特許第5927675号(P5927675)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5927675-路側設置用パネル 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5927675
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】路側設置用パネル
(51)【国際特許分類】
   E01F 15/08 20060101AFI20160519BHJP
   E01F 8/00 20060101ALI20160519BHJP
【FI】
   E01F15/08
   E01F8/00
【請求項の数】1
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-63796(P2013-63796)
(22)【出願日】2013年3月26日
(65)【公開番号】特開2014-189956(P2014-189956A)
(43)【公開日】2014年10月6日
【審査請求日】2014年12月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】599085275
【氏名又は名称】株式会社イシクラ
(73)【特許権者】
【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
(74)【代理人】
【識別番号】100115200
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 修之
(74)【代理人】
【識別番号】100148426
【弁理士】
【氏名又は名称】森貞 好昭
(72)【発明者】
【氏名】野▲崎▼ 収
(72)【発明者】
【氏名】西辻 忠一
(72)【発明者】
【氏名】松本 賢之
(72)【発明者】
【氏名】上市 達生
【審査官】 須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−023912(JP,A)
【文献】 特開2007−169957(JP,A)
【文献】 特開2000−319043(JP,A)
【文献】 実開平05−016299(JP,U)
【文献】 特開2010−138027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 15/08
E01F 8/00
E04H 17/16
C03C 27/00−29/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路の側方に設置される路側設置用パネルであって、
前記パネルが、複数のガラス板を中間膜を介して貼り合わせた複合ガラスを本体とするものであり、
前記ガラス板のうち、最も路側のガラス板及び最も民地側のガラス板が強化ガラスとされ、
最も民地側のガラス板の厚みを、4mm以上5mm以下で最も路側のガラス板の厚み以下とすることを特徴とする路側設置用パネル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人や乗り物が行き来する道路、通路、あるいは道床等の路の側方(路側)に配置される路側設置用パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の走行音等が民地側に漏洩することを防止すべく、透光性のパネルが道路の側方に設置されている。
下記特許文献1には、ポリカーボネート製の板材の周縁をパネル取付フレームに取付けたパネルが開示形成されている。
【0003】
また、下記特許文献2には、網入り板ガラスと、板ガラスとを中間膜を介して貼り合わせた合わせガラスによって形成され、板ガラスを道路側に配置し、網入り板ガラスを民地側に配置して使用される道路用透光性パネルが開示されている。このパネルは、板ガラスを道路側に配置し、網入り板ガラスを民地側に配置したことにより、衝撃が大きすぎて網入りガラスまでが破損しても、中間膜の接着性と網入りガラスの網によって、破片が民地側へ飛散することを抑制できるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−302608号公報
【特許文献2】特開2007−169957号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1のようにポリカーボネート等の樹脂により路側設置用パネルを構成した場合には、車両火災等に伴う高温の熱により溶解して民地側に落下する等して、様々な問題を生じる可能性がある。
【0006】
これに対し、特許文献2のように路側設置用パネルをガラスで構成することで、高温の熱にさらされても溶解して民地側に落下するなどの問題の発生を低減できる。しかしながら、本発明者らが鋭意検討したところ、網入り板ガラスと通常の板ガラスとを中間膜を介して貼り合わせた合わせガラスを特許文献2のように配置した場合には、車両衝突等に伴い破損した際に、民地側に飛散するガラス破片の観点において問題が生じる場合があることを見いだした。
【0007】
具体的には、民地側への飛散物による二次災害を防止することを考慮すると、飛散物たるガラス破片の大きさは、可能な限り小さいものであることが望ましい。しかしながら、網入りガラスは強度が低いため板ガラスと比較して破損しやすく、ガラス破片も大きく重くなりやすい。従って、特許文献2のように民地側に網入りガラスが向くように合わせガラスを設置した場合には、網入りガラスが破損することにより大きく重い塊状のガラスが民地側に飛散することになり、二次被害が懸念される。
【0008】
そこで、本発明は、車両火災等に伴い高温の熱にさらされる状況下における被害を最小限に抑制しつつ、衝突等に伴い破損した場合であっても大きく重い飛散物が民地側に飛散することを抑制可能な路側設置用パネルの提供を目的とした。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決すべく提供される本発明の路側設置用パネルは、路の側方に設置される路側設置用パネルであって、前記パネルが、複数のガラス板を中間膜を介して貼り合わせた複合ガラスを本体とするものであり、前記ガラス板のうち、最も路側のガラス板が強化ガラスとされることを特徴とするものである。
【0010】
本発明においては、複数のガラス板を中間膜を介して貼り合わせた複合ガラスにより路側設置用パネルを構成し、最も路側のガラス板が強化ガラスとなるようにしている。これにより、路側設置用パネルに車両が衝突する等した際の衝撃を路側に配置された強化ガラスにおいてしっかりと受け止め、民地側に配置されるガラス板の破損を最小限に抑制することができる。従って、本発明の路側設置用パネルによれば、車両の衝突等に伴う破損により民地側に飛散するガラス片の重量、大きさを小さくでき、二次被害の発生を抑制できる。
【0011】
また、本発明の路側設置用パネルは、強化ガラスを含む複合ガラス製とされており、路側に向く面に強化ガラスが配置されている。そのため、車両火災等に伴い高温の熱にさらされる状況下において破損した場合も、崩落あるいは開口部が形成されることを抑制し、ひいては開口部等を介して火の粉が侵入して延焼する等の二次的被害も防止できる。
【0012】
本発明の路側設置用パネルは、あらゆる路の側方に設置可能なものであり、例えば一般道あるいは高速道路等の公道、私道、通路、あるいは駐車場等の人や車両が通行する路、あるいは鉄道の道床等において好適に設置可能である。
【0013】
ここで、強化ガラスは、通常の板ガラス等に比べて強度が高いことはもちろんのこと、破損に伴い小さく粉砕される特性を有する。
【0014】
上述した知見に基づけば、本発明の路側設置用パネルは、前記複合ガラスを構成するガラス板のうち、最も民地側のガラス板が強化ガラスとされたものである。
【0015】
本発明のように、路側に向くガラス板に加え、民地側に向くガラス板についても強化ガラスとすることにより、民地側のガラス板(強化ガラス)の破損により発生する破片が小さくなる。従って、本発明によれば、車両が衝突する等して路側設置用パネルが破損した際に、民地側に飛散するガラス片の重量、大きさをより一層小さくでき、二次被害の発生抑制効果の向上が見込める。
【0016】
上述した本発明の路側設置用パネルは、前記複合ガラスを構成するガラス板のうち、最も民地側のガラス板の厚みを、最も路側のガラス板の厚み以下としたものである。
【0017】
かかる構成とすることにより、車両の衝突等に伴って路側設置用パネルに衝撃が作用した際に、民地側に飛散するガラス片の重量をより一層抑制することができる。
【0018】
上述した本発明の路側設置用パネルは、最も路側の強化ガラスの厚みが、3mm以上8mm以下であることが望ましい。
【0019】
かかる構成とすることにより、路側の強化ガラスにおける耐衝撃性や強度としての必要性能を確保することができる。これにより、車両の衝突等に伴う衝撃を路側の強化ガラスにおいて減衰させて民地側のガラス板に伝播させることが可能となり、民地側のガラス板の破損を最小限に抑制できる。
【0020】
上述した本発明の路側設置用パネルは、最も民地側のガラス板の厚みが、4mm以上5mm以下であることが好ましい。

【0021】
かかる構成とすることにより、民地側のガラス板について耐衝撃性や強度としての必要性能を確保することができる。これにより、車両の衝突等に伴う民地側へのガラス片の飛散量を最小限に抑制できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、衝突等に伴い破損した場合であっても大きく重い飛散物が民地側に飛散することを抑制可能な路側設置用パネルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】(a)は本発明の一実施形態に係る路側設置用パネルの設置状態を示す斜視図、(b)は複合ガラスを枠体に取り付けた状態を示す断面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る路側設置用パネルを破断した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の一実施形態に係る路側設置用パネル1について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1に示すように、路側設置用パネル1は、路Rの側方に設置されるものである。路側設置用パネル1は、いわゆる一般道あるいは高速道路等の公道、私道、通路、あるいは駐車場等における車両の走行路、あるいは鉄道の道床等、あらゆる路Rの側方に設置可能である。この実施形態において、路側設置用パネル1は、複合ガラス10と、この周縁に取り付けられた枠体20とで形成されている。
【0025】
図2に示すように、複合ガラス10は、民地側ガラス板12及び路側ガラス板14を、中間膜16を介して積層して貼り合わせた複合ガラス(合わせガラス)によって構成されている。民地側ガラス板12の厚みd1は、路側ガラス板14の厚みd2以下(d1≦d2)であることが好ましい。これによれば、民地側に飛散するガラス片の大きさ(重量)を最小限に抑制することができる。具体的には、民地側ガラス板12の厚みd1は、3mm以上8mm以下(3mm≦d1≦8mm)が好ましく、4mm以上5mm以下(4mm≦d1≦5mm)であることがより好ましい。前記値が3mm未満であると強風にさらされた場合、風荷重に耐えることができず、8mmを超えると飛散した場合のガラス片の量が多くなり好ましくない。更に使用するガラスの面積が大きくなると厚みが薄い場合割れやすい傾向にあるので、前記値は4mm以上5mm以下であることが最も好ましい。また、路側ガラス板14の厚みd2は、3mm以上8mm以下(3mm≦d2≦8mm)の範囲内において、民地側ガラス板12の厚みd1以上の厚みに設定されていることが好ましい。
【0026】
民地側ガラス板12は、透光性を有する板状のガラス板によって形成されている。民地側板ガラス12は、フロートガラス等の非強化ガラス、化学強化法や風冷強化法により得られる強化ガラス等を用いることができる。なお、ここで非強化ガラスとは内部ひずみがゼロのものをいう。民地側ガラス板12は、非強化ガラスで構成されても良いが、強度面、及び破損時に発生する破片の小ささの観点から強化ガラスによって構成されることがより一層好ましい。特に、風冷強化法による強化ガラスは破片が粉々になるため(鋭くなりにくいため)、安全性の面でより好ましい。
【0027】
民地側ガラス板12は、無色透明のものの他、有色であって透光性を有するもの等とすることが可能である。本実施形態では、民地側ガラス板12として無色透明のものが採用されている。また、民地側ガラス板12の外表面が風雨や粉塵等にさらされること等を考慮し、外表面に防汚処理や撥水処理、又は親水処理等が施されたものとすることが可能である。また、紫外線や赤外線の吸収効果や防音効果等を向上させるために、種々の表面処理等を施したものとすることが可能である。
【0028】
路側ガラス板14は、強化ガラスによって構成されている。この強化ガラスには化学強化法や風冷強化法により得られる強化ガラス等を用いることができ、特に風冷強化法による強化ガラスが好ましいのは前述の民地側ガラス12と同様である。路側ガラス板14は、民地側ガラス板12と同様に無色透明のものが用いられているが、有色であって透光性を有するもの等とすることが可能である。また、路側ガラス板14は、表面が風雨、排気ガス、あるいは粉塵等にさらされるものであるため、防汚処理や撥水処理、又は親水処理等が施されたものとすることが可能である。また、路側ガラス板14についても、紫外線や赤外線の吸収効果や防音効果等を向上させるために、種々の表面処理等を施したものとすることが可能である。
【0029】
中間膜16は、民地側ガラス板12及び路側ガラス板14の間に介在している樹脂製の膜である。すなわち、中間膜16の一方側の面に民地側ガラス板12が接着あるいは溶着等の手法によって取り付けられ、中間膜16の他方側の面に路側ガラス板14が接着あるいは溶着等の手法によって取り付けられている。中間膜16をなす樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂等、適宜のものとすることができる。例えばポリビニルブチラール(PVB)等のビニル系ポリマー等が具体的な一例として挙げられる。また、中間膜16には、紫外線や赤外線の吸収効果、防音効果等の向上に資する素材を用いることが可能である。
【0030】
中間膜の厚みは特に限定はしないが、0.7〜3.9mmであることが好ましく、1.5〜3.1mmがより好ましい。前記値が0.7mm未満であると衝撃の際にガラスが飛散し易くなり、3.9mmを超えると経済的に好ましくない。
【0031】
複合ガラス10は、例えば以下のようにして製造することができる。すなわち、民地側ガラス板12及び路側ガラス板14のうちいずれか一方のガラスの上に、シート状の中間膜材料を置き、その上に他方のガラスを重ね合せ、ロールプレス法などにより加熱下で予備圧着させた後、1〜12気圧、120〜160℃のオートクレーブ中で本圧着を行い、民地側ガラス板12と路側ガラス板14とを中間膜材料で接着させる方法や、民地側ガラス板12と路側ガラス板14との間に間隙を設け、その間隙に中間膜材料として、液状の紫外線硬化性組成物を注入し、紫外線を照射して中間膜材料を硬化させて中間膜を形成し、民地側ガラス板12と路側ガラス板14とを接着させる方法などがある。
【0032】
本発明の路側設置用パネルは、図1(b)に示すように、複合ガラス10と、該複合ガラス10を嵌め込み可能な溝22が設けられた枠体20とで構成され、枠体20の溝22に複合ガラス10の周縁を嵌め込んでパネル化されている。なお、複合ガラス10をそのまま路側設置用パネルとして用いてもよいが、取り付け作業性、強度等を考慮すると、複合ガラス10の周縁に枠体20を取り付けて用いることが好ましい。
【0033】
枠体20をなす素材は、強度等を考慮して金属製とすることが望ましいが、腐食等することを防止すべく、アルミニウム製等とすることが望ましい。
【0034】
続いて、路側設置用パネル1の設置状態について、図1を参照して説明する。図1に示すように、路側設置用パネル1は、枠体20に対して複合ガラス10を嵌め込んだ状態で、路Rに沿って立設された支柱に対して設置される。路側設置用パネル1は、民地側ガラス板12側が民地に向き、路側ガラス板14側が路Rに向くように複合ガラス10を嵌め込んだ状態で設置される。路側設置用パネル1を前述した支柱間に上下方向に積み重ねたものを路Rに沿って連続させることにより、路側壁30を構成することができる。
【0035】
上述したようにして路側設置用パネル1を設置することにより、車両や積荷等の衝突等に伴って複合ガラス10に対して大きな衝撃が加わったとしても、路側ガラス板14において衝撃が大幅に減衰(吸収)される。そのため、民地側ガラス板12の破損により発生するガラス片は、小さな破片となる。また、路側ガラス板14の破片は、民地側ガラス板12の破片よりも大きいが、中間膜16を介して路R側において発生するため、民地側には飛散しがたい。さらに、民地側ガラス板12の破片は、小さく軽量であるため、民地側ガラス板12と中間膜16との間に作用している接着力の影響により、ガラス片の飛散量を最小限に抑制できるものと想定される。従って、複合ガラス10によれば、車両が衝突する等して破損した場合においても、民地側に大きく重い塊状のガラス片が飛散することによる二次被害の発生を抑制できる。また、路側設置用パネル1は、複合ガラス10が用いられている。そのため、車両火災等に伴い高温の熱にさらされる状況下において破損した場合であっても、複合ガラス10が崩落すること、あるいは複合ガラス10に開口部が形成されることを抑制でき、ひいては開口部等を介して火の粉が侵入して延焼する等の二次的被害も防止できる。
【0036】
また、上述したように、路側ガラス板14だけでなく民地側ガラス板12についても強化ガラスとした場合には、民地側ガラス板12の破損により発生する破片も小さくなる。従って、民地側ガラス板12及び路側ガラス板14の双方を強化ガラス製とすることにより、民地側に飛散するガラス片の重量、大きさをより一層小さくでき、二次被害の発生抑制効果の向上が見込める。
【0037】
また、複合ガラス10の民地側ガラス板12の厚みd1を、路側ガラス板14の厚みd2以下とすることで、車両の衝突等に伴って衝撃が作用した際に、民地側に飛散するガラス片の重量を最小限に抑制することができる。
【0038】
また、複合ガラス10は、民地側ガラス板12として厚みd1が3mm以上8mm以下のものを採用すると共に、路側ガラス板14として厚みd2が3mm以上8mm以下のものを採用することにより、耐衝撃性あるいは強度等の路側設置用パネルとしての必要性能をより一層確実に確保しつつ、破損時における民地側に飛散するガラス片の重量を最小限に抑制することができる。
【実施例】
【0039】
以下、路側設置用パネル1に用いられる複合ガラス10に相当するA〜E及び比較用に準備したサンプルF,Gについて実施した衝撃試験結果について説明する。サンプルA〜Gを下端が路面高さ1m程度の位置に配置された枠体20に対して取り付け、路側ガラス板14側からパネルの中心位置に、300kgの鉄球(突起付き)を、加撃位置より鉛直方向95cmの高さから振り子式に加撃し、鉄球を衝突させて破損させた場合に飛散するガラス片の重量を計測し、そのうち重量が最大のものについて記録した。サンプルA〜Eは、鉄球が衝突する正面側(路R側に相当)に強化ガラス(路側ガラス板14に相当)が向くように設置したものである。これらのうち、サンプルA〜Cについては、背面側(民地側に相当)に向く民地側ガラス板12を板ガラス(非強化ガラス)とし、サンプルD,Eについては民地側ガラス板12を強化ガラスとした。また、比較例として準備したサンプルF,Gは、それぞれ正面側(路R側に相当)に板ガラス(非強化ガラス)が向き、背面側(民地側に相当)に強化ガラスが向くように設置したものである。サンプルA〜Gに用いた強化ガラス、及び板ガラス(非強化ガラス)の厚みd1,d2、及び試験結果は、下記表1の通りであった。
【0040】
【表1】
【0041】
上記表1の試験結果により、強化ガラスを鉄球の衝突側(路R側)に配置したサンプルA〜Eについては、板ガラス(非強化ガラス)を鉄球の衝突側(路R側)に配置したサンプルF,Gよりも、総じて飛散したガラス片の最大重量が小さいことが判明した。また、サンプルA〜Eのうち、背面側(民地側)のガラス板を強化ガラスとしたサンプルD,Eは、背面側のガラス板を板ガラスとしたサンプルA〜Cよりも飛散したガラス片の最大重量がさらに小さくなることが判明した。これにより、路R側を強化ガラスとすることにより飛散するガラス片の最大重量を抑制でき、さらに路R側ガラス板だけでなく民地側のガラス板も強化ガラスとすることにより、破損に伴って飛散するガラス片の最大重量を抑制できることが判明した。
【0042】
また、路R側を強化ガラスとし、民地側を板ガラスとしたサンプルA〜Cについて、民地側に配されるガラス板の厚みd1、及び路R側に配されるガラス板の厚みd2の関係が飛散したガラスの最大重量に及ぼす影響に着目して検討すると、双方の厚みd1,d2が同一であるサンプルA,Cに比べ、d2>d1の関係にあるサンプルBの方が最大重量が小さくなることが判明した。同様の検討を路R側及び民地側の双方を強化ガラスとしサンプルD,Eについて行った場合についても、双方の厚みd1,d2が同一であるサンプルDに比べ、d2>d1の関係にあるサンプルEの方が最大重量が小さくなることが判明した。これにより、民地側に配されるガラス板の厚みd1、及び路R側に配されるガラス板の厚みd2をd2>d1の関係となるように組み合わせることにより、破損に伴って飛散するガラス片の最大重量を抑制できることが判明した。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明の路側設置用パネルは、一般道あるいは高速道路等の公道、私道、通路、あるいは駐車場等の人や車両が通行する路、あるいは鉄道の道床等に設置することで好適に利用可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 路側設置用パネル
10 複合ガラス
12 民地側板ガラス
14 路側ガラス板
16 中間膜
20 枠体
30 路側壁
図1
図2