状グラフトを開いた状態、および健康な周辺組織とのシール接触状態を機械的に保持するためのいずれかの適切な装置として記載できる。このような機械的な内部人工器官の装置は、典型的には、標的血管に挿入され、病変を横切って置かれ、次に、展開されて、血管の弱体化壁をバイパスし、それにより、動脈瘤の破裂を防止する。ステントグラフトは、ステントグラフトの移植後、健康組織と接触状態にある。ステントグラフトは、通常、動脈瘤をまたいで血管中で延び、ステントグラフトの方に流れを迂回させて、弱い動脈瘤壁に通常加わる圧力を軽減する。
【0091】
ステント1122のサイズと配置は、処置される血管のサイズと配置に依存する。個別のステント1122は、関節継手もしくは剛節により相互に連結できるか、または、グラフト材料1124のみに結合可能である。使用されるステントグラフト1120の最小長さは、ステントグラフト1120が移植される予定の動脈瘤のサイズに(若干大きめに)適合される。
【0092】
ステント1122およびグラフト材料1124は、通常ステントグラフトに使われるいずれかのステントおよびグラフト材料であってよい。ステント1122は、自己展開またはバルーン拡張可能であってもよく、ステントグラフトの全長に沿った単一のユニットでも、または
図11に示すような、一連の個別ステントでもよい。ステント1122は、バネ鋼、ステンレス鋼、チタニウム、ニッケルチタニウム合金(ニチノール)、ポリマーまたは共重合体、これらの材料の組み合わせ、または他の適切な材料から作ることができる。グラフト材料1124は、ステントグラフトに適した任意の織物または絡み合わされたグラフト材料、例えば、織物ポリマー材料、ダクロンポリエステル、もしくは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、または絡み合わされたグラフト材料であってもよく、これらには、ニット、伸縮加工材、およびベロア材料が含まれる。一部の実施形態では、グラフト材料1124は、コラーゲン、アルブミン、吸収性ポリマー、または生体適合性繊維から作られる成分を含む。あるいは、グラフト材料1124は、1つまたは複数の適切な金属、プラスチック、または非生分解性材料から構築される。
【0093】
図12〜14は、ステントグラフト送達システムの部分図である。ステントグラフト送達システムは、ノーズコーン組立体、スピンドル組立体、およびステント保持組立体を含む。ノーズコーン組立体は、ノーズコーンおよびノーズコーンシャフトを有し、これらは、その中を通るノーズコーン組立体管腔を持ち、この中を、ガイドワイヤーがスライドできる。スピンドル組立体は、スピンドル取り付け具およびスピンドルシャフトを有し、これらは、その中を通るノーズコーン組立体管腔を持ち、この中を、ノーズコーンシャフトがスライドできる。ステント保持組立体は、ステント保持具およびステント保持シャフトを有し、また、ステント保持組立体管腔を規定し、この中をスピンドルシャフトがスライドできる。スピンドル取り付け具およびステント保持具は、スライドにより結合可能で、ステントグラフトの近位末端を解放可能なように(収縮した)送達直径で保持する。スピンドル取り付け具、ステント保持具、およびノーズコーンは、それぞれ、相互に独立に移動できるが、互いの方向に移動し隣接部分と接触すると、その接触している部分は一体のように動く。スピンドル取り付け具がステントグラフトのベアスプリングに係合すると、スピンドル取り付け具の動きは、ベアステント、ノーズコーンおよび保持具に許容される移動範囲に制限される。ステント保持具は、スピンドル取り付け具から後退し、ステントグラフトの末端を解放できる、またはノーズコーン組立体は、スピンドル組立体から切り離され、ステントグラフトの末端を解放できる。
【0094】
図12は、ノーズコーン組立体の部分斜視図である。ノーズコーン組立体1130は、ノーズコーン1132およびノーズコーンシャフト1134を含み、脈管構造の中を通ってスピンドル組立体とステント保持組立体を誘導する。ノーズコーン1132は、通常、遠位から近位末端までテーパを付けることができ、血管の中の通過を容易にする。スピンドル取り付け具とステント保持具を配置部位まで案内するノーズコーンシャフト1134は、ステントグラフト配置部位から脈管構造を通って血管中を臨床医まで到達するのに充分な長さである。ノーズコーンシャフト1134の近位末端は、ステントグラフト送達の間の臨床医用操作ハンドル(示していない)に取り付けることができる。一実施形態では、ノーズコーン組立体1130は、その中をガイドワイヤーがスライドして送達システムを配置部位まで誘導することができる、ガイドワイヤー管腔1136の長さを規定する。別の実施形態では、ノーズコーン組立体1130は、スピンドル取り付け具およびステント保持具がステントグラフトの1つの末端の保持を支援し、脈管構造の中を通過するのを容易にするように適合された接続部1138を含むことができる。接続部1138は、1つまたは複数の直径のステップを含むことができる。接続部1138は、アーム接続セグメントを含むことができ、それにより、ステント保持具のアーム(示していない)がアーム接続セグメント1137と適合することができる。アーム接続セグメント1137の直径は、ステント保持具アームを受けられる寸法であり、ノーズコーン1132の最大直径よりも小さい寸法にされ、それにより、ステント保持具アームが、少し窪んだところに置かれ、脈管構造を通過する際に保護される。接続部1138は、また、カテーテル接続セグメント1139を含むことができ、それにより、カテーテル(示していない)がカテーテル接続セグメント1139に適合できる。カテーテル接続セグメント1139の直径は、カテーテルの内径に合うように選択され、それにより、カテーテルとノーズコーン1132が脈管構造を通過する際に、スムーズに行える性質を得ることができる。別の実施形態では、接続部は、採用されない。
【0095】
当業者なら、ノーズコーン組立体1130は、任意の生体適合性材料から作ることができ、単一ユニットとして形成、および/または個別部分から組み立て可能であることを理解するであろう。ノーズコーン1132はノーズコーンシャフト1134の周りに特定の形状のノーズコーン1132をインサート成形することで構築できる。ノーズコーン材料は、ステントグラフト送達システムに柔軟なチップを与えるために、特定の硬度のエラストマー材料であってもよい。適切なノーズコーン材料には、ペバックス、ウレタン、シリコーン、他の柔軟性ポリマー、等が含まれる。ノーズコーン1132は、また、蛍光透視誘導を使ってステントグラフトを患者の体内に送達する場合、放射線不透過性添加剤を加えて、臨床医に可視性チップを提供してもよい。
【0096】
図13Aおよび13Bは、それぞれ、スピンドル組立体部の側面および端面図である。スピンドル組立体1140は、スピンドル取り付け具1142とスピンドルシャフト1144を含む。スピンドル組立体1140は、そこを通ってノーズコーンシャフト(示していない)をスライドできる、スピンドル組立体管腔1141の長さを規定する。スピンドル組立体管腔1141の直径は、ノーズコーンシャフト(示していない)がスピンドル組立体管腔1141内をスライドできるのに充分な大きさである。スピンドルシャフト1144は、スピンドル取り付け具1142をノーズコーンシャフト上に沿って配置部位まで前進させる。スピンドルシャフト1144は、ステントグラフト配置部位から血管を脈管構造を通って臨床医まで到達するのに充分な長さである。スピンドルシャフト1144の近位末端は、ステントグラフト送達の間の臨床医による操作用ハンドル(示していない)に取り付けることができる。当業者なら、スピンドル組立体1140は、任意の生体適合性材料から作ることができ、単一ユニットとして形成、および/または個別部分から組み立て可能であることを理解するであろう。スピンドルシャフトは、硬質プラスチック、例えば、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、ポリイミド、ナイロン、等から構築可能である。あるいは、スピンドルシャフトは、柔軟性金属チューブ、例えば、ニチノール、ステンレス鋼、等から構築可能である。
【0097】
スピンドル取り付け具1142は、ステント保持具(示していない)と連携して、ステントグラフト送達の間、ステントグラフトの1つの末端を保持する。図に示した実施形態では、スピンドル取り付け具1142は、スピンドル本体1147およびスピンドル本体1147の周辺に配置されたいくつかのスピンドルピン1148を含む。スピンドル溝1146は、隣接スピンドルピン1148の各対の間に形成される。単一ステントクラウン(示していない)は、各スピンドルピン1148の周りに巻き付き、ステントグラフト送達の間、ステント保持具アーム(示していない)により所定位置に保持される。ステント保持具が後退すると、ステントクラウンがスピンドルピン1148から解放され、ステントクラウンが血管の所定位置に展開される。スピンドル取り付け具1142は、任意の硬質および/または適合する生体適合性材料から作ることができ、単一ユニットとして形成、および/または個別部分から構築できる。スピンドル取り付け具は、種々の材料から製造できる。これには、硬質プラスチック材料、例えば、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、ポリカーボネート、等を含んでもよく、また、金属、例えば、ステンレス鋼を含んでもよい。一実施形態では、スピンドル取り付け具に接触しているステント表面の損傷を避けるために、硬質プラスチックが、スピンドル取り付け具として好ましい。スピンドル取り付け具は、接着剤で両者を結合、または両部品を一緒にねじ切りすることにより、スピンドルシャフトに固定できる。あるいは、スピンドル取り付け具を、スピンドルシャフトに直接挿入成形してもよい。
【0098】
図13Cは、別の実施形態のスピンドル取り付け具の側面図である。この実施形態では、スピンドル本体1147の各スピンドルピン1148−1は、スピンドルピン1148−1のスピンドルピン円周に沿ってスピンドルスロット1149を含む。スピンドルピン円周は、スピンドル本体から離れたスピンドルピン1148−1の末端で規定される。各ステントクラウンの遠位末端、すなわち、各ベアステントの頂端は、スピンドルスロット1149の1つの中に置かれ、ステント保持具アームがスピンドルスロット1149の中のステントクラウンを保持する。ステント保持具は、ステント保持具が後退するまで、スピンドルスロット1149中のステントクラウンを確実に保持する。
【0099】
別の実施形態では、スピンドル取り付け具は、均一な円周で、スピンドルピンを除外した適合ディスクであってもよい。ステントクラウンは、ステント保持具アームにより適合ディスクに押し込んで、ステントグラフト送達の間、収縮しているステントクラウンを保持することができる。ステントグラフトがベアステントを含まない場合は、ステント保持具アームは、ステントグラフトの遠位末端(ステントとグラフト材料の両方)を適合ディスク中に押し込むことができる。グラフト材料は、ステント上で伸縮可能か、または疎性であり、ステント保持具アームが収縮したステントの遠位末端を保持している場合、ステント保持具アームの周辺でグラフト材料の伸張を可能とする。適合ディスクは、低硬度ポリマー、例えば、シリコーンから作ることができる。さらに別の実施形態では、スピンドル取り付け具は、特定形状の収縮したステントに適合する追加の特性を含むように成形できる。一例では、スピンドルピンは、圧縮ステントクラウンの湾曲に適合するテーパ特性を有してもよい。
【0100】
図14Aおよび14Bは、それぞれ、ステント保持組立体の部分側面および端面図である。ステント保持組立体1150は、ステント保持具1152およびステント保持シャフト1154を含む。ステント保持組立体1150は、その中をスピンドルシャフト(示していない)がスライドできるステント保持組立体管腔1156の長さを規定する。ステント保持組立体管腔1156の直径は、スピンドルシャフト(示していない)がステント保持組立体管腔1156内でスライドできるのに充分な大きさである。ステント保持シャフト1154は、ステント保持具1152を配置部位まで前進させ、ステント保持具1152を後退させ、送達直径からステントグラフトの末端を解放する。ステント保持シャフト1154は、ステントグラフト配置部位から脈管構造を通って血管中を臨床医まで到達するのに充分な長さである。ステント保持シャフト1154の近位末端は、ステントグラフト送達の間の臨床医の操作用ハンドル(示していない)に取り付けることができる。当業者なら、ステント保持組立体1150は、任意の生体適合性材料から作ることができ、単一ユニットとして形成、および/または個別部分から組み立て可能であることを理解するであろう。ステント保持シャフトは、硬質プラスチック、例えば、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、ポリイミド、ナイロン、等から構築可能である。あるいは、ステント保持シャフトは、柔軟性金属チューブ、例えば、ニチノール、ステンレス鋼、等から構築可能である。
【0101】
ステント保持具1152(制御解放スリーブと呼ばれることもある)は、スピンドル取り付け具(示していない)と連携して、ステントグラフト送達の間、ステントグラフトの1つの末端を保持する。図にある実施形態では、ステント保持具1152は、ステント保持本体1157の周りに設置されている、いくつかのステント保持具アーム1158を有するステント保持本体1157を有する。ステント保持本体1157は、各ステント保持具アーム1158の間にある、ベアステントクラウンを受けるためのいくつかのステント保持溝1159を規定する。ステント保持具アーム1158は、ステント保持具1152の中央軸、すなわち、軸ステント保持シャフト1154に沿った軸、に実質的に平行でありうる。他の実施形態では、ステント保持具アーム1158は、特定の目的にとって望ましいときは、ステント保持具1152の軸の方に、またはその軸から離れる方に曲がっていてもよい。
【0102】
図14Aに示すように、1つまたは複数のステント保持具アーム1158、例えば、ステント保持具アーム1158のステント保持具アーム1158Aは、1つまたは複数の他のステント保持具アーム1158よりも短い。例を挙げると、ステント保持具アーム1158Aは、保持具アーム1158の第2のステント保持具アーム1158Bよりも短い。
【0103】
さらに具体的には、ステント保持具アーム1158Aは、ステント保持具アーム1158Aの遠位末端に円周エッジ1316を有する。この実施形態では、ステント保持具アーム1158Bを含むこのほかのより長いステント保持具アーム1158は、ステント保持具アーム1158の遠位末端に円周エッジ1322を有する。より長いステント保持具アーム1158の円周エッジ1322は、ステント保持具アーム1158Aの円周エッジ1316より遠位である。従って、ステント保持具1152のスピンドルピン1148に対する後退の前に、それぞれのスピンドルピン1148と円周エッジ1316の間の長手方向軸「L」に対し平行な方向の第1の距離は、それぞれの残りのスピンドルピン1148と円周エッジ1322との間の第2の距離よりも短い。
【0104】
ステント保持具1152が後退すると、ステント保持具アーム1158は、ベアステントクラウンを解放し、ベアステントクラウンが、血管中の所定の位置に延びる。さらに具体的には、ステント保持具アーム1158Aの円周エッジ1316がそれぞれのベアステントクラウンを越えて後退するにつれ、ベアステントクラウンが露出され、解放される。しかし、円周エッジ1322は、残りのそれぞれのベアステントクラウンを越えて後退しないで、下記でさらに考察するように、それの遠位の物が残される。従って、これらの残っているそれぞれのベアステントクラウンは、ステント保持具アーム1158に保持されたまま残る。
【0105】
これら残っているそれぞれのベアステントクラウンを解放するために、ステント保持具1152がさらに後退する。これにより、それぞれのベアステントクラウンを越えてステント保持具アーム1158の円周エッジ1322が後退し、ベアステントクラウンが露出され、解放される。
【0106】
ステント保持具1152は、2種の長さ、例えば、短いステント保持具アーム1158Aおよび残りのステント保持具アーム1158Bを含む長いステント保持具アーム1158を有するステント保持具アーム1158を持つとして図示されているが、他の例では、類似のステント保持具は、いくつかの可変長さのステント保持具アームを含み、ベアステントクラウンを連続的に所望の順番に解放する。
【0107】
ステント保持具1152は、任意の硬質および/または適合生体適合性材料から作ることができ、また、単一ユニットで形成、および/または個別の部分から構築してもよい。ステント保持具は、種々の材料から製造できる。これは、硬質プラスチック材料、例えば、ポリエーテル・エーテル・ケトン(PEEK)、ポリカーボネート、等を含んでもよく、また、ステンレス鋼、等の金属を含んでもよい。一実施形態では、ステント保持具と接触するステント表面に対する損傷を避けるために、ステント保持具用として、硬質プラスチックまたは高度に研磨した金属が望ましい。ステント保持具とステント保持シャフトは、両者を接着剤で結合するか、または両成分を一緒にねじ切りすることにより固定できる。あるいは、ステント保持具は、ステント保持シャフト上に直接に挿入成形してもよい。
【0108】
図14Cは、別の実施形態のステント保持具アームの側面図である。各ステント保持具アーム1158の遠位末端は、内向きにステント保持具の中央軸に向かって突き出た突起1153を含むこともできる。突起1153は、ステント保持具アーム上のベアステントクラウンの遠位末端を正確に保持するのに充分な大きさであってよいが、しかし、ベアステントクラウンの遠位末端を越えて、ステント保持具アーム1158が後退するのを可能とするのに充分な小ささでありうる。
【0109】
図15Aおよび15Bは、それぞれ、ステントグラフト送達システムの部分側面図と部分斜視図である。
図15Aは、ステントグラフトのローディングにそなえて、ステントグラフト送達システム部品をスライドさせてずらした図であり、
図15Bは、一緒にスライドする部品を示す。
図15Bは、ロード位置での1つのベアステントクラウン1128を示し、図上で解りやすいように、残りのステントグラフトを省略している。ステントグラフト送達システム1100は、ノーズコーン組立体1130、スピンドル組立体1140、およびステント保持組立体1150を含む。スピンドル組立体1140は、ノーズコーン組立体1130のノーズコーンシャフト1134上をスライド可能なように配置され、ステント保持組立体1150は、スピンドルシャフト1144上をスライド可能なように配置される。この例では、ステント保持具1152のステント保持具アーム1158は、ノーズコーン組立体1130の接続部1138上に延びる。当業者なら、ステント保持具アーム1158は、ステントクラウン1128をスピンドル組立体1140上に固定するのに充分遠くに延びることのみが必要で、接続部1138上に延びる必要はないことを理解するであろう。例えば、一例では、ステント保持具アーム1158Aは、接続部1138上へ延びないが、残りのステント保持具アーム1158は、接続部1138上へ延びる。他の例では、ステント保持具アーム1158Aおよび残りのステント保持具アーム1158は、すべて接続部1138上へ延びるか、あるいは、接続部1138上へ延びない。
【0110】
ノーズコーン組立体1130の近位末端、スピンドル組立体1140、およびステント保持組立体1150は、ハンドルで終端になる。このハンドルは、臨床医がそれぞれのシャフトを相互に無関係にスライドできるようにし、シャフトをひとまとめにして、脈管構造を通して前進させることを可能とする。ステントグラフト送達システム1100は、また、ステントグラフトの近位末端がスピンドル取り付け具1142とステント保持具1152の間で保持される場合に、ステント保持組立体1150およびステントグラフト上をスライド可能なグラフトカバー(またはシース)(示していない)を含むことができる。グラフトカバーは、配置されるまで、収縮した送達直径でステントグラフトを保持できる。
【0111】
図16A〜16Cは、ステントグラフト送達システムの詳細斜視部分図である。
図16Aは、スピンドル取り付け具とステント保持具の間で保持されるステントグラフトの末端を図示し、
図16Bは、スピンドル取り付け具から後退したステント保持具を図示し、また、
図16Cは、スピンドル取り付け具とステント保持具から前方へ押し出したノーズコーンを図示する。
【0112】
図16Aを参照して考察するが、ステントグラフトは、スピンドル取り付け具のスピンドルピン1148周辺にベアステントクラウン1128を伴って、ステントグラフト送達システムにロードされる。ステント保持具アーム1158は、ステント保持具1152の溝1159を通って延びる。この例では、ステント保持具アーム1158の遠位末端は、ノーズコーン組立体1130上に延びている。各ベアステントクラウン1128の頂端は、ステント保持具アーム1158、スピンドルピン1148、およびアーム接続セグメント1137、により拘束される。
【0113】
図16Bを参照して考察するが、ステント保持具1152は、後退した位置で図示されており、それにより、ステント保持具アーム1158は、スピンドル組立体1140のスピンドルピン1148から後退し、もはやベアステントクラウン1128を拘束する位置にはない。ベアステントクラウン1128は、図が解りやすいように圧縮送達直径で示すが、実際には、ステントクラウン1128は、もはや拘束されていない場合、ステント保持具1152が後退し、ステントグラフトがグラフトカバーから解放されると、配置直径へと自己展開するはずである。
【0114】
図16Cを参照して考察するが、ノーズコーン1132は、スピンドル取り付け具およびステント保持具1152の両方から前方へ押し出される。ノーズコーン組立体、スピンドル組立体、およびステント保持組立体は、相互に独立してスライド可能であり、それにより、ノーズコーン1132の位置は、スピンドル取り付け具およびステント保持具1152を移動させることなく、配置部位に対して調整可能である。これは、ステント保持具1152がスピンドル組立体1140から後退し得ない場合、ノーズコーン組立体のノーズコーンシャフトに力を加えることにより、ベアステントクラウンを配置可能とする。ベアステントクラウン1128は、ノーズコーンが、前に押し出され、ベアステントクラウンを解放されるまで、ステント保持具アーム1158の遠位末端に対し外向きに半径方向の力を働かせ、ベアステントクラウン1128の遠位末端を送達直径に保持する。
【0115】
図17は、ステントグラフトを血管中の配置部位に送達する方法のフローチャートである。配置部位は、腹部大動脈、胸部大動脈、またはいずれかの他の血管中の位置であってよい。方法1200は、ノーズコーンおよびノーズコーンシャフトを有するノーズコーン組立体;スピンドル取り付け具およびスピンドルシャフトを有するスピンドル組立体(スピンドル組立体がスピンドル組立体管腔を規定する);ならびにステント保持具およびステント保持シャフトを有するステント保持組立体(ステント保持組立体がステント保持組立体管腔を規定する)を含むステントグラフト送達システムを用意するステップ(1202)を含む。ノーズコーンシャフトはスピンドル組立体管腔中に、スピンドルシャフトはステント保持組立体管腔中に、スライド可能なように配置される。方法1200は、スピンドル取り付け具の周りにステントグラフトの一端が配置され、ステントグラフトの一端の周りにステント保持具が配置され、さらにステントグラフトが送達直径に収縮した状態で、ステントグラフトをステントグラフト送達システムにロードするステップ(1204);スピンドル取り付け具を配置部位に合わせるために、ステントグラフト送達システムを血管を通して前進させるステップ(1206);ステントグラフトの1つの末端を送達直径に維持している間に、ステントグラフトを展開するステップ(1208);およびステント保持具を後退させて、ステントグラフトの1つの末端を解放するために、スピンドルシャフトに対して保持具シャフトを抜去するステップ(1210)、をさらに含む。一実施形態では、ノーズコーン組立体が、ガイドワイヤー管腔を規定し、また、ステントグラフト送達システムを血管を通して前進させるステップ(1206)が、血管を通してガイドワイヤーを前進させること;ガイドワイヤーをガイドワイヤー管腔に挿入すること;およびステントグラフト送達システムを、ガイドワイヤー上を前進させることを含む。
【0116】
通常、ステント保持組立体は、何の力も加えずにノーズコーン組立体まで移動可能であるが、ステント保持具と配置ハンドルの間の連結が動作不能になると、(理由は何であれ)ノーズコーンを、配置を達成するため前に動かすことができる。ステントグラフト送達システムを血管を通して前進させること(1206)は、スピンドル取り付け具が配置部位に合致するまで、ノーズコーンシャフト上でステント保持組立体およびスピンドル組立体をスライドさせることを含んでもよい。一実施形態では、方法1200は、ベアステントクラウンおよびステントグラフトの解放を達成するために、保持具シャフトをスピンドルシャフトに対し抜去する前に、スピンドル取り付け具を配置部位に再整合させることを目的として、ノーズコーンシャフト上で、ステント保持組立体およびスピンドル組立体をスライドさせることをさらに含んでもよい。
【0117】
ステントグラフトの近位末端を送達直径に維持している間のステントグラフトの展開(1208)は、
図18に示すように、グラフトカバー1190を後退させてステントグラフトを解放することを含んでもよい。
【0118】
図18は、一部が配置されたステントグラフトの側面図である。グラフトカバー1190(1次シースと呼ばれることもある)が、ステントグラフト1120を解放するため後退しつつある状態の図示であり、ステントグラフトが圧縮送達直径から展開後の配置直径へと延びている。グラフトカバー1190は、ステントグラフトを解放可能なように脈管構造を通った送達用の圧縮送達直径で維持することができる。ステントグラフト1120の遠位末端1192は、ステント保持具1152により送達直径で保持されている。ステントグラフト1120がグラフトカバー1190から解放され、スピンドル取り付け具(示していない)が正確に配置部位に整合すると、ステント保持具1152は、後退して、ステントグラフトの遠位末端1192を解放することができる。
【0119】
図19Aと19Bは、長手方向に相互に移動可能な2つのみの部品を使ったステントグラフト送達システムの一実施形態の拡大部分平面図を示す。2つの長手方向に移動する部品の基本的な概念は既に考察したが、ここで説明する詳細と実施についてはまだ知られていない。ノーズコーンシャフト1135(
図19Aと19Bには示されていない)は、ノーズコーン1162に連結されている。ステント保持シャフト1155は、ノーズコーンシャフト1135の周りのステント保持具1160に連結され、それにより、全てのそれらの間のステントクラウン逃げ空隙(escape gap)を除去し、さらに、ステント保持具1160がノーズコーン1162およびそのスピンドル取り付け具1143(
図19Aおよび19Bには示されていない)と係合するにつれ、それに対しスライドする様に構成されている。ステント保持具1160は、上記で考察したように、ステント保持具アーム1158A、1158Bを有するステント保持具アーム1158を含む。上記で考察したように、ステント保持具アーム1158Aは、円周エッジ1316を含み、ステント保持具アーム1158Bを含む残りのステント保持具アーム1158は、円周エッジ1322を含む。
【0120】
図20A、20B、20C、および20Dに示される送達システムの断面の観察では、ステントグラフトのベアステント1126は、解りやすくするために切り取られており、また、これらの逐次進行を示す図は、1次配置モードを示す。ノーズコーンシャフト1135は、ノーズコーン1162を保持するために、末端に一体型バルブを有する。ノーズコーン1162は、ノーズコーンシャフトの上に成形され、一体部品を形成する。ノーズコーン1162の下部のハブ部分は、外表面に形成されたネジを有する。
図13A、13B、および13Cに記載された、スピンドル取り付け具1142に類似の周囲長配置を有するスピンドル取り付け具1143は、ノーズコーン1162の下部ハブのネジと係合するように作られた雌ネジを有する中央開口を持ち、それにより、スピンドル取り付け具1143のネジとノーズコーン1162のネジが完全に係合すると、それらはノーズコーンシャフト1135と一緒に一体部品のように動く。ステント保持シャフト1155は、末端でネジによりステント保持具1160に固定され、一体型部品のように動く。ステント保持具は、実質的に、
図14A、14B、14Cで前に記載のステント保持具1152のように構成される。従って、1次配置モードでは、2つの一体型部品:ノーズコーン保持具シャフト1135、ノーズコーン1162、およびスピンドル取り付け具1143;ならびにステント保持シャフト1155およびステント保持具1160は、相互に長手方向にカテーテルの軸に沿って動くことができる。ベアステント1126のクラウン1128が、スピンドル取り付け具1143の先端および先端間で捕捉されている場合は、ステントグラフトの下部が配置されるにつれ、スピンドル取り付け具1143全体、およびそれに隣接するノーズコーン1162の底部と外側、ならびにステント保持具1160のステント保持具アームの内側がそれぞれのベアステント1126のクラウン1128を保持し、
図20Aに図示するように、ベアステント1126のストラットを、捕捉されたクラウン1128の周りに回転させる。1次配置モードの進行中に、既に少なくとも部分的に配置されているステントグラフトの下部が、隣接血管壁と接触して、完全ではないにしても、部分的に血管中の特定配置部位置に固定される。捕捉されているクラウンの長手方向の位置は、従って、それが結合する主ステントグラフト本体部分に対するベアステントの移動範囲内に実質的に固定される。ステントグラフトが部分的に配置されるとすぐ、クラウン1128は、もはや長手方向に動くことはできなくなり、外側への回動のみが可能となる。1次配置の間、ステント保持シャフト1155は、引き抜かれ、ステント保持具1160が後退し、ノーズコーン1162とステント保持具1160のステント保持具アーム1158Aの間の配置ギャップ1198(
図20B)を開かせ、それぞれのベアステント1126のクラウン1128を外側へ回動させ、
図20Cでさらに認められるように配置を完結させる。しかし、
図20Cでさらに認められるように、残っているベアステント1126のクラウン1128は、ステント保持具アーム1158Bを含む残りのステント保持具アーム1158の間に捕捉されたまま残る。
【0121】
さらなる配置の間、ステント保持シャフト1155は、さらに引き抜かれ、ステント保持具1160を後退させて、ノーズコーン1162と残っているステント保持具1160のステント保持具アーム1158Bを含むステント保持具アーム1158の間の配置ギャップを開かせ、それぞれのベアステント1126のクラウン1128を外側へ回動させ、
図20Dに見られるように、配置を完結させる。
【0122】
しかし、
図20A、20B、20C、および20Dの1次配置のステップを実行する場合、カテーテルハンドル(示していない)からステント保持シャフト1155への連結が破損、またはステント保持シャフト1155それ自体が破損し、それにより、長手方向の力によりステント保持具1160を後退させて
図20Dの逃げ空隙を形成することができないということがありうる。ステント保持具1160が動かせないケースでは、当技術分野で見られるような一体型ノーズコーンおよびスピンドル取り付け具では、ベアステントのクラウン1128の配置を中断することになるであろう。従って、配置、または装置の除去を完結することを目的として装置のマニュアル操作により、この状態を修正する部位にアクセスする開腹外科的処置、および、開腹外科手術に関連するあらゆるリスクと合併症を伴う標準的外科グラフト移植が必要となる。
【0123】
本明細書に記載の装置は、一体型ノーズコーン装置の弱点を克服する。
図21A、21B、21C、および21Dの第2の配置過程は、現在の装置が上記欠点を克服する方法を示す。
図21Aは、上述
図20Aに示し、記載したのと類似の、完全に捕捉されたステントクラウンである。ステント保持シャフト1155が後退できないことが解ると、操作者は第2の配置手続きを開始できる。血管壁と接触している部分的に配置されたステントグラフトは、ベアスプリング1126の長手方向移動、および同様にベアスプリング1126の回転動に対して抵抗または実質的な阻止の両方の作用をする。ベアスプリング1126のクラウン1128は、スピンドル取り付け具1143の各ピンの先端周辺に置かれ、ステントグラフトの上またはそれから離れたスピンドル取り付け具1143の長手方向移動を実質的に防ぎ、一方、クラウン1128は、ステント保持具1160内に捕捉されている。しかし、前に述べたような、スピンドル取り付け具1143とノーズコーン1162のハブ間のネジによる連結は、2つを分離するために使用できる。スピンドル取り付け具1143の回転位置は、前に記載のように、実質的に周辺血管壁に固定されているベアステントとの係合により固定されているので、ノーズコーンシャフト1135に回転トルクを加えて、ノーズコーン1162を回転させ、ノーズコーンの回転に伴うネジの長手方向作用により、スピンドル取り付け具1143から分離させることができる。このスピンドル取り付け具1143から離れるノーズコーン1162の長手方向移動の開始を
図21Bに示す。ベアステント1126は、凡そ円筒状の非拘束配置を有するので、ベアステント1126のクラウン1128は、ベアステント1126を非拘束配置に戻す傾向のある内力により、外向き、および前方に動かされる。ノーズコーン1162は、
図21Cにあるように、スピンドル取り付け具1143に対し回転を続けるので、ノーズコーン1162とスピンドル取り付け具1143(おょび、ノーズコーン1162とステント保持具1160のステント保持具アーム1158Aの間も)の間の第2の配置手続きギャップ1199が、それぞれのベアステント1126のクラウン1128を前方に動かして逃がし、
図21Cに見られるように、ベアステント1126のクラウン1128の完全解放をもたらす開口部を提供する。しかし、
図21Cでさらに見られるように、ベアステント1126の残っているクラウン1128は、ステント保持具アーム1158Bを有する残ったステント保持具アーム1158の間に捕捉されたまま残る。
【0124】
図21Dに示すように、ノーズコーン1162がスピンドル取り付け具1143に対して回転し続けるので、ノーズコーン1162とステント保持具1160のステント保持具アーム1158Bを有する残ったステント保持具アーム1158の間の配置ギャップが開かれ、ベアステント1126のそれぞれのクラウン1128を外側へ回動させ、
図21Dに示すように、配置を完了させる。
【0125】
ベアステントの内部(バネ)力が大きな直径の非拘束形状に戻ることを強く求めるので、ベアステント1126のクラウン1128は、前方に回動し続ける。スピンドル取り付け具は、現状、ノーズコーン1162から解放されているが、まだノーズコーンシャフト1135に捕捉されており、送達システムが部分的配置ステントグラフトから解放されると、そこで完全に配置されて、安全に取り外されることになる。部分的に配置されたステントのクラウンを解放するための、1つの送達システムで使用できる第1と第2の配置手続きを持つことにより、当技術分野では、今まで知られていなかったユーティリティーが提供される。
【0126】
図と前述の説明は、本発明に従った実施形態の例を提供する。明細書中で明示的に示されていても、またはそうでなくても、多くの変更、例えば、構造、寸法、および材料の使用における変更が可能である。