【実施例】
【0051】
以下、製造例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において、部及び%はそれぞれ質量部、質量%を示す。
【0052】
〔(A)成分〕
[比較製造例1]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、トリエトキシフェニルシラン2g、ラウリル硫酸ナトリウム5gを純水45gに溶解したもの、及びドデシルベンゼンスルホン酸5gを純水45gに溶解したものを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm
2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、50℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液12gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が45.1%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH
3)
2SiO
2/2]/[(C
6H
5)SiO
3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔比較製造例1〕を得た。
【0053】
[比較製造例2]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、フェニルトリエトキシシラン2g、ラウリル硫酸ナトリウム5gを純水45gに溶解したもの、及び35%塩酸14gを水36gに希釈したものを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm
2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、50℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液12gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が44.2%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH
3)
2SiO
2/2]/[(C
6H
5)SiO
3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔比較製造例2〕を得た。
【0054】
[比較製造例3]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、フェニルトリエトキシシラン2g、ラウリル硫酸ナトリウム5gを純水45gに溶解したもの、及び酪酸2gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm
2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、50℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液12gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が41.0%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH
3)
2SiO
2/2]/[(C
6H
5)SiO
3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔比較製造例3〕を得た。
【0055】
[比較製造例4]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、フェニルトリエトキシシラン2g、ラウリル硫酸ナトリウム5gを純水45gに溶解したもの、及び酢酸2gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm
2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、50℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液12gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が40.8%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH
3)
2SiO
2/2]/[(C
6H
5)SiO
3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔比較製造例4〕を得た。
【0056】
[製造例1]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、フェニルトリエトキシシラン2g、ラウロイルメチルタウリンナトリウム5gを純水95gに溶解したもの、及びクエン酸3.8gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm
2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、70℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液42gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が44.8%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH
3)
2SiO
2/2]/[(C
6H
5)SiO
3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔製造例1〕を得た。
【0057】
[製造例2]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、フェニルトリエトキシシラン2g、ラウロイルメチルタウリンナトリウム5gを純水95gに溶解したもの、及びクエン酸1.9gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm
2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、70℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液24gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が44.7%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH
3)
2SiO
2/2]/[(C
6H
5)SiO
3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔製造例2〕を得た。
【0058】
[製造例3]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、フェニルトリエトキシシラン2g、ミリストイルメチルタウリンナトリウム10gを純水90gに溶解したもの、及びクエン酸3.8gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm
2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、70℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液45gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が44.5%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH
3)
2SiO
2/2]/[(C
6H
5)SiO
3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔製造例3〕を得た。
【0059】
[製造例4]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、フェニルトリエトキシシラン2g、ラウロイルメチルタウリンナトリウム10gを純水90gに溶解したもの、及びクエン酸3.8gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm
2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、70℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液45gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が45.0%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH
3)
2SiO
2/2]/[(C
6H
5)SiO
3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔製造例4〕を得た。
【0060】
[製造例5]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、フェニルトリエトキシシラン2g、ラウロイルメチルタウリンナトリウム5gを純水95gに溶解したもの、及びクエン酸7.6gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm
2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、70℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液60gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が42.7%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH
3)
2SiO
2/2]/[(C
6H
5)SiO
3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔製造例5〕を得た。
【0061】
[製造例6]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、フェニルトリエトキシシラン2g、ラウロイルメチルタウリンナトリウム25gを純水75gに溶解したもの、及びクエン酸3.8gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm
2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、70℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液45gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が45.2%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH
3)
2SiO
2/2]/[(C
6H
5)SiO
3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔製造例6〕を得た。
【0062】
[製造例7]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、フェニルトリエトキシシラン2g、ラウロイルメチルタウリンナトリウム10gを純水75gに溶解したもの、及び乳酸7.6gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm
2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、70℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液30gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が44.8%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH
3)
2SiO
2/2]/[(C
6H
5)SiO
3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔製造例7〕を得た。
【0063】
[製造例8]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、フェニルトリエトキシシラン2g、ラウロイルメチルタウリンナトリウム10gを純水75gに溶解したもの、及びL−アスコルビン酸10gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm
2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、70℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液45gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が44.7%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH
3)
2SiO
2/2]/[(C
6H
5)SiO
3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔製造例8〕を得た。
【0064】
[製造例9]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、メチルトリエトキシシラン2g、ラウロイルメチルタウリンナトリウム10gを純水75gに溶解したもの、及びクエン酸3.8gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm
2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、70℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液45gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が44.7%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH
3)
2SiO
2/2]/[(C
6H
5)SiO
3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔製造例9〕を得た。
【0065】
[製造例10]
オクタメチルシクロテトラシロキサン498g、メチルトリエトキシシラン2g、ラウロイルメチルタウリンナトリウム15gを純水75gに溶解したもの、及びクエン酸3.8gを2Lのポリエチレン製ビーカーに仕込み、ホモミキサーで均一に乳化した後、水400gを徐々に加えて希釈し、圧力300kgf/cm
2で高圧ホモジナイザーに2回通し、均一な白色エマルジョンを得た。このエマルジョンを撹拌装置、温度計、還流冷却器の付いた2Lのガラスフラスコに移し、70℃で24時間重合反応を行った後、10℃で24時間熟成してから10%炭酸ナトリウム水溶液45gでpH6.2に中和した。このエマルジョンは105℃で3時間乾燥後の不揮発分が43.2%で、エマルジョン中のオルガノポリシロキサンは非流動性の軟ゲル状のものであり、平均組成が[(CH
3)
2SiO
2/2]/[(C
6H
5)SiO
3/2]=100/0.1(モル比)で表される末端が水酸基封鎖されたものであった。このようにしてエマルジョン〔製造例10〕を得た。
【0066】
《分析方法》
上記で得られたエマルジョンについて、下記に示す方法により、蒸発残分、粘度、平均粒子径、固有粘度、保存安定性を測定した。蒸発残分、粘度、平均粒子径、固有粘度の結果を表1に示す。
【0067】
〔蒸発残分測定〕
試料約1gをアルミ箔製の皿に量り取り、105〜110℃に保った乾燥器に入れ、1時間加熱後、乾燥器から取り出してデシケーターの中にて放冷し、試料の乾燥後の重さを量り、次式により蒸発残分を算出した。
【数1】
R : 蒸発残分(%)
W : 乾燥前の試料を入れたアルミ箔皿の質量(g)
L : アルミ箔皿の質量(g)
T : 乾燥後の試料を入れたアルミ箔皿の質量(g)
アルミ箔皿の寸法:70φ×12h(mm)
【0068】
〔B型粘度計粘度測定方法〕
試料の液温を23±0.5℃に保持し、BM型粘度計(No.1ローター、6rpm)にて測定した。
【0069】
〔平均粒子径測定〕
試料を0.01g計量し、レーザー回折式粒度分布測定装置(堀場製作所製、商品名:LA−950V2)を使用して、循環流量2、撹拌速度2の条件での平均粒子径(粒度累積分布の50%に相当する粒子径の値)を測定した。
[測定条件]
測定温度:25±1℃
溶媒:イオン交換水
【0070】
〔固有粘度測定〕
エマルジョン20gをIPA(イソプロピルアルコール)20gと混合し、エマルジョンを破壊することで約4.5gのシリコーン樹脂を得た。IPAを廃棄し、残ったゴム状のシリコーン樹脂を60℃で一晩乾燥した。これをウベローデ粘度計にて25℃で測定を行った。測定時間から換算して、固有粘度を得た(トルエンの比粘度は0.65であり、ここから算出している)。詳しくは下記式参照。
(1)1g/100mL濃度のジメチルポリシロキサンのトルエン溶液を調整し、比粘度ηsp(25℃)を求める。
ηsp=(η/η0)−1
※η0:トルエンの粘度、η:溶液の粘度
(2)次に、ηspをHugginsの関係式に代入して、固有粘度〔η〕を求める。
ηsp=〔η〕+K’〔η〕
2
※K’:Hugginsの定数 K’=0.3(〔η〕=1〜3のとき適応)
[参考文献]中牟田、日化、77 858[1956]
固有粘度としては0.3〜0.9mm
2/sが好ましい。
【0071】
〔保存安定性〕
室温で1ヶ月後の保管状態を確認した。また、粘度と粒子径についても変化があるかどうかを確認した。製造例全ての配合で1ヶ月後に分離等の変化は見られず、粘度と粒子径にも変化はなかったため、経時安定性が十分であることがわかった。
【0072】
【表1】
【0073】
〔(B)成分〕
[製造例11]
コハク酸無水物154gをエタノール500gに溶解した後、3−アミノプロピルトリエトキシシラン346gを室温下、1時間で滴下し、更に80℃でエタノール還流下、24時間反応を行い、淡黄色透明な(B)成分を50%含有する溶液[B−1]を得た。この溶液は、105℃で3時間乾燥後の不揮発分が45.1%であり、溶液中の反応生成物はIR、GC、NMR、GCMS等の機器分析を行ったところ、約60%が下記式で示されるものの混合物であり、残りの約40%がそれらから誘導されたオリゴマーであった。
(C
2H
5O)
3SiC
3H
6−NHCO−CH
2CH
2COOH
(C
2H
5O)
3SiC
3H
6−NH
3+ -OCOCH
2CH
2COOC
2H
5
【0074】
[製造例12]
コハク酸無水物190gをエタノール550gに溶解した後、3−アミノプロピルトリエトキシシラン346gを室温下、1時間で滴下し、更に80℃でエタノール還流下、24時間反応を行い、淡黄色透明な(B)成分を50%含有する溶液[B−2]を得た。この溶液は、105℃で3時間乾燥後の不揮発分が44.1%であり、溶液中の反応生成物はIR、GC、NMR、GCMS等の機器分析を行ったところ、約60%が下記式で示されるものの混合物であり、残りの約40%がそれらから誘導されたオリゴマーであった。
(C
2H
5O)
3SiC
3H
6−NHCO−CH
2CH
2COOH
(C
2H
5O)
3SiC
3H
6−NH
3+ -OCOCH
2CH
2COOC
2H
5
【0075】
[比較例1]
比較製造例1で得られたエマルジョン222部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、室温下、スターラーで10分程度撹拌後、80メッシュで濾過したものに、イソヘキサデカン200部と信越化学工業社製KF−6105を200部混合し、室温下、ディスパーで10分撹拌することで得た、O/W/O型乳化クリームを〔比較例1〕とした。
【0076】
[比較例2]
比較製造例1で得られたエマルジョン222部(固形分量100部)に、製造例11の溶液40部(固形分量20部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られたO/W/O型乳化クリームを〔比較例2〕とした。
【0077】
[比較例3]
信越化学工業社製KM−903を167部(固形分量100部)に、イソヘキサデカン200部と信越化学工業社製KF−6105を200部混合し、ディスパーで撹拌することで得た、O/W/O型乳化クリームを〔比較例3〕とした。
【0078】
[比較例4]
信越化学工業社製KM−910を167部(固形分量100部)に、イソヘキサデカン200部と信越化学工業社製KF−6105を200部混合し、ディスパーで撹拌することで得た、O/W/O型乳化クリームを〔比較例4〕とした。
【0079】
[比較例5]
比較製造例2で得られたエマルジョン226部(固形分量100部)に、イソヘキサデカン200部と信越化学工業社製KF−6105を200部混合し、ディスパーで撹拌することで得た、O/W/O型乳化クリームを〔比較例5〕とした。
【0080】
[比較例6]
比較製造例3で得られたエマルジョン244部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られた水中乳化分散されたO/W/O型乳化クリームを〔比較例6〕とした。
【0081】
[比較例7]
比較製造例4で得られたエマルジョン245部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られた水中乳化分散されたO/W/O型乳化クリームを〔比較例7〕とした。
【0082】
[実施例1]
製造例1で得られたエマルジョン223部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られた水中乳化分散されたO/W/O型乳化クリームを〔実施例1〕とした。
【0083】
[実施例2]
製造例2で得られたエマルジョン224部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られたO/W/O型乳化クリームを〔実施例2〕とした。
【0084】
[実施例3]
製造例3で得られたエマルジョン225部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られたO/W/O型乳化クリームを〔実施例3〕とした。
【0085】
[実施例4]
製造例1で得られたエマルジョン223部(固形分量100部)に、製造例11の溶液40部(固形分量20部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られたO/W/O型乳化クリームを〔実施例4〕とした。
【0086】
[実施例5]
製造例4で得られたエマルジョン222部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られたO/W/O型乳化クリームを〔実施例5〕とした。
【0087】
[実施例6]
製造例5で得られたエマルジョン234部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られたO/W/O型乳化クリームを〔実施例6〕とした。
【0088】
[実施例7]
製造例6で得られたエマルジョン221部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られたO/W/O型乳化クリームを〔実施例7〕とした。
【0089】
[実施例8]
製造例1で得られたエマルジョン223部(固形分量100部)に、製造例12の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られたO/W/O型乳化クリームを〔実施例8〕とした。
【0090】
[実施例9]
製造例7で得られたエマルジョン223部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られたO/W/O型乳化クリームを〔実施例9〕とした。
【0091】
[実施例10]
製造例8で得られたエマルジョン224部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られたO/W/O型乳化クリームを〔実施例10〕とした。
【0092】
[実施例11]
製造例9で得られたエマルジョン231部(固形分量100部)に、製造例11の溶液10部(固形分量5部)を混合し、比較例1と同様の方法から得られたO/W/O型乳化クリームを〔実施例11〕とした。
【0093】
《評価方法》
上記で得られたO/W/O型乳化クリームについて、下記に示す方法により、蒸発残分、触感(のび)、柔らかさ、べたつき感、刺激指数を評価した。結果を表2に示す。
【0094】
〔蒸発残分〕
上記エマルジョンと同様の方法により測定した。
【0095】
〔触感(のび)〕
人工皮革上に上記クリーム0.5gをつけ、指先で円を描くように拡げたときの広がり具合を評価した(n=20)。市販品を使用した比較例4を○として、その広がった大きさを比較した。
◎・・・比較例4よりも広がる
○・・・比較例4と同等の広がり
×・・・比較例4よりも広がらない
【0096】
〔柔らかさ〕
市販品を使用した比較例4を○と基準にした場合の評価を行った。
◎・・・比較例4よりも質感が軽く、柔らかい
○・・・比較例4と同等の評価
×・・・比較例4よりも劣る
10人に評価してもらい、6人以上が該当した結果を表に記載した。
【0097】
〔べたつき感〕
市販品を使用した比較例4を○と基準にした場合の評価を行った。
◎・・・比較例4よりも油っぽさがなく、べたつき感がないさわやかな風合い
○・・・比較例4と同等の評価
×・・・比較例4よりも劣る
10人に評価してもらい、6人以上が該当した結果を表に記載した。
【0098】
〔皮膚刺激性試験〕
パッチテスト(閉塞パッチテスト法)により検討した。本法は、化粧料等の皮膚刺激性を確認する目的で一般に用いられている手法である。
上記O/W/O型乳化クリームを直径5mm程の円形濾紙に染みこませ、これを上腕部に貼り付ける。貼り付け方法は、濾紙を同径のアルミニウム製円盤(フィンチャンバー)で覆い、テープで固定する。
48時間後濾紙を剥がし(パッチ除去)、その後1時間及び24時間経過後の皮膚の刺激反応状態をもって判定する。
<判定評価>
反応無し :−
ごく軽い紅斑 :±
紅斑 :+
紅斑及び浮腫 :++
紅斑、浮腫及び小水疱:+++
【0099】
判定評価に対する各々の係数をそれぞれ、−:0、±:0.5、+:1.0、++:2.0、+++:3.0とし、反応の表れた人数に係数を乗じたものの和を評点とする。評点をパッチ除去後、1時間後(49時間判定)、24時間後(72時間判定)の各々にとり、被験者の人数で割り100倍した値が刺激指数となる。刺激指数が10以下は安全品、11〜30は許容品、30を超える値は要改良品と評価される。
皮膚刺激性試験における結果の詳細を表3に示す。
【0100】
〔架橋性の確認〕
実際に架橋しているかどうかの促進での確認を行った。エマルジョン5gを105℃,3時間で乾燥し、ゴム状オイルを得た。オイル成分1gを100gのトルエンに溶解し、1時間撹拌後、420メッシュのナイロン濾布にて不溶分を採取し、105℃で1時間乾燥の後、その残分が多ければ多いほど架橋が進んだことになり、数値が0.05%以上であることで架橋と判断した。
※計算式 濾布増量(g)/1g=%
【0101】
【表2】
KM−903:信越化学工業社製 高重合ジメチコンを中粘度のジメチコンで希釈したものをベースオイルとしたノニオン系ジメチコンエマルジョン(固形分60%)。
KM−910:信越化学工業社製 KM−903より高重合である高重合ジメチコンを中粘度のジメチコンで希釈したものをベースオイルとしたノニオン系エマルジョン(固形分60%)。
KF−6105:信越化学工業社製 ポリグリセリン変性シリコーンオイル
【0102】
表2の結果から明らかなように、KM−903,KM−910を用いた比較例3,4は前述の通り水系とは言い難く、シリコーンオイルを乳化分散しなければならず、化粧料の主原料であるシリコーン系樹脂エマルジョンを製造する際、工程的に不利になる。
これに対して、本発明のシリコーンゴムエマルジョンを用いた実施例は、比較例1のO/W/O型乳化クリームとほとんど変わらない触感(のび)のものが得られた。また、柔らかさについては単なるジメチコンガムと比べると特徴であるゴム弾性も付与されているため、質感が軽く、柔らかな触感が得られている。更に、シリコーンオイルと比べると格段にべたつき感がなく、本発明のシリコーンゴムエマルジョンは、べたつき感において比較例3,4より化粧品用途として有利である。
よって、本発明のシリコーンゴムエマルジョンを化粧品原料に使用しても、従来品と同じ性能が出ており、かつゴム性能のメリットも化粧品に付与できるものと期待できる。
【0103】
【表3】
【0104】
表3に示すように比較例1,2,5,7は49時間後では許容品レベルであり、安全品とは言えず、刺激性が強い。実施例1〜11はほとんどの人で反応が見られず、比較例と比べて刺激性が非常に低いことがわかる。