(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5928053
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】冷却プラグ
(51)【国際特許分類】
B29C 33/04 20060101AFI20160519BHJP
B22D 17/22 20060101ALI20160519BHJP
B22C 9/06 20060101ALI20160519BHJP
【FI】
B29C33/04
B22D17/22 D
B22C9/06 B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-67319(P2012-67319)
(22)【出願日】2012年3月23日
(65)【公開番号】特開2013-199010(P2013-199010A)
(43)【公開日】2013年10月3日
【審査請求日】2015年2月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】特許業務法人プロスペック特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100155767
【弁理士】
【氏名又は名称】金井 憲志
(72)【発明者】
【氏名】野村 泰弘
【審査官】
今井 拓也
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭61−182865(JP,A)
【文献】
特開2006−007271(JP,A)
【文献】
特表2000−510575(JP,A)
【文献】
特開平09−122872(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/04
B22C 9/06
B22D 17/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端および基端を有し、円筒状に形成されるとともに、前記先端側から金型に形成された冷却通路に挿通され、前記先端側から冷却水を前記冷却通路に供給する冷却水供給管と、
前記冷却水供給管の基端側に近い部分の外周から径外方に広がるように形成された本体部と、
前記本体部内に形成され、前記冷却通路内の空間のうち前記冷却水供給管の外周壁と前記冷却通路の内壁との間の空間に連通して前記冷却水供給管から前記冷却通路内に供給された冷却水を外部に排出する冷却水排出通路と、
前記冷却水供給管の内径が部分的に縮径するように前記冷却水供給管の内壁に形成されリング状の板状部材で構成される絞り部と、
前記冷却水供給管に形成され前記冷却水供給管の内壁のうち前記絞り部が形成されている部分よりも上流側の部分に開口する第1孔部と、
前記冷却水供給管に形成され前記冷却水供給管の内壁のうち前記絞り部が形成されている部分よりも下流側の部分に開口する第2孔部と、
前記本体部に一体的に装着された圧力センサカバーと、
前記第1孔部に連通する第1圧力測定面を備える第1圧力センサと、
前記第2孔部に連通する第2圧力測定面を備える第2圧力センサと、
を備え、
前記第1圧力センサと前記第2圧力センサは、共に前記圧力センサカバーに嵌め込まれている、冷却プラグ。
【請求項2】
請求項1に記載の冷却プラグにおいて、
前記本体部には、前記冷却水供給管の外壁が露出するとともに前記第1孔部及び前記第2孔部が開口した凹部が形成され、
前記凹部から露出した前記冷却水供給管の前記外壁のうち、前記第1孔部の開口位置と前記第2孔部の開口位置との間の位置には、板状部材が立設しており、
前記圧力センサカバーは、前記冷却水供給管との間に空間が形成されるように前記凹部内に配設され、
前記凹部内における前記圧力センサカバーと前記冷却水供給管との間の空間が、前記圧力センサカバーと、前記凹部から露出した前記冷却水供給管の前記外壁と、前記板状部材とによって、前記第1孔部が開口した第1空間と前記第2孔部が開口した第2空間とに仕切られている、冷却プラグ。
【請求項3】
請求項2に記載の冷却プラグにおいて、
前記凹部の深さ方向における途中部分に形成され、前記圧力センサカバーが係止される段差部を有し、
前記圧力センサカバーが前記段差部に係止された状態で、前記凹部内における前記圧力センサカバーと前記冷却水供給管との間の空間が、前記圧力センサカバーと、前記凹部から露出した前記冷却水供給管の前記外壁と、前記板状部材とによって、前記第1空間と前記第2空間とに仕切られている、冷却プラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金型を冷却するための冷却プラグに関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂成形や鋳造成形に用いられる金型は、キャビティに充填される材料の熱を奪って材料を冷却固化させる冷却機能を有する。このような金型の冷却機能を維持するために、金型を冷却するための冷却装置が金型に付設される。
【0003】
金型には冷却通路が形成されていて、冷却装置はこの冷却通路内に冷却水を供給する。冷却通路内を流れる冷却水によって金型を効率良く冷却するための様々な改良が提案されている。
【0004】
特許文献1は、冷却水供給側主通路と、冷却水供給側主通路から分岐する複数の分岐通路と、冷却水排出側主通路が形成されたマニホールドブロックを有する冷却装置を開示する。各分岐通路が金型に形成されている各冷却通路に接続される。また、各分岐通路には複数のバルブが介在されており、各バルブを調整することによって各分岐通路を流れる冷却水の流量が個別に調整できるように構成されている。また、この特許文献1に記載の冷却装置は、マニホールドブロック内の分岐通路と金型内に形成された冷却通路とを連通するための冷却プラグが開示されている。ここに開示された冷却プラグは、冷却水供給管と本体部とを備える。冷却水供給管は先端および基端を有し、円筒状に形成されるとともに、先端側から金型に形成された冷却通路に挿通され、先端側から冷却水を冷却通路に供給するように構成される。本体部は、冷却水供給管の基端側に近い部分の外周から冷却水供給管の径外方に広がるように形成される。また、本体部内には、冷却水排出通路が形成される。冷却水排出通路は、金型に形成された冷却通路内の空間のうち冷却水供給管の外周壁と冷却通路の内壁との間の空間とマニホールドブロックに形成された冷却水排出側主通路とを連通するように形成されている。したがって、冷却水供給管から冷却通路内に供給された冷却水は、冷却水排出通路を通ってマニホールドブロックの冷却水排出側主通路に排出される。
【0005】
特許文献2にも、特許文献1と同様に複数の分岐通路を流れる冷却水の流量が個別に調整され得る冷却装置が開示される。この冷却装置が適用される金型には、一つの供給口に通じる冷却水供給通路と、冷却水供給通路から分岐しそれぞれ個別の排出口に通じる複数の冷却水排出通路が形成される。各排出口に流量調整弁が取り付けられる。各冷却水排出通路内を流れる冷却水の温度に基づいて各流量調整弁が個別に作動する。各流量調整弁が個別に作動することにより、各冷却水排出通路内を流れる冷却水の流量が冷却水温度に応じて個別に調整される。
【0006】
特許文献1および2に記載の冷却装置によれば、複数の冷却通路を流れる冷却水の流量が個別に調整されるので、冷却が必要な部分がより冷却され、冷却がそれほど必要でない部分の過冷却が防止されるように冷却能力がきめ細かに調整される。その結果、金型が効率的に冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−7271号公報
【特許文献2】特開平9−85387号公報
【発明の概要】
【0008】
特許文献1によれば、各冷却通路内を流れる冷却水の流量を調整することができるものの、冷却水の流量を定量的に把握することができない。また、特許文献2によれば、冷却水温度に基づいて各冷却水排出通路内を流れる冷却水の流量が調整されるが、特許文献1と同様に、冷却水の流量を定量的に把握することができない。
【0009】
一般的に、金型内に形成された冷却通路には、特許文献1に示されているように冷却プラグが取り付けられていて、この冷却プラグを介して冷却水が冷却通路に放出される。冷却回路中にごみ等異物が混入するなどで冷却回路に「詰まり」が発生したり、冷却プラグや上記した流量調整弁等に異常が生じた場合、冷却通路を流れる冷却水の流量が変化する。しかしながら、特許文献1および2に記載の冷却装置または冷却方法では、冷却水の流量を把握することができないために、上記した異常を検知することができない。異常を検知することができない場合、例えば冷却水温度に基づいて流量調整弁を制御していても、金型を適切に冷却することができない。
【0010】
本発明は、冷却水の流量が把握できるようにすることを目的とする。
【0011】
本発明は、先端および基端を有し、円筒状に形成されるとともに、前記先端側から金型に形成された冷却通路に挿通され、前記先端側から冷却水を前記冷却通路に供給する冷却水供給管と、前記冷却水供給管の基端側に近い部分の外周から径外方に広がるように形成された本体部と、前記本体部内に形成され、前記冷却通路内の空間のうち前記冷却水供給管の外周壁と前記冷却通路の内壁との間の空間に連通して前記冷却水供給管から前記冷却通路内に供給された冷却水を外部に排出する冷却水排出通路と、前記冷却水供給管の内径が部分的に縮径するように前記冷却水供給管の内壁に形成されリング状の板状部材で構成される絞り部と、前記冷却水供給管に形成され前記冷却水供給管の内壁のうち前記絞り部が形成されている部分よりも上流側の部分に開口する第1孔部と、前記冷却水供給管に形成され前記冷却水供給管の内壁のうち前記絞り部が形成されている部分よりも下流側の部分に開口する第2孔部と、前記本体部に一体的に装着された圧力センサカバーと、
前記第1孔部に連通する第1圧力測定面を備える第1圧力センサと、
前記第2孔部に連通する第2圧力測定面を備える第2圧力センサと、を備え
、前記第1圧力センサと前記第2圧力センサは、共に前記圧力センサカバーに嵌め込まれている、冷却プラグを提供する。
【0012】
本発明によれば、冷却水供給管がその先端側から金型に形成されている冷却通路に挿通される。そして、冷却水供給管の先端側から冷却水が冷却通路に供給される。冷却通路に供給された冷却水は、冷却通路の内壁と冷却水供給管の外周壁との間の空間から本体部に形成されている冷却水排出通路を通って外部に排出される。このようにして冷却水が冷却通路を流れることにより金型が冷却される。
【0013】
また、冷却水供給管の内壁には絞り部が形成されているので、冷却水がこの絞り部を通過することにより水圧が低下する。また、絞り部の上流側には第1圧力センサの第1圧力測定面に連通する第1孔部が形成され、絞り部の下流側には第2圧力センサの第2圧力測定面に連通する第2孔部が形成されている。したがって、絞り部の上流側を通過する冷却水の水圧が第1圧力センサで検知され、絞り部の下流側を通過する冷却水の水圧が第2圧力センサで検知される。絞り部を通過する前後における冷却水の差圧から絞り部を通過する冷却水の流量を求めることができる。したがって、求めた流量に基づいて、冷却装置の異常を検知することができる。
【0014】
また、第1圧力センサおよび第2圧力センサは、本体部に装着される圧力センサカバーに取り付けられる。圧力センサカバーは、本体部に装着された状態で本体部と一体化され、例えば圧力センサカバーと本体部との組み付け体が冷却水供給管に同軸的な円柱形状を呈するように構成される。このように本体部と一体化するようにコンパクトに圧力センサカバーを構成したので、従来から金型に形成されている冷却通路を加工することなく、流量検知機能が付加された冷却プラグをに簡単に取り付けることができる。
【0015】
本発明において、「前記絞り部が形成されている部分よりも上流側の部分」とは、冷却水供給管の内壁のうち、絞り部が形成されている部分よりも冷却水供給管の基端に近い部分を表す。また、「前記絞り部が形成されている部分よりも下流側の部分」とは、冷却水供給管の内壁のうち、絞り部が形成されている部分よりも冷却水供給管の先端に近い部分を表す。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係る冷却プラグを備える冷却装置が金型に取り付けられている状態を示す断面概略部分図である。
【
図3】冷却水給排ユニットと圧力センサカバーが分離された状態を示す正面図である。
【
図4】冷却水給排ユニットと圧力センサカバーが分離された状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の実施形態に係る冷却プラグを図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る冷却プラグを備える冷却装置が金型に取り付けられている状態を示す断面概略部分図である。
図1に示すように、金型100のキャビティ面CSは複雑な形状に形成される。また、金型100の内部に複数の冷却通路101が形成される。各冷却通路101は、金型100の表面のうちキャビティ面CSではない面OSに開口する。冷却通路101の開口部を塞ぐように冷却装置1が金型100に取り付けられている。
【0018】
冷却装置1は、マニホールドブロック10と複数の冷却プラグ20とを有する。マニホールドブロック10内には供給側通路11と排出側通路12が形成される。供給側通路11は図示しない冷却水供給源に接続され、排出側通路12は図示しない冷却水排出源に接続される。冷却水供給源と冷却水排出源は例えば熱交換装置を介して接続されていてもよい。供給側通路11には複数の供給側孔部11aが形成され、排出側通路12には複数の排出側孔部12aが形成される。各供給側孔部11aにそれぞれ冷却プラグ20が接続される。
【0019】
図2は、冷却プラグ20の断面図である。
図2に示すように、冷却プラグ20は、冷却水給排ユニット21と、接続部22と、圧力センサカバー23とを有する。冷却水給排ユニット21は冷却水供給管211と本体部212とを有する。
【0020】
冷却水供給管211は、先端211aおよび基端211bを有し、円筒形状をなす。冷却水供給管211は、その先端211a側から金型100に形成されている冷却通路101に挿通される。接続部22は中空の筒状体であり、一方の端部がOリングを介してマニホールドブロック10の供給側通路11に形成された供給側孔部11aに液密的に取り付けられ、他方の端部が冷却水供給管211の基端211bに液密的に接続される。
【0021】
図2に示すように、冷却水供給管211の内壁面には絞り部211cが形成される。絞り部211cは、冷却水供給管211の内壁面から径方向内方に立設したリング状の板状部材により構成される。絞り部211cの形成位置における冷却水供給管211の内径(あるいは断面積)は、それ以外の位置における内径(あるいは断面積)よりも小さい。したがって、この絞り部211cにより、冷却水供給管211の内径が部分的に縮径するように、つまり冷却水供給管211内を流れる流体が絞られるように構成される。
【0022】
また、冷却水供給管211の内壁面には、第1孔部211dおよび第2孔部211eが開口している。第1孔部211dの開口位置は、絞り部211cの形成位置よりも上流側の位置であり、第2孔部211eの開口位置は、絞り部211cの形成位置よりも下流側の位置である。ここで、「上流側」とは、冷却水供給管211の基端211b側を意味し、「下流側」とは、冷却水供給管211の先端211a側を意味する。
【0023】
本体部212は、冷却水供給管211の基端211bに近い部分の外周から、冷却水供給管211の径外方に放射状に広がるように略円筒形状に形成される。この本体部212の内部には冷却水排出通路212aが形成される。冷却水排出通路212aの一方端は、円筒状の本体部212の一方の端面212bに開口し、冷却水排出通路212aの他方端は、本体部212の他方の端面212cに開口する。
図1に示すように、冷却水排出通路212aの他方端が、マニホールドブロック10に形成された排出側孔部12aを介して排出側通路12に連通する。
【0024】
図2に示すように、本体部212の図示上面に凹部212dが形成される。凹部212dが形成されている部分にて冷却水供給管211の外壁が露出する。また、凹部212dは、それが形成されている空間に第1孔部211dおよび第2孔部211eが開口するような位置に形成される。
【0025】
凹部212dの深さ(高さ)方向における途中部分に段差部212eが形成される。段差部212eに係止するように圧力センサカバー23が凹部212d内に装着される。圧力センサカバー23は、例えばネジなどの締結部材で本体部212に固定される。
【0026】
圧力センサカバー23が本体部212に装着された状態において、圧力センサカバー23の
図2において下方を向いた面と冷却水供給管211の外周壁との間に空間が形成される。また、冷却水供給管211の外周壁に板状部材211fが径外方に向けて立設している。板状部材211fは凹部212d内に位置する。また、板状部材211fの高さは、凹部212dの高さのうち段差部212eよりも下方部分の高さに等しい。したがって、圧力センサカバー23と冷却水供給管211の外周壁との間の空間が板状部材211fによって第1空間251と第2空間252とに仕切られる。第1空間251に第1孔部211dが開口し、第2空間252に第2孔部211eが開口する。すなわち、冷却水供給管211の内部空間のうち、絞り部211cよりも上流側の空間が第1孔部211dを介して第1空間251に連通し、絞り部211cよりも下流側の空間が第2孔部211eを介して第2空間252に連通する。
【0027】
圧力センサカバー23には、第1圧力センサ241および第2圧力センサ242が嵌めこまれている。第1圧力センサ241は第1圧力測定面241aを有し、第2圧力センサ242は第2圧力測定面242aを有する。第1圧力測定面241aは、圧力センサカバー23から
図2において下方に露出して第1空間251に面する。第2圧力測定面242aは、圧力センサカバー23から
図2において下方に露出して第2空間252に面する。
【0028】
図3は、冷却プラグ20の冷却水給排ユニット21と圧力センサカバー23が分離された状態を示す正面図であり、
図4は側面図である。また、
図5は
図3のA−A断面図である。
図3に示すように、圧力センサカバー23は正面から見て鍋蓋状に形成される。また、冷却水給排ユニット21は正面からみて円形であり、中央に冷却水供給管211が形成される。冷却水供給管211を囲うように、本体部212が冷却水供給管211と同軸的に冷却水供給管211の径外方に広がって略円筒状に形成される。また、本体部212に形成された冷却水排出通路212aは、正面から見て略U字状をなす。この冷却水排出通路212aの内側に冷却水供給管211が設けられる。
【0029】
また、
図4に示すように、圧力センサカバー23に取り付けられている第1圧力センサ241および第2圧力センサ242には、電気配線がそれぞれ接続される。各電気配線は図示しない制御装置に電気的に接続される。
【0030】
図1に示すように、複数の冷却プラグ20の接続部22が、Oリングを介してマニホールドブロック10の供給側孔部11aに接続されることにより、冷却プラグがマニホールドブロック10に取り付けられる。冷却プラグ20がマニホールドブロック10に取り付けられた状態では、各冷却水供給管211がその先端211a側から金型100に形成された冷却通路101に挿通されるとともに、本体部212に形成された冷却水排出通路212aが排出側孔部12aを介してマニホールドブロック10の排出側通路12に連通する。そして、図示しない冷却水給水源から冷却水をマニホールドブロック10の供給側通路11に供給すると、供給側通路11に供給された冷却水は、供給側孔部11aを通って各冷却プラグ20の接続部22内の空間に進入し、さらに接続部22内の空間から冷却水供給管211内に進入する。
【0031】
冷却水供給管211内に進入した冷却水は、冷却水供給管211の先端211aから金型100の冷却通路101に放出される。放出された冷却水は冷却通路101の内壁と冷却水供給管211の外壁との間の空間を流れる。冷却水がこのように冷却通路101内を流れることにより金型100が冷却される。金型100を冷却した冷却水は、冷却通路101の内壁と冷却水供給管211の外壁との間の空間から冷却水排出通路212aに進入する。冷却水排出通路212a内の冷却水は排出側孔部12aを経てマニホールドブロック10の排出側通路12に導入され、図示しない冷却水排出源に排出される。
【0032】
冷却水が冷却水供給管211を流れるときに、冷却水は
図2に示すように絞り部211cを通過する。絞り部211cを通過することで、絞り部211cよりも上流側の水圧と下流側の水圧とに差が生じる。絞り部211cよりも上流側の水圧は、冷却水供給管211の内壁のうち絞り部211cよりも上流側に位置する部分に形成されている第1孔部211dを介して絞り部211cの上流側の空間に連通している第1空間251に面した第1圧力測定面241aを有する第1圧力センサ241により測定される。絞り部211cよりも下流側の水圧は、冷却水供給管211の内壁のうち絞り部211cよりも下流側に位置する部分に形成されている第2孔部211eを介して絞り部211cの下流側の空間に連通している第2空間252に面した第2圧力測定面242aを有する第2圧力センサ242により測定される。
【0033】
また、第1圧力センサ241および第2圧力センサ242は、電気配線によって図示しない制御装置に電気的に接続されており、各センサが測定した圧力は制御装置に受け渡される。そして、制御装置は、ベルヌイの定理を用い、以下の式に基づいて冷却水供給管211を流通する冷却水の流量Qを演算する。
Q=C√(PU−PL)
上式において、Cは流量係数、PUは第1圧力センサ241により測定された圧力、PLは第2圧力センサ242により測定された圧力である。
【0034】
このように、本実施形態の冷却プラグ20は、冷却水供給管211内を流れる冷却水の流量を直接取得することができる。したがって、冷却水流量の変化を検知することができる。冷却プラグ20や、本実施形態では説明していない流量調整弁等が故障した場合、あるいは、供給側通路11、冷却水供給管211、冷却通路101、冷却水排出通路212a、排出側通路12を繋ぐ冷却回路にごみや異物が詰まった場合、冷却水流量が変化する可能性が高い。したがって、本実施形態によれば、冷却水流量の変化を検知することにより、冷却プラグ20や流量調整弁等の異常、あるいは冷却回路の詰まりを検知することができる。
【0035】
以上のように、本実施形態の冷却プラグ20は、先端211aおよび基端211bを有し、円筒状に形成されるとともに、先端211a側から金型100に形成された冷却通路101に挿通され、先端211a側から冷却水を冷却通路101に供給する冷却水供給管211と、冷却水供給管211の基端211b側に近い部分の外周から径外方に広がるように形成された本体部212と、本体部212内に形成され、冷却通路101内の空間のうち冷却水供給管211の外周壁と冷却通路101の内壁との間の空間に連通して冷却水供給管211から冷却通路101内に供給された冷却水を外部(排出側通路12)に排出する冷却水排出通路212aと、冷却水供給管211の内径が部分的に縮径するように冷却水供給管211の内壁に形成されリング状の板状部材で構成される絞り部211cと、冷却水供給管211に形成され冷却水供給管211の内壁のうち絞り部211cが形成されている部分よりも上流側の部分に開口する第1孔部211dと、冷却水供給管211に形成され冷却水供給管211の内壁のうち絞り部211cが形成されている部分よりも下流側の部分に開口する第2孔部211eと、本体部212に一体的に装着された圧力センサカバー23と、圧力センサカバー23に取り付けられ、第1孔部211dに連通する第1空間251に面した第1圧力測定面241aを備える第1圧力センサ241と、圧力センサカバー23に取り付けられ、第2孔部211eに連通する第2空間252に面した第2圧力測定面242aを備える第2圧力センサ242と、を備える。
【0036】
本実施形態によれば、絞り部211cの上流側を通過する冷却水の水圧が第1圧力センサ241で検知され、絞り部211cの下流側を通過する冷却水の水圧が第2圧力センサ242で検知される。絞り部211cを通過する前後における冷却水の差圧から絞り部211cを通過する冷却水の流量が求められる。したがって、求めた流量の変化に基づいて、冷却プラグ20や流量調整弁等の異常、あるいは冷却回路の詰まり等を検知することができる。
【0037】
また、第1圧力センサ241および第2圧力センサ242は、本体部212に装着される圧力センサカバー23に取り付けられる。圧力センサカバー23は、本体部212に装着された状態で本体部212と一体化される。このように本体部212と一体化するようにコンパクトに圧力センサカバー23を構成したので、従来から金型に形成されている冷却通路を加工することなく、流量検知機能が付加された冷却プラグ20をに簡単に取り付けることができる。
【0038】
また、
図2に示すように、本体部212の外周の両端近傍には周方向に沿って溝212gが形成されていて、この溝212g内にOリングが配設される。そして、
図1に示すように、本体部212の一方の端部側がOリングを介してマニホールドブロック10に取り付けられ、他方の端部側が金型100に取り付けられる。また、
図2に示すように、圧力センサカバー23は、両溝212gの間の位置に形成されている。このため、圧力センサカバー23と本体部212との分割面(仕切り面)が、本体部212の端面側に形成されず、それ故冷却水が上記分割面に入り込まない。よって、圧力センサカバー23と本体部212との分割面からの水漏れを防止できる。
【符号の説明】
【0039】
1…冷却装置、10…マニホールドブロック、11…供給側通路、11a…供給側孔部、12…排出側通路、12a…排出側孔部、20…冷却プラグ、21…冷却水給排ユニット、211…冷却水供給管、211a…先端、211b…基端、211c…絞り部、211d…第1孔部、211e…第2孔部、211f…板状部材、212…本体部、212a…冷却水排出通路、212d…凹部、212e…段差部、212g…溝、22…接続部、23…圧力センサカバー、241…第1圧力センサ、241a…第1圧力測定面、242…第2圧力センサ、242a…第2圧力測定面、251…第1空間、252…第2空間、100…金型、101…冷却通路