特許第5928246号(P5928246)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5928246
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/00 20060101AFI20160519BHJP
   F24F 13/20 20060101ALI20160519BHJP
【FI】
   F24F7/00 A
   F24F1/02 411B
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2012-183996(P2012-183996)
(22)【出願日】2012年8月23日
(65)【公開番号】特開2014-40974(P2014-40974A)
(43)【公開日】2014年3月6日
【審査請求日】2015年3月31日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006611
【氏名又は名称】株式会社富士通ゼネラル
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 恵理
【審査官】 小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−028426(JP,A)
【文献】 特開平11−173611(JP,A)
【文献】 特開2010−025403(JP,A)
【文献】 特開平07−332751(JP,A)
【文献】 特開2004−016942(JP,A)
【文献】 特開2004−069157(JP,A)
【文献】 特開2004−084996(JP,A)
【文献】 特開2004−084978(JP,A)
【文献】 特開2008−215687(JP,A)
【文献】 特開2001−347118(JP,A)
【文献】 特開2001−041489(JP,A)
【文献】 特開2009−156511(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0216657(US,A1)
【文献】 特開2007−029792(JP,A)
【文献】 特開2004−077015(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/00
F24F 13/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筺体と、同筺体の前面に取り付けられる前面パネルと、同前面パネルの前面を覆う化粧パネルとを備えた空気調和機において、
前記前面パネルは前面側に凹部を形成し、同凹部は同凹部の底面部に向かい側面が傾斜した凹部傾斜面を備え、且つ底面部に吸込口が開口され、
前記化粧パネルは、左右幅が前記前面パネルの前記凹部の前記底面部を覆うように形成され、左右両端に前記前面パネルの前記凹部の前記底面部に向けて延出するフランジを備え、前記化粧パネルと前記凹部との間に空気取入口を形成し、
前記前面パネルは、前記化粧パネルの前記フランジよりも内側で前記吸込口の周縁に前記化粧パネル側に突出させた突出部を設けたことを特徴とする空気調和機。
【請求項2】
前記化粧パネルの前記フランジにおける前記前面パネル側のフランジ端面と前記前面パネルの前記凹部の前記底面部の間を距離T1とし、前記化粧パネルの裏面と前記前面パネルの前記突出部の先端に設けた突出面の間を距離T2とし、T1≒T2となるように構成することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記化粧パネルの前記フランジ端面と、前記前面パネルの前記突出面と突出部傾斜面の交点を結ぶ仮想線と、前記化粧パネルの前面に平行で仮想線と同一平面上に設けた基準線との角度を略45°以下とすることを特徴とする請求項1または2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記前面パネルの前記突出部は前記凹部側に突出部傾斜面を備え、前記凹部傾斜面と、前記底面部と、前記突出部傾斜面と、前記突出面とで連続したなだらかな曲面を形成して空気流路となることを特徴とする請求項ないし3に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気調和機の前面パネルと化粧パネルの形状に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の中で床置形空気調和機や空気清浄機は、筺体の前面に設けられた前面パネルの前面側に凹部を備え、凹部の底部が開口して吸込口となり、吸込口の前面を前面パネルまたは化粧パネルで覆うとともに、前面パネルまたは化粧パネルと凹部との間に形成される空気取入口から空気を取り入れ、吸込口に流入させる意匠が、前面からは吸込口が見えないため好まれている。(例えば、特許文1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特2002−28426号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の空気調和機は、前面から視認すると吸込口は前面パネルの一部または化粧パネルにより隠されて良好な意匠となるが、斜め側方から視認すると、空気取入口から吸込口が見え、且つ吸込口に取り付けられたフィルターまで見えることになる。
そこで、フィルターが見えないように空気取入口を狭くした場合は空気の充分な吸込量が得られない。
【0005】
本発明の課題は上記問題点に鑑み、筺体の前面に設けられた前面パネルの前面側に凹部を備え、凹部の底面部の一部が開口して吸込口となり、底面部および吸込口を化粧パネルで覆うとともに、化粧パネルと凹部との間に形成される空気取入口から空気を取り入れる空気調和機において、空気取入口から吸込口が視認できなくすることで美観が向上し、且つ充分な吸込量も確保できる空気調和機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成する為に本発明は、筺体と、同筺体の前面に取り付けられる前面パネルと、同前面パネルの前面を覆う化粧パネルとを備えた空気調和機において、
前記前面パネルは前面側に凹部を形成し、同凹部は同凹部の底面部に向かい側面が傾斜した凹部傾斜面を備え、且つ底面部に吸込口が開口され、
前記化粧パネルは、左右幅が前記前面パネルの前記凹部の前記底面部を覆うように形成され、左右両端に前記前面パネルの前記凹部の前記底面部に向けて延出するフランジを備え、前記化粧パネルと前記凹部との間に空気取入口を形成し、
前記前面パネルは、前記化粧パネルの前記フランジよりも内側で前記吸込口の周縁に前記化粧パネル側に突出させた突出部を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、筺体と、筺体の前面に取り付けられる前面パネルと、前面パネルの前面を覆う化粧パネルとを備え、前面パネルは前面側に凹部を形成して、凹部の底面部に吸込口を設け、化粧パネルは左右幅が凹部の底面部を覆うように形成され、左右両端に凹部の底面部に向けて延出するフランジを備え、化粧パネルと凹部との間に空気取入口を形成し、前面パネルは、化粧パネルのフランジよりも内側で吸込口の周縁に化粧パネル側に突出させた突出部を設けたことで、空気取入口を如何なる角度から覗いても化粧パネルのフランジが前面パネルの突出部の前方に被り、フランジと突出部だけが見えて吸込口は視認できなくすることで美観が向上し、且つ充分な吸込量も確保できる空気調和機となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明による空気調和機の外観図である。
図2】本発明による空気調和機の運転状態を示す外観図である。
図3】本発明による空気調和機の前面パネル分解図である。
図4】本発明による空気調和機の正面図である。
図5図4に示すA−A断面図である。
図6図5に示すY部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に基づいた実施例として詳細に説明する。なお、実施例1では空気清浄機で説明するが、本発明はこれに限らず、前面パネルに吸込口を有し吸込口を化粧パネルで覆う空気調和機全般に応用される。
【実施例1】
【0010】
空気清浄機1は、図1から図5に示すように、箱型の筺体10と、筺体10の前面に取り付けられる前面パネル2と、前面パネル2の前面を覆う化粧パネル3とを備え、筺体10の天面の前面寄りには操作部11と、背面寄りには吹出口12と、運転停止時には吹出口12を塞ぎ運転時には風向を調整する風向フラップ13とを備える。
筺体10の内部には、送風ファン14と送風ファン14の手前に脱臭フィルター15を備え、脱臭フィルター15の手前に脱臭フィルター15をガードする脱臭フィルター用ガード16を備える。
【0011】
<前面パネル>
前面パネル2は、図3から図5に示すように、筺体10の前面を全て覆うように取り付けられ、側面視で前方が狭くなる台形状であり、台形状の天面にあたる前面側に凹部20が形成されている。図では前面パネル2の上下左右端の縁部21から凹部20が形成されているが、これに限らず前面の一部分に凹部20を形成してもよい。
凹部20は、図5に示すように、縁部21から凹部20の底面部22に向かい側面が傾斜した凹部傾斜面20aを備える。凹部傾斜面20aは平面状でも曲面状でもよいが、上下左右端の縁部21から等しい角度または形状で形成されている。
凹部傾斜面20aに繋がる凹部20の底面部22には、送風ファン14が空気を取り入れるための吸込口23が矩形状に開口されている。
【0012】
吸込口23の周囲は、図3図5図6に示すように、周縁壁24で囲まれている。周縁壁24の内側にはプレフィルター40と、集塵フィルター41が着脱自在に取り付けられる。
周縁壁24の前面側で吸込口23の入口には、前方に突出した突出部25が形成されている。突出部25は、突出部25の先端に設けた突出面25aと、底面部22側に傾斜した突出部傾斜面25bを備える。左右方向における突出部25は突出面25aが狭く山形状であり、下方向における突出部25は突出面25aが広く化粧パネル3を係止する係止用孔26a、26bを備え、上方向における突出部25は突出面25aが広く突出部傾斜面25bに化粧パネル3を係止する係止用孔26c、26dを備える。
凹部20は、凹部傾斜面20aと、底面部22、突出部傾斜面25b、突出面25aとで連続したなだらかな曲面を形成して空気Sを導く空気流路Pとなる。
【0013】
<化粧パネル>
化粧パネル3は、図3から図5に示すように、前面パネル2よりも小さく、上方と下方にそれぞれ背面側に向かう曲面部3a、3bを備えたフラットな板状であり、左右幅は、前面パネル3の底面部22を覆うように形成され、左右両端に底面部22向けて延出するフランジ31を備える。
また、化粧パネル3は、裏面3cの下方に係止爪32a、32bを、上方に係止爪32c、32dを備える。
【0014】
<組立>
化粧パネル3とプレフィルター40及び集塵フィルター41を前面パネル2に取り付け組み立てる作業について説明する。まず吸込口23の周縁壁24内側に集塵フィルター41を合わせ集塵フィルター41の上からプレフィルター40の上下にある係止爪40aを吸込口23の周縁壁24内側に設けた係止用孔24aに係止することでプレフィルター40が取り付けられるとともに集塵フィルター41を挟み込み固定する。
次に、化粧パネル3は、係止爪32a、32bを、前面パネル2の突出面25aに設けた係止用孔26a、26bに差し込み、係止爪32c、32dを、前面パネル2の突出部傾斜面25bに設けた係止用孔26c、26dに前面から押し込むように嵌めることで、取り付けられる。
プレフィルター40及び集塵フィルター41を外す作業は逆の手順を行うことで、化粧パネル3とプレフィルター40及び集塵フィルター41は着脱自在となる。
【0015】
組み立てられた空気清浄機1は、図2に示すように、前面パネル2と化粧パネル3との間に側面側空気取入口23a、23b、上面側空気取入口23c、底面側空気取入口23dを構成して4方から送風ファン14により空気Sを取り込み、吸込口23を通過しプレフィルター40及び集塵フィルター41と脱臭フィルター15等で空気清浄処理をして吹出口12から室内に吹き出す。
【0016】
<前面パネルと化粧パネル>
前面パネル2と化粧パネル3の配置について説明する。前面パネル2の突出部25は、化粧パネル3のフランジ31よりも内側に配置される。図6に示すように、化粧パネル3のフランジ31の前面パネル2側のフランジ端面31aは前面パネル2の縁部21に対して同じ位置または図6における下方になるように配置される。
フランジ端面31aと底面部22の間を距離T1とし、化粧パネル3の裏面3cと前面パネルの突出面25aの間を距離T2とし、T1≒T2となるように構成する。T1≒T2とすることで、T1とT2のどちらか一方に比べて狭くなり空気Sの流れが速くなることで騒音が発生する虞や、吸込量が減少する虞を回避できる。
【0017】
次に、化粧パネル3のフランジ31のフランジ端面31aと、前面パネルの突出面25aと突出部傾斜面25bの交点25cを結ぶ仮想線50を設定する。仮想線50は化粧パネル3の前面に平行で仮想線50と同一平面上に設けた基準51と角度Xをなすように設定する。角度Xは略45°以下が望ましい。45°以下であると側面側空気取入口23a(23b)を如何なる角度から覗いても化粧パネル3のフランジ31が前面パネル2の突出部25の前方に被り、フランジ31と突出部25だけが見えて吸込口23は視認されない。一方、角度Xを60度にした場合は、側面側空気取入口23a(23b)を覗くと、化粧パネル3のフランジ31が前面パネルの突出部25の前方に被らなくなり、吸込口23が視認されるようになる。
【0018】
上記構成により、側面側空気取入口23a(23b)から取り入れられた空気Sは、前面パネル2の凹部傾斜面20aと、底面部22と、突出部傾斜面25bと、突出面25aとで連続したなだらかな曲面を形成した空気流路Pにそって吸込口23に流れ込む。
化粧パネル3側は、化粧パネル3のフランジ31のフランジ端面31aと前面パネルの底面部22の距離T1と、化粧パネル3の裏面3cと前面パネルの突出面25aの距離T2を、T1≒T2となるように構成することで、部分的に狭くなることがなく、且つ充分な空気流路幅を確保でき、吸い込まれた空気Sは、スムーズに吸込口23に流れ込む。よって、吸込口23の周囲に突出部25を設けても、空気Sが化粧パネル3の裏面3cを伝う構成としたことで充分な空気Sの吸込量が確保できる。
そして、化粧パネル3のフランジ31のフランジ端面31aと、前面パネルの突出面25aと突出部傾斜面25bの交点25cとを結ぶ仮想線50と、化粧パネル3の前面に平行で仮想線50と同一平面上に設けた基準51とが略45°以下の角度であることで、図1に示すように、側面側空気取入口23a(23b)から吸込口23を覗いても、化粧パネル3のフランジ31と前面パネル3の突出部25とが見えるだけで吸込口23および吸込口23に取り付けたプレフィルター40が視認されることはなく、美観が向上する。
【0019】
また、上面側空気取入口23cと、底面側空気取入口23dとはそれぞれ前面パネル2の突出面25aと化粧パネル3の上方と下方の曲面部3a、3bとの間の隙間を空気Sが通過することで取り入れられるとともに、化粧パネル3の上方と下方の曲面部3a、3bと前面パネル2の突出面25aが奥行きがあるためプレフィルター40が視認されることはない。
【符号の説明】
【0020】
1 :空気清浄機
10 :筺体
12 :吹出口
2 :前面パネル
20 :凹部
20a:凹部傾斜面
21 :縁部
22 :底面部
23 :吸込口
23a、23b:側面側空気取入口
24 :周縁壁
25 :突出部
25a:突出面
25b:突出部傾斜面
3 :化粧パネル
3a、3b:曲面部
3c :裏面
31 :フランジ
31a:フランジ端面
40 :プレフィルター
41 :集塵フィルター
P :空気流路
S :空気
T1、T2:距離
X :角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6