特許第5928367号(P5928367)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許5928367架橋性シリコーンゴムエマルジョンを含有する化粧料の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5928367
(24)【登録日】2016年5月13日
(45)【発行日】2016年6月1日
(54)【発明の名称】架橋性シリコーンゴムエマルジョンを含有する化粧料の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/898 20060101AFI20160519BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20160519BHJP
   C08G 77/08 20060101ALI20160519BHJP
【FI】
   A61K8/898
   A61Q19/00
   C08G77/08
【請求項の数】8
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2013-27215(P2013-27215)
(22)【出願日】2013年2月15日
(65)【公開番号】特開2013-209361(P2013-209361A)
(43)【公開日】2013年10月10日
【審査請求日】2015年1月27日
(31)【優先権主張番号】特願2012-43952(P2012-43952)
(32)【優先日】2012年2月29日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000226666
【氏名又は名称】日信化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100114513
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 沙織
(74)【代理人】
【識別番号】100120721
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 克成
(74)【代理人】
【識別番号】100124590
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100157831
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 克彦
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 昭
【審査官】 手島 理
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第02/072703(WO,A1)
【文献】 特開平02−084580(JP,A)
【文献】 特開平05−093135(JP,A)
【文献】 特開2011−152785(JP,A)
【文献】 特開2007−051236(JP,A)
【文献】 特開2003−012930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8
A61Q
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状オルガノシロキサンをアルコキシシランもしくはその部分加水分解縮合物又はα,ω−ジヒドロキシもしくはジアルコキシシロキサンオリゴマーの存在下に、クエン酸、乳酸及びアスコルビン酸から選ばれる少なくとも1種を触媒として用いると共に、アニオン系界面活性剤を乳化剤として用いて開環重合することにより1分子中にケイ素原子に結合するヒドロキシル基を少なくとも2個含有する直鎖状又は分岐鎖状オルガノポリシロキサン(A)を含むシリコーンゴムエマルジョンを得た後、このシリコーンゴムエマルジョンに(B)アミノ基含有オルガノキシシランと酸無水物との反応生成物を上記オルガノポリシロキサン(A)100質量部に対し0.5〜20質量部の割合で混合する工程を含むことを特徴とする化粧料の製造方法。
【請求項2】
開環重合温度を55〜85℃にすることを特徴とする請求項記載の化粧料の製造方法。
【請求項3】
開環重合温度を65〜75℃にすることを特徴とする請求項記載の化粧料の製造方法。
【請求項4】
(A)成分の直鎖状又は分岐鎖状オルガノポリシロキサンが、下記一般式(1)で示される請求項1〜3のいずれか1項に記載の化粧料の製造方法。
【化1】
(式中、Rは同一又は異種の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基、Xは同一又は異種の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基又はヒドロキシル基、YはX又は−[O−Si(X)2c−Xで示される同一又は異種の基で、X及びY中の少なくとも2個はヒドロキシル基である。aは0〜1,000の整数、bは100〜10,000の整数、cは1〜1,000の整数であり、各繰り返し単位はランダムに結合されていてよい。)
【請求項5】
(B)成分のアミノ基含有オルガノキシシランが、下記一般式(2)
A(R)gSi(OR)3-g (2)
[式中、Rは同一又は異種の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基、Aは式−R1(NHR1hNHR2(式中、R1は同一又は異種の炭素数1〜6の2価炭化水素基、R2はR又は水素原子、hは0〜6の整数である。)で表されるアミノ含有基、gは0、1又は2である。]
で示されるものであり、酸無水物がジカルボン酸無水物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の化粧料の製造方法。
【請求項6】
(A)成分を得るための触媒が、クエン酸である請求項1〜5のいずれか1項に記載の化粧料の製造方法。
【請求項7】
(A)成分を得るための触媒を、環状オルガノシロキサン100質量部に対して0.01〜10質量部用いる請求項1〜6のいずれか1項に記載の化粧料の製造方法。
【請求項8】
(A)成分を得るためのアニオン系界面活性剤が、N−アシルアミノ酸塩、N−アシルタウリン塩、脂肪族石けん及びアルキルりん酸塩から選ばれる少なくとも1種であり、その使用量が、環状オルガノシロキサン100質量部に対して0.1〜20質量部である請求項1〜7のいずれか1項に記載の化粧料の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡便な方法により得られ、皮膚刺激性が少ない架橋性シリコーンゴムエマルジョンを含有する化粧料及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりシリコーンゴム樹脂の水系エマルジョンは知られており、化粧料用途に限定しても多岐に渡る製品が市場に出ている。しかし、化粧料用途の製品はシリコーンオイルなどを使用して水に乳化分散させたものがほとんどであり、水系とは言い難い。特開平10−175816号公報(特許文献1)では、一度シリコーンゴム粒子を合成し、それを乾燥した後、改めて乳化分散させて使用することを開示しているが、重合工程の他に乾燥、乳化の工程が必要となる。ハイドロジェンポリシロキサンとビニルポリシロキサンを付加反応させることによるシリコーンゴム水分散体は公知であるが、分離しやすいため、主にパウダーに分離して用いられることがほとんどであり、水分散体のまま化粧組成に組み込むことは少ない。また、一度シリコーンゴムを溶液などで重合した後、再度シリコーンオイルに溶解させて、機械乳化させる方法(特開平8−245881号公報:特許文献2)もあるが、コスト的にも不利な部分がある。
【0003】
架橋型の皮膜形成能を持つシリコーンエマルジョンは、特開2007−51236号公報(特許文献3)で既に公知であり、強度、柔軟性に優れていること、撥水性などの点が評価され市場に出ている。これらはシロキサン原料を使用した簡便な乳化重合であり、コスト的に優れているが、これらは化粧品としてはふさわしくない界面活性剤や酸を含んでいた。
【0004】
また、特開平11−71522号公報(特許文献4)では、シラノール基末端ポリジオルガノシロキサンを、(B)該スルホン酸の塩に酸を反応させて、反応系内で生成される不飽和脂肪族スルホン酸及び/又は水酸化脂肪族スルホン酸;並びに(C)水の存在下で乳化重合させて得られるポリオルガノシロキサンエマルジョンを開示しているが、硫酸、塩酸、ギ酸、スルホン酸を使用している。これらの酸は強酸であり、毒物及び劇物取締法など種々の法令に該当するため、化粧料用途として好ましくない。また、ギ酸は強酸ではないが、高濃度では毒物及び劇物取締法の劇物に該当し、化粧品としては好ましくない。
【0005】
特公昭44−20116号公報(特許文献5)では、脂肪族炭化水素基で置換されたベンゼンスルホン酸及びナフタレンスルホン酸、脂肪族炭化水素スルホン酸並びにシリルアルキルスルホン酸から選ばれる、界面活性を有するスルホン酸触媒の存在下に、オルガノシロキサン類とシラノール基含有ジシルカルバンとを、水性媒体中で乳化重合させる方法が開示されている。中でもドデシルベンゼンスルホン酸に代表されるアルキルベンゼンスルホン酸が一般的である。しかし、これらはシリコーンオイルであり、シリコーンゴムとは使用方法に明確な違いがある。また、前述の先行文献の通り、使用している酸は強酸であり、化粧料用途として好ましくない。
【0006】
また、重合の際、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウレス硫酸ナトリウムなどのアニオン系界面活性剤の使用が不可欠であるが、これらは刺激性があり、化学物質排出把握管理促進法(以下、PRTR法とする)規制の対象となっており、人や環境(水生生物)に対しての有害性が疑われるおそれがあるので、化粧料に使用する材料としては好ましくない。
なお、シリコーンゴムエマルジョンを化粧料として使用する場合、よりのびが良いものや質感が軽くて、触感が柔らかいといった性能が特に望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−175816号公報
【特許文献2】特開平8−245881号公報
【特許文献3】特開2007−51236号公報
【特許文献4】特開平11−71522号公報
【特許文献5】特公昭44−20116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、毒物及び劇物取締法やPRTR法監視物質に該当せず、かつ肌への負担が少ない原料のみを使用し、工業用と同様の性能を持たせ、化粧料用途に活用できる形態とした架橋性シリコーンゴムエマルジョンを含有する化粧料及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、化粧料に使用するオルガノポリシロキサンとして、環状オルガノシロキサンを主原料とし、これをクエン酸、乳酸又はアスコルビン酸を触媒とし、乳化剤にアニオン系界面活性剤、特にN−アシルアミノ酸塩、N−アシルタウリン塩、脂肪族石けん又はアルキルりん酸塩を用いて開環重合することにより得られた直鎖状又は分岐鎖状オルガノポリシロキサンが好適であり、これにアミノ基含有オルガノキシシランと酸無水物との反応生成物を混合したものが、化粧料成分として有効であることを知見し、本発明をなすに至った。
【0010】
従って、本発明は、下記の化粧料の製造方法を提供する。
〕 環状オルガノシロキサンをアルコキシシランもしくはその部分加水分解縮合物又はα,ω−ジヒドロキシもしくはジアルコキシシロキサンオリゴマーの存在下に、クエン酸、乳酸及びアスコルビン酸から選ばれる少なくとも1種を触媒として用いると共に、アニオン系界面活性剤を乳化剤として用いて好ましくは55〜85℃、より好ましくは65〜75℃の温度で開環重合することにより1分子中にケイ素原子に結合するヒドロキシル基を少なくとも2個含有する直鎖状又は分岐鎖状オルガノポリシロキサン(A)を含むシリコーンゴムエマルジョンを得た後、このシリコーンゴムエマルジョンに(B)アミノ基含有オルガノキシシランと酸無水物との反応生成物を上記オルガノポリシロキサン(A)100質量部に対し0.5〜20質量部の割合で混合する工程を含むことを特徴とする化粧料の製造方法。

(A)成分の直鎖状又は分岐鎖状オルガノポリシロキサンが、下記一般式(1)で示される〔〕記載の化粧料の製造方法。
【化1】
(式中、Rは同一又は異種の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基、Xは同一又は異種の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基又はヒドロキシル基、YはX又は−[O−Si(X)2c−Xで示される同一又は異種の基で、X及びY中の少なくとも2個はヒドロキシル基である。aは0〜1,000の整数、bは100〜10,000の整数、cは1〜1,000の整数であり、各繰り返し単位はランダムに結合されていてよい。)

(B)成分のアミノ基含有オルガノキシシランが、下記一般式(2)
A(R)gSi(OR)3-g (2)
[式中、Rは同一又は異種の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基、Aは式−R1(NHR1hNHR2(式中、R1は同一又は異種の炭素数1〜6の2価炭化水素基、R2はR又は水素原子、hは0〜6の整数である。)で表されるアミノ含有基、gは0、1又は2である。]
で示されるものであり、酸無水物がジカルボン酸無水物である〔〕又は〔〕記載の化粧料の製造方法。

(A)成分を得るための触媒が、クエン酸である〔〕〜〔〕のいずれかに記載の化粧料の製造方法。

(A)成分を得るための触媒を、環状オルガノシロキサン100質量部に対して0.01〜10質量部用いる〔〕〜〔〕のいずれかに記載の化粧料の製造方法。

(A)成分を得るためのアニオン系界面活性剤が、N−アシルアミノ酸塩、N−アシルタウリン塩、脂肪族石けん及びアルキルりん酸塩から選ばれる少なくとも1種であり、その使用量が、環状オルガノシロキサン100質量部に対して0.1〜20質量部である〔〕〜〔〕のいずれかに記載の化粧料の製造方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明の化粧料に含有する架橋性シリコーンゴムエマルジョンは、従来から知られていたシリコーンゴムエマルジョンと同等の性能を毒物及び劇物取締法やPRTR法規制に該当せず、かつ肌への負担が少ない原料のみを用いて調製することができ、該シリコーンゴムエマルジョンを含有することにより、環境にやさしく、肌に対し低刺激性であり、また耐水性を有し、使用感の高い化粧料を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の化粧料は、
(A)環状オルガノシロキサンをアルコキシシランもしくはその部分加水分解縮合物又はα,ω−ジヒドロキシもしくはジアルコキシシロキサンオリゴマーの存在下に、クエン酸、乳酸及びアスコルビン酸から選ばれる少なくとも1種を触媒として用いると共に、アニオン系界面活性剤を乳化剤として用いて開環重合することにより得られる1分子中にケイ素原子に結合するヒドロキシル基を少なくとも2個含有する直鎖状又は分岐鎖状オルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)アミノ基含有オルガノキシシランと酸無水物との反応生成物:0.5〜20質量部
を含んでなるシリコーンゴムエマルジョンを含有する。
【0013】
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1分子中にケイ素原子に結合するヒドロキシル基を少なくとも2個含有するものであり、下記一般式(1)で示される直鎖状又は分岐鎖状のものが好ましい。
【化3】
(式中、Rは同一又は異種の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基、Xは同一又は異種の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基又はヒドロキシル基、YはX又は−[O−Si(X)2c−Xで示される同一又は異種の基で、X及びY中の少なくとも2個はヒドロキシル基である。aは0〜1,000の整数、bは100〜10,000の整数、cは1〜1,000の整数であり、各繰り返し単位はランダムに結合されていてよい。)
【0014】
ここで、Rは同一又は異種の炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基であり、具体的には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、トリル、ナフチル基などが挙げられるが、好ましくはメチル基である。
Xは同一又は異種の炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜20のアルコキシ基又はヒドロキシル基であり、具体的には、ヒドロキシル基以外に、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、フェニル、トリル、ナフチル、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、デシルオキシ、テトラデシルオキシ基などが挙げられる。
YはX又は−[O−Si(X)2c−Xで示される同一又は異種の基である。
【0015】
aは1,000より大きくなると得られる皮膜の強度が不十分となるので、0〜1,000の整数、好ましくは0〜200の整数とされ、bは100未満では皮膜の柔軟性が乏しいものとなり、10,000より大きいとその引き裂き強度が低下するので、100〜10,000の整数、好ましくは1,000〜5,000の整数とされ、cは1〜1,000の整数とされる。
また、架橋性の面から1分子中に少なくとも2個、好ましくは2〜4個のヒドロキシル基を有し、両末端に形成させたものを用いることが好ましい。
【0016】
このようなオルガノポリシロキサンの具体例としては、下記のものなどが挙げられる。
【化4】
【化5】
(上記式中、a、b、cは上記と同じである。)
【0017】
上記直鎖状又は分岐鎖状のオルガノポリシロキサンは、環状オルガノシロキサンを主原料とし、アルコキシシランもしくはその部分加水分解縮合物又はα,ω−ジヒドロキシもしくはジアルコキシシロキサンオリゴマーを更に用いて得られる。特にアルコキシシランが好ましい。
【0018】
この場合、環状オルガノシロキサンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、1,1−ジエチルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1,1−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラシクロヘキシルテトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(3,3,3−トリフロロプロピル)トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−メタクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−アクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−カルボキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−ビニロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(p−ビニルフェニル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ[3−(p−ビニルフェニル)プロピル]テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N−アクリロイル−N−メチル−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N,N−ビス(ラウロイル)−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン等が例示され、環状ジメチル型(D体、分子式SiO(CH32)の結合量を示すD3〜D20が挙げられる。
好ましくは、(SiO(CH32n[式中、nは3〜10の整数である]で示される環状シロキサンである。
更に好ましくは、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサンが用いられる。
【0019】
アルコキシシランとして、具体的には、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等が挙げられる。
これらの中でも好ましくは、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランである。
【0020】
なお、アルコキシシランもしくはその部分加水分解縮合物、α,ω−ジヒドロキシもしくはジアルコキシシロキサンオリゴマーは、環状オルガノシロキサン100質量部に対し0.01〜5質量部、より好ましくは0.01〜2質量部、更に好ましくは0.01〜1質量部の使用量とすることが好ましい。
【0021】
本発明は、上記原料をクエン酸、乳酸及びアスコルビン酸から選ばれる少なくとも1種を触媒として用い、アニオン系界面活性剤を乳化剤として、開環乳化重合することにより、上記式(1)のオルガノポリシロキサンを得るものである。
【0022】
アニオン系界面活性剤としては、薬事法 医薬部外品原料規格2006(通称:外原規2006)に記載があり、薬事法化粧品基準による制限もなく、刺激性が少なく、また毒物及び劇物取締法における毒物・劇物や、PRTR法規制の対象となっていないものが好ましい。
【0023】
このようなアニオン系界面活性剤としては、N−アシルアミノ酸塩、N−アシルタウリン塩、脂肪族石けん、アルキルりん酸塩等が挙げられるが、中でも水に溶けやすく、ポリエチレンオキサイド鎖を持たないものが好ましい。更に好ましくは、アシル基の炭素数10〜20のN−アシルアミノ酸塩、アシル基の炭素数10〜20のN−アシルタウリン塩、炭素数10〜20の脂肪族石けん及び炭素数10〜20のアルキルりん酸塩である。好ましい塩はアルカリ金属塩である。特に好ましくは、ラウロイルメチルタウリンナトリウム、ミリストイルメチルタウリンナトリウムである。
【0024】
この使用量としては、上記環状オルガノシロキサン100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜10質量部である。アニオン系界面活性剤が少なすぎると乳化ができない、あるいは極端に不安定になる場合があり、多すぎると環状オルガノシロキサンが十分に反応しない可能性がある。
【0025】
なお、アニオン系界面活性剤と併用して、ポリオキシエチレンアルキルエーテルなどのノニオン系界面活性剤を使用することもできるが、ノニオン系界面活性剤単独では重合時の条件が、高温・酸性であるため界面活性能を保てない。
【0026】
また、重合触媒としての酸触媒は、薬事法化粧品基準での制限がなく、医薬部外品原料規格2006に記載がある、また毒物及び劇物取締法における毒物・劇物や、PRTR法規制の対象となっていないものが好ましく、クエン酸、乳酸、アスコルビン酸が例示される。好ましくはクエン酸である。
【0027】
触媒の使用量としては、上記環状オルガノシロキサン100質量部に対して0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜2質量部である。触媒の使用量が少なすぎると十分に反応しない可能性があり、多すぎると中和に必要なアルカリが多く必要となり、系中の固形分が減少したり、あるいは金属イオンが多くなることによるエマルジョンが不安定化する可能性がある。
【0028】
前述した通り、従来から使用されているドデシルベンゼンスルホン酸、塩酸、硫酸などの触媒は好ましくない。本発明に使用し得る触媒としては、得られる化粧料において、後述する刺激指数が10以下となるものを用いることが好ましい。
また、従来使用されている強酸を弱酸、例えば酢酸、酪酸に代えても、未反応物が残存したり分子量が小さくなったりして、目的とする性能が得られない。これを解決する方法として、アスコルビン酸、クエン酸、乳酸を用いて、更に重合温度、重合時間、酸の量などを調整する事で良好な化粧原料が得られる。
なお、上記原料を用いて乳化重合する場合、水の量は、環状オルガノシロキサン100質量部に対して50〜200質量部であることが好ましい。
【0029】
本発明において、上記重合は公知の方法、条件を採用し得るが、重合反応において、触媒が弱酸である場合、温度が高いほど重合度が上がりやすい傾向にある。本発明において、好ましい重合反応温度は55〜85℃であり、特に好ましくは65〜75℃である。重合時間は適宜調整すればよいが、1〜40時間程度が好ましい。重合温度が室温程度の低い温度では、環状シロキサンの開環が起こらない、あるいは不十分な場合がある。高温の場合はエマルジョンの安定性が保てない場合がある。
【0030】
本発明において、直鎖状又は分岐鎖状のオルガノポリシロキサンは、エマルジョンの形態で得られ、得られたエマルジョンはそのまま、又は必要により固形分が20〜50質量%、特に30〜50質量%となるように水で希釈しあるいは濃縮して使用し得る。
【0031】
(B)成分であるアミノ基含有オルガノキシシランと酸無水物との反応生成物は、(A)成分のオルガノポリシロキサンと混合することにより、乾燥時に3次元に架橋した硬化シリコーンとさせるものであり、アミノ基含有アルコキシシランとジカルボン酸無水物とを反応させたものであることが好ましく、更に本発明においては、化粧用とするため、アミノ基含有オルガノキシシランとしてエトキシ基含有シランを用いることが好ましい。
【0032】
ここで、原料であるアミノ基含有オルガノキシシランは、下記一般式(2)
A(R)gSi(OR)3-g (2)
[式中、Rは前記と同じ、Aは式−R1(NHR1hNHR2(式中、R1は同一又は異種の炭素数1〜6のメチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ヘキシレン基等のアルキレン基などの2価炭化水素基、R2はR又は水素原子、hは0〜6の整数、好ましくは0又は1である。)で表されるアミノ含有基、gは0、1又は2である。]
で表されるものを用いることができ、具体的には下記のものが挙げられる。
(C25O)3SiC36NH2
(C25O)2(CH3)SiC36NH2
(C25O)3SiC36NHC24NH2
(C25O)2(CH3)SiC36NHC24NH2
(CH3O)3SiC36NH2
(CH3O)2(CH3)SiC36NH2
(CH3O)3SiC36NHC24NH2
(CH3O)2(CH3)SiC36NHC24NH2
発生するアルコールで適当なものはエタノールであるため、OR基としてはエトキシ基が最も望ましい。
【0033】
上記アミノ基含有オルガノキシシランと反応させるための酸無水物は、ジカルボン酸無水物が好ましく、中でも化粧用としてはコハク酸無水物が好ましい。
【0034】
酸無水物の反応量は、アミノ基含有オルガノキシシラン100質量部に対して、10〜60質量部であることが好ましく、より好ましくは40〜60質量部である。酸無水物量が少なすぎるとゴム性が低くなる場合があり、多すぎると反応物が黄色く変色する場合がある。
【0035】
アミノ基含有オルガノキシシランと酸無水物との反応方法は、上記両者の配合比により、必要に応じて親水性有機溶剤中で室温あるいは加温下に混合することで容易に実施することができる。このときの親水性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、テトラヒドロフランなどが例示される。また、親水性有機溶剤の使用量としては、反応生成物量の0〜100質量%程度である。
反応温度としては室温以上なら特に限定されないが、20〜100℃が好ましい。反応時間は特に限定されないが、1〜4時間が好ましい。
なお、親水性有機溶剤を用いてアミノ基含有オルガノキシシランと酸無水物との反応を行った場合、(B)成分は上記反応液をそのまま用いてもよいし、溶剤を除いてから用いてもよい。
【0036】
得られた反応物中の固形分(即ち、アミノ基含有オルガノキシシランと酸無水物との反応生成物)としては、10〜40質量%程度が好ましく、20〜30質量%程度がより好ましい。固形分が少なすぎるとエラストマー性が低くなり、多すぎるとエマルジョンの不安定化を招く。
【0037】
(B)アミノ基含有オルガノキシシランと酸無水物との反応生成物の使用量は、(A)1分子中にケイ素原子に結合するヒドロキシル基を少なくとも2個含有するオルガノポリシロキサン100質量部に対して固形分比で0.5〜20質量部であり、好ましくは1〜10質量部である。(B)成分が少なすぎるとゴム性が落ち、多すぎるとエマルジョンが不安定化し、風合いが硬くなる。
【0038】
上記(A),(B)成分を、例えば、スターラー、プロペラ式撹拌装置などの公知の混合方法によって混合することで、水中に乳化分散された架橋性シリコーンゴムエマルジョンが得られる。混合時間は5〜30分である。好ましい混合温度は10〜30℃である。前述したように、(A)成分と(B)成分を混合することにより、乾燥時に3次元に架橋した硬化シリコーンとなる。
【0039】
得られたシリコーンゴムエマルジョン中の固形分としては、20〜50質量%程度が好ましく、30〜50質量%程度がより好ましい。
【0040】
また、得られたシリコーンゴムエマルジョンのB型粘度計により測定した粘度範囲としては10〜5,000mPa・s、特に50〜1,000mPa・sが好ましい。
また、シリコーンゴムエマルジョンを化粧料として使用するにあたり、ウベローデ粘度計により測定した固有粘度は、肌におけるゴム感に差を感じない0.1〜0.9mm2/s、特に0.3〜0.9mm2/sであることが好ましい。
この場合、カルボキシビニルポリマーやポリアクリル酸、アクリル酸とアクリル酸エステルの共重合体などで粘度の調整が可能である。
更に、シリコーンゴムエマルジョンのレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置により測定した平均粒子径は、1μm以下が好ましく、より好ましくは100〜300nmである。
なお、シリコーンゴムエマルジョンのpHは、6〜8であることが好ましい。
【0041】
この場合、前述したように従来のシリコーンゴムエマルジョンは保存安定性が悪く、分離等が見られるために、パウダーとして使用されていたが、本発明のシリコーンゴムエマルジョンは1ヶ月経過後も分離することなく、保存安定性がよいエマルジョンである。
【0042】
このようにして得られたシリコーンゴムエマルジョンは、ゴム皮膜が形成でき、撥水性、水蒸気透過性、使用感などを持たせることができると共に、架橋することによる耐水性なども付与できる。また、皮膚刺激性が少ないため、化粧用として頭髪化粧料、基礎化粧料、メークアップ化粧料、ボディケア化粧料、サンスクリーンなど多くの化粧料への活用が期待され、特にスキンケア用途への応用が期待できる。
【0043】
この架橋性シリコーンゴムエマルジョンの配合量は、化粧料全体に対して固形分量で5〜50質量%が好ましい。5質量%未満であると十分な効果が得られない場合があり、50質量%を超えるとゴム性が強くなりすぎて化粧用としては好ましくない場合がある。後述するが、例えば実施例1の場合、製造例1のエマルジョン223質量部(固形分量100質量部)、製造例11の溶液10質量部(固形分量5質量部)、イソヘキサデカン200質量部、KF−6105(信越化学工業社製ポリグリセリン変性シリコーンオイル)200質量部の混合物である。従って、架橋性シリコーンゴムエマルジョンの配合量は105÷633=16.5質量%となる。
【0044】
本発明の架橋性シリコーンゴムエマルジョン以外の化粧料配合物として、油剤、溶剤、粉体などが挙げられる。
【0045】
油剤としては、炭化水素、シリコーン油、トリグリセライド、エステル油、油脂類、ロウ類、高級脂肪酸、高級アルコール等が挙げられ、特に低沸点シリコーン油、低沸点イソパラフィン系炭化水素、トリグリセライド、エステル油が好ましい。
本発明の化粧料中の油剤の含有率は化粧料の剤型によって異なり、本発明の効果を損なわない範囲の量であればよく、好ましくは0.1〜95質量%、更に好ましくは1〜80質量%であるのがよい。0.1質量%未満では油剤の滑り性、保湿性等の効果が発揮できないことがあり、95質量%を超えると保存安定性が低下する傾向がある。
【0046】
溶剤としては、中低級アルコール、芳香族アルコール類等を挙げることができるが、イソプロピルアルコール等の低級アルコールが好ましい。
本発明の化粧料中の溶剤の含有率は化粧料の剤型によって異なり、本発明の効果を損なわない範囲の量であればよいが、好ましくは0.1〜80質量%、更に好ましくは1〜50質量%であるのがよい。
【0047】
粉体は、通常メークアップ化粧料に使用可能なものであれば特に限定されず、例えば、無機着色顔料、無機白色顔料、有機顔料等の着色料、パール剤、体質顔料、有機粉末等である。更に目的に応じて、シリコーン等の油剤で表面被覆処理した粉体を使用することも可能である。
粉体成分を用いる場合の配合量としては、化粧料の剤型によって異なり、本発明の効果を損なわない範囲の量であればよいが、化粧料の総量に対して0.1〜95質量%、好ましくは0.1〜50質量%、更に好ましくは0.5〜40質量%であるのがよい。
【0048】
これらの成分を配合するには、本発明の架橋性シリコーンゴムエマルジョン及び他の成分を、単に均一に混合するか、又は該エマルジョン以外の成分をあらかじめホモジナイザー、コロイドミル、ラインミキサーなどの乳化機によって乳化し、又は撹拌機によって均一に混合しておき、これに該エマルジョンを添加して分散させるなど、各種の方法をとることができる。
【0049】
更に、本発明の化粧料には、上記の構成成分に加え、目的に応じて本発明の架橋性シリコーンゴムエマルジョンの効果を損なわない量的、質的範囲で、界面活性剤、油性成分、高分子化合物、ゲル化剤、アルカリ剤、多価アルコール、pH調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、消炎剤、美肌用成分、香料等、通常化粧品に配合される他の成分を配合することが可能である。
【0050】
本発明の化粧料としては、例えば、ファンデーション、白粉、アイシャドウ、アイライナー、アイブロー、チーク、口紅、ネイルカラー等のメークアップ化粧料、乳液、クリーム、ローション、カラミンローション、サンスクリーン剤、サンタン剤、アフターシェーブローション、プレシェーブローション、パック料、アクネ対策化粧料、エッセンス等の基礎化粧料、シャンプー、リンス、コンディショナー、ヘアカラー、ヘアトニック、セット剤、養毛料、パーマネント剤等の頭髪化粧料、ボディパウダー、デオドラント、脱毛剤、セッケン、ボディシャンプー、入浴剤、ハンドソープ、香水等が挙げられる。本発明の架橋性シリコーンゴムエマルジョンは皮膚刺激性が少ないため、基礎化粧料などのスキンケア化粧料として用いることが好ましい。
【実施例】
【0051】
以下、製造例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において、部及び%はそれぞれ質量部、質量%を示す。
【0052】
〔(A)成分〕
[比較製造例1]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、トリエトキシフェニルシラン2g、ラウリル硫酸ナトリウム5gを純水45gに溶解したもの、及びドデシルベンゼンスルホン酸5gを純水45gに溶解したものを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、50℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液12gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が45.1%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH32SiO2/2]/[(C65)SiO3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔比較製造例1〕を得た。
【0053】
[比較製造例2]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、フェニルトリエトキシシラン2g、ラウリル硫酸ナトリウム5gを純水45gに溶解したもの、及び35%塩酸14gを水36gに希釈したものを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、50℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液12gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が44.2%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH32SiO2/2]/[(C65)SiO3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔比較製造例2〕を得た。
【0054】
[比較製造例3]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、フェニルトリエトキシシラン2g、ラウリル硫酸ナトリウム5gを純水45gに溶解したもの、及び酪酸2gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、50℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液12gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が41.0%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH32SiO2/2]/[(C65)SiO3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔比較製造例3〕を得た。
【0055】
[比較製造例4]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、フェニルトリエトキシシラン2g、ラウリル硫酸ナトリウム5gを純水45gに溶解したもの、及び酢酸2gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、50℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液12gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が40.8%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH32SiO2/2]/[(C65)SiO3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔比較製造例4〕を得た。
【0056】
[製造例1]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、フェニルトリエトキシシラン2g、ラウロイルメチルタウリンナトリウム5gを純水95gに溶解したもの、及びクエン酸3.8gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、70℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液42gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が44.8%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH32SiO2/2]/[(C65)SiO3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔製造例1〕を得た。
【0057】
[製造例2]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、フェニルトリエトキシシラン2g、ラウロイルメチルタウリンナトリウム5gを純水95gに溶解したもの、及びクエン酸1.9gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、70℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液24gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が44.7%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH32SiO2/2]/[(C65)SiO3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔製造例2〕を得た。
【0058】
[製造例3]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、フェニルトリエトキシシラン2g、ミリストイルメチルタウリンナトリウム10gを純水90gに溶解したもの、及びクエン酸3.8gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、70℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液45gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が44.5%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH32SiO2/2]/[(C65)SiO3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔製造例3〕を得た。
【0059】
[製造例4]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、フェニルトリエトキシシラン2g、ラウロイルメチルタウリンナトリウム10gを純水90gに溶解したもの、及びクエン酸3.8gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、70℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液45gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が45.0%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH32SiO2/2]/[(C65)SiO3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔製造例4〕を得た。
【0060】
[製造例5]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、フェニルトリエトキシシラン2g、ラウロイルメチルタウリンナトリウム5gを純水95gに溶解したもの、及びクエン酸7.6gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、70℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液60gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が42.7%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH32SiO2/2]/[(C65)SiO3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔製造例5〕を得た。
【0061】
[製造例6]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、フェニルトリエトキシシラン2g、ラウロイルメチルタウリンナトリウム25gを純水75gに溶解したもの、及びクエン酸3.8gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、70℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液45gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が45.2%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH32SiO2/2]/[(C65)SiO3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔製造例6〕を得た。
【0062】
[製造例7]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、フェニルトリエトキシシラン2g、ラウロイルメチルタウリンナトリウム10gを純水75gに溶解したもの、及び乳酸7.6gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、70℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液30gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が44.8%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH32SiO2/2]/[(C65)SiO3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔製造例7〕を得た。
【0063】
[製造例8]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、フェニルトリエトキシシラン2g、ラウロイルメチルタウリンナトリウム10gを純水75gに溶解したもの、及びL−アスコルビン酸10gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、70℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液45gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が44.7%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH32SiO2/2]/[(C65)SiO3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔製造例8〕を得た。
【0064】
[製造例9]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、メチルトリエトキシシラン2g、ラウロイルメチルタウリンナトリウム10gを純水75gに溶解したもの、及びクエン酸3.8gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、70℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液45gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が44.7%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH32SiO2/2]/[(C65)SiO3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔製造例9〕を得た。
【0065】
[製造例10]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、メチルトリエトキシシラン2g、ラウロイルメチルタウリンナトリウム15gを純水75gに溶解したもの、及びクエン酸3.8gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、70℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液45gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が43.2%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH32SiO2/2]/[(C65)SiO3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔製造例10〕を得た。
【0066】
《分析方法》
上記で得られたエマルジョンについて、下記に示す方法により、蒸発残分、粘度、平均粒子径、固有粘度、保存安定性を測定した。蒸発残分、粘度、平均粒子径、固有粘度の結果を表1に示す。
【0067】
〔蒸発残分測定〕
試料約1gをアルミ箔製の皿に量り取り、105〜110℃に保った乾燥器に入れ、1時間加熱後、乾燥器から取り出してデシケーターの中にて放冷し、試料の乾燥後の重さを量り、次式により蒸発残分を算出した。
【数1】
R : 蒸発残分(%)
W : 乾燥前の試料を入れたアルミ箔皿の質量(g)
L : アルミ箔皿の質量(g)
T : 乾燥後の試料を入れたアルミ箔皿の質量(g)
アルミ箔皿の寸法:70φ×12h(mm)
【0068】
〔B型粘度計粘度測定方法〕
試料の液温を23±0.5℃に保持し、BM型粘度計(No.1ローター、6rpm)にて測定した。
【0069】
〔平均粒子径測定〕
試料を0.01g計量し、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製、商品名:LA−950V2)を使用して、循環流量2、撹拌速度2の条件での平均粒子径(粒度累積分布の50%に相当する粒子径の値)を測定した。
[測定条件]
測定温度:25±1℃
溶媒:イオン交換水
【0070】
〔固有粘度測定〕
エマルジョン20gをIPA(イソプロピルアルコール)20gと混合し、エマルジョンを破壊することで約4.5gのシリコーン樹脂を得た。IPAを廃棄し、残ったゴム状のシリコーン樹脂を60℃で一晩乾燥した。これをウベローデ粘度計にて25℃で測定を行った。測定時間から換算して、固有粘度を得た(トルエンの比粘度は0.65であり、ここから算出している)。詳しくは下記式参照。
(1)1g/100mL濃度のジメチルポリシロキサンのトルエン溶液を調整し、比粘度ηsp(25℃)を求める。
ηsp=(η/η0)−1
※η0:トルエンの粘度、η:溶液の粘度
(2)次に、ηspをHugginsの関係式に代入して、固有粘度〔η〕を求める。
ηsp=〔η〕+K’〔η〕2
※K’:Hugginsの定数 K’=0.3(〔η〕=1〜3のとき適応)
[参考文献]中牟田、日化、77 858[1956]
固有粘度としては0.3〜0.9mm2/sが好ましい。
【0071】
〔保存安定性〕
室温で1ヶ月後の保管状態を確認した。また、粘度と粒子径についても変化があるかどうかを確認した。製造例全ての配合で1ヶ月後に分離等の変化は見られず、粘度と粒子径にも変化はなかったため、経時安定性が十分であることがわかった。
【0072】
【表1】
【0073】
〔(B)成分〕
[製造例11]
コハク酸無水物154gをエタノール500gに溶解した後、3−アミノプロピルトリエトキシシラン346gを室温下、1時間で滴下し、更に80℃でエタノール還流下、24時間反応を行い、淡黄色透明な(B)成分を50%含有する溶液[B−1]を得た。この溶液は、105℃で3時間乾燥後の不揮発分が45.1%であり、溶液中の反応生成物はIR、GC、NMR、GCMS等の機器分析を行ったところ、約60%が下記式で示されるものの混合物であり、残りの約40%がそれらから誘導されたオリゴマーであった。
(C25O)3SiC36−NHCO−CH2CH2COOH
(C25O)3SiC36−NH3+ -OCOCH2CH2COOC25
【0074】
[製造例12]
コハク酸無水物190gをエタノール550gに溶解した後、3−アミノプロピルトリエトキシシラン346gを室温下、1時間で滴下し、更に80℃でエタノール還流下、24時間反応を行い、淡黄色透明な(B)成分を50%含有する溶液[B−2]を得た。この溶液は、105℃で3時間乾燥後の不揮発分が44.1%であり、溶液中の反応生成物はIR、GC、NMR、GCMS等の機器分析を行ったところ、約60%が下記式で示されるものの混合物であり、残りの約40%がそれらから誘導されたオリゴマーであった。
(C25O)3SiC36−NHCO−CH2CH2COOH
(C25O)3SiC36−NH3+ -OCOCH2CH2COOC25
【0075】
[比較例1]
比較製造例1で得られたエマルジョン222部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、室温下、スターラーで10分程度撹拌後、80メッシュで濾過したものに、イソヘキサデカン200部と信越化学工業社製KF−6105を200部混合し、室温下、ディスパーで10分撹拌することで得た、O/W/O型乳化クリームを〔比較例1〕とした。
【0076】
[比較例2]
比較製造例1で得られたエマルジョン222部(固形分量100部)に、製造例11の溶液40部(固形分量20部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られたO/W/O型乳化クリームを〔比較例2〕とした。
【0077】
[比較例3]
信越化学工業社製KM−903を167部(固形分量100部)に、イソヘキサデカン200部と信越化学工業社製KF−6105を200部混合し、ディスパーで撹拌することで得た、O/W/O型乳化クリームを〔比較例3〕とした。
【0078】
[比較例4]
信越化学工業社製KM−910を167部(固形分量100部)に、イソヘキサデカン200部と信越化学工業社製KF−6105を200部混合し、ディスパーで撹拌することで得た、O/W/O型乳化クリームを〔比較例4〕とした。
【0079】
[比較例5]
比較製造例2で得られたエマルジョン226部(固形分量100部)に、イソヘキサデカン200部と信越化学工業社製KF−6105を200部混合し、ディスパーで撹拌することで得た、O/W/O型乳化クリームを〔比較例5〕とした。
【0080】
[比較例6]
比較製造例3で得られたエマルジョン244部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られた水中乳化分散されたO/W/O型乳化クリームを〔比較例6〕とした。
【0081】
[比較例7]
比較製造例4で得られたエマルジョン245部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られた水中乳化分散されたO/W/O型乳化クリームを〔比較例7〕とした。
【0082】
[実施例1]
製造例1で得られたエマルジョン223部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られた水中乳化分散されたO/W/O型乳化クリームを〔実施例1〕とした。
【0083】
[実施例2]
製造例2で得られたエマルジョン224部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られたO/W/O型乳化クリームを〔実施例2〕とした。
【0084】
[実施例3]
製造例3で得られたエマルジョン225部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られたO/W/O型乳化クリームを〔実施例3〕とした。
【0085】
[実施例4]
製造例1で得られたエマルジョン223部(固形分量100部)に、製造例11の溶液40部(固形分量20部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られたO/W/O型乳化クリームを〔実施例4〕とした。
【0086】
[実施例5]
製造例4で得られたエマルジョン222部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られたO/W/O型乳化クリームを〔実施例5〕とした。
【0087】
[実施例6]
製造例5で得られたエマルジョン234部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られたO/W/O型乳化クリームを〔実施例6〕とした。
【0088】
[実施例7]
製造例6で得られたエマルジョン221部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られたO/W/O型乳化クリームを〔実施例7〕とした。
【0089】
[実施例8]
製造例1で得られたエマルジョン223部(固形分量100部)に、製造例12の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られたO/W/O型乳化クリームを〔実施例8〕とした。
【0090】
[実施例9]
製造例7で得られたエマルジョン223部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られたO/W/O型乳化クリームを〔実施例9〕とした。
【0091】
[実施例10]
製造例8で得られたエマルジョン224部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られたO/W/O型乳化クリームを〔実施例10〕とした。
【0092】
[実施例11]
製造例9で得られたエマルジョン231部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られたO/W/O型乳化クリームを〔実施例11〕とした。
【0093】
《評価方法》
上記で得られたO/W/O型乳化クリームについて、下記に示す方法により、蒸発残分、触感(のび)、柔らかさ、べたつき感、刺激指数を評価した。結果を表2に示す。
【0094】
〔蒸発残分〕
上記エマルジョンと同様の方法により測定した。
【0095】
〔触感(のび)〕
人工皮革上に上記クリーム0.5gをつけ、指先で円を描くように拡げたときの広がり具合を評価した(n=20)。市販品を使用した比較例4を○として、その広がった大きさを比較した。
◎・・・比較例4よりも広がる
○・・・比較例4と同等の広がり
×・・・比較例4よりも広がらない
【0096】
〔柔らかさ〕
市販品を使用した比較例4を○と基準にした場合の評価を行った。
◎・・・比較例4よりも質感が軽く、柔らかい
○・・・比較例4と同等の評価
×・・・比較例4よりも劣る
10人に評価してもらい、6人以上が該当した結果を表に記載した。
【0097】
〔べたつき感〕
市販品を使用した比較例4を○と基準にした場合の評価を行った。
◎・・・比較例4よりも油っぽさがなく、べたつき感がないさわやかな風合い
○・・・比較例4と同等の評価
×・・・比較例4よりも劣る
10人に評価してもらい、6人以上が該当した結果を表に記載した。
【0098】
〔皮膚刺激性試験〕
パッチテスト(閉塞パッチテスト法)により検討した。本法は、化粧料等の皮膚刺激性を確認する目的で一般に用いられている手法である。
上記O/W/O型乳化クリームを直径5mm程の円形濾紙に染みこませ、これを上腕部に貼り付ける。貼り付け方法は、濾紙を同径のアルミニウム製円盤(フィンチャンバー)で覆い、テープで固定する。
48時間後濾紙を剥がし(パッチ除去)、その後1時間及び24時間経過後の皮膚の刺激反応状態をもって判定する。
<判定評価>
反応無し :−
ごく軽い紅斑 :±
紅斑 :+
紅斑及び浮腫 :++
紅斑、浮腫及び小水疱:+++
【0099】
判定評価に対する各々の係数をそれぞれ、−:0、±:0.5、+:1.0、++:2.0、+++:3.0とし、反応の表れた人数に係数を乗じたものの和を評点とする。評点をパッチ除去後、1時間後(49時間判定)、24時間後(72時間判定)の各々にとり、被験者の人数で割り100倍した値が刺激指数となる。刺激指数が10以下は安全品、11〜30は許容品、30を超える値は要改良品と評価される。
皮膚刺激性試験における結果の詳細を表3に示す。
【0100】
〔架橋性の確認〕
実際に架橋しているかどうかの促進での確認を行った。エマルジョン5gを105℃,3時間で乾燥し、ゴム状オイルを得た。オイル成分1gを100gのトルエンに溶解し、1時間撹拌後、420メッシュのナイロン濾布にて不溶分を採取し、105℃で1時間乾燥の後、その残分が多ければ多いほど架橋が進んだことになり、数値が0.05%以上であることで架橋と判断した。
※計算式 濾布増量(g)/1g=%
【0101】
【表2】
KM−903:信越化学工業社製 高重合ジメチコンを中粘度のジメチコンで希釈したものをベースオイルとしたノニオン系ジメチコンエマルジョン(固形分60%)。
KM−910:信越化学工業社製 KM−903より高重合である高重合ジメチコンを中粘度のジメチコンで希釈したものをベースオイルとしたノニオン系エマルジョン(固形分60%)。
KF−6105:信越化学工業社製 ポリグリセリン変性シリコーンオイル
【0102】
表2の結果から明らかなように、KM−903,KM−910を用いた比較例3,4は前述の通り水系とは言い難く、シリコーンオイルを乳化分散しなければならず、化粧料の主原料であるシリコーン系樹脂エマルジョンを製造する際、工程的に不利になる。
これに対して、本発明のシリコーンゴムエマルジョンを用いた実施例は、比較例1のO/W/O型乳化クリームとほとんど変わらない触感(のび)のものが得られた。また、柔らかさについては単なるジメチコンガムと比べると特徴であるゴム弾性も付与されているため、質感が軽く、柔らかな触感が得られている。更に、シリコーンオイルと比べると格段にべたつき感がなく、本発明のシリコーンゴムエマルジョンは、べたつき感において比較例3,4より化粧品用途として有利である。
よって、本発明のシリコーンゴムエマルジョンを化粧品原料に使用しても、従来品と同じ性能が出ており、かつゴム性能のメリットも化粧品に付与できるものと期待できる。
【0103】
【表3】
【0104】
表3に示すように比較例1,2,5,7は49時間後では許容品レベルであり、安全品とは言えず、刺激性が強い。実施例1〜11はほとんどの人で反応が見られず、比較例と比べて刺激性が非常に低いことがわかる。