特許第5928276号(P5928276)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5928276
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 9/14 20060101AFI20160519BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20160519BHJP
【FI】
   B65H9/14
   B65H5/06 J
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-210350(P2012-210350)
(22)【出願日】2012年9月25日
(65)【公開番号】特開2014-65553(P2014-65553A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 賢広
(72)【発明者】
【氏名】川中子 悠介
(72)【発明者】
【氏名】柿田 昭彦
【審査官】 西村 賢
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−144348(JP,A)
【文献】 特開平10−316276(JP,A)
【文献】 特開2012−051699(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/02− 5/22
B65H 9/00− 9/20
B65H 13/00−15/02
B65H 29/12−29/32
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体にトナー像を形成する画像形成部と、
前記トナー像を用紙に転写する転写部と、
前記転写部に向けて用紙を搬送するS字状に屈曲した搬送経路を有する搬送部と、
前記搬送経路に沿って上流側から順に配置された搬送ローラ,ループローラ,レジストローラと、
前記搬送部によって搬送される用紙が所定の第1の紙種であるか所定の第2の紙種であるかを判別する判別部と、
前記判別部が前記用紙を第1の紙種であると判別した場合は、前記レジストローラに用紙が突入する前に前記搬送ローラを用紙から離間させ、前記判別部が前記用紙を第2の紙種であると判別した場合は、前記レジストローラに用紙がニップされた以降に前記搬送ローラを用紙から離間させるように制御する制御部と、
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記判別部が前記用紙を第2の紙種であると判別した場合、前記レジストローラに用紙がニップされた後、前記ループローラにより用紙にレジストループを形成し、その後、前記レジストローラの回転を開始させた後に前記ループローラ及び前記搬送ローラを用紙から離間させるように制御する
請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記判別部が前記用紙を前記第2の紙種であると判別した場合、前記ループローラ及び前記搬送ローラを用紙から離間させた後、前記レジストローラを揺動させるように制御する
請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2の紙種の用紙は、前記第1の紙種の用紙よりも紙厚の厚い用紙,剛度の高い用紙または摩擦抵抗値の高い用紙である
請求項1記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体等の像担持体に形成されたトナー像を転写材である用紙に転写する画像形成装置に関し、特に、用紙の搬送部にS字状に屈曲した経路が設けられた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
帯電させた感光体を画像データに基づいて露光して静電潜像を形成し、この感光体にトナーを付着させることによりトナー像を形成し、このトナー像を転写材である用紙に転写することにより画像を形成する複写機,プリンタ,ファクシミリ,複合機等の画像形成装置が普及している。
【0003】
こうした画像形成装置において、用紙をトナー像の転写位置に搬送する搬送部には、一般に、転写位置のすぐ上流側にレジストローラが配置されるとともに、レジストローラの上流側に複数の搬送ローラが配置されている。搬送部では、搬送ローラにより用紙をレジストローラにまで搬送した後、用紙にトナー像を転写可能になるタイミングで、レジストローラにより用紙を転写位置に送り出す。
【0004】
また一般に、複数の搬送ローラのうちのレジストローラのすぐ上流側の搬送ローラは、用紙がレジストローラに到着した後にさらに搬送を続けて用紙をループ状に撓ませる(レジストループを形成する)ループローラとしての役割を有している。用紙が傾いて搬送された場合でも、このようなレジストループを形成することにより、用紙の先端全域が均一にレジストローラに当接するように用紙の向きを変えて、傾きを補正することができる。
【0005】
従来、このような搬送部が設けられた画像形成装置では、レジストローラに用紙が突入する直前に、ループローラよりも上流側の用紙をニップしている搬送ローラを、全て用紙から離間させていた。これは、レジストループを形成して用紙の向きを変える際に、用紙をニップしているローラの数が少ないほうが用紙の向きを変えやすいからである。
【0006】
なお、レジストローラよりも上流側のループローラや搬送ローラを用紙から離間させることを前提とした技術としては、従来から次の〔1〕や〔2〕のようなものも開示されている。
【0007】
〔1〕レジストローラが回転を開始してから所定時間後にループローラを用紙から離間させることにより、レジストループの形成時に用紙の幅方向で撓みの大きさが不均一であった場合でも、撓みの不均一を解消し、レジストローラで送り出される用紙にしわが発生しないようにする(例えば特許文献1参照。)。
【0008】
〔2〕レジストローラを用紙の幅方向に揺動させる揺動機構を設ける。また、レジストローラのすぐ上流側に、用紙の搬送方向に平行に用紙位置決め部材としての基準ガイドを設けるとともに、用紙を基準ガイド側に寄せるように搬送する斜行ローラを設ける。そして、斜行ローラにより用紙の側端を基準ガイドに突き当てて用紙の傾きを補正した後、用紙がレジストローラにニップされると、斜行ローラを用紙から離間させ、レジストローラを揺動させることにより用紙の幅方向の位置を補正する(例えば特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平11−165914号公報
【特許文献2】特開平11−189355号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、画像形成装置を設計する際には、搬送部の搬送経路にS字状に屈曲した経路を設けるケースがあり得る。そうしたケースの一例としては、画像形成装置に既存の大容量の給紙ユニットをオプションとして装着できるようにしたいが、その給紙ユニットから用紙が給紙される位置の高さの関係上、給紙された用紙を画像形成装置内ではS字状に屈曲した経路で搬送せざるを得ないケースが挙げられる。
【0011】
図7は、そうしたS字状の屈曲経路の一例を示す。図7の右側が搬送経路の上流側であり、上流側から下流側に向けて搬送ローラ301,搬送ローラ302,搬送ローラ303,ループローラ304,レジストローラ305が順に配置されている。なお、図7には、搬送中の用紙Sが、レジストローラ305に突入する直前の位置にあり、且つ搬送ローラ301−303及びループローラ304の全てにニップされている状態を示している。搬送ローラ301と搬送ローラ302との間は、S字状の屈曲経路306になっている。この屈曲経路306は、下凸カーブ307を描いており、下凸カーブ307の上側に上ガイド板308が設けられている。
【0012】
ところが、このようなS字状の屈曲経路306が設けられた画像形成装置において、図7にも示すように従来どおりレジストローラ305に用紙が突入する直前にループローラ304よりも上流側の搬送ローラ301−303を全て用紙Sから離間させると、厚紙,剛度の高い用紙,摩擦抵抗値の高い用紙のようないわゆる腰の強い用紙を搬送する場合、上ガイド板308と用紙Sとが接触することにより搬送時の抵抗が大きくなり、且つループローラ304だけで用紙Sを搬送することになるため、急な負荷変動や搬送力不足により用紙Sの搬送に不具合が生じることがある。
【0013】
なお、上記の特許文献1,2では、搬送部にこのようなS字状に屈曲した経路を設けた場合において、ループローラよりも上流側の搬送ローラを用紙から離間させるタイミングについて言及されていない。
【0014】
本発明は、上述の点に鑑み、用紙の搬送部にS字状に屈曲した経路が設けられた画像形成装置において、厚紙,剛度の高い用紙,摩擦抵抗値の高い用紙のような腰の強い用紙を搬送する場合の搬送不良を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決し、本発明の目的を達成するため、本発明の画像形成装置は、像担持体にトナー像を形成する画像形成部と、トナー像を用紙に転写する転写部と、転写部に向けて用紙を搬送するS字状に屈曲した搬送経路を有する搬送部と、搬送経路に沿って上流側から順に配置された搬送ローラ,ループローラ,レジストローラと、搬送部によって搬送される用紙が所定の第1の紙種であるか所定の第2の紙種であるかを判別する判別部と、 判別部が用紙を第1の紙種であると判別した場合は、レジストローラに用紙が突入する前に搬送ローラを用紙から離間させ、判別部が用紙を第2の紙種であると判別した場合は、レジストローラに用紙がニップされた以降に搬送ローラを用紙から離間させるように制御する制御部と、を備える。
【発明の効果】
【0016】
上記構成の画像形成装置によれば、用紙の紙種の判別結果に応じて、レジストローラよりも上流側の搬送ローラを用紙から離間させるタイミングを決定する。これにより、用紙の搬送時において、S字状に屈曲した搬送経路上の用紙の抵抗が大きくなり、急な負荷変動や用紙の搬送力不足が発生したとしても、確実に用紙を搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の画像形成部,中間転写ベルト,2次転写部,定着部等の構成を示す図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の搬送部の構成を示す図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の制御系の構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置における厚紙搬送時の搬送ローラの離間のタイミングを示す図である。
図5】本発明の第2の実施の形態における搬送部の制御処理を示すフローチャートである。
図6】本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置における厚紙搬送時の搬送ローラの離間のタイミングを示す図である。
図7】S字状の屈曲経路の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
〔第1の実施の形態〕
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置の画像形成部,中間転写ベルト,2次転写部,定着部等の構成を示す。この画像形成装置1は、電子写真方式により用紙に画像を形成するものであり、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)及びブラック(Bk)の4色のトナーを重ね合わせるタンデム形式のカラー画像形成装置である。画像形成装置1は、原稿搬送部10と、用紙収納部20と、画像読取部30と、画像形成部40と、中間転写ベルト50と、2次転写部70と、定着部80を有する。
【0019】
原稿搬送部10は、原稿をセットする原稿給紙台11と、複数のローラ12とを有している。原稿搬送部10の原稿給紙台11にセットされた原稿Gは、複数のローラ12によって、画像読取部30の読取位置に1枚ずつ搬送する。画像読取部30は、原稿搬送部10により搬送された原稿G又は原稿台13に載置された原稿の画像を読み取って、画像信号を生成する。
【0020】
用紙収納部20は、装置本体の下部に配置されており、用紙Sのサイズに応じて複数設けられている。この用紙Sは、給紙部21により給紙されて搬送部23に送られ、搬送部23によって転写位置である2次転写部70に搬送される。また、用紙収納部20の近傍には、手差部22が設けられている。この手差部22からは、用紙収納部20に収納されていないサイズの用紙やタグを有するタグ紙、OHPシート等の特殊紙が転写位置へ送られる。また、画像形成装置1にはオプションとして大容量の給紙ユニット2(図にはその端部のみを示している)を装着可能になっており、この給紙ユニット2から給紙された用紙も搬送部23に送られる。給紙ユニット2から用紙が給紙される位置の高さの関係上、搬送部23における給紙ユニット2からの用紙の搬送経路には、S字状に屈曲した経路である屈曲経路236が設けられている。
【0021】
画像読取部30と用紙収納部20の間には、画像形成部40と中間転写ベルト50が配置されている。画像形成部40は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の各色のトナー像を形成するために、4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kを有する。
【0022】
第1の画像形成ユニット40Yは、イエローのトナー像を形成し、第2の画像形成ユニット40Mは、マゼンダのトナー像を形成する。また、第3の画像形成ユニット40Cは、シアンのトナー像を形成し、第4の画像形成ユニット40Kは、ブラックのトナー像を形成する。これら4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kは、それぞれ同一の構成を有しているため、ここでは第1の画像形成ユニット40Yについて説明する。
【0023】
第1の画像形成ユニット40Yは、ドラム状の感光体41と、感光体41の周囲に配置された帯電部42と、露光部43と、現像部44と、クリーニング部45を有している。感光体41は、不図示の駆動モータによって反時計回りに回転する。帯電部42は、感光体41に電荷を与え感光体41の表面を一様に帯電する。露光部43は、原稿Gから読み取られた画像データに基づいて、感光体41の表面に対して露光走査を行い感光体41上に静電潜像を形成する。
【0024】
現像部44は、像担持体である感光体41に形成された静電潜像にイエローのトナーを付着させる。これにより、感光体41の表面は、イエローのトナー像が形成される。なお、第2の画像形成ユニット40Mの現像部44は、感光体41にマゼンタのトナーを付着させ、第3の画像形成ユニット40Cの現像部44は、感光体41にシアンのトナーを付着させる。そして、第4の画像形成ユニット40Kの現像部44は、感光体41にブラックのトナーを付着させる。
【0025】
感光体41上に付着したトナーは、像担持体の一例を示す中間転写ベルト50に転写される。クリーニング部45は、中間転写ベルト50に転写した後感光体41の表面に残留しているトナーを除去する。
【0026】
中間転写ベルト50は、無端状に形成されており、不図示の駆動モータで感光体41の回転方向とは逆方向の時計回りに回転する。中間転写ベルト50における各画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kの感光体41と対向する位置には、1次転写部51が設けられている。この1次転写部51は、中間転写ベルト50にトナーと反対の極性を印加させることで、感光体41上に形成されたトナー像を中間転写ベルト50に転写させる。
【0027】
そして、中間転写ベルト50が回転することで、中間転写ベルト50の表面には、4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kで形成されたトナー像が順次転写される。これにより、中間転写ベルト50上には、イエロー、マゼンダ、シアン及びブラックのトナー像が重なり合いカラー画像が形成される。
【0028】
中間転写ベルト50の近傍で、かつ搬送部23の下流には、2次転写部70が配置されている。2次転写部70は、対向するローラで構成されており、ローラによって搬送部23によって送られてきた用紙Sを中間転写ベルト50側に押圧する。そして、2次転写部70は、搬送部23によって送られてきた用紙S上に中間転写ベルト50に形成されたカラー画像を転写する。クリーニング部52は、用紙Sに転写した後中間転写ベルト50の表面に残留しているトナーを除去する。また、2次転写部70における用紙Sの排出側には、定着部80が設けられている。定着部80は、用紙Sに転写されたトナー像を加圧加熱定着させる。
【0029】
定着部80の下流には、切換ゲート24が配置されている。切換ゲート24は、定着部80を通過した用紙Sの搬送経路を切り替える。すなわち、切換ゲート24は、片面画像形成におけるフェースアップ排紙を行う場合に、用紙Sを直進させる。これにより、用紙Sは、一対の排紙ローラ25によって排紙される。また、切換ゲート24は、片面画像形成におけるフェースダウン排紙及び両面画像形成を行う場合に、用紙Sを下方に案内する。
【0030】
フェースダウン排紙を行う場合は、切換ゲート24によって用紙Sを下方に案内した後に、用紙反転搬送部26によって表裏を反転して上方に搬送する。これにより、用紙Sは、一対の排紙ローラ25によって排紙される。
両面画像形成を行う場合は、切換ゲート24によって用紙Sを下方に案内した後に、用紙反転搬送部26によって表裏を反転し、再給紙路27により再び転写位置へ送られる。
【0031】
また、一対の排紙ローラ25の下流側に、用紙Sを折ったり、用紙Sに対してステープル処理等を行ったりする後処理装置を配置してもよい。
【0032】
図2は、図1に示した搬送部23のうち、給紙ユニット2から給紙された用紙を搬送する搬送経路の部分の構成を示す。図2の右側が搬送経路の上流側であり、上流側から下流側に向けて搬送ローラ231,搬送ローラ232,搬送ローラ233,ループローラ234,レジストローラ235が順に配置されている。搬送ローラ231と搬送ローラ232との間には、図1にも示したS字状の屈曲経路236が形成されている。この屈曲経路236は、下凸カーブ237を描いており、下凸カーブ237の上側に上ガイド板238が設けられている。上ガイド板238は、用紙の先端が下凸カーブ237を通過する際に、用紙をめくれ上がらないようにして搬送ローラ232のニップ位置にまでガイドする役割を果たす。
【0033】
この屈曲経路236には、図1に示した用紙収納部20から給紙部21により給紙された用紙を搬送する不図示の搬送経路が合流する。
【0034】
搬送ローラ231−233及びループローラ234は、ソレノイド等の周知の駆動機構によって移動可能に構成されており、用紙から離間させることが可能になっている。レジストローラ235の直前の位置には、用紙の先端を検知する光学センサである先端検知センサ239が設けられている。また、搬送部23には、レジストローラ235を用紙の幅方向(図2の図面と垂直な方向)に揺動させる不図示の揺動機構が設けられている。
【0035】
図3は、画像形成装置1の制御系の構成を示す。画像形成装置1は、例えばCPU(Central Processing Unit)101と、CPU101が実行するプログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)102と、CPU101の作業領域として使用されるRAM(Random Access Memory)103と、を有する。さらに、大容量記憶装置としてのハードディスクドライブ(HDD)104と、操作表示部105と、用紙の紙種を判断する判別部106を有する。なお、ROM102としては、通常電気的に消去可能なプログラマブルROMが用いられる。
【0036】
CPU101は、制御部の一例であり、ROM102、RAM103、HDD104、操作表示部105及び判別部106にそれぞれシステムバス107を介して接続され、装置全体を制御する。また、CPU101は、画像読取部30、画像処理部110、画像形成部40、給紙部21、搬送部23にシステムバス107を介して接続されている。
【0037】
HDD104は、画像読取部30で読み取って得た原稿画像の画像データを記憶したり、出力済みの画像データ等を記憶したりする。操作表示部105は、液晶表示装置(LCD)又は有機ELD(Electro Luminescence Display)等のディスプレイからなるタッチパネルである。この操作表示部105は、ユーザに対する指示メニューや取得した画像データに関する情報等を表示する。さらに、操作表示部105は、複数のキーを備え、ユーザのキー操作による各種の指示、文字、数字などのデータの入力を受け付けて入力信号を出力する。この操作表示部105で入力できるデータには、図1に示した給紙ユニット2から給紙される用紙の紙種(厚紙,剛度の高い用紙または摩擦抵抗値の高い用紙であるか、それとも、厚紙以外の用紙,剛度の低い用紙または摩擦抵抗値の低い用紙であるか)のデータも含まれている。
【0038】
画像読取部30は、原稿画像を光学的に読み取って電気信号に変換する。例えば、カラー原稿を読み取る場合は、一画素当たりRGB各10ビットの輝度情報をもつ画像データを生成する。画像読取部30によって生成された画像データや、画像形成装置1に接続された外部装置の一例を示すPC(パーソナルコンピュータ)120から送信される画像データは、画像処理部110に送られ、画像処理される。画像処理部110は、受信した画像データをアナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮等の処理を行う。
【0039】
なお、本例では、外部装置としてパーソナルコンピュータを用いた例を説明したが、これに限定されるものではなく、外部装置は、例えばファクシミリ装置等その他各種の装置を用いることができる。
【0040】
例えば、画像形成装置1でカラーの画像を形成する場合、画像読取部30等によって生成されたR・G・Bの画像データを画像処理部110における色変換LUT(look up table)に入力する。そして、画像処理部110は、R・G・BデータをY・M・C・Bkの画像データに色変換する。そして、色変換した画像データに対して、階調再現特性の補正、濃度補正LUTを参照した網点などのスクリーン処理、あるいは細線を強調するためのエッジ処理などを行う。
【0041】
画像形成部40は、画像処理部110によって画像処理された画像データを受け取り、用紙S上に画像を形成する。
【0042】
搬送部23からは、図2に示した先端検知センサ239による用紙の先端の検知結果を示す信号が、CPU101に送信される。
【0043】
CPU101は、給紙ユニット2から給紙される用紙を搬送部23で搬送して画像を形成する際に、操作表示部105でのユーザの入力結果若しくは判別部106の判別結果に基づき、その用紙の紙種(厚紙,剛度の高い用紙または摩擦抵抗値の高い用紙であるか、それとも、厚紙以外の用紙,剛度の低い用紙または摩擦抵抗値の低い用紙であるか)を判別する。
【0044】
図4は、その判別結果が厚紙,剛度の高い用紙または摩擦抵抗値の高い用紙であった場合に、CPU101が搬送ローラ231−233を用紙から離間させるタイミングを示す。図4には、搬送中の用紙Sの先端がレジストローラ235にニップされた直後であり、且つ用紙Sが搬送ローラ231−233及びループローラ234の全てにニップされている状態を示している。CPU101は、図2に示した先端検知センサ239(図4では図示を省略している)による用紙の先端の検知結果に基づき、このタイミングで、ループローラ234よりも上流側の搬送ローラ231−233を図中矢印方向に移動させて、用紙Sから離間させる。
【0045】
他方、判別結果が厚紙以外の用紙,剛度の低い用紙または摩擦抵抗値の低い用紙であった場合は、CPU101は、レジストローラ235に用紙が突入する直前に、ループローラ234よりも上流側の搬送ローラ231−233を全て用紙Sから離間させる。この搬送ローラ231−233の離間のタイミングは、図7に示した従来のタイミングと同じである。
【0046】
この第1の実施の形態に係る画像形成装置によれば、厚紙,剛度の高い用紙,摩擦抵抗値の高い用紙のような腰の強い用紙を搬送する場合には、用紙は搬送ローラ231−233及びループローラ234によりレジストローラ235にまで搬送される。そして、用紙がレジストローラ235にニップされたタイミングで、搬送ローラ231−233を用紙から離間する。これにより、S字状の屈曲経路236の上ガイド板238に腰の強い用紙が接触して用紙の抵抗が大きくなり、急な負荷変動や搬送力不足が発生したとしても、確実に用紙を搬送することができる。
【0047】
〔第2の実施の形態〕
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と構成が同一の部分については、重複した説明を省略する。第2の実施の形態では、給紙ユニット2から給紙される用紙を搬送部23で搬送して画像を形成する際に、搬送ローラ231−233を用紙から離間させるためにCPU101が実行する処理が、第1の実施の形態とは異なっている。その他の構成は、第1の実施の形態と同一である。
【0048】
図5は、給紙ユニット2から給紙される用紙を搬送部23で搬送して画像を形成する際に、CPU101が搬送部23を制御する処理を示す。この処理では、CPU101は、最初に、図3に示した操作表示部105でのユーザの入力結果若しくは判別部106の判別結果に基づき、給紙ユニット2から給紙される用紙の紙種が厚紙,剛度の高い用紙または摩擦抵抗値の高い用紙(図では厚紙と略記している)であるか否かを判別する(ステップS1)。
【0049】
判別結果が厚紙,剛度の高い用紙または摩擦抵抗値の高い用紙であった場合、CPU101は、図2に示した搬送ローラ231−233及びループローラ234による用紙の搬送を開始させる(ステップS2)。
【0050】
そして、CPU101は、図2に示した先端検知センサ239による用紙の先端の検知結果に基づいて用紙がレジストローラ235に到着したことを確認すると(ステップS3)、その後さらに搬送ローラ231−233及びループローラ234による搬送を続けて、用紙にレジストループを形成する(ステップS4)。
【0051】
その後、CPU101は、レジストローラ235の回転を開始させて(ステップS5)、搬送ローラ231−233及びループローラ234を用紙から離間させる(ステップS6)。続いて、CPU101は、レジストローラ235を用紙の幅方向に揺動させることにより用紙の幅方向の位置を補正して(ステップS7)、処理を終了する。
【0052】
ステップS1での判別結果が厚紙以外の用紙,すなわち、剛度の低い用紙または摩擦抵抗値の低い用紙であった場合は、CPU101は、搬送ローラ231−233及びループローラ234による用紙の搬送を開始させ(ステップS8)、その後、先端検知センサ239による用紙の先端の検知結果に基づき、レジストローラ305に用紙が突入する直前に、ループローラ234よりも上流側の搬送ローラ231−233を全て用紙Sから離間させる(ステップS9)。この搬送ローラ231−233の離間のタイミングは、図7に示した従来のタイミングと同じである。
【0053】
そして、CPU101は、先端検知センサ239による用紙の先端の検知結果に基づいて用紙がレジストローラ235に到着したことを確認すると(ステップS10)、その後さらにループローラ234による搬送を続けて、用紙にレジストループを形成する(ステップS11)。
【0054】
その後、CPU101は、レジストローラ235の回転を開始させて(ステップS12)、ループローラ234を用紙から離間させる(ステップS13)。続いて、CPU101は、レジストローラ235を用紙の幅方向に揺動させることにより用紙の幅方向の位置を補正して(ステップS14)、処理を終了する。
【0055】
図6は、図5のステップS1での判別結果が厚紙,剛度の高い用紙または摩擦抵抗値の高い用紙であった場合に、CPU101が搬送ローラ231−233を用紙から離間させるタイミング(図5のステップS6のタイミング)を示す。図6には、搬送中の用紙Sがレジストローラ235にニップされ、用紙Sにレジストループが形成された後、レジストローラ235の回転が開始し、且つ用紙Sが搬送ローラ231−233及びループローラ234の全てにニップされている状態を示している。CPU101は、このタイミングで、ループローラ234を用紙Sから離間させると同時に、ループローラ234よりも上流側の搬送ローラ231−233を図中矢印方向に移動させて、用紙Sから離間させる。
【0056】
この第2の実施の形態に係る画像形成装置によれば、厚紙,剛度の高い用紙,摩擦抵抗値の高い用紙のような腰の強い用紙を搬送する場合に、搬送ローラ231−233及びループローラ234により用紙がレジストローラ235にまで搬送されてレジストローラ235に用紙がニップされ、ループローラ234により用紙にレジストループが形成された後、レジストローラ235の回転が開始したタイミングで、搬送ローラ231−233がループローラ234と同時に用紙から離間する。これにより、腰の強い用紙を搬送する場合に、S字状の屈曲経路236の上ガイド板238に腰の強い用紙が接触して用紙の抵抗が大きくなり、急な負荷変動や搬送力不足が発生したとしても、確実に用紙を搬送することができる。
【0057】
〔変形例〕
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0058】
例えば、上述の実施の形態では、画像形成部40に4つの画像形成ユニット40Y,40M,40C,40Kを設けてカラー画像を形成する例を説明したが、画像形成ユニットを1つだけ設けた単色画像を形成する画像形成装置に適用してもよい。
【0059】
さらに、感光体41に形成されたトナー像を転写させる転写材として中間転写ベルト50を設け、この中間転写ベルト50から用紙Sに画像を2次転写させた例を説明したが、感光体から用紙に直接トナー像を転写させる画像形成装置に適用してもよい。
【0060】
また、上述の実施の形態では、CPU101は、操作表示部105でのユーザの入力結果に基づき、給紙ユニット2から給紙される用紙の紙種(厚紙,剛度の高い用紙または摩擦抵抗値の高い用紙であるか、それとも、厚紙以外の用紙,剛度の低い用紙または摩擦抵抗値の低い用紙であるか)を判別している。しかし、これに限らず、給紙ユニット2から給紙される用紙の紙種を自動的に検知する検知部を設け、その検知結果に基づいて紙種を判別してもよい。
【0061】
また、上述の第1の実施の形態では、レジストローラ235に用紙がニップされたタイミングで搬送ローラ231−233を用紙から離間させ、上述の第2の実施の形態では、レジストローラ235の回転が開始したタイミングで搬送ローラ231−233を用紙から離間させているが、第1の実施の形態と第2の実施の形態との中間のタイミング(レジストローラ235に用紙がニップされた後、レジストローラ235の回転が開始するまでの間)に搬送ローラ231−233を用紙から離間させてもよい。
【0062】
また、上述の実施の形態では、オプションとして装着される給紙ユニット2から給紙された用紙の搬送経路にS字状の屈曲経路236を有する画像形成装置1に本発明を適用した。しかし、これに限らず、画像形成装置内の用紙収納部からの用紙の搬送経路にS字状の屈曲経路を有する画像形成装置が存在する場合に、そうした画像形成装置に本発明を適用してもよい。
【符号の説明】
【0063】
1…画像形成装置、 10…原稿搬送部、 20…用紙収納部、 21…給紙部、 22…手差部、 23…搬送部、 30…画像読取部、 40…画像形成部、 40Y,40M,40C,40K…画像形成ユニット、 41…感光体、 50…中間転写ベルト、 70…2次転写部、 80…定着部、 101…CPU、 105…操作表示部、106…判別部、 231−233…搬送ローラ、 234…ループローラ、 235…レジストローラ、 236…S字状の屈曲経路、 237…下凸カーブ、 238…上ガイド板、 239…先端検知センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7