(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、好ましい実施の形態を挙げて、本発明のインクジェット記録用水性インキについて説明する。
本発明のインクジェット記録用水性インキは、上記構造を有するシリコン系界面活性剤を2種以上含むことを特徴とする。先ず、本発明を特徴づけるシリコン系界面活性剤について説明する。
【0018】
一般的に、疎水性の高い難吸収性基材に対して印刷を行う場合には、インキが基材上で十分な濡れ性を有することが重要である。これは、インキが基材上に着弾した後、十分に濡れ広がることで、ドットの表面積が高くなり、浸透及び蒸発による乾燥を促進させることが可能となる。十分な濡れ性を有することで、インキを十分に乾燥させ、基材上で定着させることが可能となる。
【0019】
印刷基材上におけるインキの濡れ広がりが不十分な場合、印字部におけるインキ埋まりが悪く、白抜け等の問題が発生する。また、広がりが不十分なためインキが十分に乾燥せず、基材上でドット同士が融着してしまい、色間の混色、滲み等の問題が生じてしまう。このような問題を解決するには、印刷基材上におけるインキの濡れ性を向上させることが必要不可欠である。
【0020】
一般的に、印刷基材上におけるインキの濡れ性は、インキの表面張力と印刷基材の表面張力に依存する。インキの表面張力が印刷基材の表面張力よりも高い場合には、濡れ不良が起こり、印字部におけるインキ埋まりが悪く、白抜け等の問題が生じてしまう。即ち、印刷基材上で十分な広がりを確保するためには、インキの表面張力が印刷基材の表面張力よりも十分に低いことが必要である。また、ポリ塩化ビニルシートなどの疎水性の高い難吸収性基材は表面張力が低く、基材表面を濡らすことは容易ではないため、インキの表面張力を十分低く保つことが重要となる。
特に、水は水素結合により水分子同士が強く結びついているため、溶媒の中でも極めて表面張力が高いことから、疎水性の高い基材上で水性インキの濡れ性を十分確保するのは非常に難しい。
【0021】
イ ンキの表面張力を調整するには、界面活性剤を用いることが一般的であり、中でもシリコン系界面活性剤は、インキの表面張力を十分に下げる目的で使用されることが多く、表面張力を調整するために有効な界面活性剤である。
【0022】
シリコン系界面活性剤はポリシロキサン骨格を有する界面活性剤であり、その特性はポリシロキサンの構造に由来する。一般的にシロキサンユニット(−Si−O−)で形成される主鎖の長さにより、表面張力の低下能を制御することが知られている。シロキサン主鎖が短くなる程、インキ中の相溶性が向上し、表面張力を低下させることが可能となる。また、シロキサン主鎖が長くなり、分子量が増えていくと、インキ中の相溶性が悪くなり、それほど表面張力を下げなくなる。
【0023】
また、用途に合わせてシリコンの相溶性を制御する際に、シロキサンユニット(−Si−O−)に対し、側鎖または末端に相当する部位を有機変性させることが可能である。これらを有機変性することにより、溶媒やインキの使用原料に親和性のあるシリコン系化合物を得ることができる。有機変性にはポリエーテル、ポリエステル、ベンゼン環を有するアラルキルなど各種可能である。またエポキシ、アクリル基などの反応性基を導入することも可能である。
【0024】
水性のインキに使用する場合には、シリコン系界面活性剤自体を高極性にする必要がある。一般的には、ポリエチレンオキサイドまたはポリプロピレンオキサイドを用いたポリエーテル変性が用いられる。シリコン部分は疎水性なのでポリエーテル部分が水に配向することになる。
【0025】
しかしながら、水性のインキに使用する場合、上記したシリコン系界面活性剤の構造によっては、インキを長期保管した後に表面張力が上昇し、基材上の濡れ性が経時で低下してしまう問題がしばしば起こる。特に、溶媒やインキの使用原料に対し高い相溶性を有するシリコン系界面活性剤を使用した場合、インキの表面張力を十分に低くすることは可能であるが、インクを長期間保管した後に表面張力が著しく上昇し、濡れ性が経時で低下してしまう問題が起こる。この原因については定かではないが、相溶性の高いもの程、インキを長期保管している間に、界面活性剤自身が水中で分散している顔料や樹脂微粒子などの不溶性物質の界面に吸着し、インキと接する気液界面や基材との界面に配向していた界面活性剤の量が減少することで起きているものと考えられる。
【0026】
長期保管における水性インキの表面張力の安定性向上のため、本発明者らはシリコン系界面活性剤の構造と表面張力の経時変化の関係性について検討を行い、一般式(1)で表されるシリコン系界面活性剤を用いることで、水性インキの表面張力の経時変化を抑制し、経時での基材上における濡れ性の低下を抑えられることを見出した。
【0027】
一般式(1)
【化1】
(式中R
1、R
2は炭素数1〜6のアルキル基であり、X
1、X
2は一般式(2)で表されるポリエーテル(ポリオキシアルキレン)基である。)
【0028】
一般式(2)
【化2】
【0029】
(式中、R
3は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基または(メタ)アクリル基であり、EOはエチレンオキシド基であり、POはプロピレンオキシド基であり、bが1以上の整数であり、cが0以上の整数であり、さらにb+cが1以上の整数である。EO、POの順序についてはランダムであってよい。式中aは10以上80以下の整数を表す。)
【0030】
表面張力や濡れ性の経時変化を抑制できる原因については定かではないが、上記一般式(1)で表されるシリコン系界面活性剤を用いることで溶媒や他の使用原料に対する相溶性が制御され、顔料や水分散性樹脂微粒子等の界面に対する界面活性剤の吸着が抑えられているものと推察される。
【0031】
さらに、上記一般式(1)で表されるシリコン系界面活性剤は、下記一般式(3)で表されるシリコン系界面活性剤と併用することで、各々の界面活性剤を単独で使用した場合よりも、ポリ塩化ビニルシートなどの疎水性の高い難吸収基材に対する濡れ性が大幅に向上し、印字部において白抜けの少ない優れた印刷適性が得られることが本発明者らの検討により明らかとなった。
【0032】
一般式(3)
【化3】
【0033】
(式中R
4、R
5は炭素数1〜6のアルキル基であり、X
3は一般式(4)で表されるポリエーテル(ポリオキシアルキレン)基である。)
一般式(4)
【化4】
【0034】
(式中、R
6は炭素数1〜6のアルキル基であり、R
7は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基であり、EOはエチレンオキシド基であり、POはプロピレンオキシド基であり、fが1以上の整数であり、gが0以上の整数であり、さらにf+gが1以上の整数である。EO、POの順序についてはランダムであってよい。式中d及びeは1以上の整数であり、d+eは3以上50以下の整数を表す。)
【0035】
上記一般式(3)で表されるシリコン系界面活性剤は水系溶媒に対して、相溶性が良好なため、インキの表面張力を調整する目的で使用されることが多く、表面張力を十分に下げるために有効な界面活性剤である。しかしながら、一般式(3)で表されるシリコン系界面活性剤を単独もしくは複数使用した場合、顔料や水分散性樹脂微粒子などの不溶性物質との共存下では、インキの表面張力が経時変化したり、基材に対する濡れ性が経時で低下したりする問題が起こる。
【0036】
上記一般式(3)で表されるシリコン系界面活性剤を使用した場合でも、上記一般式(1)で表されるシリコン系界面活性剤と併用することで、表面張力の変化を少なくし、疎水性の高い難吸収基材上において優れた濡れ性を維持できることが本発明者らの検討により明らかとなり、本発明に至った。
【0037】
また、ポリ塩化ビニルシートなどの疎水性の高い難吸収基材に対して優れた濡れ性を有し、インキの表面張力や濡れ性等の経時変化を少なくするという観点から、上記一般式(1)及び(3)で表されるシリコン系界面活性剤の含有量の合計は一般式(5)の関係を満たすことが好ましい。
【0038】
一般式(5)
5<(A/B)×100
(A=前記一般式(1)及び(3)で表されるシリコン系界面活性剤の含有量の合計、B=前記シリコン系界面活性剤を除く不溶性物質の含有量の合計)
【0039】
上記一般式(5)に記載の不溶性物質とは、水性インキへの溶解度が低い固体物質のことである。例えば、顔料や水分散性樹脂微粒子などの固体物質が挙げられる。また、含有量とはインキ組成中の重量部を表す。
【0040】
上記一般式(5)の関係を満たすことでインキを長期間保管した後でも、表面張力の変化を抑え、印刷品質を維持することができる。これは、上記式を満たすことにより、界面活性剤がある程度、顔料や水分散性樹脂微粒子などの不溶性物質の界面に吸着しても、余剰の界面活性剤が存在することによりインキと接する気液界面や基材界面への配向を補い、表面張力の変化や基材に対する濡れ性の低下を抑制することが可能であるためである。上記一般式(5)の関係を満たさない場合、難吸収基材に対する濡れ性が乏しく、優れた印刷適性が得られない。また、インキの表面張力や濡れ性が経時変化するため好ましくない。
【0041】
さらに、難吸収基材上での濡れ性を向上し、表面張力と濡れ性の経時変化をより少なくするという観点から上記一般式(5)で示されるシリコン系界面活性剤の含有量の合計は、8<(A/B)×100の関係を満たすことがより好ましい。
【0042】
上記一般式(1)及び(3)で表されるシリコン系界面活性剤の比率は特に限定されないが、インキの表面張力の変化を少なくするという観点から、上記一般式(1)で表されるシリコン系界面活性剤と上記一般式(3)で表されるシリコン系界面活性剤の含有量の重量比が1:1〜10:1であることが好ましい。重量比が1:1未満になるとインキの表面張力の変化を少なくするという本発明の目的とする効果が小さくなる場合がある。
【0043】
また、上記一般式(1)及び(3)で表されるシリコン系界面活性剤の含有量の合計は難吸収基材上で十分な濡れ性を確保するという観点から0.5重量%以上2重量%以下であることが好ましい。含有量が2重量%を超えてしまうとインキの粘度安定性を損なう可能性がある。
【0044】
上記一般式(1)で表されるシリコン系界面活性剤は、水系溶媒に対する相溶性を低下させ、表面張力や濡れ性の経時変化を小さくするという観点から、aは10以上80以下の整数であることが好ましい。
上記一般式(1)で表されるシリコン系界面活性剤の市販品の具体例としては、東レ・ダウコーニング社製のBY16−201、SF8427、ビックケミー社製のBYK−333、BYK−UV3500、エボニック デグサ社製のTEGO GLIDE 410、TEGO GLIDE 432、TEGO GLIDE 435、TEGO GLIDE 440、TEGO GLIDE 450等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0045】
上記一般式(3)で表されるシリコン系界面活性剤は、水系溶媒に対する相溶性を向上させ、インキの表面張力を十分に下げるという観点から、d+eは3以上50以下の整数であることが好ましい。
上記一般式(3)で表されるシリコン系界面活性剤の市販品の具体例としては、東レ・ダウコーニング社製のSF8428、FZ−2162、8032 ADDITIVE、SH3749、FZ−77、L7001、L−7002,FZ−2104,FZ−2110、FZ−2123,SH8400、SH3773M、ビックケミー社製のBYK−345、BYK−346、BYK−347、BYK−348、エボニック デグサ社製のTEGO WET 250、TEGO WET 260、TEGO WET 270、TEGO WET 280、信越化学工業社製のKF−351A,KF−352A,KF−353,KF−354L、KF−355A、KF−615A、KF−640、KF−642、KF−643等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
本発明で用いられる上記のシリコン系界面活性剤を2種以上併用することにより、疎水性の高い難吸収基材上において優れた濡れ性を有するだけではなく、インキの表面張力の安定性を十分に確保できる。
【0047】
長期保管後に表面張力が上昇してしまうと、印刷基材に対する濡れ性が低下し、印字部における白抜け等の問題に繋がる。また、長期保管前後でインキの表面張力が異なると、表面張力の高低差によりインキが流れてしまい、色間において混色・滲み等の問題が発生してしまう。プリンターに搭載されたインキの交換時期は、各色の使用頻度によっても異なるため、新旧異なるインキにおいて各色間の表面張力は常に安定で高低差がないことが好ましい。
【0048】
インキの長期保管にける実使用上必要な表面張力の安定性としては、50℃6週間の経時促進試験にて下記一般式(6)で示されるインキの表面張力変化率が5%未満であることが好ましい。
【0049】
(一般式(6))
表面張力変化率(%)=(経時試験前後の表面張力差)/(経時試験前の表面張力)
【0050】
上記したインキの表面張力変化率が5%以上である場合、長期保管後において印字部の白抜け・色間の滲みが発生し、優れた印刷品質が得られないため好ましくない。
【0051】
本発明のインキジェット記録用水性インキは、上記で説明したシリコン系界面活性剤の他に水、顔料、水溶性有機溶剤、バインダー樹脂を少なくとも含んでなるが、含有する各成分について説明する。
【0052】
<水>
本発明のインキジェット記録用水性インキに含まれる水としては、種々のイオンを含有する一般の水ではなく、イオン交換水(脱イオン水)を使用するのが好ましい。
本発明で使用することができる水の含有量としては、インキの全重量の20〜80重量%、の範囲である。
【0053】
<顔料>
本発明の水性顔料インキに含まれる顔料としては、従来既知のものが使用できる。
本発明で使用することができるシアンの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Blue1、2、3、15:3、15:4、16、22、C.I.Vat Blue 4、6等が挙げられる。
【0054】
本発明で使用することができるマゼンタの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Red5、7、12、22、23、31、48(Ca)、48(Mn)、49、52、53、57(Ca)、57:1、112、122;キナクリドン固溶体、146、147、150、238、269、C.I.Pigment Violet 19等が挙げられる。
【0055】
本発明で使用することができるイエローの顔料としては、例えば、C.I.Pigment Yellow12,13,14,17,20,24,74,83,86,93,94,95,109,110,117,120,125,128,137,138,139,147,148,150,151,154,155,166,168,180,185、213等が挙げられる。
【0056】
本発明で使用することができるブラックの顔料としては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラック(C.I.Pigment Black 7)が挙げられる。例えば、これらのカーボンブラックであって、一次粒子径が11〜40mμm(nm)、BET法による比表面積が50〜400m
2/g、揮発分が0.5〜10重量%、pH値が2乃至10等の特性を有するものが好適である。このような特性を有する市販品としては下記のものが挙げられる。例えば、
No.33、40、45、52、900、2200B、2300、MA7、MA8、MCF88(以上、三菱化学製)、RAVEN1255(コロンビア製)、REGAL330R、400R、660R、MOGUL L(以上、キャボット製)、Nipex 160IQ、Nipex 170IQ、Nipex 75、Printex 85、Printex 95、Printex 90、Printex 35、Printex U(以上、デグサ製)等があり、何れも好ましく使用することができる。
【0057】
本発明では上述した顔料に限定されるものではなく、その他の顔料を使用してオレンジ、グリーン、ホワイト等の特色や顔料を含まないクリアも組み合わせたインキセットとして使用することができる。
【0058】
本発明で使用することができる顔料の含有量としては、水性インキ組成中に重量比で0.1〜10重量%の範囲である。
【0059】
<顔料分散樹脂>
本発明の水性顔料インキに含まれる顔料分散樹脂としては、従来既知のものが使用できるが、一般に、(メタ)アクリル酸共重合物が使用される。これは、顔料表面に吸着した(メタ)アクリル酸共重合物がイオン化した際の電荷反発により、水性溶媒中で、顔料どうしの電荷反発が起こり、安定した顔料分散状態を保つことができるためと考えられる。
【0060】
本発明では単色のインキだけではなく、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのインキを組み合わせた4色以上のインキセットとしても利用することができる。各色のインキについては特に組成を限定するものではないが、顔料以外の成分は全て同様の組成とすることが望ましい。同様の組成にすることで印刷時の乾燥速度や基材上での濡れ広がりを全色均一にし、印刷品質を向上させることができる。
【0061】
<バインダー樹脂>
さらに、本発明のインクジェット記録用水性インキは、印字物の塗膜耐性を高めるためにバインダー樹脂を用いることができる。バインダー樹脂としては水分散性樹脂微粒子を含有することが好ましい。水性インキのバインダー樹脂としては大別して水溶性樹脂と樹脂微粒子が知られているが、一般に樹脂微粒子は水溶性樹脂と比較して高分子量であり、高い耐性を実現することができる。また、樹脂微粒子はインキの粘度を低くすることができ、より多量の樹脂をインク中に配合することができることから、インクジェットインキの耐性を高めるのに適していると言える。樹脂微粒子の種類としてはアクリル系、ウレタン系、スチレンブタジエン系、塩化ビニル系、ポリオレフィン系等が挙げられる。
【0062】
水性の樹脂微粒子のガラス転移点温度(Tg)を高くすることで耐擦性、耐薬品性等の耐性を向上させることが可能であり、好ましくは50〜120℃、より好ましくは80〜100℃の範囲である。50℃よりも低い場合には十分な耐性が得られず、実用にて印刷物から印刷が剥がれる場合がある。また、120℃よりも高い場合には塗膜が非常に硬くなり、印刷物を折り曲げた際に印刷面にワレ、ヒビが生じる場合がある。
【0063】
また、水性樹脂微粒子は印字物の塗膜耐性を高めるだけでなく、液滴が着弾した後に速やかに成膜し乾燥することで、ドット同士の滲みを抑制し、色間の混色や滲みが少ない優れた印刷品質を得ることができる。
上記したような水性の樹脂微粒子のインキ中における含有量は、固形分でインキの全重量の3〜20重量%の範囲である。
【0064】
<水溶性有機溶剤>
【0065】
また、本発明の水性インキは、水溶性有機溶剤を含有することができる。上記構造を有するシリコン系界面活性剤と相溶性が良好なものを好適に用いることができる。優れた印刷品質を得るという観点から、水溶性有機溶剤としてアルカンジオール類、グリコールエーテル類から選ばれる少なくとも一種以上を含むことが好ましい。
【0066】
アルカンジオール類は、溶剤自体の浸透性は低いため乾燥性に対する効果は少ないが、難吸収基材に対する濡れ性やインキの粘度安定性を向上させる目的で用いられる。溶剤自体の浸透性が低いため、基材上に留まりやすく、シリコン系界面活性剤が十分に基材表面に配向する時間を稼ぐことで濡れ性を向上させることが可能となる。また、溶剤自体の溶解性も低いため、顔料分散体に対しての影響も少なく、長期間保存しても十分な粘度安定性を得ることが可能である。
アルカンジオール類の具体例としては、1, 2−プロパンジオール、1, 3−プロパンジオール、1, 2−ブタンジオール、1, 3−ブタンジオール、1, 2−ペンタンジオール、1, 5−ペンタンジオール、1, 2−ヘキサンジオール、1, 6−ヘキサンジオール、2−メチル−2, 4−ペンタンジオール等が挙げられる。アルカンジオール類の中でも1, 2−プロパンジオール、1, 2−ブタンジオール、1, 2−ペンタンジオール、1, 2−ヘキサンジオールといった炭素数3〜6の1, 2−アルカンジオールを使用するのが好ましい。
【0067】
本発明で使用できる上記アルカンジオール類のインキ組成中における含有量としては、難吸収基材上で優れた印刷適性を有するという観点から10重量%以上30重量%以下であることが好ましい。含有量が10重量%を下回るとインキの濡れ性が不十分となり、白抜け等が生じる可能性がある。また、含有量が30重量%を超えると難吸収基材上でインキの乾燥性が悪化し、ドットがつながりやすく優れた印刷適性が得られない可能性がある。
【0068】
グリコールエーテル類は、ポリ塩化ビニルシートのようなインキが吸収し難い基材に対して浸透性を有しており、インキの乾燥性を高める目的で用いられる。中でも(ポリ)アルキレングリコールモノ(またはジ)アルキルエーテルを用いることで難吸収基材上におけるドット同士の融着を抑えることが可能となる。
【0069】
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、例えばエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール等が挙げられる。
【0070】
アルキレングリコールジアルキルエーテルとしては、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエチルエーテル、テトラエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールブチルメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
【0071】
難吸収基材に対して浸透性を向上させ、ドット同士のつながりを抑えることで、色間の混色や滲みを低減するという観点から、グリコールエーテル類の中でもアルキレングリコールジアルキルエーテルを用いることがより好ましい。
本発明で使用できる上記グリコールエーテル類のインキ組成中における含有量としては15重量%以下であることが好ましい。含有量が15重量%を超えるとインキの乾燥性が高すぎてしまい、基材上におけるインキの濡れ広がりを損なう可能性がある。
【0072】
また、難吸収基材上における印字部の白抜けを少なくし、ドット同士の滲みを抑制できる乾燥性を確保するために、上記グリコールエーテル類とアルカンジオール類を併用することが特に好ましい。
【0073】
さらに、ポリ塩化ビニルシートなどの難吸収基材に対する浸透及び密着性を向上させる目的で、水溶性の含窒素系化合物を添加することもできる。
【0074】
含窒素系化合物としては、2−ピロリドン、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、3−メチル−2−オキサゾリジノン、3−エチル−2−オキサゾリジノン、N,N−ジメチル−β−メトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−エトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ブトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ペントキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ヘキソキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−ヘプトキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−2−エチルヘキソキシプロピオンアミド、N,N−ジメチル−β−オクトキシプロピオンアミド、N,N−ジエチル−β−ブトキシプロピオンアミド、N,N−ジエチル−β−ペントキシプロピオンアミド、N,N−ジエチル−β−ヘキソキシプロピオンアミド、N,N−ジエチル−β−ヘプトキシプロピオンアミド、N,N−ジエチル−β−オクトキシプロピオンアミドなどが挙げられる。
【0075】
本発明で用いられる水溶性有機溶剤のインキ組成中における含有量の合計は、20重量%以上40重量%以下の範囲であることが好ましい。水溶性有機溶剤の含有量の合計が20重量%よりも少ない場合、インキの乾燥性が良すぎてしまい、本発明のシリコン系界面活性剤による濡れ性を向上させる効果が小さくなる可能性がある。40重量%よりも多い場合、難吸収基材上でインキが乾燥し難くなり、ドット同士がつながってしまい、白抜けや混色滲み等が悪化する可能性がある。また、インキの保存安定性が実用に適さなくなる可能性がある。
【0076】
<その他の成分>
また、本発明のインキは、上記の成分の他に、必要に応じて所望の物性値を持つインクとするために、消泡剤、防腐剤等の添加剤を適宜に添加することができる。これらの添加剤の添加量の例としては、インキの全重量に対して、0.01〜10重量%、好ましくは0.01〜5重量%が好適である。
【0077】
<インキの調製方法>
上記したような成分からなる本発明のインキの調製方法としては、下記のような方法が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。先ず初めに、顔料分散樹脂と、水とが少なくとも混合された水性媒体に顔料を添加し、混合撹拌した後、後述の分散手段を用いて分散処理を行い、必要に応じて遠心分離処理を行って所望の顔料分散液を得る。次に、必要に応じてこの顔料分散液に、水溶性溶剤、或いは、上記で挙げたような適宜に選択された添加剤成分を加え、撹拌、必要に応じて濾過して本発明のインキとする。
【0078】
本発明のインキの調製方法においては、上記で述べたように、インキの調製に分散処理を行って得られる顔料分散液を使用するが、顔料分散液の調製の際に行う分散処理の前に、プレミキシングを行うのが効果的である。即ち、プレミキシングは、少なくとも顔料分散樹脂と水とが混合された水性媒体に顔料を加えて行えばよい。このようなプレミキシング操作は、顔料表面の濡れ性を改善し、顔料表面への分散剤の吸着を促進することができるため、好ましい。
【0079】
上記した顔料の分散処理の際に使用される分散機は、一般に使用される分散機なら、如何なるものでもよいが、例えば、ボールミル、ロールミル、サンドミル、ビーズミル及びナノマイザー等が挙げられる。その中でも、ビーズミルが好ましく使用される。このようなものとしては、例えば、スーパーミル、サンドグラインダー、アジテータミル、グレンミル、ダイノーミル、パールミル及びコボルミル(何れも商品名)等が挙げられる。
【0080】
さらに、上記した顔料のプレミキシング及び分散処理において、顔料分散樹脂は水のみに溶解もしくは分散した場合であっても、水溶性溶剤と水の混合溶媒に溶解もしくは分散した場合であっても良い。
【0081】
本発明のインキは、インクジェット記録用であるので、顔料としては、最適な粒度分布を有するものを用いることが好ましい。即ち、顔料粒子を含有するインキをインクジェット記録方法に好適に使用できるようにするためには、ノズルの耐目詰り性等の要請から、最適な粒度分布を有する顔料を用いることが好ましい。所望の粒度分布を有する顔料を得る方法としては、下記の方法が挙げられる。先に挙げたような分散機の粉砕メディアのサイズを小さくすること、粉砕メディアの充填率を大きくすること、処理時間を長くすること、粉砕後フィルタや遠心分離機等で分級すること、及びこれらの手法の組み合わせ等の手法がある。
【0082】
以下、実施例により、本発明を更に具体的に説明する。なお、実施例中、「部」は、「重量部」を、「%」は、「重量%」を、それぞれ表す。
【0083】
<顔料分散樹脂の製造例>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、トリエチレングリコールモノメチルエーテル93.4部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を110℃に加熱して、ラウリルメタクリレート35.0部、スチレン35.0部、アクリル酸30.0部、およびV−601(和光純薬製)6.0部の混合物を2時間かけて滴下し、重合反応を行った。滴下終了後、さらに110℃で3時間反応させた後、V−601(和光純薬製)0.6部を添加し、さらに110℃で1時間反応を続けて、顔料分散樹脂1の溶液を得た。顔料分散樹脂1の重量平均分子量は約16000であった。
さらに、室温まで冷却した後、ジメチルアミノエタノール37.1部添加し中和した。これは、アクリル酸を100%中和する量である。さらに、水を200部添加し、水性化した。これを1gサンプリングして、180℃20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に水性化した樹脂溶液の不揮発分が20%になるように水を加えた。これより、顔料分散樹脂1の不揮発分が20%の水性化溶液を得た。
【0084】
<顔料分散液の調製>
下記顔料を20部、顔料分散樹脂1の水溶液を42.9部、水37.1部をマヨネーズ瓶に仕込み、ディスパーで予備分散した後、分散メディアとして直径0.5mmのジルコニアビーズ1800gを充填した容積0.6Lのダイノーミルを用いて2時間本分散を行い、顔料分散液を得た。このとき、顔料と顔料分散樹脂1の不揮発分の比率は、顔料/分散樹脂(不揮発分)=7/3となっている。下記に顔料分散液の調製に使用した顔料種について示す。
・C.I.Pigment Blue 15:3(シアン顔料分散液の調製に使用)
・C.I.Pigment Red 122(マゼンタ顔料分散液の調製に使用)
・C.I.Pigment Yellow 120(イエロー顔料分散液の調製に使用)
・C.I.Pigment Black 7(ブラック顔料分散液の調製に使用)
【0085】
<水分散性樹脂微粒子の製造例>
攪拌器、温度計、滴下ロート、還流器を備えた反応容器に、イオン交換水40部と界面活性剤としてアクアロンKH−10(第一工業製薬製)0.2部とを仕込み、別途、2−エチルヘキシルアクリレート10部、メチルメタクリレート57部、スチレン30部、ジメチルアクリルアミド2部、メタクリル酸1部、イオン交換水53部および界面活性剤としてアクアロンKH−10(第一工業製薬製)1.8部をあらかじめ混合しておいたプレエマルジョンのうちの1%をさらに加えた。内温を60℃に昇温し十分に窒素置換した後、過硫酸カリウムの5%水溶液10部、および無水重亜硫酸ナトリウムの1%水溶液20部の10%を添加し重合を開始した。反応系内を60℃で5分間保持した後、内温を60℃に保ちながらプレエマルジョンの残りと過硫酸カリウムの5%水溶液、および無水重亜硫酸ナトリウムの1%水溶液の残りを1.5時間かけて滴下し、さらに2時間攪拌を継続した。不揮発分測定にて転化率が98%超えたことを確認後、温度を30℃まで冷却した。ジエチルアミノエタノールを添加して、pHを8.5とし、さらにイオン交換水で不揮発分を40%に調整して樹脂微粒子水分散体を得た。得られた樹脂微粒子水分散体を水分散性樹脂微粒子1とした。水分散性樹脂微粒子1の計算上のガラス転移点温度は80℃である。
【0086】
実施例、比較例として使用するシリコン系界面活性剤について以下に示す。
<一般式(1)で表されるシリコン系界面活性剤>
・BYK−333(ビックケミー社製)
・BYK−UV3500(ビックケミー社製)
・TEGO GLIDE 440(エボニック デグサ社製)
<一般式(3)で表されるシリコン系界面活性剤>
・TEGO WET 260(エボニック デグサ社製)
・TEGO WET 270(エボニック デグサ社製)
<非シリコン系界面活性剤>
・サーフィノール465 (エアー プロダクツ ジャパン社製)
【0087】
<実施例1〜22及び比較例1〜9>
表1及び2に記載した組成に従い、インクジェットインキを調製した。具体的には、上記の方法で調製した顔料分散液、その他の原料を表1及び2に記載した組成に従いマヨネーズ瓶に仕込み、ハイスピードミキサーにて攪拌混合した。そして、1μmおよび0.45μmのメンブランフィルターにて濾過し、インクジェットインキを得た。調製したシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの4色のインクを1組のインキセットとし、組成の異なる実施例1〜22、比較例1〜9のインクセットを得た。これらのインキセットを用いて以下の評価を行った。
【0088】
調製したインキの評価方法について下記に示す。
【0089】
<評価1:粘度の安定性評価>
実施例1〜22、比較例1〜9で得られたインキの粘度をE型粘度計(東機産業社製TVE−20L)を用いて、25℃において回転数50rpmという条件で測定した。このインキを50℃の恒温機に保存し、経時促進させた後、経時前後でのインキの粘度変化を評価した。評価基準は下記のとおりであり、AA、A、 B評価が実用可能領域である。
<評価基準>
AA:10週間保存後の粘度変化率が±5%未満
A:8週間保存後の粘度変化率が±5%未満
B:6週間保存後の粘度変化率が±5%未満
C:6週間保存後の粘度変化率が±5%以上
【0090】
<評価2:表面張力値の安定性評価>
実施例1〜22、比較例1〜9で得られたインキの表面張力値をCBVP−Z(協和界面科学社製)を用いて測定した。このインキを50℃の恒温機に保存し、経時促進させ、経時試験前後でのインキの表面張力の変化を評価した。評価基準は下記のとおりである。
AA、A、B評価が実用可能領域である。
<評価基準>
AA:10週間保存後の表面張力変化率が±5%未満
A:8週間保存後の表面張力変化率が±5%未満
B:6週間保存後の表面張力変化率が±5%未満
C:6週間保存後の表面張力変化率が±5%以上
D:4週間保存後の表面張力変化率が±5%以上
【0091】
<評価3:インキの濡れ性評価>
実施例1〜22、比較例1〜9で得られたインキについて、25℃の環境下でピエゾ素子を有するインクジェットヘッドを搭載したインクジェットプリンターに充填し、ポリ塩化ビニルシート(メタマーク社製MD−5)を50℃に加温しながら印字率100%のベタ印刷を行い、印刷物の白抜け度合を目視で確認した。また、このインキを50℃の恒温機に保存し、6週間経時促進させ、経時前後で白抜け度合を評価した。評価基準は下記のとおりであり、AA、A、B評価が実用可能領域である。
<評価基準>
AA:インキが十分に広がり、目視で白抜けがない上に、濃度ムラがなく均一な画像が得られているもの
A:インキが程良く広がり、目視で白抜けがない上に、濃度ムラがなく良好な画像が得られているもの
B:インキが程良く広がり、目視で白抜けがないもの
C:インキの広がりが不十分であり、目視で僅かに白抜けが発生しているもの
D:インキの広がりが不十分であり、目視で明らかに白抜けが発生しているもの
【0092】
<評価4:インキの混色評価>
実施例1〜22、比較例1〜9で得られたインキについて、評価3と同様の基材及び印刷条件で印刷を行った。但し、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックを隣り合うように(色の順序はランダムでよい)印刷し、色間の混色度合を評価した。
1.経時試験前のインキの混色評価
経時試験前のインキを上記の通り印刷し、色間の混色度合を評価した。
2.経時試験前後のインキの混色評価
上記のインキを50℃の恒温機に保存し6週間経時促進させ、経時試験前後のインキを上記の通り印刷し、色間の混色度合を評価した。但し、経時試験前のインキと経時促進させた後のインキが交互に隣り合うように印刷した。混色度合いは目視で観察し、ドットのつながりはルーペで観察し評価した。評価基準は下記のとおりであり、AA、A、B評価が実用可能領域である。
<評価基準>
AA:ドットの融着、色間の色混じりや滲みが全くなく、各色の境界が鮮明であるもの。
A:ドットの融着が僅かにあるが、目視で色間の色混じりや滲みが全くなく、各色の境界が鮮明であるもの
B:ドットの融着が僅かにあるが、目視で色間の色混じりや滲みが全くないもの
C:目視で色間の色混じりや滲みが僅かに見られるもの
D:目視で色間の色混じりや滲みが明らかに見られるもの
【0093】
上記の評価結果は、実施例1〜22については表3に示す。また、比較例1〜9については表4に示す。
【0094】
実施例1〜22では請求項の範囲内のシリコン系界面活性剤を使用することにより、疎水性の高い難吸収基材に対する印刷適性に優れ、長期間保管した後でもインキの表面張力の変化が少なく、印刷適性が経時劣化することのないインクジェット記録用水性インキが得られている。
【0095】
一方、本発明の範囲外である比較例では全ての評価項目を満足し、実用可能な品質のインキとすることができないことが示されている。一般式(5)の関係を満たさない比較例1、2は、インキの表面張力の安定性が悪く、経時で印刷適性が劣化していた。一般式(1)で表されるシリコン系界面活性剤のみを使用した比較例3、5では表面張力の安定性は良好であるが、基材に対する濡れ性が不十分なため、優れた印刷適性が得られなかった。一般式(3)で表されるシリコン系界面活性剤のみを使用した比較例4、6、7ではインキの表面張力の安定性が著しく悪く、経時で印刷適性が劣化していた。一般式(1)及び(3)で表されるシリコン系界面活性剤を1種も使用していない比較例8、9は最も濡れ性が不十分であり、白抜け、色間の混色滲みが悪かった。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
【表3】
【0099】
【表4】