(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】5927624
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】固体酸化物形燃料電池用電極材料
(51)【国際特許分類】
H01M 4/86 20060101AFI20160519BHJP
H01M 8/12 20160101ALI20160519BHJP
H01M 4/88 20060101ALI20160519BHJP
【FI】
H01M4/86 U
H01M8/12
H01M4/86 T
H01M4/88 T
【請求項の数】7
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-41356(P2015-41356)
(22)【出願日】2015年3月3日
【審査請求日】2016年1月14日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】715001921
【氏名又は名称】長山 五月
(72)【発明者】
【氏名】長山 五月
【審査官】
守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−084488(JP,A)
【文献】
特表2001−517859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/86
H01M 4/88
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルミニウム陽極酸化法で作製した陽極酸化皮膜の微細孔の中に、金属イオンを電解析出させることで第1の針状物を作製する工程と、その後陽極酸化皮膜だけを選択的に溶解して前記第1の針状物から第2の針状物を抽出する工程と、抽出した第2の針状物と電解質材料とを混合する工程と、を含む固体酸化物形燃料電池用電極材料の製造方法。
【請求項2】
前記第2の針状物が金属又は前記金属の酸化物もしくは水酸化物であり、前記金属がニッケル又はコバルト又は鉄、又はその混合物であることを特徴とする請求項1に記載の固体酸化物形燃料電池用電極材料の製造方法。
【請求項3】
前記第2の針状物の短径が10nm〜400nmで長さが0.5μm〜20μmである請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池用電極材料の製造方法。
【請求項4】
前記第2の針状物のアスペクト比が10以上である請求項1又は2に記載の固体酸化物形燃料電池用電極材料の製造方法。
【請求項5】
前記第2の針状物の純度が3N(99.9%)以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池用電極材料の製造方法。
【請求項6】
前記第2の針状物を純水またはアルコール中で保管する工程を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池用電極材料の製造方法。
【請求項7】
前記電解質材料がイットリア安定化ジルコニア又は希土類ドープセリア又はイットリウム添加ジルコン酸バリウムである請求項1〜6のいずれか一項に記載の固体酸化物形燃料電池用電極材料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体酸化物形燃料電池(以下SOFCと略す)用の燃料電極材料及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
SOFCは当該技術分野において周知であり、一般的に、700℃から1000℃で作動し、固体セラミックス電解質が固体セラミックス電極材に挟まれたものである。一般的な電解質として、ジルコニアにイットリアを3〜10mol%溶け合わせたイットリア安定化ジルコニア(以下YSZと略す)が用いられる。また空気極の材料は、高温酸化雰囲気の中で安定し、触媒性能が高く、電気導電性が高い多孔質のランタンマンガナイト(LaMnO
3)などが用いられる。
【0003】
一方、燃料極材料は触媒性能が高いため、一般的に40〜60wt%のジルコニア粉を含むニッケルージルコニアサーメットが用いられる。特に電極材料は高い導電性や経年変化または温度サイクルによる劣化のないことが重要視されている。
【0004】
その解決の一つとして、SOFCの電解質を変えたもので(たとえばイットリア添加ジルコン酸バリウム(BZY)や希土類ドープセリアなど)、動作温度の低減化(400〜600℃)も研究されている。他方で電極材料の改良も重要である。現在燃料極では一般的に電解質と同じ材料と触媒作用が高い微粒子のニッケル粉末を混合し、焼結して、燃料極としているものが主流である。
【0005】
しかしながら燃料電極側では長期発電することで、微細な金属ニッケルは焼結により、ニッケル粒子の凝集が進行し、気体(水素)、電解質(イオン伝導体)、固体(電極の電子伝導体触媒)の三相が一緒になる界面部分(三相界面)の減少となり、出力特性が低下する問題点がある。
【0006】
この解決策として、特許文献1では金属イオン溶液に酸化物(電解質)粉末(0.2μm〜1μm)を浸漬させ、酸化物の周りに超微細なニッケル(数nm〜数十nm)を付け、その後、微粒子(0.1〜3μm)ニッケルと混合することで金属粒子間の焼結が起こりにくくなり、長期安定性に優れ、経時劣化の少ない電極が得られたとある。
【0007】
また非特許文献1では、燃料極中の電子イオンの挙動をシミュレーションを使い検討、燃料極中における電子の流れは微細な金属ニッケルが点在している影響で、クネクネと曲がりくねって流れるとしている。もし真っ直ぐ流れた場合の5倍以上の損失である計算結果になっている。
【0008】
さらに、特許文献2では金属塩水溶液をYSZの多孔質物質に浸漬させ、熱処理によって多孔質物質の表面に担持させ、焼結したもので、0.01〜0.001μmニッケル粒子がYSZに付着し、かつ各粒子は互いに接触した状態で電子の導電路が編み目状に形成され、これが途中で切断されることなく電極表面の導電体まで電気的に接続されていることが重要であると示されている。燃料電極性能の向上には、微細な粒径を持ったニッケル微粒子が点在するのではなく、連なっているほうが電子の流れが良くなると記載されている。しかしながら金属塩水溶液に浸漬し、乾燥させた状態から焼結すればニッケル微粒子は、点在する確率が高く、連なりを得るのが難しい。
【0009】
一方、針状物の製法としては特許文献3によると、化学反応により作製した針状粒子(蓚酸ニッケルアンモニウム)粉を還元雰囲気中で加熱分解することで、短径の平均粒径0.1〜1μmで、かつ長径が平均5〜50μmの針状ニッケルを得ている。しかし短径には均一性がなく、かつ0.1μm以下の超微細粉が得られにくい。
【0010】
このような短径の大きい針状物をSOFC用の燃料電極材料にした場合、三相界面の出来る割合が少なくなり、発電効率が悪くなる。また短径の大きさが均一でない場合、各SOFC間の電気的特性バラツキの原因になる。
【0011】
そこで燃料極材料で使われているニッケル微粒粉末を、
短径が10〜400nmと超微細で長手方向に均一な(0.5〜20μm)第2の針状物に置き換えることで、経年変化に伴う凝集の進行をなくし、第2の針状物の連続結合性により電子の移動度を速くし、高効率に寄与する分極抵抗の低い電極材料を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−219710号公報
【特許文献2】特開平6−89723号公報
【特許文献3】特開2004−250720号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】生産研究Vol.66,No.65p429−439
【発明の概要】
【0014】
従って、本発明の主要目的の1つは、従来型燃料電極材料と比較して発電効率性能が向上し、耐久性に優れた燃料電極材料の製造方法を提供することにある。
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明はSOFCの燃料電極材料の製法であり、燃料電極材料に使用されている微粒子金属(電子伝導体)の換わりに第2の針状物にすることで、電子伝導が良くなり、経年変化による凝集もなくなると考えた。しかしながら今まで超微細な(短径が0.1μm以下)針状物は提供されていない。そこでアルミニウムの陽極酸化(以下アルマイトと略す)方式を使い、
短径が10nm〜400nmで、長さが0.5μm〜20μmの第1の針状物を作り、針状形状を維持しながら、折れなく回収する方法を見出し、回収後、溶液で保存した第2の針状物をSOFC用燃料電極材料に均一に分散させる製法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記問題点を解決するための本発明の要旨は、アルマイト法で作製したアルマイトの微細孔の中に金属イオンを電解析出(以下電析と略す)させ、その後アルマイト皮膜だけを選択的に溶解して、電析した第1の針状物を回収し、抽出した第2の針状物と電解質材料からなる混合物を用いたSOFC用燃料電極材料である。
【0017】
こうしたSOFC用燃料電極材料は、公知の製造方法であるアルマイト法を駆使し、アルマイト皮膜の微細孔の中に金属イオンを電析させ、その電析させた金属だけを抽出した第2の針状物を、SOFCの燃料電極材料として使うことで、金属微粒子が点在しているものより、均一に繋がっていることで、経年変化に伴う微粒子同士の凝集がなくなり、さらに分極抵抗が下がることで、発電効率の向上が期待できる。
【0018】
ここで、前記第2の針状物が金属又は
前記金属の酸化物もしくは水酸化物であり、
前記金属がニッケル又はコバルト又は鉄、又はその混合物である場合には、電析した金属だけを取り出す方法として、クロム酸(VI)とりん酸の混合液でアルマイト皮膜だけを溶かすことで出来る。しかしながらアルマイト皮膜を溶かす溶液にはいろいろあり、たとえば水酸化ナトリウムで溶かした場合、針状物は酸化物や水酸化物になりやすい。
【0019】
また本発明は、前記第2の針状物の
短径が10nm〜400nmで長さが0.5μm〜20μmである請求項1又は2に記載のSOFC用電極材料であって、針状物の
短径を超微細にすることで表面積を大きくし、針状物と電解質材料との三相界面も多くなる。しかしながら、
短径が10nm以下にした場合、混合時に針状物としての維持が難しくなり、微細粒子になってしまう。また電解質材料の粒径と第2の針状物の短径の比は1/100以上が好ましく、針状物の
短径が400nm以上になると三相界面の割合が少なくなり、発電効率の向上が見られない。一方長手方向は長くすることで電解質層より電気取出し極まで繋がっている方が電子の流れがよくなり、分極抵抗も下がり、発電効率が良くなる。
【0020】
ここで、前記第2の針状物のアスペクト比が10以上である請求項1又は2に記載のSOFC用電極材料では、アスペクト比が10以下の場合、針状物の効果は発揮されない。針状物の長さは長いほど良い結果に結びつく。
【0021】
さらに、前記第2の針状物の純度が3N(99.9%)以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載のSOFC用電極材料では、不純物が針状物に入っている場合経年変化に伴い、合金化が起き電子伝導の劣化に結びつく。
【0022】
また本発明の前記第2の針状物を純水またはアルコール中で保管した請求項1〜5のいずれか一項に記載のSOFC用電極材料は、もし溶液中での保管ではなく、乾燥させて第2の針状物を回収した場合、凝集が起き、針状物形状が折れて短くなり、発電効率の寄与は難しくなる。
【0023】
さらに本発明は、電解質材料がイットリア安定化ジルコニア又は希土類ドープセリア又はイットリウム添加ジルコン酸バリウムである請求項1に記載のSOFC用電極材料で、SOFCの主流である燃料極材料にこの第2の針状物を混ぜることで、発電効率につながり、低温動作するBZYや希土類ドープセリアの燃料電極材料にすることで、さらに向上する。
【発明の効果】
【0024】
アルマイト法を駆使して得られた針状物を現在使用されている微粉末の換わりに使用することで、SOFC用燃料極材における問題点(経年変化における微粉の凝集、低抵抗化、高効率)を解決し、電極性能の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】陽極酸化皮膜から抽出した針状ニッケルの透過電子顕微鏡写真
【
図3】針状物を含んだSOFC用燃料極材料の製造工程図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下本発明を図面に基づいて説明する。
【0027】
図3は本発明によるSOFC用燃料電極材料の製造工程図をしめす。
〔針状物製造工程〕
針状物を作るにあたり、公知の製法であるアルマイト法を使用し、アルマイト皮膜を作製した。アルマイト皮膜にはアルマイト浴、ならびに電圧に比例した均一な微細孔ができる。各20℃のアルマイト浴で、15wt%硫酸を使用した場合、直流電圧5Vで作製した微細孔径は10nmであった。また3wt%しゅう酸浴、直流電圧20Vで作製した微細孔の直径20nmであった。さらに直流電圧50Vで作製したものは、その孔の直径は40nmであった。また5wt%りん酸で直流電圧100Vをかけたものは孔直径100nmであった。さらに孔を大きくしたい場合には1wt%りん酸浴30℃で規定の時間浸漬した。その微細孔に金属イオンを電析させて針状物を製作した。電析浴は針状ニッケル析出の場合スルファミン酸ニッケル浴+ほう酸の混合浴を、針状コバルト析出では硫酸コバルト+ほう酸の混合浴を、針状鉄析出では硫酸第一鉄アンモニウム+ほう酸混合浴を、およびその混合浴を使用した。
【0028】
〔針状物回収工程〕
次に、電析させたアルマイト皮膜は、針状物を回収するために3.5wt%クロム酸(VI)および4wt%りん酸混合液中80℃でアルマイト皮膜だけを溶かし、針状物を回収した。(
図1では、回収した針状ニッケルを透過電子顕微鏡で観察した写真で、
図1中1が針状ニッケルを示す。また
図2では、その針状ニッケルのX線回折パターンで、金属ニッケルの構造であることを確認した。)その後、純水で洗浄し、純水中で保管した。また保管液はアルコールでもよいがアルコール液に保管したものはニッケルの場合すぐに水酸化ニッケルNi(OH)
2になってしまう。後工程やコストの面を考慮すると純水がより良い。
【0029】
〔燃料電極製造工程〕
さらに針状ニッケルを使い、SOFC用燃料極材料の製法は、5L樹脂容器を使い、容器体積の1/3のジルコニアボールを入れ、8mol%イットリアで安定化したジルコニア(以下8YSZと略す)だけをバインダー(アクリル樹脂系)3wt%と分散剤(ポリカルボン酸系)0.3wt%および純水で24時間、回転数速度50rpmで湿式ボールミル粉砕した。その平均粒径は0.4μmの微細な粉末を得た。最初から電解質材料と針状ニッケルをボールミルで粉砕した場合、針状物は微粒子に砕かれてしまい、SOFC特性の向上には寄与しない。いかに針状物のまま燃料極材料の中に残すかが重要である。そのために電解質燃料材料だけ粉砕した溶液から粉砕用ジルコニアボールを回収し、電解質材料:針状物の重量比割合を6:4で、溶液の中に保管された針状物を純水ごと電解質粉砕溶液中に入れ、ミル容器を回転数10rpmの速度で回転させ30分混合し、SOFC用燃料極材料としてスラリーを回収した。そのスラリーを使って、ローラーでシート上に50μmプリント印刷し、乾燥、さらに電解質をその上に15μmプリント印刷して、乾燥後1400℃で5時間焼結した。さらに空気極にはランタンマンガナイトをスラリー化して塗布(50μm)後、1150℃で4時間焼結した。
【実施例】
【0030】
次に、実施例および比較例により本発明を具体的に説明する。
(実施例 1)
針状物の製造方法は既存のアルマイト技術をくししたもので、脱脂し、洗浄後のアルミニウム試料(純度99.99%、35×40×0.3mm)を用い、液温20℃の3wt%シュウ酸水溶液中でアルマイトを行った。ここで、アルマイトは極間電圧を直流48Vとし、直径の小さい微細孔を含むアルマイト皮膜を形成した。そして、厚さ10μmのアルマイト皮膜を作製した。その微細孔は直径38nmであった。
【0031】
その後、アルマイト皮膜の微細孔を拡大するために液温30℃、1wt%りん酸水溶液中で、20分間浸漬し孔拡大を行い、直径63nmの孔を作製した。
また、極間電圧が直流15Vに下がるまで、50mA/dm
2 の定電流電解を行ない、バリア層の厚さを薄くした。
【0032】
次に、微細孔を有するアルマイト皮膜試料を陰極、炭素板を陽極として、6.5wt%のスルファミン酸ニッケルと30g/Lほう酸からなる電析用水溶液を用い、アンモニア水でpH4.0に調整しながら30℃において交流半波整流の電圧を使用し電流密度0.6A/dm
2で40分金属ニッケルを皮膜の微細孔中に電析させ、長さ約10μmの針状ニッケルを製作した。
【0033】
さらに金属ニッケルが電析されたアルマイト皮膜を3.5wt%の酸化クロム(VI)と4wt%りん酸の混合液中、80℃で
5分浸漬し、アルマイト皮膜だけを溶かした。沈殿した針状ニッケルを回収し、純水で洗浄、純水中で保管した。
【0034】
SOFC用燃料電極材にするために、8YSZ粉末を5Lの樹脂容器に入れ、容器体積の1/3にジルコニアボールを入れた。またバインダー3wt%と分散剤0.3wt%と純水を入れ、ボールミル架台に乗せ、回転数速度50rpmで24時間混合粉砕した。その時のスラリーの粒度分布はD50で0.4μmであった。その後、粉砕用ジルコニアボールだけを回収した。
【0035】
さらにそのスラリーに純水中で保管されている針状ニッケルを8YSZに対する割合で40wt%になるように純水ごと入れ、樹脂容器を回転数速度10rpmで30分回転し、プリント用スラリーとした。さらにそのスラリーを使いローラーでプリント印刷にて50μmの燃料極を作製し、乾燥後、電解質である8YSZを同様に15μmプリント印刷した。その後、常温にて乾燥、温度1400℃の焼成炉を使い、大気中5時間で焼結させた。さらに空気極にはランタンマンガナイトをスラリー化して塗布(50μm)後、1150℃で4時間焼結した。
【0036】
(実施例2)
アルマイト皮膜は実施例1と同様に作製し、電析浴として6wt%硫酸第一鉄アンモニウムと30g/Lほう酸の混合液温度20℃、pH3.8で0.6A/dm
2の電流密度一定になるように電圧を印加し電析した以外は実施例1と同等とした。その後同様に、針状鉄と8YSZを混合しプリント印刷で燃料極電極とした。
【0037】
(実施例3)
同様にアルマイト皮膜を作製した後、2wt%硫酸コバルト浴と30g/Lほう酸を20℃、pH4.5で行った以外は実施例1と同等とした。その後同様に針状コバルトと8YSZを混合しプリント印刷で燃料極電極とした。
【0038】
(比較例1)
針状ニッケルを回収後、200℃、1時間熱処理で乾燥し、針状ニッケルとした。その後、電解質(8YSZ)、バインダー3wt%、分散剤0.3wt%と共にボールミルで24時間混合し、燃料電極材料として、プリント印刷してSOFCを作った。
【0039】
(実施例の効果)
以上、実施例に示したようにSOFC用燃料電極材料で、針状物金属と電解質材料を混ぜて作製した電極材料では、電子伝導率の向上や分極抵抗の低下における発電効率向上が確認された。また比較例の乾燥した針状ニッケルを使用したものでは通常の微粒子ニッケルを分散させたものと同様な発電結果で、向上はみられなかった。
【要約】
【課題】中高温作動固体酸化物形燃料電池用の燃料極材料として用いた際に、経時劣化に強く、燃料電極としての抵抗が低く、高発電効果が期待できる複合型針状物材料、その製造方法、及びそれを用いてなる固体酸化物形燃料電池用燃料極材料を提供する。
【解決手段】固体酸化物形燃料電池を構成する燃料極材料に用いる複合型針状物であって、その針状物が陽極酸化方法で作製されたもので、陽極酸化皮膜微細孔の中に金属を電解析出させ、析出させた陽極酸化皮膜だけを溶解し、針状金属を取り出し、その針状物と複合セラッミクスを混合し、焼結した燃料極材料。
【選択図】
図3