(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、発明を実施するための最良の形態(以下実施の形態とする)について説明する。
<第1の実施の形態>
[画像形成システムの構成例]
まず、本発明に係る画像形成システムGSの概略構成について説明する。
図1は、画像形成システムGSの概略構成の一例を示している。なお、
図1を含む以下に示す図面では、図面の寸法比率が説明の都合上拡張または縮小されており、実際の比率と異なる場合がある。
図1に示すように、本発明に係る画像形成システムGSは、大容量給紙装置200と画像形成装置100と箔転写装置300とフィニッシャー400とを備えている。
【0015】
大容量給紙装置200は、画像形成装置100の搬送方向D1の上流側に連結され、大量の用紙Pを収容する複数段の給紙トレイ210A,210B,210Cを有している。各給紙トレイ210A,210B,210Cは、任意のサイズの用紙Pがセット可能に構成されたユニバーサルトレイである。大容量給紙装置200は、ユーザーにより指定された用紙Pが収容された給紙トレイ210から送風部や吸着搬送部等により用紙Pを一枚ずつ分離させて給紙し、順番に搬送ローラー等を介して下流側の画像形成装置100に給送する。なお、本例では、一台の大容量給紙装置200を使用した例を説明したが、これに限定されることはなく、大容量給紙装置200を2台以上連結させても良い。
【0016】
画像形成装置100は、箔転写処理時において、大容量給紙装置200や画像形成装置100内の給紙部20(
図2参照)から給紙される捨て焼き用の用紙Pnに所定のネガのトナー像を転写して後段の箔転写装置300に搬送する。また、画像形成装置100は、大容量給紙装置200等から給紙されるプリント用の用紙Ppに全てのトナー像を転写して後段の箔転写装置300に搬送する。
【0017】
また、画像形成装置100は、ユーザー操作による箔転写処理に関する各種条件の設定等を受け付けるための操作表示部160を備えている。操作表示部160は、筐体上面部に取り付けられ、例えばLCD(Liquid Crystal Display)等からなるタッチパネルとこのタッチパネルの周辺部に設けられた数字ボタンやプリントスタートボタン等を含むハードキーとを有している。操作表示部160は、箔転写処理に関する条件として、例えば、箔処理するポジ画像を拡大する輪郭領域の範囲の設定を受け付けたり、後述する画像読取部90等により読み込んだ画像のうち箔処理したい箔処理領域の選択を受け付けたりする。これらの受け付けは、画像形成装置100に接続される図示しないコンピューター等、種々の方法により行うこともできる。
【0018】
箔転写装置300は、画像形成装置100の搬送方向D1の下流側に連結される。画像形成装置100から搬送される所定のネガのトナー像が転写された用紙Pnに箔シートを加熱圧着することで所定のネガの箔像を転写する。箔転写装置300は、所定のネガの箔像の転写が終了したら、画像形成装置100から搬送される所定のポジのトナー像を含む全てのトナー像が転写されたプリント用の用紙Ppに箔シートを加熱圧着することで箔シートに残った所定のポジの箔像を転写する。所定のポジの箔像が転写された用紙Ppや、所定のネガの箔像が転写された用紙Pnは、後段のフィニッシャー400に搬送される。用紙Pnは、廃棄予定の用紙として装置外に排紙される。
【0019】
フィニッシャー400は、箔転写装置300の搬送方向D1の下流側に連結されている。フィニッシャー400は、箔転写装置300から搬送されてくる用紙Pに、例えば、ステープル処理や、中折り処理、三つ折り処理、中綴じステープル処理等のフィニッシャー処理を行う。また、フィニッシャー400は、箔転写装置300により箔転写処理が行われた用紙Pn,Ppを排紙トレイ上に排紙する。
【0020】
[画像形成装置の構成例]
次に、画像形成装置100の構成例について説明する。
図2は、本発明に係る画像形成装置100の構成の一例を示している。
図2に示すように、画像形成装置100は、タンデム型の画像形成装置と称されるものであり、制御部150、画像処理部140、操作表示部160、自動原稿給紙部80、画像読取部90、画像形成部10、定着部44および給紙部20とを備えている。
【0021】
画像読取部90は、自動原稿給紙部80から一枚ずつ搬送される原稿等に光源から光を照射し、その反射光をCCD(Charge Coupled Device)94で受光することで原稿の画像データを取得する。画像読取部90で取得された画像データDは、画像処理部140によりアナログ処理、アナログ/ディジタル(以下A/Dという)変換処理、画像圧縮処理等が行われる。
【0022】
操作表示部160は、使用する転写材としての用紙Pの種類の設定、全ての画像データDの中から箔を転写する箔処理領域の選択の設定、箔処理するための所定のポジのトナー像の各画像を太らせて拡大する輪郭領域の設定等を行う選択画面を表示し、ユーザーにより用紙Pの種類箔処理領域の選択および拡大する輪郭領域の設定等を受け付ける。なお、操作表示部160は、箔転写装置300に設けてもよい。全ての画像データDの中から箔処理領域を設定する方法は、例えば、文字、線画、グラフィック等の属性を選択することによる設定、座標を入力することによる箔処理領域の選択による設定等により行われる。
【0023】
画像処理部140は、画像データDの中から選択された箔処理領域に対応したポジの画像データを生成し、このポジの画像データを反転させた所定のネガの画像データを生成する。所定のネガの画像データは、第1転写材に形成する所定のネガのトナー像の形成に用いられる。また、箔処理領域に対応したポジの画像データを所定のポジの箔像よりも所定の輪郭領域の範囲だけ拡大した所定のポジの画像データを生成し、箔処理領域以外の画像データと合成して拡大した所定のポジの画像データを含むプリント用の全ての画像データを生成する。プリント用の全ての画像データは、第2転写材にトナー像を形成する時に用いられる。
【0024】
画像形成部10は、電子写真方式により画像を形成するものであり、イエロー(Y)色の画像を形成する画像形成ユニット10Yと、マゼンタ(M)色の画像を形成する画像形成ユニット10Mと、シアン(C)色の画像を形成する画像形成ユニット10Cと、黒(K)色の画像を形成する画像形成ユニット10Kと、透明の画像を形成する画像形成ユニット10Tとを有している。また、画像形成部10は、画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K,10Tの何れかの画像形成ユニットにより形成された画像を保持する中間転写ベルト8と、中間転写ベルト8上にある画像を用紙Pに転写するための二次転写部Nを形成する二次転写ローラー42とを有している。なお、画像形成ユニット10T等の配置の順番は、
図2の順番に限定されるものではない。
【0025】
画像形成ユニット10Yは、感光体1Yと、その周囲に配置される帯電部2Y、露光部3Y、現像部4Yおよびクリーニング部6Yを有している。画像形成ユニット10Y,10M,10C,10K,10Tにおけるそれぞれの感光体1Y,1M,1C,1K,1T、帯電部2Y,2M,2C,2K,2T、露光部3Y,3M,3C,3K,3T、現像部4Y,4M,4C,4K,4T、クリーニング部6Y,6M,6C,6K,6Tは、それぞれ共通する内容の構成である。そのため、以下では、画像形成ユニット10M,10C,10K,10Tの詳細な説明を省略すると共に、特に区別が必要な場合を除き、Y,M,C,K,Tを付さずに表記することとする。
【0026】
帯電部2は、感光体1の表面をほぼ一様に帯電する。露光部3は、例えばLEDアレイと結像レンズとを有するLPH(LED Print Head)や、ポリゴンミラー方式のレーザ露光走査装置により構成され、画像データに基づいて感光体1上をレーザ光により走査して静電潜像を形成する。現像部4は、感光体1上に形成された静電潜像をトナーにより現像する。これにより、感光体1上に可視画像であるトナー像が形成される。中間転写ベルト8は、複数のローラーにより張架されると共に走行可能に支持されている。一次転写ローラー7が動作すると、中間転写ベルト8が走行し、中間転写ベルト8の画像転写位置に各感光体1に形成されたトナー像が一次転写される。
【0027】
本例では、例えば操作表示部160や図示しないコンピューター等によってプリント対象となる箔像を転写する所定の箔処理領域が選択されると、このプリント対象となる箔処理領域の画像データを反転した所定のネガのトナー像が各感光体1に形成される。この所定のネガのトナー像は、イエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色、透明のうちの何れかの色を用いて形成することもできるし、これらの色のうち少なくとも2色以上からなる色を用いて形成することもできる。
【0028】
続けて、選択された箔処理する所定のポジのトナー像および文字や下絵等の所定のポジのトナー像以外の他のトナー像を含む全てのトナー像が、各感光体1に形成される。本例では、所定のポジのトナー像は、画像形成ユニット10Tにより透明のトナーが用いられて形成される。透明のトナーは、顔料等の着色食材を含まない樹脂粒子により構成されている。所定のポジのトナー像は、指定された箔処理領域のポジの画像よりも所定の輪郭領域の範囲だけ拡大されて形成される。これは、想定される用紙Pn、用紙Ppのずれ量や、所定のポジのトナー像の転写位置のずれ量を考慮したためである。下絵は、イエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色の各色が用いられる。
【0029】
給紙部20は、A3やA4等の各用紙サイズを収容する複数の給紙トレイ20A,20Bを有している。各給紙トレイ20A,20Bには、各給紙トレイから用紙Pを取り出すピックアップローラー22と、各給紙トレイにおける用紙Pの二重搬送を防止する捌きローラー24とが設けられている。各給紙部20は、操作表示部160等で選択された各給紙トレイ20A,20Bからピックアップローラー22等により用紙Pを給紙し、給紙した用紙Pを搬送ローラー26,28等を介してレジストローラー32に搬送する。
【0030】
レジストローラー32に搬送された用紙Pは、ループ作成ローラー36によるレジストローラー32への用紙先端突き当てに用紙Pの斜行を補正するレジスト補正が行われる。レジスト補正が終了すると、用紙Pは所定のタイミングで二次転写ローラー42の二次転写部Nに搬送される。二次転写部Nでは、中間転写ベルト8の画像形成位置に転写されたカラートナー像が、給紙部20から搬送されてくる用紙Pの表面に一括二次転写される。本例では、給紙部20や大容量給紙装置200から給紙された用紙Pnに所定のネガのトナー像が転写される。また、給紙部20等から給紙されたプリント用の用紙Ppに箔処理する所定のポジのトナー像を含む全てのトナー像が転写される。2次転写された用紙Pは定着部44に搬送される。
【0031】
定着部44は、二次転写部Nよりも搬送方向の下流側に設けられ、加圧ローラーおよび加熱ローラー等を有している。定着部44は、二次転写部Nで画像が転写された用紙Pに加圧、加熱処理を行うことにより用紙P表面のトナー像を用紙Pに定着させる。
【0032】
定着部44の搬送方向の下流側には、用紙Pの搬送経路を排紙経路側または反転経路側に切り替えるための切替部48が設けられている。切替部48は、選択されているプリントモード(片面プリントモード、両面プリントモード)に基づいて搬送経路の切り替え制御を行う。片面プリントモードで片面のプリントが終了した用紙P、または両面プリントモードで両面のプリントが終了した用紙Pは、定着部44で定着処理が施された後、排紙ローラー46により箔転写装置300に搬送される。
【0033】
一方、両面プリントモードで用紙Pを表裏反転させる場合、表面側に画像が形成された用紙Pは切替部48を介して反転経路部60に搬送される。反転経路部60に搬送された用紙Pは、ADUローラー64の逆回転制御により用紙Pの後端を先頭にしてスイッチバック搬送され、搬送ローラー66,68等を経由して介して用紙Pの表裏反転させた状態で画像形成部10に再給紙される。画像形成部10に再給紙された用紙Pは、用紙Pの表面側の画像形成処理と同様に、二次転写部Nにて用紙Pの裏面に所定のトナー像が転写される。本例では、用紙Pnの両面に所定のネガのトナー像を転写する場合、この用紙Pnの表裏を反転させることで裏面側にも所定のネガのトナー像を転写させる。画像形成部10により裏面にトナー像が転写された用紙Pは、定着部44で定着処理が行われた後に、排紙ローラー46等を介して箔転写装置300に搬送される。
【0034】
[第1転写材の用紙Pnの構成例]
次に、画像形成装置100によりプリント対象としない所定のネガの箔像を転写する所定のネガのトナー像が転写される捨て焼き用の用紙Pnについて説明する。
図3(A)は所定のネガのトナー像が転写された用紙Pnの平面図の一例であり、
図3(B)はそのA−A線に沿った断面図である。なお、以下の説明では、プリント用の用紙Ppに転写する所定のポジのトナー像をスター画像とした場合について説明する。
【0035】
図3(A)および
図3(B)に示すように、用紙Pnには、スター画像の所定のネガのトナー像512が転写される。所定のネガのトナー像512は、スター画像の所定のポジの箔像以外の箔シート500上の不要な箔像を転写して剥離するためのトナー像である。所定のネガのトナー像512には、トナー像が転写されないスター画像が抜かれた白抜き部510が形成される。
【0036】
[第2の転写材の用紙Ppの構成例]
次に、用紙Ppについて説明する。
図4(A)は所定のポジのトナー像を含む全てのトナー像が転写された用紙Ppの平面図の一例であり、
図4(B)はそのB−B線に沿った断面図である。なお、以下の説明では、用紙Ppに転写する所定のポジの箔像をスター画像とした場合について説明する。
【0037】
図4(A)および
図4(B)に示すように、用紙Ppにおいて、用紙Ppの中央部の領域にはスター画像の所定のポジの箔像をトナーの融着作用により剥離するための所定のポジのトナー像520が転写される。所定のポジのトナー像520は、透明トナーにより形成されると共に、所定のポジの箔像(図中破線)と同一形状であって、かつ、この所定のポジの箔像よりも所定の輪郭領域の範囲だけ拡大されて形成される(相似図形)。つまり、所定のポジのトナー像520の輪郭が、用紙等のずれ量に応じて所定のポジの箔像の輪郭に輪郭領域を付加することで広げて描画される。本例では、所定のポジのトナー像520よりもはみ出した輪郭領域の部分を拡大部520aと呼ぶ。なお、所定のポジのトナー像520は、転写する所定のポジの箔像よりも広い領域に形成されていれば良い。そのため、所定のポジのトナー像520は、所定のポジの箔像と同一形状であることがトナーのコストを抑えるために好ましいが、必ずしも同一形状である必要はない。
【0038】
また、用紙Ppの各辺部に沿った端部領域には、スター画像の所定のポジのトナー像520を囲むようにして他のトナー像としての下絵524が転写されている。本例では、下絵524には、他のトナー像526に加えて、「Star Beer」の文字528が含まれている。所定のポジのトナー像520と下絵524との間の領域は、トナー像が転写されていない白抜き部522となっている。なお、用紙Ppの搬送方向D1の長さW3は、用紙Pnの搬送方向D1の長さW1と同一であり、用紙Ppの直交方向D2の長さW4は、用紙Pnの直交方向D2の長さW2と同一である。
【0039】
[箔転写装置の構成例]
次に、箔転写装置300について説明する。
図5は、箔転写装置300の構成の一例を示している。
図5に示すように、箔転写装置300は、取付部302、巻取部304、第1の搬送経路R1、第2の搬送経路R2、第1の排紙経路R3、第2の排紙経路R4、第1加熱転写部306、第2加熱転写部308、ゲート切替部320、第1検知部310、第2検知部330および用紙検知部360を備えている。なお、取付部302および巻取部304は搬送部の一例を構成し、第1加熱転写部306は第1の転写部の一例を構成し、第2加熱転写部308は第2の転写部の一例を構成している。
【0040】
取付部302は、搬送方向D1の上流側(入口部312側)に設けられ、例えばリールやカードリッジにより構成され、図示しない軸部によって回転可能に支持されている。取付部302には、箔シート500が巻回されたロール50がセットされる。
【0041】
図6(A)は箔シート500の構成の一例を示す平面図であり、
図6(B)はそのC−C線に沿った断面図である。
図6(A)および
図6(B)に示すように、箔シート500は、例えば耐熱性樹脂製の透明フィルムからなる長尺状の基材502と、この基材502上に形成された箔層504とから構成されている。箔層504は、例えば蒸着法により基材502上に成膜され、箔層504と基材502とはファン・デル・ワールス力によって結合されている。箔シート500の直交方向(シート幅方向)D2の長さW5は、用紙Pnの長さW2および用紙Ppの長さW4よりも長くなっている。
【0042】
巻取部304は、用紙Pの搬送方向D1の下流側(出口部362側)に取付部302と所定の間隔を隔てて設けられ、例えばリール等により構成され、図示しない軸部によって回転可能に支持されている。本例において巻取部304は、取付部302と略同一の高さに設置されている。巻取部304は、例えば後述するローラー駆動部370(
図7参照)に接続され、ローラー駆動部370の駆動により下流側の第2加熱転写部308と連動して回転するように構成されている。
【0043】
巻取部304には、取付部302にセットされたロール50の箔シート500の一端部が、後述する第1加熱転写部306および第2加熱転写部308を介して張架された状態で取り付けられる。巻取部304が回転すると、取付部302にセットされた箔シート500が搬送されて第1加熱転写部306および第2加熱転写部308を経由して巻取部304に巻き取られる。本例では、取付部302および巻取部304間における箔シート500の搬送経路を箔シート搬送経路R6と呼ぶ。
【0044】
第1の搬送経路R1は、例えば一対のガイド板等により構成され、箔転写装置300の入口部312からゲート切替部320を経由して第1加熱転写部306に向かって延在している。第1の搬送経路R1には、搬送ローラー316が設けられている。画像形成装置100から入口部312を介して搬送された用紙Pnは、搬送ローラー314,316によってレジストローラー318に搬送される。
【0045】
第1検知部310は、光電変換素子をライン状に配置したラインセンサ、または光電変換素子をマトリクス状に配置したイメージセンサ等から構成され、レジストローラー318より用紙Pの搬送方向D1の上流側に設置されている。第1検知部310は、第1の搬送経路R1を経由して搬送される用紙Pnの端部位置を検知する。用紙Pnの端部位置は、後述する用紙Ppを用紙Pnに位置合わせするレジスト揺動補正時に用いられる。
【0046】
レジストローラー318は、第1検知部310と第1加熱転写部306との間に設けられ、用紙Pnの先端部を停止しているレジストローラー318に突き当ててループを形成することで用紙Pの斜行を補正するレジスト補正を行う。レジストローラー318は、用紙Pnのレジスト補正が終了すると、ローラーの回転を再開して所定のタイミングで用紙Pnを第1加熱転写部306に搬送する。
【0047】
第1加熱転写部306は、箔シート搬送経路R6の上流側に設けられ、例えばヒーターH1が内蔵された第1加熱ローラー306aとこの第1加熱ローラー306aに対向配置された第1加圧ローラー306bとを有している。第1加熱転写部306は、レジストローラー318から搬送される所定のネガのトナー像が転写された用紙Pnの表面を箔シート500の箔層504に重ね合わせて加圧、加熱処理することで、用紙Pnの所定のネガのトナー像上に所定のネガの箔像504cを転写する。(
図10参照)なお、加熱温度は、例えば100℃程度であることが好ましい。第1加熱転写部306により所定のネガの箔像が転写された用紙Pnは、第1の排紙経路R3に搬送される。
【0048】
第1の排紙経路R3は、例えば一対のガイド板等により構成され、第1加熱転写部306から搬送方向D1の斜め下方に延在し、折り曲げ部を介して所定の長さだけ鉛直方向に延在し、さらに折り曲げ部を介して出口部364に向かって延在している。第1の排紙経路R3には、複数の排紙ローラー332,334,336,338,340が設けられている。第1加熱転写部306で所定のネガの箔像が転写された用紙Pnは、排紙ローラー332,334,336,338,340によって第1の排紙経路R3を経由して出口部364に搬送される。
【0049】
反転経路R5は、例えば一対のガイド板等により構成され、第1の排紙経路R3から分岐して第1加熱転写部306の下方を通過し、第1の搬送経路R1の搬送ローラー316の上流側に合流している。反転経路R5には、搬送ローラー342が設けられている。用紙Pnを両面使用する場合、第1加熱転写部306で表面側に所定のネガの箔像が転写された用紙Pnは、第1の排紙経路R3でスイッチバックして反転経路R5に搬送され、反転経路R5で用紙Pnの表裏が反転されて再び第1の搬送経路R1に再給紙される。反転経路R5は、用紙Pnの両面を用いる場合に使用される。
【0050】
第2の搬送経路R2は、例えば一対のガイド板等により構成され、箔転写装置300の入口部312から第1の搬送経路R1と分岐して水平方向のゲート切替部320を経由して第1加熱転写部306に向かって延在している。第2の搬送経路R2は、その経路途中で第1の排紙経路R3と交差している。本例では、第2の搬送経路R2と第1の排紙経路R3とが交差した位置を交差点Pcと呼ぶ。第2の搬送経路R2には、複数の搬送ローラー314,322,324,326が設けられている。画像形成装置100から入口部312を介して搬送された用紙Ppは、搬送ローラー314,322,324,326によってレジストローラー328に搬送される。
【0051】
用紙検知部360は、例えば第2の搬送経路R2の交差点Pc手前に設けられ、例えば反射型センサや透過型センサにより構成されている。用紙検知部360は、第2の搬送経路R2の交差点Pcを通過する用紙Ppの先端部や後端部を検知する。用紙Ppの検知結果は、第1の排紙経路R3の交差点Pcの手前で待機または減速制御されている用紙Pnの搬送制御に用いられる。
【0052】
第2検知部330は、光電変換素子をライン状に配置したラインセンサ、または光電変換素子をマトリクス状に配置したイメージセンサ等から構成され、レジストローラー328よりも搬送方向D1の下流側に設置されている。第2検知部330は、第2の搬送経路R2を経由して搬送される用紙Ppの端部位置を検知する。
【0053】
レジストローラー328は、第2加熱転写部308より搬送方向D1の上流側に設けられ、用紙Ppの先端部をレジストローラー328に突き当ててループを形成することで用紙Pの斜行を補正するレジスト補正を行う。また、レジストローラー328は、用紙Ppの端部位置と用紙Pnの端部位置との差分だけ、用紙Pを挟持した状態で搬送方向D1に直交する直交方向D2に揺動するレジスト揺動補正を行う。このレジスト揺動補正により、用紙Pp上の所定のポジのトナー像を箔シート500上の所定のポジの箔像に位置合わせすることができる。レジストローラー328は、レジスト揺動補正が終了すると、箔シート500上の所定のポジの箔像が第2加熱転写部308に到達する時刻に合わせて、用紙Ppを第2加熱転写部308に搬送する。用紙Ppを搬送すると、レジストローラー328の挟持を解除して予め設定されたホームポジションに移動する。
【0054】
第2加熱転写部308は、箔シート搬送経路R6の下流側に設けられ、ヒーターH2が内蔵された第2加熱ローラー308aと第2加熱ローラー308aに対向配置された第2加圧ローラー308bとを有している。第2加熱転写部308は、レジストローラー328から所定のタイミングで搬送される所定のポジのトナー像が転写された用紙Ppの表面を箔シート500の箔層504に重ね合わせて加圧、加熱処理することで、用紙Ppの所定のポジのトナー像上に残っている所定のポジの箔像を転写する。なお、加熱温度は、例えば100℃程度であることが好ましい。第2加熱転写部308により所定のポジの箔像が転写された用紙Ppは、第2の排紙経路R4に搬送される。
【0055】
第2の排紙経路R4は、例えば一対のガイド板等により構成され、第2加熱転写部308から水平方向の出口部362に向かって延在している。第2の排紙経路R4には、複数の排紙ローラー344,346が設けられている。第2加熱転写部308で所定のポジの箔像が転写された用紙Ppは、排紙ローラー344,346によって出口部362に搬送される。
【0056】
[画像形成システムのブロック構成例]
次に、本発明に係る画像形成システムGSのブロック構成の一例について説明する。
図7は、画像形成システムGSのブロック構成の一例を示している。
図7に示すように、画像形成装置100は、システム全体の動作を制御する制御部150を備えている。制御部150は、大容量給紙装置200や箔転写装置300と連動しながら箔転写処理等のプログラムを実行するCPU152と、制御プログラム等を記憶するROM154と、データの一時記憶等に用いられるRAM156とを有している。
【0057】
制御部150には、操作表示部160、画像読取部90、画像処理部140、画像形成部10、定着部44、給紙部20、通信部190とがそれぞれ接続されている。
【0058】
画像処理部140は、画像データDの中から選択された箔処理領域に対応するポジの画像データを反転した所定のネガの画像データDnを作成し、箔転写装置300に出力する。所定のネガの画像データは、第1転写材に形成する所定のネガのトナー像の形成に用いられる。また、箔処理領域に対応したポジの画像データを所定のポジの箔像よりも所定の輪郭領域の範囲だけ拡大した所定のポジの画像データを生成し、箔処理領域以外の画像データと合成して拡大した所定のポジの画像データを含むプリント用の全ての画像データを生成する。プリント用の拡大された所定のポジの画像データを含む全ての画像データは、第2転写材にトナー像を形成する時に用いられる。
【0059】
操作表示部160は、操作画面等においてユーザーにより選択された例えば箔転写処理に関する内容に対応した操作信号を生成して制御部150に供給する。画像読取部90は、制御部150の制御に基づいて原稿台等にセットされた用紙Pの画像を読み取る。画像形成部10は、制御部150の制御に基づいて露光、現像、転写等の画像形成処理を行い、ネガ画像やポジ画像等を形成する。
【0060】
定着部44は、制御部150の制御に基づいてヒーター温度等の制御を行い、未定着のトナーが用紙Pに定着するように用紙Pに対して加熱、加圧処理を行う。給紙部20は、制御部150の制御に基づいて所定サイズの用紙を取り出して給紙する。通信部190は、NIC(Network Interface Card)、MODEM(Modulator-DEModulator)、USB
(Universal Serial Bus)等の各種インターフェースから構成されている。通信部190は、箔転写装置300の通信部390との間で箔転写処理等に関する情報の双方向通信を行う。
【0061】
制御部150は、操作表示部160により箔転写処理モードが選択され、転写させたい箔処理領域が操作画面において入力または選択されると、画像処理部140を制御して、箔処理領域に対応した拡大した所定ポジの画像データおよび、箔処理領域に対応した画像を反転させた所定のネガの画像データを生成する。このとき、所定のポジの画像データとしては、箔処理領域の画像を所定の輪郭領域の範囲だけ拡大した所定のポジの画像データを生成する。所定のポジの画像データの輪郭領域の範囲は、使用する用紙Ppやポジ画像等のずれ量から制御部150により算出しても良いし、ユーザーが任意の輪郭領域の範囲を操作画面において選択できるようにしても良い。
【0062】
箔転写装置300は、例えばメインとなる画像形成装置100の制御部150からの指示情報に基づいて箔転写装置300の各構成部の動作を制御する制御部350を備えている。制御部350は、箔転写処理のプログラムを実行するCPU352と、制御プログラム等を記憶するROM354と、データの一時記憶等に用いられるRAM356とを有している。
【0063】
制御部350には、第1加熱転写部306、第2加熱転写部308、第1検知部310、第2検知部330、用紙検知部360、ゲート切替部320、調整部380、ローラー駆動部370、搬送ローラー駆動部372,374、排紙ローラー駆動部376,378、メモリ部358および通信部390がそれぞれ接続されている。
【0064】
第1加熱転写部306は、制御部150から送信される第1加熱転写信号に基づいて温度制御や圧力制御をすることにより所定のネガの箔像を用紙Pnの所定のネガのトナー像上に転写する。第2加熱転写部308についても、制御部150から送信される第2加熱転写信号に基づいて温度制御や圧力制御をすることにより用紙Ppの所定のポジのトナー像上に箔シート500に形成された所定のポジの箔像を転写する。
【0065】
第1検知部310は、第1の搬送経路R1を通過する用紙Pnの直交方向D2における端部位置を検知し、この検知により得られた用紙Pnの端部位置に基づく検知信号を制御部350に送信する。第2検知部330は、第2の搬送経路R2を通過する用紙Ppの直交方向D2における端部位置を検知し、この検知により得られた用紙Ppの端部位置に基づく検知信号を制御部350に供給する。用紙検知部360は、第2の搬送経路R2途中の交差点Pcを通過する用紙Ppを検知し、この検知により得られた検知信号を制御部350に供給する。
【0066】
ゲート切替部320は、例えばソレノイドやモータ等により構成され、制御部350から供給される切替信号に基づいて、用紙Pn,Ppの搬送経路を第1の搬送経路R1または第2の搬送経路R2に切り替える。調整部380は、例えばギアやモータ等から構成され、制御部350から供給される指令値に基づいてレジストローラー328を直交方向D2に揺動させる。
【0067】
ローラー駆動部370は、例えばステッピングモータから構成され、制御部350から供給される駆動信号に基づいて駆動することにより第2加熱転写部308を構成するローラーを駆動すると共に、このローラーの駆動に連動させて巻取部304を回転駆動させる。エンコーダを設け、巻取部304の巻取り速度を制御するようにしても良い。なお、巻取部304については、ローラー駆動部370とは異なる駆動部を設けて巻き取り駆動させることもできる。
【0068】
搬送ローラー駆動部372は、例えばステッピングモータから構成され、制御部350から供給される駆動信号に基づいて駆動することにより、例えば第1の搬送経路R1に設けられた搬送ローラー316等を回転駆動する。搬送ローラー駆動部374は、例えばステッピングモータから構成され、制御部350から送信される駆動信号に基づいて駆動することにより、例えば第2の搬送経路R2に設けられた搬送ローラー314,322,324,326等を回転駆動する。
【0069】
排紙ローラー駆動部376は、例えばステッピングモータから構成され、制御部350から送信される駆動信号に基づいて駆動することにより、例えば第1の排紙経路R3に設けられた排紙ローラー332,334,336,338,340等を回転駆動する。排紙ローラー駆動部378は、例えばステッピングモータから構成され、制御部350から送信される駆動信号に基づいて駆動することにより、例えば第2の排紙経路R4に設けられた排紙ローラー344,346等を回転駆動する。
【0070】
メモリ部358は、例えば不揮発性の半導体メモリやHDD(Hard Disk Drive)等から構成され、第1検知部310および第2検知部330によって検知された用紙Pnや用紙Ppの端部位置情報等を記憶する。通信部390は、NIC、MODEM、USB等の各種インターフェースから構成され、画像形成装置100やフィニッシャー400との間で双方向通信を行う。
【0071】
[画像形成装置の動作例]
次に、用紙Ppに所定のポジの箔像を転写する場合の画像形成装置100の動作の一例について説明する。
図8は、画像形成装置100の動作の一例を示すフローチャートである。以下では、用紙Pnおよび用紙Ppを大容量給紙装置200の各給紙トレイ210A,210B,210Cから画像形成装置100に給紙する場合について説明する。
【0072】
図8に示すように、ステップS100で制御部150は、箔転写処理が選択されたか否かを判断する。例えば、操作表示部160の操作画面にて箔転写処理を行う箔処理領域の設定および箔処理の開始を示すボタンがユーザーにより選択されたか、またはネットワークを介して画像形成装置100に接続されているコンピューターから箔転写処理の開始を示す指示情報が送信されたか否か等により判断する。制御部150は、箔転写処理に関するプリントジョブを取得すると、箔転写処理が選択されたと判断した場合にはステップS101に進み、箔転写処理が選択されていないと判断した場合には箔転写処理が選択されるまで待機する。
【0073】
ステップS101で制御部150は、用紙Pnを大容量給紙装置200から画像形成装置100に給紙させる。例えば、制御部150は、ユーザーにより用紙Ppのサイズが操作表示部160の操作画面にて選択されると、各給紙トレイ210A,210B,210Cの用紙サイズ検知部230,232,324から出力される用紙サイズ情報に基づいて、用紙Ppと同一サイズの用紙がセットされた給紙トレイ210を用紙Pnとして選択する。制御部150は、選択した給紙トレイ210から用紙Pnを給紙し、この給紙した用紙Pnを大容量給紙装置200を制御することで画像形成装置100に搬送する。用紙Pnを画像形成装置100に搬送したらステップS102に進む。
【0074】
なお、例えば、全ての給紙トレイ210A,210B,210Cの中に、対応する用紙Pnがセットされていない場合には、操作表示部160の操作画面上に用紙Pnがセットされていない旨のメッセージを表示させるようにすることもできる。
【0075】
ステップS102で制御部150は、大容量給紙装置200から給紙される用紙Pnに、所定のネガのトナー像を現像、転写するように画像形成部10を制御する。つまり、所定のポジの箔像以外の不要な所定のネガの箔像を剥離するための所定のネガのトナー像を用紙Pnに転写させる。具体的には、
図3および
図4に示したように、スター画像の所定のポジの箔像を用紙Ppに転写する場合、スター画像以外の部分に対応した所定のネガのトナー像512を用紙Pnに転写する。用紙Pnを両面で用いる場合には、表面への所定のネガのトナー像512の転写が終了したら、反転経路部60で用紙Pnの表裏を反転させて画像形成部10に再度給紙し、用紙Pnの裏面側に所定のネガのトナー像512を転写させる。所定のネガのトナー像512を用紙Pnに転写したら用紙Pnを箔転写装置300に搬送してステップS103に進む。
【0076】
ステップS103で制御部150は、用紙Ppを大容量給紙装置200から画像形成装置100に給紙させる。例えば、制御部150は、各給紙トレイ210A,210B,210Cの用紙サイズ検知部230,232,324から出力される用紙サイズ情報を取得し、この取得した用紙サイズ情報に基づいて指定された給紙トレイ210を選択する。制御部150は、選択した給紙トレイ210から用紙Ppを給紙し、この給紙した用紙Ppを大容量給紙装置200を制御することで画像形成装置100に搬送する。用紙Ppを画像形成装置100に搬送したらステップS104に進む。
【0077】
ステップS104では制御部150は、給紙部20から給紙された用紙Ppに、所定のポジの箔像に対応した所定のポジのトナー像を現像、転写等するように画像形成部10の動作を制御する。例えば、
図3および
図4に示したように、スター画像の所定のポジの箔像を用紙Ppに転写する場合、転写する所定のポジの箔像と同一形状であって、かつ、この所定のポジの箔像を所定の輪郭領域の範囲だけ拡大した所定のポジのトナー像520を用紙Ppの対応する位置に転写させる。詳しくは、例えば用紙Ppの位置ずれを2mm以内と想定した場合、所定のポジのトナー像520の輪郭(外形)を所定のポジの箔像の輪郭よりも3mmだけ拡大させる。なお、所定のポジのトナー像520は、より確実に所定のポジの箔像を転写することを目的として、用紙Ppの全面にベタ形成することもできる。これにより、所定のポジのトナー像520上から透明トナーのエッジ(輪郭)を完全に無くすことができる。
【0078】
このように、本実施の形態では、画像面数(プリント枚数)に応じて、用紙Pnへの所定のネガのトナー像の転写と、用紙Ppへの所定のポジのトナー像を含む全てのトナー像の転写とを交互に行う。例えば、画像1面の場合には、用紙Pn,Ppが一枚ずつで合計2枚の用紙を画像形成部10に給紙する。また、用紙Pnを両面使用する場合であって画像2面の場合には、用紙Pnが1枚で、用紙Ppが2枚の合計3枚の用紙を画像形成部10に給紙する。所定のポジのトナー像520を含む全てのトナー像を用紙Ppに転写したら用紙Ppを箔転写装置300に搬送してステップS105に進む。
【0079】
ステップS105で制御部150は、プリントジョブが終了したか否かを判断する。例えば、制御部150は、ユーザーにより設定された箔転写の画像面数に応じた所定のポジのトナー像および所定のネガのトナー像の転写が終了したか否かを判断する。制御部150は、プリントジョブが終了したと判断した場合には、一連の箔転写に関する画像形成処理を終了する。一方、プリントジョブが終了していないと判断した場合にはステップS101に戻り、上述した画像形成処理を繰り返し実行する。
【0080】
[箔転写装置の動作例]
次に、箔転写装置300の動作の一例について説明する。
図9は、箔転写装置300の制御部350の動作の一例を示すフローチャートである。
図10は、箔転写処理時における箔シート500および用紙Pnの状態を説明するための図である。
図11は、箔転写処理時における箔シート500および用紙Ppの状態を説明するための図である。
図12(A)は
図11(B)を拡大した平面図であり、
図12(B)はその断面図である。なお、
図12(A)では、箔シート500側から見た状態を示し、箔シート500やハッチングや文字の下絵等については便宜上省略して図示している。
【0081】
図9に示すように、ステップS200で制御部350は、箔転写処理が選択されたか否かを判断する。制御部350は、例えば画像形成装置100から箔転写処理の選択を示す選択情報が送信されたか否かにより判断する。制御部350は、箔転写処理が選択されたと判断した場合にはステップS201に進み、箔転写処理が選択されていないと判断した場合には箔転写処理が選択されるまで待機する。
【0082】
ステップS201で制御部350は、ゲート切替部320を制御することで、搬送経路(入口ゲート)を第1の搬送経路R1に切り替える。搬送経路を第1の搬送経路R1側に切り替えたらステップS202に進む。また、制御部350は、箔転写処理が選択されると、ローラー駆動部370を駆動することにより取付部302にセットされた箔シート500の巻取部304への巻き取りが開始されるように制御する。
【0083】
ステップS202で制御部350は、搬送ローラー駆動部372を駆動することにより搬送ローラー316等を回転駆動させて、画像形成装置100から搬入される所定のネガのトナー像が転写された用紙Pnを第1の搬送経路R1を経由して第1加熱転写部306に搬送する。
【0084】
ステップS203で第1検知部310は、第1加熱転写部306に向けて搬送される用紙Pnの直交方向D2における端部位置を検知する。制御部350は、第1検知部310により検知された用紙Pnの端部位置情報を取得し、この取得した用紙Pnの端部位置情報を例えばメモリ部358に保存する。用紙Pnの端部位置情報をメモリ部358に保存したらステップS204に進む。
【0085】
ステップS204で制御部350は、レジストローラー318を停止状態として、第1の搬送経路R1を搬送される用紙Pnの先端をレジストローラー318に突き当てて先端ループを形成することにより用紙Pの斜行を補正する。用紙Pnの斜行の補正が終了したら、所定のタイミングで第1加熱転写部306に搬送してステップS205に進む。
【0086】
ステップS205で制御部350は、第1加熱転写部306にて所定のネガのトナー像が転写された用紙Pnの表面に箔シート500の箔層504を重ね合わせて加熱・圧着処理することにより、用紙Pnの所定のネガのトナー像上に所定のネガの箔像を転写させて剥離する。具体的には、
図10(A)および
図10(B)に示すように、所定のネガのトナー像512が転写された用紙Pnの表面に、箔シート500の箔層504を重ね合わせて加圧、加熱処理を行う。これにより、
図10(D)に示すように、用紙Pnの所定のネガのトナー像512上には、スター画像の所定のポジの箔像504a以外の用紙サイズに応じた所定のネガの箔像504cが転写される。一方、箔シート500の箔層504には、
図10(C)に示すように、用紙Ppに転写するスター画像の所定のポジの箔像504aが残り、それ以外の領域は用紙Pnのサイズの箔が剥離された白抜き部504bが形成される。用紙Pnへの所定のネガの箔像504cの転写が終了したら、
図9のステップS206に進む。
【0087】
ステップS206で制御部350は、排紙ローラー駆動部376を駆動することにより排紙ローラー332等を回転駆動させて、第1加熱転写部306にて所定のネガの箔像が転写された用紙Pnを第1の排紙経路R3に搬送する。このとき、用紙Ppと交差点Pcにて衝突しないように、交差点Pcの手前で用紙Pnを停止させる。また、排紙ローラー駆動部376を制御して、用紙Pnの搬送速度を減速させるようにしても良い。用紙Pnの第1の排紙経路R3に搬送したらステップS207に進む。
【0088】
ステップS207で制御部350は、ゲート切替部320を制御することで、搬送経路を第2の搬送経路R2に切り替える。例えば、入口部312の近傍にセンサを設け、このセンサが用紙Pnを検知してから所定時間後にゲート切替部320を切り替えるようにしても良いし、第1検知部310の検知結果をトリガーとしてゲート切替部320を切り替えるようにしても良い。搬送経路を第2の搬送経路R2側に切り替えたらステップS208に進む。
【0089】
ステップS208で制御部350は、搬送ローラー駆動部374を駆動することにより搬送ローラー314,322,324,326を回転させて、画像形成装置100から搬入された用紙Ppを第2の搬送経路R2を介して第2加熱転写部308に向けて搬送する。このとき、制御部350は、搬送ローラー駆動部374を制御することで、用紙Ppを加速(増速)させて、第1加熱転写部306にて所定のネガの箔像が剥離された箔シート500が第2加熱転写部308に到達する前に、その直前に設けられたレジストローラー328に用紙Ppを送り込む。用紙Ppを第2の搬送経路R2に搬送したら、ステップS209に進む。
【0090】
ステップS209で制御部350は、用紙Ppが第2の搬送経路R2の交差点Pcを通過したか否かを判断する。例えば制御部350は、用紙検知部360から出力される検知信号が用紙Pnの後端部の通過によりオンからオフになったか否か等により判断する。制御部350は、用紙Ppが交差点Pcを通過したと判断した場合にはステップS210に進む。一方、用紙Ppが交差点Pcを通過していないと判断した場合には、用紙Ppが交差点Pcを通過するまで監視を継続して行う。
【0091】
ステップS210で制御部350は、排紙ローラー駆動部376の駆動により排紙ローラー332,334,336,338,340を回転させることで、第1加熱転写部306にて所定のネガの箔像が転写された用紙Pnを第1の排紙経路R3を経由させて出口部364からフィニッシャー400に排紙させる。用紙Pnを搬送したらステップS211に進む。
【0092】
ステップS211で、第2検知部330は、第2加熱転写部308に向けて搬送される用紙Ppの直交方向D2における端部位置を検知する。制御部350は、第2検知部330により検知された用紙Ppの端部位置情報を取得し、この取得した用紙Ppの端部位置情報を例えばメモリ部358に保存する。用紙Ppの端部位置情報をメモリ部358に保存したらステップS212に進む。
【0093】
ステップS212で制御部350は、第2検知部330により端部位置が検知された用紙Ppのレジスト揺動補正を行う。具体的には、制御部350は、ステップS203で取得した用紙Pnの端部位置情報と、ステップS211で取得した用紙Ppの端部位置情報とをメモリ部358から読み出す。制御部350は、これらの読み出した用紙Pnの端部位置情報と用紙Ppの端部位置情報との差分を算出して、用紙Ppの用紙Pnに対する直交方向D2における位置ずれ量(片寄り量)を算出する。制御部350は、算出した位置ずれ量に基づく指令値を生成して調整部380に出力し、この指令値に応じて調整部380を駆動させることにより用紙Ppを挟持した状態でレジストローラー328を搬送方向D1に直交する直交方向D2に揺動させる。これにより、用紙Ppの所定のポジのトナー像を箔シート500上の所定のポジの箔像に位置合わせることができる。なお、このレジスト揺動補正の前に用紙先端の突き当てによる用紙Ppの斜行の補正を行っても良い。
【0094】
制御部350は、レジスト揺動補正が終了したら、ステップS204で用紙Pnをレジストローラー318からスタートさせたタイミングから、箔シート500に残った所定のポジの箔像の位置が第2加熱転写部308に到達する時刻を計算する。例えば、用紙Pnの搬送速度や箔シート500の搬送速度、第1加熱転写部306と第2加熱転写部308間の搬送距離等に基づいて到達時刻を算出する。制御部350は、算出した箔シート500上の所定のポジの箔像の位置が第2加熱転写部308に到達する時刻に、用紙Pn上の所定のポジのトナー像が第2加熱転写部308に搬送されるように、レジストローラー328の搬送開始タイミングを駆動制御する。
【0095】
ステップS213で制御部350は、第2加熱転写部308にて所定のポジのトナー像520が転写された用紙Ppの表面を箔シート500の所定のポジの箔像504aに重ね合わせて圧接、加熱処理を行うことにより、用紙Ppの所定のポジのトナー像上に所定のポジの箔像を転写させる。具体的には、
図11(A)および
図11(B)に示すように、用紙Ppに転写された所定のポジのトナー像520の表面に、箔シート500の所定のポジの箔像504aを重ね合わせて加圧、加熱処理する。本例では、
図12(A)および
図12(B)に示すように、用紙Ppの所定のポジのトナー像520を箔シート500に残った所定のポジの箔像504aの形状よりも所定の輪郭領域の範囲だけ拡大して形成しているので、所定のポジの箔像504aの輪郭504aLと所定のポジのトナー像520の輪郭520Lとの間にマージンV1を設けることができる。なお、
図12では、用紙Ppの位置ずれや画像位置のずれがない場合の状態を示している。そのため、用紙Ppが箔シート500にずれた状態で重ね合わされたり、所定のポジのトナー像520がずれて転写されたとしても、マージンV1の範囲内のずれ量であれば、転写時における箔像504aの折れや細りを防止することができる。
【0096】
これにより、
図11(D)に示すように、用紙Ppのポジのトナー像520上には、箔シート500に残っていたスター画像の所定のポジの箔像504aが折れや細りなく転写される。一方、箔シート500の箔層504は、
図11(C)に示すように、スター画像の所定のポジの箔像504aが基材502から剥離されることで、用紙Pnの用紙サイズに対応した白抜き部504bとなる。用紙Ppへの所定のポジの箔像504aの転写が終了したら、
図9のステップS214に進む。
【0097】
ステップS214で制御部350は、排紙ローラー駆動部378の駆動による排紙ローラー344,346の回転により、所定のポジの箔像が転写された用紙Pbを出口部362を介してフィニッシャー400に排紙させる。
【0098】
以上説明したように、第1の実施の形態によれば、用紙Ppに転写する所定のポジのトナー像520を使用される用紙位置や画像位置のずれ量を考慮して拡大して描画するので、用紙位置等の位置ずれが発生した場合でも、所定のポジのトナー像520を拡大した部分の範囲であればずれ量を吸収することができる。これにより、用紙Ppに転写される箔画像が欠けたり、箔画像が本来より細くなること等の問題を防止することができる。また、所定のポジの箔像504aの転写後において所定のポジのトナー像520の拡大させた部分が所定のポジの箔像504aからはみ出したとしても、所定のポジのトナー像520は透明トナーにより形成しているので、はみ出した部分を目立たなくすることができ、画質を損なわずに正確な箔画像を得ることができる。
【0099】
また、第1の実施の形態の画像形成システムGSによれば、高速でかつ連続的に箔転写処理を行うことができるので、生産性を高くすることができる。また、大容量給紙装置200等のユニバーサルトレイを採用することにより、任意のサイズの用紙Pに柔軟に対応することができ、より使い勝手の良い画像形成システムGSを提供することができる。
【0100】
また、第1の実施の形態によれば、の用紙Ppが第2加熱転写部308に搬送される前段階で用紙Ppを用紙Pnの片寄り量に合わせるので、より正確かつ精密に用紙Ppの所望の位置に所定のポジの箔像を自動的に転写することが可能となる。
【0101】
さらに、第1の実施の形態によれば、反転経路R5を設けることにより、用紙Pnの両面を利用することができるので、箔画像を形成する過程で廃棄する捨て焼き用の用紙Pnを、手間をかけずに自動的に半減することができる。これにより、用紙のコストアップを回避することができる。
【0102】
<第2の実施の形態>
第2の実施の形態では、ポジ画像を拡大して形成すると共に、この拡大したポジ画像のエッジ(輪郭)にグラデーション処理を施す点において上記第1の実施の形態と相違している。なお、その他の画像形成システムGSの構成および動作は、上記第1の実施の形態と共通しているため、共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0103】
[第2の転写材の用紙Ppに形成するトナー像の構成例]
図13は、第2の実施の形態に係る用紙Ppを箔シート500に圧着させたときの状態の一例を示している。なお、
図13において、下絵等のその他のトナー像は便宜上省略して図示している。
図13に示すように、用紙Ppに転写される所定のポジの箔像504aを融着して剥離するための所定のポジのトナー像520は、所定のポジの箔像504aよりも所定の輪郭領域の範囲だけ拡大されて転写される。所定のポジの箔像504aの輪郭504aLよりも外側にはみ出した所定のポジのトナー像520の部分(以下、拡大部520aという)には、グラデーション処理が施されている。グラデーション処理とは、拡大部520aのエッジが明瞭でなくなるように拡大部520aの輪郭520aLをぼかすための処理であり、例えば、拡大部520aを構成する透明トナーの階調を制御することにより透明トナーの量が外側に向かって徐々に少なく付着するように調整する処理である。具体的には、
図13に示すように、拡大部520aの幅X1を3mmとしたとき、その幅X1のうちエッジX2の1mmにグラデーション処理を施すことができる。グラデーション処理は、公知の技術として知られているディザ処理により行うこともできる。
【0104】
所定のポジのトナー像520を拡大処理すると共にグラデーション処理を施すか否かの設定は、例えば、操作表示部160の操作画面において行うこともできるし、画像形成装置100に接続されているコンピューター等の操作画面から行うことができる。このとき、グラデーション処理を施す範囲、例えば、所定のポジのトナー像520の拡大部520aのうち輪郭520aLから何ミリ(X2)に対してグラデーション処理を行うかの設定を行うこともできる。画像形成装置100の制御部150は、操作表示部160等からグラデーション処理等に関する指示情報が送信されると、この指示情報に基づいて所定のポジのトナー像520を所定の輪郭領域の範囲まで拡大して用紙Pp上に形成すると共に、所定のポジのトナー像520の拡大部520aの輪郭520aLにグラデーション処理が施されるよう、画像処理部140の動作を制御する。
【0105】
以上説明したように、第2の実施の形態によれば、用紙Ppに拡大転写した所定のポジのトナー像520のはみ出した拡大部520aの輪郭520aLにグラデーション処理を施すことにより、所定のポジのトナー像520のエッジをぼかすことができる。これにより、用紙Ppの位置ずれや所定のポジのトナー像520の転写ずれ等が発生した場合でも、転写時における所定のポジの箔像504aの欠けや細りを防止しつつ、所定のポジのトナー像520の拡大部520a等の僅かな段差をも見えにくくすることができる。その結果、より品位の高い所定のポジの箔像504aを含むプリントを得ることができる。
【0106】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。例えば、上記実施の形態では、所定のポジのトナー像520の全体を透明トナーにより形成したが、転写する所定のポジの箔像からはみ出す所定のポジのトナー像520の拡大部520aのみを透明としても良い。つまり、所定のポジの箔像の転写後にユーザーが視認することが可能な部分のみを透明としても良い。また、拡大して形成する所定のポジのトナー像520を所定のポジの箔像と同一形状としたが、この形状に限定されることはなく、少なくとも所定のポジの箔像の外形よりも大きな領域となるような画像であれば良い。
【0107】
また、上記実施の形態では、画像形成装置100の制御部150がメインとなり、他の制御部250,350と連動して箔転写処理等の制御を行う例を説明したが、これに限定されることはない。例えば、箔転写装置300の制御部350がメインとなって箔転写処理の制御を行うこともできる。
【0108】
また、上記実施の形態では、交差点Pcにおいて、用紙Ppを用紙Pnよりも優先して通過させるように制御したが、これに限定されることはない。例えば、用紙Pnを用紙Ppよりも優先させて交差点Pcを通過させるように搬送制御しても良い。この場合にも、交差点Pcで用紙Pnと用紙Ppとが衝突しないように、用紙Pnを加速制御したり、用紙Ppを減速制御したりする。
【0109】
また、上記実施の形態では、用紙Ppに転写する画像をスター画像としたが、スター画像以外の画像を採用することもできる。さらに、箔転写装置300の搬送ローラー駆動部372,374および排紙ローラー駆動部376,378は、便宜上複数の搬送ローラーや排紙ローラーを同時に駆動する構成としたが、これに限定されることはなく、各搬送ローラー等を独立に駆動するようにしても良い。