(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
真空容器と、前記真空容器へのガス入口の配列と、前記真空容器中にプラズマを発生するプラズマ配列と、前記真空容器内の基板ホルダと、前記真空容器から除去されるべきガス用に前記真空容器の壁に接近して設けられ、かつ、前記ガス入口の配列および前記基板ホルダから離れている排気配列とを備え、前記排気配列は、前記壁を通り、間隔を空けられた少なくとも2つの排気孔と、前記真空容器から除去されるべきガス流のみを、前記少なくとも2つの排気孔の一方または他方のいずれかに向かって分流するように構成された少なくとも1つのガス分流器体とを含み、前記少なくとも1つのガス分流器体は、一方向に延びるバーの形状を有する、プラズマリアクタ。
前記真空容器は、頂部壁および底部壁、ならびに側壁を含む箱の形状であり、前記少なくとも1つのガス排気配列は、前記側壁に接近して設けられており、前記プラズマを発生する前記プラズマ配列は、前記頂部壁および前記底部壁の一方に沿って延在する電極表面と、前記側壁から離れた電極表面周囲部とを有する電極を含み、前記ガス分流器体は、前記排気配列に最も近い前記電極表面周囲部のエリアを通過した前記除去されるべきガス流を選択的に分流するように構成されている、請求項1に記載のプラズマリアクタ。
前記真空容器は、頂部壁および底部壁、ならびに側壁を含む箱の形状であり、前記少なくとも1つのガス排気配列は、前記側壁に接近して設けられており、前記基板ホルダは、前記頂部壁および前記底部壁の一方に沿って延在し、かつ、前記側壁から離れた基板ホルダ周囲部を有し、前記ガス分流器体は、前記排気配列に最も近い前記基板ホルダ周囲部のエリアを通過した前記除去されるべきガス流を選択的に分流するように構成されている、請求項1に記載のプラズマリアクタ。
前記真空容器は、頂部壁および底部壁、ならびに側壁を含む箱の形状であり、前記少なくとも1つのガス排気配列は、前記側壁に接近して設けられており、前記プラズマを発生する前記プラズマ配列は、前記頂部壁および前記底部壁の一方に沿って延在する電極表面と、前記側壁から離れた電極表面周囲部とを有する電極を含み、前記ガス分流器体は、前記排気配列に最も近い前記電極表面周囲部のエリアを通過した前記除去されるべきガス流を選択的に分流するように構成されている、請求項1に記載のプラズマリアクタ。
前記真空容器は四角い箱の形状であり、前記電極表面は四角い形状であり、前記排気配列は、四角い箱の4つの側壁の1つに接近して設けられている、請求項8に記載のプラズマリアクタ。
前記真空容器は、頂部壁および底部壁、ならびに側壁を含む箱の形状であり、前記少なくとも1つのガス排気配列は、前記側壁に接近して設けられており、前記基板ホルダは、前記頂部壁および前記底部壁の一方に沿って延在し、かつ、前記側壁から離れた基板ホルダ周囲部を有し、前記ガス分流器体は、前記排気配列に最も近い前記基板ホルダ周囲部のエリアを通過した前記除去されるべきガス流を選択的に分流するように構成されている、請求項1に記載のプラズマリアクタ。
前記少なくとも1つのガス分流器体は金属からなり、前記プラズマリアクタの金属部に電気的に接続されているか、前記プラズマリアクタの如何なるさらなる金属部からも電気的に絶縁されている、請求項1から12のいずれかに記載のプラズマリアクタ。
排気された真空容器中に基板を設ける工程と、前記基板の表面に沿って分散されるプラズマ放電を発生する工程と、前記プラズマ放電中に分散されるガスを吸入して、前記プラズマ放電からのガスを、前記真空容器中の間隔を空けられた少なくとも2つの排気孔を通して除去する工程と、前記排気孔に接近して設けられ、かつそこから離れている少なくとも1つのガス流ブロッキング分流器体によって、前記少なくとも2つのガス排気孔の排気効果の空間的な分散を選択的に調整することにより、前記プラズマ放電からのガス流の分散を前記少なくとも2つの排気孔に向かってその中へと制御する工程とを含み、前記少なくとも1つのガス流ブロッキング分流器体は、一方向に延びるバーの形状を有する、真空処理された基板を製造するための方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
技術分野で知られている問題
簡略性および向上した性能に注目してプラズマリアクタを設計、エンジニアリングすることは、大きな挑戦である。この作業は、しばしば、リアクタの構成を特定の用途またはプロセスに合うように調整することによって簡略化され得る。顧客仕様を超え、かつ長いリストの要件に合うマルチ機能プラットフォームの開発は、いくつかのエンジニアリング上の問題に直面し、時に相反する物理的な課題を解決しなくてはならない。
【0007】
問題のほとんどは、i)装置の性能、ii)基板寸法、iii)対応しなければならないプロセスの特徴、ならびに、iv)システムの動作およびメンテナンス、の4つの主要な柱の間の複雑な相互作用を反映する。
【0008】
米国特許第4,798,739号は、等温反応器に対する効率的な基板ロード/アンロードシーケンスを可能にするプラズマボックス(「ボックス内のボックス(Boxes within box)」)という概念を導入している。さらなる経験が、欧州公開特許第1 953 794号で蓄積されており、大寸法を有するプラズマボックスの特定の問題が解決されている。問題のない電気的構成を保守しつつ最適なガス分散を確保するために、いくつかの革新的な要素が米国特許第6,502,530号に特定されている。膜均一性が、より高いRF励起周波数および大きな基板寸法では課題となる。米国登録特許第6,228,438号は、電磁波効果および/またはプロセス不均一性を補う補正層を提案している。
【0009】
本発明の基盤として、既存のコンセプトにおける一連の議題が認識されており、さらなる改善が求められている。以下に、
図1を参照して、先行技術設計およびその欠点を述べる。
図1は、先行技術のプラズマリアクタの一例を概略的に示す。並列平板型のプラズマリアクタは、外側エンクロージャとして、リアクタ底部壁116、リアクタ頂部壁110、ならびに側壁111および112を含む。ロードおよびアンロード設備、ならびにそれぞれの基板ホルダを有する基板は、図示していない。
【0010】
側壁111および/または112は、それぞれ排気孔17,18を示す。ポンプおよび外部ガス配管は図示していない。容器内には、頂部電極113および底部電極114が設けられており、後者は基板ホルダまたは受け台として機能してもよい。頂部電極および底部電極はいずれも、RFパワー源に作動可能に接続可能である(図示せず)。リアクタの動作中、分散されたプラズマが、頂部電極113と底部電極114との間の隙間または反応スペース中で点火し、それによりプラズマゾーン115が確立される。このような型のリアクタの等温性を改善し、かつプラズマの閉じ込めを改善するためには、排気グリッド15および19が設けられる。プラズマゾーン115からそれて、頂部電極113の「裏側」には、ガス分散スペース116が設けられる。作動ガスは、外側源(図示せず)からガス分散スペース116中に送られる。その中に配置されたグリッド11、12、13は、分圧器およびガス分散手段として作用する。このようなリアクタ設計におけるエッジ効果を補うために、隙間14は、作動ガスの余りがプラズマゾーン115の周辺エリアに分散できるようにする。
【0011】
1.今日のPECVD生産システムのレイアウトにおいては、アモルファスおよびミクロ/ナノ結晶シリコン(μc−Si)堆積専用のリアクタが一般的である。しかし、このようなプロセス専用機械には、多数の望ましくない影響がある。10台の並列運転されるa−Siリアクタを有する既知の配列においては、2台のa−Siリアクタが故障すると、システムが80%容量で動作するという結果になる。より多機能のプラズマリアクタまたはプラズマボックスが採用されれば、すなわち、a−Siリアクタをμc−Siモードおよびその逆へと容易に切換えることができれば、生産容量は、93%を超えたままとなり得る。このような場合、リアクタは柔軟性を増し、冗長性および依存性が減る。メンテナンスおよびサービス、ならびにサプライチェーンおよびストックは簡略化される。このようなシステムの操作員にとって中心的かつ主要な利益は、間違いなく生産時間である。
【0012】
2.顧客および製品の要件は常に、より要求が高まる傾向にある。あるプロセスについて、膜厚および/または結晶度のずれは、最小化されるべきである。特に、最適な結晶度からの大きなずれは、特に、長方形の基板については基板の対角線に沿って、解消される必要がある。
【0013】
3.ガスおよび電力消費量は、さらに最適化されるべきである。当業者には、シリコン系ミクロ結晶層が、埃の多いプラズマ領域(regimes)に関連していることが知られている。埃の多い領域(regimes)においては、埃の発生の際に、大量のSiH
4およびRFパワーが失われてしまう。結果的に、必要なSi結晶性を確保するために利用できるRFパワーが減り、したがって、堆積した層中にアモルファス領域が現われ得る。これらの損失を補うために、通常、より多くのRFパワーが始めからリアクタに供給される。
【0014】
4.先行技術のリアクタ設計においては、リアクタポンピンググリッド15、19が、(プラズマ閉じ込めを通して)堆積速度および膜均一性を改善させるための追加的な方法として用いられている。しかし、これらのグリッドは、静電気効果、局所的なプラズマ性質に影響を及ぼす好ましくないRFアース、および、結果的に、膜不均一性といういくつかの欠点の原因ともなり得る。ガスは、最も大きな基板寸法に「沿って」、すなわち、四角形の基板のエッジに沿って送り出されるか、または排気されるため、膜の不均一性の影響を受ける基板エリアが大きくなり得る。局所摂動が、基板エッジから中心に向かってわずか5cmにわたって延在するならば、影響を受けるエリアは、既に基板表面の約9%となり得る。エッジ効果(電信効果、不良なアース、ポンピングの重なりなど)は顕著になり得、基板表面の20%まで影響を及ぼす可能性がある。これらの効果を補正し、補うためのいくつかの方法が存在する。
【0015】
5.さらなるグリッドである、フローティングおよびスクリーニンググリッド11、12、13が、頂部電極113とリアクタ頂部110との間の隙間(ガス分散スペース116)の間の電位を容量的に分圧することにより、このスペースにおいて疑似(スプリアス)プラズマをなくすために用いられている。この要件は重要ではあるが、機械によって現在実施されている、ある光起電力プロセスにとってはさほど決定的ではないと思われる。しかし、簡略化は可能である。
【0016】
性能および能力を改善する必要性から生じた上述の課題は、本発明に従う新たなプラズマリアクタまたはプラズマボックスの設計につながった。
【0017】
本発明の目的は、プラズマリアクタおよび製造方法であって、
図1を利用して例示したように、処理されるべき基板の表面に対するプラズマ処理効果の均質性が改善されることにより、先行技術のリアクタに対して、電力およびガス消費量に対する堆積効率を維持するプラズマリアクタおよび製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
これは、本発明に従って、真空容器と、真空容器へのガス入口の配列と、真空容器中にプラズマを発生するプラズマ配列と、真空容器内の基板ホルダと、真空容器から除去されるべきガス用に真空容器の壁に接近し、かつ、ガス入口の配列および基板ホルダから離れている排気配列とを備えるプラズマリアクタにより達成される。排気配列は、壁を通る少なくとも1つの排気孔と、除去されるべきガス流の少なくとも一部を排気孔に入る前に真空容器から分流するように構成された少なくとも1つのガス分流器体とを含む。
【0019】
上述の目的は、さらに、排気された真空容器中に基板を設ける工程と、基板の表面に沿って分散されるプラズマ放電を発生する工程と、分散されたプラズマ放電中に分散されるガスを吸入して、分散されたプラズマ放電からのガスを、真空容器中の少なくとも1つの排気孔を通して除去する工程と、少なくとも1つの排気孔に接近して設けられ、かつそこから離れている少なくとも1つのガス流ブロッキング分流器体によって、ガス排気孔の排気効果の空間的な分散を選択的に調整することにより、プラズマ放電からのガス流の分散を少なくとも1つの排気孔に向かってその中へと制御する工程とを含む、真空処理された基板を製造するための方法によって解決される。
【0020】
ここで、本発明をさらに実施例を利用して説明する。実施例からは、本発明に従うプラズマリアクタおよび製造方法のさらなる実施の形態が明らかになるであろう。付随の図面に言及する。これらの図面は以下を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明に従うプラズマリアクタは、たとえば、その中で少なくともPECVDのプロセスを実施するために本発明に従う方法を実施するためには、リアクタ頂部壁21によって画定される容器中に、リアクタ側壁23、24およびリアクタ底部壁22、電極25ならびに、基板26用の基板ホルダ27を含む。リアクタ底部壁22または基板ホルダは、電極25に対するカウンター電極として作用する。少なくとも1つの排気孔、好ましくは、少なくとも2つの排気孔210、29が、側壁24および23に設けられ、さらに、
図6において動作中に基板26を用いて示すように、電極25および/または基板ホルダ27の近傍に、かつそこから離れて設けられる。ガス分流器体218は、制御されていないガス流が排気孔210の外に送り出されてしまうという悪影響が、少なくとも実質的に減らされるように、電極25に近接して配置される。ガス分流器体218は、図示するように、棒の形状の側面、特に、以下に記載する設計ルールに従う形状および幾何学的配列を示し得る。ガス分流器体218は、金属からなることが好ましいが、誘電材料または、金属および誘電材料の両方の組合せからなってもよい。金属からなるガス分流器体は、基準電位、特にアース電位に設定され得るか、または、規定の電位で動作するリアクタ内のすべての金属部分に対して電気的に絶縁された状態で、したがって、電気的に浮遊に取付けられ得る。
【0023】
図2のプラズマリアクタは、1.4m
2以上の基板26上のシリコン薄膜のPECVDに特に適している。大量生産に該当する性質および成長速度を有するドープ/アンドープされたアモルファスまたはミクロ結晶光起電力薄膜を堆積することができる。本発明に従うと、得られる膜の物理化学的特性は、全基板エリアにわたって改善された均一性を享受する。本発明は、10MHzを超えるRF周波数での容量結合ガス放電に特徴的な、多くの物理的現象を考慮している。
【0024】
ガス分流器体218を有する本発明のプラズマリアクタは、ミクロ結晶シリコンの堆積について、
図1の先行技術のプラズマリアクタに関して得られたいくつかの大事な知見に基づいている。
【0025】
・ポンピンググリッド15、19は、むしろ膜均一性を低下させる。その理由は多数ある。
【0026】
・しかし、ポンピンググリッドを除去すると、リアクタ中に新たなガス流分散および異なる電気的性質が確立されてしまう。
【0027】
・周辺ガスをプラズマゾーン115のエッジ領域に向ける先行技術の隙間14は、ガスおよびRFパワーにおける損失を増大させる。
【0028】
・
図2に例示されるようなプラズマリアクタに従うと、フローティングおよびスクリーニンググリッド11から13を減らすか、回避することができる。結果的に、リアクタの構造が大きく簡略化される。
【0029】
・
図1の先行技術のプラズマリアクタにおいては、プラズマリアクタ内のRF波の反射によるスタンティングウェーブ効果が強く、特に、基板のより大きな寸法に沿って、したがって、四角い基板上では基板の対角線に沿って、強い。これは、補正容量層の設計に影響を及ぼす。
【0030】
・しかし、大幅に、また、大部分の基板表面について、該当する膜性質は、補正層を規定する電極形状の適当な設計によって調整され得る。
【0031】
上述したような目的に加えて、本発明に従うプラズマリアクタおよび製造方法は、向上した性能を有するさまざまなプラズマアシストプロセスの実施を可能にすることにより、特に、PECVDプロセスの実施を可能にする。
【0032】
より詳細には、
図2の本発明に従うプラズマリアクタの実施形態に戻ると、プラズマリアクタ20は、リアクタ頂部壁21およびリアクタ底部壁22、ならびに側壁23、24を含み、これらのすべては、電気的にアースされていることが好ましい。13.56MHz以上であり、好ましくは、このような周波数の高調波であるRF周波数信号が、プラズマリアクタ20に収容されるRF電極25に供給される。RF電極25は、伝導電極体214および誘電板215を含む。平面の誘電板215と向き合う電極体214の表面216は、その間に体積217が囲まれるような、曲線の凹形状を示す。
【0033】
RFパワー源への接続、およびRF電極25の設置は、
図2には示されていない。基板26は、図示されていないロード/アンロード機構によって基板ホルダ27上に載置される。電極25と、基板26および/または基板ホルダ27との間の空間は、プラズマゾーンまたは反応体積213と呼ばれる。
【0034】
プラズマリアクタの容器へのガス入口の配列を有するガス分散配列28は、カスケード接続され、枝分かれした配管をベースとし、この配管は、リアクタ頂部壁21の内面の大部分のエリアにわたって、また、ガス分散体積212中に、プロセスガスまたはガス混合物の均質な分散を確保する。電極25は、ガスが、ガス分散体積212からプラズマゾーン213内へと通過できるように穿孔されている。排気ガスは、ガス排気孔29および/または210を通って排気される。絶縁スペーサ211は、頂部壁21からRF電極25を分離させる。ガス分散体積212の高さは、疑似(スプリアス)/寄生放電が電極25のプラズマゾーン213からそれた表面とリアクタ頂部壁21の内面との間に起こらないという条件によって規定される。平面の誘電板215は、セラミックからなることが好ましく、ガスがプラズマゾーン213中に均一に分散されるようにガス孔も設けられる。記載したように、体積217は、電極体216の凹状表面および誘電板215の対向表面によって規定される。
図2において、ガス分流器体218は、排気孔210によって、またそれを通して、プラズマリアクタの容器からの除去されるべきガス流を制御する一方で、さらなるガス分流器体219は、プラズマリアクタの容器からの除去されるべきガス流を、さらなる排気孔29により、またはそれを通して制御する。
図2の実施形態においては、ガス分流器体218および219の両方がリアクタ頂部壁21に設置され、それぞれの排気孔29に最も近い電極25の周囲部のエリアの上側まで、かつそれに接近して突出している。ガス分流器体の異なる設置および位置付けは、以下の説明から明らかになるであろう。
【0035】
本発明の精神および範囲から逸脱することなく、説明に例示されたガス分流器体に多くの詳細および規模における変更がなされ得ることが、当業者には明らかとなるであろう。たとえば、プラズマゾーン213の厚みに相当する、電極25と基板26との間の隙間は、通常、3mmと5cmとの間の値を有するが、一般的に、基板26上に堆積される膜の最適な均一性が達成されるように選ぶことができる。
【0036】
図3は、ガス分流器体の可能な変形体を、たとえば、
図2の実施形態において設けられるガス分流器体218、219の一方または両方に従って、さらに、以下の説明に記載するガス分流器体について図示する。参照番号31によって
図3に記載されるガス分流器体のサイズおよび位置付けは、いくつかのパラメータによって規定され得る。
図3に示すように、
図2の実施形態における電極25のそれぞれのエッジに一致する電極配列36のエッジと、実際には、ガス流補正器であるガス分流器体31との間の距離「a」は、2mmから4mm(上限および下限ともに含む)となり、好ましくは、3mmとなる。距離「b」は、3から6mm(上限および下限ともに含む)となり、好ましくは、5mmとなる。それにより、距離「b」は、電極36のエッジとガス分流器体31のエッジとの間の有効距離、すなわち、電極36のエッジを超えるガス分流器体の突出部を示す。
【0037】
角度αは、70から110°の間(上限および下限ともに含む)から選ばれ得、90°が好ましい値である。角度は、
図3に示すように、電極36がそれに沿って接近して設けられるリアクタ壁32と、ガス分流器体31との間に規定される。一般的に、本発明に従ってプラズマリアクタに排気配列の一部として設けられ、排気孔を追加的に含むようなガス分流器体は、膜厚を補正するように「ガス保持」またはガス分流効果を確保し、たとえば、基板26上に堆積された層の結晶体積を改善するように、局所的に結合されていない(locally incoupled)パワーを追加的に補正する。
【0038】
図4に、ガス分流器体31についての代替的な断面形状が提案される。この形状は、長方形(a)、三角形(b)、折れた歯形状(c)になり得るか、または、短い辺が丸く切り捨てられているか(f)、面取りされているか(e)、もしくは先端が切られている(d)、本質的に長方形の形状を示し得る。したがって、エッジは、平面の凸形状または凹形状を有し得る。
【0039】
図5の実施形態において、プラズマリアクタの容器33は、四角い箱の形状である。排気配列は、2つの横並びの排気孔35および34を、四角い形状の容器の側壁の一方に含む。断面図においては、この実施形態は、排気配列を除くと、
図2の実施形態と同じか、または、
図6の実施形態の1つと同じように見え得る。
図5における、たとえば、約40cmの寸法「c」は、たとえば、1.1×1.3m
2の基板を処理すると解釈される容器33の一方の側壁における、また、それに接近する、ポンピングの重なりによって規定される。ガス分流器体37は、Alなどの金属からなり、アースされ得、たとえば、
図2に従う21または22のリアクタ頂部壁または底部壁に電気的に接続され得るか、または、たとえば、アース電位などの特定の電位で動作する容器の、および/または容器中の金属部材に対して電気的に絶縁され得る。
【0040】
「ポンピングの重なり」の効果は、
図5を利用して説明され得る。
図5は、電極38およびガス分流器体37を有する上面図における容器33の内部を示す。基板は図示されていないが、
図2の基板26および電極25について見られ得るように、電極38および基板は、形状が似ており、サイズが同等であり、真空システム内で密接な関係にある。以下の記述は、電極、したがってならびに、基板キャリアおよび基板にも当てはまる。
【0041】
大面積リアクタ33については、ポンピングの影響が、容器中の全体の処理該当体積に対して均質に有効でないため、真空下、単一の排気孔ではしばしば十分でない。本質的に均質なポンピング効果は、排気孔から延在する、ある空間角度範囲内の体積についてのみ実現され得る。2つの排気孔34および35を、間隔が空いているが、容器33中で実質的に同じ体積に対して有効であり、かつ、電極38に近接して、たとえば、本質的に該電極の平面中にあるように配置すると、両方の孔の上記の角度範囲は、リアクタ中の体積の、ある空間エリアに沿って重複するであろう。この重複体積エリアにおいて、プラズマゾーン中に存在するガスは、排気孔35および34の両方に「会い」、ポンピング効果および、したがってガス流は、接近する体積エリアよりもこの重複体積エリアにおいての方が顕著となるであろう。
【0042】
この場合、ガス分流器体37は、一般的に、特に排気効果が顕著である排気孔の近くにおいて、容器中の二重の排気効果を回避するために、電極38と相対的に形付けられ、配置されなければならない。ガス分流器体37の長さは、排気孔34と35との距離「e」、ならびに、排気孔34および35と最も近くの電極エッジまたは周囲エリア313との間の距離「d」に依存して、ガス分流器体37が、2つの排気孔による有効なポンピングの影響が大きく増大するエリアをブロックまたは隠すように選ばれなければならない。
【0043】
この関係は、
図5に示すように幾何学的に決定され得る。ガス分流器体37の長さ方向の延在部は、線39および線310の2つの交点と、距離「a」で電極エッジ313と平行な線との間の距離である。
【0044】
2つの排気孔の間の距離「e」が60cmであり、電極エッジ313と容器33の壁との間の距離「d」が7cm近くであれば、ガス分流器体37の長さ「c」は約40cmとなるであろう。幾何学的配置の変形によって、c、d、およびe間の関係を本質的に一定にすることにより、本発明のガス分流器体37をスケールアップおよびスケールダウンすることが可能となるであろう。3つの排気孔を有する排気配列については、たとえば、2つのガス分流器体を、それぞれの値を一対で計算して、上記の指示に従って配置し得る。
【0045】
図6は、
図2に示すようなプラズマリアクタの実施形態に基づき、
図3のガス分流器体31、
図2のガス分流器体218または
図5のガス分流器体37に従う、ガス分流器体41の取付のための代替的な構成を示す。一般的に、
図2、
図3、
図4、
図5および
図6からの適当な実施形態の選択は、プラズマリアクタにより実施されるプロセスの詳細事項に基づく。特に、プロセス圧力は主要な役割を果たす。たとえば、3から12mbarの中間圧力領域(regimes)であれば、ガス分流器体の長さを基板の全長まで伸ばすことと、
図6(e,f)に図示するような適当な実施形態とが必要となるであろう。
図6(e)においては、電気的に「浮遊な(floating)」ガス分流器体がリアクタ底部に取付けられ、アースおよび絶縁されたガス分流器体の組合せが、
図6(f)に示される。構成とは無関係に、ガス分流器体の位置、サイズおよび形状は、ガス排気孔35、34の位置に関する情報が、基板エッジに沿ってすべて「消える」、すなわち、ポンピングの重なりの効果が消失する、という条件を満たさなければならない。さらに、追加的に、ガス分流器体の近傍のオーミックプラズマ加熱は、堆積された膜の必要なガス解離速度および性質を確保しなければならない。
【0046】
本発明に従うリアクタにより得られる堆積されたシリコン薄膜は、偏光回折法、ラマン分光法、フーリエ変換赤外分光法およびフーリエ変換光電流分光法の手段によって分析されている。これらの技術により、高品質の光起電力層が、大幅により高い堆積速度で得られ得ることが確認された。表1(下記)は、本発明に従うシステムおよび
図1のような以前のバージョンのプラズマリアクタまたはプラズマボックスにより得られた、アモルファスおよびミクロ結晶光起電力シリコン膜の堆積速度、膜均一性および結晶体積を比較している。まとめると、上述の対策により、Si層の結晶度に対する制御が大きく改善し、厚み不均一性が減り、全基板エリアにわたってより高い堆積速度が確保される。同時に、先の欠点はなくなるか、または実質的に減った。
【0048】
上記から明らかであるように、本発明は、
A)真空容器と、上述の真空容器へのガス入口の配列と、真空容器中にプラズマを発生するプラズマ配列と、真空容器内の基板ホルダと、真空容器から除去されるべきガス用に真空容器の壁に接近しており、かつ、ガス入口の配列および基板ホルダから離れている排気配列とを備え、排気配列は、壁を通る少なくとも1つの排気孔と、上記の除去されるべきガス流の少なくとも一部を排気孔に入る前に真空容器から分流するように構成された少なくとも1つのガス分流器体とを含む、プラズマリアクタである。
【0049】
A)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態B)においては、上述の真空容器は、頂部壁および底部壁、ならびに側壁を含む箱の形状であり、上述の少なくとも1つのガス排気配列は、上述の側壁に接近して設けられており、上述のプラズマを発生する上述のプラズマ配列は、上述の頂部壁および上述の底部壁の一方に沿って延在する電極表面と、上述の側壁から離れた電極表面周囲部とを有する電極を含み、上述のガス分流器体は、上述の排気配列に最も近い上述の電極表面周囲部のエリアを通過した上述の除去されるべきガス流を選択的に分流するように構成されている。
【0050】
B)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態C)においては、上述の真空容器は四角い箱の形状であり、上述の電極表面は四角い形状である。
【0051】
B)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態D)においては、上述のガス分流器体は、棒の形状であり、上述の排気孔に最も近い上述の電極表面周囲部の横に沿って、かつそこから離れて配置され、さらに、上述の排気孔に最も近い上述の電極表面周囲部と上述の排気孔との間の上述の真空容器のスペース中の上述の排気孔から離れて配置されている。
【0052】
D)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態E)においては、上述の容器は四角い箱の形状であり、上述の電極表面は四角い形状である。
【0053】
A)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態F)においては、上述の真空容器は、頂部壁および底部壁、ならびに側壁を含む箱の形状であり、上述の少なくとも1つのガス排気配列は、上述の側壁に接近して設けられており、上述の基板ホルダは、上述の頂部壁および上述の底部壁の一方に沿って延在し、かつ、上述の側壁から離れた基板ホルダ周囲部を有し、上述のガス分流器体は、上述の排気配列に最も近い上述の基板ホルダ周囲部のエリアを通過した上述の除去されるべきガス流を選択的に分流するように構成されている。
【0054】
F)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態G)においては、上述の真空容器は四角い箱の形状であり、上述の基板ホルダは四角い形状である。
【0055】
F)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態H)においては、上述のガス分流器体は棒の形状であり、上述の排気孔に最も近い上述の基板ホルダ周囲部の横に沿って、かつそこから離れて配置され、さらに、上述の排気孔に最も近い上述の基板ホルダ周囲部と上述の排気孔との間の上述の真空容器のスペース中の上述の排気孔から離れて配置されている。
【0056】
H)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態I)においては、上述の真空容器は四角い箱の形状であり、上述の基板ホルダは四角い形状である。
【0057】
B)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態J)においては、上述の基板ホルダは、上述の頂部壁および上述の底部壁のうち他方に沿って延在し、かつ、上述の側壁から離れた基板ホルダ周囲部を有し、上述のガス排気配列は、上述の排気配列に最も近い上述の基板ホルダ周囲部のエリアを通過した上述の除去されるべきガス流を選択的に分流するように構成される第2の上述のガス分流器体を含む。
【0058】
J)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態K)においては、上述の容器は四角い箱の形状であり、上述の基板ホルダおよび上述の電極表面は四角い形状である。
【0059】
J)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態L)においては、上述の第2のガス分流器体は、棒の形状であり、上述の排気孔に最も近い上述の基板ホルダ周囲部の横に沿って、かつそこから離れて配置され、さらに、上述の排気孔に最も近い上述の基板ホルダ周囲部と上述の排気孔との間の上述の真空容器のスペース中の上述の排気孔から離れて配置されている。
【0060】
L)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態M)においては、上述の真空容器は四角い箱の形状であり、上述の基板ホルダおよび上述の電極表面は四角い形状である。
【0061】
A)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態N)においては、上述の排気配列は、上述の排気孔を少なくとも2つ含み、上述の少なくとも1つのガス分流器体は、実質的に上述の除去されるべきガス流のみを、上述の少なくとも2つの排気孔の一方に向かって、または上述の少なくとも2つの排気孔の他方に向かって分流するように構成されている。
【0062】
N)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態O)においては、上述の真空容器は、頂部壁および底部壁、ならびに側壁を含む箱の形状であり、上述の少なくとも1つのガス排気配列は、上述の側壁に接近して設けられており、上述のプラズマを発生する上述のプラズマ配列は、上述の頂部壁および上述の底部壁の一方に沿って延在する電極表面と、上述の側壁から離れた電極表面周囲部とを有する電極を含み、上述のガス分流器体は、上述の排気配列に最も近い上述の電極表面周囲部のエリアを通過した上述の除去されるべきガス流を選択的に分流するように構成されている。
【0063】
O)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態P)においては、上述の真空容器は四角い箱の形状であり、上述の電極表面は四角い形状であり、上述の排気配列は、四角い箱の4つの側壁の1つに接近して設けられている。
【0064】
O)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態Q)においては、上述のガス分流器体は棒の形状であり、上述の排気孔に最も近い上述の電極表面周囲部の横に沿って、かつそこから離れて配置され、さらに、上述の排気孔に最も近い上述の電極表面周囲部と上述の排気孔との間の上述の真空容器のスペース中の上述の排気孔から離れて配置されている。
【0065】
Q)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態R)においては、上述の真空容器は四角い箱の形状であり、上述の電極表面は四角い形状であり、上述の排気配列は、四角い箱の4つの側壁の1つに接近して設けられている。
【0066】
N)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態S)においては、上述の真空容器は、頂部壁および底部壁、ならびに側壁を含む箱の形状であり、上述の少なくとも1つのガス排気配列は、上述の側壁に接近して設けられており、上述の基板ホルダは、上述の頂部壁および上述の底部壁の一方に沿って延在し、かつ、上述の側壁から離れた基板ホルダ周囲部を有し、上述のガス分流器体は、上述の排気配列に最も近い上述の基板ホルダ周囲部のエリアを通過した上述の除去されるべきガス流を選択的に分流するように構成されている。
【0067】
S)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態T)においては、上述の真空容器は四角い箱の形状であり、上述の基板ホルダは四角い形状であり、上述の排気配列は、四角い箱の4つの側壁の1つに接近して設けられている。
【0068】
S)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態U)においては、上述のガス分流器体は棒の形状であり、上述の排気孔に最も近い上述の基板ホルダ周囲部の横に沿って、かつそこから離れて配置され、さらに、上述の排気孔に最も近い上述の基板ホルダ周囲部と上述の排気孔との間の上述の真空容器のスペース中の上述の排気孔から離れて配置されている。
【0069】
U)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態V)においては、上述の真空容器は四角い箱の形状であり、上述の基板ホルダは四角い形状であり、上述の排気配列は、四角い箱の4つの側壁の1つに接近して設けられている。
【0070】
O)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態W)においては、上述の基板ホルダは、上述の頂部壁および上述の底部壁のうち他方に沿って延在し、かつ、上述の側壁から離れた基板ホルダ周囲部を有し、上述のガス排気配列は、上述の排気配列に最も近い上述の基板ホルダ周囲部のエリアを通過した上述の除去されるべきガス流を選択的に分流するように構成される第2の上述のガス分流器体を含む。
【0071】
W)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態X)においては、上述の真空容器は四角い箱の形状であり、上述の基板ホルダは四角い形状であり、上述の排気配列は、四角い箱の4つの側壁の1つに接近して設けられている。
【0072】
W)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態Y)においては、上述の第2のガス分流器体は棒の形状であり、上述の排気孔に最も近い上述の基板ホルダ周囲部の横に沿って、かつそこから離れて配置され、さらに、上述の排気孔に最も近い上述の基板ホルダ周囲部と上述の排気孔との間の上述の真空容器のスペース中の上述の排気孔から離れて配置されている。
【0073】
Y)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態Z)においては、上述の真空容器は四角い箱の形状であり、上述の電極表面は四角い形状であり、上述の排気配列は、四角い箱の4つの側壁の1つに接近して設けられている。
【0074】
実施形態D)、E)、L)、M)、O)、R)、Y)またはZ)の1つに基づいて記載したようなリアクタの一実施形態Z1)においては、上述の棒の形状のガス分流器体は、上述の電極表面を越えて距離「a」だけ突出し、距離「a」には、
2mm≦a≦4mm
の有効範囲があり、
上述のガス分流器体は、上述の表面から距離「b」だけ離れており、距離「b」には、
3mm≦b≦6mm
の有効範囲がある。
【0075】
Z1)に基づいて記載したリアクタの一実施形態Z2)においては、上述の電極表面を越えて突出した上述の棒形状のガス分流器体の端部は、平坦状、凸状に湾曲状、および棒状に湾曲状のうち1つである。
【0076】
実施形態H)、I)、L)、M)、U)、V)、Y)またはZ)の1つに基づいて記載したようなリアクタの一実施形態Z3)においては、上述の棒の形状のガス分流器体は、上述の基板ホルダ周囲部を越えて距離「a」だけ突出しており、距離「a」には、
2mm≦a≦4mm
の有効範囲があり、
上述のガス分流器体は、上述の基板ホルダ周囲部から距離「b」だけ離れており、距離「b」には、
3mm≦b≦6mm
の有効範囲がある。
【0077】
Z3)に基づいて記載したようなリアクタの一実施形態Z4)においては、上述の電極表面を越えて突出した上述の棒形状のガス分流器体の端部は、平坦状、凸状に湾曲状、および棒状に湾曲状のうち1つである。
【0078】
実施形態A)からZ4)のいずれか1つに基づいて記載したようなリアクタの一実施形態Z5)においては、上述の少なくとも1つのガス分流器体は金属からなり、上述のリアクタの金属部に電気的に接続されているか、または、上述のリアクタのいずれのさらなる金属部からも電気的に絶縁されている。