特許第5928304号(P5928304)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5928304
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】基板搬送設備
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20160519BHJP
   B65G 1/00 20060101ALI20160519BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20160519BHJP
【FI】
   H01L21/68 A
   B65G1/00 501C
   B65G1/04 551Z
   B65G1/00 521D
【請求項の数】5
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-245744(P2012-245744)
(22)【出願日】2012年11月7日
(65)【公開番号】特開2014-96415(P2014-96415A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2014年11月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】100107308
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 修一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120352
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149331
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 昌人
(72)【発明者】
【氏名】村山 繁人
【審査官】 今井 聖和
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−100718(JP,A)
【文献】 特開2006−044920(JP,A)
【文献】 特開2010−192855(JP,A)
【文献】 特開2011−233930(JP,A)
【文献】 特開2012−138615(JP,A)
【文献】 特開2011−091270(JP,A)
【文献】 特表2008−546180(JP,A)
【文献】 特開2000−138162(JP,A)
【文献】 特開平11−329989(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/67−21/687
B65G 1/00
B65G 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に配設された走行レールに案内支持された状態で前記走行レールに沿って走行移動して複数枚の基板を収納した容器を容器搬送箇所に搬送する天井搬送車が設けられている基板搬送設備であって、
前記容器を前記容器搬送箇所と基板取出箇所との間で搬送自在な中継搬送装置と、
前記基板取出箇所に位置する前記容器から前記基板を取り出して、前記基板に対して処理を行う基板処理装置に取り出した前記基板を搬送する基板搬送装置と、が設けられ、
前記中継搬送装置が、前記容器を載置する載置部として単一の載置部のみを備えて、前記載置部を水平方向に沿って移動させて前記容器を前記容器搬送箇所と前記基板取出箇所との間で搬送自在に構成され、
前記基板搬送装置が、前記載置部に載置された状態で前記基板取出箇所に位置する前記容器から前記基板を取り出して当該基板を前記基板処理装置に搬送自在に構成され
前記中継搬送装置が、前記載置部を鉛直方向に沿う軸心周りに旋回移動させて前記容器を前記容器搬送箇所と前記基板取出箇所との間で搬送する基板搬送設備。
【請求項2】
前記基板が、矩形状に形成された板状体である請求項1記載の基板搬送設備。
【請求項3】
前記基板取出箇所が、複数設定され、
前記中継搬送装置が、複数の前記基板取出箇所に各別に前記容器を搬送する状態で複数設けられ、
前記基板搬送装置が、前記容器が複数の前記基板取出箇所のいずれに位置する状態でも当該容器から前記基板を取出自在に構成されている請求項1又は2記載の基板搬送設備。
【請求項4】
前記天井搬送車が、前記容器を吊り下げ支持する支持体を昇降自在に備えて、前記支持体を上昇位置に上昇移動させた走行用状態で走行移動自在に構成され、且つ、前記支持体を前記上昇位置から下降移動させて前記載置部上に前記容器を卸す形態で前記容器を前記容器搬送箇所に搬送するように構成され、
前記容器搬送箇所は、前記載置部上に載置された状態で前記容器搬送箇所に位置する前記容器の上端が、前記走行用状態の前記天井搬送車の前記支持体の下端より下方で且つ前記走行用状態の前記天井搬送車に支持された前記容器の下端より上方に位置する箇所に設定されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の基板搬送設備。
【請求項5】
前記容器搬送箇所として、低位置容器搬送箇所と、当該低位置容器搬送箇所より高い位置に設定された高位置容器搬送箇所と、が設定され、
前記基板取出箇所として、低位置基板取出箇所と、当該低位置基板取出箇所より高い位置に設定された高位置基板取出箇所と、が設定され、
前記中継搬送装置として、前記容器を前記低位置容器搬送箇所と前記低位置基板取出箇所との間で搬送する低位置搬送装置と、前記容器を前記高位置容器搬送箇所と前記高位置基板取出箇所との間で搬送する高位置搬送装置と、が設けられ、
前記高位置搬送装置に備えられた高位置用の前記載置部が、前記低位置搬送装置に備えられた低位置用の前記載置部における前記容器を載置する載置面の高さより高く且つ前記低位置用の載置部に載置された前記容器の上端より低い高さに設けられ、
前記低位置用の載置部は、当該低位置用の載置部の移動軌跡が前記高位置用の載置部に載置された前記容器の移動軌跡と上下方向視で重複する部分と重複しない部分とを有する状態で設けられ、
前記高位置用の載置部は、当該高位置用の載置部の移動軌跡が前記低位置用の載置部に載置された前記容器の移動軌跡と上下方向視で重複する部分と重複しない部分とを有する状態で設けられている請求項1〜4のいずれか1項に記載の基板搬送設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天井に配設された走行レールに案内支持された状態で前記走行レールに沿って走行移動して複数枚の基板を収納した容器を容器搬送箇所に搬送する天井搬送車が設けられている基板搬送設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる基板搬送設備の従来例として、基板を収納した容器を天井搬送車にて容器搬送箇所に搬送するように構成されているものがある(例えば、特許文献1参照。)。
この特許文献1に記載の基板搬送設備では、容器を載置する第1載置部を水平方向に沿って移動させて容器を容器搬送箇所と中継箇所との間で搬送する第1搬送装置と、容器を載置する第2載置部を水平方向及び上下方向に移動させて容器を中継箇所と物品収納棚の収納部との間で搬送する第2搬送装置と、を設けて、これら第1搬送装置と第2搬送装置とで、容器搬送箇所の容器を物品収納棚の収納部に搬送するように構成されている。
そして、物品収納棚の近傍に基板取出箇所を設定し、当該基板取出箇所に容器を載置支持する載置台を設けるとともに、載置台に載置された容器から基板を取り出して当該基板を基板処理装置に搬送する基板搬送装置を設けて、第2搬送装置を利用して容器を物品収納棚の収納部と基板取出箇所の載置台との間で搬送し、基板搬送装置にて載置台上の容器から基板を取り出して当該基板を基板処理装置に搬送して、基板を基板処理装置に搬送するものがある(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−137961号公報
【特許文献2】特開2008−068963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載の基板搬送設備及び特許文献2に記載の基板搬送設備とから、基板搬送設備を次のように構成することが考えられる。つまり、基板を収納した容器を天井搬送車にて容器搬送箇所に搬送し、この容器搬送箇所に位置する容器を第1搬送装置にて中継箇所に搬送し、第2搬送装置にて、中継箇所に位置する容器を物品収納棚の収納部に搬送するとともに、必要に応じて物品収納棚の収納部に収納されている容器を基板取出箇所の載置台上に搬送する。そして、基板搬送装置にて、載置台に載置された状態で基板取出箇所に位置する容器から基板を取り出して当該基板4を基板処理装置に搬送する。
【0005】
しかしながら、上記したように構成した基板搬送設備では、容器を容器搬送箇所と基板取出箇所との間で搬送するのに、第1載置部を水平方向に移動させる第1搬送装置と第2載置部を水平方向及び上下方向に移動させる第2搬送装置とを設けている点や、容器を一時的に収納する物品収納棚を設けている点や、基板取出箇所に載置台を設けている点により、基板搬送設備の構成が複雑なものとなっていた。また、第1搬送装置から第2搬送装置に容器を受け渡す点や、第2搬送装置から載置台に容器を受け渡す点により、基板を基板処理装置に効率よく搬送し難いものであった。
【0006】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、構成の簡素化を図りながら基板を効率よく基板処理装置に搬送することができる基板搬送設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる基板搬送設備は、天井に配設された走行レールに案内支持された状態で前記走行レールに沿って走行移動して複数枚の基板を収納した容器を容器搬送箇所に搬送する天井搬送車と、前記容器を前記容器搬送箇所と基板取出箇所との間で搬送自在な中継搬送装置と、前記基板取出箇所に位置する前記容器から前記基板を取り出して、前記基板に対して処理を行う基板処理装置に取り出した前記基板を搬送する基板搬送装置と、が設けられているものであって、その第1特徴構成は、
前記容器を前記容器搬送箇所と基板取出箇所との間で搬送自在な中継搬送装置と、前記基板取出箇所に位置する前記容器から前記基板を取り出して、前記基板に対して処理を行う基板処理装置に取り出した前記基板を搬送する基板搬送装置と、が設けられ、前記中継搬送装置が、前記容器を載置する載置部として単一の前記載置部のみを備えて、前記載置部を水平方向に沿って移動させて前記容器を前記容器搬送箇所と前記基板取出箇所との間で搬送自在に構成され、前記基板搬送装置が、前記載置部に載置された状態で前記基板取出箇所に位置する前記容器から前記基板を取り出して当該基板を前記基板処理装置に搬送自在に構成され、前記中継搬送装置が、前記載置部を鉛直方向に沿う軸心周りに旋回移動させて前記容器を前記容器搬送箇所と前記基板取出箇所との間で搬送する点にある。
【0008】
すなわち、中継搬送装置は、容器を載置する単一の載置部を水平方向に沿って移動させることで、当該載置部上の容器を他の載置部に移載させることなく、載置部に載置した容器を容器搬送箇所と基板取出箇所との間で搬送することができる。基板搬送装置は、載置部に載置された状態で基板取出箇所に位置する容器から基板を取り出して当該基板を前記基板処理装置に搬送することができる。
そのため、容器搬送箇所と基板取出箇所との間で容器を搬送する搬送装置として、載置部を水平方向に沿って移動させる中継搬送装置を設けるだけでよく、また、一時的に容器を収納する物品収納棚が必要なく、また、基板取出箇所において容器を載置支持するための載置台を別途設ける必要がないため、基板搬送設備の構成の簡素化を図ることができる。さらに、基板搬送装置が、基板取出箇所において中継搬送装置の載置部に載置された容器から直接に基板を取り出し、当該基板を基板処理装置に搬送することで、中継搬送装置の載置部から別の箇所に容器を受け渡す必要がなく、基板を基板処理装置に効率よく搬送し易くなる。
また、載置部に容器を載置させた状態で、載置部を旋回移動させることで容器を容器搬送箇所と基板取出箇所との間で搬送することができる。
そして、載置部の旋回移動は、例えば、鉛直方向に沿う回転軸心周りに回転自在な連結部に載置部を連結してその連結部を電動モータにて回転させる等の簡単な構成で実現できるため、中継搬送装置の構成の簡素化を図ることができる。
【0009】
本発明にかかる基板搬送設備の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記基板が、矩形状に形成された板状体である点にある。
【0010】
すなわち、基板が、ガラス基板等の矩形状に形成された板状体であり、その矩形状に形成された板状体を効率よく容器から取り出して基板処理装置に搬送することができる。
【0013】
本発明にかかる基板搬送設備の第特徴構成は、第1又は第2特徴構成において、前記基板取出箇所が、複数設定され、前記中継搬送装置が、複数の前記基板取出箇所に各別に前記容器を搬送する状態で複数設けられ、前記基板搬送装置が、前記容器が複数の前記基板取出箇所のいずれに位置する状態でも当該容器から前記基板を取出自在に構成されている点にある。
【0014】
すなわち、中継搬送装置を複数設けて、複数箇所の基板取出箇所に各別に容器を搬送することができるので、1つの基板取出箇所に容器が存在している場合でも、他の基板取出箇所に容器を搬送することができる。そして、複数の基板取出箇所のうち、基板搬送装置にて基板を取り出している容器が存在している基板取出箇所以外の基板取出箇所を、容器を一時的に保管するバッファとして利用することができる。
【0015】
本発明にかかる基板搬送設備の第特徴構成は、第1〜第特徴構成のいずれか1つにおいて、前記天井搬送車が、前記容器を吊り下げ支持する支持体を昇降自在に備えて、前記支持体を上昇位置に上昇移動させた走行用状態で走行移動自在に構成され、且つ、前記支持体を前記上昇位置から下降移動させて前記載置部上に前記容器を卸す形態で前記容器を前記容器搬送箇所に搬送するように構成され、前記容器搬送箇所は、前記載置部上に載置された状態で前記容器搬送箇所に位置する前記容器の上端が、前記走行用状態の前記天井搬送車の前記支持体の下端より下方で且つ前記走行用状態の前記天井搬送車に支持された前記容器の下端より上方に位置する箇所に設定されている点にある。
【0016】
すなわち、容器搬送箇所は、載置部上に載置された状態で容器搬送箇所に位置する容器の上端が、走行用状態の天井搬送車の支持体の下端より下方で且つ走行用状態の天井搬送車に支持された容器の下端より上方に位置するように設定されているため、容器搬送箇所に位置する容器を載置支持する載置部の位置を、容器搬送箇所の直上に位置する天井搬送車に近づけて、天井搬送車が容器搬送箇所に搬送するときの支持体の下降量を少なくでき、容器を容器搬送箇所に迅速に搬送することができる。
また、容器搬送箇所は、載置部上に載置された状態で容器搬送箇所に位置する容器の上端が、走行用状態の天井搬送車の支持体の下端より下方に位置する箇所であるため、容器搬送箇所に容器が存在していたとしても、容器を支持しない走行用状態の天井搬送車を容器搬送箇所の直上に走行させることができる。
【0017】
本発明にかかる基板搬送設備の第特徴構成は、第1〜第特徴構成のいずれか1つにおいて、前記容器搬送箇所として、低位置容器搬送箇所と、当該低位置容器搬送箇所より高い位置に設定された高位置容器搬送箇所と、が設定され、前記基板取出箇所として、低位置基板取出箇所と、当該低位置基板取出箇所より高い位置に設定された高位置基板取出箇所と、が設定され、前記中継搬送装置として、前記容器を前記低位置容器搬送箇所と前記低位置基板取出箇所との間で搬送する低位置搬送装置と、前記容器を前記高位置容器搬送箇所と前記高位置基板取出箇所との間で搬送する高位置搬送装置と、が設けられ、前記高位置搬送装置に備えられた高位置用の前記載置部が、前記低位置搬送装置に備えられた低位置用の前記載置部における前記容器を載置する載置面の高さより高く且つ前記低位置用の載置部に載置された前記容器の上端より低い高さに設けられ、前記低位置用の載置部は、当該低位置用の載置部の移動軌跡が前記高位置用の載置部に載置された前記容器の移動軌跡と上下方向視で重複する部分と重複しない部分とを有する状態で設けられ、前記高位置用の載置部は、当該高位置用の載置部の移動軌跡が前記低位置用の載置部に載置された前記容器の移動軌跡と上下方向視で重複する部分と重複しない部分とを有する状態で設けられている点にある。
【0018】
すなわち、低位置用の載置部の移動軌跡が、高位置用の載置部に載置された容器の移動軌跡と上下方向視で重複する部分を有し、また、高位置用の載置部の移動軌跡が、低位置用の載置部に載置された容器の移動軌跡と上下方向視で重複する部分を有する状態で、低位置用の載置部及び高位置用の載置部が設けられているため、低位置搬送装置と高位置搬送装置とを水平方向での設置スペースの省スペース化を図ることができる。
また、高位置用の載置部が、低位置用の載置部における容器を載置する載置面の高さより高く且つ低位置用の載置部に載置された容器の上端より低い高さに設けられているため、低位置搬送装置と高位置搬送装置とを上下方向での設置スペースの省スペース化を図ることができる。
【0019】
しかも、高位置用の載置部及びその高位置用の載置部に載置された容器が低位置用の載置部の移動軌跡と上下方向視で重複しない状態では、低位置用の載置部を移動させて容器を搬送するときに、高位置用の載置部やその高位置用の載置部に載置された容器が邪魔にならない。そのため、上述のように高位置用の載置部及びその高位置用の載置部に載置された容器が低位置用の載置部の移動軌跡と上下方向視で重複しない箇所に位置させた状態で、低位置用の載置部を低位置容器搬送箇所に対応する位置と低位置基板取出箇所に対応する位置とに移動させることで、容器を低位置容器搬送箇所と低位置基板取出箇所との間で搬送することができる。
また、低位置用の載置部に載置された容器が高位置用の載置部の移動軌跡と上下方向に重複しない状態では、高位置用の載置部を高位置容器搬送箇所に対応する位置と高位置基板搬送箇所に対応する位置とに移動させることで、容器を高位置容器搬送箇所と高位置基板搬送箇所との間で搬送することができる。
【0020】
このように、低位置搬送装置と高位置搬送装置とを水平方向及び上下方向での設置スペースの省スペース化を図りながら、高位置搬送装置における高位置用の載置部に載置された容器に干渉することなく、低位置搬送装置にて容器を低位置容器搬送箇所や低位置基板取出箇所に搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】基板搬送設備の斜視図
図2】基板搬送設備の平面図
図3】基板搬送設備の側面図
図4】低位置搬送装置と高位置搬送装置とを示す斜視図
図5】低位置搬送装置と高位置搬送装置とを示す平面図
図6】低位置用の載置部に載置された容器の移動軌跡と高位置用の載置部及びその載置部に載置された容器の移動軌跡とを示す平面図
図7】高位置用の載置部に載置された容器の移動軌跡と低位置用の載置部及びその載置部に載置された容器の移動軌跡とを示す平面図
図8】載置部の支持構造を示す図
図9】制御ブロック図
図10】フローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1図3に示すように、基板搬送設備には、第1搬送箇所1(図2及び図3参照)と第2搬送箇所2(図2及び図3参照)との間で複数枚の基板4を収納自在な容器3を搬送する搬送装置5と、第1搬送箇所1との間で容器3を搬送する天井搬送車6と、基板4に対して処理を行う基板処理装置7と、第2搬送箇所2に位置する容器3と基板処理装置7との間で基板4を搬送する基板搬送装置8と、が設けられている。
【0023】
そして、基板搬送設備は、天井搬送車6にて容器3を第1搬送箇所1に搬送し、搬送装置5にて容器3を第1搬送箇所1から第2搬送箇所2に搬送し、基板搬送装置8にて、第2搬送箇所2に位置する容器3から基板4を取り出して当該基板4を基板処理装置7へ搬送するように構成されている。
また、基板搬送設備は、基板搬送装置8にて、基板処理装置7による処理が完了した基板4を基板処理装置7から第2搬送箇所2に位置する容器3へ搬送して当該基板4を容器3に収納し、搬送装置5にて容器3を第2搬送箇所2から第1搬送箇所1に搬送し、天井搬送車6にて容器3を第1搬送箇所1から搬送するように構成されている。
【0024】
基板搬送設備は、クリーンルーム内に設置されており、基板4として、液晶パネル等に用いられる矩形状に形成されたガラス基板が容器3に収納されている。容器3は、横側面には基板4を出し入れするための開口が形成され、天井搬送車6の支持体21に支持されるフランジ部が上面に設けられている。また、図示は省略するが、基板4は、水平姿勢で且つ上下方向に隣接する基板4同士の間に隙間が形成された状態で容器3に収納されている。
尚、基板処理装置7では、基板4に対して塗布、露光及び現像等の所定の処理が行われている。
【0025】
図3に示すように、天井搬送車6が設けられて当該天井搬送車にて容器3が搬送される容器搬送領域E1と、基板処理装置7や基板搬送装置8が設けられて当該基板搬送装置にて基板4が搬送される基板搬送領域E2とが、仕切壁9にて仕切られている。そして、搬送装置5は、容器搬送領域E1に突出自在な状態で基板搬送領域E2に設けられており、容器搬送領域E1と基板搬送領域E2との間で容器3を搬送するように構成されている。
尚、第1搬送箇所1は容器搬送領域E1に設定され、第2搬送箇所2は、基板搬送領域E2に設定されている。
【0026】
図4及び図5に示すように、第1搬送箇所1として、低位置第1搬送箇所1Lと、当該低位置第1搬送箇所より高い位置に設定された高位置第1搬送箇所1Hと、が設定され、第2搬送箇所2として、低位置第2搬送箇所2Lと、当該低位置第2搬送箇所2Lより高い位置に設定された高位置第2搬送箇所2Hと、が設定されている。
そして、搬送装置5は、容器3を載置する単一の載置部11を水平方向に沿って移動させることで、容器3を第1搬送箇所1と第2搬送箇所2との間で搬送するように構成されている。単一の載置部11は、上下方向視でコ字状に形成された板状部材にて構成されている。
【0027】
搬送装置5として、容器3を載置する低位置用の載置部11Lを水平方向に沿って移動させて容器3を低位置第1搬送箇所1Lと低位置第2搬送箇所2Lとの間で搬送する低位置搬送装置5Lと、容器3を載置する高位置用の載置部11Hを水平方向に沿って移動させて容器3を高位置第1搬送箇所1Hと高位置第2搬送箇所2Hとの間で搬送する高位置搬送装置5Hと、が設けられている。
【0028】
尚、第1搬送箇所1が、容器搬送箇所に相当し、第2搬送箇所2が、基板取出箇所に相当する。低位置第1搬送箇所1Lが、低位置容器搬送箇所に相当し、高位置第1搬送箇所1Hが、高位置容器搬送箇所に相当する。低位置第2搬送箇所2Lが、低位置基板取出箇所に相当し、高位置第2搬送箇所2Hが、高位置基板取出箇所に相当する。このように、第2搬送箇所2は、複数設定されている。
また、搬送装置5が、容器3を載置する載置部11を水平方向に沿って移動させて容器3を容器搬送箇所と基板取出箇所との間で中継搬送装置に相当する。搬送装置5は、複数の第2搬送箇所2に各別に容器3を搬送する状態で複数設けられている。
【0029】
図1及び図3に示すように、低位置搬送装置5Lと高位置搬送装置5Hとの一対の搬送装置5の組は、上下方向に並ぶ状態で2組設けられている。これら、上側の低位置搬送装置5L及び高位置搬送装置5Hと、下側の低位置搬送装置5L及び高位置搬送装置5Hとは、高さが異なる以外は同様に構成されている。また、上側の低位置搬送装置5L及び高位置搬送装置5Hと下側の低位置搬送装置5L及び高位置搬送装置5Hとは、同じ支持フレーム12に上下方向で異なる高さに支持されている。
【0030】
低位置搬送装置5Lは、低位置用の載置部11Lを鉛直方向に沿う軸心P周りに旋回移動自在に設けられている。
説明を加えると、図8に示すように、低位置電動モータ13Lの出力軸に低位置連結部14Lが軸心P周りに回転自在に連結されており、その低位置連結部14Lに低位置用の載置部11Lが片持ち状に連結されている。そして、低位置電動モータ13Lにて低位置連結部14Lが軸心P周りに回転駆動することで、低位置用の載置部11Lを軸心P周りに旋回移動させて容器3を低位置第1搬送箇所1Lと低位置第2搬送箇所2Lとの間で搬送するように構成されている。
また同様に、高位置搬送装置5Hも、高位置用の載置部11Hを鉛直方向に沿う軸心P周りに旋回移動自在に設けられており、高位置電動モータ13Hにて高位置連結部14Hが軸心P周りに回転駆動することで、高位置用の載置部11Hを軸心P周りに旋回移動させて容器3を高位置第1搬送箇所1Hと高位置第2搬送箇所2Hとの間で搬送するように構成されている。
このように、低位置用の載置部11Lと高位置用の載置部11Hとは同一軸心周りに旋回移動自在に設けられている。
【0031】
低位置電動モータ13L及び高位置電動モータ13Hは、低位置電動モータ13Lが高位置電動モータ13Hより上方に位置する状態で支持フレーム12に支持されている。
低位置電動モータ13Lは、出力軸が上方に向けて突出する姿勢で設けられており、その低位置電動モータ13Lの出力軸に、低位置連結部14Lの上側連結部分14aから上方に突出した上突出部分14cが一体回転する状態で連結されている。
また、高位置電動モータ13Hは、出力軸が下方に向けて突出する姿勢で設けられており、その高位置電動モータ13Hの出力軸に、高位置連結部14Hの下側連結部分14bから下方に突出した下突出部分14dが一体回転する状態で連結されている。
【0032】
そして、低位置連結部14Lの下側連結部分14bは、軸心P周りに回転自在な状態で高位置連結部14Hの下突出部分14dに連結されており、高位置連結部14Hの上側連結部分14aは、軸心P周りに回転自在な状態で低位置連結部14Lの上突出部分14cに連結されている。
また、低位置連結部14Lの上側連結部分14aと高位置連結部14Hの下側連結部分14bとの間には支持フレーム12に支持された部材15が介在しており、低位置連結部14Lの上側連結部分14aは、軸心P周りに回転自在な状態で部材15の上端部に連結され、高位置連結部14Hの下側連結部分14bは、軸心P周りに回転自在な状態で部材15の下端部に連結されている。
【0033】
このように、低位置連結部14L及び高位置連結部14Hは、低位置電動モータ13Lと高位置電動モータ13Hとの間に上下方向に挟まれる状態で設けられている。そして、上から、高位置連結部14Hの上側連結部分14a、低位置連結部14Lの上側連結部分14a、高位置連結部14Hの下側連結部分14b、低位置連結部14Lの下側連結部分14b、の順に並べて、高位置連結部14Hの上側連結部分14aと下側連結部分14bとの間に低位置連結部14Lの上側連結部分14aを位置させ、低位置連結部14Lの上側連結部分14aと下側連結部分14bとの間に高位置連結部14Hの下側連結部分14bを位置させることで、低位置連結部14L及び高位置連結部14Hの夫々を上下方向に広い間隔で支持フレーム12側に連結することができながら、低位置連結部14Lと高位置連結部14Hとの上下方向での設置スペースの省スペース化が図られている。
そして、低位置連結部14Lに連結された低位置用の載置部11L及び高位置連結部14Hに連結された高位置用の載置部11Hは、高位置用の載置部11Hが、低位置用の載置部11Lにおける容器3を載置する載置面(載置部11Hの上面)の高さより高く且つ低位置用の載置部11Lに載置された容器3の上端より低い高さに位置する状態で設けられている。
【0034】
次に、低位置用の載置部11L及び高位置用の載置部11Hの旋回移動及び上下方向視での位置関係について説明する。尚、容器搬送領域E1と基板搬送領域E2とが並ぶ方向を設備前後方向(図2及び図5にて矢印Xで示す方向)と称し、設備前後方向と直交する方向を設備左右方向(図2及び図5にて矢印Yで示す方向)と称して説明する。
【0035】
図5に示すように、支持フレーム12は基板搬送領域E2に設置されており、軸心Pは基板搬送領域E2に位置している。
低位置用の載置部11Lは、軸心Pを中心に上下方向視で反時計回りに旋回移動させて容器搬送領域E1に突出移動させることで、低位置第1搬送箇所1Lに対応する位置(図5(a)に実線で示す位置)に旋回移動するように構成されている。このとき、低位置用の載置部11Lは、軸心Pに対して設備前後方向の容器搬送領域E1が位置する側に位置している。
また、低位置用の載置部11Lは、軸心Pを中心に上下方向視で時計回りに旋回移動させて基板搬送領域E2に引退移動させることで、低位置第2搬送箇所2Lに対応する位置(図5(a)に仮想線で示す位置)に旋回移動するように構成されている。このとき、低位置用の載置部11Lは、軸心Pに対して設備左右方向の一方側(天井搬送車6の走行方向上手側)に位置している。
【0036】
そして、高位置用の載置部11Hは、軸心Pを中心に上下方向視で時計回りに旋回移動させて容器搬送領域E1に突出移動させることで、高位置第1搬送箇所1Hに対応する位置(図5(b)に実線で示す位置)に旋回移動するように構成されている。このとき、高位置用の載置部11Hは、軸心Pに対して設備前後方向の容器搬送領域E1が位置する側に位置している。
また、高位置用の載置部11Hは、軸心Pを中心に上下方向視で反時計回りに旋回移動させて基板搬送領域E2に引退移動させることで、高位置第2搬送箇所2Hに対応する位置(図5(b)に仮想線で示す位置)に旋回移動するように構成されている。このとき、高位置用の載置部11Hは、軸心Pに対して設備左右方向の他方側(天井搬送車6の走行方向下手側)に位置している。
【0037】
尚、搬送箇所(低位置第1搬送箇所1L等)に対応する位置とは、容器3が搬送箇所に位置するときに当該容器3を載置している載置部11が存在している位置である。また、低位置用の載置部11Lと高位置用の載置部11Hとの夫々の揺動角度は90°に設定されている。
ちなみに、図3における上側に位置する低位置搬送装置5Lと高位置搬送装置5Hとの組は、図5(b)に示す位置関係となっており、図3における下側に位置する低位置搬送装置5Lと高位置搬送装置5Hとの組は、図5(a)に示す位置関係となっている。
【0038】
図8に示すように、低位置第1搬送箇所1Lと高位置第1搬送箇所1Hとは、共に軸心Pに対して設備前後方向の容器搬送領域E1が位置する側に設定されており、低位置第1搬送箇所1Lと高位置第1搬送箇所1Hとが上下方向視で同じ位置に設定されている。そして、低位置第1搬送箇所1Lに対応した位置に旋回移動した低位置用の載置部11Lと、高位置第1搬送箇所1Hに対応した位置に旋回移動した高位置用の載置部11Hとは、共に軸心Pに対して設備前後方向の容器搬送領域E1が位置する側に移動しており、これら低位置用の載置部11Lと高位置用の載置部11Hとは上下方向視で同じ位置に位置している。
【0039】
また、低位置第2搬送箇所2Lは軸心Pに対して設備左右方向の一方側に設定され、高位置第2搬送箇所2Hは軸心Pに対して設備左右方向の他方側に設定されており、低位置第2搬送箇所2Lと高位置第2搬送箇所2Hとが上下方向視で異なる位置に設定されている。そして、低位置第1搬送箇所1Lに対応した位置に旋回移動した低位置用の載置部11Lは、軸心Pに対して設備左右方向の一方側に移動し、高位置第1搬送箇所1Hに対応した位置に旋回移動した高位置用の載置部11Hは、軸心Pに対して設備左右方向の他方側に移動しており、低位置用の載置部11Lと高位置用の載置部11Hとは上下方向視で異なる位置に位置している。
【0040】
そして、図5図7に示すように、低位置用の載置部11Lは、低位置第1搬送箇所1Lに対応する位置に移動させた状態では、高位置用の載置部11Hの移動軌跡及びその高位置用の載置部11Hに載置された容器3の移動軌跡と上下方向視で重複し、低位置第2搬送箇所2Lに対応する位置に移動させた状態では、高位置用の載置部11Hの移動軌跡及びその高位置用の載置部11Hに載置された容器3の移動軌跡と上下方向視で重複しないように設けられている。
また、高位置用の載置部11Hは、高位置第1搬送箇所1Hに対応する位置に移動させた状態では、低位置用の載置部11Lの移動軌跡及びその低位置用の載置部11Lに載置された容器3の移動軌跡と上下方向視で重複し、高位置第2搬送箇所2Hに対応する位置に移動させた状態では、低位置用の載置部11Lの移動軌跡及びその低位置用の載置部11Lに載置された容器3の移動軌跡と上下方向視で重複しないように設けられている。
【0041】
尚、図6においては、低位置用の載置部11Lに載置された容器3の移動軌跡を、一点鎖線3LTで示し、高位置用の載置部11Hの移動軌跡及びその高位置用の載置部11Hに載置された容器3の移動軌跡を、一点鎖線11HTで示している。また、図7においては、高位置用の載置部11Hに載置された容器3の移動軌跡を、一点鎖線3HTで示し、低位置用の載置部11Lの移動軌跡及びその低位置用の載置部11Lに載置された容器3の移動軌跡を、一点鎖線11LTで示している。
【0042】
このように、低位置用の載置部11Lは、当該低位置用の載置部11Lの移動軌跡及びその低位置用の載置部11Lに載置された容器3の移動軌跡が、高位置用の載置部11Hの移動軌跡及びその高位置用の載置部11Hに載置された容器3の移動軌跡と上下方向視で重複する部分と重複しない部分とが低位置用の載置部11Lの移動方向に沿って並ぶ状態で設けられている。また、高位置用の載置部11Hは、当該高位置用の載置部11Hの移動軌跡及びその高位置用の載置部11Hに載置された容器3の移動軌跡が、低位置用の載置部11Lの移動軌跡及びその低位置用の載置部11Lに載置された容器3の移動軌跡と上下方向視で重複する部分と重複しない部分とが高位置用の載置部11Lの移動方向に沿って並ぶ状態で設けられている。
【0043】
そして、高位置用の載置部11H及び低位置用の載置部11Lの夫々は、他方の載置部11L,11Hが重複しない箇所に位置する状態で容器3を第1搬送箇所1と第2搬送箇所2との間で搬送自在に構成されている。
つまり、図5(a)に示すように、高位置用の載置部11Hが高位置第2搬送箇所2Hに対応する位置に位置する状態では、高位置用の載置部11Hやこの高位置用の載置部11Hに載置された容器3に接触することなく、低位置用の載置部11Lを、低位置第1搬送箇所1Lに対応する位置や低位置第2搬送箇所2Lに対応する位置に移動させて、容器3を低位置第1搬送箇所1Lや低位置第2搬送箇所2Lに搬送できるようになっている。
また、図5(b)に示すように、低位置用の載置部11Lが低位置第2搬送箇所2Lに対応する位置に位置する状態では、低位置用の載置部11Lやこの低位置用の載置部11Lに載置された容器3に接触することなく、高位置用の載置部11Hを、高位置第1搬送箇所1Hに対応する位置や高位置第2搬送箇所2Hに対応する位置に移動させて、容器3を高位置第1搬送箇所1Hや高位置第2搬送箇所2Hに搬送できるようになっている。
【0044】
基板搬送装置8は、設備前後方向で搬送装置5と基板処理装置7との間に設置された昇降移動自在な昇降台17と、その昇降台17上を設備左右方向に移動自在な移動ロボット18と、を備えて構成されている。移動ロボット18には、昇降移動自在、鉛直軸心周りに回転移動自在、及び、水平方向に出退移動自在にフォーク状の支持部18aが備えられている。
この基板搬送装置8は、昇降台17の昇降移動及び移動ロボット18の設備左右方向に沿う移動、並びに、支持部18aの昇降、回転及び出退によって、低位置用の載置部11Lに載置された状態で低位置第2搬送箇所2Lに位置する容器3から一枚ずつ基板4を取り出して当該基板4を基板処理装置7に搬送し、高位置用の載置部11Hに載置された状態で高位置第2搬送箇所2Hに位置する容器3から基板4を一枚ずつ取り出して当該基板4を基板処理装置7に搬送し、且つ、基板処理装置7にて処理を終えた基板4を高位置用もしくは低位置用の載置部11に載置されて第2搬送箇所2の容器3に一枚ずつ搬送して当該基板4を容器3に収納するように構成されている。
【0045】
基板搬送装置8は、容器3が4箇所の第2搬送箇所2(2箇所の低位置第2搬送箇所2L及び2箇所の高位置第2搬送箇所2H)のいずれに位置する状態でも、容器3から基板4を出し入れ自在に構成されている。そして、4箇所の第2搬送箇所2のうち、基板搬送装置8にて基板4を出し入れしている容器3が存在している第2搬送箇所2以外の第2搬送箇所2を、容器3を一時的に保管するバッファとして利用することができるようになっている。
【0046】
図1図3に示すように、天井搬送車6は、天井に配設された走行レール20に案内支持された状態で走行レール20に沿って走行自在で且つ容器3を支持する支持体21を昇降自在で且つ上下方向に沿う軸心周りに回転自在に備えて構成されている。ちなみに、天井搬送車6は、搬送装置5の近傍においては、設備左右方向に沿って一方向(図1において左上から右下)に走行するようになっている。
そして、天井搬送車6は、図3に示すように、支持体21を上昇位置に上昇移動させた状態で走行移動自在に構成され、且つ、支持体21を上昇位置から下降移動させて載置部11上に容器3を卸す形態で第1搬送箇所1に容器3を搬送し、支持体21を上昇位置に上昇移動させて載置部11上から容器3を引き上げる形態で第1搬送箇所1から容器3を搬送するように構成されている。
【0047】
説明を加えると、天井搬送車6は、第1搬送箇所1の真上の停止位置に停止した状態で、容器3を支持した支持体21を下降移動させ、支持体21による容器3に対する支持を解除して容器3を載置部11に卸し、第1搬送箇所1に容器3が搬送されるように構成されている。
また、天井搬送車6は、第1搬送箇所1の真上の停止位置に停止した状態で、容器3を支持しない支持体21を下降移動させ、支持体21により第1搬送箇所1に位置する容器3を支持し、容器3を支持した支持体21を上昇移動させることにより、第1搬送箇所1から容器3を搬送するように構成されている。
【0048】
そして、天井搬送車6が、低位置第1搬送箇所1L及び高位置第1搬送箇所1Hに対して共通して設定された停止位置に停止した状態で、低位置第1搬送箇所1Lもしくは高位置第1搬送箇所1Hとの間で容器3を搬送自在に構成されている。
ちなみに、天井搬送車6を停止位置に停止させた状態において、第1搬送箇所1に対応する位置に低位置用の載置部11Lが位置しているときは、低位置第1搬送箇所1Lとの間で容器3が搬送され、第1搬送箇所1に対応する位置に高位置用の載置部11Hが位置しているときは、高位置第1搬送箇所1Hとの間で容器3が搬送される。
【0049】
第1搬送箇所1(低位置第1搬送箇所1L及び高位置第1搬送箇所1H)は、載置部11に載置された状態で第1搬送箇所1に位置する容器3の上端が、走行用状態の天井搬送車6の支持体21の下端より下方で且つ走行用状態の天井搬送車6に支持された容器3の下端より上方に位置する箇所に設定されている。
そのため、第1搬送箇所1が天井搬送車6に近く、天井搬送車6が第1搬送箇所1に搬送するときの支持体21の下降量を少なくでき、容器3を第1搬送箇所1に迅速に搬送することができる。また、第1搬送箇所1に容器3が存在していたとしても、容器3を支持しない走行用状態の天井搬送車6を自由に走行移動させることができる。
【0050】
図9に示すように、基板搬送設備には、搬送装置5、天井搬送車6及び基板搬送装置8の作動を制御する搬送制御装置Hが設けられている。
搬送制御装置Hは、天井搬送車6を第1搬送箇所1の真上に位置する停止位置まで走行移動させる授受前走行処理と、天井搬送車6を第1搬送箇所1の真上の停止位置から走行移動させる授受後走行処理と、天井搬送車6にて容器3を第1搬送箇所1に搬送する卸し処理と、天井搬送車6にて容器3を第1搬送箇所1から搬送する掬い処理と、を実行するべく、天井搬送車6の作動を制御するように構成されている。
また、搬送制御装置Hは、載置部11を第1搬送箇所1に対応する位置から第2搬送箇所2に対応する位置に移動させる引退処理と、載置部11を第2搬送箇所2に対応する位置から第1搬送箇所1に対応する位置に移動させる突出処理と、を実行するべく、搬送装置5の作動を制御するように構成されている。
【0051】
次に、図10に示すフローチャートに基づいて、搬送制御装置Hが卸し処理を実行することにより、天井搬送車6にて低位置第1搬送箇所1Lに容器3を搬送し、搬送制御装置Hが掬い処理を実行することにより、天井搬送車6にて高位置第1搬送箇所1Hから容器3を搬送する場合を例に挙げて、天井搬送車6と搬送装置5との間で容器3を搬送する搬送制御について説明する。尚、通常は、載置部11は第2搬送箇所2に対応する位置に移動している。
【0052】
搬送制御装置Hは、容器3を低位置第2搬送箇所2Lに搬送する搬入指令が指令されると、まず、授受前走行処理と突出処理とを実行して、搬入対象の容器3を支持した天井搬送車6を第1搬送箇所1の真上の停止位置に走行させ且つ低位置用の載置部11Lを低位置第1搬送箇所1Lに対応する位置に突出移動させるべく、天井搬送車6及び搬送装置5の作動を制御する。その後、搬送制御装置Hは、卸し処理を実行して、低位置用の載置部11L上に容器3を卸して容器3を低位置第1搬送箇所1Lに搬送させるべく、天井搬送車6の作動を制御し、引退処理を実行して、低位置用の載置部11Lを低位置第2搬送箇所2Lに対応する位置に移動させて容器3を低位置第2搬送箇所2Lに搬送するべく、搬送装置5の作動を制御する。
ちなみに、授受前走行処理と突出処理とでは、通常では授受前走行処理の方が長い時間を要し、天井搬送車6が第1搬送箇所1の真上の停止位置まで移動する前に載置部11は第1搬送箇所1に対応する位置への移動を完了している。そのため、天井搬送車6を第1搬送箇所1の真上に走行させた後、載置部11が第1搬送箇所1に突出移動するまで卸し処理の開始を待機させる必要なく、迅速に第1搬送箇所1に容器3を搬送できるようになっている。
【0053】
上述の如く、搬送制御装置Hは、引退処理を実行して容器3を低位置第2搬送箇所2Lに搬送した後、搬出指令が指令されていなければ、授受後走行処理を実行して、容器3を支持していない天井搬送車6を第1搬送箇所1の真上の停止位置から走行させるべく、天井搬送車6の作動を制御する。
また、搬送制御装置Hは、搬出指令があれば、突出処理を実行して、高位置用の載置部11Hを高位置第1搬送箇所1Hに対応する位置に突出移動させるべく、搬送装置5の作動を制御する。その後、搬送制御装置Hは、掬い処理を実行して、搬出対象の容器3を天井搬送車6にて支持した後、授受後走行処理と引退処理とを実行して、搬出対象の容器3を支持した天井搬送車6を第1搬送箇所1の真上の停止位置から走行させ且つ高位置用の載置部11Hを高位置第2搬送箇所2Hに対応する位置に引退移動させるべく、天井搬送車6及び搬送装置5の作動を制御する。
【0054】
そして、搬送制御装置Hは、搬入指令が指令されておらず、搬出指令のみが指令されている場合は、まず、授受前走行処理と突出処理とを実行して、容器3を支持していない天井搬送車6を第1搬送箇所1の真上の停止位置に走行させ且つ高位置用の載置部11を高位置第1搬送箇所1Hに対応する位置に突出移動させるべく、天井搬送車6及び搬送装置5の作動を制御する。その後、搬送制御装置Hは、掬い処理を実行して、搬出対象の容器3を天井搬送車6にて支持した後、授受後走行処理と引退処理とを実行して、搬出対象の容器3を支持した天井搬送車6を第1搬送箇所1の真上の停止位置から走行させ且つ高位置用の載置部11Hを高位置第2搬送箇所2Hに対応する位置に引退移動させるべく、天井搬送車6及び搬送装置5の作動を制御する。
【0055】
このように、容器3を載置する載置部11を水平方向に沿って移動させることで、載置部11に載置した容器3を第1搬送箇所1と第2搬送箇所2との間で搬送し、基板搬送装置8にて、載置部11に載置された状態で第2搬送箇所2に位置する容器3から基板4を取り出して当該基板4を基板処理装置7に搬送するようになっており、基板搬送設備の構成の簡素化を図ることができながら、基板4を基板処理装置7に効率よく搬送し易くなっている。
【0056】
〔別実施形態〕
(1) 上記実施形態では、中継搬送装置として、低位置搬送装置5Lと高位置搬送装置5Hとを設けたが、中継搬送装置として、低位置搬送装置5Lと高位置搬送装置5Hとのいずれか一方のみを設けてもよい。
【0057】
(2)一の載置部11は、上記実施形態のようなコ字状の板状部材のように1つの部材にて構成する他に、容器3の設備横幅方向の両端部を各別に支持するように一対の部材(例えば無端ベルト)にて構成してもよい。

【0058】
(3) 上記実施形態では、容器搬送箇所を、載置部11に載置された状態で容器搬送箇所に位置する容器3の上端が、走行用状態の天井搬送車6の下端より下方で且つ走行用状態の天井搬送車6に支持された容器3の下端より上方に位置する箇所に設定したが、容器搬送箇所を、載置部11に載置された状態で容器搬送箇所に位置する容器3の上端が、走行用状態の天井搬送車6の下端より下方で且つ走行用状態の天井搬送車6に支持された容器3の下端より下方に位置する箇所に設定して、容器搬送箇所に容器3が存在していたとしても、容器3を支持する走行用状態の天井搬送車6を自由に走行移動できるように構成してもよい。
【0059】
(4) 上記実施形態では、低位置用の載置部11Lを、その低位置用の載置部11Lの移動軌跡が高位置用の載置部11Hの移動軌跡と上下方向視で重複する部分と重複しない部分とを有する状態で設け、高位置用の載置部11Hを、その高位置用の載置部11Hの移動軌跡が低位置用の載置部11Hの移動軌跡と上下方向視で重複する部分と重複しない部分とを有する状態で設けたが、これら低位置用の載置部11Lと高位置用の載置部11Hとを、移動軌跡が上下方向に重複しない状態で設けてもよい。
具体的には、例えば、上記実施形態において、載置部11の平面視形状をくし歯状に形成する等により、低位置第1搬送箇所1Lに対応する位置の低位置用の載置部11Lと、高位置第1搬送箇所1Hに対応する位置の高位置用の載置部11Hとが、上下方向視で重ならないように構成して、低位置用の載置部11Lと高位置用の載置部11Hとを、移動軌跡が上下方向に重複しない状態で設けてもよい。
尚、低位置用の載置部11Lの移動軌跡の全体と高位置用の載置部11Hの移動軌跡の全体とが、上下方向に重複する状態で設けてもよい。
【0060】
(5) 上記実施形態では、基板4を、矩形状に形成された板状体としたが、基板4を、ウェハ等の円形又は略円形に形成された板状体でもよい。また、容器3は、ウェハ収納用のFOUPとしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 容器搬送箇所
1L 低位置容器搬送箇所
1H 高位置容器搬送箇所
2 基板取出箇所
2L 低位置基板取出箇所
2H 高位置基板取出箇所
3 容器
4 基板
5 中継搬送装置
5L 低位置搬送装置
5H 高位置搬送装置
6 天井搬送車
7 基板処理装置
8 基板搬送装置
11 載置部
11L 低位置用の載置部
11H 高位置用の載置部
20 走行レール
21 支持体
P 軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10