(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記間隙は、前記光出射側の面の前記光入射領域と対向する領域への入射角が小さくなるように透過する光を屈折させる直接出射光生成面となっていることを特徴とする、請求項1に記載の光偏向素子。
前記押ボタンを押している状態における光源発光時の発光エリアの輝度分布と、前記押ボタンを押していない状態における光源発光時の発光エリアの輝度分布とが、互いに異なる、請求項14に記載の照光スイッチ。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々設計変更することができる。
【0034】
(実施形態1)
〔照光スイッチの構造〕
以下、
図1−6を参照して本発明の実施形態1による照光スイッチの構造を説明する。
図1、
図2及び
図3は、本発明の実施形態1による照光スイッチ11の斜視図、分解斜視図、
図1のX−X線断面図である。
図4は照光スイッチ11に用いられるスイッチ基板12の斜視図である。
図5A及び
図5Bは、照光スイッチ11に用いられる光偏向素子、すなわち光制御板31の裏面側から見た斜視図と、その光入射領域の拡大正面図である。
図6A及び
図6Bは、光制御板31の一部破断した斜視図と断面図である。なお、
図1及び
図2は、照光スイッチ11を立てた状態で表しているが、以下において上下方向とは、
図1や
図2などによらず、
図3の断面図における上下方向を指すものとする(例えば、光源25や第1の接点22a、第2の接点22bなどから、導光領域37や押ボタン14に向かう方向を上方向という)。
【0035】
図1を参照すると、照光スイッチ11の外観は、スイッチ基板12と、スイッチ基板12の両側面に露出した外部端子13a、13b、21a、21bと、スイッチ基板12の上面に配置された押ボタン14と、押ボタン14の周囲を囲む額縁状のフレーム15によって構成されている。照光スイッチ11は正面から見た形状が丸形のものであってもよいが、以下においては、
図1に示すような角形のものについて説明する。
【0036】
照光スイッチ11においては、押ボタン14を押し込むと、内部の接点どうしが導通して照光スイッチ11がオンとなる。押ボタン14を離すと、押ボタン14が元の位置に復帰し、内部の接点どうしが絶縁状態となって照光スイッチ11がオフとなる。
【0037】
照光スイッチ11は、
図2に示すような部品によって構成されている。スイッチ基板12は、白色樹脂(たとえば、白色のポリカーボネイト樹脂)によって成形されている。スイッチ基板12は、その上面に箱状の収納部16を有している。スイッチ基板12の対向する両側面には、フレーム15を取り付けるための複数個の爪17が突設されている。また、収納部16の底面には円形の凹部24が形成されている。
【0038】
スイッチ基板12は、4つの端子バネ18a、18b、19a、19bを埋め込んでインサート成形されている。光源用の端子バネ18a、18bは、それぞれ一端に光源実装用の電極パッド20a、20bが設けられ、他端に外部端子21a、21bを有している。端子バネ18a、18bをスイッチ基板12にインサート成形した状態では、
図4に示すように、2つの電極パッド20a、20bが凹部24の中央に並んで露出しており、外部端子21a、21bがスイッチ基板12の側面から突出している。
【0039】
端子バネ19a、19bは、それぞれ両端に外部端子13a、13bを有している。端子バネ19aは、中央部に矩形状をした第1の接点22aを備えている。端子バネ19bは、中央部に矩形状をした第2の接点22bを備えている。端子バネ19a、19bをスイッチ基板12にインサート成形した状態では、
図4に示すように、第1の接点22aは電極パッド20a、20bの近傍において露出している。第2の接点22bは、第1の接点22aの反対側において凹部24内の縁に露出している。また、各端子バネ19a、19bの外部端子13a、13bは、スイッチ基板12の側面から突出している。
【0040】
光源25はLEDであって、
図3に示すように、下面の電極を電極パッド20a、20bに接合することにより、スイッチ基板12の中央に実装されている。光源25は、白色LEDを用いられることが多いが、赤色LEDや青色LEDなどの有色LEDであってもよい。
【0041】
反転バネ26は、
図2に示すように、皿バネの外周部を複数箇所で切り欠いた形状となっている。反転バネ26は、凹部24の内側に嵌め込まれている(
図3参照)。反転バネ26の外周縁は第2の接点22bの上に重なっていて第2の接点22bと接触している。反転バネ26の内周部は、第1の接点22aの上方に位置していて第1の接点22aから離間している。
【0042】
光源25は光制御板31の光入射領域32に対応する位置に配置され、光制御板31と光源25によって光学組立体が構成されている。また、反転バネ26の中央部にあいた孔27からは、光源25の上面が飛び出ている。
【0043】
光制御板31は、反転バネ26の上に載置される(
図3を参照)。光制御板31は、ポリカーボネイト樹脂(PC)やポリメチルメタクリレート樹脂(PMMA)のように大きな屈折率を有する透明樹脂によって成形されている。また、樹脂以外でも、透明なガラスなどによって光制御板31を作製してもよい。光制御板31の上面の外周には厚肉のリブ39が設けられており、リブ39の各辺中央部には支持部40が突設され、各支持部40の内側角部には被嵌合部40aが凹設されている。光制御板31のその他の詳細な形状は、後述する。
【0044】
光制御板31の上には拡散シート41を配置している。拡散シート41は、ヘイズ値の高いものであって、たとえばヘイズ値が90%以上のものが好ましい。拡散シート41の4辺中央部には、嵌合部42が突出している。拡散シート41は、嵌合部42を光制御板31の被嵌合部40aにはめ込むようにして、光制御板31の上で支持される。
【0045】
押ボタン14は、半透明の樹脂によって成形されており、光を散乱させる機能を備えている。たとえば、POM(ポリオキシメチレン)、乳白色のPC(ポリカーボネイト樹脂)、乳白色のPMMA(ポリメチルメタクリレート)によって成形されている。また、押ボタン14は赤や緑などに着色されていてもよく、文字やマークを印刷又は刻印されていてもよい。
【0046】
フレーム15は不透明樹脂によって額縁状に成形されている。フレーム15の窓46には、押ボタン14が摺動自在に嵌め込まれるとともに、押ボタン14の4箇所のコーナー部に設けたフランジ45が窓46の縁の下面に当接することで押ボタン14が窓46から上方へ抜けるのを防いでいる。なお、光制御板31の支持部40にも、窓46の縁の下面に当接させるためのステップ部40bが設けられている。フレーム15の両側面には下方へ向けて係合フック47が飛び出ており、係合フック47をスイッチ基板12の爪17に引っ掛けることによりフレーム15をスイッチ基板12に着脱可能に取り付けることができる。
【0047】
照光スイッチ11は、上記のような部品によって
図3に示すように組み立てられる。すなわち、スイッチ基板12は、端子バネ18a、18b、19a及び19bをインサート成形されている。光源25は、スイッチ基板12の上面において電極パッド20a、20bの上に実装され、電極パッド20a、20b間に電気的に接続されている。スイッチ基板12の上面に反転バネ26を置くときには、反転バネ26を凹部24の内側に嵌め込んで位置決めし、光源25の上面(光出射面)を反転バネ26の孔27から上方へ突出させるとともに、反転バネ26の外周部下端を第2の接点22bに接触させる。上面に拡散シート41を取りつけられた光制御板31は、光源25及び反転バネ26の上に配置される。押ボタン14を下面側からフレーム15の窓46に通し、その状態で押ボタン14を光制御板31及び拡散シート41の上に重ねる。さらに、フレーム15をスイッチ基板12の上に重ね、フレーム15の係合フック47をスイッチ基板12の爪17に係合させることによって照光スイッチ11を組み立てる。こうして組み立てた状態では、光制御板31の中心軸Cは、光源25の光軸(光源25から出射する主光線と一致する軸線)とほぼ一致している。
【0048】
〔接点の開閉動作〕
この照光スイッチ11は、つぎのようにして第1の接点22aと第2の接点22bの間を開閉される。
図3に示すように、押ボタン14が押されていない場合には、反転バネ26が第1の接点22aから離間していて第1の接点22aに接触していないので、第1の接点22aと第2の接点22bの間は開かれている。
【0049】
押ボタン14を指で下方へ押すと、押ボタン14とともに光制御板31が押し下げられる。そのため、操作部33によって反転バネ26が押し潰されて第1の接点22aに接触し、反転バネ26を介して第1の接点22aと第2の接点22bの間が閉じられる。反転バネ26は押し潰される際に座屈変形するので、押ボタン14を押す際のクリック感を得ることができる。
【0050】
また、押ボタン14を離すと、反転バネ26の弾性復元力によって押ボタン14と光制御板31が元の位置に戻り、反転バネ26が第1の接点22aから離れて第1の接点22aと第2の接点22bの間が開かれる。押ボタン14を離す際にも、反転バネ26によってクリック感を得ることができる。
【0051】
〔光制御板の構造〕
つぎに、光制御板31の形状を詳細に説明する。
図5Aは、光制御板31の裏面側から見た斜視図であって、
図5Bは、光制御板31の光入射領域32を示す拡大図である。
図6Aは、光制御板31の一部破断した斜視図である。
図6Bは、光制御板31の断面図である。
【0052】
光制御板31の下面51は、中心に向かって下方へ下がる緩やかな傾斜面となっている。光制御板31の下面の全体的な形状は、光制御板31の中心軸C(光源25の光軸と一致する。)を軸とする回転対称な円錐台形状となっている。光制御板31の下面中央部(光源25に対向する部分)には、上方へ窪んだ光入射領域32が設けられている。光制御板31の下面において光入射領域32の周囲には、反転バネ26を押さえるための操作部33が環状に突設している。光入射領域32は、
図6Bに示した形状の凹部を光制御板31の中心軸Cの回りに回転させた形状となっている。光入射領域32の外周部分(輪帯状の部分)は、断面が略円弧状に湾曲した面となっている。以下、この外周部分を湾曲作用面35という。湾曲作用面35よりも内側の領域(以下、内側領域34という。)は、光制御板31の中心軸Cに垂直な平面となっている。
【0053】
光入射領域32のうち内側領域34と湾曲作用面35の内側領域34と隣接する領域は、V溝状をした多数の偏向パターン52が放射状に配列されたパターン領域となっている。パターン領域は、中心軸Cを通る断面において光源25を中心とする角度γが約56°の範囲内に形成されている(
図3参照)。
【0054】
図8A〜8Dは、一つの偏向パターン52の形状を表している。
図8Aは、偏向パターン52の斜視図である。
図8Bは、偏向パターン52の下から見た形状を表す。
図8C及び
図8Dは、偏向パターン52の長手方向に沿った断面と、幅方向に沿った拡大断面を表す。偏向パターン52は、
図8Dに示すように、2つの斜面53a、53b(斜面は平面であってもよく、曲面であってもよい。)からなるV溝によって形成されており、
図8Cのように長さ方向に沿ってV溝の深さが徐々に変化している。偏向パターン52は、下面から見ると
図8Bのようなリーフ状となっている。偏向パターン52は、ほぼ内側領域34に形成された部分では、中心軸C側の端から遠くなるに従ってV溝の幅及び深さが緩やかに増加しており、ほぼ湾曲作用面35に形成された部分では、中心軸C側の端から遠くなるに従ってV溝の幅及び深さが比較的急速に減少している。この斜面53a、53bの傾斜角αは約60°となっている。
【0055】
放射状に配列された偏向パターン52の拡大図を
図7A及び
図7Bに示す。
図7Aは、
図5BのY部を拡大した図である。また、
図7Bは、
図7AのZ部を拡大した図である。偏向パターン52は、それぞれ中心側の端が光制御板31の中心軸C上にあり、中心軸C上の点を中心として放射状に配列されている。各偏向パターン52の中心軸Cに近い領域では、両側辺も中心軸C上の点を中心とする半径方向に一致している。偏向パターン52は隙間なく配列されているのでなく、
図7Bに示すように、偏向パターン52間の隙間には平坦な直接出射光生成面54が形成されている。この直接出射光生成面54も、中心軸C上の点を中心として放射状に配列している。なお、
図7Bでは、直接出射光生成面54を分かりやすくするため、一方の傾きの斜面53aと他方の傾きの斜面53bにハッチングを施している。
【0056】
光制御板31の上面中央部には、光分割作用面28が設けられている。光分割作用面28は中央がわずかに湾曲した凹部36となっていて、凹部36の周囲が逆円錐状に傾斜した傾斜面となり、その外側の領域が上方へ膨らむように湾曲したリング状の領域となっている。機能的に言えば、光分割作用面28は、偏向パターン52を透過して入射した光の大半を導光領域37へ向けて全反射させるとともに、直接出射光生成面54を透過して入射した光の大半を光分割作用面28から外部へ出射させるような形状となっている。光分割作用面28は、
図6Bに示した形状を光制御板31の中心軸Cの回りに回転させた形状となっている。さらに、光制御板31の上面において、光分割作用面28よりも外側の領域は、光制御板31の外周側へ向かうに従って下方へ向かうように直線的に傾斜していて、円錐状に傾斜した傾斜面29となっている。その結果、光入射領域32及び光分割作用面28よりも外周側の領域は、外周側へ向かうほど厚みの薄くなった導光領域37となっている。光制御板31の傾斜面29と導光領域37も、
図6Bに示した形状を光制御板31の中心軸Cの回りに回転させた形状となっている。
【0057】
光制御板31が矩形状である場合、導光領域37を光制御板31の四隅まで延長すると、光制御板31の隅部で導光領域37の肉厚が小さくなって強度が低下する。あるいは、強度低下を防ぐためには、光制御板31の厚みを大きくする必要がある。そのため矩形状の光制御板31の場合には、導光領域37は各辺の中央部あたりまでとし、隅部は一定の厚みに成形している。よって、光制御板31の厚みが薄くても、隅部における強度が低下するのを防ぐことができる。
【0058】
さらに、光制御板31の外周部には肉厚のリブ39を設けることにより、光制御板31の強度を高めている。
【0059】
〔照光スイッチの点灯と消灯〕
この照光スイッチ11では、光源25及び端子バネ18a、18bは、第1及び第2の接点22a、22bや反転バネ26等からなるスイッチ部分と独立した回路となっており、光源25は、外部端子21a、21bから電流を流すことによって発光する。この照光スイッチ11の光源25をスイッチ部分と関係付けるためには、照光スイッチ11の外部端子13a、13b、21a、21bを制御回路に接続する。
【0060】
一般的な使用方法(制御方法)では、押ボタン14を押すと、両接点22a、22b間が閉じたことを制御回路が検知し、制御回路によって光源25が発光し、照光スイッチ11が点灯する。そして、押ボタン14が復帰した後も照光スイッチ11の点灯状態が継続する。点灯状態で押ボタン14を押すと、両接点22a、22b間が閉じたことを制御回路が検知し、制御回路によって光源25が発光停止され、照光スイッチ11が消灯する。そして、押ボタン14が復帰した後も照光スイッチ11の消灯状態が継続する。
【0061】
〔発光時の光の挙動〕
つぎに、光源25が発光しているときの光の挙動を説明する。いま、押ボタン14が押されていないが、光源25が発光していて照光スイッチ11が点灯している場合を考える。
【0062】
まず、光源25から出射してパターン領域に入射し、偏向パターン52の斜面を透過する光L1を考える。この光L1は、
図10A、
図10Bに実線で示すように、偏向パターン52の斜面53a又は53bを透過する際に、円周方向(偏向パターン52の幅方向)へ向けて屈折する。そのため、この光L1が光分割作用面28に入射するときの入射角が大きくなり、
図10B及び
図11Aに示すように、光L1は光分割作用面28で全反射される。光分割作用面28で全反射された光L1は、導光領域37へ達する。導光領域37へ入った光L1は、導光領域37の上面と下面で全反射するたびに光の入射角は小さくなるので、入射角が全反射の臨界角よりも小さくなったときに導光領域37の上面又は下面から外部へ出射する。導光領域37の上面から出射した光は、
図9に示すように、拡散シート41や押ボタン14で散乱され、押ボタン14の外周部を発光させる。
【0063】
導光領域37の下面から漏れた一部の光L3は、反転バネ26やスイッチ基板12の表面で反射され、再び導光領域37内に戻って再利用される。なお、スイッチ基板12は白色樹脂以外の樹脂、たとえば黒色樹脂などで成形されていてもよく、その場合には、導光領域37の下面から漏れた光を散乱反射させるため、収納部16の上面に白色反射シートを敷いたり、収納部16の上面に白色塗料を塗布したりしてもよい。
【0064】
一方、光源25から出て偏向パターン52間の直接出射光生成面54を透過した光L2は、
図10A、
図10Bに破線で示すように、直接出射光生成面54を透過することによって出射角が入射角よりも小さくなる。そのため光L2が光分割作用面28へ入射するときの入射角が小さくなり、光L2が
図10B及び
図11Aのように光分割作用面28を透過し易くなる。したがって、この光L2は、
図9に示すように、光制御板31の中心部から出射し、拡散シート41や押ボタン14で拡散され、押ボタン14の中央部を発光させる。
【0065】
また、
図9に示す光L4のように、パターン領域の外側へ入射した光は、湾曲作用面35を透過して導光領域37へ入射する。導光領域37へ入った光L4は、導光領域37の上面と下面で全反射を繰り返しながら外周方向へ進む。導光領域37の上面から出射した光は、拡散シート41及び押ボタン14で拡散され、押ボタン14の外周部を発光させる。
【0066】
本発明の実施形態1の照光スイッチ11では、光源25から出射された光を偏向パターン52で円周方向へ曲げ、湾曲作用面35で外周方向へ向けて全反射させて導光領域37で導光しやすい光に変換し、導光領域37内で光を外周方向へ運ぶようにしている。その結果、1個の光源25から出た光を広い領域に広げることができる。したがって、少ない個数の光源25により広い発光エリア(たとえば、縦横20mm又はそれ以上の広さのエリア)を発光させることができる。また、照光スイッチ11の高さ(厚さ)が薄くなっても(たとえば、7.4mm又はそれ以下の厚さになっても)、広い発光エリアを発光させることができる。
【0067】
しかし、従来技術のように、パターン領域において偏向パターン52間に直接出射光生成面54が存在しない場合には、中心部へ出射された光のほとんどが外周部分へ送られ、光制御板31の中心部の輝度が低下して暗くなる。これに対し、実施形態1の照光スイッチ11では、偏向パターン52間に直接出射光生成面54を設けているので、直接出射光生成面54を透過した光L2は、その直後に光制御板31の上面から出射され、光制御板31の中心部が暗くなるのを防ぐことができる。しかも、偏向パターン52と直接出射光生成面54の面積比を調整することによって、光制御板31の中心部と外周部分の輝度を調整することができ、輝度ムラを低減することができる。
【0068】
よって、本発明の実施形態1によれば、大面積の発光エリアを有する薄型の照光スイッチを安価に製造することが可能になり、しかも発光エリア全体を均一な輝度分布で発光させることが可能になる。また、照光スイッチ11の上面に設けた拡散シート41や押ボタン14で光を拡散させるようにしているので、光制御板31からどの方向へ光が出射されても正面から見たときに光って見えるようにすることができる。
【0069】
また、この照光スイッチ11では、光制御板31の下面に偏向パターン52からなるパターン領域を形成している。そのため、光源25から出射される光のうち、中心軸Cからある角度内へ出射される光をパターン領域に入射させようとするとき、パターン領域が光制御板31の上面に形成されている場合よりもパターン領域の面積を小さくできる。さらに、パターン領域と押ボタン14の表面との距離も、パターン領域が光制御板31の上面に形成されている場合よりも大きくなる。その結果、押ボタン14を透かしてパターン領域が見えにくくなり、照光スイッチ11の見栄えが良好になる。
【0070】
図12は、光制御板を有しない比較例の輝度分布と、光制御板を備えた実施形態1の輝度分布を表したグラフである(コンピュータシミュレーションによる)。
図12において太実線(「光制御板なし」)は、光制御板を有しない比較例の照光スイッチ(すなわち、光源、拡散シート及び押ボタンによって構成された照光スイッチ)の発光エリアにおける輝度分布を表したグラフである。
図12において、細実線(「実施例1」)は、本発明の実施形態1の照光スイッチの発光エリアにおける輝度分布を表したグラフであり、さらに1点鎖線(「直接光」)と破線(「導光光」)はそれぞれ実施形態1の輝度分布を直接出射光の輝度分布と導光光の輝度分布に分けて表したものである。各輝度分布は、発光エリアが縦横各20mmのものにおいて、発光エリアの対角線上における輝度分布を表している。
図12の横軸は、光源25の中心(中心軸C)から対角方向へ測った距離を表し、縦軸は輝度(任意単位)を表している。
【0071】
また、
図13Aは、比較例の発光エリアにおける輝度分布を白黒の濃淡で表した図である。
図13Bは実施形態1の発光エリアにおける輝度分布を白黒の濃淡で表した図である。いずれも、明度の高い領域(白っぽい領域)ほど発光エリアの輝度が高く、明度の低い領域(黒っぽい領域)ほど発光エリアの輝度が低いことを表している。
【0072】
光制御板を用いない場合には、光源の出射光は拡散シートや押ボタンによって拡散されるだけであるので、
図12の「光制御板なし」のグラフと、
図13Aの輝度分布図のように、発光エリアの中心部の輝度が高くて中心部だけが明るく光っている。
図12における破線(「導光光」)のグラフは、偏向パターン52を透過し、光制御板31の上面又は下面で少なくとも1回全反射された後に光制御板31の上面から出射された光の輝度分布を表している。このように偏向パターン52を設けるだけであると、中央部の光が偏向パターン52によって円周方向へ曲げられ光制御板31の上面で全反射されて外周方向へ送られるので、
図12の破線のように輝度分布がほぼ平坦になるものの、中央部で輝度が低下してしまう。一方、
図12における1点鎖線(「直接光」)のグラフは、直接出射光生成面54を透過し、光制御板31の上面及び下面で反射することなく、光制御板31を透過して直接光制御板31の上面から出射された光の輝度分布を表している。このように直接出射光生成面54を透過した直接光による輝度分布は、
図12のは1点鎖線のように、発光エリアの中心部で輝度が高くなる。よって、偏向パターン52と直接出射光生成面54を放射状に設けた場合の輝度分布は、
図12の破線のグラフと1点鎖線のグラフの足し合わせとなり、
図12の細実線及び
図13Bのように発光エリアの輝度分布がほぼ均一となる。
【0073】
〔押ボタンを押し込んでいる時と復帰している時との輝度分布の比較〕
つぎに、本発明の実施形態1による照光スイッチ11において、押ボタン14を押している状態と押ボタン14を押していない状態(復帰状態)とのそれぞれの発光エリアの輝度分布をシミュレーションにより求めた結果を説明する。
図14は、縦横各20mmの発光エリアを有する照光スイッチ11において、発光エリアの中心を通過し、いずれかの辺と平行な線分上における輝度の分布を表したグラフである。実線のグラフは押ボタン14を押していない場合の輝度分布であり、破線のグラフは押ボタン14を押しているときの輝度分布である。
図14の横軸は、光源の中心(中心軸C)から測った距離を表し、縦軸は輝度(任意単位)を表している。
【0074】
また、
図15Aは、押ボタン14を押している状態での発光エリア(縦横各20mm)の輝度分布を表している。
図15Bは、押ボタン14を押していない状態での発光エリアの輝度分布を表している。また、
図15A及び
図15Bにおいても、明度の高い領域(白っぽい領域)ほど発光エリアの輝度が高く、明度の低い領域(黒っぽい領域)ほど発光エリアの輝度が低いことを表している。
【0075】
押ボタン14を押していない状態では、
図14の実線のグラフ及び
図15Bに示すように発光エリア全体がほぼ均一な輝度で発光している。これに対し、押ボタン14を押している状態では、光制御板31が光源25に近くなるので、
図4の破線のグラフ及び
図15Aに示すように発光エリアの中心部が少し明るくなり、その周辺部が少し暗くなる。
【0076】
本発明の実施形態1による照光スイッチ11では、このように押ボタン14を押しているときの発光エリアの発光具合が押ボタン14を押していないときの発光具合から変化するので、押ボタン14を押した状態であることが分かり易くなる。よって、押ボタン14を押したときには反転バネ26によってクリック感が得られるとともに、押ボタン14の発光具合が変化し、触感的にも視覚的にも押ボタン14の操作感が良好になる。
【0077】
〔偏向パターンと直接出射光生成面の種々の形状〕
つぎに、偏向パターン52と直接出射光生成面54の種々の形状(変形例)を説明する。上記パターン領域では、
図16Aに示すように、平らな斜面で形成されたV溝53a,53bによって偏向パターン52が形成され、偏向パターン52間に平らな直接出射光生成面54が形成されている。しかし、偏向パターン52及び直接出射光生成面54の形状はこれに限るものでなく、種々の断面形状が可能である。たとえば、
図16Bに示すパターン領域では、偏向パターン52の谷部を平坦に形成して当該平坦面を直接出射光生成面54としている。また、
図16Cに示すパターン領域では、偏向パターン52間に平らな直接出射光生成面54を形成するとともに、偏向パターン52の谷部を平坦に形成して当該平坦面を直接出射光生成面54としている。光制御板31を金型を用いて成形する場合では、
図16Aのような形状であれば、金型の直接出射光生成面54を形成する部分の形状がバイトの先端形状で決まるので、バラツキが小さくなり、
図16Bのような形状であれば、直接出射光生成面54の割合の自由度が高くなる(光制御板31に直接加工して偏向パターン52又は直接出射光生成面54を形成する場合には、この効果は反対になる。)。
図16Cのような形状であれば、直接出射光生成面54が分散するので、押ボタン14を通して見たとき直接出射光生成面54が光って目立つことがなくなる。
【0078】
図17Aは、直接出射光生成面54が平坦で、偏向パターン52の斜面53a、53bが溝内へ膨らむように湾曲している場合である。
図17Bは、直接出射光生成面54が平坦で、偏向パターン52の斜面53a、53bが溝から引っ込むように湾曲している場合である。
図17A、
図17Bのように、斜面53a、53bが湾曲していると、レンズ効果によって光が斜面53a、53bを透過するときに広がるので、光制御板31の上面で反射して導光光に変換された後に広がった光となり、光制御板31の上面から光を均一に出射しやすくなる。
図18A、
図18B及び
図18Cは、いずれも斜面53a、53bが平面で、直接出射光生成面54が湾曲している場合である。
図18A−18Cの形状では、いずれも直接出射光生成面54が湾曲していて直接出射光生成面54を透過する光が広がるため、押ボタン14を通してみたとき直接出射光生成面54が目立ちにくくなる。また、
図17Cは、斜面53a、53bと直接出射光生成面54の両方が湾曲していて、たとえば断面が正弦波状になっている場合である。
図19A−19Cは、偏向パターン52や直接出射光生成面54が屈曲していて偏向パターン52及び直接出射光生成面54が断面多角形状となっている場合である。
【0079】
なお、直接出射光生成面54を湾曲させる場合には、
図18Aや
図18Bと反対向きに湾曲させても差し支えない。また、偏向パターン52の断面形状は、長さ方向に沿って相似形となっていてもよいが、徐々に変形していてもよい。たとえば、中心部では
図10BのようなV溝状となっていて、外周側へ向かうに従って次第に
図17Cのような正弦波上に近づくようにしていてもよい。
【0080】
図16A−16C、
図17A−17B、
図18A−18C、
図19A−19Bのような断面形状であれば、どの領域が偏向パターン52で、どの領域が直接出射光生成面54であるかは、直感的にも明らかである。ところが、
図17Cのように偏向パターン52も直接出射光生成面54も湾曲している場合や、
図19Cのようにいずれとも判断しにくいような傾斜角の面Qが存在する場合には、どこまでが偏向パターン52で、どこからが直接出射光生成面54であるかということは明確でない。しかし、光制御板31の下面から入射した光の挙動は光線の方向によっても異なるので、偏向パターン52と直接出射光生成面54の境界が必ずしも明確である必要はなく、曖昧であっても差し支えない。本実施形態においては、パターン領域の中に、透過する光源光を円周方向へ屈折させる領域と、上方から見て光源からの光をほぼ直線的に透過させる領域が存在していれば十分であり、その間では透過する光の方向が徐々に変化していても差し支えない。ただし、目安としては、光制御板31の屈折率が1.59の場合では、接線(接平面)の傾斜角が26°以上の領域が偏向パターン52の領域で、26°未満の領域が直接出射光生成面54の領域と考えることができる。また、光制御板31の屈折率が1.4の場合では、接線(接平面)の傾斜角が33°以上の領域が偏向パターン52の領域で、33°未満の領域が直接出射光生成面54の領域と考えることができる。この理由は次の通りである。
【0081】
図20は、偏向パターン52を透過した光の挙動と直接出射光生成面54を透過した光の挙動を分類した図である。
図20の横軸は、偏向パターン52の斜面53a又は53bの傾斜角αを表し、縦軸は光制御板31の上面、特に光分割作用面28の傾斜角βを表している。いま、
図21Aに示すように、光源25の光軸(中心軸C)に平行な光が斜面53aに入射した場合を考えると、斜面53aの傾斜角αが大きいほど、光は円周方向へ大きく屈折し、光制御板31の光分割作用面28で全反射しやすくなる。また、光分割作用面28の傾斜角βが大きいほど、斜面53aを透過した光が光分割作用面28で全反射しやすくなる。反対に、斜面53aの傾斜角αや光分割作用面28の傾斜角βが小さくなると、光は光制御板31の上面を透過しやすくなり、
図20の太い実曲線e1を下側(又は左側)へ超えると、光源25の光軸と平行に入射した光は、光制御板31の上面を透過してしまい全反射されなくなる。すなわち、
図20における太い実線のカーブe1は、光制御板31の屈折率が1.59の場合において、光源25から光軸に対して平行に出射された光が、斜面53aを透過した後に光制御板31の上面で反射するのに必要な傾斜角α、βの最小値を表している。
【0082】
また、
図21Bに示すように、直接出射光生成面54を透過した後、光軸に平行な方向に進む光から光軸に直交する方向に進む光までを考えるとき、光制御板31の上面(光分割作用面28)の角度βが
図20において細い実線e2で示す値(全反射の臨界角と等しい角度)よりも大きくなると、すべての光が光分割作用面28で全反射されて光分割作用面28を透過しなくなる。すなわち、細い実線e2は、直接出射光生成面54を透過した光が光制御板31の上面を透過するのに必要な傾斜角βの最大値を表している。
【0083】
以上より分かるように、
図20の細い実線e2よりも上側の領域は、光制御板31の屈折率が1.59の場合において、直接出射光生成面54を透過した光が光制御板31の上面から出射されない領域であり、太い実曲線e1よりも下側(又は左側)の領域は、偏向パターン52を透過した光が光制御板31の上面で全反射されないで漏れてしまう領域である。したがって、パターン領域を透過した光の一部が光制御板31の上面を透過し、残りの光が光制御板31の上面で全反射されるためには、
図20の太い実曲線e1と細い実線e2との間の領域にあればよいことがわかる。
【0084】
さらに、光制御板31の作製時の寸法バラツキなど考慮すれば、上記のような境界に達するまでに5°以上、できれば10°以上の余裕があることが好ましい。たとえば、光制御板31の屈折率が1.59の場合に、光制御板31の上面の傾斜角βに約10°の余裕を持たせようとすれば、
図20の実線e1、e2によれば、斜面53a、53bの傾斜角αを26°以上にすればよいことが分かる。
【0085】
上記曲線e1と直線e2は、光制御板31の屈折率nによって変化する。たとえば、屈折率nが1.4の場合には、光源25から光軸に対して平行に出射された光が、斜面53aを透過した後に光制御板31の上面で反射するのに必要な傾斜角α、βの最小値を表す曲線は、
図20の太い破線のカーブe1´で表される。また、屈折率が1.4の場合には、直接出射光生成面54を透過した光が光制御板31の上面を透過するのに必要な傾斜角βの最大値は、
図20の細い破線e2´で表わされる。この場合に、光制御板31の上面の傾斜角βに約10°の余裕を持たせようとすれば、
図20の実線e1´、e2´によれば、斜面53a、53bの傾斜角αを33°以上にすればよいことが分かる。屈折率が1.4や1.59以外の場合にも同様にして評価することができる。
【0086】
よって、屈折率による違いを無視すれば、偏向パターン52の斜面53a、53bの傾斜角αは30°以上であることが望ましい。よって、
図19Cの略45°の傾斜角を有する面Qは、斜面53a、53bとみなすことができる。
【0087】
また、
図6A、
図6B、
図7A及び
図7Bに示したパターンでは、偏向パターン52も直接出射光生成面54も中心軸C上の点を中心として放射状に形成されているので、中心軸C上の点を中心とする輪帯状の領域内における偏向パターン52の面積(上方から見た投影面積)に対する直接出射光生成面54の面積の割合は、その中心から内側領域34のほぼ縁までは一定であり、湾曲作用面35では中心から遠くなるに従って次第に大きくなっている。しかし、輪帯状の領域内における偏向パターン52の面積に対する直接出射光生成面54の面積の割合は、0−100%の範囲で適宜調整することができる。たとえば、光制御板31の上面の中央部における輝度が低いところでは直接出射光生成面54の比率が大きくなるように再設計し、輝度が高いところでは直接出射光生成面54の比率が小さくなるように再設計すればよい。たとえば、上記実施形態では、パターン領域内の直接出射光生成面54を通って光制御板31の上面から出射される光量は、光制御板31の上面全体から出射される光量の約25%程度となっている。
【0088】
なお、上記実施形態では、光入射領域32の中央部を平坦面にしていたが、
図22に示すように、光入射領域32の全体を湾曲面とし、当該湾曲面に偏向パターン52や直接出射光生成面54を形成していてもよい。このように光入射領域32の全体を湾曲面とすれば、偏向パターン52や直接出射光生成面54を透過する光がレンズ効果によって広がるので、光制御板31から出射される光が均一となり、輝度の均一性が高くなる。
【0089】
また、光制御板31の上面は、実施形態1においては、
図23Aのような形状となっているが、このような形状であると起伏が大きいので、光制御板31の厚みが大きくなる。したがって、
図23Bに示すように、光制御板31の上面形状を
図23Aの形状とほぼ同様な光学的効果を有するフレネルレンズ形状に置き換えてもよい。光制御板31の上面を
図23Aのようなフレネルレンズ形状にすれば、光制御板31の厚みを薄くすることができる。また、フレネルレンズ形状の各部分の傾斜角度を調整することにより、主に直接出射光生成面54を透過して光制御板31内に入った光の出射方向を制御でき、輝度の均一性を高めることも可能である。ただし、フレネルレンズ形状にした場合には、段差部分に当たった光が一部漏れるので、光制御板31の輝度の均一性が若干低下する恐れが生じる。
【0090】
(実施形態2)
図24A及び
図24Bは、本発明の実施形態2による光制御板の一部、すなわちパターン領域を拡大して示す下面図と、その拡大断面図である。この実施形態2の光制御板では、光制御板31の裏面に設けられた光入射領域32の中心に球面状の凸部56を形成し、凸部56の周囲に多数の偏向パターン52を放射状に配列させている。偏向パターン52は、
図8に示したような形状を有しおり、偏向パターン52の中心側の端は、凸部56の縁に位置している。光制御板のその他の構造は、実施形態1と同様であるので、説明は省略する(以下の実施形態においても同様)。
【0091】
実施形態1のような構造では、光入射領域32の中心部において斜面53a、53bを放射状に加工することは困難であるため、中心部に斜面53a、53bを形成できない場合がある。斜面53a、53bを形成できない場合には、光制御板を真っ直ぐに上方へ抜ける光が多くなり、輝度の均一性が低下する。そのような場合には、実施形態2のように、光入射領域32の中心部から外れた箇所から偏向パターン52を開始することで、斜面53a、53bの加工を容易にすることができる。さらに、光入射領域32の中心部に回転対称の凸部56を設けることによって中心付近の光を拡散させ、中心部を真っ直ぐに光が抜けないようにして輝度ムラを防止している。
【0092】
(実施形態3)
図25A及び
図25Bは、本発明の実施形態3による光制御板の一部、すなわちパターン領域を拡大して示す下面図と、その拡大断面図である。この実施形態2の光制御板では、光制御板31の裏面に設けられた光入射領域32にドットパターン状をした多数の偏向パターン52を離散的に分布させている。
図26A及び
図26Bは、ドットパターン状をした偏向パターン52の斜視図と平面図である。この偏向パターン52は4つの斜面によってダイヤ状に形成されており、光入射領域32の中心を中心として放射状に配置されている。偏向パターン52の円周方向に沿った中央の断面における頂角εは約60°となっており、偏向パターン52を上方から見たときの半径方向に位置する角の角度τは30°となっている。
図25Aでは、偏向パターン52はある程度規則性を持たせて配列されているが、ランダムに配置していてもよい。また、この実施形態では、光入射領域32のうち、偏向パターン52の設けられていない部分の全体が直接出射光生成面54となっている。なお、偏向パターン52が放射状に配置されていれば、このような直接出射光生成面54も放射状に形成されているといえる。
【0093】
図26A、
図26Bのような偏向パターン52でも、斜面に入射した光を円周方向へ屈折させることができるので、このような光制御板を用いた場合にも、実施形態1の光制御板と同様な作用効果を奏することができる。実施形態1では、長く延びた偏向パターン52を形成しているので、偏向パターン52を透過した光の筋が押ボタン14を通して見えやすいが、実施形態3では、ドット状の偏向パターン52を分散させて設けているので、偏向パターン52を透過した光のパターンが目立ちにくくなる。
【0094】
(実施形態4)
図27Aは、本発明の実施形態4による光制御板61を示す裏面側からの斜視図である。
図27Bは、この光制御板61の断面図である。この光制御板61の下面51には、光拡散部、すなわち多数の円環状をした凹凸パターン62が同心円状に形成されている。このように光制御板61の下面に凹凸パターン62を形成していると、下面51で反射する光が拡散するので、発光エリアにおける輝度の均一性が向上する。
【0095】
なお、輝度を均一化させるためには、凹凸パターン62以外に、シボ形状や微細パターン、放射状パターンなどを設けておいてもよい。このとき、微細パターンなどの密度や形状を調整することにより、より一層輝度を均一化できる。
【0096】
また、偏向パターン52は、
図28Aや
図28Bに示すように、ひとつの斜面53aだけで構成してあってもよい。その場合、
図28Aのように一方向の斜面53aだけを用いてもよく、
図28Bのように、傾斜方向の異なる斜面53a、53bを交互に配置してもよい。また、偏向パターン52が2つの斜面53a、53bからなる場合でも、
図28Cに示すように、偏向パターン52の断面が非対称であってもよい。
【0097】
また、偏向パターン52の断面形状がいずれの偏向パターン52についても同じであると、光源25の光軸よりある角度で出射した光は、回転対称に広がっていく。すなわち、
図29Aのf1は光入射領域32に入射する光の波紋を表し、f2は光分割作用面28において反射する光の波紋を表し、f3は導光領域37において反射する光の波紋を表し、f4は光制御板31から出射する光の波紋を表し、f5は押ボタン14の上面から出射する光の波紋を表す。よって、光源25から光軸近傍へ出射した光は、上記波紋f1→f2→f3→f4→f5というように順次広がっていき、押ボタン14の表面ではf5のような光の波紋を生じる。そのため、照光スイッチ11の発光エリアには、
図29Aに示す波紋f5が現れてリング状の輝度ムラが発生しやすくなる。
【0098】
これを避けるためには、
図29Bのように、偏向パターン52の断面形状(又は斜面の傾斜角)を順次異ならせるとよい。偏向パターン52の断面形状を異ならせてあれば、それに応じて光の波紋も歪になって広がる。すなわち、
図29Cのf1−f5は
図29Bのような偏向パターン52を用いた場合であり、f1は光入射領域32に入射する光の波紋を表し、f2は光分割作用面28において反射する光の波紋を表し、f3は導光領域37において反射する光の波紋を表し、f4は光制御板31から出射する光の波紋を表し、f5は押ボタン14の上面から出射する光の波紋を表す。この場合にも、光源25から光軸近傍へ出射した光は、上記波紋f1→f2→f3→f4→f5というように順次広がっていき、押ボタン14の表面ではf5のような歪んだ波紋が生じる。しかも、光源25から出る光の方向によってf5のような波紋の形状は異なるので、各方向に出射された光の波紋が重なり合うことで輝度ムラが目立ちにくくなり、見栄えがよくなる。
【0099】
(実施形態5)
図30は、本発明の実施形態5による液晶表示装置71を示す概略断面図である。この液晶表示装置71は、液晶パネル72の背面にバックライトとなる面光源装置73を配置したものである。面光源装置73は、本発明に係る光制御板74(たとえば、実施形態1の光制御板)の上面に拡散シート75を配置し、光入射領域32に対向させて光源25を置き、光制御板74の下面に対向させて反射シート76を配置したものである。
【0100】
光制御板74は、これまで説明した光制御板と同じような構造を有するものであるが、照光スイッチ用のものよりも発光エリアを大面積化している。
【0101】
なお、上記各実施形態においては、窪んだ偏向パターンを示したが、偏向パターンは、凸状に形成されていてもよい。