(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記攪拌部材は、前記軸線方向における端部に円板部を有し、当該円板部と前記外筒の内側面との隙間が前記粉砕用メディアの外径の半分以下となるように、前記攪拌部材が前記外筒内に支持されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の粉砕装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載の粉砕装置では、外筒内に供給された材料の一部が外筒と回転体との間に入り込んでしまい、材料の一部が粉砕されず、材料全体としての粉砕が不十分な場合があった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、材料全体を確実に粉砕することができる粉砕装置及び粉砕方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る粉砕装置は、軸線が略水平状態となるように保持された外筒と、軸線と平行な方向に沿って伸びる攪拌子を有し且つ外筒内に当該軸線周りに回転可能に支持される攪拌部材とを備えている。この攪拌部材は、外筒の軸線から外筒の内周面に向かう方向に粉砕用メディアが通過可能な開口領域を有している。
【0007】
本発明に係る粉砕装置では、攪拌部材が、外筒の軸線から外筒の内周面に向かう方向に粉砕用メディアが通過可能な開口領域を有している。この場合、所定以上の大きさを有する開口領域の存在により、外筒の内周面に粉砕用メディアが直接接触するようになり、攪拌部材と外筒との間に入り込んだ材料をメディアによって掻き出し、粉砕処理を再び行わせることができる。これにより、この粉砕装置によれば、材料全体を確実に粉砕することができる。
【0008】
また、この粉砕装置では、外筒内にその軸線周りに回転可能となるように攪拌部材が支持されている。この場合、攪拌子が外筒の内周面と接触するメディアを内周面に沿って回転移動させるため、外筒自体を回転させる場合に比べ、固定された外筒とメディアとの間に大きな相対運動を生じさせることができ、これにより、材料の粉砕がより一層促進される。また、供給される材料は、攪拌部材の開口領域を介してほぼ全量がメディア間の隙間に到達するため、材料の粉砕がより確実に行われる。
【0009】
上述した粉砕装置では、攪拌子が外筒の内周面の長さ方向全体に渡るように伸びていることが好ましい。この場合、外筒の内周面の長さ方向全体に渡って伸びる攪拌子により、外筒内の領域のほぼ全体を使用して粉砕処理を行うことができ、より効率的な粉砕処理を行うことが可能となる。
【0010】
上述した粉砕装置では、外筒は、被粉砕物の供給口及び排出口を有しており、当該排出口が外筒の下部に配置されていることが好ましい。この場合、粉砕前の材料の供給及び粉砕後の材料の排出の度にフランジの着脱を行ったりする必要がなくなり、材料の供給、材料の粉砕、材料の排出といった一連のプロセスを連続して行うことができる。また、これらプロセスの自動化も可能となる。
【0011】
上述した粉砕装置では、外筒の内周面と攪拌子の外筒側の部分との隙間が粉砕用メディアの外径よりも大きくなるように、攪拌部材が外筒内に支持されていてもよい。また、外筒の内周面と攪拌子の外筒側の部分との隙間が粉砕用メディアの外径の半分以下となるように、攪拌部材が外筒内に支持されていてもよい。この場合、外筒の内周面と攪拌子の外筒側の部分との隙間にメディアが挟まってしまい攪拌部材の回転を止めてしまうといったことを防止することができる。また、上述した粉砕装置が、大きさの異なる2つの攪拌部材を備えた構成であってもよい。その場合、一方の攪拌部材では、外筒の内周面と攪拌子の外筒側の部分との隙間が粉砕用メディアの外径よりも大きくなるようにし、他方の攪拌部材では、外筒の内周面と攪拌子の外筒側の部分との隙間が粉砕用メディアの外径の半分以下となるようにしてもよい。
【0012】
また、外筒の内周面と攪拌子の外筒側の部分との隙間が粉砕用メディアの外径の半分以下となるように、攪拌部材が外筒内に支持されている場合にあっては、外筒と攪拌子との間に材料が入り込みにくくなり、仮に入り込む場合であっても、上述したようなメディアによる掻き出しが行われるため、粉砕が不十分な材料の生成が防止される。
【0013】
上述した粉砕装置では、攪拌部材は、軸線方向における端部に円板部を有し、当該円板部と外筒の内側面との隙間が粉砕用メディアの外径の半分以下となるように、攪拌部材が外筒内に支持されていることが好ましい。この場合、外筒の側面と円板部との隙間にメディアが挟まってしまい攪拌部材の回転を止めてしまうといったことを防止することができる。また上記同様、粉砕が不十分な材料の生成が防止される。なお、上述した粉砕装置では、攪拌子は、その一端が円板部によって支持されるように円板部に固定されていることが好ましい。
【0014】
また、本発明に係る粉砕方法は、上述した何れか一の粉砕装置を用いて被粉砕物を粉砕する粉砕方法であって、粉砕装置を準備するステップと、粉砕装置の外筒内に粉砕用メディアを収容するステップと、粉砕装置の外筒内に被粉砕物を供給するステップと、攪拌部材を回転させて粉砕用メディアを掻き上げ落下させることにより、被粉砕物を粉砕するステップとを備えている。
【0015】
この粉砕方法では、攪拌部材を回転させて粉砕用メディアを掻き上げ落下させることにより、被粉砕物を粉砕している。この場合、所定以上の大きさを有する開口領域の存在により、外筒の内周面に粉砕用メディアが直接接触するようになり、攪拌部材と外筒との間に入り込んだ材料をメディアによって掻き出し、粉砕処理を再び行わせることができる。これにより、この粉砕方法によれば、材料全体を確実に粉砕することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、材料全体を確実に粉砕することができる粉砕装置及び粉砕方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0019】
[第1実施形態]
まず、
図1〜
図4を参照して、第1実施形態に係る粉砕装置1の構成について説明する。粉砕装置1は、例えばボールミルであり、外筒2、攪拌部材3、回転機構4、材料投入排出装置5、材料供給口6、材料排出口7、洗浄水供給口8、洗浄水排出口9及びガス抜きバルブ10を備えている。粉砕装置1の外筒2内には、ボールミル用のメディアMが所定量収容されている。メディアMは、例えば直径3〜4mm程度の球形状のアルミナやジルコニアなどから構成される。
【0020】
外筒2は、例えば両端が閉じられた円筒形状のステンレスや鋼鉄等の金属から構成されており、軸線Gが略水平状態となるように保持されている。外筒2は、その内部に攪拌部材3を配置できる空間を有している。外筒2の一端には、回転機構4の回転軸4aが液密な状態を維持しつつ挿入されている。外筒2の上端には、材料供給口6、洗浄水供給口8及びガス抜きバルブ10が設けられており、外筒2の下端には、材料排出口7及び洗浄水排出口9が設けられている。外筒2は、固定されており、回転しない構成となっている。
【0021】
攪拌部材3は、
図1及び
図4に示されるように、複数の攪拌子3aと第1及び第2の円板部3b,3cとを有しており、例えば外筒2と同様の材料から構成される。攪拌子3aは、外筒2の内周面2aの長さ方向全体に渡るように伸びる丸棒の部材から構成されており、その断面が円形形状を呈している。攪拌子3aは、その一端が第1の円板部3bに支持されるように円板部3bの外周寄りの部分にネジ等によって固定されている。各攪拌子3aは、第1の円板部3bの中心と、隣接する攪拌子3aが固定される外周上の設置箇所とが為す角度が、それぞれ略同じとなるように均等な角度で配置固定されている。
【0022】
第2の円板部3cは、第1の円板部3bよりもその外径が大きい円板状の部材であり、外筒2の内周面2aとの間の隙間がメディアMの外径Dの半分以下となるように配置されている。攪拌子3aが固定される第1の円板部3bは、この第2の円板部3cと同軸状となるように、円板部3cに接続固定されている。
【0023】
攪拌部材3は、上述したように、棒状の攪拌子3aが円板部3bに固定される構成となっており、各攪拌子3aの間に、メディアMが通過可能な開口領域3dが存在している。つまり、攪拌部材3は、外筒2の軸線Gから外筒2の内周面2aに向かう半径方向にメディアMが通過可能な開口領域3dを有している。また、攪拌部材3の攪拌子3aで画定される外周の直径が外筒2の内周面2aの直径よりも、ある程度小さくなるように構成されており、攪拌部材3の攪拌子3aと外筒2の内周面2aとの間の隙間W1がメディアMの外径Dよりも大きくなるように(
図2参照)、攪拌部材3が外筒2内に支持されている。
【0024】
メディアMは、この開口領域3dにより、外筒2内において、攪拌部材3の攪拌子3aで囲まれた内部領域と攪拌部材3の攪拌子3aの外部領域との間を自由に移動可能となっている。このような構成により、外筒2の内周面2a等にメディアMが接触可能となっている。
【0025】
回転機構4は、攪拌部材3を外筒2の軸線Gを中心として回転させるための機構である。回転機構4は、回転軸4a及びモータ4b等から構成され、回転軸4aに軸受等を介して連結されたモータ4bを駆動させることにより、攪拌部材3を外筒2の軸線Gを中心として回転させる。回転軸4aには、互いに同軸状となるように攪拌部材3の円板部3cが取り付けられており、両円板部3b,3cが外筒2の軸線Gを中心として回転駆動する。回転機構4による回転により、攪拌部材3は、例えば100〜130rpmで回転する。攪拌部材3は、回転機構4に取り付けられる円板部3cと外筒2の内側面2bとの間の隙間W2がメディアMの外径Dの半分以下となるように、回転機構4に接続される。
【0026】
材料投入排出装置5は、粉砕装置1で粉砕したい所定の材料を外筒2内に投入したり、粉砕が終了した材料を回収する装置である。材料投入排出装置5は、外筒2の上端に設置されている材料供給口6及び下端に設置されている材料排出口7にチューブ等の連結手段を介して連結される。粉砕したい所定の材料(被粉砕物)としては、例えばフェライト材料があり、直径10μm〜20μmのフェライト材料が投入されて所定の粉砕処理が行われ、粉砕処理が終了した直径0.1μm〜1μmのフェライト材料を回収する。なお、材料の粉砕が行われている際には、材料供給口6及び材料排出口7は閉じられている。
【0027】
洗浄水供給口8は、外筒2の上端に設置されると共に洗浄用の水の供給源に接続されており、外筒2内を洗浄する際に、筒内に洗浄水を供給するように構成されている。洗浄水排出口9は、外筒2の下端に設置されており、洗浄水供給口8から洗浄水が供給されて筒内の洗浄が行われた際に、その排水を外部に排出する。材料の粉砕が行われている際には、洗浄水供給口8及び洗浄水排出口9は閉じられている。ガス抜きバルブ10は、外筒2内に空気を導入したり、外筒2内の不要なガスを排出したりするための機構である。なお、粉砕装置1を冷却するための冷却機構を別途備えていてもよい。
【0028】
続いて、上述した粉砕装置1を用いて所定の材料の粉砕を行う粉砕方法について説明する。
【0029】
まず、上述した粉砕装置1を準備する。その後、粉砕装置1の外筒2内に粉砕に用いるメディアMを所定量収容する。粉砕に用いるメディアMは、一旦、外筒2内に収容されると、粉砕処理を行う度に取り出す必要はないが、粉砕処理の度に取りだして入れ替えるようにしてもよい。
【0030】
続いて、メディアMが外筒2内に収容された粉砕装置1が準備されると、材料投入排出装置5を用いて、材料供給口6から外筒2内へ所定の材料を投入する。所定の材料やメディアMの投入量としては、例えば
図5の(a)に示されるように、外筒2内の全空間領域を100%とした際に、メディアMの仕込み量(メディアMの総体積)V1が30%、粉砕したい材料の量V2が35%、残りの空間V3が35%となるような比率が例示される。粉砕したい材料は、メディアMよりも小径であり、例えば直径10μm〜20μmのフェライト材料からなり、メディアMの間隙等にも入り込んでいる。このため、
図5の(a)では、メディアMの見かけ上の量は50%程度となっている。なお、粉砕する材料は、水を含むスラリー状で供給される。
【0031】
続いて、粉砕したい材料を含むスラリーが粉砕装置1内に投入されると、粉砕装置1の攪拌部材3を回転機構4の駆動によって回転させる。回転数は、例えば100〜130rpm、回転時間は、例えば24〜38時間である。
図3に示されるように、攪拌部材3の回転により、メディアM及びその上部及び間隙にある材料が攪拌子3aによって掻き上げられ、その後、落下する。
図5の(b)は、この掻き上げ及び落下によるメディアMの動きを模式的に示した図であり、攪拌子3aが外筒2の内周面2aと接触するメディアMを内周面2aに沿って掻き上げた後に落下させて、固定された外筒2とメディアMとの間に大きな相対運動を生じさせる。このような落下衝突のエネルギーによって、所定の材料が例えば直径0.1μm〜1μm程度の粒子に粉砕される。
【0032】
以上のように、本実施形態に係る粉砕装置1では、外筒2内にその軸線G周りに回転可能となるように攪拌部材3が支持されている。そして、
図3及び
図5の(b)に示されるように、攪拌子3aが外筒2の内周面2aと接触するメディアMを内周面2aに沿って回転移動させるため、外筒自体を回転させる場合に比べ、固定された外筒2とメディアMとの間に大きな相対運動を生じさせることができる。これにより、材料の粉砕が促進される。また、供給される材料は、攪拌部材3の開口領域3dを介してほぼ全量がメディアM間の隙間に到達するため、材料の粉砕がより確実に行われる。
【0033】
また、本実施形態に係る粉砕装置1では、攪拌部材3が、外筒2の軸線Gから外筒2の内周面2aに向かう方向に粉砕用メディアMが通過可能な開口領域3dを有しており、この開口領域3dの存在により、外筒2の内周面2aに粉砕用メディアMが直接接触するようになっている。このため、攪拌部材3と外筒2との間に入り込んでしまった材料もメディアMによって確実に掻き出され、これら材料についても再び粉砕処理を行うことができる。この結果、この粉砕装置1によれば、材料全体をより確実に粉砕することができる。
【0034】
また、本実施形態に係る粉砕装置1では、攪拌子3aが外筒2の内周面2aの長さ方向全体に渡るように伸びている。このため、外筒2内の領域のほぼ全体を使用して粉砕処理を行うことができ、より効率的な粉砕処理を行うことが可能となる。
【0035】
また、本実施形態に係る粉砕装置1では、外筒2は、粉砕したい材料の供給口6及び排出口7を有しており、当該排出口7が外筒2の最下部に配置されている。このため、粉砕前の材料の供給及び粉砕後の材料の排出の度に、これら供給口6や排出口7へフランジの着脱を行ったりする必要がなくなり、材料の供給、材料の粉砕、材料の排出といった一連のプロセスを連続して行うことができる。また、これらプロセスの自動化も可能となる。
【0036】
また、本実施形態に係る粉砕装置1では、外筒2の内周面2aと攪拌子3aの外筒2側の部分との隙間W1が粉砕用メディアMの外径Dよりも大きくなるように、攪拌部材3が外筒2内に支持されている。このため、外筒2の内周面2aと攪拌子3aの外筒2側の部分との隙間にメディアMが挟まってしまい攪拌部材3の回転を止めてしまうといったことを防止することができる。
【0037】
また、本実施形態に係る粉砕装置1では、攪拌部材3は、軸線G方向における端部に円板部3b,3cを有し、当該円板部3b,3cと外筒2の内側面2bとの隙間W2が粉砕用メディアMの外径Dの半分以下となるように、攪拌部材3が外筒2内に支持されている。このため、外筒2の側面2bと円板部3b,3cとの隙間にメディアMが挟まってしまい攪拌部材3の回転を止めてしまうといったことを防止することができ、これにより、粉砕が不十分な材料の生成が防止される。
【0038】
また、本実施形態に係る粉砕方法では、攪拌部材3を回転させて粉砕用メディアMを掻き上げ落下させることにより、所定の材料を粉砕している。所定以上の大きさを有する開口領域3dの存在により、外筒2の内周面2aに粉砕用メディアMが直接接触するようになり、攪拌部材3と外筒2との間に入り込んだ材料をメディアMによって掻き出し、粉砕処理を確実に行わせることができるようになっている。このため、この粉砕方法によれば、材料全体を確実に粉砕することができる。
【0039】
[第2実施形態]
次に、
図6及び
図7を参照して、第2実施形態に係る粉砕装置21について説明する。本実施形態に係る粉砕装置21は、第1実施形態と同様に、外筒2、回転機構4、材料投入排出装置5、材料供給口6、材料排出口7、洗浄水供給口8、洗浄水排出口9及びガス抜きバルブ10を備えているが、攪拌手段として、攪拌部材23を備える点で第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0040】
攪拌部材23は、
図7に示されるように、攪拌子23a、円板固定部23b、円板部3c及び円周部23eを有している。攪拌子23aは、外筒2の内周面2aの長さ方向全体に渡るように伸びる棒状部材から構成されており、その断面が矩形形状を呈している。つまり、撹拌子23aが平鋼によって構成されている。攪拌子23aは、その一端が円板固定部23bの外周部分に一体となるように連結され、他端が円周部23eと一体となるように連結されている。攪拌子23aと一体となっている円板固定部23bは、円板部3cと同軸状となるように、その中心となる円板部が円板部3cに接続固定される。
【0041】
攪拌部材23は、第1実施形態と同様に、棒状の攪拌子23aの間に、メディアMが通過可能な開口領域23dを有している。また、攪拌部材23の攪拌子23aで画定される外周の直径が外筒2の内周面2aの直径よりも小さくなるように構成されており、攪拌部材23の攪拌子23aと外筒2の内周面2aとの間の隙間W1がメディアMの外径Dよりも大きくなるように(
図2参照)、攪拌部材23が外筒2内に支持されている。他の構成は第1実施形態と同様である。
【0042】
以上のように、本実施形態に係る粉砕装置21では、外筒2内にその軸線G周りに回転可能となるように攪拌部材23が支持されている。そして、第1実施形態と同様に、攪拌子23aが外筒2の内周面2aと接触するメディアMを内周面2aに沿って回転移動させるため、外筒自体を回転させる場合に比べ、固定された外筒2とメディアMとの間に大きな相対運動を生じさせることができる。これにより、材料の粉砕が促進される。また、供給される材料は、攪拌部材23の開口領域23dを介してほぼ全量がメディアM間の隙間に到達するため、材料の粉砕がより確実に行われる。
【0043】
また、本実施形態に係る粉砕装置21では、攪拌部材23が、外筒2の軸線Gから外筒2の内周面2aに向かう方向に粉砕用メディアMが通過可能な開口領域23dを有しており、この開口領域23dの存在により、外筒2の内周面2aに粉砕用メディアMが直接接触するようになっている。このため、攪拌部材23と外筒2との間に入り込んでしまった材料もメディアMによって確実に掻き出され、これら材料についても再び粉砕処理を行うことができる。この結果、この粉砕装置21によれば、材料全体をより確実に粉砕することができる。
【0044】
また、本実施形態に係る粉砕装置21では、両端が固定された攪拌部材23を用いるため、攪拌処理が長期にわたる場合であっても、攪拌子23aが曲がってしまったりすることを抑制することができる。また、両端固定であるため、攪拌子23aの厚みを薄めにすることができる。なお、本実施形態に係る粉砕装置21による粉砕方法は、第1実施形態での粉砕方法と同様に行うことができる。
【0045】
[第3実施形態]
次に、
図8及び
図9を参照して、第3実施形態に係る粉砕装置31について説明する。本実施形態に係る粉砕装置31は、第1及び第2実施形態と同様に、外筒2、回転機構4、材料投入排出装置5、材料供給口6、材料排出口7、洗浄水供給口8、洗浄水排出口9及びガス抜きバルブ10を備えているが、攪拌手段として、攪拌部材33を備える点で第1及び第2実施形態と異なっている。以下、第1及び第2実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0046】
攪拌部材33は、
図8及び
図9に示されるように、基本的な外形構成が第2実施形態の攪拌部材23と略同様な両端支持形状であり、攪拌子33a、円板固定部33b、円板部3c及び円周部33eを有している。第2実施形態の攪拌部材23との大きな相違点は、円板固定部33b及び円周部33eの外径が外筒2の内周面2aの直径よりもやや小さい程度の大きさを有している点である。より具体的には、攪拌部材33の攪拌子33aと外筒2の内周面2aとの間の隙間W1がメディアMの外径Dの半分以下となるように構成されており、このような構成の攪拌部材33が外筒2内に支持されている。
【0047】
また、攪拌部材33は、第1及び第2実施形態と同様に、棒状の攪拌子33aの間に、メディアMが通過可能な開口領域33dを有している。なお、円板部3cと円板固定部33b及び円周部33eとの外径は略同等である。他の構成は第1及び第2実施形態と同様である。
【0048】
以上のように、本実施形態に係る粉砕装置31では、外筒2内にその軸線G周りに回転可能となるように攪拌部材33が支持されている。そして、第1実施形態等と同様に、攪拌子33aが外筒2の内周面2aと接触するメディアMを内周面2aに沿って回転移動させるため、外筒自体を回転させる場合に比べ、固定された外筒2とメディアMとの間に大きな相対運動を生じさせることができる。これにより、材料の粉砕が促進される。また、供給される材料は、攪拌部材33の開口領域33dを介してほぼ全量がメディアM間の隙間に到達するため、材料の粉砕がより確実に行われる。
【0049】
また、本実施形態に係る粉砕装置31では、攪拌部材33が、外筒2の軸線Gから外筒2の内周面2aに向かう方向に粉砕用メディアMが通過可能な開口領域33dを有しており、この開口領域33dの存在により、外筒2の内周面2aに粉砕用メディアMが直接接触するようになっている。このため、攪拌部材33と外筒2との間に入り込んでしまった材料もメディアMによって確実に掻き出され、これら材料についても再び粉砕処理を行うことができる。この結果、この粉砕装置31によれば、材料全体をより確実に粉砕することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る粉砕装置31では、外筒2の内周面2aと攪拌子33aの外筒2側の部分との隙間W1が粉砕用メディアMの外径Dの半分以下となるように、攪拌部材33が外筒2内に支持されている。これにより、外筒2の内周面2aと攪拌子33aの外筒2側の部分との隙間にメディアMが挟まってしまい攪拌部材33の回転を止めてしまうといったことを防止することができる。しかも、外筒2と攪拌子33aとの間が小さいため、そこに材料が入り込みにくくなり、仮に入り込む場合であっても、上述したようなメディアMによる掻き出しが行われるため、粉砕が不十分な材料の生成が防止される。なお、本実施形態に係る粉砕装置31による粉砕方法は、第1実施形態等での粉砕方法と同様に行うことができる。
【0051】
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、一重の攪拌部材を用いていたが、
図10に示されるように、攪拌部材3(3a)と攪拌部材33(33a)とを同軸状に配置し、二重の攪拌部材となるような構成としてもよい。この場合、内周側に位置する攪拌部材3の各攪拌子3aと、外周側に位置する各攪拌子33aの半径方向の位置が重ならないように、例えば、攪拌子3a,33aと軸中心Gとを結んだできた角度が22.5度になるように、各攪拌部材3,33を配置することが好ましく、このように配置することにより、より一層、材料全体の粉砕を確実なものとすることができる。
【0052】
ここで、撹拌子の形状及び配置の違いによる粉砕効率の違いについて、
図11を参照して簡単に説明する。
図11の(a)は、撹拌子が平鋼である場合(第2実施形態に相当する撹拌子形状)を示し、
図11の(b)は、撹拌子が丸棒である場合(第1実施形態に相当する撹拌子形状、撹拌子の数は
図11の(a)に対応させている)を示し、
図11の(c)は、外周側の撹拌子が平鋼であり且つ内周側の撹拌子が丸棒である場合(二重に配置された撹拌子構成)を示している。
【0053】
図11の(a)に示されるように、撹拌子23aが平鋼である場合、回転抵抗が小さくなる一方、
図11の(b)に示されるように、撹拌子3aが丸棒である場合、回転抵抗が大きくなる。また、
図11の(c)に示されるように、撹拌子3a,23aを二重に配置した構成の場合、メディアM等のかき揚げ量が一重の配置の場合よりも多くなり、材料Fの粉砕をより確実に行うことができる。すなわち、
図11の矢印で示すように、一重の平鋼の撹拌子23a、一重の丸棒の撹拌子3a、二重の撹拌子3a,23aの順に、メディアM等のかき揚げ量が多くなり、材料Fの粉砕効率を高めることができるようになる。
【0054】
また、上述した各実施形態では、外筒2が円筒形状の場合について説明したが、外筒2は、かかる形状に限定されるものではなく、角筒形状の場合でもよいし、
図12及び
図13に示すように、下半分が半円筒形状で、上半分が半角筒形状といった形状の外筒2を少し傾けた撹拌装置41としてもよい。この場合、上部に開閉可能な天板2dを設け、上部を開放することで、撹拌部材3やライナー等の交換を容易に行うことができる。また、外筒2内の上部に洗浄用のシャワー等を取り付けることも容易に行うことができる。
図12及び
図13に示す撹拌装置41では、撹拌部材3は、一対の円板部3b,3bにより各撹拌子3aの両端が固定される構成となっており、この撹拌部材3が回転軸4aによって回転可能にその両端が外筒2に保持される構成となっている。なお、撹拌部材3は、撹拌子3aを内側において固定する円周部3e,3eも備える構成となっている。
【0055】
また、攪拌子の数は、外筒2の軸線Gから外筒2の内周面2aに向かう方向に粉砕用メディアMが通過可能な開口領域を攪拌部材が有することができれば、適宜、設定することができる。また、上述した実施形態では、粉砕したい所定の材料として、フェライト材料を例示したが、他の材料を用いてももちろんよい。