(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御部は、前記光ディスクが未記録状態である場合に、前記光ディスクに調整用記録を行い、調整用記録を再生した再生信号のレベルに基づいて調整を行うとともに、調整後の前記再生信号のレベルが所定の閾値以下の場合に、再度調整用記録を行ってから再調整を行うように構成されている、請求項1に記載の光ディスク装置。
前記制御部は、調整用記録を再生した再生信号のレベルが所定の閾値以下の場合に、その時の調整結果を仮設定し、前記仮設定に基づいて再生信号のレベルが大きくなるように、再度調整用記録を行うように構成されている、請求項1または2に記載の光ディスク装置。
前記制御部は、最初の調整時および再調整時の両方において、調整用記録を再生した再生信号のレベルが最大になるように調整を行うように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ディスク装置。
前記制御部は、調整後の調整用記録を再生した再生信号のレベルが所定の閾値以下の場合に、前記光ディスクの既に調整用記録が記録されている領域とは異なる未記録領域に再度調整用記録を行ってから再調整を行うように構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光ディスク装置。
前記制御部は、調整後の調整用記録を再生した再生信号のレベルが所定の閾値より大きくなるまで、再度調整用記録を行ってから再調整を行う制御を繰り返すように構成されている、請求項1〜5のいずれか1項に記載の光ディスク装置。
前記制御部は、前記光ピックアップの球面収差の調整、または、レンズのチルト調整を行う場合に、レンズの位置を調整する制御を行うように構成されている、請求項1〜6のいずれか1項に記載の光ディスク装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の記録再生装置(光ディスク装置)では、光学ピックアップ(光ピックアップ)の球面収差が調整されていない初期状態において、試し書きデータ(調整用記録)を書き込む場合には、十分なレベルの再生データ信号(再生信号)を試し書きデータとして書き込めない場合がある。この場合、試し書きデータの再生信号のレベルが小さいことに起因して光学ピックアップの球面収差の調整がしずらくなるので、光学ピックアップの球面収差の調整を精度よく行うことが困難であるという問題点がある。また、この場合、フォーカスバランスの調整、または、レンズのチルト調整も精度よく行うことが困難であると考えられる。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、光ピックアップの球面収差の調整、フォーカスバランスの調整、または、レンズのチルト調整を精度よく行うことが可能な光ディスク装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の一の局面による光ディスク装置は、光ディスクに光を照射し、光ディスクによって反射された光を検出する光ピックアップと、光ピックアップが検出した光に対応する再生信号に基づいて、光ピックアップの球面収差の調整、フォーカスバランスの調整、または、レンズのチルト調整のうち少なくとも1つの調整を行う制御部とを備え、制御部は、調整用記録を再生した再生信号のレベルに基づいて調整を行うとともに、調整後の再生信号のレベルが所定の閾値以下の場合に、再度調整用記録を行ってから再調整を行うように構成されている。
【0008】
この発明の一の局面による光ディスク装置では、上記のように、調整用記録を再生した再生信号のレベルに基づいて調整を行うとともに、調整後の再生信号のレベルが所定の閾値以下の場合に、再度調整用記録を行ってから再調整を行う制御部を設けることによって、調整用記録の再生信号のレベルが大きくなるように調整することができるので、大きく調整された調整用記録の再生信号のレベルに基づいて光ピックアップの球面収差の調整、フォーカスバランスの調整、または、レンズのチルト調整を精度よく行うことができる。
【0009】
上記一の局面による光ディスク装置において、好ましくは、制御部は、光ディスクが未記録状態である場合に、光ディスクに調整用記録を行い、調整用記録を再生した再生信号のレベルに基づいて調整を行うとともに、調整後の再生信号のレベルが所定の閾値以下の場合に、再度調整用記録を行ってから再調整を行うように構成されている。このように構成すれば、未記録状態の新しい光ディスクでも、調整用記録の再生信号のレベルが大きくなるように調整することができるので、大きく調整された調整用記録の再生信号のレベルに基づいて未記録状態の光ディスクに対する光ピックアップの球面収差の調整、フォーカスバランスの調整、または、レンズのチルト調整を精度よく行うことができる。
【0010】
上記一の局面による光ディスク装置において、好ましくは、制御部は、調整用記録を再生した再生信号のレベルが所定の閾値以下の場合に、その時の調整結果を仮設定し、仮設定に基づいて再生信号のレベルが大きくなるように、再度調整用記録を行うように構成されている。このように構成すれば、調整用記録を再度行った際の再生信号のレベルを仮設定時の再生信号のレベルよりも容易に大きく調整することができるので、大きく調整された調整用記録の再生信号のレベルに基づいて光ピックアップの球面収差の調整、フォーカスバランスの調整、または、レンズのチルト調整を容易に精度よく行うことができる。
【0011】
上記一の局面による光ディスク装置において、好ましくは、制御部は、最初の調整時および再調整時の両方において、調整用記録を再生した再生信号のレベルが最大になるように調整を行うように構成されている。このように構成すれば、容易に、再生信号のレベルがより大きくなるように調整することができる。
【0012】
上記一の局面による光ディスク装置において、好ましくは、制御部は、調整後の調整用記録を再生した再生信号のレベルが所定の閾値以下の場合に、光ディスクの既に調整用記録が記録されている領域とは異なる未記録領域に再度調整用記録を行ってから再調整を行うように構成されている。このように構成すれば、ライトワンス(1回書き込み)型の光ディスクに対しても再度の調整用記録を行ってから再調整を行うことができる。
【0013】
上記一の局面による光ディスク装置において、好ましくは、制御部は、調整後の調整用記録を再生した再生信号のレベルが所定の閾値より大きくなるまで、再度調整用記録を行ってから再調整を行う制御を繰り返すように構成されている。このように構成すれば、確実に所定の閾値より大きいレベルの再生信号に基づいて光ピックアップの球面収差の調整、フォーカスバランスの調整、または、レンズのチルト調整をより精度よく行うことができる。
【0014】
上記一の局面による光ディスク装置において、好ましくは、制御部は、光ピックアップの球面収差の調整、または、レンズのチルト調整を行う場合に、レンズの位置を調整する制御を行うように構成されている。このように構成すれば、レンズの位置を調整して容易に光ピックアップの球面収差の調整、または、レンズのチルト調整を精度よく行うことができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、上記のように、光ピックアップの球面収差の調整、フォーカスバランスの調整、または、レンズのチルト調整を精度よく行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1を参照して、本発明の一実施形態による光ディスク装置100の構成について説明する。
【0019】
本実施形態による光ディスク装置100は、光ディスク200としてのBD(ブルーレイディスク)を再生可能に構成されている。具体的には、光ディスク装置100は、光ピックアップ1と、RFアンプ2と、再生処理回路3と、出力回路4とを備えている。さらに、光ディスク装置100には、ドライバ5と、送りモータ6と、スピンドルモータ7と、制御部8とが設けられている。
【0020】
光ピックアップ1は、光ディスク200にレーザビーム(光)を照射して光ディスク200によって反射された光を検出することにより、光ディスク200に記録された各種情報(音声情報や映像情報など)を読み取る機能を有している。また、光ピックアップ1は、BD用として、波長405nm帯の青色レーザビームを光ディスク200に照射可能に構成されている。なお、光ピックアップ1の詳細な構成については後述する。
【0021】
RFアンプ2は、光ピックアップ1により読み取られた各種情報に基づく再生信号を増幅する機能を有している。再生処理回路3は、制御部8を介してRFアンプ2により増幅された再生信号を取得し、その再生信号に対して再生のための各種の処理(たとえば、画像処理など)を施すように構成されている。出力回路4は、光ディスク200に記録された映像および音声をそれぞれ図示しないモニタおよびスピーカにより出力するために、再生処理回路3により処理が施された信号に対してD/A変換処理を行うように構成されている。
【0022】
ドライバ5は、制御部8からの指示に基づいて、送りモータ6およびスピンドルモータ7の動作を制御するように構成されている。また、ドライバ5は、制御部8からの指示に基づいて、光ピックアップ1の内部に設けられた後述のアクチュエータ20およびBEX(Beam Expander)モータ21(
図2参照)の動作も制御するように構成されている。送りモータ6は、光ピックアップ1を光ディスク200の半径方向に移動させる機能を有している。スピンドルモータ7は、光ディスク200を回転させる機能を有している。
【0023】
制御部8は、光ピックアップ1の内部に設けられた後述の光検出器19(
図2参照)から出力される再生信号に基づいて、フォーカスエラー(FE)信号およびトラッキングエラー(TE)信号を生成するように構成されている。また、制御部8は、光ディスク200の再生時に、FE信号に基づいてフォーカスサーボ制御を行うとともに、TE信号に基づいてトラッキングサーボ制御を行うように構成されている。また、制御部8は、光ディスク200の記録再生前に、光検出器19から出力される再生信号に基づいて、光ピックアップ1の球面収差の調整、フォーカスバランスの調整、および、レンズのチルト調整を行うように構成されている。光ディスク200の記録再生前とは、光ディスク200が光ディスク装置100に挿入された直後など、光ディスク200を再生または光ディスク200に記録を行う前のタイミングである。また、制御部8は、記録再生前に限らず、記録再生を開始した後であっても、光ディスク装置100の環境温度の変化に基づく所定のタイミングで、光ピックアップ1の球面収差の調整、フォーカスバランスの調整、および、レンズのチルト調整を行うことも可能である。
【0024】
次に、
図2を参照して、本実施形態による光ディスク装置100の光ピックアップ1の構成について詳細に説明する。
【0025】
図2に示すように、光ピックアップ1には、光源11と、シリンドリカルレンズ12と、ビームスプリッタ13と、ミラー14と、1/4波長板15と、コリメータレンズ16と、対物レンズ17と、検出レンズ18と、光検出器19と、アクチュエータ20と、BEXモータ21とが設けられている。なお、コリメータレンズ16は、本発明の「レンズ」の一例である。
【0026】
光源11は、BD用の405nm帯の青色レーザビームを出射可能なLDからなる。シリンドリカルレンズ12は、光源11から出射されたレーザビームを平行光に変換する機能を有している。ビームスプリッタ13は、入射されるレーザビームを分離する光分離素子として機能するように構成されている。ビームスプリッタ13は、シリンドリカルレンズ12側から到達するレーザビームをミラー14側に透過させるとともに、ミラー14側から到達する光ディスク200による反射光を光検出器19側に反射するように構成されている。
【0027】
ミラー14は、ビームスプリッタ13側から到達するレーザビームを光ディスク200側に反射するとともに、光ディスク200側から到達する光ディスク200による反射光をビームスプリッタ13側に反射する。また、ミラー14は、ビームスプリッタ13側から到達するレーザビームの光軸に対して45度傾斜して設けられており、光ディスク200の記録面に対して略直交する方向にビームスプリッタ13側から到達するレーザビームを反射するように構成されている。
【0028】
1/4波長板15は、直線偏光を円偏光に変換するとともに、円偏光を直線偏光に変換する機能を有している。そして、1/4波長板15は、ミラー14側から到達する直線偏光のレーザビームを円偏光に変換してコリメータレンズ16に導くとともに、光ディスク200により反射された円偏光のレーザビームを直線偏光に変換してミラー14に導く。
【0029】
コリメータレンズ16は、BEXモータ21によって光軸方向(光ディスク200の記録面に対して直交する方向)に移動可能に構成されている。コリメータレンズ16が光軸方向に移動されることにより、コリメータレンズ16を透過したレーザビームの状態が発散光となったり収束光となったりする。これにより、光ピックアップ1の球面収差の調整が行われる。
【0030】
対物レンズ17は、コリメータレンズ16側から到達するレーザビームを光ディスク200の記録面上に集光させる機能を有している。また、対物レンズ17は、アクチュエータ20により、光ディスク200の記録面に直交する方向および光ディスク200の半径方向に移動可能に構成されており、フォーカスサーボ制御およびトラッキングサーボ制御によりその位置が移動される。また、対物レンズ17は、アクチュエータ20により、傾き(チルト)を変更可能に構成されている。これにより、対物レンズ17のチルト調整が行われる。
【0031】
検出レンズ18には、光ディスク200で反射された反射光が、対物レンズ17、コリメータレンズ16、1/4波長板15、ミラー14およびビームスプリッタ13を介して到達する。そして、検出レンズ18は、光検出器19上に設けられる受光素子上に光ディスク200による反射光を集光させる。
【0032】
光検出器19は、フォトダイオードなどの受光素子を用いて受光した光情報を電気信号に変換するとともに、その電気信号を制御部8(
図1参照)に出力する機能を有している。
【0033】
アクチュエータ20は、ドライバ5(
図1参照)で生成された対物レンズ駆動信号に基づいて、対物レンズ17を光ディスク200の半径方向に移動させるように構成されている。これにより、トラッキング動作が実行される。また、アクチュエータ20は、ドライバ5で生成された対物レンズ駆動信号に基づいて、対物レンズ17を光ディスク200の記録面に対して直交する方向に移動させるように構成されている。これにより、フォーカス動作が実行される。また、アクチュエータ20は、ドライバ5で生成された対物レンズ駆動信号に基づいて、対物レンズ17の傾き(チルト)を変更させるように構成されている。
【0034】
光検出器19から制御部8に出力された電気信号は、フォーカスエラー(FE)信号およびトラッキングエラー(TE)信号を生成するために用いられる。制御部8は、光検出器19からの電気信号を用いて演算処理を行ってFE信号およびTE信号を生成する。具体的には、制御部8は、光検出器19からの電気信号を用いて、非点収差法によりFE信号およびTE信号をそれぞれ生成する。
【0035】
ここで、本実施形態では、制御部8(
図1参照)は、光ピックアップ1により検出した光ディスク200により反射されたレーザビーム(光)に対応する再生信号に基づいて、光ピックアップ1の球面収差の調整を行うように構成されている。具体的には、制御部8は、光ディスク200の未記録領域に調整用記録を行い、調整用記録を再生した再生信号のレベルに基づいて球面収差の調整を行うように構成されている。また、制御部8は、調整後の再生信号のレベルが所定の閾値以下(たとえば、目標レベルの35%以下)の場合に、再度調整用記録を行ってから再調整を行うように構成されている。なお、制御部8による光ディスク200の未記録領域に調整用記録を行い、調整用記録を再生した再生信号のレベルに基づいて球面収差の調整を行う制御は、光ディスク200が未記録(新品)状態の場合に行われる。
【0036】
図3に示すように、再生信号のレベルは、コリメータレンズ16の位置により変動する。また、
図4に示すように、記録信号のレベルも、再生信号のレベルと同様に、コリメータレンズ16の位置により変動する。つまり、再生信号のレベルおよび記録信号のレベルは、球面収差を調整することにより変動する。また、再生信号のレベルおよび記録信号のレベルが最大になるコリメータレンズ16の位置は、略同じ位置になることが知られている。つまり、再生信号のレベルに基づいて球面収差の調整を行うことにより、再生時および記録時の両方における球面収差の調整を行うことが可能である。
【0037】
また、記録信号のレベルが極大になる最良点付近(
図4のA1)のコリメータレンズ16の位置において調整用記録を行った場合、再生信号のレベルは、
図5のA2に示すように比較的大きく、かつ、極大点(最良点)がはっきりした山型になる。一方、記録信号のレベルが比較的小さい(
図4のB1)コリメータレンズ16の位置において調整用記録を行った場合、再生信号のレベルは、
図5のB2に示すように比較的小さく、かつ、全体的になだらかな山型になる。その結果、調整用記録を再生した再生信号のレベルが最大になるように調整する場合に、調整誤差を考慮すると、A2の場合では、調整値のばらつき範囲は比較的狭くなり、B2の場合では、調整値のばらつき範囲は比較的広くなる。つまり、再生信号のレベル(記録信号のレベル)が大きい方が、調整を精度よく行うことが可能である。具体的には、再生信号のレベル(記録信号のレベル)が大きい方が、コリメータレンズ16の位置を最良点のより近くに調整することが可能である。
【0038】
また、制御部8は、球面収差の調整を行う場合に、
図7および
図8に示す例のように、調整用記録を行ったコリメータレンズ16の位置から、再生信号のレベルが大きくなるようにコリメータレンズ16を移動させる。そして、制御部8は、調整用記録を再生した再生信号のレベルが最大になる位置を目指してコリメータレンズ16の位置を調整する。ただし、実際には、調整誤差のため、再生信号のレベルが最大になる付近(調整値のばらつき範囲)にコリメータレンズ16の位置が調整される。
【0039】
また、制御部8は、調整用記録を再生した再生信号のレベルが所定の閾値以下(目標レベルの35%以下)の場合に、その時の調整結果を仮設定し、仮設定に基づいて再生信号のレベルが大きくなるように、再度調整用記録を行うように構成されている。具体的には、
図7に示す例のように、制御部8は、調整後の再生信号のレベルが所定の閾値以下(目標レベルの35%以下)の場合に、そのコリメータレンズ16の位置を仮調整位置として仮設定する。その後、
図8に示す例のように、制御部8は、仮調整位置において、再度調整用記録を行ってからコリメータレンズ16の位置の再調整を行う。なお、再生信号の目標レベルは、光ディスク装置100に予め設定されている目標としての再生信号のレベルである。また、再生信号のレベルが目標レベルの20%より大きければ再生信号を読み取ることが可能である。
【0040】
また、制御部8は、調整後の調整用記録を再生した再生信号のレベルが所定の閾値以下(目標レベルの35%以下)の場合に、光ディスク200の既に調整用記録が記録されている領域とは異なる未記録領域に再度調整用記録を行ってから再調整を行うように構成されている。つまり、調整用記録は、最初の記録時および再記録時の両方とも未記録領域に記録される。
【0041】
次に、
図6を参照して、本実施形態の光ディスク装置100の制御部8による球面収差の調整処理について説明する。この処理は、未記録状態(新品)の光ディスク200が光ディスク装置100に挿入された直後など、光ディスク200の記録再生前に実行される。
【0042】
図6のステップS1において、制御部8は、光ディスク200の未記録領域に調整用記録を行う。制御部8は、ステップS2において、調整用記録を行った光ディスク200の領域に光ピックアップ1を移動させる。また、制御部8は、光ピックアップ1をスティルジャンプさせて、調整用記録を行った領域に光ピックアップ1を留まらせる。つまり、制御部8は、光ピックアップ1を、トラックをそのまま追従させずにトラックジャンプさせることによって光ディスク200の調整用記録を行った領域に留まらせるように制御する。
【0043】
制御部8は、ステップS3において、コリメータレンズ16を移動して、再生信号のレベルが最大になるコリメータレンズ16の位置を探索する。具体的には、制御部8は、
図7および
図8に示す例のように、調整用記録を再生した再生信号のレベルが大きくなるようにコリメータレンズ16を移動させて、再生信号のレベルが最大になる位置にコリメータレンズ16の位置を調整する。
【0044】
ここで、本実施形態では、制御部8は、ステップS4において、調整後の再生信号のレベルが目標レベルの35%以下であるか否かを判断する。35%よりも大きければ、ステップS5に進み、35%以下であれば、ステップS6に進む。制御部8は、ステップS5において、コリメータレンズ16の位置を現在の位置に設定して、球面収差の調整を設定する。その後、球面収差の調整処理を終了する。
【0045】
ステップS4において、再生信号のレベルが目標レベルの35%以下であると判断した場合、制御部8は、ステップS6において、コリメータレンズ16の位置を仮設定(
図7参照)する。そして、ステップS1に戻る。なお、制御部8は、ステップS1に戻った場合、コリメータレンズ16を仮設定位置(
図8参照)に移動させた上で、光ディスク200の既に調整用記録が記録されている領域とは異なる未記録領域に再度調整用記録を行う。そして、制御部8は、再生信号のレベルが目標レベルの35%より大きくなるまで、ステップS1〜S4およびS6を繰り返す。つまり、制御部8は、調整後の調整用記録を再生した再生信号のレベルが所定の閾値(目標レベルの35%)より大きくなるまで、再度調整用記録を行ってから再調整を行う制御を繰り返す。
【0046】
本実施形態では、上記のように、調整用記録を再生した再生信号のレベルに基づいて調整を行うとともに、調整後の再生信号のレベルが所定の閾値以下(目標レベルの35%以下)の場合に、再度調整用記録を行ってから再調整を行う制御部8を設けることによって、調整用記録の再生信号のレベルが大きくなるように調整することができるので、大きく調整された調整用記録の再生信号のレベルに基づいて光ピックアップ1の球面収差の調整を精度よく行うことができる。
【0047】
また、本実施形態では、制御部8を、光ディスク200が未記録状態である場合に、光ディスク200に調整用記録を行い、調整用記録を再生した再生信号のレベルに基づいて調整を行うとともに、調整後の再生信号のレベルが所定の閾値以下(目標レベルの35%以下)の場合に、再度調整用記録を行ってから再調整を行うように構成することによって、未記録状態の新しい光ディスク200でも、調整用記録の再生信号のレベルが大きくなるように調整することができるので、大きく調整された調整用記録の再生信号のレベルに基づいて未記録状態の光ディスク200に対する光ピックアップ1の球面収差の調整を精度よく行うことができる。
【0048】
また、本実施形態では、制御部8を、調整用記録を再生した再生信号のレベルが所定の閾値以下(目標レベルの35%以下)の場合に、その時の調整結果を仮設定し、仮設定に基づいて再生信号のレベルが大きくなるように、再度調整用記録を行うように構成することによって、調整用記録を再度行った際の再生信号のレベルを仮設定時の再生信号のレベルよりも容易に大きく調整することができるので、大きく調整された調整用記録の再生信号のレベルに基づいて光ピックアップ1の球面収差の調整を容易に精度よく行うことができる。
【0049】
また、本実施形態では、制御部8を、最初の調整時および再調整時の両方において、調整用記録を再生した再生信号のレベルが最大になるように調整を行うように構成することによって、容易に、再生信号のレベルがより大きくなるように調整することができる。
【0050】
また、本実施形態では、制御部8を、調整後の調整用記録を再生した再生信号のレベルが所定の閾値以下(目標レベルの35%以下)の場合に、光ディスク200の既に調整用記録が記録されている領域とは異なる未記録領域に再度調整用記録を行ってから再調整を行うように構成することによって、ライトワンス(1回書き込み)型の光ディスク200に対しても再度の調整用記録を行ってから再調整を行うことができる。
【0051】
また、本実施形態では、制御部8を、調整後の調整用記録を再生した再生信号のレベルが所定の閾値(目標レベルの35%)より大きくなるまで、再度調整用記録を行ってから再調整を行う制御を繰り返すように構成することによって、確実に所定の閾値(目標レベルの35%)より大きいレベルの再生信号に基づいて光ピックアップの球面収差の調整をより精度よく行うことができる。
【0052】
また、本実施形態では、制御部8を、光ピックアップ1の球面収差の調整を行う場合に、コリメータレンズ16の位置を調整する制御を行うように構成することによって、コリメータレンズ16の位置を調整して容易に光ピックアップ1の球面収差の調整を精度よく行うことができる。
【0053】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0054】
たとえば、上記実施形態では、本発明を、BDに対応した光ディスク装置に適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明を、CD(コンパクトディスク)またはDVD(デジタル多用途ディスク)に対応した光ディスク装置に適用してもよいし、CD、DVDおよびBD以外の光ディスク装置に本発明を適用してもよい。また、CD、DVDおよびBDなどの複数の種類の光ディスクに対応した光ディスク装置に本発明を適用してもよい。
【0055】
また、上記実施形態では、光ピックアップの球面収差の調整を行う場合に、光ディスクに調整用記録を行い、調整用記録を再生した再生信号のレベルに基づいて調整を行うとともに、調整後の再生信号のレベルが所定の閾値以下の場合に、再度調整用記録を行ってから再調整を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、光ピックアップの球面収差の調整、フォーカスバランスの調整、または、レンズのチルト調整のうち少なくとも1つを行う場合に、光ディスクに調整用記録を行い、調整用記録を再生した再生信号のレベルに基づいて調整を行うとともに、調整後の再生信号のレベルが所定の閾値以下の場合に、再度調整用記録を行ってから再調整を行ってもよい。また、フォーカスバランスの調整を行う場合は、再生信号のレベルに基づいて、フォーカスエラー(FE)信号のバランスを調整する構成であってもよい。また、レンズのチルト調整を行う場合は、再生信号のレベルに基づいて、対物レンズ17(
図2参照)を移動させて傾きを調整する構成であってもよい。なお、対物レンズ17は、本発明の「レンズ」の一例である。
【0056】
また、上記実施形態では、光ディスクが未記録状態(新品)である場合に、光ディスクに調整用記録を行い、調整用記録を再生した再生信号のレベルに基づいて調整を行う構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、光ディスクに調整用記録を行うことが可能であれば、光ディスクの一部に記録されている領域があってもよい。
【0057】
また、上記実施形態では、再生信号のレベルの所定の閾値として目標レベルの35%が設定されている構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、所定の閾値として目標レベルの35%以外のレベルが設定されていてもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、説明の便宜上、本発明の制御部の処理を処理フローに沿って順番に処理を行うフロー駆動型のフローチャートを用いて説明したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部の処理動作を、イベント単位で処理を実行するイベント駆動型(イベントドリブン型)の処理により行ってもよい。この場合、完全なイベント駆動型で行ってもよいし、イベント駆動およびフロー駆動を組み合わせて行ってもよい。