特許第5928108号(P5928108)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5928108
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】かしめ構造の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/56 20060101AFI20160519BHJP
   B29C 65/20 20060101ALI20160519BHJP
【FI】
   B29C65/56
   B29C65/20
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-87830(P2012-87830)
(22)【出願日】2012年4月6日
(65)【公開番号】特開2013-215970(P2013-215970A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2015年3月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100114959
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 徹也
(72)【発明者】
【氏名】西垣 篤史
(72)【発明者】
【氏名】吉良 直樹
(72)【発明者】
【氏名】久松 哲也
(72)【発明者】
【氏名】庵野 恭史
【審査官】 山本 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−343064(JP,A)
【文献】 実開平02−027317(JP,U)
【文献】 特開2011−167900(JP,A)
【文献】 実開昭50−023372(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00−65/82
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被固定部材に形成された固定孔に対し成形品に形成されたボスを挿通する工程と、
前記固定孔から突出した前記ボスの先端に加熱部材の下端部に形成した窪みの底面である当接面を押しつけて前記ボスを加熱溶融させる工程と、
前記窪みの周囲に形成された押圧面で前記被固定部材を押圧して圧潰部および前記圧潰部の外周縁から連続した外側に厚み方向における断面形状が四角形状である凹部を形成する工程と、
前記圧潰部の外周に発生したバリを前記押圧面で前記凹部に圧着固定する工程と、を含むかしめ構造の製造方法。
【請求項2】
被固定部材に形成された固定孔に対し成形品に形成されたボスを挿通する工程と、
前記固定孔から突出した前記ボスの先端に加熱部材の下端部に形成した窪みの底面である当接面を押しつけて前記ボスを加熱溶融させる工程と、
前記窪みの周囲に形成された押圧面で前記被固定部材を押圧して圧潰部および前記圧潰部の外周縁から連続した外側に厚み方向における断面形状が三角形状である凹部を形成する工程と、
前記圧潰部の外周に発生したバリを前記押圧面の先端部で前記圧潰部から切り離す工程と、を含むかしめ構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱かしめ加工により成形品に被固定部材を接合したかしめ構造の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、成形品(熱可塑性樹脂成形品)に薄板状の被固定部材を接合する方法の一つとして熱かしめ加工が採用されている。熱かしめ加工では、被固定部材に開けられた孔に成形品に設けられたボスを挿通し、ボスの先端を加熱部材で加熱しつつ押圧するなどしてボスを溶融させる。そして溶融したボスを加熱部材で圧潰してボスを孔の内径より大きくなるように変形させて圧潰部を形成することにより、被固定部材と成形品とを接合する。一般に、熱かしめ加工は、接合後に分離する必要がない箇所に使用され、短工数で接合を完了させることができると共に、長期間に亘ってその接合状態を維持することができる。熱かしめ加工においてボスを溶融させる方法には、加熱部材の一例であるヒートチップを加熱してボスに熱を印加する方法や、加熱部材の他の一例であるホーンに超音波振動を印加してボスに摩擦熱を発生させる方法などがある。
【0003】
特許文献1においては、熱可塑性樹脂からなるカウルルーバに一体形成されたかしめ用ボスを被固着物である樹脂ネットに形成されたかしめ孔に挿通し、かしめホーンでかしめ用ボスの先端を圧接して、かしめ用ボスを軟化、圧潰して接合する超音波かしめ方法が開示されている。この超音波かしめ方法では、かしめホーンの圧接端面には矩形の断面形状を有する凹部である収容部が形成され、その収容部の容積とかしめ用ボスの圧潰により形成される圧潰部の体積とが実質的に等しくなるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平6−315984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
熱かしめ方法においては、ボスを溶融させて所望の形状の圧潰部を形成した後、冷却して固化させる。溶融されたボスである溶融樹脂は流動性が高いので、下端面が平面状になっている加熱部材でボスを圧潰したときは、溶融樹脂が被固定部材上に広がり、圧潰部を所望の形状に形成するのが難しい。
【0006】
特許文献1に開示された超音波かしめ方法では、かしめホーンの圧接端面に形成された収容部と樹脂ネットとを接触させて形成される密閉空間内に溶融樹脂を閉じこめて、所望形状の圧潰部を形成する。このとき、圧接端面と樹脂ネットとの間には、圧接端面の平坦度や樹脂ネットの反り等によりわずかながら隙間が存在する。溶融樹脂はその隙間に浸出し、固化後はバリとして圧潰部の外周と連続した状態で残存する。バリの厚みは薄いため、当該超音波かしめ方法を用いた製品が振動環境下で使用されたときには、使用中にバリが剥離、脱落するおそれがあり、脱落したバリが原因で製品に不具合を引き起こすおそれがある。
【0007】
上記問題に鑑み、本発明は、熱かしめ加工により形成された圧潰部のバリの発生を抑制し、またバリが発生したときであってもバリが剥離、脱落することを抑制するかしめ構造の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
【0009】
【0010】
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
本発明に係るかしめ構造の製造方法の特徴は、被固定部材に形成された固定孔に対し成形品に形成されたボスを挿通する工程と、前記固定孔から突出した前記ボスの先端に加熱部材の下端部に形成した窪みの底面である当接面を押しつけて前記ボスを加熱溶融させる工程と、前記窪みの周囲に形成された押圧面で前記被固定部材を押圧して圧潰部および前記圧潰部の外周縁から連続した外側に厚み方向における断面形状が四角形状である凹部を形成する工程と、前記圧潰部の外周に発生したバリを前記押圧面で前記凹部に圧着固定する工程と、を含む点にある。
【0019】
本発明に係るかしめ構造の製造方法においては、加熱部材の窪みの周囲に形成された押圧面で被固定部材を押圧して圧潰部および圧潰部の外周縁から連続した外側に形成された凹部を形成する工程を含んでいる。凹部を形成することで、熱かしめ加工の最終段階では、圧潰部が形成される被固定部材の表面より加熱部材の押圧面の方が被固定部材の厚み方向で下方に位置する。すなわち、被固定部材の表面と押圧面との間に段差ができ、段差がない場合と比較して圧潰部の外側への溶融樹脂の浸出は困難となる。この状態で溶融樹脂を冷却して固化させることにより、バリの発生を抑制することができる。
【0020】
本発明に係るかしめ構造の製造方法は、被固定部材に形成された固定孔に対し成形品に形成されたボスを挿通する工程と、前記固定孔から突出した前記ボスの先端に加熱部材の下端部に形成した窪みの底面である当接面を押しつけて前記ボスを加熱溶融させる工程と、前記窪みの周囲に形成された押圧面で前記被固定部材を押圧して圧潰部および前記圧潰部の外周縁から連続した外側に厚み方向における断面形状が三角形状である凹部を形成する工程と、前記圧潰部の外周に発生したバリを前記押圧面の先端部で前記圧潰部から切り離す工程と、を含むものでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】超音波かしめ装置の概略構成を表す正面図である。
図2図1の一点鎖線で囲まれた箇所を拡大した断面図である。
図3】第1実施形態のかしめ構造を超音波かしめ加工により製造する工程を表す説明図である。
図4】第1実施形態のかしめ構造の製造中に溶融樹脂が加熱部材と被固定部材との間に浸出した場合の説明図である。
図5】第2実施形態のかしめ構造を超音波かしめ加工により製造する工程を表す説明図である。
図6】第3実施形態のかしめ構造を超音波かしめ加工により製造する工程を表す説明図である。
図7】第3実施形態のかしめ構造の製造中に溶融樹脂が加熱部材と被固定部材との間に浸出した場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔第1実施形態〕
1.超音波かしめ装置10の構成
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。図1に、本発明の第1実施形態に係るかしめ構造を製造する超音波かしめ装置10の概略構成を表す正面図を示す。図2図1の一点鎖線で囲まれた箇所を拡大した断面図を示す。超音波かしめ装置10は、発振器11と、振動子12と、ブースター13と、推力シリンダ14と、コントローラ15と、ホーン20と、これらを支持する支持部材とから構成される。ホーン20は加熱部材の一例である。
【0023】
発振器11は、入力された50Hzまたは60Hzの商用電源周波数の電気信号を15〜30kHzの電気信号に変換するデバイスである。また、併せて例えば200Vの入力電圧を1000Vまで昇圧する。こうして変換された電気信号を振動子12に伝送する。発振器11は周波数追尾回路を備えていると好ましい。周波数追尾回路を備えることにより、変換後の周波数を安定させることができる。
【0024】
振動子12は、発振器から伝送された電気信号を機械的振動に変換するデバイスである。振動子12には圧電素子が内蔵されており、この圧電素子により電気信号を機械的振動(超音波振動)に変換する。振動子12の下端部には、変換された超音波振動を増幅するブースター13が備えられている。ブースター13で増幅された超音波振動は、ホーン20に伝達される。
【0025】
ホーン20は、振動子12から伝達された超音波振動を成形品30のボス31に伝達して、超音波振動による摩擦熱でボス31を溶融させつつ押圧して圧潰部の形状に変形させる部品である。ホーン20はアルミ合金やチタン合金等の金属により作られている。ホーン20の形状については後述する。
【0026】
推力シリンダ14は、ホーン20を往復運動させると共に、ホーン20を通してボスに押圧力を印加する部品である。推力シリンダ14には、例えば、電動シリンダやエアシリンダ、油圧シリンダなどを適宜採用することができる。
【0027】
コントローラ15は、周知のCPU、ROM、RAM等から構成される。コントローラ15においては、熱かしめ対象であるボス31の高さや位置に関するデータ、ホーン20の形状や超音波周波数や振幅のデータ、熱かしめを行うための推力シリンダ14の推力、押圧力、時間等の入力データがRAMに記憶される。そして、ROMに記憶された種々のプログラムを適宜ロードしてCPUで処理して実行することにより、発振器11や推力シリンダ14の動作を制御する。
2.超音波かしめ加工
図1に示すように、ホーン20はブースター13への取り付け側(上方)から下方に向けて縮径する複数の円柱が同芯になるよう重ねられて形成されている。図2に示すように、ホーン20の先端側の端面の中央には、端面から上方(奥)に向かう窪み21が形成されている。ホーン20の軸芯方向に垂直な方向における窪み21の断面形状は円形である。窪み21の底面は凹凸を有する当接面21aであり、ホーン20の端面のうち窪み21の外周縁の外側は押圧面22である。窪み21の軸芯方向に垂直な方向の断面形状は円形に限られることはなく、多角形でもよい。
【0028】
超音波かしめ装置10において、ホーン20の下端面に対向する位置にある台座16にワークWが載置されている。ワークWは、成形品30と、被固定部材40からなる。成形品30は熱可塑性樹脂によって構成されている。被固定部材40は薄板状であり、鉄やアルミ合金などの金属によって構成されている。成形品30には円柱形のボス31が突設されており、ボス31の外径は窪み21の内径よりも小さい。被固定部材40には、断面が円形状の固定孔42が開孔されている。固定孔42の内径はボス31の外径より大きく、窪み21の内径より小さい。ボス31は固定孔42に挿通され、ボス31の上部31aは被固定部材40の表面40aから突出した状態で台座16に載置されている。上部31aの体積は、後述する図3(e)の状態で、窪み21と表面40aとで形成される空間の容積にほぼ等しい。
【0029】
図3に、本実施形態のかしめ構造を、超音波かしめ装置10により製造する工程を表す説明図を示す。超音波かしめ加工は、熱かしめ加工の一例である。まず、超音波かしめ装置10の発振器11、振動子12、ブースター13を作動させて、ホーン20に15〜20kHzの超音波振動を発生させる。その上で推力シリンダ14を作動させてホーン20の当接面21aを上部31aの先端に当接させる(図3(a))。上部31aに対してホーン20から超音波振動を印加しつつ押圧力を印加して、上部31aに摩擦熱を発生させて上部31aの先端部を溶融させる(図3(b))。さらに、上部31aに対してホーン20から超音波振動を印加しつつ押圧力を印加すると、上部31aの先端部のみならず、内部の樹脂も溶融し始める(図3(c))。
【0030】
図3(c)の状態からさらに、上部31aに対してホーン20から超音波振動を印加しつつ押圧力を印加すると、押圧面22は被固定部材40の表面40aと接触する(図3(d))。この状態では上部31aはほぼ溶融した状態である。この後さらに、上部31aの溶融樹脂および表面40aに対してホーン20から超音波振動を印加しつつ押圧力を印加して押圧面22で表面40aに凹部41を形成する(図3(e))。被固定部材40の厚み方向における凹部41の断面形状は四角形状になる。この状態で超音波振動を止めて溶融したボス31が固化した後に、推力シリンダ14によってホーン20を後退させる(図3(f))。これにより窪み21と表面40aとで構成された空間の形状(円柱形状)にボス31が変形して圧潰部32が形成される。圧潰部32の表面には、当接面21aの凹凸が転写される。
【0031】
このように、超音波かしめ加工のプロセスにおいて、ホーン20の押圧面22で被固定部材40の表面40aを加圧して凹部41を形成すると、被固定部材40の表面40aよりホーン20の押圧面22の方が被固定部材40の厚み方向で下方に位置する。これにより、表面40aと押圧面22との間に段差ができ、段差がない場合と比較して溶融樹脂が圧潰部32の外側へ浸出することは困難となる。この状態で溶融樹脂を冷却して固化させた後に加熱部材を後退させると、バリがほとんど発生しないかしめ構造を実現することができる。
【0032】
また、本実施形態は、ホーン20の押圧面22と凹部41の底面とが面接触する構成なので、底面に作用する押圧面22の押圧力が面圧となる。その結果、超音波かしめ加工中の被固定部材40が変形するおそれが少なくなる。
【0033】
図4に、超音波かしめ加工による本実施形態のかしめ構造の製造中に溶融樹脂がホーン20と被固定部材40との間に浸出した場合の説明図を示す。図4(a)の状態は図3(d)と同じ段階であり、図3(d)と異なるのは、押圧面22と表面40aとの間に、圧潰部32の外側に浸出した溶融樹脂が存在していることである。この状態から、さらに上部31aおよび表面40aに対してホーン20から超音波振動を印加しつつ押圧力を印加して押圧面22で表面40aに凹部41を形成する(図4(b))。このとき、溶融樹脂はホーン20で凹部41に押しつけられており、薄くなって凹部41内に広がっている。この状態で溶融樹脂を固化させた後に、推力シリンダ14によってホーン20を後退させる。この結果、凹部41内の溶融樹脂が固化してできたバリ33は凹部41の壁面に圧着固定され、その後の使用においてもバリ33の剥離、脱落を抑制することができる(図4(c))。なお図4においては、バリを明確に示すためにバリ33の厚さを誇張して厚めに描いているが、実際のバリの厚さはバリ33に比べてかなり薄い。
【0034】
〔第2実施形態〕
図5に、本発明の第2実施形態のかしめ構造を超音波かしめ装置10により製造する工程を表す説明図を示す。以下の各実施形態の説明においては、第1実施形態と同じ構成の箇所には同じ符号を付し、同様の構成に関する説明は省略する。
【0035】
第1実施形態と異なる本実施形態の特徴的構成は、図5(a)に示すように、超音波かしめ加工を行う前に、被固定部材40の表面40aに予め凹部41が形成されていることである。凹部41の形成は、切削、プレスその他適切な方法で行われる。ホーン20の形状は第1実施形態と同じである。第1実施形態と同様に、ホーン20の当接面21aをボス31の上部31aの先端に当接させる状態から(図5(a))、上部31aに超音波振動を印加しつつ押圧力を印加して、上部31aの樹脂を溶融させる(図5(b))。これにより、押圧面22が被固定部材40の表面40aに到達する(図5(b))。この後さらに、上部31aに対してホーン20から超音波振動を印加しつつ押圧力を印加するとホーン20の押圧面22を含む下端部が凹部41に挿入される。(図5(c))。そして超音波振動を止めて溶融したボス31が固化した後に、推力シリンダ14によってホーン20を後退させる(図5(d))。これにより窪み21と表面40aとで構成された空間の形状(円柱状)にボス31が変形して圧潰部32が形成される。圧潰部32の表面には、当接面21aの凹凸が転写される。
【0036】
図5(c)の状態では、被固定部材40の表面40aよりホーン20の押圧面22の方が被固定部材40の厚み方向で下方に位置する。従って、押圧面22と表面40aとの間に段差があり、段差がない場合と比較して溶融樹脂が圧潰部32の外側へ浸出することは困難となる。
【0037】
このように、超音波かしめ加工前に被固定部材40の表面40aに予め凹部41が形成されていると、被固定部材40が変形することなくホーン20の押圧面22を含む下端部を凹部41に挿入させることができる。この結果、被固定部材40を変形させるおそれなくバリの発生を抑制することができる。
【0038】
〔第3実施形態〕
図6に、本発明の第3実施形態のかしめ構造を超音波かしめ装置10により製造する工程を表す説明図を示す。本実施形態の特徴的構成は、図6(a)に示すように、押圧面23が、軸芯を通る断面で見たときに窪み21の外周縁から外側に向かうにつれて上方に向かうテーパ状に加工され、軸芯に垂直な方向に対して傾斜していることである。このとき、押圧面23の先端部23aは鋭角状になっている。第1実施形態と同様に、ホーン20の当接面21aをボス31の上部31aの先端に当接させる状態から(図6(a))、上部31aに超音波振動を印加しつつ押圧力を印加して、上部31aの樹脂を溶融させる。これにより、先端部23aと被固定部材40の表面40aとが接する(図6(b))。この後さらに、上部31aおよび表面40aに対してホーン20から超音波振動を印加しつつ押圧力を印加して押圧面23で表面40aに凹部41を形成する(図6(c))。この結果、凹部41の被固定部材40の厚み方向における断面形状は三角形状になる。そして超音波振動を止めて溶融したボス31が固化した後に推力シリンダ14によってホーン20を後退させる(図6(d))。これにより窪み21と表面40aとで構成された空間の形状(円柱状)にボス31が変形して圧潰部32が形成される。圧潰部32の表面には、当接面21aの凹凸が転写される。
【0039】
このような構成とすれば、ホーン20の先端部23aと凹部41の底とは線状に接触する。この結果、凹部41の底に作用するホーン20の押圧力は、第1実施形態の押圧面22のように先端が平面状である場合の押圧力と比較して大きくなり、先端部23aと凹部41との隙間は小さくなる。この結果、超音波かしめ加工時における圧潰部32の外側への溶融樹脂の浸出はさらに困難となり、バリの発生を抑制することができる。
【0040】
図7に、第3実施形態のかしめ構造の製造中に溶融樹脂がホーン20と被固定部材40との間に浸出した場合の説明図を示す。図7(a)の状態は、第1実施形態の超音波かしめ加工における図4(a)の段階と同じであり、押圧面23と表面40aとの間に、圧潰部32の外側に浸出した溶融樹脂が存在している。この状態から、さらに上部31aおよび表面40aに対してホーン20から超音波振動を印加しつつ押圧力を印加して押圧面23で表面40aに凹部41を形成する(図7(b))。この状態では、溶融樹脂の先端は先端部23aにより切断されている。このとき押圧面23は軸芯に垂直な方向に対して傾斜しているので、溶融樹脂を凹部41に十分押しつけることができない。そして固化された後、推力シリンダ14によってホーン20を後退させる。この結果、バリ33は圧潰部32から切り離された状態となる(図7(c))。バリ33は凹部41に圧着固定されていないので、この後の工程でエアブローなどによりバリ33を吹き飛ばせば圧潰部32にバリ33が残らないので、その後の使用においてもバリ33の剥離、脱落を抑制することができる。
【0041】
本実施形態においては、先端部23aを窪み21の外周縁に形成したが、ホーン20の外周縁に形成してもよい。この場合、テーパ加工がホーン20の外周縁から内側に向かって形成されるので、窪み21の容積が大きくなる。
【0042】
上述した各実施形態は可能な限り組み合わせて実施してもよい。
【0043】
本発明は、熱かしめ加工により成形品に被固定部材を接合したかしめ構造およびその製造方法に用いることが可能である。
【符号の説明】
【0044】
10 超音波かしめ装置
20 ホーン(加熱部材)
21 窪み
21a 当接面
22,23 押圧面
30 成形品
31 ボス
32 圧潰部
33 バリ
40 被固定部材
41 凹部
42 固定孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7