特許第5928110号(P5928110)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許5928110-サイクロン式オイル分離装置 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5928110
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】サイクロン式オイル分離装置
(51)【国際特許分類】
   F01M 13/04 20060101AFI20160519BHJP
   B04C 5/103 20060101ALI20160519BHJP
   B01D 45/12 20060101ALI20160519BHJP
   B01D 45/08 20060101ALI20160519BHJP
【FI】
   F01M13/04 D
   B04C5/103
   B01D45/12
   B01D45/08 Z
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2012-88603(P2012-88603)
(22)【出願日】2012年4月9日
(65)【公開番号】特開2013-217285(P2013-217285A)
(43)【公開日】2013年10月24日
【審査請求日】2014年6月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100114959
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 徹也
(72)【発明者】
【氏名】吉良 直樹
(72)【発明者】
【氏名】西垣 篤史
【審査官】 津田 健嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−328923(JP,A)
【文献】 実開昭56−25009(JP,U)
【文献】 特表2009−539014(JP,A)
【文献】 実開昭51−7540(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01M 13/04
B01D 45/08
B01D 45/12
B04C 5/103
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部の側壁に設けられオイル混合ガスを前記本体部の内部に導入するガス導入部と、
前記本体部の上壁に設けられ前記オイル混合ガスからオイルが分離されたガスを前記本体部の外部に排出するガス排出部と、
前記本体部の内側面に配置され、前記ガス導入部と前記本体部の内部とを連通させる開口部を有するオイル捕集材と、を備え、
前記オイル捕集材に捕集されたオイルが流下する空間を前記オイル捕集材と前記内側面との間に設け
前記本体部は、円筒形状であって前記ガス導入部が設けられる円筒部と、前記円筒部の下端に連続し下方に向けて縮径される円錐部と、を有し、
前記オイル捕集材は、前記円筒部の内壁に対向する領域に配置されるサイクロン式オイル分離装置。
【請求項2】
記オイル捕集材は、前記円筒部から連続して前記円錐部の内壁に対向する領域に配置される請求項1記載のサイクロン式オイル分離装置。
【請求項3】
前記オイル捕集材を多孔質材で構成した請求項1または2に記載のサイクロン式オイル分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のエンジンのブローバイガス等の気体からその気体の内部に含まれているオイルを分離し除去するためのサイクロン式オイル分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、車両のエンジン等において発生するブローバイガスは、エンジンの吸気系に戻されて再利用されている。ブローバイガス中には、通常エンジンオイル等の潤滑油が微粒化されたオイルミストが含まれている。このため、ブローバイガスは、まずオイル分離装置に通されてオイルミストが分離回収された後、エンジンの吸気系に戻される(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1のサイクロン式オイル分離装置では、本体部の内面に繊維編地を配置し、この繊維編地によってオイルを吸着して分離している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−539014公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に示されているオイル分離装置では、分離するオイルミストが多量の場合には、繊維編地(オイル吸着層)によるオイル吸着許容量を越えて、一旦捕集されたオイルがブローバイガス中に再飛散する虞がある。このため、そのような場合に備えて、例えばオイル吸着層の厚みを大きくすることが考えられる。しかしながら、オイル吸着層の厚みを大きくすると、その分、オイル吸着層のコストが増加することとなる。
【0005】
本発明は、オイル吸着層のコストを低減しつつ、ブローバイガスから一旦捕集したオイルの再飛散を抑制できるサイクロン式オイル分離装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のサイクロン式オイル分離装置の第1特徴構成は、本体部と、前記本体部の側壁に設けられオイル混合ガスを前記本体部の内部に導入するガス導入部と、前記本体部の上壁に設けられ前記オイル混合ガスからオイルが分離されたガスを前記本体部の外部に排出するガス排出部と、前記本体部の内側面に配置され、前記ガス導入部と前記本体部の内部とを連通させる開口部を有するオイル捕集材と、を備え、前記オイル捕集材に捕集されたオイルが流下する空間を前記オイル捕集材と前記内側面との間に設け、前記本体部は、円筒形状であって前記ガス導入部が設けられる円筒部と、前記円筒部の下端に連続し下方に向けて縮径される円錐部と、を有し、前記オイル捕集材は、前記円筒部の内壁に対向する領域に配置される点にある。
【0007】
本構成の如く、本体部の内側面にオイル捕集材が配置されていると、本体部においてオイル混合ガスから遠心分離されたオイルをオイル捕集材で捕集することができ、オイル混合ガスからオイル成分を確実に分離することができる。
【0008】
また、オイル捕集材と本体部の内側面との間には、捕集されたオイルが流下する空間が設けられているので、オイル捕集材に捕集されたオイルは、オイル捕集材と本体部の内側面との間の空間に排出することが可能となる。これにより、捕集されたオイルをオイル捕集材と内側面との間の空間に流下させて、オイル混合ガスからオイルを効率よく分離することができる。さらに、オイル捕集材に捕集されたオイルがオイル捕集材の裏面側(オイル捕集材と本体部の内側面との間の空間)を流下することで、オイル捕集材に一旦捕集されたオイルがオイル捕集材の表面側(本体部の内方側)からオイル混合ガス中に再び飛散する不具合を抑制することができる。
【0009】
【0010】
また、本体部の内側面のうち円筒部の内壁に対向する領域は、ガス導入部からオイル混合ガスが導入される領域であるため、オイル混合ガスの流速が最も速い領域である。このため、本構成の如く、本体部の内側面のうち少なくとも円筒部の内壁に対向する領域にオイル捕集材を配置することで、流速の速いオイル混合ガスがオイル捕集材に衝突することとなる。その結果、オイル混合ガス中のオイルをオイル捕集材に効率よく捕集することができる
【0011】
本発明のサイクロン式オイル分離装置の第特徴構成は、前記オイル捕集材は、前記円筒部から連続して前記円錐部の内壁に対向する領域に配置される点にある。
【0012】
仮に、本体部の内側面のうち領域にのみオイル捕集材を配置した場合には、当該領域の下方領域はオイル捕集材が存在しない領域であるため、本体部の内側面とオイル捕集材との間の空間を流下したオイルがオイル混合ガスと直接接触する状態となる。このため、この下方領域において一旦捕集されたオイルが再びオイル混合ガス中に飛散する虞がある。
しかし、本構成の如く、本体部の円筒部から連続して円錐部の内壁に対向する領域にオイル捕集材を配置すると、捕集されたオイルはオイル排出部近くの下方領域まで本体部の内側面とオイル捕集材と間の空間を流下する。これにより、オイル捕集材の表面側(本体部の内方側)から一旦捕集されたオイルがオイル混合ガス中に再び飛散する不具合を抑制することができる。
【0013】
本発明のサイクロン式オイル分離装置の第特徴構成は、前記オイル捕集材を多孔質材で構成した点にある。
【0014】
オイル捕集材を多孔質材で構成すると、目付、空隙率等を調整することによって微少なオイルミストをオイル捕集材で吸着することができる。これにより、オイル混合ガスからのオイル分離能力を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】第1実施形態のオイル分離装置の側面図である。
図2図1のII−II矢視断面図である。
図3】第2実施形態のオイル分離装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るサイクロン式オイル分離装置1を図面に基づいて説明する。
【0017】
サイクロン式オイル分離装置(以下、単にオイル分離装置ともいう。)1は、例えば車両のエンジンのクランクケース内に発生するオイル混合ガス(ブローバイガス)からオイルを分離し、分離したオイルをクランクケースに戻すために用いられる。なお、オイル分離装置1は、車両のエンジン以外の内燃機関の内部で発生するオイル混合ガスのオイルを分離するために用いてもよい。
【0018】
[第1実施形態]
図1に示すように、オイル分離装置1は、本体部2と、ガス導入部3と、ガス排出部4と、オイル排出部5と、を備える。
【0019】
本体部2は、円筒形状の円筒部21と、円筒部21の下端に連続し下方に向けて縮径される円錐部22と、を備える。円筒部21の上端には天板23が配置されている。円錐部22の下端にはオイル排出部5として開口が形成されている。
【0020】
ガス導入部3は管状であって、円筒部21の上端近くに設けられており、円筒部21の内周面における接線方向に接続されている。このガス導入部3から本体部2の内部にオイル混合ガスが導入される。
【0021】
ガス排出部4は管状であって、天板23の中央部近くに挿入配置されている。ガス排出部4の下端は本体部2の内部であって、ガス導入部3の下端近くに位置する。ガス排出部4の上端は、本体部2の上方に位置する。オイル混合ガスからオイルが分離されたガスがガス排出部4から排出される。
【0022】
本体部2の内側面20のうち円筒部21の内側面21aには、内側面21aの略全周とオイル捕集材6との間に空間7が有する状態でオイル捕集材6が配置されている。オイル捕集材6は、オイルを吸着し内側面20(内側面21a)との間の空間7にオイルを排出可能な材料によって構成される。オイル捕集材6としては、例えば、不織布、織布等の繊維集合体や、金属、樹脂、セラミックによる多孔質体又は網状構造体、スポンジ等を使用することができる。オイル捕集材6は、オイルの吸着性が良好な多孔質材で構成されていることが好ましい。オイル捕集材6と内側面20(内側面21a)との間の空間7は、捕集されたオイルが流下する空間である。なお、オイル捕集材6には、ガス導入部3からのオイル混合ガスを本体部2の内部に導入するための開口9が形成されている。
【0023】
図2に示すように、オイル捕集材6の内側面20(内側面21a)に対向する位置に突起部8を複数設け、突起部8と内側面21aとを接着することで、内側面20(内側面21a)とオイル捕集材6との間に空間7を設けている。内側面21aとオイル捕集材6との間に空間7を設けるために、内側面20(内側面21a)に突起部を備えてもよいし、オイル捕集材6と内側面21aの双方に突起部を備えてもよい。内側面21aに対するオイル捕集材6の保持は両者の接着の他、係合や摩擦によるものでもよい。オイル捕集材6に設ける突起部8はオイル捕集材6と同じ素材で構成してもよいし、オイル捕集材6に接続可能であれば別材料で構成してもよい。
【0024】
図示しないクランクケース内に発生したオイル混合ガスは、ガス導入部3から本体部2の円筒部21内に流入し、本体部2内で旋回運動をする。オイル混合ガスが旋回運動することにより、オイル混合ガスに遠心力に生じ、オイル混合ガス中のオイル(ミスト)が円筒部21の内側面21aに衝突する。この内側面21aにはオイル捕集材6が配置されているため、オイル(ミスト)はオイル捕集材6に吸着される。
【0025】
オイル捕集材6に捕集されたオイルはオイル捕集材6の内部に一旦保持される。オイル捕集材6のオイル保持量が所定量以上となると、オイル捕集材6から溢れたオイルは内側面21aとオイル捕集材6との間の空間7に放出される。空間7に放出されたオイルはオイル排出部5まで流下し、オイル排出部5から本体部2の外側に排出されて図示略のクランクケース内に戻される。
【0026】
このように、本体部2の内側面20(内側面21a)にオイル捕集材6が配置されていると、本体部2においてオイル混合ガスから遠心分離されたオイルをオイル捕集材6で捕集することができ、オイル混合ガスからオイル成分を確実に分離することができる。
【0027】
また、オイル捕集材6と本体部2の内側面20(内側面21a)との間に、空間7を設けることで、捕集されたオイルを空間7に流下させて、オイル混合ガスからオイルを効率よく分離することができるうえ、オイル捕集材6に一旦捕集されたオイルがオイル捕集材6の表面側(本体部2の内方側)からオイル混合ガス中に再び飛散する不具合を抑制することができる。
【0028】
[第2実施形態]
本体部2の内側面20のうちガス導入部3と同じ高さの領域を含む上方領域(円筒部21の内側面21a)にのみオイル捕集材6を配置した場合、下方領域(円錐部22の内側面22a)はオイル捕集材6が存在しない領域となる。このため、空間7を流下したオイルが下方領域(円錐部22の内側面22a)においてオイル混合ガスと直接接触する状態となり、一旦捕集されたオイルが再びオイル混合ガス中に飛散する虞がある。
【0029】
そこで、本実施形態では、図3に示すように、本体部2のガス導入部3と同じ高さの領域を含む上方領域に加えて、上方領域からオイル排出部5に至る下方領域までオイル捕集材6を配置した。すなわち、オイル捕集材6は、円筒部21の内側面21aに配置された上方オイル捕集材6aと円錐部22の内側面22aに配置された下方オイル捕集材6bとで一体に構成されている。
【0030】
このように、ガス導入部3からオイル排出部5までオイル捕集材6を配置すると、一旦捕集されたオイルは本体部2の内部空間に露出することなく流下する。これにより、オイルがオイル捕集材6の表面側(本体部2の内方側)からオイル混合ガス中に再び飛散する不具合を抑制することができる。
【0031】
[その他の実施形態]
(1)上記の実施形態では、本体部2を円筒部21と円錐部22とを組み合わせて構成する例を示したが、本体部2は全体が下方に向けて徐々に縮径する円錐状に構成されていてもよい。
【0032】
(2)上記の第2実施形態では、上方オイル捕集材6aと、下方オイル捕集材6bとを一体にした構成を示したが、上方オイル捕集材6aと下方オイル捕集材6bとは別体で構成してもよい。こうすることで、本体部2の上方領域及び下方領域において、材質や厚み等の異なるオイル捕集材を容易に配置することができ、本体部2の各領域に最適なオイル捕集材を配置することができる。
【産業上の利用可能性】
【0033】
本発明に係るオイル分離装置は、気液分離に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0034】
1 オイル分離装置
2 本体部
3 ガス導入部
4 ガス排出部
5 オイル排出部
6 オイル捕集材
7 空間
8 突起部
20 内側面
21 円筒部
21a 円筒部の内側面(上方領域)
22 円錐部
22a 円錐部の内側面(下方領域)
図1
図2
図3