(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照して、ステアリング装置1の構成について説明する。
ステアリング装置1は、ステアリング装置本体10、シャフト収容装置20、アシスト装置30、およびラックシャフト支持装置40を有する。ステアリング装置1は、ステアリングホイール2の操作をアシスト装置30によりアシストするラックパラレル型の電動パワーステアリング装置としての構成を有する。
【0019】
ステアリング装置本体10は、コラムシャフト11、インターミディエイトシャフト12、ピニオンシャフト13、ラックシャフト14、ラックアンドピニオン機構15、2個のボールジョイント16、および2個のタイロッド17を有する。ステアリング装置本体10は、ステアリングホイール2の回転にともないコラムシャフト11、インターミディエイトシャフト12、およびピニオンシャフト13を一体的に回転させる。ステアリング装置本体10は、ピニオンシャフト13の回転によりラックシャフト14を長手方向において直進させる。ステアリング装置本体10は、ラックシャフト14を直進させることにより、ナックル4を介して転舵輪3の転舵角を変化させる。
【0020】
ラックシャフト14は、ギヤ形成部分14Aおよびねじ形成部分14Bを有する。ラックシャフト14は、ギヤ形成部分14Aにおいて長手方向の所定範囲にわたり複数のラックギヤ14Cを有する。ラックシャフト14は、ねじ形成部分14Bにおいて長手方向の所定範囲にわたりラックねじ14Dとしての雄ねじを有する。ラックシャフト14は、長手方向に直交する断面においてD字形状に類似する断面形状を有する。
【0021】
ラックアンドピニオン機構15は、ピニオンシャフト13のピニオンギヤ13A、およびラックシャフト14のラックギヤ14Cを有する。ラックアンドピニオン機構15は、ピニオンシャフト13の回転をラックシャフト14の直進に変換する。
【0022】
シャフト収容装置20(
図2参照)は、ラックハウジング21、オイルシール26、ボールベアリング27、およびニードルベアリング28を有する。シャフト収容装置20は、個別の部品として形成されたラックハウジング21、オイルシール26、ボールベアリング27、およびニードルベアリング28の集合体として構成される。
【0023】
ラックハウジング21は、金属材料により形成される。ラックハウジング21は、ラックシャフト14の形状に対応した筒形状を有する。ラックハウジング21は、ベースハウジング22、エンドハウジング23、基礎収容空間24、および支持収容空間25を有する。ラックハウジング21は、個別の部品として形成されたベースハウジング22およびエンドハウジング23が互いに結合された構成を有する。ラックハウジング21は、基礎収容空間24において、ピニオンシャフト13、ラックシャフト14、ボールジョイント16、アシスト装置30の減速装置32、およびボールねじ装置33を収容する。ラックハウジング21は、支持収容空間25においてラックシャフト支持装置40を収容する。
【0024】
アシスト装置30は、電気モーター31、減速装置32、およびボールねじ装置33を有する。アシスト装置30は、ボールねじ装置33がラックねじ14Dに位置する構成を有する。アシスト装置30は、電気モーター31の回転を減速装置32によりボールねじ装置33に伝達してボールねじ装置33を回転させることにより、ラックシャフト14の長手方向に作用する力をラックシャフト14に付与する。
【0025】
図2を参照して、ラックアンドピニオン機構15の周辺部分の構成について説明する。
ラックハウジング21は、基礎部分内面21Aにより基礎収容空間24を形成する。ラックハウジング21は、支持部分内面21Bにより支持収容空間25を形成する。ラックハウジング21は、支持開口部分21Cにおいて支持収容空間25を外部に向けて開口する。ラックハウジング21は、支持開口部分21Cの支持部分内面21Bにおいて開口部分雄ねじ21Dを有する。ラックハウジング21は、基礎収容空間24において、ピニオンシャフト13のピニオンギヤ13A、ラックシャフト14のラックギヤ14C、オイルシール26、ボールベアリング27、およびニードルベアリング28を収容する。
【0026】
ラックシャフト支持装置40は、1個のサポートヨーク50、1個のプラグ60、1個の中間部品70、3個の転動体80、1個の保持器90、1個の回転力発生ばね100、および1個の中間リング110を有する。ラックシャフト支持装置40は、個別の部品として形成されたサポートヨーク50、プラグ60、中間部品70、転動体80、保持器90、回転力発生ばね100、および中間リング110の集合体として構成される。ラックシャフト支持装置40においては、サポートヨーク50、プラグ60、中間部品70、回転力発生ばね100、および中間リング110が同軸を有する。ラックシャフト支持装置40は、プラグ60、中間部品70、転動体80、および回転力発生ばね100によりサポートヨーク50をラックシャフト14のラック背面部分14Eに押し付ける。
【0027】
図2を参照して、ラックシャフト支持装置40の構成について説明する。なお、押付方向は、支持収容空間25においてラックシャフト14をピニオンシャフト13に向けて押す方向を示す。また、離間方向は、支持収容空間25においてラックシャフト14がピニオンシャフト13から離間する方向を示す。また、周方向は、回転力発生ばね100の回転方向を示す。
【0028】
サポートヨーク50は、支持収容空間25においてラックシャフト14の背面側に配置される。サポートヨーク50は、支持収容空間25において押付方向および離間方向に移動可能な状態を有する。サポートヨーク50は、ヨーク本体51、低摩擦シート56、および樹脂弾性部品57を有する。サポートヨーク50は、個別の部品として形成されたヨーク本体51、低摩擦シート56、および樹脂弾性部品57が互いに結合された構成を有する。
【0029】
ヨーク本体51は、金属材料により形成される。ヨーク本体51は、円柱形状の部品において一部分が取り除かれた形状を有する。ヨーク本体51は、本体外面51Aにおいてラックハウジング21の支持部分内面21Bにより支持される。ヨーク本体51は、ヨーク支持部分52およびヨーク背面部分53を有する。
【0030】
ヨーク支持部分52は、ヨーク本体51のうちのラックシャフト14側の部分に形成される。ヨーク支持部分52は、ラックシャフト14のラック背面部分14Eに対応した形状を有する。ヨーク支持部分52は、低摩擦シート56を介してラック背面部分14Eを支持する。
【0031】
ヨーク背面部分53は、凹部が形成された円柱形状を有する。ヨーク背面部分53は、ヨーク本体51のうちのプラグ60側の部分に形成される。ヨーク背面部分53は、ヨーク背面溝54およびヨーク穴部分55を有する。ヨーク背面部分53は、隙間を介して中間リング110と対向する。
【0032】
樹脂弾性部品57は、ヨーク背面溝54に嵌め込まれる。樹脂弾性部品57は、樹脂弾性部品57のうちのプラグ60側の一部分がヨーク背面溝54から突出して中間リング110と接触する。樹脂弾性部品57は、中間リング110およびサポートヨーク50により圧縮される。樹脂弾性部品57は、圧縮変形にともない生じる復元力により、中間リング110を中間部品70に押し付ける。
【0033】
中間リング110は、中間部品70およびサポートヨーク50よりも摩擦係数が小さい金属材料により形成される。中間リング110は、サポートヨーク50と中間部品70との間に配置される。中間リング110は、リング貫通孔111を有する。中間リング110は、リング外面112においてラックハウジング21の支持部分内面21Bと隙間を介して対向する。中間リング110は、リング内面113において中間部品70の突出部分74の外面と隙間を介して対向する。
【0034】
中間部品70は、支持収容空間25において、サポートヨーク50に対してラックシャフト14とは反対側に配置される。中間部品70は、ラックハウジング21の支持部分内面21Bに対して周方向に回転可能な状態かつ押付方向および離間方向に移動可能な状態に配置される。中間部品70は、回転力発生ばね100から付与される力によりサポートヨーク50、プラグ60、および中間リング110に対して回転することにより、サポートヨーク50との間の隙間が拡大することを抑制する。
【0035】
プラグ60は、支持収容空間25において、中間部品70に対してサポートヨーク50とは反対側に配置される。プラグ60は、プラグ本体61、プラグ栓部品68、およびロックナット69を有する。プラグ60は、個別の部品として形成されたプラグ本体61、プラグ栓部品68、およびロックナット69が互いに結合された構成を有する。プラグ60においては、プラグ本体61およびロックナット69が同軸を有する。プラグ60は、ラックハウジング21の支持開口部分21Cを閉塞する。
【0036】
ロックナット69は、金属材料により形成される。ロックナット69は、ナット端面69Aおよびナット雄ねじ69Bを有する。ロックナット69は、ナット雄ねじ69Bによりプラグ本体61のプラグ雄ねじ62Bにねじ込まれる。ロックナット69は、ナット端面69Aにおいて支持開口部分21Cの端面に接触する。ロックナット69は、ラックハウジング21に対するプラグ本体61の緩みが生じることを抑制する。
【0037】
回転力発生ばね100としてのねじりコイルばねは、金属材料により形成される。回転力発生ばね100は、第1ばね端部101、第2ばね端部102、およびばね巻回部分103を有する。回転力発生ばね100は、第1ばね端部101、第2ばね端部102、およびばね巻回部分103が同一の金属材料により一体的に形成された構成を有する。回転力発生ばね100においては、第1ばね端部101がプラグ本体61に取り付けられる。回転力発生ばね100においては、第2ばね端部102が中間部品70に取り付けられる。回転力発生ばね100は、中間部品70をプラグ60に対して回転させる力(以下、「ばね力」)を中間部品70に付与する。
【0038】
転動体80は、金属材料により形成される。転動体80は、球形状に形成される。転動体80は、プラグ60のプラグカム面65Aおよび中間部品70の中間カム面72Aの間において、プラグカム面65Aおよび中間カム面72Aのそれぞれに接触する。
【0039】
保持器90は、樹脂材料により形成される。保持器90は、平面視において円環形状に形成される。保持器90は、プラグ60と中間部品70との間に配置される。保持器90は、3個の転動体80が周方向において等間隔となるように各転動体80を保持する。
【0040】
図3を参照して、プラグ60、中間部品70、およびその周辺部分の部品の詳細な構成について説明する。なお、付勢方向は、周方向においてばね力を中間部品70に付与する方向を示す。また、反付勢方向は、周方向において付勢方向とは反対方向を示す。
【0041】
プラグ本体61は、金属材料により形成される。プラグ本体61は、円筒形状の部品において一方の開口部分が閉塞された形状を有する。プラグ本体61は、プラグ固定部分62、プラグ背壁部分63、ばね取付部分64、プラグ端部65、プラグ内部空間66、およびプラグ仮止孔67を有する。プラグ本体61は、プラグ固定部分62、プラグ背壁部分63、ばね取付部分64、およびプラグ端部65が同一の金属材料により一体的に形成された構成を有する。
【0042】
プラグ固定部分62は、円筒形状を有する。プラグ固定部分62は、固定部分外面62Aの一部分にプラグ雄ねじ62Bを有する。プラグ固定部分62は、プラグ雄ねじ62Bによりラックハウジング21の開口部分雄ねじ21Dにねじ込まれる(
図2参照)。
【0043】
プラグ背壁部分63は、開口部分が形成されてない中実構造を有する。プラグ背壁部分63は、プラグ固定部分62に対して中間リング110(
図2参照)とは反対側の部分に形成される。プラグ背壁部分63は、ラックハウジング21の外部に配置される(
図2参照)。プラグ背壁部分63は、プラグ固定部分62におけるプラグ内部空間66の開口部分の一方を閉塞する。
【0044】
ばね取付部分64は、プラグ背壁部分63からプラグ内部空間66に向けて突出する柱形状を有する。ばね取付部分64は、回転力発生ばね100のばね巻回部分103の内部空間に挿入される。ばね取付部分64は、プラグ本体61の軸方向に延びるばね保持溝64Aを有する。ばね取付部分64は、ばね保持溝64Aにより2個の柱形状部分に区分された構成を有する。ばね取付部分64においては、回転力発生ばね100の第1ばね端部101がばね保持溝64Aに圧入される。
【0045】
プラグ端部65は、円環形状を有する。プラグ端部65は、3個のプラグカム面65Aおよび3個の面区切部分65Bを有する。プラグ端部65においては、周方向に隣り合うプラグカム面65Aの間に面区切部分65Bが形成される。プラグ端部65においては、1個の面区切部分65Bにプラグ仮止孔67が形成される。
【0046】
プラグカム面65Aは、プラグカム面65Aの平面視において、周方向において長手方向となり、プラグ本体61の径方向において短手方向となり、周方向に湾曲した形状を有する。プラグカム面65Aは、押付方向から離間方向に向けて湾曲状に凹む形状を有する。詳細には、プラグカム面65Aは、周方向において付勢方向側の端部から周方向の中間位置65Cに向かうにつれて、押付方向から離間方向に向けて傾斜する。プラグカム面65Aは、中間位置65Cから周方向において反付勢方向側の端部に向かうにつれて、離間方向から押付方向に向けて傾斜する。プラグカム面65Aの軸方向の曲率半径PR(
図4参照)は、転動体80の半径よりも大きい。なお、中間位置65Cは、プラグカム面65Aの周方向の中間点を示す。中間位置65Cは、プラグカム面65Aにおいて最も離間方向側に位置する。
【0047】
プラグ内部空間66は、円柱形状を有する。プラグ内部空間66は、プラグ固定部分62の内面およびプラグ背壁部分63により囲まれた空間として形成される。プラグ内部空間66は、ばね取付部分64および回転力発生ばね100を収容する。プラグ内部空間66においては、中間部品70側の開口部分が中間部品70の中間部品本体71により閉塞される。
【0048】
プラグ仮止孔67は、プラグ本体61の軸方向においてプラグ本体61を貫通する。すなわちプラグ仮止孔67は、プラグ背壁部分63、プラグ固定部分62、およびプラグ端部65を貫通する。プラグ仮止孔67は、プラグ背壁部分63側の開口部分の内面に仮止雄ねじ67Aを有する。
【0049】
プラグ栓部品68は、金属材料により形成される。プラグ栓部品68は、栓部品雄ねじ68Aおよび工具挿入穴68B(
図2参照)を有する。プラグ栓部品68は、栓部品雄ねじ68Aによりプラグ仮止孔67の仮止雄ねじ67Aにねじ込まれる。プラグ栓部品68は、プラグ仮止孔67のプラグ背壁部分63側の開口部分を閉塞する。
【0050】
中間部品70は、金属材料により形成される。中間部品70は、中間部品本体71、中間対向部分72、ばね取付部分73、および突出部分74(
図2参照)を有する。中間部品70は、中間部品本体71、中間対向部分72、ばね取付部分73、および突出部分74が同一の金属材料により一体的に形成された構成を有する。
【0051】
中間部品本体71は、円盤形状を有する。中間部品本体71は、中間本体正面71Aにおいて中間リング110と対向する。中間部品本体71は、中間本体背面71Bにおいてプラグ背壁部分63および回転力発生ばね100のばね巻回部分103と対向する。
【0052】
中間対向部分72は、円環形状を有する。中間対向部分72は、中間部品本体71の径方向外側の部分から離間方向に向けて突出する。中間対向部分72は、3個の中間カム面72A、3個の面区切部分72B、および1個の中間仮止孔72Dを有する。中間対向部分72においては、周方向に隣り合う中間カム面72Aの間に面区切部分72Bが形成される。中間対向部分72においては1個の面区切部分72Bに中間仮止孔72Dが形成される。
【0053】
中間カム面72Aは、中間カム面72Aの平面視において、周方向において長手方向となり、中間部品70の径方向において短手方向となる円弧形状を有する。中間カム面72Aは、離間方向から押付方向に向けて湾曲状に凹む形状を有する。詳細には、中間カム面72Aは、周方向において付勢方向側の端部から中間位置72Cに向かうにつれて、離間方向から押付方向に向けて傾斜する。中間カム面72Aは、中間位置72Cから周方向において反付勢方向側の端部に向かうにつれて、押付方向から離間方向に向けて傾斜する。中間カム面72Aの曲率半径MR(
図4参照)は、転動体80の半径よりも大きい。なお、中間位置72Cは、中間カム面72Aにおいて周方向の中間点を示す。中間位置72Cは、中間カム面72Aにおいて最も押付方向側に位置する。
【0054】
ばね取付部分73は、中間本体正面71Aから離間方向に突出する。ばね取付部分73は、回転力発生ばね100のばね巻回部分103の内部空間に挿入される。ばね取付部分73は、軸方向に延びるばね保持溝73Aを有する。ばね取付部分73は、ばね保持溝73Aにより2個の柱形状部分に区分された構成を有する。ばね取付部分73においては、回転力発生ばね100の第2ばね端部102がばね保持溝73Aに圧入される。
【0055】
突出部分74(
図2参照)は、円筒形状を有する。突出部分74は、中間部品本体71の中間本体正面71Aから押付方向に突出する。突出部分74は、中間リング110のリング貫通孔111からサポートヨーク50のヨーク穴部分55(ともに
図2参照)にまたがり形成される。突出部分74は、サポートヨーク50および中間リング110と隙間を介して対向する。突出部分74は、六角棒スパナに対応した形状の六角穴74A(
図2参照)を有する。突出部分74は、中間部品70をプラグ60と組み合わせる工程において、中間部品70を回転させる工具を取り付けるための部分として形成される。
【0056】
保持器90は、3個の保持孔91および1個のボルト挿入孔92を有する。保持器90は、保持器外面90Aにおいてラックハウジング21の支持部分内面21B(
図2参照)と隙間を介して対向する。保持器90は、保持器内面90Bにおいて回転力発生ばね100と隙間を介して対向する。保持器90においては、保持孔91が周方向において等間隔に形成される。保持器90においては、ボルト挿入孔92が周方向に隣り合う保持孔91の間に形成される。ボルト挿入孔92は、周方向が長手方向となる長孔として形成される。保持器90は、保持孔91において転動体80が摺動可能な状態で転動体80を保持する。
【0057】
図2を参照して、ラックシャフト支持装置40の組立方法について説明する。
ラックシャフト支持装置40の組立工程は、第1組立工程、第2組立工程、第3組立工程、第4組立工程、および第5組立工程を含む。ラックシャフト支持装置40は、第1組立工程〜第5組立工程を順に経ることにより完成する。
【0058】
第1組立工程は、ラックシャフト14のラック背面部分14E上にサポートヨーク50を配置する工程を示す。作業者は、第1工程において、サポートヨーク50をラックハウジング21の支持開口部分21Cから支持収容空間25に挿入し、サポートヨーク50の低摩擦シート56をラック背面部分14E上に配置する。
【0059】
第2組立工程は、サポートヨーク50の樹脂弾性部品57上に中間リング110を配置する工程を示す。作業者は、第2組立工程において、中間リング110をラックハウジング21の支持開口部分21Cから支持収容空間25に挿入し、樹脂弾性部品57において、リング外面112とラックハウジング21の支持部分内面21Bとの間に隙間が形成される位置に中間リング110を配置する。
【0060】
第3組立工程は、プラグアッセンブリを組み立てる工程を示す。プラグアッセンブリは、プラグ本体61、中間部品70、転動体80、保持器90、および回転力発生ばね100が互いに組み合わせられ、かつプラグ仮止孔67および中間仮止孔72Dに仮止ボルト(図示略)が挿入された構成を有する。作業者は、第3組立工程において、プラグ本体61、中間部品70、転動体80、および保持器90を互いに組み合わせた後、プラグ仮止孔67および中間仮止孔72Dに仮止ボルトを挿入することによりプラグアッセンブリを組み上げる。
【0061】
第4組立工程は、プラグアッセンブリをラックハウジング21に固定する工程を示す。作業者は、第4組立工程において、プラグアッセンブリをラックハウジング21の支持開口部分21Cから支持収容空間25に挿入し、プラグ本体61のプラグ雄ねじ62Bをラックハウジング21の開口部分雄ねじ21Dにねじ込む。第4組立工程においては、プラグ雄ねじ62Bの全部が開口部分雄ねじ21Dにねじ込まれたとき、中間リング110とヨーク背面部分53との間に隙間が形成された状態において、中間リング110が中間部品70により樹脂弾性部品57に押し付けられる。
【0062】
第5組立工程は、ラックハウジング21に対するラックシャフト支持装置40の取り付けを完了させる工程を示す。作業者は、プラグ本体61のプラグ雄ねじ62Bにロックナット69のナット雄ねじ69Bをねじ込む。作業者は次に、仮止ボルトをプラグ仮止孔67および中間仮止孔72Dから抜き取り、プラグ仮止孔67の仮止雄ねじ67Aにプラグ栓部品68の栓部品雄ねじ68Aをねじ込む。第5組立工程においては、プラグ本体61にプラグ栓部品68がねじ込まれることによりプラグ60が組み上げられるとともに、ラックハウジング21に対するラックシャフト支持装置40の取り付けが完了する。
【0063】
プラグアッセンブリの組立方法について説明する。
プラグアッセンブリの組立工程(第3組立工程)は、第1中間工程、第2中間工程、第3中間工程、第4中間工程、第5中間工程、および第6中間工程を含む。プラグアッセンブリは、第1中間工程〜第6中間工程を順に経ることにより完成する。
【0064】
第1中間工程は、保持器90に転動体80を取り付ける工程を示す。作業者は、第1中間工程において、保持器90の各保持孔91に1個の転動体80を挿入する。
第2中間工程は、プラグ本体61に回転力発生ばね100を取り付ける工程を示す。作業者は、第2中間工程において、回転力発生ばね100を第1ばね端部101側からプラグ内部空間66に挿入し、第1ばね端部101をばね取付部分64に圧入する。
【0065】
第3中間工程は、転動体80および保持器90をプラグ60に取り付ける工程を示す。作業者は、第3中間工程において、プラグカム面65Aに転動体80を配置する。第3中間工程において、転動体80は、プラグカム面65Aの中間位置65Cに位置する。
【0066】
第4中間工程は、中間部品70に回転力発生ばね100を取り付ける工程を示す。作業者は、第4中間工程において、中間部品70のばね取付部分73をプラグ内部空間66に挿入し、回転力発生ばね100の第2ばね端部102をばね取付部分73に圧入する。第4中間工程においては、第2ばね端部102をばね取付部分73に圧入する過程において、中間カム面72Aに転動体80が配置される。第4中間工程において、転動体80は、中間カム面72Aの中間位置72Cに位置する。
【0067】
第5中間工程は、回転力発生ばね100のばね力を調整する工程を示す。作業者は、第5中間工程において、プラグ本体61を固定治具(図示略)に取り付けた後、中間部品70の突出部分74の六角穴74Aに六角棒スパナ(図示略)を挿入する。作業者は次に、六角棒スパナにトルクを加えることにより、回転力発生ばね100のばね力が増加する方向、すなわち反付勢方向に中間部品70を所定量回転させる。中間部品70の中間仮止孔72Dは、中間部品70を所定量回転させたとき、プラグ本体61のプラグ仮止孔67と同軸上に位置する。第5中間工程において、転動体80は、プラグカム面65Aの中間位置65Cよりも付勢方向側の部分、および中間カム面72Aの中間位置72Cよりも反付勢方向側の部分にそれぞれ接触する。
【0068】
第6中間工程は、プラグ本体61および中間部品70に仮止ボルトを挿入する工程を示す。作業者は、第5工程において、六角棒スパナによりプラグ本体61に対する中間部品70の回転位置を固定し、プラグ本体61のプラグ背壁部分63からプラグ仮止孔67および中間仮止孔72Dに仮止ボルトを挿入する。作業者は次に、中間部品70の突出部分74から六角棒スパナを取り外し、固定治具からプラグ本体61を取り外す。第6中間工程においては、プラグ仮止孔67および中間仮止孔72Dに仮止ボルトが挿入されることにより、プラグアッセンブリが組み上げられる。プラグアッセンブリにおいては、プラグ本体61に対する中間部品70の回転位置が仮止ボルトにより固定される。
【0069】
図2、
図4、および
図5を参照して、ラックシャフト支持装置40の動作および作用について説明する。
ラックシャフト支持装置40は、第1の機能〜第3の機能を有する。第1の機能は、ラックシャフト14がピニオンシャフト13に対して離間方向に移動することを抑制する機能を示す。第2の機能は、ラックシャフト14がピニオンシャフト13を離間方向に押し付ける力をピニオンシャフト13に作用するとき、ラックギヤ14Cがピニオンギヤ13Aに作用する力が大きくなることを抑制する機能を示す。第3の機能は、ラックシャフト14の摩擦部分における磨耗の進行に起因して、ラックギヤ14Cおよびピニオンギヤ13Aの噛合部分におけるクリアランスが増加することを抑制する機能を示す。なお、ラックシャフト14の摩擦部分は、ラックギヤ14Cおよびピニオンギヤ13Aの噛合部分と、ラック背面部分14Eおよびサポートヨーク50の低摩擦シート56との接触部分とを含む。
【0070】
図2を参照して、ラックシャフト支持装置40の第1の機能について説明する。
ラックシャフト支持装置40は、プラグ60がプラグカム面65Aにおいて転動体80と接触し、中間部品70が中間カム面72Aにおいて転動体80と接触することにより、中間部品70がラックハウジング21等に対して離間方向に移動することを規制する。中間部品70は、中間リング110および樹脂弾性部品57を介してサポートヨーク50のヨーク背面部分53を支持することにより、サポートヨーク50がラックハウジング21等に対して離間方向に移動することを規制する。サポートヨーク50は、ヨーク支持部分52においてラックシャフト14のラック背面部分14Eを支持する。
【0071】
このため、ラックシャフト14がピニオンシャフト13に対して離間方向に移動することが規制される。このため、ピニオンシャフト13の回転にともないラックシャフト14がピニオンシャフト13に対して離間方向および押付方向に移動することに起因して、部品同士の接触音が生じることが抑制される。なお、ラックシャフト支持装置40においては、ヨーク背面部分53と中間リング110との間に隙間が形成されている。このため、ヨーク本体51がラックシャフト14から離間方向に作用する力を受けたとき、ヨーク本体51がヨーク背面部分53と中間リング110との隙間の分だけ離間方向に移動することが許容される。ヨーク本体51は、ラックハウジング21等に対して離間方向に移動するとき、樹脂弾性部品57の圧縮変形量を増加させる。このため、樹脂弾性部品57がヨーク本体51を押付方向に押す力が増加する。
【0072】
図2および
図4を参照して、ラックシャフト支持装置40の第2の機能について説明する。なお、区切部分間距離DAは、プラグ60の面区切部分65Bおよび中間部品70の面区切部分72Bの間の軸方向の距離を示す。また、初期状態は、ラックシャフト14の摩擦部分に磨耗が生じていない状態を示す。
【0073】
図4に示されるように、初期状態においては、転動体80は、プラグカム面65Aの中間位置65Cよりも付勢方向側の部分、および中間カム面72Aの中間位置72Cよりも反付勢方向側の部分にそれぞれ接触する。このため、転動体80がプラグカム面65Aの中間位置65Cおよび中間カム面72Aの中間位置72Cに位置すると仮定した構成の区切部分間距離DAと比較して、区切部分間距離DAが大きい。
【0074】
図2に示されるように、ラックシャフト14がサポートヨーク50を離間方向に押す力がサポートヨーク50に作用したとき、中間部品70は、ヨーク本体51のヨーク背面部分53、樹脂弾性部品57、および中間リング110を介して、中間部品70を離間方向に押す力が付与される。このとき、転動体80は、中間部品70によりプラグカム面65Aに押し付けられる。このため、転動体80には、プラグカム面65Aからの反力が作用する。中間カム面72Aには、転動体80からの反力が作用する。これにより、中間部品70には、中間部品70を反付勢方向に回転させる力が作用する。このため、中間部品70は、反付勢方向に回転する。このとき、
図4に示されるように、転動体80がプラグカム面65Aの中間位置65Cおよび中間カム面72Aの中間位置72Cに向けて移動するため、区切部分間距離DAが小さくなる。すなわち、中間部品70が離間方向に移動する。したがって、サポートヨーク50(
図2参照)が離間方向に移動するため、ラックギヤ14Cおよびピニオンギヤ13A(ともに
図2参照)の噛合部分に作用する力が大きくなることが抑制される。
【0075】
図4および
図5を参照して、ラックシャフト支持装置40の第3の機能について説明する。
回転力発生ばね100(
図3参照)は、中間部品70をプラグ本体61に対して回転させる力を中間部品70に付与している。すなわち回転力発生ばね100は、中間カム面72Aをプラグカム面65Aに対して回転させる力を中間部品70に付与している。
【0076】
中間部品70に付与されるばね力は、中間カム面72Aに接触した転動体80により押付方向と同じ方向に作用する。このため、中間部品70は、中間部品70に付与されるばね力により、プラグ本体61に対して押付方向に移動しようとする状態にある。
【0077】
一方、中間部品70は、ラックハウジング21等に対する押付方向への移動がサポートヨーク50(ともに
図2参照)により規制されている。このため、回転力発生ばね100から中間部品70にばね力が付与された状態において、中間部品70がプラグ本体61に対して押付方向に移動しない。しかし、ラックシャフト14(
図2参照)の摩擦部分の磨耗量が増加するときには、押付方向においてラックハウジング21等に対してサポートヨーク50の移動が許容される範囲が拡大する。このため、押付方向において、ラックハウジング21等に対して中間部品70の移動が許容される範囲も拡大する。
【0078】
このため、回転力発生ばね100のばね力により中間部品70がプラグ本体61に対して回転する。このとき、
図5に示されるように、転動体80は、プラグカム面65Aの付勢方向の端部に向けて移動する。また、転動体80は、中間カム面72Aの反付勢方向の端部に向けて移動する。これにより、初期状態の区切部分間距離DAと比較して、区切部分間距離DAが大きくなる。すなわち、中間部品70は、初期状態における位置から押付方向に移動する。このため、押付方向における中間部品70とサポートヨーク50との相対的な位置関係は、プラグ本体61に対する中間部品70の回転が生じる前の関係と実質的に同じ関係に維持される。すなわち、押付方向における中間部品70とサポートヨーク50との相対的な位置関係は、ラックシャフト14の摩擦部分の磨耗量が増加する前の関係と実質的に同じ関係に維持される。
【0079】
このため、ラックシャフト14の摩擦部分の磨耗量が増加することに起因して、離間方向におけるラック背面部分14E(
図2参照)に対するサポートヨーク50の移動範囲が拡大することが抑制される。このため、ラックシャフト14の摩擦部分の磨耗量が増加した場合においても、ピニオンシャフト13(
図2参照)およびラックシャフト14の接触音の発生が抑制される。
【0080】
本実施形態のステアリング装置1は、以下の効果を奏する。
(1)ラックシャフト支持装置40は、プラグカム面65Aおよび中間カム面72Aのそれぞれに接触する転動体80を有する。この構成によれば、転動体80が中間カム面72Aおよびプラグカム面65Aに接触した状態において各面72A,65Aに対して転がるため、中間カム面およびプラグカム面が直接的に接触していると仮定した構成と比較して、中間部品70の回転抵抗が小さい。このため、中間部品70がプラグ60に対して滑らかに回転しやすい。
【0081】
(2)ラックシャフト支持装置40は、転動体80がプラグカム面65Aにおける中間位置65Cよりも付勢方向側の部分に接触し、中間カム面72Aにおける中間位置72Cよりも反付勢方向側の部分に接触する構成を有する。この構成によれば、ラックシャフト14がサポートヨーク50を離間方向に押すとき、中間部品70がプラグ60に対して反付勢方向に回転することにより、サポートヨーク50および中間部品70が離間方向に移動する。このため、ラックギヤ14Cおよびピニオンギヤ13Aの噛合部分に作用する力が大きくなることが抑制される。
【0082】
(3)ラックシャフト支持装置40は、保持器90を有する。この構成によれば、保持器90が各転動体80を保持するため、転動体80が互いに接触すること、および転動体80が個別に移動することが抑制される。したがって、転動体80が個別に移動することに起因して中間部品70がプラグ60に対して傾くことが抑制される。
【0083】
本発明は、上記実施形態とは別の実施形態を含む。以下、本発明のその他の実施形態としての上記実施形態の変形例を示す。なお、以下の各変形例は、互いに組み合わせることもできる。
【0084】
・実施形態のサポートヨーク50は、ヨーク本体51、ヨーク支持部分52、およびヨーク背面部分53が同一の金属材料により一体的に形成された構成を有する。一方、変形例のサポートヨーク50は、ヨーク支持部分52およびヨーク背面部分53の少なくとも一方がヨーク本体51から独立した個別の部品として形成された構成を有する。この変形例のサポートヨーク50は、個別の部品として形成されたヨーク支持部分52およびヨーク背面部分53の少なくとも一方がヨーク本体51に結合された構成を有する。この変形例のサポートヨーク50においては、ヨーク支持部分52およびヨーク背面部分53の少なくとも一方の部品をヨーク本体51とは異なる材料により形成することもできる。
【0085】
・実施形態のプラグ60のプラグ本体61は、プラグ固定部分62、プラグ背壁部分63、およびプラグ端部65が同一の金属材料により一体的に形成された構成を有する。一方、変形例のプラグ60は、プラグ背壁部分63およびプラグ端部65の少なくとも一方がプラグ固定部分62から独立した個別の部品として形成された構成を有する。この変形例のプラグ本体61は、個別の部品として形成されたプラグ背壁部分63およびプラグ端部65の少なくとも一方がプラグ固定部分62に結合された構成を有する。この変形例のプラグ本体61においては、プラグ背壁部分63およびプラグ端部65の少なくとも一方の部品をプラグ固定部分62とは異なる材料により形成することもできる。
【0086】
・実施形態のプラグ60のプラグ本体61は、プラグ背壁部分63およびばね取付部分64が同一の金属材料により一体的に形成された構成を有する。一方、変形例のプラグ本体61は、ばね取付部分64がプラグ背壁部分63から独立した個別の部品として形成された構成を有する。この変形例のプラグ本体61は、ばね取付部分64がプラグ背壁部分63に結合された構成を有する。この変形例のプラグ本体61においては、ばね取付部分64をプラグ背壁部分63とは異なる材料により形成することもできる。
【0087】
・また、別の変形例のプラグ本体61は、
図6に示されるように、ばね取付部分64に代えて、ばね調整部品120およびロックナット124を有する。ばね調整部品120は、プラグ背壁部分63から独立した個別の部品として形成される。ばね調整部品120は、金属材料により形成される。ばね調整部品120は、円柱形状に形成される。ばね調整部品120は、雄ねじ121、ばね取付部分122、およびばね保持溝123を有する。ばね調整部品120は、プラグ背壁部分63に形成されたねじ孔63Aに雄ねじ121がねじ込まれることによりプラグ背壁部分63に結合される。ばね調整部品120は、ばね取付部分122がプラグ背壁部分63からプラグ内部空間66に突出する構成を有する。ばね調整部品120は、ばね取付部分122においてばね保持溝123により2個の柱形状部分に区分された構成を有する。ばね調整部品120においては、回転力発生ばね100の第1ばね端部101がばね保持溝123に圧入される。ばね調整部品120は、雄ねじ121にロックナット124がねじ込まれる構成を有する。ロックナット124は、プラグ背壁部分63の離間方向側の端面に接触する。ロックナット124は、プラグ本体61に対するばね調整部品120の緩みが生じることを抑制する。
【0088】
この別の変形例のプラグ本体61を有するラックシャフト支持装置40においては、中間部品70から突出部分74が省略することもできる。上記ラックシャフト支持装置40においては、回転力発生ばね100のばね力の調整は次のように行われる。すなわち、作業者は、プラグ60および中間部品70を仮止ボルトにより固定する。作業者は次に、周方向において回転力発生ばね100のばね力が増加する方向にばね調整部品120を所定量回転させる。作業者は次に、ばね調整部品120にロックナット124を取り付ける。
【0089】
・実施形態の中間部品70は、中間部品本体71、中間対向部分72、ばね取付部分73、および突出部分74が同一の金属材料により一体的に形成された構成を有する。一方、変形例の中間部品70は、中間対向部分72、ばね取付部分73、および突出部分74の少なくとも1つが中間部品本体71から独立した個別の部品として形成された構成を有する。この変形例の中間部品70は、中間対向部分72、ばね取付部分73、および突出部分74の少なくとも1つが中間部品本体71に結合された構成を有する。この変形例の中間部品70においては、中間対向部分72、ばね取付部分73、および突出部分74の少なくとも1つが中間部品本体71とは異なる材料により形成することもできる。
【0090】
・実施形態のラックシャフト支持装置40は、押付方向から離間方向に向けて湾曲する湾曲形状に形成されたプラグカム面65Aと、離間方向から押付方向に向けて湾曲する湾曲形状に形成された中間カム面72Aとを有する。一方、変形例のラックシャフト支持装置40は、以下の構成のいずれかを有する。
(A1)変形例のラックシャフト支持装置40は、プラグカム面65Aおよび中間カム面72Aの一方が径方向に平行する平面形状に形成された構成を有する。
(A2)変形例のラックシャフト支持装置40においては、プラグカム面65Aが付勢方向から反付勢方向に向かうにつれて押付方向から離間方向に向けて傾斜する平面形状に形成される。
(A3)変形例のラックシャフト支持装置40においては、中間カム面72Aが付勢方向から反付勢方向に向かうにつれて押付方向から離間方向に向けて傾斜する平面形状に形成される。
(A4)変形例のラックシャフト支持装置40は、付勢方向から反付勢方向に向かうにつれて押付方向から離間方向に向けて傾斜する平面形状に形成されたプラグカム面65Aと、付勢方向から反付勢方向に向かうにつれて押付方向から離間方向に向けて傾斜する平面形状に形成された中間カム面72Aとを有する。
(A5)変形例のラックシャフト支持装置40は、付勢方向から反付勢方向に向かうにつれて離間方向から押付方向に向けて傾斜する平面形状に形成されたプラグカム面65Aと、付勢方向から反付勢方向に向かうにつれて押付方向から離間方向に向けて傾斜する平面形状に形成された中間カム面72Aとを有する。
(A6)変形例のラックシャフト支持装置40は、径方向に平行する平面形状に形成されたプラグカム面65Aと、付勢方向から反付勢方向に向かうにつれて押付方向から離間方向に向けて傾斜する平面形状に形成された中間カム面72Aとを有する。
(A7)変形例のラックシャフト支持装置40は、付勢方向から反付勢方向に向かうにつれて押付方向から離間方向に向けて傾斜する平面形状に形成されたプラグカム面65Aと、径方向に平行する平面形状に形成された中間カム面72Aとを有する。
【0091】
・実施形態のラックシャフト支持装置40は、プラグカム面65Aが付勢方向側の端部から中間位置65Cに向かうにつれて押付方向から離間方向に向けて湾曲状に傾斜する構成を有する。一方、変形例のラックシャフト支持装置40は、以下の構成のいずれかを有する。
(B1)変形例のラックシャフト支持装置40においては、プラグカム面65Aにおいて付勢方向側の端部から中間位置65Cにわたる部分がプラグ本体61の径方向に平行する平面形状に形成される。
(B2)変形例のラックシャフト支持装置40においては、プラグカム面65Aが付勢方向側の端部から中間位置65Cに向かうにつれて押付方向から離間方向に向けて傾斜する平面形状に形成される。
【0092】
・実施形態のラックシャフト支持装置40は、プラグカム面65Aが中間位置65Cから反付勢方向側の端部に向かうにつれて離間方向から押付方向に向けて湾曲状に傾斜する構成を有する。一方、変形例のラックシャフト支持装置40は、以下の構成のいずれかを有する。
(C1)変形例のラックシャフト支持装置40においては、プラグカム面65Aにおいて中間位置65Cから反付勢方向側の端部にわたる部分がプラグ本体61の径方向に平行する平面形状に形成される。
(C2)変形例のラックシャフト支持装置40においては、プラグカム面65Aが中間位置65Cから反付勢方向側の端部に向かうにつれて離間方向から押付方向に向けて傾斜する平面形状に形成される。
(C3)変形例のラックシャフト支持装置40においては、プラグカム面65Aが中間位置65Cから反付勢方向側の端部に向かうにつれて押付方向から離間方向に向けて傾斜する平面形状に形成される。
【0093】
・実施形態のラックシャフト支持装置40は、中間カム面72Aが中間位置72Cから反付勢方向側の端部に向かうにつれて押付方向から離間方向に向けて湾曲状に傾斜する構成を有する。一方、変形例のラックシャフト支持装置40は、以下の構成のいずれかを有する。
(D1)変形例のラックシャフト支持装置40においては、中間カム面72Aにおいて中間位置72Cから反付勢方向側の端部にわたる部分が中間部品70の径方向に平行する平面形状に形成される。
(D2)変形例のラックシャフト支持装置40においては、中間カム面72Aが中間位置72Cから反付勢方向側の端部に向かうにつれて押付方向から離間方向に向けて傾斜する平面形状に形成される。
【0094】
・実施形態のラックシャフト支持装置40は、中間カム面72Aが付勢方向側の端部から中間位置72Cに向かうにつれて離間方向から押付方向に向けて湾曲状に傾斜する構成を有する。一方、変形例のラックシャフト支持装置40は、以下の構成のいずれかを有する。
(E1)変形例のラックシャフト支持装置40においては、中間カム面72Aにおいて付勢方向側の端部から中間位置72Cにわたる部分が中間部品70の径方向に平行する平面形状に形成される。
(E2)変形例のラックシャフト支持装置40においては、中間カム面72Aが付勢方向側の端部から中間位置72Cに向かうにつれて離間方向から押付方向に向けて傾斜する平面形状に形成される。
(E3)変形例のラックシャフト支持装置40においては、中間カム面72Aが付勢方向側の端部から中間位置72Cに向かうにつれて押付方向から離間方向に向けて傾斜する平面形状に形成される。
【0095】
・実施形態の転動体80は、球状に形成される。一方、変形例の転動体80は、円筒形状に形成される。この変形例の転動体80として、ころが用いられる。
・実施形態の転動体80は、1個のプラグカム面65Aおよび1個の中間カム面72Aの間に1個配置される。一方、変形例の転動体80は、1個のプラグカム面65Aおよび1個の中間カム面72Aの間に複数個配置される。
【0096】
・実施形態のラックシャフト支持装置40は、3個の転動体80を有する。一方、変形例のラックシャフト支持装置40は、4個以上の転動体80を有する。この変形例のラックシャフト支持装置40においては、プラグ60が転動体80の個数と同数のプラグカム面65Aを有し、中間部品70が転動体80の個数と同数の中間カム面72Aを有する。また、別の変形例のラックシャフト支持装置40においては、転動体80が1個のプラグカム面65Aおよび1個の中間カム面72Aの間に複数個配置される。
【0097】
・実施形態のラックシャフト支持装置40は、保持器90を有する。一方、変形例のラックシャフト支持装置40は、保持器90を有していない。
・実施形態のラックシャフト支持装置40は、中間部品70の中間本体正面71Aに中間リング110が面接触する構成を有する。一方、変形例のラックシャフト支持装置40は、
図7に示されるように、中間部品70および中間リング150の間に3個の転動体130および1個の保持器140が位置する構成を有する。詳細には、中間部品70の中間本体正面71Aは、プラグ60のプラグカム面65Aと同形状の中間転動面71Cを有する。中間転動面71Cは、周方向および中間部品70の径方向においてプラグカム面65Aと同じ位置となる中間部品70の部分に形成される。中間リング150は、実施形態の中間リング110と同様の形状を有する。中間リング150は、中間部品70の中間カム面72Aと同形状の中間リング転動面151を有する。中間リング転動面151は、周方向および中間リング150の径方向において中間カム面72Aと同じ位置となる中間リング150の部分に形成される。転動体130は、中間転動面71Cおよび中間リング転動面151の間において中間転動面71Cおよび中間リング転動面151に接触する。保持器140は保持器90と同形状を有する。
【0098】
この構成によれば、中間部品70は、転動体130を介して中間リング150に対して回転するため、中間部品70および中間リング150が面接触すると仮定した構成と比較して、中間部品70の回転抵抗が小さくなる。したがって、中間リング150に対して回転しやすい。
【0099】
・上記変形例のラックシャフト支持装置40において、中間リング150および樹脂弾性部品57を省略することもできる。すなわち、上記変形例のラックシャフト支持装置40において、転動体130が中間部品70およびサポートヨーク50に接触した状態で挟み込まれる構成とすることもできる。
【0100】
・実施形態のラックシャフト支持装置40は、回転力発生ばね100としてねじりコイルばねを有する。一方、変形例のラックシャフト支持装置40は、回転力発生ばね100としてぜんまいばねを有する。
【0101】
・実施形態のラックシャフト支持装置40は、ヨーク本体51に樹脂弾性部品57が取り付けられる構成を有する。一方、変形例のラックシャフト支持装置40は、ヨーク本体51から樹脂弾性部品57が省略された構成を有する。
【0102】
・実施形態のラックシャフト支持装置40は、中間リング110を有する。一方、変形例のラックシャフト支持装置40は、中間リング110を有していない。
・実施形態のステアリング装置1は、軸方向に直交する断面の形状がD字形状に類似するラックシャフト14を有する。一方、変形例のステアリング装置1は、ラックシャフト14に代えて、軸方向に直交する断面の形状がY字形状に類似するラックシャフトを有する。
【0103】
・実施形態のステアリング装置1は、ラックパラレル型の電動パワーステアリング装置としての構成を有する。一方、変形例のステアリング装置1は、コラムアシスト型、ピニオンアシスト型、デュアルピニオンアシスト型、またはラック同軸型の電動パワーステアリング装置としての構成を有する。
【0104】
・実施形態のステアリング装置1は、アシスト装置30を有する電動パワーステアリング装置としての構成を有する。一方、変形例のステアリング装置1は、アシスト装置30が省略された機械式のステアリング装置としての構成を有する。
【0105】
要するに、ラックシャフトおよびピニオンシャフトを有するステアリング装置であれば、ラックパラレル型以外の電動パワーステアリング装置、および電動パワーステアリング装置以外のステアリング装置についても本発明を適用することができる。